米兵暴行事件・県民大会 自民党、不参加を決定 など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(3月6日、7日)

2008年3月6日(木) 朝刊 1面

国民新党、地位協定改定案/野党3党、共同提案へ

 【東京】国民新党(綿貫民輔代表)は五日、米兵暴行事件を受けて民主党と共同で作成した「日米地位協定改定案」を了承した。(1)米軍関係者への外国人登録義務付け(2)日本側の身柄引き渡し要請に米軍が「同意」(3)環境保全に関する規定を新設し、厳格な環境基準を採用―などが柱。民主党も早ければ週内に了承する見通し。両党は来週中に社民党とも調整し、三党で政府に共同提案する方針だ。

 国民新党と衆院で連立会派を組む政党「そうぞう」代表の下地幹郎衆院議員を中心に作成し、四日に民主党との事務局レベルで合意していた。

 案は、米軍関係の事件・事故でこれまで指摘された地位協定上の問題点を踏まえ、全面的に見直す内容となっている。

 二〇〇四年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故で県警が捜査できなかった事例を踏まえ、基地外での米軍の捜査は「日本側当局の第一義的な統制の下に行われる」とした。

 基地返還に伴い問題となる環境汚染についても、日本政府がこれまで負っていた原状回復義務を米国に担わせることも明記した。

 下地氏は、同案について「これまでの米軍関係者による事件・事故から得られた『教訓』をすべて網羅した。これまでの矛盾や、県民の不安を解消するためにも、見直しは不可欠だ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_03.html

 

2008年3月6日(木) 朝刊 25面

超党派結集 方針堅持/県民大会 8日に実行委

 米兵による事件続発を受け、二十三日に抗議の県民大会開催を目指す実行委員会準備会は五日、幹事団体による会議を開き、引き続き超党派で取り組む方針などを確認した。八日午後二時に実行委員会結成総会を開き、開催に向けて本格的な行動を始める。

 大会の開催日時は二十三日午後二時。会場は、一部の幹事団体から、那覇市の県庁前県民広場とする案も出たため、これまで予定していた北谷町の北谷公園野球場前広場を軸に調整を続けることにした。

 八日に立ち上げる県民大会実行委員会は、県内二百五十七団体(うち八十六団体は女性団体)に参加を呼び掛ける。事務局を県婦人連合会に置き、県高校PTA連合会の西銘生弘会長を事務局長に据える。実行委員長には、引き続き仲里利信県議会議長に就任を要請することも決めた。

 幹事団体からは、幹事団体が超党派での県民大会開催を求めた県議会への陳情を、米軍基地関係特別委員会が継続審議としたことに、疑問の声が上がった。

 県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「在沖米軍基地の兵士による事件続発は、県民全体の問題だ。こうした状況を放置し続ける日米両政府が、『沖縄の声』に謙虚に耳を傾けるよう県民が一つにならなければならない」と訴え、大会への参加を決めていない自民党などに働きかけを強める方針を示した。


米軍側、捜査を継続


 在沖米海兵隊報道部は五日、米兵暴行事件で逮捕され、二月二十九日に不起訴処分で釈放されたキャンプ・コートニー所属のタイロン・ハドナット二等軍曹について「捜査を継続している」と発表した。沖縄タイムスの質問に答えた。

 同報道部は「日本の当局は起訴を断念したが、隊員は統一軍事裁判法違反の罪で訴追される可能性がある」と捜査の理由を説明したが、「今後軍法会議に持ち込めるかどうか推測するにはまだ早い」と述べた。

 ハドナット二等軍曹の身柄は釈放された二十九日に米海兵隊に引き継がれ、拘禁されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_04.html

 

2008年3月6日(木) 朝刊 2面

陸自訓練17日の週/ハンセン共同使用

 米軍キャンプ・ハンセンで、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)が十七日の週に訓練を始めることが五日、複数の関係者の話で分かった。沖縄の米軍施設で陸自部隊が訓練するのは初めてとなる。在日米軍再編の中で、日米両政府がキャンプ・ハンセンや嘉手納基地の共同使用に合意していた。

 陸自が近く、米軍と訓練内容などについて最終調整する見通し。嘉手納基地では米空軍と航空自衛隊の共同訓練が行われる予定だが、開始時期はまだ決まっていない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803061300_05.html

 

2008年3月7日(金) 朝刊 2面

地位協定の調査強化へ/見直し重点に取り組む

 上原昭知事公室長は六日、日米地位協定に関する調査スタッフを新年度から強化する方針を明らかにした。県議会予算特別委員会(外間盛善委員長)で、国場幸之助氏(自民)に答えた。

 県はこれまで、基地の整理・縮小や安全保障などに関する情報収集のため、調査を外部に委託してきた。二〇〇八年度は、地位協定の見直し問題に重点的に取り組む。

 調査結果は従来、県の基地行政の政策立案に活用する内部資料としていたが、上原公室長は「成果としてとりまとめ、県民の利用にも役立てられるよう検討したい」と答えた。

 米軍人の基地外居住については「日米地位協定上は禁止規定がなく、米軍が独自に居住できる基準を策定し、住まわせている」と説明した。高嶺善伸氏(護憲ネット)への答弁。

 また、来年度から特例措置で実施する職員の給与削減が県経済に与える影響については、宮城嗣三総務部長が「(投資効果が分かる)産業連関表を用いると、およそ削減額の一・二四倍の影響がある。

 しかし、削減した額がそのままなくなるのではなく、別の事業に回すので詳細は把握できない」と述べた。當間盛夫氏(維新の会)に答えた。


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メア総領事・地位協定見直し否定/「逮捕権」は運用改善で


 ケビン・メア在沖米国総領事は六日の定例記者会見で、米軍犯罪の再発防止策として挙がっている日米共同パトロールの逮捕権の優先問題について、日米地位協定の運用改善で対応できるとの見解を示した。米政府関係者が地位協定の運用改善に言及するのは異例。

 メア総領事は、日米合同委員会で地位協定の運用改善を協議していると説明。逮捕優先の手続きのあいまいさが問題であれば明確化できるとして、「地位協定を見直す話ではない。具体的に問題がある点はもちろん話す。運用改善はやる用意がある」と繰り返した。

 「反省の期間」として先月二十日から今月三日まで行われた四軍の外出禁止措置は、再発防止ではなく軍と軍属と家族が組織として反省することが重要だった―との認識を示し、「二十四時間、家族を含めた外出禁止は私が知っている限り前例がない。意味があった」と評価した。

 一方で、再発防止に向け、「具体的措置を導入するために米軍と地元で調整する必要がある」とも強調、七日のワーキングチーム会合で具体的に協議する姿勢を示した。

 米軍普天間飛行場の移設計画については、冬季分の環境影響評価(アセスメント)調査が持ち越されているが、「日本政府や日本の法律下の手続きなので、米側は何も言う立場にない。全面的には予定通り順調に進んでいる」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071300_04.html

 

琉球新報 社説

米兵性犯罪増加 有効な防止策があるのか

 米本国や世界に駐留している米軍人に関係する性犯罪は2006年だけで2947件に上り、05年に比べ約24%(573件)も増加していた。

 これは米国防総省が米連邦上院・下院の軍事委員会に報告した強姦(ごうかん)罪、強姦未遂罪などの件数である。

 事件が起きるたびに綱紀粛正に取り組んでいるはずなのに逆に増えているのは、この間、有効な手だてが講じられてこなかったことを浮き彫りにしている。

 被害者が申し立てをした2277件のうち51%は加害者、被害者がともに軍人で、民間人が被害者になったのは29%だった。

 報告書は、発生した国名、米国内、国外の区別などは明らかにしていないが、53%は米軍施設内で起きている。

 軍人が被害者となる事件が半数を占めていることは、県内の米軍基地内でも、県民が全くあずかり知らないところで相当数の性犯罪が起きている可能性を示している。

 民間人が被害を受け、犯行が表面化するのは氷山の一角とみていいだろう。

 兵士による性犯罪が増加したのは規律が乱れているためなのか、それとも、ほかに原因があるのか。米国政府は、その理由を突き止めると同時に、どうすれば性犯罪をなくすことができるのか真剣に検討すべきだ。

 報告書に記された犯罪件数は、通り一遍の再発防止策では何の解決にもならないことを示している。

 これまで実施していなかった新たな対策を打ち出すことが求められる。

 日米安全保障条約に基づき米軍が駐留するわが国にとって、米軍人の性犯罪の増加は国民の安全に直結する重大な問題だ。日本政府が拱手(きょうしゅ)傍観することは絶対に許されない。

 犯罪の抑止効果を高めるには、すべての犯罪で被疑者の起訴前の身柄引き渡しを米国に認めさせるなど、日米地位協定の抜本的な改定が不可欠だ。米国に対し毅然(きぜん)とした態度で協定見直しを迫ってもらいたい。

(3/7 10:15)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-31989-storytopic-11.html

 

2008年3月7日(金) 夕刊 1面

自民、不参加を決定/米兵暴行事件・県民大会

 米兵による暴行事件で、県議会最大会派の自民は七日、議員総会を開き、暴行事件に抗議する県民大会への対応を協議した。会派内は「被害者の感情」などを考慮し県民大会参加に否定的な意見が大勢を占めた。組織的な参加は見送られることが決まり、超党派県民大会の開催は不可能な状況になった。二十三日の県民大会前の米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)の開催も見合わされる見込みで、超党派の県民大会を求めた陳情は事実上不採択になる。「超党派」を前提にしていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。

 自民内部では、これまで「事件に対する抗議、綱紀粛正や再発防止策の徹底、基地の整理縮小では一致している」としながらも、「米軍再編の推進で負担軽減を図る与党と、海兵隊の全面撤退を求める野党では基本姿勢が違う」「六月の県議選を前に、野党の反基地運動に政治利用される」などの見方が強い。

 五日の米軍基地特別委員会では、自民内部からは「告訴を取り下げ、『そっとしてほしい』と望む被害者の感情を尊重すべきだ」と開催に否定的な意見が多く、さらに「開催日時や場所を一方的に決め、押し付ける手法はおかしい」という批判が出た。

 事件に対しては、県議会や県内四十一全市町村議会の抗議決議を可決した。県民大会の呼び掛け団体や野党は「抗議は全県的で各界各層を網羅している。事件を許さないという悲痛の叫びだ。仲井真知事が先頭に立ち、再発は許さないという強い怒りを内外に表明するべきだ」と超党派の結集を求めており、自民の不参加に対する反発は必至だ。

 県民大会について仲井真知事は「被害者や家族の心情を第一に、広く県内の各界各層の声を聞く必要がある」と表明している。


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米兵入居率8割/基地内住宅


 【東京】県内の米軍基地内に今年一月末時点で八千百三十九戸の住宅があり、米軍関係者の入居率が約八割であることが七日、分かった。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に対し、政府が閣議決定した答弁書で明らかにした。

 答弁書によると、八千百三十九戸について米側の調査では、改装中などの理由で使用できない住宅も含まれているというが、それが何件かは明らかにしていない。政府は「有効に使用されている」と説明している。

 照屋氏は、米兵暴行事件で逮捕された米海兵隊員が、基地外に居住していたことを指摘。「空き家があるにもかかわらず、基地外に居住し、さまざまな問題を起こしている」と問題視した。

 答弁書はまた、日本政府が一九七五年度から二〇〇六年度にかけて建設した基地内住宅は六千百八戸に上るとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_01.html

 

2008年3月7日(金) 夕刊 1面

再発防止で日米協議/米兵事件・事故

 米兵暴行事件など一連の事件を受け、急きょ開催が決まった、米軍人や軍属、家族の事件・事故防止について話し合うワーキングチームの第十六回会合が七日、那覇市の外務省沖縄事務所であり、日米両政府や県がそれぞれまとめた再発防止策について協議した。日米共同パトロールや防犯カメラの設置など日米と地元で見解の異なる防止策などについても意見を交わした。会合は冒頭を除き非公開で行われた。

 議長の倉光秀彰外務省沖縄事務所副所長は「米軍関連の犯罪は二〇〇三年をピークに減少する中、最近の一連の事件は議長として残念。事件・事故を未然に防止するため何ができるか、率直かつ建設的な議論を期待している」とあいさつした。

 共同議長のマーク・フランクリン在日米軍沖縄調整事務所長は「米軍人の事件を真剣にとらえ、防止対策の改善を検討する取り組みに全面的に協力することを誓う」と述べた。

 在日米軍は週明けにも「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース(調査特別委員会)」を沖縄に派遣する。フランクリン所長ら同事務所が今回の協議内容をまとめた意見を報告する。

 会合には県の上原昭知事公室長や県警の日高清晴刑事部長はじめ、在沖米四軍、在沖米国総領事館、沖縄防衛局、県内米軍基地所在市町村、商工会など関係団体の責任者ら約三十人が出席した。

 ワーキングチームは原則年一回開催。県は先月二十二日に外出制限措置の徹底や規律違反者やその上司の責任の厳格化などをまとめた七項目計二十の防止策を提案した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803071700_02.html

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