南京大虐殺を朗読劇に 来月、東京の劇団が上演
朗読劇の鑑賞を呼び掛ける実行委メンバーら=23日、県庁
「南京大虐殺」をテーマにした朗読劇「地獄のDECEMBER(12月)―哀しみの南京」が5月6、7の両日、県内で上演される。東京で劇団「IMAGINE21」を主宰する渡辺義治・横井量子夫妻が、朗読と芝居で日本の「加害」に向き合う。沖縄公演実行委員会の谷昌二委員長らは「日本の歴史の嫌な面を見つめることを通してこそ、将来の幸せも考えられる。一人でも多くの人に見てもらいたい」と鑑賞を呼び掛けた。
渡辺さんの父親は関東軍の鉄道部隊中尉だったといい、横井さんの家族は日本軍相手の商売で利益を得ていたという。劇は夫妻の家族の軌跡、そして自身の人生を見つめるところから始まる。日本軍がかつて中国で繰り広げた殺りくや女性暴行の様子を、証言などに基づいて表現する。
実行委員メンバーの日本中国友好協会県支部の上原源栄支部長は、日中戦争の発端となった1937年の盧溝橋事件から70年の節目となることに触れ「中国と草の根の交流を深めたい。そのためにはまず、日本が何をやったか認識しなければいけない」と強調した。
沖教組那覇支部の鶴渕信子書記長は「教科書問題で揺れる中、“軍命”の本質も理解できるのではないか。多くの教職員にも見てほしい」と話している。
公演は6日が午後6時半からパレット市民劇場、7日は午後7時から沖縄市民劇場あしびなーで。入場料は大人2800円、大学生2000円、中高生1500円。問い合わせは098(942)1101。
(4/24 9:41) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23237-storytopic-1.html
ポスト京都議定書・米中を連携協議の枠組みに
地球温暖化が進み、予想以上に厳しい専門家の将来予測が相次いで示されている中、ポスト京都議定書に向けて、日米が連携を強化する方向へ歩みだした。
地球温暖化対策として温室効果ガスの削減を初めて義務付けた京都議定書が採択されて今年で10年の節目の年を迎える。5年間の削減実施期間が来年から始まる。
京都議定書に定めがない2013年以降の国際的枠組みづくりに向けて動きが活発になってきた。
27日の安倍晋三首相とブッシュ大統領の日米首脳会談で温暖化対策を連携強化する共同文書を発表することが固まった。
最大の温室効果ガスの排出国・米国はクリントン政権当時に京都議定書に署名しながら、ブッシュ政権が発足して間もなく批准を拒否、京都議定書から離脱した。
この米国の離脱に加え、米国に次いで排出量の多い中国が規制の対象から外れているため、京都議
定書の実効性が疑問視されてきた。
ここに来て米国の国内環境が変わりつつある。ブッシュ大統領は京都議定書不支持ながら、今年1月の一般教書演説でガソリンの消費量削減を打ち出すなど温暖化対策に前向きの姿勢をみせた。4月には政府に規制を命じる連邦最高裁の判決もあった。
こういった流れもあり、ブッシュ政権も日米首脳会談では次官級協議機関の設置、省エネルギーを含む環境分野の革新的技術の共同開発などを共同文書に盛り込むことで調整を進めている。
安倍首相は温室効果ガス排出量の多い中国の温家宝首相との東京での会談で新たな国際枠組み構築への協力を確認したばかりだ。
京都議定書の枠組みから外れている米国と中国の両国が国際的枠組みづくりの協議に参加、協力が得られる意義は大きい。
温暖化対策は6月の主要国首脳会議(ドイツ・ハイリゲンダム・サミット)でも議題だが、来年、日本の北海道で開かれるサミットの主要議題でもある。
議長役を務める安倍首相には、ポスト京都に向けて強いリーダーシップを発揮してほしい。
(4/24 9:44)
琉球新報 社説
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23236-storytopic-11.html
宜野湾市長選挙・基地負担軽減を粘り強く
米軍普天間飛行場を抱える宜野湾市の市長選挙は現職の伊波洋一氏が再選を果たした。
同市は中央部に普天間飛行場が居座り、北側にキャンプ瑞慶覧が広がる。その基地面積は全市域の32・4%をも占める。とりわけ普天間飛行場を離着陸するヘリの騒音が市民生活を脅かしている。3年前の2004年8月には同基地所属のヘリが基地に隣接する沖縄国際大学構内に墜落し、爆発、大破、炎上する事故も発生している。
それだけに宜野湾市民は基地に敏感だ。普天間飛行場の県内移設に反対し、グアムなど国外への移設を訴えてきた伊波氏を市民は選んだ。
普天間飛行場の移設が日米で合意されてから11年。地元の頭越しに移設を進めようとする日米両政府の移設作業は難渋、まだ動かない。伊波氏は公約通り国外移転を訴えるとともに、早急な危険性の除去、基地の負担軽減を粘り強く訴えてほしい。
基地問題への取り組みをはじめ、現職としての実績も評価された。同じ日に投開票が行われた参院沖縄選挙区・補欠選挙での宜野湾市での得票は自民、公明推薦の島尻安伊子氏が2万247票、社民、社大、共産、民主、国民新党推薦の狩俣吉正氏が1万7989票。島尻氏が2000票余もリードしたが、市長選挙では逆に、伊波氏が自民、公明両党の推薦候補に3800票余の差で勝利したことが実績の評価を示しているといえよう。
参院補欠選挙の投票率は47・81%で、全県選挙としては初めて50%を割り過去最低を記録したが、宜野湾市長選挙は14年ぶりに60%を超える60・39%を記録した。
宜野湾市の置かれた状況が、有権者の関心の高さにつながった。それと同時に、両陣営の精力的な取り組みも投票率のアップにつながった。
自公推薦の外間伸儀氏の陣営も昨年11月の県知事選挙で勝利した仲井真弘多氏が宜野湾市でもリードした勢いに乗って保守陣営がまとまり、熱い選挙戦を展開、市政奪還を狙ったが及ばなかった。
2期目の伊波氏には、選挙戦で訴えた公約の実行力が問われる。着々と進みつつある電子自治体に向けたIT化の推進、西海岸・コンベンション地域開発のさらなる推進、企業誘致、田イモ畑の保全。これまでも訴えてきた基地被害の防止、危険性除去についても取り組みを強化し、一歩でも前進させたい。
普天間飛行場の返還に備えた跡地利用計画の推進も大きな課題だ。地権者、市民の積極的参加も得て、夢が膨らみ、宜野湾市全体の活性化にもつながる計画が求められている。
(4/24 9:46)
琉球新報 社説
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23236-storytopic-11.html
反戦地主の請求棄却 「処分は適法」
米軍嘉手納飛行場内の契約拒否地主の土地二筆について、米軍用地特別措置法(特措法)に基づき強制使用を認定したのは憲法違反として、共有地主154人が内閣総理大臣に使用認定取り消しを、127人が県収用委員会に使用裁決取り消しを求めた2つの訴訟の判決が24日午後、那覇地裁であった。
大野和明裁判長は「原告らが主張する沖縄の米軍基地形成の歴史的経過などを考慮しても本件使用認定に裁量の逸脱や乱用があるとまではいえない。本件各処分は適法」として、原告の請求をいずれも棄却した。
原告らは一筆の軍用地について共有で登記する一坪反戦地主会のメンバー。原告側によると、一坪反戦地主会が原告となった訴訟への判決は今回が初めて。
使用認定取り消し訴訟では、小泉純一郎首相=当時=が2002年11月8日、嘉手納飛行場内に原告らの共有地について強制使用を認定したことについて、原告は「平和主義をうたう憲法の前文や9条、財産権の不可侵を定めた29条などに違反し許されない」などと訴えていた。
また県収用委員会(玉城辰彦委員長)を相手にした訴訟では、原告は同土地に対する05年7月の使用裁決を取り消すよう求めていた。
(4/24) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23254-storytopic-1.html
県、事前調査に同意 ジュゴン配慮求め 普天間移設
米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)で那覇防衛施設局が県に海域使用の申請をしていた件で、県土木建築部の首里勇治部長は24日午後、施設局の高木健司建設企画課長を県庁に呼び、名護市辺野古周辺の調査に関する海底使用への同意書を交付した。辺野古沖の平島、長島で確認されているアジサシ類の繁殖やジュゴンへの影響低減へ向け、専門家の指導・助言を得て調査機器の設置場所や方法を検討することなど15項目の配慮要望事項も添付した。県の同意を受け施設局は25日から機器の設置作業を実施する。
県は同意書交付後、施設局の事前調査の地点数を公表。潮流など海象の調査機器が29カ所、サンゴ類調査39カ所、パッシブソナー(音波探知機)30カ所、ビデオカメラ14カ所の計112カ所に上ると明らかにした。反対派の妨害を想定し、具体的な調査位置は「公表すると(機器の)設置に支障がある」として公表しなかった。
県の「配慮事項」ではジュゴンについて(1)機器設置は海草を避ける(2)作業船の高速航行を避ける(3)電気ブイの光度や灯質を検討し、数を最小限にする―などと6点の配慮を要求した。平島、長島のアジサシ類については繁殖への影響回避を求めた。
首里部長によると、調査機器の設置作業の時間帯について、配慮事項では言及していないが、県と施設局との調整で日中に行われると確認した。
今回、県が同意した海域面積は3442平方メートル。施設局の申請は、調査地点112カ所の3925平方メートルだったが、483平方メートルについては名護市管理の部分。県によると、こちらも施設局は17日に市から同意を得た。2004年の従来移設案建設に伴うボーリング調査では3783平方メートルだった。
海域使用で県の同意を受け、防衛省首脳は24日、「住民に迷惑を掛けないよう配慮して調査を進めたい。(着手は)明日からだ」と述べ、25日に現場に機材を運び調査を進める意向を示した。
那覇防衛施設局は24日午前、県の海域使用同意を必要としない海底の目視確認などに着手している。
(4/25 9:32) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23258-storytopic-3.html