イラク戦争に直結する米海兵隊基地、市街地のど真ん中、事故の不安的中

宜野湾市内普天間基地で米軍ヘリ 大学に墜落

事故原因解明前に、同型CH53大型輸送ヘリ、訓練飛行再開
米軍よ、もういい加減にしてください!私たちは59年間待った

伊波洋一宜野湾市長を始め、沖縄各自治体激しい抗議決議、全県怒りの炎
9月5日の大集会に本土からも参加しよう!

 2004年8月13日頃、沖縄県宜野湾市の沖縄国際大学構内に、米海兵隊普天間基地所属のCH53D大型輸送ヘリが墜落しました。目撃者によると、ヘリは空中で尾翼が根本から折れて操縦不能になり、きりもみ状態で校舎の1号館に接触、数回の爆発を伴いながら激しく炎上しました。ヘリ乗務の3人の米兵が負傷。付近の住宅にもガラスが割れるなど被害が出ました。ヘリ残骸が住宅内を含め広範囲にわたって散乱。

 「沖縄などから米軍基地をなくす草の根運動」は直ちに英文でブッシュ大統領宛に米大使館経由で抗議文を提出しました。

 事故後、米軍は、条約上の根拠を欠いたまま現場周辺を封鎖し、県警察はもとより、外務次官が現場に接近することすら拒否。その間ガイガーカウンターで放射能の有無も調査した模様。日本側の一切の調査を拒否したまま、日本側の現場保存の要求も拒否して16日午前、事故ヘリを一方的に撤去、その際、学内の貴重な古木も伐採。また、一切の飛行訓練の中止要求は拒否したものの、同型機の訓練再開はしないことを約束。

 しかし、1週間後の20日午前ヘリ機の訓練を一方的に再開。理由は、イラク派遣命令と連動してのことでした。また、22日午後には、約束を反故にして「墜落同型ヘリをイラクに派遣するため米軍基地のホワイトビーチに飛行させる」と県に通告。同零時34分、6機が普天間基地を離陸しました。

 沖縄2紙は、6cmから3cmの活字を使用した紙面を8面、2面全面写真特集、全32ページのうち、10面は米軍ヘリ墜落報道に当てています。(14日付沖縄タイムスの場合)。これに対して本土の新聞は、1面のトップではなく、次の大きさで5段抜きの報道に止まっています(朝日)。沖縄と本土のメディアの格差がこれほど目立つことはありません。

 県内自治体の抗議決議も相次いでいます。事故現場の宜野湾市議会(17日臨時議会)、沖縄市、豊見城市、浦添市、北谷町、嘉手納町、那覇市の各議会も抗議決議を採択。しかし8月25日現在本土自治体での決議は見られません。

 普天間基地使用停止・閉鎖と合わせ辺野古海上基地建設の見直しも要求

 各自治体の決議内容で特徴的なことは、「市街地の真ん中にあり危険性の高い普天間基地の使用停止・閉鎖」、辺野古への新基地建設への批判的内容を意味する「SACO(日米特別委員会)合意見直し含めて検討」(那覇市議会決議)の2点です。

 宜野湾市議会議員は、公務出張中をのぞく28議員全員が保守革新を超えて、米国総領事館、米四軍調整官事務所、防衛施設局、沖縄県庁などの各機関を訪問して抗議要請活動を行いました。宜野湾市長の伊波洋一氏は、上京して各政府機関などを回り、また県内では、現場の米軍による一方的封鎖、事故機と同型機の飛行再開などのたびごとに米海兵隊などに抗議と要求活動を行っています。

 沖縄県出身の革新系諸政党議員も、活発に政府機関への抗議要請活動を行っています。

ねばり強い市民の闘い

 沖縄平和市民連絡会は、共同代表の平良夏芽さん(42、牧師)を初め多数が活発に活動しています。特に、4月から始まった辺野古でのボーリング調査阻止の座り込みには、大勢が参加し、すでに4ヶ月になります。皆へとへとになりながら、がんばり続けています。90才になるおばあを含むヘリ基地阻止命を守る会のねばり強い闘いは、基地をなくそうと願う全沖縄県民、全国民をも励ましています。しかし現地も体力的に限界に来ています。全国民全世界の人々の力で早く、中止決定を勝ち取らなければ、人命にも関わりかねない厳しい現状であることもまた見ておかなければなりません。

9月5日の大集会へ本土からも全力で参加しよう

 伊波洋一宜野湾市長は、自ら実行委員長となり、沖縄国際大学の協賛も得て、8月25日開かれる第1回実行委員会を経て、9月5日(日)午後2時、沖国大グラウンドで1万人集会を開催する案を提案中です。他都道府県からせめて1000人の参加者が全都道府県から参加することが求められます。

(平山基生・草の根運営委員長)


来間泰男氏(沖縄国際大学経済学部教授)の話

 起こるべくして起きた事故です。このような事故は死傷者がでたとか、被害がどの程度であったかだけでは計れません。軍事基地周辺住民の心に残るショックはいつ癒えるとも言えないでしょう。私たちは、1972年日本復帰の年に、この土地に大学を作りました。この場所を選んだことが間違っていたのでしょうか。そんなことはありません。

 ヘリコプターはどこに落ちるか決まっていません。この普天間基地周辺の広い範囲でいつも危険にさらされてきたのです。広範囲にテープを張り巡らすなど事故後のアメリカ軍が取り仕切っている対処を見ても疑問ばかりです。基地があることで沖縄は金銭的に恩恵を受けています。その事実に目をふさいではなりません。その恩恵があるために、このような事故に対しても抗議するだけで、基地の撤去まで要求しない人たちがいるというのも沖縄の現実です。そのような現実を克服しなければならないことを今回の事故は示しているのです。(来間さんは平山運営委員長と35年来の友人です)

墜落、炎上する米軍ヘリの消火に消防車が次々到着した=8月13日午後2時35分、宜野湾市