[資料紹介]

「アメリカ防衛の再構築―新世紀のための戦略、軍事力、資源」

第2回

(現在のブッシュ政権の対外政策、とりわけ軍事政策を理解するために−編集部)

 [解説]12号に続いて、この19号に紹介する資料は、"PROJECT FOR THE NEW AMERICAN CENTURY" によって作成された。その設立趣意書とでも言うべき文書には、ディック・チェイニー(現アメリカ合衆国副大統領)、フランシス・フクヤマ(ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院教授)、ドナルド・ラムズフェルド(現アメリカ合衆国国防長官)、ポール・ウォルフォヴィッツ(同国防副長官)といった人物が名を連ねている。(12号解説より編集部作成)

南雲 和夫 

序文

 「『新世紀アメリカのためのプロジェクト』〔編集部注:民間の研究機関〕は、1997年春〔注6月〕に設立された。このプロジェクトは、アメリカの軍事力低下に懸念を抱き、国際的にアメリカの指導力を行使することと、最終的に平和の予防を創造することである」

重要な調査結果

 「この報告書は、アメリカがそのグローバルな指導的立場を、軍事力の保持によって維持し、広げることを追及するべきだとの信念から進めている。」

合衆国の軍事力の四つの中心的な任務の確立

・合衆国本土の防衛

・多数かつ同時に主要な戦域での戦争を戦い、勝利すること

・「警察官」としての義務を果たすこと―緊急必要な地域に置ける安全保障環境の形成と関連した義務

・合衆国軍事力の、「軍事革命」を活用することを形成すること

 これらの中心的な任務を実行するため、われわれは十分な軍事力と、予算の配当を必要とする。特に、合衆国は以下の事をしなければならない。

・核戦力の優位性の維持―単に米ロ間のバランスではなく、合衆国の核戦力がグローバルな抑止力であることに基づき、現在及び発生しつつある脅威を考慮した核戦力を評価すること

・軍要員数の回復―ブッシュ政権によって描かれた『基盤戦力』に組み込まれた水準を取り戻すこと(140万人から160万人への増加)

・21世紀の戦略的現実に対応する合衆国軍事力の保持―東南ヨーロッパと東南アジアへの永続的な基盤戦力のシフトと、東アジアにおいて、合衆国の戦略的な懸念が進行しつつある地域へ対応するため、海軍力を展開すること

・現在の合衆国軍事力の最新化―(中略)海兵隊用のV22オスプレイの購入

・(略)

・グローバルなミサイル防衛の開発と配備(略)

・新たな「国際的な常識」の管理(略)

 軍事支出の増大―国内総生産(GDP)の3.5%から3.8%への増加(軍事支出への、150億ドルから200億ドルの追加支出)

 アメリカが、来るべき数十年間に軍事的な支配的地位を維持しようとするなら、これらの要求を満たすことが不可欠である(以下続く)。