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次のアピールを提案します。

イラクへ戦闘兵を派遣することに反対する国際アピール(案)

日本政府と国会は、ワシントンの不正義の要求に対し、ノーと言わなければならない。

国際社会の批判と抵抗にもかかわらず、単独でイラクに対する戦争を開始したブッシュ政権は、日本政府に対しイラクへの派兵を要求し、日本の衆議院、参議院は、これに追随するイラク特措法を、日本国民の圧倒的反対、国の最高法規である日本国憲法第9条に反して、可決した。日本政府は、ワシントンの強い要求に従って自衛隊派兵を急いでいる。このようなアメリカの要求は、不道徳な戦争の負担と責任を、国際社会に転嫁しようというアメリカの試みの今ひとつのあらわれである。同時にそれは、イラクに対する先制攻撃の失敗をアメリカが自認していることに他ならない。

ブッシュの勝利宣言にかかわらず、戦争が終結したとは到底いえない。戦争が長引くにつれて、米軍の死傷者数は戦闘期間中のそれを上回ってしまった。戦争はイラクに平和をもたらさなかった。戦争がもたらしたものは、復讐とテロの悪循環であった。その結果、アメリカは、何ら正当化されない戦争と占領に反対し、ますます強まっているイラクと中東の民衆の抵抗に直面しているのである。この不法な戦争が始まる初めの頃に、国際的な平和組織と世界の平和を愛する人々が、戦争は更なる暴力の循環をもたらすに過ぎないと警告したが、それがイラクにおいて現実となっている。

この戦争が不道徳な戦争であるということは、様々な点において明らかになってきている。アメリカとイギリスの戦争屋が戦争を正当化するために嘘をつき証拠をごまかしていたという新しい事実が明らかになった。アメリカはイラクのいたるところを捜索したが、大量破壊兵器を発見することは出来なかった。また、サダム・フセインが9.11事件を実行したテロリストと関係があるという具体的な証拠も見つかっていない。

現在、日本政府は、自衛隊の派遣と多額の戦費、占領費の支出をブッシュ政権から要求されている。派遣された部隊はイラクの人々に銃を突きつけることになるであろう。日本政府は、このような不正義な要求にノーと言わなければならない。また来たるべき総選挙でえらばれる衆議院はこのような不正義かつ日本国憲法に反する不法な要求を拒否しなければならない。

 死以外に何物も予見することができないという戦場に自衛隊員を送るということは、アメリカ兵と共に泥沼に足をいれ、暴力の悪循環に巻き込まれることを意味する。たとえ軍の戦闘能力を高めても、より強力な抵抗を引き起こし、軍の死傷者が増えるだけである。自衛隊派兵は、アメリカ軍とイラク人民との間の緊張を緩和することが出来ない。それは逆に緊張を高めるだけである。米軍がイラクにおいて困難に陥っている真の理由は、不法な先制攻撃の後、イラクを占領していることにあるのである。

更に、戦闘兵を派遣することは、イラクの状況を悪化させ、イラクの人々の抵抗を強めるだけである。イラクにおける紛争を解決するためには、アメリカはまず最初にアメリカの悪行を認め、米軍撤退のプランを直ちに発表しなければならない。イラクの人々が国づくりに国連の援助を要求し、その後、国連がPKOを派遣すると決定した場合ですら、、我々は、日本国憲法第9条の命ずるところに従い、それに参加することを拒否する。自衛隊戦闘兵を派遣するのではなく、死に瀕している子供たちの医療など人道的経済的援助や復興援助を急いで緊急に行うべきである。

沖縄、広島・長崎、東京空襲犠牲者を含む日本人310万人、アジア2000万人、世界6000万人とも言われる耐え難い難い人命の犠牲によってあがなわれた日本国憲法第9条を恥ずかしげもなく踏みにじる自衛隊戦闘兵の派遣の問題を含むイラク問題は、イラクの悲劇を終わらせるという観点からアプローチしなければならず、アメリカ政府の観点からアプローチしてはならない。日本は財政的にアメリカのイラク侵略に協力してきた過去を有しているのであるから、日本もまたイラクの悲劇の責任をまったく逃れるという訳には行かない。それゆえ日本政府は、アメリカのためにではなく、イラクに民主主義を樹立し、今眼前に進行しつつあるイラクの民衆の耐え難い苦痛を軽減するという新しい役割を探求することを開始しなければならない。日本は自衛隊兵士を送ることなどを考えずに、国際法の復活やイラクにおける平和の回復のために活動しなければならない。最低でも、日本政府は自衛隊戦闘兵の派遣と占領費の負担というワシントンの要求を、明確にそして直ちに拒絶しなければならない。
 以上のことは日本国民のみならず世界の国民と、日本における憲法秩序の回復という歴史的課題が要求しているものである。
 日本政府が日本国憲法より上位においている日米安全保障条約は前文と第1条で国連憲章の遵守を要求している。また、安保条約は、米軍の沖縄を含む在日基地使用すら、日本の安全、百歩譲っても極東の安全目的に限定している。イラク特措法による自衛隊の派兵はもとより、米軍のイラク攻撃のための在日米軍基地使用は、日米安保条約に反するが故にも、日米政府の主張する国際法的根拠すら完全に失った違法不法な行為である。日本政府は、ブッシュ政権に対し、日米安全保障条約の規定に反して、イラク攻撃に在日米軍基地を使用したことに、断固として抗議すべきである。況わんや、違憲違法の自衛隊のイラク派遣は、民主的法治国家の政権担当者の名誉にかけて断固として拒否すべきである。
 来るべき選挙においては、イラク特措法を通過させた恥ずべき議員に代えて、党派的または企業的、または私的利益を目的としない議員、イラク派兵に反対し、その法的根拠であるイラク特措法を廃止する公正な議員を送り出そう。

署名(氏名と組織名)

[以上]