月別アーカイブ: 2008年7月

全国で署名40万件/地位協定見直し 地位協定 改定要求に欧州注目 など 沖縄タイムス関連記事(6月12日から16日) 

2008年6月12日(木) 朝刊 27面

犯罪防止へ四軍調整委/日米会合で米が説明

共同巡視は「検討中」

 米兵の事件・事故の再発防止策について日米の関係機関が話し合うワーキングチームの会合が十一日、那覇市の外務省沖縄事務所であった。共同議長のマーク・フランクリン在日米軍沖縄調整事務所長は、在日米軍が五月にまとめた再発防止策として「性犯罪に対応するための四軍調整委員会」の設立や各軍ごとに見直した教育プログラムを説明した。

 会合は冒頭以外は非公開で行われ、「コアグループ」と名付けた関係機関から少人数が出席。

 地元から県と県警が参加、オブザーバーで沖縄市、北谷町、金武町が加わった。

 外務省沖縄事務所の倉光秀彰副所長によると、フランクリン所長は「固定的な措置でなく、常時見直し、改善していく」と述べ、教育プログラムへの日本人講師の派遣など、協力を依頼したという。

 政府の取り組みについて、同省の伊澤修日米地位協定室長は米軍関係者向けの「沖縄理解増進セミナー」を年間十回以上開催すると説明。

 日米の共同パトロールは、警察権の調整を進めている段階として、詳細を明かさなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121300_03.html

 

2008年6月12日(木) 朝刊 2面

「護憲」団長に新里氏/県議会野党会派 多数派づくり激化

 県議会内で多数を占めた野党各会派は十一日までに選挙後の初会合を開き、会派調整や代表選任などの協議を始めた。複数の推薦を得た当選者への働き掛けも強まり、野党内の多数派づくりは激しくなっている。

 護憲ネットは十一日、現職四人、新人四人が県議会で初会合を開き、県議団長に新里米吉氏を選んだ。野党第一会派を維持する見込みで、新里氏は「第一会派として各会派の意見をまとめ、結束を高めたい」との意向を示した。社大(当選者二人)と、革新系無所属の当選者三人で構成する「結の会」も十一日、協議。共産推薦を得た当選者もおり、社大の比嘉京子書記長は「慎重に協議を重ねて結論を出したい」と述べた。

 民主党県連は九日に当選者四人が協議し、民主会派結成で合意している。

 注目されるのは、政党「そうぞう」公認の當間盛夫氏と国頭郡区当選の平良昭一氏、沖縄市区の玉城満氏ら。会派構成は週明けにも決着する。

 議長、副議長の人選は「白紙状態」(野党会派幹部)。野党内では、護憲ネット幹事長の高嶺善伸氏、最多当選の玉城義和氏(無所属)、社大の大城一馬氏らが有力視されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121300_04.html

 

2008年6月12日(木) 朝刊 3面

補償は別枠予算で/旧軍飛行場用地問題

協議会が県に要請

 旧軍飛行場用地の補償問題について、同問題解決促進協議会(金城栄一会長)は十一日、県基地対策課を訪れ、「補償事業を沖縄特別振興対策調整費で行えば事業規模が縮小する」として、調整費とは別の枠組みで政府に予算要求するよう要請した。県は「同調整費で行うかどうか決まっていない」と従来の見解を示すにとどめた。

 金城会長は「県が調整費で解決しようとするのは見えている」と反発。市町村単位での説明会で、「県が『調整費で概算要求をする』と説明した」と疑問を投げ掛け、「誰のための戦後処理なのか。県が(事業を)小さくまとめようとしてはいけない」と訴えた。

 同課の安里肇副参事は「決定ではない。いろんな議論がある」と述べ、選択肢の一つだと釈明。又吉進課長は「別枠予算は県も可能性を検討しているが、調整費など今ある確立されたスキーム(枠組み)もある。予算の配分の仕方や事業の性格はまだ決まっていない」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121300_05.html

 

2008年6月12日(木) 朝刊 27面

平和の共同作業 摩文仁・祈念像を「浄め」

 【糸満】二十三日の「慰霊の日」を前に、糸満市摩文仁の沖縄平和祈念堂で十一日、平和祈念像のほこりを払う「浄め」が行われた。沖縄バスの新人バスガイドや県の工芸技術支援センター(南風原町)の研修生らが、高さ約十二メートルの祈念像の汚れを丁寧にふき取った。

 恒例の「浄め」は毎年二回、慰霊の日前と年末に行われる。一時間ほどかけ、柔らかい布でほこりを払ったり、全国から贈られた折り鶴などを整理した。

 社会科見学で祈念堂を訪れ、作業を手伝った座間味小六年の中村宏樹君(11)は「初めて見たけど、祈念像はとても大きくてすごい」と目を丸くしていた。

 祈念堂管理事務所の比嘉正詔所長は「平和への思いや願いを次の世代にバトンタッチする意味でも、多くの人が作業にかかわる意義は大きい」と感謝した。平和祈念堂では二十二日午後七時から、沖縄全戦没者追悼式前夜祭が開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121300_11.html

 

2008年6月12日(木) 夕刊 5面

家族への思い・死の覚悟・・・自決軍医長の手紙寄贈

旧海軍壕 あすから展示

 沖縄戦時に海軍沖縄方面根拠地隊の軍医長で、海軍司令部壕で自決したとされる小山正信さん(広島県)の家族がこのほど、沖縄など戦地から家族に送られてきた手紙十九通を旧海軍司令部壕事業所(豊見城市)に寄贈した。家族への思いや死の覚悟をつづっており、十三日から同所で展示される。

 手紙は一九四三年六月から四五年三月まで、ラバウルや沖縄から妻・幸枝さん(88)らにあてたもの。長女の橋本恵美子さん(64)が一―二歳のころ正信さんは沖縄にいたという。手紙には「一歩二歩と歩く様になったとの事、一層可愛い事と思ふ」「よく御飯を食べるし、よくお喋りするとの事で小生の眼の前にその様子が浮かんで来るやうだ」(四四年十二月)と、子どもの成長を喜んだり、家族を思いやる言葉が多い。

 一方で刻々と厳しくなる戦況を伝えるとともに、「今度は絶対的に白木の箱に入るものと覚悟している」(四四年十二月)「最後の訣別の辞を送る事になった」(四五年二月)などの文言も。米軍上陸直前の四五年三月になると、「敵の来るのを待つ身を想像して見てくれ。進撃なら愉快だが来るのを待つのは嫌だネ」。

 正信さんは、四四年八月に沖縄に着任。四五年六月に、大田實司令官の自決後、同壕内で五人の幕僚とともに自決したとされている。

 同所は十三日に慰霊祭を開催する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806121700_02.html

 

2008年6月13日(金) 朝刊 29面

「集団自決」劇で表現/美里高生 教科書問題機に

 昨年九月の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に参加した美里高校の生徒らが「集団自決(強制集団死)」をテーマにした劇「明日への幸せ」を十三日午後二時から、沖縄市の沖縄市民会館で披露する。入場無料。「集団自決」の証言集など沖縄戦関係の資料を丹念に読み込んだ演劇部の生徒らが脚本・演出も担当。「事実をなぜ変えるのか」。教科書問題で疑問に感じた思い、平和への願いを自作の劇で表現する。(宮城貴奈)

 舞台は多額の借金やいじめなどに苦しみ自殺を図ろうとする社会人、高校生、主婦の三人が糸満市の喜屋武岬で出会うところから始まる。そこに沖縄戦の「集団自決」の犠牲者の霊が現れ、当時の体験を語るストーリー。

 捕虜になるより自決を選ぶようにと日本兵から渡された手りゅう弾で命を絶つ場面。生きたくても生きられなかった悲しい歴史を通して、「命の尊さ」を伝える。

 脚本を担当した島袋史奈さん(17)=三年=は教科書問題で沖縄が大きく揺れ動いたのを目の当たりにし、「変えなくてもいい事実をなぜ変えるのか」と疑問を感じたという。

 「6・23慰霊の日平和学習」発表会は同校のダンス部や吹奏楽部など五つの部の生徒が平和をテーマに朗読などを行う。

 今年は昨年の教科書問題を受け、「集団自決」を盛り込んだ内容にしたいと、演劇部の生徒が主体的に証言集や資料集を読み込んだ。体験者の証言集を手にし、「こんなに追い込まれていたのかと胸が痛くなった」と語る島袋さん。

 昨年の県民大会に参加した小渡歩さん(18)=三年=は「沖縄出身者として、沖縄戦であった『集団自決』の事実を多くの人に伝えていきたい」と来場を呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131300_02.html

 

2008年6月13日(金) 朝刊 2面

再編交付金で校舎改修/金武町 ソフト事業にも活用

 【金武】在日米軍再編への協力に応じて支払われる再編交付金について金武町は十二日までに、金武中学校の改修工事に充てる方針を決めた。約八千五百万円の改修工事費を盛り込んだ一般会計補正予算案を町議会六月定例会に提案する。校舎外壁を塗装するほか、新たに通路を設置する。

 同町へは、在日米軍再編に伴う米軍キャンプ・ハンセンの自衛隊共同使用を受け入れたとして、本年度の第一次分約八千五百万円と、執行されていない前年度分の約千二百万円の交付が予定されている。

 同町は、再編交付金基金を設置するための条例制定案も提案。前年度分の約千二百万円を積み立て、ソフト事業に活用する方針。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131300_03.html

 

2008年6月13日(金) 朝刊 2面

「普天間」へ影響否定/県議選の結果受け

 ケビン・メア在沖米国総領事は十二日の定例記者会見で、野党が多数を占めた八日の県議会議員選挙が米軍普天間飛行場移設に与える影響について、「事情は変わっていない。日本政府は律義なので、合意したことをそのまま実行すると期待している」と述べた。

 メア総領事は「県議会の意見を無視するわけではなく、沖縄にもいろいろな意見があるとよく分かっている」とした上で、「(再編合意は)日本政府が地元の声に配慮してL字形からX字形、V字形に変更、調整された」と指摘。米政府が修正に応じないとの見解を強調した。

 さらに、「選挙ごとに見直せば何もできない。県議会も現実的な目で見て、沖縄の負担軽減に有利に働く再編計画の実行に理解してほしい」と話した。

 来年発足する米国の新政権が再編計画を変更する可能性について「共和党も民主党もアジアに対する安全保障政策は変わりがない。滑走路の位置は大統領レベルで戦略的に考えることでなく、技術的なことだ」と否定した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131300_04.html

 

2008年6月13日(金) 朝刊 29面

米軍被害救済へ手引き/17ページの冊子NGOが発刊

 「日米地位協定改定を実現するNGO」(比嘉幹郎、佐久川政一共同代表)は十二日、県庁で記者会見し、米軍人らが絡む事件・事故の被害者が補償を求める際の手順や連絡先などを記した「被害補償の手引き」を発行した、と発表した。同NGOは「誰もが手に取れる冊子の形で手引きを作ったのは初めて。事件・事故で泣き寝入りせず、本書を活用してほしい」と呼び掛けている。

 手引きでは、米軍人や軍属、その家族が引き起こした事件や事故の被害補償の請求方法などを十七?にわたって記載。米兵、軍属、家族の身分の違いで補償請求の方法が異なることから、被害直後に加害者の身分や、所属基地の連絡先、担当責任者などを確認する必要性を強調。

 公務中、公務外の事件・事故では、それぞれの請求先機関や法的手続きの手順を記載した。

 手引きは千部を発行。米軍関係者による被害が多い自治体に無料配布するとともに、一部五十円で一般販売も行う。

 同NGOは、今年三月に野党三党がとりまとめた「地位協定改定案」を考えるシンポジウムを十四日午後二時十分から、沖縄国際大学五号館で開き、会場で手引きの販売も行う。

 問い合わせは同NGO事務局まで。電話098(934)3298。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131300_09.html

 

2008年6月13日(金) 朝刊 28面

アイルランド大使 鑑賞/「無言館」展

 来沖中のブレンダン・スキャネル駐日アイルランド大使と妻のマーガレットさんが十二日、那覇市おもろまちの県立博物館・美術館を訪れ、沖縄タイムス社創刊六十周年企画「情熱と戦争の挟間で―無言館・沖縄・画家たちの表現―」(主催・文化の杜共同企業体、県立博物館・美術館)などの展示を観覧した。

 「情熱と戦争の狭間で」には、戦没画学生らの作品を集めた長野県の私設美術館「無言館」の収蔵品や、沖縄戦を生き延びた県出身者の作品が並んでいる。作品に顔を近づけ、熱心に見入ったスキャネル大使は「これからたくさんの夢を実現しようという時に戦争で亡くなった若者たちの気持ちが強く伝わってきた」と語った。

 企画展は二十九日まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131300_10.html

 

2008年6月13日(金) 夕刊 1面 

全国で署名40万件/地位協定見直し

 連合沖縄の仲村信正会長は十三日、那覇市内で会見し「米軍の綱紀粛正と日米地位協定の抜本見直しを求める署名」が県内外から四十万件以上集まったと発表した。十六日で締め切り、二十日に外務省での要請行動を行う。仲村会長は「署名活動を通して、日米地位協定は沖縄だけの問題ではないという認識が全国に広がっている」と述べた。

 連合沖縄は二月の米兵暴行事件を受け、三月二十一日から県内での署名活動を開始。四月に横浜市で開かれた連合中央集会などを通し県外でも署名活動を展開。十三日までに県内約五万件、県外約三十五万件が集まった。

 今後は、県内外で地位協定見直しへの理解を深めてもらうため、年一回程度の勉強会を開催する方針。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131700_02.html

 

2008年6月13日(金) 夕刊 1面

尖閣沖事故 見守る姿勢/知事定例会見

 仲井真弘多知事は十三日の定例会見で、尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で台湾の遊漁船が日本の巡視船と衝突、沈没した事故への対応について、「今のところは考えていない。尖閣に領有権の問題はないと聞いている。その状況を踏まえると、沖縄の漁船の操業など国としてしっかり対応してほしい」と述べ、見守る姿勢を示した。

 二〇〇七年に予定していた尖閣諸島視察について「行ってみたいと思っている。いつかは分からないが、必ず実行したい」と意欲を示した。台湾側は今回の衝突、沈没事故について、尖閣諸島の領有権を主張し日本側に抗議している。

 野党多数となった県議選の結果が米軍普天間飛行場代替施設の移設に与える影響について、仲井真知事は「基本的に自分の主張と政策を変えるつもりはまったくない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806131700_04.html

 

2008年6月14日(土) 朝刊 31面

悲惨な戦争 起こすまい/海軍壕で冥福祈る

 沖縄戦で亡くなった旧日本海軍関係者や現地召集された住民約四千人のみ霊を慰める旧海軍司令部壕慰霊祭(主催・沖縄観光コンベンションビューロー)が十三日、豊見城市の同慰霊塔前広場で行われ、県外の遺族三十人を含む関係者約百十人が出席、犠牲者の冥福を祈った。

 当時十六歳で沖縄方面根拠地隊に入隊、すぐに前線に派遣され「九死に一生を得た」という平良樽一さん(79)=那覇市=は「生き残った者として、体の動く限り参加し、二度と悲惨な戦争が起こらないよう願っていきたい」と話した。

 献花しながら何度も「ありがとう」と声を震わせた武田綾子さん(90)=福岡県=は「亡くなった兄や多くの方々のために、いつも(慰霊塔を)きれいにしてくれて、沖縄の人の優しさ、平和を願う心に感謝したい」と涙をぬぐった。

父の手紙 平和の一助

小山さん来県

 沖縄戦時の海軍司令部壕で自決したとされる軍医長、小山正信さんの手紙を寄贈した長男の正善さん(63)が広島から来県、手紙に込められた思いを語った。

 正善さんは当時、母親のおなかの中にいた。父親が戦地から送った十九通すべてに、子どもを心配し無事を願う言葉があるとし、「どんな状況でも親が子を思う気持ちは同じ。戦場での父の願いを多くの人に見てもらうことで、平和への思いを共有するきっかけになってほしい」と期待した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806141300_03.html

 

2008年6月14日(土) 朝刊 31面

教師「集団自決」学ぶ/若手が宮城晴美さん講演企画

 沖縄戦で起きた「集団自決(強制集団死)」について生徒たちに教える立場にある教職員たちが理解を深めようと、宜野湾高校で十三日、女性史家の宮城晴美さん(58)の講演会が開かれた。学校が教師を対象に歴史勉強会を開くのは珍しいといい、宮城さんは「若い先生が意識してくれることは素晴らしい」と話した。

 教科書検定問題で揺れた後の慰霊の日を迎える前に、同校の若手教師らが「しっかり勉強したい」と発案。「集団自決」の証言を集めてきた宮城さんを招いた。

 宮城さんは、座間味での「集団自決」や大阪地裁での訴訟の経緯、「軍の強制」を削除した〇六年度の教科書検定意見が出された背景などを解説。「私たちは戦争で傷ついた人たちを見てきた世代。傷口をこじ開けるように語られた証言はどれも貴重であり、伝える立場の人間の判断で取捨してはいけない」と語った。

 金城睦教諭(36)は「戦争も米軍統治も知らない私たちが、言葉に重みを乗せて生徒に語るのは難しい。さらに次の世代に語り継いでいくためには、教師がより学ぶしかない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806141300_04.html

 

2008年6月15日(日) 朝刊 2面

地位協定 改定要求に欧州注目/国会議員3氏報告

決議案提出も視野

 野党三党が今年三月に共同提案した地位協定改定案を討論するシンポジウムが十四日、沖縄国際大学で開かれた。日米地位協定改定を実現するNGO(比嘉幹郎、佐久川政一共同代表)が主催。駿河台大の本間浩名誉教授(国際法)が逐条解説し、改定案にかかわった照屋寛徳(社民)、下地幹郎(そうぞう)、喜納昌吉(民主)の国会議員三氏がパネリストとして改定案の狙いなどを報告した。

 本間教授は一九九三年に改定したドイツのボン協定を例に、「冷戦から国際情勢は変化し、米軍駐留の目的も変わった。現実的視点に立った改定が望まれる」と述べた。北大西洋条約機構(NATO)の会合に出席した経験に基づき、県民が求める改定は欧州から注目されていると説明。「ドイツ国防省法務部トップは『米軍問題に強い意志を表明する沖縄に尊敬の念を持つ』と話していた。頑張ってほしい」と呼び掛けた。

 パネリストは、改定案に盛り込んだ(1)施設区域の提供(2)八年をめどに基地使用計画の提出(3)刑事裁判権(4)環境条項―などについて意見交換した。

 下地氏は、基地外居住米軍関係者への外国人登録義務を盛り込んだことに触れ「論議を呼んだが、国内法に米軍を引っ張り出す作業が必要」と指摘。「米国にも国内世論にも改定を呼び掛け、機運を盛り上げたい」と述べた。

 照屋氏は沖縄弁護士会会員として二〇〇三年に同会の改正案に携わった経験から「三党間でスタンスの違いもあり改定案はまだ不十分だが、環境条項の新設は意義があると評価している」と述べた。国会で地位協定改定を求める決議案提出を視野に入れていることも明かした上で、「もっと細かく詰める必要がある。自公の議員にも呼び掛け、可能な限り、全会一致を求める努力をしたい」と述べた。

 喜納氏は「日米地位協定はもともと不平等。沖縄が安保のごみ箱になっている。根本的な哲学を構築しないと変わらない」と訴えた。

 シンポの前には同NGOの総会が開かれ、改定に取り組む決議文を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806151300_05.html

 

2008年6月15日(日) 朝刊 23面

ガマを平和の財産に/那覇でシンポ

生態系保護で課題も

 平和教育や生態学などの観点からガマ(壕)の意義を考えるシンポジウム「ガマ」が十四日、那覇市古島の教育福祉会館であった。四人のパネリストが登壇し、「観光地化」したガマの現状や戦争の記憶を次代につなぐための課題を訴えた。教育や観光ガイドの関係者ら約百人が聞き入った。

 沖縄戦の遺骨収集団体「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんは県内のガマはほとんどが掘り尽くされ、戦時中の遺物が残されていないと指摘。「戦争体験者が減る中で、ガマが持つ情報をみんなの共有財産として受け継いでいく取り組みが大事だ」と力を込めた。

 戦跡保存全国ネットワーク共同代表の村上有慶さんは、一九八〇年代に二万人だった沖縄への修学旅行生が現在は四十五万人に増加し、平和学習の質の低下を招いていると危惧。「次から次にガマにさえ入れば事足りるのか。訪れる人たちが沖縄戦の痛みを共感し、平和の価値を考えることが重要」と話し、「負の遺産」として、県内戦跡の戦争文化財指定を進めるべきだと強調した。

 大勢の人がガマに入ることで、外敵に敏感なコウモリの生態を脅かしていると危機感を表したのは、沖縄国際大学講師の金城和三さん。コウモリの繁殖期にはコウモリがいない別のガマを利用するなど、平和教育と自然保護の両立を求めた。

 県埋蔵文化財センター嘱託調査員の伊波直樹さんは、考古学の視点から報告。ガマは先史時代から生活空間や墓地、拝所などとして人々の暮らしに密着した存在だったと説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806151300_06.html

 

2008年6月16日(月) 夕刊 1面

野党第一に社民・護憲/県議会構成 6会派が届け出

 県議選後の新たな県議会構成を決める会派の届け出が十六日午前から始まり、午後一時現在、与党の自民(十六人)、公明県民会議(五人)、野党の社民・護憲ネット(八人)、共産(五人)など六会派が届け出た。与党第一会派は自民、野党第一会派は社民・護憲ネットが占める。

 当選者二人にとどまった社大党は、革新系無所属の新垣清涼氏(宜野湾)と瑞慶覧功氏(中頭)の二人を加えた四人で統一会派を結成した。玉城義和氏(名護)と奥平一夫氏(宮古島)は無所属クラブをつくった。

 民主党は当選した公認四人を中心に会派を構成する方針で、無所属の当選者に参加を働き掛けている。

 政党「そうぞう」の當間盛夫氏(那覇)と無所属の平良昭一氏(国頭)、玉城満氏(沖縄)は、民主会派への参加か、独自の会派結成に向け最終的な調整を続けている。同日中に各会派の構成が決まる見通し。確定後の代表者会議は十七日午前開かれ、常任委員会の構成や議席、県議会内の居室などを決定。議長、副議長選出に向けた協議が本格化する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200806161700_03.html