月別アーカイブ: 2008年3月

沖縄教科書問題判決に思う

 

 昨日(28日)の大阪地裁の判決は、重いものがありますね。

 現在の司法の深刻な反動化のもとで、当然のことが当然と認

定されないことがあまりにも多い状況下、今回のきわめて当然の判決が出されたのはなぜなのか。

 

 

 わたしは、裁判官の一定の勇気と何よりも沖縄県民の不屈のたたかいとそれを支持する本土のたたかいが背景にあったと思います。

そして、大江健三郎氏の『沖縄ノート』が持つ真実の力があった、と思います。

 

 わたしが、9月29日の県民大会に参加したとき、バスの中で

 大会の「うちわ」を持っている中学生がいました。その団扇には「真実」と書かれていました。大会での挨拶でも、合い言葉
は、「真実」でした。

 

 

 わたしは、恥知らずにも、即時控訴した原告たちの、歴史修正主義の執念は決して侮れないと思います。

 杞憂であることを心から望みますが、高裁判決は絶対に予断
を許しません。民衆の力をさらに強めないと、「そこのけそこ
のけ軍艦が通る」の、素晴らしい漁民を2人殺傷した、海上自
衛隊イージス艦と同じような反動的「力」が法廷を支配するこ
とは十分考えられるのです。私は、率直に言って現在の日本の
司法に絶望的な判断を持っているからです。

 

ともあれ、今回の大阪地裁の判決は、真実と民衆の勝利でした。共に喜び合い、前進して行きたいものです。

みなさんからのメッセージに

今日到着の振替用紙にこんなメッセージが添えられていました。

「米軍兵士の犯罪は基地がなくならない限り、どのような対策をとっても無理ということが日本政府にはわからないようです。みなさま方の運動こそが今最も必要なことなのだと思います。」

まったくその通りだと思います。

しかし、運動が弱小すぎては発展しません。

 

このようなメッセージをいただく度に、もっともっと多くの方に会員になっていただき運動を発展させなければと思います。

ハンセン共同使用、17日から陸自訓練  地位協定見直しで食い違い など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(3月11日、12日)

2008年3月11日(火) 朝刊 1面

金武町、米側に抗議へ/射撃場建設着工

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の建設工事が始まったことを受け、儀武剛町長、松田義政議長、レンジ3に近接する池原政文伊芸区長の三者は十日、同町役場で協議を開き、「負担増につながる」との見解で一致。射撃場建設に反対し、米側に抗議することを決めた。抗議の具体的な方法や日程などは、今後調整する。

 三者の協議に先立ち、沖縄防衛局の赤瀬正洋企画部長らが同町役場を訪れ、儀武町長に工事開始の連絡を米軍から受けたことを報告した。儀武町長は「誠に遺憾で、負担増につながり反対だと伝えた。反対の意思は変わらない。米側に強く抗議していく」と、射撃場建設に強く反対していく姿勢を見せた。

 伊芸区の池原区長は、レンジ4の都市型戦闘訓練施設による訓練や、同レンジ付近で最近爆発音を発生させる訓練や山火事が多発していることを挙げ、「これまでにない廃弾処理などの訓練がレンジ4付近で行われている可能性があり、訓練が過密化して米軍のやりたい放題になっている。レンジ4施設の移転も遅れ、問題がピークに達している」と、怒りをあらわにした。その上で「都市型訓練施設の時と同じやり方で、地元の意向を無視している。これ以上、負担を強いることは許されない」として、十一日にも同区行政委員会を開き、区や同委員会としての対応を協議する考えを示した。

 松田議長は「地元はずっと反対の意思を示している。米国や米軍に、怒りの意思を向けていく」と話し、今週開会する町議会三月定例会で全員協議会を開き、町議会としての対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111300_02.html

 

琉球新報 社説

新射撃場着工 地元の負担増は明らかだ

 地元の負担増に対し配慮のかけらもない。建設工事の強行は人々の不安をあおり、混乱を招くだけである。建設工事をただちに中止するよう強く求める。

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン内の海兵隊レンジ(射撃場)3付近にライフル専用射撃場を新設する工事を始める、と在日米軍が通知してきた。

 約600メートルの距離の所にはレンジ4の陸軍都市型戦闘訓練施設がある。地元はただでさえレンジ4での廃弾処理に伴う爆音被害に苦しめられ、山火事なども絶えない。射撃場の新設によって過度の負担を押し付けられることになるのは明らかだ。

 新設計画には地元金武町議会や伊芸区が猛反対し、昨年夏に抗議決議を可決している。そのことを知りながら、なぜ無視する形で着工するのか。その無神経ぶりが全く理解できない。

 しかも、建設地点は本島北部と中南部を結ぶ県民生活、産業活動の大動脈である沖縄自動車道からわずか500メートルだ。伊芸集落からは約1キロ。ライフル射撃の射程にすっぽり入る。これで脅威を感じない方がおかしい。「地元への配慮はないのか」(松田義政・同町議会議長)と憤るのは当然だ。

 防衛省の姿勢にも腑(ふ)に落ちない点がある。

 キャンプ・ハンセンでの訓練などをめぐる地元感情などの実情を熟知しているはずなのに、連絡は徹底されない。町と伊芸区に工事開始を伝えたのは、在日米軍から連絡が入った翌日だった。

 地元にとって安全にかかわる重大事だ。間を置かずに連絡を入れるのが筋ではないか。

 米軍に住民の安全、環境への影響を最小限にするよう求めたと防衛省は説明するが、これもおかしくはないか。安全面や環境の問題などを持ち出すのであれば、普通ならまず中止を求めるべきではないのか。

 米軍との連絡や交渉に際し、工事の着手を前提にするようなやり方では、到底県民を納得させることはできない。工事を取りやめるよう忠言するべきだ。

(3/11 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32071-storytopic-11.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

防衛相「安保議論も」地位協定見直しで

渉外知事会の要請に

 【東京】米兵による事件続発を受け、米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事や副会長の仲井真弘多知事らが十一日午前、高村正彦外相と石破茂防衛相と会談し、米軍基地に絡む事件・事故の解決に向け、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。松沢知事らによると、石破防衛相は「日米安全保障条約も含めて、もっと根源的なところから議論し直す必要があるのではないか」と述べ、見直しも含めて積極的に議論する必要性を指摘したという。

 地位協定の見直しについて、政府はこれまで一貫して否定的な立場を取っていた。防衛省幹部は石破氏の発言を「これまでの持論」としているが、見直し容認とも取れる閣僚の発言は波紋を広げそうだ。

 松沢知事によると、石破氏は「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、安保、地位協定の問題を、もう一度このままでいいのか議論したい」とも述べたという。

 要請では、容疑者の身柄引き渡しなどの刑事裁判権の見直しや、米軍の規律の保持などの地位協定改定に政府が着手するよう求めた。

 高村外相は、環境問題について「勉強不足なので、米軍が(外国と)結んでいる他の協定との比較や、日本国内で起きている事例でどういう不備があるかもう一度、調査研究する」と述べたという。しかし、容疑者の身柄移転など刑事裁判権については「米韓など外国との協定と比べると最も進んでいる。この件を理由に改定は極めて難しい」との以前からの考えを繰り返したという。

 要請後、仲井真知事は「沖縄でも県民大会を開く動きがあり、協定改定を求める強い意見がある。日本側へ基準を移さないと、時代と合わなくなっている」と見直しの必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_01.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

ハンセン 17日から陸自訓練

初の在沖米基地使用

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七、十八の二日間の日程で始まることが十一日、分かった。第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。陸自は訓練の詳細を十一日午後、正式に発表する。

 在沖米軍専用基地内の日米共同使用は初めて。ハンセンの共同使用では、小火器などを使用した射撃訓練や不発弾処理訓練も想定されているが、今回は比較的経度な戦闘訓練にとどまる見通し。

 共同使用をめぐっては、ハンセン周辺の三町村が昨年十一月に受け入れを表明。これを受けて防衛省は、再編交付金について上限額の10%分(二千万円)を〇七年度分として内定した。来年度に上限額を支給するため、月内の訓練開始を目指していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_02.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

「14年完成」を堅持/普天間代替

防衛相 遅れ補う方策検討

 【東京】石破茂防衛相は十一日午前の閣議後会見で、二〇〇九年七月末を目指していた米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の完了が、最大で約八カ月遅れる可能性があることについて、「一四年完成は何としても達成しなければならない」と述べ、スケジュールの遅れを補う方策を検討する考えを明らかにした。

 石破氏は、当初予定していた二月中の冬季調査が実施できなかったことに関し、「できるだけ早くアセス調査に着手したい。そういう作業を急ぎ、普天間の移設・返還が早期に行われるように努力する」と強調した。

 その上で「今回、冬季調査が実施できなかったという影響をどれだけ軽微なものにするか。あるいは工事実施に当たってどれくらいの工夫ができるかなど、いろいろ考えていかなければならない」と述べ、スケジュールの短縮を具体的に検討する必要性を指摘した。

 一方、現在実施している事前調査の結果をアセス調査に組み込むことについては、「法の趣旨を順守しているかどうか、かなり厳密な判断が必要だと思う。可能性としてあるかないかを含め、今は答えられる状況にない」と明言を避けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_03.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 1面

陸自、迫撃砲使用も想定/ハンセン共同使用17日から

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、陸自が将来的に迫撃砲の実弾射撃を想定し、米軍と調整していることが十一日、分かった。金武町によると、陸自は小火器(小銃、機関銃、拳銃)の使用については説明しているが、迫撃砲については知らされていないという。

 陸自は沖縄タイムス社の取材に対し、「現在米軍と調整中で、地元の理解を得た後、訓練が可能であれば実施したい」としている。

 迫撃砲は第一混成団の第一混成群部隊が装備しており、現在は九州での訓練で使用している。筒状の発射台からりゅう弾を発射させる火器で、キャンプ・ハンセンでは一九九七年、迫撃砲を使用した米軍の訓練で約百万平方メートルを消失する山火事が発生したこともある。

 使用場所は不明だが、騒音なども懸念され、地元の反発も予想される。金武町幹部は十一日夜、「小火器訓練については聞いているが、迫撃砲については初耳だ。情報を確認したい」と語った。

 陸自は十一日、キャンプ・ハンセンでの初の訓練を十七、十八の二日間、実施すると発表。初回は第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施し、空砲を含め、射撃を実施する予定はないという。

 共同使用をめぐっては、キャンプ・ハンセン周辺三町村が昨年、受け入れを表明。これを受け、防衛省は、再編交付金について、上限額の10%分(二千万円)を二〇〇七年度分として内定した。

 来年度に上限額を支給するためには、月内の訓練開始が条件とされたため、陸自などが訓練計画の策定を急いでいた。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_02.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 2面

「協定見直し」で食い違い/渉外知事会要請・石破発言

 【東京】石破茂防衛相は十一日、米兵暴行事件を受けて日米地位協定の見直しを求めた渉外知事会の要請に対し、地位協定を改定するためには、日米安全保障条約見直しを含めた議論が必要だとの認識を示した。要請した渉外知事会長の松沢成文神奈川県知事、副会長の仲井真弘多知事が明らかにしたが、防衛省はその後、豊田硬報道官が会見で「(石破氏は)見直しの方向性については述べていない」と発言の事実を否定した。

 松沢知事らによると、石破氏は防衛省での会談で「日米安保条約自体が片務的な条約で、それとセットとなっている地位協定もほとんどの裁量権が米軍側にある。安全保障条約を含めて地位協定の問題を根源から議論しないといけない」と指摘したという。

 さらに「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、もう一度このままでいいのか、議論したい」と述べたという。

 これらに対し豊田報道官は会談に同席したと説明した上で、安保条約に関する発言について「『片務的』ではなく、『非対照的』と説明した。義務は双方に発生しているが、その内容が同じではないという政府のオーソドックスな見解をそのまま述べたものだ」と指摘。

 また、「安保条約を含めた地位協定の見直しを議論しないといけないという指摘をした事実もない。政府として議論したいということも言っていない。ただ、『党内の議論が低調だ。いずれ党に戻ったときに十分な議論をしたい』と述べた」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月12日朝刊)

[地位協定見直し]

逆転国会で本格論議を


「半主権国家」のような


 米兵による暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しを求める動きが再び広がっている。

 渉外知事会の松沢成文会長(神奈川県知事)、仲井真弘多副会長(沖縄県知事)は、高村正彦外相、石破茂防衛相に会い、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。

 県は地位協定の見直し問題に重点的に取り組むため新年度から調査スタッフを強化するという。知事訪米を念頭に問題点を洗い直していく考えだ。

 二十三日に開かれる県民大会も、地位協定の見直しが要求の柱の一つになっている。

 地位協定のどこが問題なのか。何をどう変えればいいのか。

 駐留を認められた外国軍隊には特別な取り決めがない限り受け入れ国の法令は適用されない、というのが政府の解釈である。

 その結果、米軍基地が集中する沖縄では、しばしば日本の主権と駐留米軍に与えられた権利がぶつかり、摩擦を引き起こしてきた。沖縄で地位協定が問題になるのは、ほとんどの場合、この二つが擦れ合った時である。

 二〇〇四年八月に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は、その典型的な事例だ。大学構内に墜落したにもかかわらず、沖縄県警は、現場に立ち入ることさえできなかった。

 基地従業員の銃携帯問題や、基地外で日米共同パトロールを実施した場合の優先逮捕権などの問題もそうだ。基地外に住む米兵の住民登録もやはり、地位協定と国内法の摩擦問題としての性格を持っている。

 沖縄から見たとき、日本が「半主権国家」のように見えるのは、この種の問題の発生頻度があまりにも多い上に、駐留軍の権利の前で日本の主権がへこんでしまうというケースが少なくないからだ。

 この構図は本土からは見えにくい。

 一九九五年の米兵による暴行事件以降、日米両政府が地位協定の運用改善に努めてきたのは事実である。だが、そうであるにもかかわらず、地位協定をめぐる問題が次から次に起きるのはなぜなのか。そのことを根本から問い直さなければならない。


限界がある運用の改善


 九五年の暴行事件を受けて日米両政府は、米兵の身柄の引き渡しについて、殺人・強姦などの「凶悪な犯罪」の場合、米国が「好意的考慮を払う」ことに合意。「その他の特定の場合」についても、日本側の要請に「十分に考慮する」との運用改善が図られた。

 だが、連続放火事件やひき逃げ事件、婦女暴行未遂事件などで米軍は被疑者の身柄の引き渡しを拒否、運用改善の限界が明らかになった。

 考慮の対象となる犯罪の種類が限定されている上に、拘禁移転の判断が最終的に米軍にゆだねられている構図は今も変わらない。

 日米合同委員会の合意事項は、特別な理由がない限り、速やかに、すべて公開すべきであるが、これもまだ実現していない。

 地位協定の運用をめぐって日米合同委員会でどのような細部の取り決めがなされているのか、基地を抱える自治体ですら分からないのが現状だ。

 環境問題に至っては、地位協定にその条文すら盛り込まれていない。「国内法の基準と米国法の基準のうち、より厳しい基準を選択するという考え方に基づいて厳しい環境管理を行っている」というのが政府の見解だ。そうであるならばこの際、環境問題への関心の高まりを受けて明文規定を設けるべきである。


小さなかごに多くの卵


 かつて米国防総省高官が沖縄の基地の現状を「小さなかごにあまりにも多くの卵を詰め込みすぎている」と表現したことがある。

 地位協定がたえず問題として浮上するのは、第一に、米軍基地が集中し過ぎるあまり事件・事故や環境問題などの発生が絶えないからであり、第二に、地位協定の内容自体が現状にそぐわないからである。

 基地の整理・縮小と地位協定の抜本的な見直しは、問題解決のための車の両輪といえる。

 地位協定は一度も改定されたことがない。運用改善によって対応するという日米両政府のかたくなな姿勢を突き崩すのは、正直、容易なことではないが、現状を放置すれば、過大な負担を担ってきた自治体や住民の不信感を高めるだけだろう。

 逆転国会での本格的な論議を期待したい。今こそ、その好機である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080312.html#no_1

 

琉球新報 社説

地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を

 米軍基地を抱える都道県でつくる渉外知事会が11日、外務省や防衛省に、被疑者の迅速な身柄引き渡しや環境問題の取り扱いを求めて「地位協定見直し」を要請した。

 対応した高村正彦外相は、環境問題では「他国の地位協定と比較し、不備があるか研究してみたい」と踏み込んでいる。

 だが、被疑者の身柄引き渡し問題では、北大西洋条約機構(NATO)や韓国などに比べ、「日米地位協定は最も進んでいる」との認識を示し、「この件を理由に改定するのは極めて難しい」と従来通りの見解に終始している。

 環境問題では、独米地位協定にあたるボン補足協定で、基地返還の際の原状回復義務と環境浄化責任を米軍に義務付けている。

 日本は、基地返還に当たって米軍は原状回復義務を負わないため、汚染除去は日本側の負担である。

 米韓地位協定では、米軍基地内汚染が起きた際には、自治体への迅速な通報を義務付け、自治体の基地内立ち入り、共同調査が実施できる。返還時に汚染が見つかれば、米軍が浄化義務を負う。

 日本、とりわけ沖縄では、通報の遅れが問題となり、さらに自治体の立ち入り調査は、米軍の管理権で阻まれている。

 イタリアでは、すべての米軍基地はイタリアの司令官の下に置かれ、米軍側は重要な行動をすべて事前に通告し、作戦行動や演習、軍事物資や兵員の輸送、いかなる事件・事故も発生をイタリア側に通告する定めになっている。

 米軍の行動が国民の生命・健康に危険が及ぶとみなせる場合は、イタリア司令官に米軍の行動を中止させる権限を与えているという。

 米韓地位協定では、米兵事件を受け1991年と2001年の2度改定が行われ、ボン補足協定も過去3度改定されている。

 要請の中で、渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは、米兵事件が相次ぐ背景に「地位協定で守られている」との米兵らの考え方があるのではないかと指摘し、「これを変えないと地域住民との摩擦、圧力、事件、事故は根絶できない」と強調している。

 なぜ日本政府は「改定」に消極的なのか。時代とともに、環境対策など新たな基地使用条件や規制の必要性も指摘されているが、政府は改定を拒み続けてきた。

 今回の渉外知事会の要請に石破茂防衛相は「(日米両政府が)パートナーシップを求めるなら根本から議論しないといけない」と答え、地位協定に限らず、日米安保の見直しも含めた論議の必要性にまで踏み込んだとの話もある。

 「占領の残滓(ざんし)」「不平等協定」といわれる協定を、基地被害の撲滅につながる国民本位の協定の改定につなげたい。

(3/12 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32100-storytopic-11.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

F16緊急着陸/嘉手納即応訓練

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の有事を想定した即応訓練は十二日午前、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機が飛行訓練を実施した。このうち、F16一機が離陸後も前輪を収納するハッチが閉まらず、緊急着陸した。嘉手納町屋良では、午前七時五十七分に一〇一・七デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)の騒音を計測した。

 緊急着陸した機体は午前八時ごろに離陸。本来なら離陸直後に閉まるはずのハッチが開いたままの状態で飛行した。約四十分後に着陸し、機体の点検を受ける様子が確認された。同基地報道部は「トラブルがあったという報告は受けていない」としている。

 嘉手納町が屋良地区に設置している騒音測定器は、午後一時までに多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音が七十四回あった。最高値は、F16が同基地北側滑走路を使用して離陸した時間に計測された。

 飛行したF15とF16は訓練用の模擬ミサイルを装着している機体もあった。また、同町屋良の「道の駅かでな」からはサイレン音や拡声器放送、白煙を伴う訓練も確認された。

 今回の即応訓練は十四日まで。航空機の運用態勢など航空団の総合的な即応能力について、太平洋空軍の監査を受ける。

 F16は即応訓練終了後も、同基地にとどまり、同基地所属のF15戦闘機と空対空の訓練などを行う予定。同基地報道部は「実弾は使用しない」としている。


     ◇     ◇     ◇     

「F16飛来 負担軽減に程遠い」/三連協、米軍へ抗議


 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に参加するため、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機が飛来したことに対し、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は、十二日午前、訓練の中止を求め、嘉手納基地司令官などに文書で抗議した。

 抗議文では、「米軍再編に掲げられた沖縄の基地負担の軽減とは程遠い」と非難。SACO合意に基づき本来は伊江島補助飛行場で行われるはずのパラシュート降下訓練が昨年、同基地で二回実施されたほか、未明離陸による騒音被害で、騒音防止協定も順守されていないと指摘。今回の即応訓練で「明らかに騒音が激化する。一方的な基地機能強化だ」と批判している。抗議文は外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも送付した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_01.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

自民、役員会で再検討/県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体が十二日、県議会を訪れ、仲里利信議長に実行委員長就任を、各会派に大会への参加をあらためて要請した。自民党県連の新垣哲司幹事長は要請に対し、「あすの役員会で再検討したい」と述べた。仲里議長も、実行委員長就任に「議会の合意が得られれば」と積極的な姿勢を示した。

 自民党県連の新垣幹事長は党として十三日に役員会を開き、大会参加について議員総会で再協議する方向を示した。要請に訪れた県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長に答えた。

 新垣幹事長は「当初は暴行事件に抗議する大会だったので、被害者感情を考慮し参加を見送った。今は大会の趣旨が変わったと認識している」と理解を示した。その上で「要請がある以上、できるだけ早急に協議したい」と述べた。

 玉寄会長は要請で、大会の趣旨が日米地位協定の抜本改定や米軍基地から派生する人権の問題を訴えることであることに伝え、県議会の抗議決議の範囲内であることを強調した。自民党側が再協議の方針を示したことに「大変ありがたい言葉をもらった」と手応えを感じた様子だった。

 自民党県連との面会に先立ち、玉寄会長、県婦人連合会の小渡ハル子会長など三人が県議会に仲里議長を訪ね、実行委員長への就任を要請。仲里議長は要請後、記者団に「自民党としては不参加を決めているので、決定に従う。ただ、今後の議論の推移を見守り(各会派の)皆さんが合意すれば(実行委員長を)やるつもりだ」と述べた。

 自民党内部には「被害者感情への配慮」や「野党の政治的利用への警戒心」から県民大会開催に消極的な意見が強く、七日の議員総会では組織的な参加をしないことをいったん、決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_02.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 5面

戦争の記憶 風化させぬ/島守の会がDVD制作

 「戦争の実態を、県民や後の世代に伝えたい」―。沖縄戦で亡くなった県職員らを祭る、糸満市の「島守の塔」建立までの経緯を、映像や記録文、約十人の戦争体験者の証言でつづるDVDビデオの制作が、当時の県職員やその遺族などで構成する「島守の会」(新垣進松会長)によって進められている。四月上旬の完成を目指し、作業は佳境を迎えている。(又吉嘉例)

 「島守の塔」は、戦前最後の島田叡県知事や荒井退造警察部長をはじめ、戦争で殉職した県職員四百六十八人の慰霊のため、戦後、同会が県民に寄付を募り、一九五一年に建立された。

 慰霊塔はその後も同会によって維持、管理されていたが、大城盛昌副会長は「当時の生き残りは皆九十歳前後だし、約二百人の会員中、実際に管理に携わっている人は二十人ほど」と、後継者不足を懸念。「会の活動を県民に広く知らせたい」と、昨年十一月、塔についての映像記録を残す方針が決まった。

 八日、浦添市内の映像制作会社で、DVD「島守の塔」の試写会があり、集まった会員ら八人が完成直前の作品を鑑賞した。見終わった参加者からは「ウチナーグチには訳を入れたほうがいい」「戦後の島守の会の活動に、もっと焦点を当ててほしい」などの意見が出た。

 編集を請け負う仲松昌次ディレクターは「生存者や遺族の高齢化で、ひめゆり部隊や鉄血勤皇隊など、どこも戦争体験の継承問題を抱えている」と説明。「映像だと若者の感性に訴えやすいのではないか」と話した。

 戦前、戦後と歴代四人の知事の側近だった同会の板良敷朝基さん(90)は「何十年もたち、塔の意義も影が薄くなっている。一般の県民や現在の県職員が塔に対する理解を深め、県自身の問題としてとらえてほしい」と、「戦争の記憶の風化」に警鐘を鳴らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_03.html

知事、県民大会参加へ態度保留  「集団自決」修正、検定意見違法と提訴 など  沖縄タイムス関連記事(3月8日、9日、10日)

2008年3月8日(土) 朝刊 1・27面

来月にも再発防止策/米軍タスクフォース

 米兵暴行事件を受け、在日米軍の「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース」が、四月中をめどに再発防止策を策定する方針を固めたことが七日、分かった。外務省沖縄事務所で開かれた米軍関連の事件・事故防止について話し合うワーキングチーム第十六回会合で、米軍側が報告した。非公開会合の後、議長を務めた倉光秀彰副所長が記者説明で明らかにした。

 逮捕権の優先問題については、出席した日米地位協定室の伊澤修室長が「日米合同委員会で調整することがあり得る」と述べ、日米地位協定の運用改善で対応できるとの認識を示したという。

 倉光副所長によると、米軍は主に、先月設置されたタスクフォースの概要について説明した上で現行の教育プログラムなどを紹介した。タスクフォースは、横田基地司令部のスタックポール参謀長をトップに約十五人の軍人らで構成。国内の各米軍基地を巡回し、性犯罪防止に絞った措置を策定するという。

 倉光副所長は「ワーキングチームで出た地元の意見を四軍調整官事務所がタスクフォースに伝える。米軍は四―六週間のプロセスを踏むというので(再発防止策の公表は)少なくても一カ月以上先になる」と述べた。タスクフォースは来週、沖縄に入る予定。米軍から詳細な活動日程や方法の説明はなかったという。

 日米共同パトロール、防犯カメラ設置、基地外居住などでも議論したというが、倉光副所長は「自由闊達な意見交換のため、詳細は公開しないことを全会一致で了承した」とし、詳しい内容は明らかにしなかった。


     ◇     ◇     ◇     

内容非公開 批判の声


 米兵暴行事件後、初のワーキングチーム会合。米軍犯罪防止を日米が現地レベルで協議する場だけに、外務省沖縄事務所には七日、報道陣が多数詰め掛けた。会合は非公開で行われ、その後の記者説明でも外務省は「詳細を公表しないと(出席者が)合意した」とし、地元側の意見さえ明らかにしなかった。「要望がどう反映されるか分からない」「県民に説明するのは当然だ」。会合出席者からは同沖縄事務所の対応に疑問の声も上がった。

 記者説明は、議長で同事務所の倉光秀彰副所長が行った。倉光副所長は、米軍の教育強化や防犯カメラ設置など議題となった項目を列挙。詳細なやりとりは「自由に意見交換するため公表しないことを全会一致で決めた」と繰り返した。

 その上で、近く来沖する米軍の性犯罪防止タスクフォース(調査特別委員会)に伝えるための率直な意見交換ができた、と意義を強調した。ただ調査委の構成や具体的活動については詳細が分からないと述べ「米側に聞いたほうがいいのでは」とも。地元の意見集約も米軍の責任で行うとした。

 報道陣からは「公表しない理由が分からない」「米軍がどう意見集約し、伝達するか検証できない」との批判も出た。

 出席した自治体幹部は「会合の最後で、発表の仕方や文言をめぐり意見が割れたので、議長側に一任した。意見を公表しないと合意した覚えはない。県民に説明するのは当然だ」と不快感をあらわに。別の出席者も「米軍側から、犯罪はアルコール絡みが多く、提供しているのは沖縄側、との発言もあった。意見が正しく伝わるか分からない」と不信感を示した。

 ある自治体は基地外居住の米軍人の数だけでなく、詳しい情報提供を求めたが、回答はなかったという。「事前に進行方法の説明もなく成果は疑問。意見がどれだけ理解されたか分からず壁を感じた」と印象を話した。

 一方で「国と米軍、県、市町村が一堂に集まって事件を防ぐため互いに意見を出し合うのは意義がある」と評価の声もあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_01.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2・27面

知事、参加へ態度保留/県民大会 自民不参加

 県議会最大会派の自民が、米兵による事件続発に抗議する県民大会への不参加を決めたことを受け、仲井真弘多知事は七日、「もう少し考えたい」と述べ、大会参加についての態度を保留した。しかし、超党派の大会にならないことがほぼ確実になり、県首脳は「知事の参加は難しくなった」との見通しを示した。

 仲井真知事は「米兵による事件・事故は相次いでおり、再発防止を含め、アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と大会開催の意義については評価している。

 一方で、「ハムレットの心境だ。与党が参加しないとなると、ちょっと(厳しい)。まだ時間はある。もう少し考えたい」と話した。

 県首脳の一人は「政治的価値観を超え、事件への抗議や再発防止、地位協定見直しなどをテーマに、与野党が一致することを期待していた」と説明。

 知事の出席については「自民が参加しない以上、県民全体の代表としての参加は難しい」との考えを示した。


     ◇     ◇     ◇     

被害者への配慮強調/背景に政治的思惑も


 米兵による事件続発に抗議する県民大会について、県議会最大会派の自民は七日、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」などを理由に、参加見送りを決めた。自民の不参加により、「広く各界各層の声を聞く必要がある」としていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。八日の実行委員会立ち上げを前に、超党派の県民大会が実現する可能性はほぼなくなった。

 議員総会後、新垣哲司幹事長は「『そっとしてほしい』という被害者や家族の心情を尊重し、県民大会で大々的に取り上げることは避けるべきだ」として、不参加は全会一致で決めたことだと説明した。

 二月二十八日の議員総会でも、日米安保体制や米軍再編に対する与野党の基本姿勢の違い、野党主導への反発、被害者への配慮―など否定的意見が大勢を占めていた。

 「県民大会は政府与党への批判を強める結果になり、野党が利するだけ」という声もあり、県議選を前に野党に政治利用されるのは避けたいという政治的思惑があった。被害者の告訴取り下げや米軍基地関係特別委員会の審議を受け、七日の議員総会ではあらためて「参加見送り」を確認した形だ。

 「抗議決議を全会一致で可決し、県議会として要請行動をした。党として事件・事故には厳重に抗議し、再発防止の徹底を求めていく」との考えを強調した新垣幹事長は今後、県民大会実行委の要請があったとしても「協議は尽くされた。決定は変わらない」とする。

 しかし、「被害者の感情に対する考慮も理解できるが、暴行事件後も米兵による事件・事故は相次いでいる。組織的参加の見送りは複雑な心境だ」と漏らす県議がいることも確かだ。

 与党最大会派である自民には、県民大会に代わる実効性のある対応策を示す政治的責任が問われてくる。(政経部・与那原良彦)


実行委「住民が県民党」


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決めた。実行委員会を構成する各団体は冷静に受け止めつつ、「引き下がらず、事件に怒りをぶつける」と、大会に向け気を引き締めた。八日には実行委を発足させ、引き続き幅広い結集を呼び掛ける。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「自民が不参加なら不参加で仕方ない。賛同する住民が県民党、無党派でやるだけ。引き下がったりしない」と淡々と受け止めた。

 「訴える内容は、県議会決議の範囲内。二度と人権を踏みにじらせない、と抗議するのは、一部の政党の利益にはならない。被害者の気持ちに配慮するのもみんな同じだ」。県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、疑問を列挙した。県高校PTA連合会の西銘生弘会長は、「自分たちのシマは自分たちで守らなければ。自民党の議員にも、一県民として参加してほしい」と期待した。

 基地関係の仕事で生計を立てる家庭への配慮から、組織参加を見送った県PTA連合会。諸見里宏美会長は、「与党も野党も、もっと歩み寄ってほしかった。政治家の責任として、自分たちの立場ではなく被害者を救う方策を見いだして」と求めた。


「党超え怒りを」野党が強く批判


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決定した。野党サイドは「被害者の感情を口実にしている」と批判の声を強め、「超党派で事件の怒りを表し、綱紀粛正と再発防止策の徹底を日米両政府に突きつけるべきだ」と訴える。一方、与党の公明県民会議は「慎重に検討している」と現時点では態度を保留した。

 米軍基地関係特別委員会委員の新川秀清氏(護憲ネット)は「大変残念だ」とし、「被害者の感情を尊重することは大前提で、事件への抗議とは別問題。再発防止のために県民ぐるみで立ち上がるべきだ」と強調した。

 喜納昌春氏(社大・結連合)は「被害者の苦渋の思いを代弁し、事件の卑劣さを訴えるべきだ」と主張。「仲井真弘多知事の姿勢にも影響が及ぶ」と懸念を表明した。

 二十三日にある大会前の軍特委開催も見送られる公算だが、嘉陽宗義氏(共産)は「被害者の感情を不参加の口実にしている。軍特委に付託された陳情をうやむやにさせない。野党で一致して開催を求める」と述べた。

 當間盛夫氏(維新の会)は「党としても参加を決め、県民の心を一つにして事件の再発に向け取り組むとしている」と参加を呼び掛けた。

 一方、与党・公明県民会議の糸洲朝則代表は「各市町村議員や幹事らに地域の声を聞くように指示した。慎重に対応を決めたい」と述べるにとどまった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_04.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 27面

「集団自決」修正 検定意見違法と提訴/愛媛県の市民団体

 沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定で、日本軍の関与を示す記述を削除、修正させた検定意見は文部科学省の自作自演で違法だとして、愛媛県の市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら三十三都道府県などの百五十一人が七日、国などに検定の無効確認や取り消しなどを求め、松山地裁に提訴した。

 原告団によると、集団自決の検定意見をめぐる訴訟は全国で初めて。

 訴状によると、二○○八年から使用される高校歴史教科書の検定は、文科省が示した調査意見書を密室の検定審議会で追認させ、それを検定審の答申に基づく検定意見だという虚偽の説明をして出版社に修正・訂正を求めたもので、文科省による自作自演の違法な処分だとしている。

 原告の一人、愛媛県西条市の奥村悦夫さん(55)は提訴後の記者会見で「(審議会に)関与していないという従来の文科省の説明がうそだと公判で明らかにしたい」と述べた。

 文科省は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_05.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

泡瀬埋め立て/「海草生育場」を検討

 中城湾港泡瀬地区の埋め立てに伴う環境保護策を検討する環境保全・創造検討委員会(委員長・小浜哲名桜大大学院教授)が七日、那覇市内で開かれた。沖縄総合事務局などは二〇〇八年度の行動計画として、移植によるクビレミドロなど「海草生育場の創造」実施に向けて検討に入ることなどを提案し、了承された。

 ただ、委員からは「海草だけを保護の対象とするのは間違っている」など、表現に強い異論が出された。また、四カ所示された生育場の候補地について、クビレミドロ以外の海草がなくなる恐れなど海洋環境全体を保護する視点の必要性が指摘され、具体的な対応については同委の各専門部会で引き続き検討することになった。

 行動計画ではこのほか、比屋根湿地前のトカゲハゼ生息地で、生息しやすくするために底部を掘り返して軟らかくする対策を〇八年度以降実施することや、総合事務局が行っていた泡瀬周辺での地元意見吸い上げなどを沖縄市に任せることも了承された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_06.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

軍港受け入れで事業実施に意欲/浦添市長

 【浦添】儀間光男浦添市長は、七日の市議会三月定例会で、那覇軍港受け入れに伴う交付金の減額により凍結している四事業について、「軍港受け入れで三十三件・七十五億円余の事業を行い、多大な成果を上げている。ここで本市の振興策を中断するわけにはいかない」と、予算確保に強い意欲を示した。石川武夫氏(無所属)の質問に答えた。

 凍結されているのは(1)宮城児童センター建設(2)仲西中校区保健福祉センター建設(3)仲間地区街なみ環境整備事業(市道整備)(4)市てだこ小ホール備品購入。

 儀間市長は、政府から四事業の実施手法で積極的提案を受けたことを明らかにし、「現在、市と国の事務方で検討している。なるべく早い時期に四事業が再び予算計上できるよう最大限努力したい」と述べた。

 在日米軍再編に伴う米軍再編交付金で、浦添市には約三千七百万円の交付が決定している。だが、同市は軍港受け入れに伴い、SACO交付金約三億六千万円と同額の振興策を国に求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_07.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

米兵事件 県民大会実行委、発足

あす県議会に協力要請

 米兵による事件続発に抗議する県民大会の実行委員会結成総会が八日、那覇市の八汐荘で開かれ、市民団体や労組、教育関係など約六十団体の代表ら百人が出席、正式発足した。大会名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とし、二十三日午後二時から北谷公園野球場前広場で開催することを決定。すでに参加を呼び掛けている二百八十団体に加え、今後さらに各種団体、県議会の全議員などへ賛同を求め、超党派で取り組む方針を確認した。

 大会スローガンは(1)人権(を守る)(2)実効性ある米軍の綱紀粛正と教育の徹底(3)日米地位協定の抜本改正(4)目に見える基地の整理・縮小―とした。文言は事務局で調整する。

 実行委員長は、引き続き仲里利信県議会議長へ就任を要請し、大会規模は第一段階として一万人以上、最終的に数万人規模を目指す。

 また実行委として、「米兵による事件・事故に抗議し、基地の整理・縮小を求めることは党派を超えた、県民の一致点」とする陳情を承認。

 代表が十日に県議会議長と議会各会派を訪ね、全議員の大会参加と県民への呼び掛けに協力するよう要請する。

 呼び掛け団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「沖縄は生まれ育った場所。大事にしたい。誇りにしたい。米兵による犯罪への怒りを、『県民党』として一緒に日米にぶつけよう」とあいさつ。「抗議の声を上げないと、人権に対する安定した土壌を失う。互いの力を合わせて前進したい」と決意を述べた。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「戦後六十年余、米軍による事件・事故で県民の生活は脅かされてきた。もう我慢できない」と訴え、ガンバロー三唱で大会の成功を誓った。

 質疑応答では、会場から「県議会も全市町村議会も抗議決議をした。議員は決議に責任を持つべきだ」「圧倒的な数で、米軍の事件を絶対に許さない姿勢を示すべきだ」などの意見があった。

 実行委発足とともに、県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高等学校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会の呼び掛け六団体は実行委幹事団体に移行した。


     ◇     ◇     ◇     

超党派へ思い一つ

 県民大会に向けた実行委員会が八日、船出した。大会規模の設定だけでも異論が出る状況だが大会名、日時、会場が決まり具体的な動きが始まる。短い準備期間、不参加の表明もある逆風下で「超党派・県民党で、何としても大会を成功させたい」強い思いが参加者をつないでいる。

 「スローガンに基地撤去も含めよう」「一万人規模と言わず三万人、五万人ともっと大きくできないか」「呼び掛け団体の代表から実行委員長になってほしい」。会場からは、準備された実施要綱案にさまざまな意見が出た。発言者が変わっても同じ質問が上がる。

 そのたびに、呼び掛け六団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が説明に立った。「県議会の決議の範囲で、全県民が参加できる形にしたい」「できるだけ多くの人の参加を促し最大規模の大会にする」「一万人はまだ一歩。各団体が互いの力を出し合いながら大会を前へ進めましょう」「県議会への要請はこれからも行っていく」。時にゆっくりと言い聞かせるように、時に語気を強めながら説明する。「そうだ」フロアにも、最大公約数を求める空気が広がっていった。

 最後に、参加者から決意表明があり、「声を出せない被害者の代わりに、私たちが声を出さねばならない」と声を上ずらせた人や「戦後六十数年たってもこんな終戦直後のような状況を変えよう。多数の参加で成功させよう」と力を込める人など次々とマイクを握った。

 大会実現に奔走する県婦人連合会の小渡ハル子会長は、大きくうなずきながら参加者の意見を聞いていた。総会後、目を潤ませ「これだけの団体、人が集まってくれて、心から感謝している」。事件直後から抗議や要請を繰り返す一方、被害者を傷つける報道や言動、政治の動きに眠れない日が続いたという。「これで大きく前進した。後はもう、頑張るだけ」と話し、超党派での県民結集へ向け表情を引き締めた。

 玉寄会長は「この熱気を持って県議会各派に要請してくる。私たち呼び掛け六団体は、どの党にも属さない超党派そのもの。各議員も意見書を決議したのだから、絵に描いたもちに終わらないよう実効性を持たせてほしい」と決意を新たにした。


米兵事件続発に県女団連が抗議

集会で決議


 「3・8国際女性デー」の八日、県婦人連合会など三十二団体が加盟する県女性団体連絡協議会(安里千恵子会長)は、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で集会を開き、米兵による暴行事件に関する抗議要請や特別決議、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める要請など、計十二の要請文案と決議案を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_01.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

小銃射撃場 建設を開始/ハンセン・レンジ3

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の新しい小銃(ライフル)用射撃場の建設が計画されている問題で、米軍が六日午後、防衛省に対し、工事に着手したと通知していたことが八日、分かった。金武町の儀武剛町長は「負担増につながる」と批判。「レンジ3」に近い同町伊芸区や、同町議会も計画の即時中止を求める抗議・要請決議を全会一致で可決しており、地元は反発の姿勢を強めている。

 沖縄自動車道からの距離は約五百メートルで最も近い集落の伊芸区から約一キロの場所に建設される。射撃場から東に数キロ離れたレンジ16にはレンジ4の都市型戦闘訓練施設を移設する予定で、ハンセン内に相次いでグリーンベレー専用施設が整備されることになる。

 新射撃場は兵士に射撃の資格を与えるための訓練施設。高さ約十四メートルの三階建てで、二、三階にそれぞれ十の射撃スポットを設置。ターゲットは百―千二百メートルの範囲内で対応可能で、遠距離対象に用いられる。計画が浮上した昨年夏当初は、二月に着工し、二〇〇九年七月ごろ完成する見通しとしていた。建設費は米軍予算で七百二十万ドルと見込まれている。

 在日米軍司令部は建設業者を選定し、昨年十月二日、防衛省など日本側に通知。同省は米側に「自然環境や住民の生活環境に影響が及ばないように注意し、安全に工事が行われるよう」要望しているという。(吉田伸)


     ◇     ◇     ◇     

「負担増すばかり」

 【金武】「住民への負担はますます、増えるばかりだ」。金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に計画されている、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の工事が始まったことを受け、レンジ3に近接する同町伊芸区の住民や町議らからは八日、怒りの声が上がった。町や議会、区は週明けにも対応を協議する考えで、相次ぐ負担の増加に地元の反発が広がっている。

 伊芸区に近接するレンジ4の都市型戦闘訓練施設では、現在も訓練が続いている。同区の池原政文区長は「レンジ4による被害や廃弾処理の爆音被害や山火事もある中、これ以上負担が増えることは許されない。週明けにも、行政委員を集めて対応を協議したい」と、憤った。

 同区のある男性(69)は「住宅の窓が揺れるほどの爆発音や訓練による山火事など、住民は今でも基地被害に苦しめられている。政府や米軍は米軍再編で負担を軽減するというが、陸上自衛隊の共同使用など、町民や区民にとっては負担が増えているようにしか感じられない」と、怒りをにじませた。

 金武町議会の松田義政議長は「再編による同訓練場の海兵隊員の削減もはっきりせず、レンジ4施設の移転も遅れる中、再編外で負担が増すのはおかしい。政府や米軍は、地元に配慮するべきだ」と、地元の反対を無視して作業が進められたことに不快感を示した。松田議長は、来週開会する三月定例会で、全員協議会を開き今後の対応を協議する考えを示した。

 同町の伊藝達博副町長は、詳細は聞いていないとした上で、「町と議会、区の三者で話し合い、今後の対応を協議したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_02.html

 

2008年3月10日(月) 夕刊 1面

県議会参加を陳情/米兵事件県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体は十日午後、県議会議長や議会各派に大会参加を呼び掛ける陳情に県議会を訪れた。幹事団体六団体のうち、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長と県婦人連合会の小渡ハル子会長、県老人クラブ連合会の代表が、八日の実行委員会結成総会で承認された、県議会全会派に参加を呼び掛ける文書を手渡した。また、不在だった仲里利信県議会議長にあてて、大会実行委員長就任を要請する文書を議会事務局に託した。

 要請文は「基地あるが故に起こる米兵の事件・事故により、県民は生活と人権が脅かされ続けている」「全県民が抗議の意志を示し、日米両政府に日米地位協定の抜本改正と基地の整理・縮小を求める」と訴え「県議会全会派の議員が参加し、さらに全県民に対し県民大会への参加を呼び掛けること」を求めている。

 自民の会派会議室で対応に当たった外間盛善県議は「この前の自民議員総会では自由参加となったようだが、多くの方が参加していただければと思う」と話した。

 小渡会長は「各会派とも感触は良い」と手応えを感じた様子で、玉寄会長は「党派色を出すのではなく、県民として沖縄を大事にしてほしい。粘り強く参加を呼び掛けていく」と訴えた。県民大会は、二十三日午後二時から北谷町北谷公園野球場前広場で開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803101700_01.html

米兵暴行事件・県民大会 自民党、不参加を決定 など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(3月6日、7日)

2008年3月6日(木) 朝刊 1面

国民新党、地位協定改定案/野党3党、共同提案へ

 【東京】国民新党(綿貫民輔代表)は五日、米兵暴行事件を受けて民主党と共同で作成した「日米地位協定改定案」を了承した。(1)米軍関係者への外国人登録義務付け(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」(3)環境保全に関する規定を新設し、厳格な環境基準を採用―などが柱。民主党も早ければ週内に了承する見通し。両党は来週中に社民党とも調整し、三党で政府に共同提案する方針だ。

 国民新党と衆院で連立会派を組む政党「そうぞう」代表の下地幹郎衆院議員を中心に作成し、四日に民主党との事務局レベルで合意していた。

 案は、米軍関係の事件・事故でこれまで指摘された地位協定上の問題点を踏まえ、全面的に見直す内容となっている。

 二〇〇四年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故で県警が捜査できなかった事例を踏まえ、基地外での米軍の捜査は「日本側当局の第一義的な統制の下に行われる」とした。

 基地返還に伴い問題となる環境汚染についても、日本政府がこれまで負っていた原状回復義務を米国に担わせることも明記した。

 下地氏は、同案について「これまでの米軍関係者による事件・事故から得られた『教訓』をすべて網羅した。これまでの矛盾や、県民の不安を解消するためにも、見直しは不可欠だ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_03.html

 

2008年3月6日(木) 朝刊 25面

超党派結集 方針堅持/県民大会 8日に実行委

 米兵による事件続発を受け、二十三日に抗議の県民大会開催を目指す実行委員会準備会は五日、幹事団体による会議を開き、引き続き超党派で取り組む方針などを確認した。八日午後二時に実行委員会結成総会を開き、開催に向けて本格的な行動を始める。

 大会の開催日時は二十三日午後二時。会場は、一部の幹事団体から、那覇市の県庁前県民広場とする案も出たため、これまで予定していた北谷町の北谷公園野球場前広場を軸に調整を続けることにした。

 八日に立ち上げる県民大会実行委員会は、県内二百五十七団体(うち八十六団体は女性団体)に参加を呼び掛ける。事務局を県婦人連合会に置き、県高校PTA連合会の西銘生弘会長を事務局長に据える。実行委員長には、引き続き仲里利信県議会議長に就任を要請することも決めた。

 幹事団体からは、幹事団体が超党派での県民大会開催を求めた県議会への陳情を、米軍基地関係特別委員会が継続審議としたことに、疑問の声が上がった。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「在沖米軍基地の兵士による事件続発は、県民全体の問題だ。こうした状況を放置し続ける日米両政府が、『沖縄の声』に謙虚に耳を傾けるよう県民が一つにならなければならない」と訴え、大会への参加を決めていない自民党などに働きかけを強める方針を示した。


米軍側、捜査を継続


 在沖米海兵隊報道部は五日、米兵暴行事件で逮捕され、二月二十九日に不起訴処分で釈放されたキャンプ・コートニー所属のタイロン・ハドナット二等軍曹について「捜査を継続している」と発表した。沖縄タイムスの質問に答えた。

 同報道部は「日本の当局は起訴を断念したが、隊員は統一軍事裁判法違反の罪で訴追される可能性がある」と捜査の理由を説明したが、「今後軍法会議に持ち込めるかどうか推測するにはまだ早い」と述べた。

 ハドナット二等軍曹の身柄は釈放された二十九日に米海兵隊に引き継がれ、拘禁されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_04.html

 

2008年3月6日(木) 朝刊 2面

陸自訓練17日の週/ハンセン共同使用

 米軍キャンプ・ハンセンで、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)が十七日の週に訓練を始めることが五日、複数の関係者の話で分かった。沖縄の米軍施設で陸自部隊が訓練するのは初めてとなる。在日米軍再編の中で、日米両政府がキャンプ・ハンセンや嘉手納基地の共同使用に合意していた。

 陸自が近く、米軍と訓練内容などについて最終調整する見通し。嘉手納基地では米空軍と航空自衛隊の共同訓練が行われる予定だが、開始時期はまだ決まっていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_05.html

 

2008年3月7日(金) 朝刊 2面

地位協定の調査強化へ/見直し重点に取り組む

 上原昭知事公室長は六日、日米地位協定に関する調査スタッフを新年度から強化する方針を明らかにした。県議会予算特別委員会(外間盛善委員長)で、国場幸之助氏(自民)に答えた。

 県はこれまで、基地の整理・縮小や安全保障などに関する情報収集のため、調査を外部に委託してきた。二〇〇八年度は、地位協定の見直し問題に重点的に取り組む。

 調査結果は従来、県の基地行政の政策立案に活用する内部資料としていたが、上原公室長は「成果としてとりまとめ、県民の利用にも役立てられるよう検討したい」と答えた。

 米軍人の基地外居住については「日米地位協定上は禁止規定がなく、米軍が独自に居住できる基準を策定し、住まわせている」と説明した。高嶺善伸氏(護憲ネット)への答弁。

 また、来年度から特例措置で実施する職員の給与削減が県経済に与える影響については、宮城嗣三総務部長が「(投資効果が分かる)産業連関表を用いると、およそ削減額の一・二四倍の影響がある。

 しかし、削減した額がそのままなくなるのではなく、別の事業に回すので詳細は把握できない」と述べた。當間盛夫氏(維新の会)に答えた。


     ◇     ◇     ◇     

メア総領事・地位協定見直し否定/「逮捕権」は運用改善で


 ケビン・メア在沖米国総領事は六日の定例記者会見で、米軍犯罪の再発防止策として挙がっている日米共同パトロールの逮捕権の優先問題について、日米地位協定の運用改善で対応できるとの見解を示した。米政府関係者が地位協定の運用改善に言及するのは異例。

 メア総領事は、日米合同委員会で地位協定の運用改善を協議していると説明。逮捕優先の手続きのあいまいさが問題であれば明確化できるとして、「地位協定を見直す話ではない。具体的に問題がある点はもちろん話す。運用改善はやる用意がある」と繰り返した。

 「反省の期間」として先月二十日から今月三日まで行われた四軍の外出禁止措置は、再発防止ではなく軍と軍属と家族が組織として反省することが重要だった―との認識を示し、「二十四時間、家族を含めた外出禁止は私が知っている限り前例がない。意味があった」と評価した。

 一方で、再発防止に向け、「具体的措置を導入するために米軍と地元で調整する必要がある」とも強調、七日のワーキングチーム会合で具体的に協議する姿勢を示した。

 米軍普天間飛行場の移設計画については、冬季分の環境影響評価(アセスメント)調査が持ち越されているが、「日本政府や日本の法律下の手続きなので、米側は何も言う立場にない。全面的には予定通り順調に進んでいる」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071300_04.html

 

琉球新報 社説

米兵性犯罪増加 有効な防止策があるのか

 米本国や世界に駐留している米軍人に関係する性犯罪は2006年だけで2947件に上り、05年に比べ約24%(573件)も増加していた。

 これは米国防総省が米連邦上院・下院の軍事委員会に報告した強姦(ごうかん)罪、強姦未遂罪などの件数である。

 事件が起きるたびに綱紀粛正に取り組んでいるはずなのに逆に増えているのは、この間、有効な手だてが講じられてこなかったことを浮き彫りにしている。

 被害者が申し立てをした2277件のうち51%は加害者、被害者がともに軍人で、民間人が被害者になったのは29%だった。

 報告書は、発生した国名、米国内、国外の区別などは明らかにしていないが、53%は米軍施設内で起きている。

 軍人が被害者となる事件が半数を占めていることは、県内の米軍基地内でも、県民が全くあずかり知らないところで相当数の性犯罪が起きている可能性を示している。

 民間人が被害を受け、犯行が表面化するのは氷山の一角とみていいだろう。

 兵士による性犯罪が増加したのは規律が乱れているためなのか、それとも、ほかに原因があるのか。米国政府は、その理由を突き止めると同時に、どうすれば性犯罪をなくすことができるのか真剣に検討すべきだ。

 報告書に記された犯罪件数は、通り一遍の再発防止策では何の解決にもならないことを示している。

 これまで実施していなかった新たな対策を打ち出すことが求められる。

 日米安全保障条約に基づき米軍が駐留するわが国にとって、米軍人の性犯罪の増加は国民の安全に直結する重大な問題だ。日本政府が拱手(きょうしゅ)傍観することは絶対に許されない。

 犯罪の抑止効果を高めるには、すべての犯罪で被疑者の起訴前の身柄引き渡しを米国に認めさせるなど、日米地位協定の抜本的な改定が不可欠だ。米国に対し毅然(きぜん)とした態度で協定見直しを迫ってもらいたい。

(3/7 10:15)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31989-storytopic-11.html

 

2008年3月7日(金) 夕刊 1面

自民、不参加を決定/米兵暴行事件・県民大会

 米兵による暴行事件で、県議会最大会派の自民は七日、議員総会を開き、暴行事件に抗議する県民大会への対応を協議した。会派内は「被害者の感情」などを考慮し県民大会参加に否定的な意見が大勢を占めた。組織的な参加は見送られることが決まり、超党派県民大会の開催は不可能な状況になった。二十三日の県民大会前の米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)の開催も見合わされる見込みで、超党派の県民大会を求めた陳情は事実上不採択になる。「超党派」を前提にしていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。

 自民内部では、これまで「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理縮小では一致している」としながらも、「米軍再編の推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊の全面撤退を求める野党では基本姿勢が違う」「六月の県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。

 五日の米軍基地特別委員会では、自民内部からは「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と望む被害者の感情を尊重すべきだ」と開催に否定的な意見が多く、さらに「開催日時や場所を一方的に決め、押し付ける手法はおかしい」という批判が出た。

 事件に対しては、県議会や県内四十一全市町村議会の抗議決議を可決した。県民大会の呼び掛け団体や野党は「抗議は全県的で各界各層を網羅している。事件を許さないという悲痛の叫びだ。仲井真知事が先頭に立ち、再発は許さないという強い怒りを内外に表明するべきだ」と超党派の結集を求めており、自民の不参加に対する反発は必至だ。

 県民大会について仲井真知事は「被害者や家族の心情を第一に、広く県内の各界各層の声を聞く必要がある」と表明している。


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米兵入居率8割/基地内住宅


 【東京】県内の米軍基地内に今年一月末時点で八千百三十九戸の住宅があり、米軍関係者の入居率が約八割であることが七日、分かった。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に対し、政府が閣議決定した答弁書で明らかにした。

 答弁書によると、八千百三十九戸について米側の調査では、改装中などの理由で使用できない住宅も含まれているというが、それが何件かは明らかにしていない。政府は「有効に使用されている」と説明している。

 照屋氏は、米兵暴行事件で逮捕された米海兵隊員が、基地外に居住していたことを指摘。「空き家があるにもかかわらず、基地外に居住し、さまざまな問題を起こしている」と問題視した。

 答弁書はまた、日本政府が一九七五年度から二〇〇六年度にかけて建設した基地内住宅は六千百八戸に上るとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_01.html

 

2008年3月7日(金) 夕刊 1面

再発防止で日米協議/米兵事件・事故

 米兵暴行事件など一連の事件を受け、急きょ開催が決まった、米軍人や軍属、家族の事件・事故防止について話し合うワーキングチームの第十六回会合が七日、那覇市の外務省沖縄事務所であり、日米両政府や県がそれぞれまとめた再発防止策について協議した。日米共同パトロールや防犯カメラの設置など日米と地元で見解の異なる防止策などについても意見を交わした。会合は冒頭を除き非公開で行われた。

 議長の倉光秀彰外務省沖縄事務所副所長は「米軍関連の犯罪は二〇〇三年をピークに減少する中、最近の一連の事件は議長として残念。事件・事故を未然に防止するため何ができるか、率直かつ建設的な議論を期待している」とあいさつした。

 共同議長のマーク・フランクリン在日米軍沖縄調整事務所長は「米軍人の事件を真剣にとらえ、防止対策の改善を検討する取り組みに全面的に協力することを誓う」と述べた。

 在日米軍は週明けにも「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース(調査特別委員会)」を沖縄に派遣する。フランクリン所長ら同事務所が今回の協議内容をまとめた意見を報告する。

 会合には県の上原昭知事公室長や県警の日高清晴刑事部長はじめ、在沖米四軍、在沖米国総領事館、沖縄防衛局、県内米軍基地所在市町村、商工会など関係団体の責任者ら約三十人が出席した。

 ワーキングチームは原則年一回開催。県は先月二十二日に外出制限措置の徹底や規律違反者やその上司の責任の厳格化などをまとめた七項目計二十の防止策を提案した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_02.html