草の根ニュース3月11日号より
沖縄はじめ日本の米軍基地はいつも有事=戦時
違憲!戦争!従属の基地をなくしましょう
韓国・朝鮮、そして改憲問題
笹本 潤(弁護士)
最近私は韓国との交流に凝っている。
昨年7月に国際法律家協会で韓国を訪問した際、韓国の弁護士や学者から「北朝鮮よりも日本の軍事力の方が脅威だ!」と言われて以来、自分のやってきた平和活動は何だったのか?を自問せざるを得なくなった。当初は北朝鮮の暴発やアメリカの先制攻撃をどうやって日韓の平和活動家が連帯して防いでいけばいいのか、とだけ考えていたが、上の一言でそれはガタガタと崩れ去った。
彼らが言いたかったのは、結局、北朝鮮脅威論と結びついた日本の有事立法や憲法9条の改悪などの動きが、朝鮮半島の統一と平和の障害になるということだ。日本がアメリカと歩調を合わせていることもそれを倍増させているのだろう。2000年南北共同宣言以来の平和的雰囲気の続いている南北朝鮮。そこにのこのこ日本の平和活動家が出かけていって、一緒に北朝鮮の脅威を防ぎましょうと言っても恥ずかしい思いをする。さらにつっこんで話していくと、「日本の朝鮮に対する植民地支配の問題が解決されないと」、「在日朝鮮・韓国人に対するいじめの問題」など、つぎつぎと日本社会のそして日本の平和運動の膿が出てくる。
日本が北朝鮮や朝鮮半島を見る目はなんと無知でしらけていることか。2月7日の日弁連シンポでは、拉致家族被害者の訴えに対して、韓国の弁護士が”韓国も朝鮮戦争でたくさんの人が家族が離ればなれになったり身内が殺されたりしている”と訴えた。彼は拉致被害者に対して、「被害者はあなたたちだけではないんだ」、「経済封鎖などをしたら永遠に家族と会えなくなるかもしれないということをどう考えるんだ」と言いたかったのだと思う。
あまりに狭くなっている拉致被害者や日本人の視野。私たちは隣国で起こった朝鮮戦争や離散家族の問題をどのくらい知っているのだろうか。敵を作り上げることは戦争の常套手段。マスコミによってあおられている北朝鮮脅威論という虚像。これは、すでに破綻しているイラクによる大量破壊兵器の保有、アフガニスタン攻撃の際の「テロリストの脅威」、などという戦争開始の口実と同じではないのか。テロリストが潜んでいるといっては一般の市民を巻き込むイラク戦争、抗日ゲリラが紛れ込んだといって住民大虐殺を行った平頂山事件、戦争では不確かで嘘も混じった口実で一般住民が殺害されている。戦争を起こさないということは、戦争の口実を許さないということでもあるのではないだろうか。
朝鮮問題は日本人は苦手である。しかし、身近なところから出発しないと結局は身近な戦争を招くことになる。北朝鮮脅威論なんかの宣伝に負けてはならない。これで憲法が改悪され、戦争国家になったら、嘘のために戦争が起こり、人々が死んでいくことになる。やっぱり朝鮮問題はよく勉強し、真実を見つめないとならないと思っている。
気を取り直して、1月にソウルに行き、初めてイラク派兵反対の街頭宣伝をしてきた。ビラの受け取りは日本よりもよっぽどいい。戻ってきてビラを持っていく人々もいる。・・・まあ、まずはこういうところから出発するか。アメリカはアジアでは、米軍基地のある日本と韓国を拠点にしてイラク派兵を行っている。日本と韓国の共通の利害関係があるイラク派兵反対の連帯活動、それを共同してやっていく中でまた新しい可能性が開けてくるような気がしている。
私の父平山照次牧師は、3月上旬、重態に陥りました。1カ月前に、母の平山秋子牧師を天に送ったことによる精神的打撃によると思われました。そこで父を励ますために次の手紙を大きな文字で打って読んでもらいました。父は、指で1行1行なぞるようにしながら全部読み、「これはいいことだね。これは君の決意だね」と言ってくれました。
多くの方々に、この文章をお送りし、たくさんの方々から父へのお励ましのお言葉をいただきました。紙上をお借りして厚くお礼を申し上げます。
父の病状は、今全く予断を許しませんが、生き抜いてくれることを、最後まであきらめずに念じております。
全力で生き抜いて
平山秋子牧師の平和の遺志を活かす「平和センター」を創りましょう!
2004年3月5日
平山基生
お父さんへ
お母さんの平山秋子牧師は、今年2004年1月27日早朝、天に召されました。97歳4ヶ月余でした。私たちは、お母さんの平和の遺志を受け継ぎ実現するため、お母さんの分まで全力で長生きしていかなければなりません。
お母さんは、その全生涯を通じてキリスト者として、心から平和を願っていました。
「平和を創り出すということは、キリスト者として、また、一般市民としてもっとも大切な課題」(平山秋子説教集『喜びは朝と共に』62ページ)と書いているとおりです。
お父さん(平山照次牧師)は、「戦争を阻止し平和を創りだす闘いをしないような教会は、本当の神の子たちの教会ではないと思う時、礼拝出席の人数は増えなくても、実質的には、それがキリストの喜び給う本当の教会の形成であったと信じるのであり
ます」(平山照次説教集『泣くものと共に泣け』(215ページ)と述べています。
よりちゃん(私の実姉ジャーナリスト松井やより)の「女たちの戦争と平和資料館建設とあわせて、お父さんとお母さんにゆかりのある人々に広く訴えて、平山両牧師の平和への思いを記念する事業を具体化しましょう。
平山秋子牧師を記念する
「平和センター」(仮称)案
このセンターの中に、次の5部門を置く。
1に、各国米軍・基地情報センター
2に、東北アジア非核地帯設置情報センター
3に、北東アジア共同の家建設情報センター
4に、核兵器廃絶情報センター
5に、平山両牧師説教集第2集の編集委員会
とりあえず、建設準備委員会を作ることを呼びかけ、その建設委員会が、安いマンションの一室を購入する資金を募集する。その段取りを考えながら、できるだけ早く、具体化しましょう。
お父さんには、気力を充実させ、是非、長生きしてもらい、平和センターの実現を励まし、見てもらいましょう。
以上
(編集後記)ムンバイで開かれた世界社会フォーラムの「原則憲章」14項目は、戦争、差別、貧困、抑圧などと闘う世界と日本の人びとが力を合わせる上で、大変参考になるもの。モンゴル、日本、韓国、朝鮮4カ国の東北アジア非核地位国連合結成の問題と合わせて、次号に紹介したい。