月別アーカイブ: 2008年11月

つながっている、「生きる」ということと「戦争反対」という こと

 先日NHKテレビで「全盲の夫婦の夢と子育て、妻はソプラノ歌手、夫はマラソンランナー、見えないことは不幸じゃない」 が1時間放映されていました。(08・11・06夜10時から)

 このドキュメンタリー映像は、「生きる」と言うこと、「命」と言うことを、この4人家族の生きる姿を通して私たちに深い感動を持って伝えてくれました。たぶん再放映されると思いますので、時間をとってごらんになるといいと思います。

 これほどの障害をお持ちになりながら、歌手であり母である福原理絵さん、良英さんは、生きると言うことの価値を私たちに感動を持って教えてくれていました。

 私は、この映像を見て、戦争に反対すること、弱い者をさらに痛めつける政治悪と闘うことは、このようなご一家が懸命に生き抜いていらっしゃることとつながるもの、共通するものがあると思いました。そのキーワードは、「命」であり「生きる」と言うことではなかと思います。

沖縄の言葉に「命(ぬち)どぅ宝」という言葉があります。完全な視覚障害があっても生きていることを「こんな幸せは奇跡のようだ」とおっしゃる理絵さん。命を輝かせるために、日々力を尽くされている福原家ご一家と、わたしたちのように、戦争に反対して一人一人の地球上に住むかけがえのない人びとの命、生活を守ろうとしている人びとは、完全につながっている、と思いました。「命」というキーワードで。

お互いに、地球に生を受けたものとして、命のために、命を日々燃焼させて生きていきたいものですね。

原潜寄港反対に全会一致/県議会特別委 知事訪米費を削除/県議会最終日 悲劇の始まり、忘れまい/十・十空襲64年 ジュゴン保護1500人が署名/スペインの自然会議 ジュゴン保護3度目勧告/IUCNが異例の採択 など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(10月9日から16日)

2008年10月09日【朝刊】 社会

ジュゴン署名1000人突破/前回分超える勢い

IUCN会議保護団体参加


 スペイン・バルセロナで開催中の国際自然保護連合(IUCN)第四回世界自然保護会議で、ジュゴン保護キャンペーンセンター(海勢頭豊代表)が集めているジュゴン保護のための署名が、現地時間八日午前までに千人分を超えた。二〇〇四年の前回会議で集まった千三百人分を同日中にも上回る勢いという。蜷川義章事務局長は「絶滅の危機と警告されているジュゴンの生息地への軍事基地計画に、驚きと怒りの声が上がっている」と現地の様子を伝えた。

 同センターなど日本の非政府組織(NGO)六団体は今回の会議で、日米両政府にジュゴン保護の取り組みを求める勧告案を共同提出している。最終日の十四日に採択される見通し。署名は、採択後に日米両政府が勧告を速やかに履行するよう求めている。

 署名には世界各国のNGO関係者などが協力。会議後、同センターが日米両政府に提出する。蜷川事務局長は「二〇〇〇年、〇四年に続く三度目の勧告ということもあり、関心の高さを感じている」と手応えを語った。

 同センターは、NGOが集まる自然フォーラムにブース展示などで参加。シンガー・ソングライターの海勢頭代表らによるオリジナル曲の演奏や会場周辺の道ジュネーなどで、ジュゴン保護を訴えている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-027-2_002.html

 

2008年10月09日【朝刊】 政治

原潜寄港反対に全会一致/県議会特別委

F15機即時撤去 協定締結を要求


 県議会九月定例会は八日、米軍基地関係、沖縄振興・那覇空港整備促進、観光振興・新石垣空港建設促進の三特別委員会があった。軍特委では、米軍普天間飛行場の代替施設建設に議論が集中したほか、米原子力潜水艦のホワイトビーチ寄港反対を求める陳情八件を全会一致で採択。本会議でも採択される。

米軍基地関係

 軍特委(渡嘉敷喜代子委員長)は、中部市町村会が嘉手納基地のF15戦闘機の即時撤去や同基地に特化した使用協定締結などを求める「嘉手納飛行場から派生する諸問題の解決促進に関する陳情」も全会一致で採択した。

 普天間飛行場の代替施設建設をめぐり、上原昭知事公室長は環境影響評価(アセスメント)の準備書提出が来年二、三月になる見通しをあらためて示した。

 その上で、公有水面の埋め立ての許認可は「順調にいけば知事の任期中にこぎつけることが可能。今の形で協議会が進めば、一定の道筋をつけることが可能だ」との認識を示した。具志孝助氏(自民)に答えた。

 名護市東海岸の十三区の住民説明会について、上原公室長は「事業者の沖縄防衛局の予定はないが、県として地元の理解と協力を得るため、住民への説明は必要。防衛局に努力するよう求めたい」とした。

 中川京貴氏(自民)、新垣清涼氏(社大・結)への答弁。

沖縄振興・空港整備

 沖縄振興・那覇空港整備促進特別委員会(当銘勝雄委員長)は、那覇空港の滑走路増設に向けた協議、県独自の基本構想となる「沖縄二十一世紀ビジョン(仮称)」策定の取り組み、沖縄振興計画の総点検について、それぞれの進ちょく状況で質疑があった。

 津覇隆交通政策課長は、滑走路増設をめぐり、豊見城市が現滑走路より沖合に千三百十メートル離すよう求める声明を出したことを重く受け止めているとし、「豊見城、那覇、糸満の三市との連絡会議を開いて意見を吸い上げる」と説明。十月末から十一月初めに予定されている同空港技術検討委員会に、関係自治体の考え方を報告する方針を示した。

観光振興・新石垣

 観光振興・新石垣空港建設促進特別委員会(比嘉京子委員長)では、新石垣空港ターミナルビルの事業費について漢那政弘部長が「(旅客ターミナル)は約五十八億円、貨物は約五億円程度と試算している」と述べた。辻野ヒロ子氏(自民)に答えた。

 建設予定地内の洞窟で、絶滅危惧種リュウキュウユビナガコウモリの妊娠したメスが発見されたことについて、新石垣空港課の栄野川盛信課長は「県も調査をしたが確認できていない。事後調査で環境影響の程度が著しくなれば、付近の工事をいったん中止し、回避・低減措置を取る」と説明した。玉城ノブ子氏(共産)に答えた。

 また、第二次観光振興計画(二〇〇五―〇七年度)で定めた十一の数値目標について最終的な達成状況が報告された。

 入域観光客数とコンベンション(各種会議や展示会など)参加者数などはクリアしたが、旅行支出総額の低迷を背景に一人あたり県内消費額や観光収入など七指標では目標を達成できなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月09日【朝刊】 社会

米軍と11管など合同訓練を実施/米軍機墜落を想定

 

米軍機が墜落したとの想定で、脱出した隊員をヘリで救助する第11管区海上保安本部のヘリ=8日午前、うるま市津堅島沖の米軍訓練水域

 米軍機が墜落し負傷者が出たとの想定で、在沖米空軍(第十八航空団)と第十一管区保安本部などによる合同実動訓練が八日、うるま市津堅島沖の米軍訓練水域であった。ヘリコプターで漂流する隊員を救出した。日米合わせ約百四十人が参加し、通報・連絡や捜索救助活動など初動対応を確認した。

 米軍訓練水域外の海上で米軍機が墜落し、隊員二人は緊急脱出したが、日本の漁船一隻が飛散物で損傷、負傷者一人が出ているとの想定。漁船には十一管本部の巡視艇がぴったりと近づき、乗組員を救助した。

 海上事故では救出ヘリなどさまざまな航空機が現場に集まるため、各機関が周波数を統一したという。

 迫田裕治内閣官房沖縄危機管理官は訓練後、「各機関が連携しておおむね予定通りに進んだ。日米双方で課題を検討したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-026-1_004.html

 

2008年10月09日【朝刊】 社会

空襲から大綱 復興たどる/那覇市歴史博物館で企画展

 

十・十空襲と那覇大綱挽の歴史を年代順に並べた写真に見入る来場者=8日、那覇市歴史博物館

 沖縄戦で那覇市の九割が灰じんとなった十・十空襲と、復興の象徴として一九七一年十月十日に復活した那覇大綱挽の歴史をたどり、平和を考える初の企画展「那覇大綱挽と10・10空襲展」が那覇市歴史博物館で始まっている。二十九日まで。

 十九世紀ごろ制作されたとされる現存する最も古い絵図「那覇四町綱之図」を初公開。戦前最後となった一九三五年当時の活気あふれる様子、那覇市制五十周年を記念し平和への願いを込めて復活した七一年当時の写真や文書約百点を年代順に展示した。

 その間に四四年の「十・十空襲」で、各地で黒々と煙が上がる那覇の全景、一面焼け野原となった爆撃直後の写真と、米軍の無差別攻撃と住民被害の説明文が添えられている。

 当時、台湾に疎開していたという森田恒勝さん(76)=那覇市=は、「終戦後、那覇の街を見て衝撃を受けたが、皆の復興への願いが燃え上がっていて、自分も頑張れた」と振り返り、「大綱挽が復活したときの興奮がよみがえった。平和への思いが原点だということを若い世代に見てほしい」と力を込めた。

 企画した同博物館学芸員の外間政明さんは、「祭りと戦争を並べることで、平和と地域の力を考えるきっかけになれば」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-026-1_001.html

 

2008年10月09日【夕刊】 社会

前原高の寮生ら半世紀後に集い/来月 うるま市で

 沖縄戦後の混乱期に県内の新制高校としていち早く開校した前原高校。「とにかく生きて勉強することに夢中だった」あのころを共に過ごした寮生の集いが五十年余の時をへて、十一月十四日午後三時からうるま市田場のニュー三和で開かれる。

 前原高校は一九四五年十一月に現在の前原地区内に開校した。沖縄戦直後の混乱期で、米駐屯軍CBMU工兵隊跡地のコンセットを教室として利用。同校にはうるま市近辺の離島のほか、宮古、八重山、大東島などの生徒たちも入学。離島出身者は、「西原睦寮」で共同生活しながら勉学に励んだ。同校はその後、うるま市田場に移転した。

 集いの企画が持ち上がったのは今年二月。十期生の同期会で一―十六期まで寮生活を送った仲間と語り合いたいと提案があったのがきっかけ。当時の一期生は現在八十代半ば。十六期生も六十代を超える。それぞれ年齢は違うものの、学徒出陣や疎開を経験し、沖縄戦を生き延びた激動の時代を共有している。

 十期生の新屋敷文春沖縄国際大学名誉教授(72)は「とにかく生きて勉強することに夢中だった。時がたっても、寮生との結びつきは一生忘れない」と力を込める。

 一期―十六期生の卒寮生は約五百人。参加者には在学当時の写真を持参してもらい、会場でスライド投影する予定。彫刻家金城実さん(十二期卒)の作品を写真に収めた展示会も計画している。会費五千円、夫婦会費九千円。問い合わせは新屋敷さん、電話090(4471)7006。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 政治

沖縄総合事務局存続 厳しい見方/分権委「移せるものは県に」/首長らは廃止反対訴え

 国の出先機関の統廃合を検討している地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は九日来県し、見直し対象になっている内閣府の沖縄総合事務局を視察したほか、自治体の首長と懇談した。丹羽委員長は「国と県で同じような仕事が行われているようだ。住民のために無駄を省くことが重要で、移せるものは県に移すのが原則だ」と現体制での存続に厳しい見方を示した。これに対し、総合事務局側は国の責任による沖縄振興の必要性を示し、組織存続を主張。首長からも廃止に反対する意見が出た。

 分権委は年末に、同総合事務局を含む出先機関の統廃合を盛り込んだ第二次勧告を首相に提出する予定。

 懇談会を終えて、丹羽委員長は記者団に「出先機関をつぶすのが目的ではない。残さないといけない仕事もあるだろうが、廃止・縮小すべきはしなくてはならない」と説明。分権に伴う財源についても「財政の手当てをせずに仕事だけ渡すようなことはしない。人も金も移譲する」と述べた。

 意見交換で総合事務局側は「米軍基地が集中するなど、沖縄は特殊事情を抱えている。沖縄振興計画で目指す自立経済の確立も道半ばで、国の責任で引き続き振興策を担うことが必要だ」と強調した。

 これに対し、分権委の猪瀬直樹委員は「国の補助金で繁栄するのでなく、できるだけ国の枠組みから解放され、自立した経済を目指すのが地方分権だ」と指摘。法人税率引き下げによる企業誘致などを提案した。

 懇談会には伊波洋一宜野湾市長、儀武剛金武町長、外間守吉与那国町長が出席。伊波市長は米軍普天間飛行場の跡地利用に関連し、「県では道路整備などの財源が確保できず、国がやる必要がある。道州制が導入されるまで出先機関は存続させてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 社会

きょう十・十空襲/64年前の惨劇忘れず/那覇市内で展示・上映会

 県内全域が米軍機に爆撃された一九四四年十月十日の「十・十空襲」から六十四年。被害を伝える資料展示や記録フィルムの上映会などが那覇市内で開かれる。

 那覇市首里崎山町の喫茶室アルテ崎山店では、「十・十空襲を風化させない市民の集い実行委員会」が県公文書館などで集めた空襲直前の那覇市の航空写真や、体験者の証言集が展示された。訪れた同市の男性(67)は「航空写真の隅に当時の私の家が写っており、この空襲が破壊の始まりだったとあらためて考えさせられる。昨年亡くなった母に、もっと話を聞いておけばよかった」としみじみ語った。

 十日は同店で午後八時から証言映像集「島クトゥバで語る戦世?十・十空襲の記憶?」を上映。また、「沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会」が午後六時半から、同市繁多川公民館で、実写フィルムの上映と空襲体験者の仲里ハルさんの講演会を開く。

空襲に遭遇した鈴木さん

人々の安否気遣う

 沖縄戦直前、第九師団(武部隊)に所属していた鈴木攝郎さん(85)=神戸市=は、一九四四年十月十日の十・十空襲に那覇市で遭遇した。部隊は後に、台湾へ移動、以来沖縄を訪れたことはない。街が壊滅する様子を目撃した鈴木さんは「那覇はりっぱな街になったようだ」と思いをはせた。

 金沢市出身の鈴木さんは、一九四四年、中国牡丹江で第九師団に入隊。同年七月、兵員増強のため沖縄へ移動した。「上陸時、民家の軒先でおばあさんたちが小さな黒いまんじゅうを勧め、歓迎していた」と振り返る。

 軍旗護衛兵だった鈴木さんは、十・十空襲のあった日は、波上海岸で陣地作りをしていた。「最初、演習と思った。米軍は未完成だった小禄飛行場を攻撃した。停泊中の駆逐艦五隻をたたき、那覇市内を爆撃していった」

 鈴木さんらは類焼を防ぐため市内へ向かった。「ある家に入ると仏間に七十代ぐらいの男性が一人で座っていた。家を出るよう説得したが、男性は仏壇にじっと手を合わせており、助けだせなかった」

 浜辺には、高射砲で撃ち落とされた米軍機乗員の遺体が浜に流れついていた。遺体は足や頭がなかった。「親が見たら悲しいだろう」。鈴木さんたちはこっそりと埋葬した。

 同年十二月に部隊は台湾へ移動、そこで終戦を迎えた。「僕はある意味、命拾いした」と話し、沖縄戦直前に出会った人々の安否を気遣った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-026-1_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 政治

第2次軍転特措法を/中部首長学識者ら 国に返還対策を要請

 中部の市町村長や大学教授らは九日、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所を訪れ、基地返還後の円滑な跡地利用を目的とした第二次軍転特措法の制定などを要請した。桜井国俊沖縄大学学長が真部朗局長と今井正沖縄担当大使に、「責任ある返還対策を国・県に求める決議」を手渡した。今後、県や県議会、県選出国会議員にも要請する。

 桜井氏や宮城篤実嘉手納町長ら五氏が参加。沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会が七月に開いたシンポジウムの決議文を持参した。決議は(1)有害物質の土壌汚染地域を特定するため基地使用履歴情報の提供(2)返還前に政府が基地内土壌汚染を調査(3)返還基地の調査、原状回復期間中、政府が地権者に給付金交付―などを盛り込んだ第二次軍転特措法制定などを求めた。

 真部局長は「立法について本省にしっかり報告したい」と述べ、項目別に対応を説明。「基地使用履歴を求めるのは当然。今でも米軍から入手しているが、(米軍が)二十―三十年前の使用履歴をしっかり残しているかというと、必ずしもそうではない」と述べ、完全な履歴の把握には限界があることを明かした。

 米軍の施設使用と並行する返還前調査は「現実的にかなり難しい」。返還手続き後に汚染が見つかった場合は、キャンプ桑江を例に「責任を持った処理をやっている」と説明した。

 桜井学長や宮城町長は返還後の跡利用まで時間がないことを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-002-1_002.html

 

2008年10月10日【朝刊】 社会

入館者350万人突破/平和祈念資料館/市村さんに記念品

 【糸満】県平和祈念資料館(糸満市摩文仁)の改築・移転後の延べ入館者が九日、三百五十万人を突破、修学旅行生の市村奈津美さん(17)(さいたま市立大宮北高校二年)に沖縄戦の資料集など記念品を贈った。

 同級生らと入館した市村さんは?朗報?に驚きの表情。「事前に平和学習を重ねて来たので(三百五十万人目は)記念になるし、うれしい」と話していた。

 同館は改築・移転後の二〇〇〇年四月から毎年、四十万人前後の入館があり、〇六年六月には二百五十万人を突破。修学旅行生が年々増加、〇七年度は全体の約55%を占めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-026-1_008.html

 

2008年10月10日【夕刊】 政治

知事訪米費を削除/県議会最終日

 県議会(高嶺善伸議長)は十日、九月定例会の最終本会議を開き、一般会計補正予算案から仲井真弘多知事の訪米費を削除する修正案を賛成二十五、反対二十二の賛成多数で可決した。知事の訪米要請は一九八五年から十一回行われてきたが、県議会が予算を認めないのは初めて。

 修正部分を除く一般会計補正予算の原案は全会一致で可決され、補正予算は総額三十一億三千百十五万八千円になる。

 本会議では総務企画委員会の當間盛夫委員長が、県提案の一般会計補正予算案から訪米費約千四百万円を削除する修正案を、可否同数の委員長裁決で可決したことを報告した後、討論に入った。

 知事が訪米の要請項目に盛り込んだ「在日米軍再編の確実な実施」に含まれる普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、与野党は県民の支持の有無について論戦を繰り広げた。

 野党は崎山嗣幸氏(社民・護憲)ら三氏が修正案に賛成。「辺野古移設は六月の(新基地建設に反対する)県議会決議と相いれない。訪米の意義は認めるが、今回の知事要請は一方に偏り前代未聞だ」と述べた。

 与党は照屋守之氏(自民)ら四氏が修正案に反対し、「宜野湾市も名護市は受け入れを表明している。野党の新基地建設反対の決議は地元意向を無視したものだ」として原案通り訪米を認めるよう主張した。

 そのほか、沖縄特別振興対策調整費を活用した県保育所入所待機児童対策特別事業基金条例は全会一致で可決した。

 また、精神障害者社会復帰施設・県立てるしのワークセンターを民間へ移譲するための施設廃止条例、ICチップ導入に伴う免許証交付手数料を引き上げる県警察関係手数料条例の一部改正条例などは賛成多数で可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月10日【夕刊】 政治

知事「10年は存続を」/総合事務局/地方分権委は「3,4年だ」

 沖縄総合事務局を含む国の出先機関の統廃合を検討している地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は十日午前、県庁で仲井真弘多知事ら県幹部と意見交換した。

 総合事務局の在り方について、仲井真知事は「地方分権推進の観点から出先機関の見直しは必要」としながらも、米軍基地返還に伴う跡地利用などで国関与の重要性を強調。「五年、十年ぐらいは残していただきたい」と、段階的縮小が望ましいとの認識を示した。

 意見交換後、記者会見した丹羽委員長は「沖縄は長い間、国の支援を受けていただけに、自立・自活の精神が薄いという印象を持った。権限が足りないなら、中央から奪取するという気概を持つことが地方分権だ」と指摘。沖縄総合事務局については「県と同じ仕事をしていると強く感じた。(知事が求めた)十年じゃ困る。せいぜい三、四年だ」と語った。

 県は、出先機関の見直しについて(1)地方分権の観点から見直しは必要(2)自立的発展につながる事務・権限の移譲は受け入れる(3)沖縄振興の国の責務は地方分権にかかわらず果たされるべきだ―との基本原則を主張。財源は内閣府による予算の一括計上、高率補助を堅持しつつ、使途の自由度が高い一括交付金とする必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-001-2_002.html

 

2008年10月10日【夕刊】 社会

ジュゴン保護1500人が署名/スペインの自然会議

 スペイン・バルセロナで開かれている国際自然保護連合(IUCN)の第四回世界自然保護会議で、沖縄のジュゴン保護を日米両政府に促すための署名活動をしているジュゴン保護キャンペーンセンター(海勢頭豊代表)は現地時間八日までに、九十五カ国千五百十四人分の署名を集めた。三日間の活動で、前回会議の八十九カ国千三百六人分を超えた。署名活動は最終日の十四日まで続けられる。

 蜷川義章事務局長は「会議参加者に沖縄のジュゴンの問題が浸透してきている。生息地に米軍基地が建設されるという事実は、初めて知った人にショックを与えている」と報告した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-007-2_004.html

 

2008年10月11日【朝刊】 社会

悲劇の始まり 忘れまい/十・十空襲64年/各地で祈り誓う

 

「なぐやけの碑」に手を合わせる遺族たち=10日、那覇市若狭

 県内のほぼ全域が米軍機に爆撃された一九四四年の「十・十空襲」から六十四年の十日、戦没者を悼む慰霊祭やイベントが各地で行われた。遺族や体験者たちは「十・十空襲は悲劇の始まり。過去を忘れまい」と平和の誓いを新たにした。

 那覇市若狭の「なぐやけの碑」では同市連合遺族会の慰霊祭があり、約二百人が参列。夫を亡くした新垣好子さん(85)は「私たちは戦争を忘れない。二度と戦争を起こしてはならない」と弔辞を読み上げた。

 同市繁多川公民館では、「一フィート運動の会」が実写フィルムの上映と講演会を開いた。約百人が空襲の映像に見入り、積徳高等女学校の女学生だった仲里ハルさん(81)の体験談に耳を傾けた。仲里さんは「壕の中で爆弾のすごい振動におびえた。夕方に壕から出ると、周りが火の海でびっくりした」と振り返った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-031-1_002.html

 

2008年10月11日【朝刊】 政治

知事訪米費を削除/県議会最終日

 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会の最終本会議は十日午後まで開かれ、一般会計補正予算案から仲井真弘多知事の訪米費を削除する修正案を賛成二十五、反対二十二の賛成多数で可決した。

 知事の訪米要請は一九八五年から十一回行われてきたが、県議会が予算を認めなかったのは今回が初めて。修正部分を除く一般会計補正予算の原案は、全会一致で可決した。修正後の補正予算は総額三十一億三千百十五万八千円。

 そのほか、議員提案された台風13、15号の関連被害に対する支援を求める意見書・要請決議、労働者が自ら起業し経営する協同組合を早期制度化するよう求める意見書、過疎地域自立促進のための新たな立法措置を求める意見書もそれぞれ全会一致で可決した。

 経済労働委員会、文教厚生委員会、米軍基地関係特別委員会は審議した陳情を報告。原油や食料価格の高騰に対する緊急対策を求める陳情、ホワイトビーチへの米国原子力潜水艦寄港に反対する陳情など三十六件を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月11日【朝刊】 政治

再提案の意向/訪米費削除で知事/野党は修正要求

 県議会九月定例会の本会議最終日で、一般会計補正予算案から訪米費が削除された十日、仲井真弘多知事は「僕自身、理解不能だが、私の考えは変わっていない」との見解をあらためて示した。十一月定例会以降の再提案については「議会の仕組みもあるので、与党のみなさんと相談したい」と述べるにとどめた。

 訪米の要請項目に盛り込んだ「在日米軍再編の確実な実施」が野党の反発を買い、知事の訪米予算が初めて議会で承認されなかった。執行部の県は「説明したつもりだが、野党に足りないと言われれば、また説明するしかない」との認識だ。

 削除した修正案に賛成した野党六会派のうち、最大会派社民・護憲ネットの新里米吉団長は「訪米は賛成だし、意義は認めている」と説明。「『再編の確実な実施』を削除か修正して、与野党がぶつからないような内容にしてほしい」と県や自民党幹部に伝えたと明かした上で、要請項目の中身を変えれば、予算承認に応じる構えを示唆している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-002-1_003.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

沖縄市議会が抗議決議/未明離陸/騒音協定の形骸化指摘

 【沖縄】沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十四日午前、臨時会を開き、米軍嘉手納基地からF15戦闘機など十九機が四日未明に離陸したことに対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 抗議決議と意見書は、住民や地元自治体の抗議や未明離陸の中止申し入れにもかかわらず強行されたことに「周辺住民の声を無視した運用に米軍への不信は募るばかりで、誠に遺憾」と批判。夜間の飛行を制限した騒音防止協定が形骸化していると指摘し、早朝、夜間訓練の全面中止、F15戦闘機の即刻撤退、同協定の見直しを求めている。

 あて先は、抗議決議が駐日米国大使、在日米軍司令官など。意見書が内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣など。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-007-2_004.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

米兵が住居侵入/沖縄署、容疑で逮捕

 沖縄署は十二日、沖縄市上地の民家に侵入したとして、米軍嘉手納基地内に住む海軍二等水兵マルコ・モンタジーノ容疑者(21)を住居侵入の容疑で現行犯逮捕した。「何も悪いことはしていない」と否認しているという。

 同署の調べでは、モンタジーノ容疑者は十二日午後十時四十分ごろ、沖縄市上地四丁目の民家敷地内に侵入した疑い。付近住民から通報があり、署員が現場に駆けつけたところ、民家から逃走しようとした同容疑者を発見したという。同署によると、同容疑者は酒に酔った状態だったという。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-007-2_002.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

戦争の証言記録は重要/平和ネット 記念シンポで訴え

 沖縄平和ネットワークは十二日、那覇市の教育福祉会館で総会を開き、沖縄タイムス賞受賞記念として、同ネット設立までの経緯や取り組み、今後の課題について意見交換した。

 関係者は、国などによる戦跡整備とそれに伴う観光地化で、常に戦争美化へと歴史を書き換える動きがあったと指摘。体験者の証言など住民の立場から記録を残し伝え続けることの重要性を訴えた。

 代表世話人の大城将保さんは、住民による遺骨収集が、日本政府援助で慰霊碑整備された際、「国のために命を捨てた英霊」と碑文に記されたことや、政府補助金による当初の県立資料館が、軍の遺留品展示場になった事例を挙げた。

 「沖縄戦跡の靖国化」への危機感から、住民の戦場体験記録運動が進み、同館は、同ネットの前身「沖縄戦を考える会」が証言や資料を集め、住民中心の展示に切り替えた経緯を説明した。一方で、現在の教科書問題や「集団自決」訴訟を挙げ、「心に傷を抱え沈黙する体験者の話を記録する作業は、今も続いている」と述べた。

 村上有慶さんは、戦跡保存について「戦争を否定し、実りある平和教育を行うための文化財指定でなければ意味がない」と指摘。「平和運動が大きな川になるための一滴の源泉として、たゆまず勉強し、現場に立つことが使命」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-006-2_002.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

ジュゴン保護3度目勧告/IUCNが異例の採択

普天間移設/日米共同アセス要求


 スペインのバルセロナで開かれている国際自然保護連合(IUCN)総会は十四日、国の天然記念物で米軍普天間飛行場移設予定地の名護市東海岸にも生息するジュゴンの保護を求める勧告案を賛成二五八、反対九の賛成多数で採択した。勧告は三度目で、同一生物では極めて異例。二〇一〇年の国連「国際生物多様性年」でジュゴン保護の推進や、普天間代替施設建設で日米共同の環境影響評価実施を求めるなど、従来より踏み込んだ内容となった。日米両政府は棄権した。

 勧告案は、日本の六つの環境保護団体が共同提出。法的拘束力はないが、日本が政府として加盟し、野生生物保護に大きな影響力のあるIUCN勧告は、政府の政策にも影響を与えそうだ。中でも、国際生物多様性年の節目に行われる生物多様性条約第十回締約国会議は日本で開催されるため、議長国としての姿勢が問われるのは必至だ。

 勧告は、国際的な環境保護条約を管理する国連環境計画(UNEP)や種の保存委員会、IUCNなど国際的機関のネットワークで保護に取り組むことを明記。普天間代替施設建設では、日米共同の環境アセスメントと影響を最小限にするための行動計画作成、日本政府に対し、(建設撤回を含む)すべての選択肢を踏まえ、研究者やNGO団体と協議しアセスを行うよう要求した。

 またジュゴンが生息するすべての国に対し、移動性野生動物種の保全に関する条約のジュゴン覚書への参加を推奨した。日本は、同覚書に加盟していない。

 ジュゴンは東南アジアやオーストラリアなど三十七カ国で確認されているが、北限の沖縄では減少が著しく生息数は五十頭以下とされる。環境省は絶滅危惧種の中でも最も深刻な「ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種」としている。

 勧告案は、日本自然保護協会、世界自然保護基金(WWF)ジャパン、ジュゴン保護キャンペーンセンターなどが提出した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_005.html

 

2008年10月15日【朝刊】 政治

防衛局が局発注工事入札の資格緩和/7億9000万円以上

県内90社が参加可能/県に説明/分割発注も促進


 県が国発注工事で県内企業の優先活用を求めていたことを受け、沖縄防衛局の真部朗局長は十四日、受注機会の拡大につながる対策として同局が実施する一般競争入札の参加資格を緩和するなど対応策を同日から講じることを明らかにした。真部局長らが同日、県庁に仲井真弘多知事を訪ねて説明した。

 予定価格七億九千万円以上の工事で、入札の参加資格となっている企業の経営状態などを数値化した「経営事項評価点数」を千二百点以上から千点以上に緩和する。点数の緩和で、県内に一社しかなかった参加可能企業は九十社に増える。七億九千万円未満の工事でも、同局が格付けるBランク業者の一部がAランク対象の工事に参入できるようにする。

 仲井真知事は「産業を鍛えて雇用をつくろうというのが最大の目標だが、非常に苦しんでいる。要請した方向で回答していただき感謝している」と評価した。真部局長は「運用の様子を見て、意見や要請をいただければ対応したい」と話した。

 そのほか、入札時に価格だけでなく企業の技術力や地域貢献度を考慮する「総合評価方式」の評価項目を見直し、県内での施工実績やセメントなど県産資材の使用状況を評価して加点するほか、中小企業でも入札しやすいよう分離分割発注を促進するとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

1社、再訂正を検討/「集団自決」記述/執筆者間で方針確認

 【東京】教科書執筆者らでつくる「社会科教科書懇談会」は十四日、都内で第六回会合を開き、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる記述の再訂正申請について協議した。検定意見が付された五社のうち一社は、執筆者間で再訂正申請する方針を確認したことが報告された。しかし、ほかの会社から具体的な方向性は示されなかった。

 会合には五社のうち四社の関係者が参加。執筆者で方針を確認した一社も会社側は「検討中」との考えで、再訂正申請の最終的な合意は得られていないという。

 同社の執筆者は「強制性を明確にするようあらためたい。少なくとも『強制集団死』を注釈に入れたい」とし、「昨年九月の県民大会などで抗議の声が上がったことも盛り込みたい」と話した。

 そのほかの三社は「執筆者で話し合っていない」「(再訂正申請の)方向は今のところない」などの現状が報告されたほか、他社が申請するのであれば同調したいとする考えもあった。

 文部科学省で話し合いが進んでいる検定制度の改善策については、執筆者に守秘義務を課すことを容認しないことを申し合わせた。

 同懇談会は、今月三十一日の「集団自決」訴訟控訴審の判決内容などを見極めながら、十一月五日に次回会合を持ち、対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_002.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

「世界的関心事に」/環境団体、意義を強調

 IUCNの三度目のジュゴン保護勧告が、より具体的内容で採択されたことに、環境保護団体メンバーらは「沖縄の問題から世界的環境問題へと関心が高まったあかしだ」と意義を強調。一方、米軍普天間飛行場の移設先、名護市の島袋吉和市長は「詳しい内容を見ていないので、具体的にコメントすることはできない」と述べるにとどめた。

 現地で勧告案を提出したジュゴン保護キャンペーンセンターの蜷川義章事務局長は、勧告がIUCNに対してもなされていることを挙げ、「IUCN自らが、主体的にジュゴン保護に取り組む意志が明確になった」と評価。普天間代替の日米共同アセスが盛られたことに「基地建設がジュゴンに影響がある、という前提で協議されており、世界的に関心が高まったことのあらわれ」と指摘した。

 WWFジャパンの花輪伸一自然保護室主任は「二〇一〇年」が明記されたことに、「日本は生物多様性条約締約国会議の議長として、計画をまとめる義務がある。拘束力はなくとも、ジュゴン保護に国際社会から義務を課せられたのと同じだ」と強調した。

 名護市の大浦湾を中心に現地調査を続ける沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長は「基地建設作業が進む中で、勧告に実効性を持たせるためには、県民、国民が世論を盛り上げる必要がある」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_004.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

「沖縄側も支援」/県民大会実行委

 教科書会社一社の執筆者間で再訂正申請の方針が確認されたことに、「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の玉寄哲永副委員長は「信念ある執筆者がいて心強い。沖縄側も積極的に声を上げて支援したい」と話した。

 県立学校七十校の社会科教員らで再訂正申請を求める要請文を教科書会社などに送付した南部商業高校の上江洲由直教諭は「一社の執筆者の声でも非常にうれしい」と歓迎した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_003.html

 

琉球新報 社説

海自集団暴行死 真相究明し再発防止を 2008年10月15日

 侵略から国民を守るはずの組織で何が起きているのか。

 海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」の隊員を養成する第一術科学校で9月9日、25歳の3等海曹が隊員15人を相手に格闘訓練をさせられ、頭を強打して意識不明となり、約2週間後の9月25日に死亡した。

 昨年6月末の力士暴行死事件を想起させられる出来事に、慄然(りつぜん)とした。

 同学校を管轄する海自の呉地方総監部は、事件当日と死亡の翌日に「訓練中の事故」と広報した。7月にも別の隊員が、異動直前の格闘訓練で16人の相手をさせられ、歯を折るなどの負傷をしていたことも判明した。

 教官らは遺族に「(異動の)はなむけのつもりだった」と説明しており、不見識極まりない。訓練に名を借りた制裁であり、集団による体罰ではないのか。海自の説明に「全く納得できない」とする遺族の気持ちが痛いほど伝わる。

 特警隊は1999年の北朝鮮の工作船事件を機に、2001年3月に特殊部隊として新設された。厳しい訓練を行うと言われるが、秘匿性が高く実態は厚いベールに包まれている。

 事件が明らかになったのは、3曹の死亡から約3週間後の今月12日である。事件を隠ぺいする理由が分からない。

 イージス艦「あたご」と漁船の衝突事故、イージス艦情報流出事件、護衛艦「さわゆき」火災で海士長の逮捕など海自の不祥事が相次いでいる。

 自衛隊員の自殺も目につく。8月下旬には、福岡高裁が海自隊員の自殺を「上司の侮辱的言動によるストレスが原因」と認定した。

 浜田靖一防衛相は訓練の範囲を逸脱しているとの認識を示した。ところが制服組の杉本正彦呉地方総監は「訓練中の事故」と言い、認識にずれがあるのはなぜか。

 防衛省は組織挙げて真相究明に取り組み、遺族はもとより国民の疑問に答える責任がある。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-137131-storytopic-11.html

 

2008年10月15日【夕刊】 政治

「騒音規制守られず」普天間移設 宜野湾市長が訴え

 米軍普天間飛行場の危険性除去と、代替施設の建設計画・環境影響評価(アセスメント)を協議する両ワーキングチームの第二回会合が十五日午前、那覇市の沖縄総合事務局で開かれた。

 危険性除去のワーキングチームでは、同飛行場を抱える宜野湾市の伊波洋一市長が出席し、同飛行場で騒音規制措置(午後十時―翌日午前六時)に当たる時間帯の飛行や場周経路など、日米合意が守られていない現状を訴えた。県内開催は初めて。

 両ワーキングチームとも冒頭以外は非公開。会合を主宰する防衛省地方協力局の山内正和次長は「普天間飛行場の移設を円滑に進めるため、政府や県、名護市、宜野座村が密接に意見交換することが重要と考えている」とあいさつした。

 伊波市長は騒音規制措置の日米合意があった一九九六年以降、飛行回数が増えていると指摘。二〇〇四年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故以降、市民の苦情件数は〇五年百九件、〇六年百六十件、〇七年百九十五件と激増していると説明、米軍自身の環境管理基準が普天間など日本国内で守られていないと訴えた。

 会合後、防衛省の藤井高文沖縄調整官と内閣官房の武藤義哉参事官が記者説明。伊波市長の要望について「ワーキングチームで検討はしていくことになると思う」と述べた。

 環境アセスについて「ある程度のデータが出てきた」と説明。「今まさにデータを集めている最中で、今後四季のデータがそろった中で、予測評価をしていく」と述べるにとどめた。

 また、県や名護市から建設計画の地元説明やデモフライトの実施を求める意見があったという。

 危険性除去ワーキングチームのメンバーは同日午後、普天間飛行場を宜野湾市の嘉数高台公園と施設内から視察する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月15日【夕刊】 社会

環境省、壕周辺を調査/真嘉比「化学弾」

 那覇市真嘉比の壕で旧日本軍の化学弾の疑いがある不発弾二発が回収されたことを受け、環境省は十五日、壕周辺の大気や土壌の汚染を調べる現地調査をした。化学弾・毒ガスなどの旧日本軍化学兵器の関連で、国による調査は県内で初めて。後日、周辺の地下水も採取し、約一カ月後に全体の分析結果を公表する。

 環境省職員四人と作業員五人が機器を使い、発見場所の壕周辺の大気や深さ五十センチまでの土を採取した。県、那覇市の担当職員も立ち会った。地下水は後日、所有者の了解を得て周辺の井戸八カ所で採取する。

 採取されたサンプルは東京の民間機関で、化学剤や分解された残留物質の有無が分析される。

 環境省環境リスク評価室の筒井誠二室長補佐は「防衛省から砲弾自体は傷や漏れなどもなく堅牢だったと報告があり、環境汚染の可能性は少ないと考えている。安全、安心の確保を図るため、念のため調査する」と話した。

 不発弾は九月三日、陸上自衛隊が那覇市内の墓地から七発を回収。このうち二発の弾頭に化学弾の特徴を示す二本の溝が見つかった。防衛省などが詳しく調べているが、特定はできていないという。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-005-2_003.html

 

2008年10月15日【夕刊】 社会

都市型施設抗議闘い続け3周年/県統一連 連携呼び掛け

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセンレンジ4に建設された都市型戦闘訓練施設に対する県統一連の早朝抗議行動が十五日、三周年を迎えた。二〇〇五年十月から同演習場第一ゲート前で週一回行っている。

 約六十人が参加した集会では、日本語と英語で書かれた抗議のプラカードを手に「施設を撤去せよ」などとシュプレヒコールを繰り返した。新垣繁信代表幹事は「日米同盟が強化され、基地機能が強化され続けている。今後も連携して、闘い続けていこう」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月16日 沖縄タイムス 社説

[ジュゴン保護勧告]

最後通告だと考えたい


 「守るべきものたちに 明日も訪れる何かが 正しい やさしいであれ」

 歌手Coccoさんの歌「ジュゴンの見える丘」にある一節だ。古くからウチナーンチュの営みに密接にかかわりながらも、今ではなかなか目にすることのない貴重なこの哺乳類の行く末を案じ、保護することの大切さが歌詞に込められている。

 スペインのバルセロナで開かれていた国際自然保護連合(IUCN)の総会で、ジュゴン保護を求める勧告書案が賛成多数で採択された。

 世界約八十カ国が加盟し、約一万人の科学者や専門家で構成される組織の今回の意思決定は持つ意味が大きい。

 ジュゴン保護を求めたのは今回だけではない。二〇〇〇年、〇四年に続いて三回目である。同一生物での三度の勧告は異例という。いわば国際社会からの最後通告と言っていいだろう。

 前回採択の際、IUCNは提案理由を「その後の対策が十分に進んでいない」としていた。今回の勧告は現在でも日本政府の対応は鈍いという批判と受け止めたい。

 生息地である名護市辺野古崎の沖には、米軍普天間飛行場代替施設の建設計画が進んでいる。一四年の完成を目標にしているが、ジュゴンの環境に負荷を与えないための対策は不十分と言わざるを得ない。

 環境影響評価法(アセス)に基づく手続きで、事業主体の防衛省の調査は修正を余儀なくされている。勧告で日米両政府の共同による調査を求めていることは画期的だ。

 日米で合意した建設案によれば、海域の埋め立てによって約二十二ヘクタールの藻場が消失されるという。藻場はジュゴンの重要な餌場だ。計画が実行されれば生息域が狭められるのは間違いない。

 IUCNに加盟している日本政府は、今回の採択を棄権した。「(ジュゴンは)適正な保護を行っている」ことを理由に挙げたが、世界中の専門家の分析にどう反論するのだろうか。

 勧告は、ジュゴンへの影響を最小限にするための行動計画を作成することを併せて求めている。より実効性の高い手続きが不可欠であり、すべての選択肢を踏まえ、研究者らと協議し、アセスを行うことを要求しているのである。

 小手先の手法ではごまかせない。法的拘束力がないことは逃げ道にはならない。

 勧告が指摘する「すべての選択肢」とは、仮にジュゴンが生息する環境への一定の負荷が避けられないなら、基地建設計画そのものの見直しも視野に入れるべきだということだ。

 建設予定地にはアオサンゴの群落も見つかり、IUCNのレッドリストに初掲載された。同海域は世界に誇れる自然を維持しているのである。

 自然保護と経済活動が相反するとの考え方は今や時代錯誤だ。ジュゴン保護は海域だけではなく、陸域をも含む生態系全体を保全し、地域の大切な資源を残すことにつながる。それが今を生きる世代の努めである。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-16-M_1-005-1_001.html

 

2008年10月16日【夕刊】 社会

ジュゴン保護 勧告で報告会/瀬嵩海岸

 【名護】スペインで開催された国際自然保護連合(IUCN)総会で、米軍普天間飛行場移設予定地の名護市東海岸に生息する国の天然記念物ジュゴンの保護を求める勧告が採択されたことを受け十五日、名護市大浦湾に面した瀬嵩海岸で報告会とコンサートが開かれた。

 帰国したジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「参加者の関心の高さに驚いた。ジュゴン保護が沖縄の片隅の問題ではなく、世界中が共有する問題であることが、バルセロナで証明された。基地ではなくジュゴン保護区をつくろう」と呼び掛けた。

 まよなかしんやさんや、県内で基地問題のドキュメンタリー映画を制作しているアメリカ人のイアン・エベレッドさんらが、平和への願いを込めて歌うと、参加者から大きな拍手が送られた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-16-E_1-004-2_001.html

嘉手納基地、F15未明離陸を強行 沖縄密約文書「ない」 国、3通公開請求応じず 新政権も米軍再編堅持/首席公使、見直しに難色 米兵、タクシー盗み事故 知事訪米費を削除、県議会委員会可決 三連協、初の目視調査/嘉手納基地 など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(10月4日から8日) 

2008年10月04日【朝刊】 社会

F15未明離陸を強行 嘉手納基地 住民ら抗議集会

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機が四日午前二時すぎ、同基地からの離陸を始めた。十二機余りがハワイを経由、米本国での訓練に参加する。騒音被害の増加を懸念する周辺自治体は「軍の都合のみを優先している」などと非難している。

 沖縄平和運動センターなどは四日午前零時すぎ、道の駅かでなで緊急抗議集会を開き、住民や市民団体のメンバーら約七十人が抗議の意志を示した。

 三日午後には、来県中の防衛省の増田好平事務次官に対し、仲井真弘多知事や宮城篤実嘉手納町長が未明離陸の中止を口頭で要請。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)は同日、同基地や国に対し、未明離陸を中止するよう文書で要請した。強行されれば、六日に開く幹事会で、抗議を検討するとしている。

 同基地報道部によると、複数のKC10空中給油機も同行。地元自治体などが求めていた未明離陸の回避について基地幹部などで検討したが「グアムは給油と航空機整備の追加支援が必要で、実用的ではない」「アラスカは(ハワイと)同様に早朝離陸が求められる」などとし、安全性やコストなどの要因から「現行計画が最適」と判断したという。

 約九時間半かけてハワイに移動する間、F15一機当たり約十回の空中給油が必要で「空中給油も目的地への着陸も日照時間内に行うのが安全」として、未明離陸の必要性を強調している。

 嘉手納町によると、同基地から未明・早朝離陸は、今年に入って四度目。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-M_1-001-2_002.html

 

2008年10月04日【朝刊】 政治

沖縄密約文書「ない」 国、3通公開請求応じず

 【東京】一九七二年の沖縄返還に至る過程で日米政府高官が交わした行政文書三通の情報公開請求について、外務省と財務省は三日までに、「対象文書は保有していない」として不開示(不存在)を決定した。県内外の請求者らは、決定を不服として、行政処分の取り消しを求めて提訴する方針。両省への異議申し立ても協議する。

 不開示の決定理由で、財務省は「文書ファイル管理簿の調査や文書保存場所の探索を行ったが、対象文書を作成、取得した事実は確認できない」と説明。「廃棄や国立公文書館への移管の記録もなかった」とした。

 決定から六十日以内に異議申し立てができ、六カ月以内に国を被告として処分の取り消しを求めて提訴できる。

 請求者側によると、異議を申し立てても、政府側回答の法的期限はなく、申し立てが二年間放置された事例もある。提訴した場合も、「文書の存在」の立証に困難が予想されるという。

 元毎日新聞記者の西山太吉さんら六十三人が九月二日に請求。対象文書は、一九六九年十二月二日付の「秘密合意議事録」と七一年六月十一、十二両日付の「秘密合意書簡」の計三通。関連する報告書や翻訳文も併せて請求していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-M_1-001-2_003.html

 

2008年10月04日【朝刊】 政治

「密約」隠し 国を批判/文書公開請求者

「存在しないわけがない」/知る権利 なお追求


 【東京】政府がまたうそをついた―。沖縄返還の「密約」をめぐって県内外のジャーナリストや学者ら六十三人が、政府に説明責任を求めた情報公開請求。外務と財務の両省は三日までに、文書は不存在と回答した。米側の公開文書や返還交渉に携わった外務省元高官らの証言で、密約の事実は既に明らか。国民の「知る権利」を軽んじる国の態度に請求者から痛烈な批判があがった。

 請求者の共同代表でジャーナリストの原寿雄さんらは三日、東京都内で記者会見。原さんは「政府が密約を認めるチャンスだったが、残念ながら態度を変えなかった。国際的に見ても非常識」と批判した。

 元毎日新聞記者の西山太吉さんは密約を裏付ける外務省の公電を入手、国家公務員法違反で訴追された。

 西山さんは会見で「日米両政府の最高責任者がサインをしている文書がないなんて、国民のだれが聞いても笑う。政府が公式にうそをついた」と強調。「政府は国会の承認も取り付けないで、どんどん米国に支払いをしていた。こんな違法秘密はない。主権者には知る権利がある。徹底的に戦う」と語った。

 請求人の田島泰彦上智大教授は本紙の取材に「政府が一貫して否定してきた事実。文書の存在を認めるかどうかは政府の中枢にかかわる問題。それだけ難しい問いを突きつけられているということだろう」と話す。

 我部政明琉球大教授は「客観的に存在する文書なのに、意図的に確認する手だてをとっていないとすら感じる。沖縄返還協定の付属文書で、財政問題に絡む取り決めが、文書として存在しないわけがない」と述べた。

 沖縄大学の新崎盛暉名誉教授は「政府が国民をだますような回答をせざるを得ないのは、『密約』は米側が必要としたもので、日本側にとってはない方が望ましいからだ。あったら国民に説明がつかない。だから『密約』にした」と指摘。「日本はそれを押し付けられている。日米関係は対等でなく、上下の関係にあるという同盟の歪みを表している」と説いた。

 代理人の一人で沖縄弁護士会の岡島実弁護士は「国の態度には失望する。国民がまったく視野に入っていない」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-M_1-027-1_001.html

 

2008年10月04日【朝刊】 政治

訪米削除修正案6日提出/県議会常任委

林道楚洲仲尾線 年内工事再開も


 県議会九月定例会は三日、総務企画、文教厚生、経済労働、土木の四常任委員会を開いた。仲井真弘多知事の訪米費や原油価格高騰対策費を盛り込んだ計三十一億四千五百七十七万円の補正予算案のほか、待機児童対策特別事業基金などについて審議した。野党は六日、知事訪米費を削除した修正案を総務企画委員会に提案する。

総務企画

 総務企画委員会(當間盛夫委員長)では、訪米費(千四百六十一万円)削除の方針を決めた野党側から予算の修正に関する質問が集中。県財政課は「法律上、予算の減額修正の否決、減額は提案権の侵害にはならない」とした上で、一九八一年以降、九件の予算が修正されていることを明らかにした。前田政明氏(共産)に答えた。普天間飛行場の県内移設を促進するとして、野党が反発している「在日米軍再編の確実な実施」とする訪米要請項目について、県基地対策課は「基地から派生する問題の解決促進、再編の確実な実施の二項目を基に、詳細な要請書を作成する」との考えをあらためて示した。照屋守之氏(自民)への答弁。

経済労働

 経済労働委員会(玉城ノブ子委員長)では、労働者が出資し合い地域に根ざした福祉などの事業を展開する「協同労働の協同組合」の法制化を求める意見書を十日の本会議に議員提出することを決めた。

 同法制定を求める市民会議の陳情を受けたもので全会一致で採択される見通し。

 ノグチゲラの営巣が確認され、調査のため工事が中断している林道楚洲仲尾線(国頭村)について、護得久友子農林水産部長は、希少動植物が九十種確認されたとの調査結果を明らかにした。

 その上で「検証委員会が十一月下旬ごろまでに方向性を出すことになっている」と述べ、保全措置を検討した上で、年内にも工事再開する見通しを示した。

文教厚生

 文教厚生委員会(赤嶺昇委員長)では、県立中部病院で放射線治療装置が老朽化によって故障し八月末から新患者の受け入れを停止している問題で、小川和美病院事業局次長は「不良債務比率10%を超えている県立病院では医療機器購入に必要な起債に総務省の許可が必要」とし、「最短でも装置の買い換えは来年十月になる」と説明。「当面は緊急に修理で対応したい」と述べた。西銘純恵氏(共産)への答弁。

 県立北部病院産婦人科の医師確保問題で、知念清局長は「年内に複数の医師との契約締結に非常に明るい展望を持っている」とし、年内にも医師確保が可能との見方を示した。上原章氏(公明県民会議)への答弁。

土木

 土木委員会(當山眞市委員長)では、喜屋武博行住宅課長が、県営住宅の家賃減免制度の二〇〇八年度の利用件数は九月末現在で三十六件だったことを明らかにした。〇五年度は二十三件、〇六年度は二十五年、〇七年度は十九件だった。 利用件数の急増について県は「生活困窮者への対応として、滞納者に制度の周知を徹底したことが原因ではないか」との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月04日【夕刊】 社会

未明離陸108デシベル 嘉手納F15

 

未明にごう音とともに離陸するF15戦闘機=4日午前2時4分(前森梓撮影)

計19機 中止要請にも強行


 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計十九機が四日未明、同基地を離陸した。北谷町職員が飛行ルート直下の同町砂辺で実施した調査で午前二時十七分と同五十一分に最大一〇八・六デシベル(前方二メートルの自動車のクラクションに相当)の騒音を計測した。同基地の未明・早朝離陸は今年四回目。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)や嘉手納町などの中止要請を押し切る形で強行。三連協は六日の幹事会で米軍などへの抗議を検討する。嘉手納、北谷の両町議会は来週以降、抗議決議案を可決する方向で調整を進めている。

 同基地では四日午前二時すぎ、F15が離陸を開始。午前三時十九分までにF15十六機、KC135空中給油機三機の計十九機が、南北の両滑走路を使って北谷町方面に飛び立った。

 嘉手納町職員が同町屋良の「安保の見える丘」で実施した調査では、最大騒音は午前二時五分で九四・一デシベル(騒々しい工場内に相当)を計測した。

 安保の見える丘では、沖縄平和運動センターのメンバーら約七十人が抗議集会を開き、「強行飛行を許すな」「飛行訓練をやめろ」などとシュプレヒコールを上げた。

 目撃者によると、午前四時半ごろ、予備機とみられる三機のF15が相次いで嘉手納基地へ帰還。うち一機が滑走路上に一時停止し、消防車両などに囲まれ点検を受けたが、約十五分後に駐機場まで自走した。

 同基地報道部は当初、未明離陸するF15は米本国での訓練のため、「十二機余りが出発する」と発表していた。同報道部によると、F15はハワイ州のヒッカム空軍基地を経由して米本国へ向かう。十一月中旬まで米本国の二基地で行う訓練に参加する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-E_1-001-1_001.html

 

琉球新報 社説

F15未明離陸 身勝手な「あしき隣人」たち 2008年10月4日

 米軍はあまりに身勝手すぎる。これでは「善き隣人」とは到底認められない。

 米軍嘉手納基地から4日未明、F15戦闘機10数機と空中給油機KC10数機が離陸する。

 米本国での訓練に参加するため、米兵の安全と機材繰りを優先した結果、県民の安眠が妨害される。戦後63年を経てもなお、米軍は「占領軍」気取りか。F15の未明・早朝離陸は今年、すでに4度目だ。度重なる中止要請にも米軍は馬耳東風だ。

 事あるたびに、米軍は「善き隣人」としての存在をアピールしてきた。基地外でのボランティア活動や米軍基地を開放し、フリーマーケットや見学を受け入れる「フレンドシップデー」など、多彩な住民懐柔策を展開している。来月も嘉手納基地内で県内身障者のスペシャルオリンピックスを開催する。

 米軍の多くの「地域貢献」が「報道されない」「扱いが小さい」と、米軍幹部や米総領事館から抗議や異議申し立ても時に受ける。

 だが、理由はほかならぬ米軍、米総領事館自身が知っているはずだ。

 見せ掛けの善行をいくら重ねても、年間60件を超す犯罪、急増傾向にある女性暴行などの凶悪事件に歯止めがかけられない。

 復帰後だけでもすでに5500件を超える米軍犯罪が起き、凶悪事件だけでも550件を超える。

 米軍絡みの交通事故もアフガン侵攻、イラク戦争以後急増し、年間100件を超え、200件台に近づく。

 米原潜は放射能をたれ流しても公表せず、十分な再発防止策もないまま沖縄への寄港を激増させる。

 航空機事故も2003年以降は毎年2けた台で、昨年も32件の不時着事故が起きている。そして、「静かな夜を」とのささやかな願いすらも無視し、未明離陸を強行し続ける。

 普天間、嘉手納と爆音訴訟も続くが敗訴し請求された被害補償すら踏み倒した前科のある米軍だ。

 一事が万事。未明離陸の強行は、米軍の「占領意識」の象徴。これがグローバルパートナーシップの日米関係の実態。何とも情けない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136812-storytopic-11.html

 

2008年10月04日【夕刊】 社会

抗議届かず 爆音とどろく/F15未明離陸

協定無実化基地強化 「やり放題国に責任」


 【中部】耳をつんざくエンジン音と地響きが、寝静まった住宅街にとどろいた。四日未明、米軍のF15戦闘機が嘉手納基地から離陸。爆音は本島中部から那覇市周辺まで広がり、人々の眠りを妨げた。基地周辺自治体などの度重なる中止要請にもかかわらず繰り返される米軍機の未明離陸。住民からは「抗議の声が届いていない」「知らない間に基地が強化されているのではないか」など不安や怒りの声が上がった。

 北谷町砂辺の松田忠之さん(75)は同日午前二時ごろ、地響きがするほどの爆音にたたき起こされた。午前の農作業に備えて早めに就寝したというが「一度起きてしまうと朝まで眠れなかった」と話す。同区に住んで四十年近くなるが、深夜の騒音は一向に改善されず「体調が悪くならないか心配だ。もうやめてほしい」と憤った。

 砂辺区では今年一月の住民大会で騒音被害に抗議している。同区の松田正二自治会長(63)は「住民の声が県や国、米軍に届いていない」と落胆を隠せない。一方で「米軍にやりたい放題させているのは日本政府。嘉手納基地による騒音被害を、日本全体の問題として考えてほしい」と訴える。

 嘉手納基地を見渡せる通称「安保の見える丘」で戦闘機の離陸を監視した、嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長(64)は「騒音防止協定が有名無実化され、嘉手納基地の機能が強化されているように感じる」と心配する。同町では年に一度のイベント「野國總管まつり」が三日から五日まで開催される。田仲委員長は「平和な催しが未明離陸によって水を差されるのは本当に腹立たしい」と怒りをあらわにした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-E_1-005-2_001.html

 

2008年10月04日【夕刊】 政治

「役目果たしたい」佐藤沖縄相 知事と会談

 就任後初めて来県した佐藤勉沖縄担当相は四日正午すぎ、県庁で仲井真弘多知事と会談した。佐藤沖縄相は「真摯に皆さまの立場に立って国側に要請させていただき、私の役目を果たしたい。要請があれば何回でもまいりたい」と述べた。

 仲井真知事は復帰後の道路や港湾整備に感謝した上で、「観光産業やITも非常にいい状態にあるが、県民所得が四十七番目というのは変わっていない」と述べ、二〇一一年度まで策定されている沖縄振興計画の着実な実施への協力を求めた。

 会談には高嶺善伸県議会議長も同席。米海軍原子力潜水艦の原子炉冷却水漏れ事故への意見書や、六月定例会で野党の賛成多数で可決した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設反対」や「後期高齢者医療制度の廃止」など九項目を要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-04-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月05日【朝刊】 社会

新政権も米軍再編堅持/首席公使、見直しに難色

本紙インタビュー


 在日米国大使館のジェームス・ズムワルト首席公使は四日までに、十一月の米大統領選を経て就任する新大統領の対日政策について、「民主、共和両党ともアジアを重視し、中でも日米関係を非常に大切にしており、大きな変化はない」と述べ、ブッシュ政権の方針を引き継ぐとの認識を示した。沖縄タイムスのインタビューに答えた。

 県が求める米軍普天間飛行場代替施設建設位置の沖合移動には「日米両政府が環境や騒音、安全性などの観点から非常に難しい交渉をして決めた。再交渉は米政府にとってよろしくない」と難色を示し、新政権下での在日米軍再編の合意実施に支障を来したくないとの見解を示した。

 また、大統領選に併せ、上院議席の三分の一、下院全議席の選挙を指摘し、「(米国に)いろいろ変化があろうと思うが、日米関係は変化しない。米国の利害関係は変わらず、日米が共通の価値観を持っているからだ」との認識を示した。

 普天間飛行場の危険性除去について、県が模索する部隊運用面での対応の可否については「一番大切なのは早く移転することだが、安全に利用するよう努力したい」と明言を避けた。

 米軍ホワイトビーチへの原子力潜水艦の寄港回数が今年増加している理由について「世界のさまざまな事情に基づき潜水艦は行動しなければならない。極東アジアに存在していることが抑止力につながる」と述べるにとどめた。

 首席公使は一日に来県。仲井真弘多知事や島袋吉和名護市長、伊波洋一宜野湾市長ら基地所在市町村長らと意見交換したほか、キャンプ・シュワブなどを視察した。(吉田伸)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-05-M_1-001-1_002.html

 

2008年10月05日【朝刊】 社会

米伍長が強姦罪否認/比女性暴行予備審問で/星条旗報道

 沖縄市で二月、フィリピン人女性に暴行したとして米軍の捜査当局が強姦罪などで立件した在沖縄米陸軍のロナルド・ホプストック伍長の予備審問が米軍基地内で開かれ、伍長が強姦罪について無罪を主張していることが四日、分かった。米軍準機関紙「星条旗」(電子版)が報じた。

 星条旗によると、予備審問は二、三両日に米陸軍トリイ通信施設(読谷村)で行われ、二日の審問で被害者女性が、伍長に沖縄市のホテルで暴行されたと主張。伍長は三日の審問で、合意の上だったと述べた。予備審問は七日まで開かれるという。

 米軍当局は内容を精査した上で軍法会議にかけるかどうかを決める。

 伍長は二月二十八日、沖縄市内のホテルで女性に暴行したとして県警が四月に強盗致傷容疑で書類送検。だが那覇地検は五月、嫌疑不十分で伍長を不起訴処分とした。

 その後、米軍側が捜査を継続、七月に強姦罪などで立件することを決めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-05-M_1-027-1_002.html

 

2008年10月05日【朝刊】 政治

仲村氏勇退を表明/自民衆院議員/今期限り「年齢考慮し潮時」

 自民党衆院比例代表九州ブロックの現職で、七期目の仲村正治氏(77)が四日、那覇市内で会見し、次期衆院選に立候補せず、今期限りで勇退することを正式に表明した。仲村氏は「年齢を考慮し、潮時だと判断した。若い人たちに引き継ぎたい。政治の現場を離れるが、一県民、一国民として日本の平和、沖縄の発展に微力を尽くしたい」と述べた。

 妻ハツエさんや後援会幹部と会見に臨んだ仲村氏は「戦中戦後を生き、二十七年間の米軍統治の苦しみを国会で訴え続け、政府の責任で沖縄の戦後処理を進めるために取り組んできた」と二十一年余の国会議員活動を振り返った。

 今後の沖縄振興については、「米軍統治で高度経済成長の恩恵を受けなかった沖縄に対し、予算の拡充は当然だと主張してきた。想像を超える発展を遂げたが、他府県に比べて整備が進んでいない面がまだある」と指摘。緊急課題に那覇空港の拡張整備を挙げ、「南の玄関口として沖縄の特性、可能性をさらに発展させることは、沖縄だけではなく、日本全体の発展につながる」と強調した。

 仲村氏は一九三一年九月、那覇市生まれ。那覇市議(二期)、県議(二期)を経て八三年衆院選沖縄全県区で初当選した。沖縄開発政務次官、内閣府副大臣、防衛総括政務次官、衆議院運輸委員長のほか自民党の党紀委員長、離島振興委員会委員長などを歴任。党県連会長や県選出・出身の与党国会議員でつくる「五ノ日の会」会長も務めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-05-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月05日【朝刊】 政治

[解説]移設推進に大きな壁/沖合移動「ゼロ回答」

 在日米国大使館のズムワルト首席公使は、仲井真弘多知事が掲げる米軍普天間飛行場代替施設の建設位置の沖合移動や危険性除去に、「ゼロ回答」を示した。

 首席公使はシーファー大使に次ぐ要職。ズムワルト氏は国務省の前日本部長を務めて現職に就いている。政権交代後の対日政策の中核を担う米政府高官が、沖合移動を認めないとの考えを示したことは、普天間移設を推進したい県や名護市にとって大きな壁となる。県の立場に理解を示した町村信孝前官房長官らが担当を外れ、県が期待する政府の対米交渉も厳しい局面に陥っているからだ。

 その一方で同氏は、再編の目標に、日米同盟の抑止力強化と合わせて基地所在地の負担軽減を挙げ、「同盟は日本国民の支援がなければ長い間続けられない」とも述べた。

 県議会は、「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」を賛成多数で可決したが、県外では普天間を含む米軍再編の論争に冷ややかだ。首席公使の発言は国内世論を見据えているだけに、国内政局が流動化する中、立場を異にする県、県議会双方にとって、国内世論をどう喚起するかが問われている。(政経部・吉田伸)

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-05-M_1-002-1_003.html

 

2008年10月05日  沖縄タイムス 社説

[密約文書不開示]

決定理由が分からない


 どんな国にも国家機密が存在することは分かるが、すでに分かりきった情報すらも、公開しないこの国の政府方針はどうにも理解できない。

 一九七二年の沖縄返還に至る過程で日米政府高官が交わした行政文書三通の情報公開請求について、外務省と財務省は「対象文書は保有していない」として不開示(不存在)を決定した。

 理由がふるっている。「文書ファイル管理簿の調査や文書保存場所を検索したが、対象文書を作成、取得した事実は確認できない」(財務省)。公開請求された文書と一対をなす公文書が米国で確認され、サインした日本政府の交渉責任者も存在を認めているのに、文書を作ったことも取得したこともないと言い張る理由が分からない。

 例えば、米国にある公文書は偽物で、存在しないというなら理解もできようが、そうした説明もないではないか。

 政府は、米国で確認された公文書との整合性も含め、文書不開示の理由を詳細に分かりやすく国民に明らかにする責任がある。

 政府が「ない」と主張する文書には、沖縄返還に至る日米両政府の交渉実態が詳細に記されているとされる。

 二〇〇〇年に米国で確認された公文書によると(1)返還土地の原状回復補償費四百万ドルを日本政府が肩代わりする(2)日本政府が物品・役務で負担する基地施設改善移転費六千五百万ドルなどの「秘密枠」をつくる―ことなどがいずれも密約だったことが明らかになっている。

 米国との沖縄返還交渉を担い、米公文書にサインした吉野文六・元外務省アメリカ局長は本紙の取材に「細かいことについて記憶はないが、密約はあった」と明言している。

 一連の経過をみれば、「密約」も「文書」も存在しないとする政府の説明はとても納得できるものではない。

 政府が文書の存在を認めることは、これまで明らかにしてこなかった沖縄返還交渉のすべてが白日の下にさらされることを意味する。

 本土復帰後、沖縄には日米安保条約に基づき多くの米軍基地が存在している。今に続く基地問題の原型は、沖縄返還交渉で交わされた「密約」から始まっている。

 政府は、沖縄の基地問題を解決するためにも、過去の日米交渉の詳細な事実を国民につまびらかにする義務がある。その上で、日米地位協定の在り方、米軍基地の維持に欠かすことのできない「思いやり予算」の見直しなど、具体的に米国と交渉すべきだ。

 情報の公開は、民主主義の根幹をなす。たとえ、政府に都合の悪い情報であっても国民に公開することで広範な議論が起こり、政策に反映されるからだ。

 請求文書について、政府が「ない」と主張するだけで、不開示としてしまうこの国の情報公開制度が正しく機能しているといえるだろうか。新たな情報公開の仕組みづくりや立法措置、チェック体制も含め、国民的議論を深める時期に来ている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-05-M_1-005-1_001.html

 

琉球新報 社説

沖縄密約 真実は一つしかない 2008年10月5日

 うそも100回繰り返せば真実となる。日本の外務省や財務省は、心底こう思っているに違いない。いや、政府はもちろん、司法もそうなのだろうか。信じ難い話だ。

 沖縄密約文書の情報公開請求に対し、両省が2日付で「対象文書の不存在」を理由に不開示を決定した。通知書で外務省は「該当文書を保有していない」、財務省は「本件対象文書を作成又は取得した事実は確認できず、廃棄および国立公文書館移管の記録もなかった」とする。

 対象となっているのは1971年6月12日付で、沖縄返還前に日米両政府の高官が交わした3通の秘密文書。返還に際し、軍用地の原状回復補償費400万ドルを日本が肩代わりするという内容だ。

 日本政府はこの間、一貫して密約を否定してきた。今世紀に入って、その存在を証明する米公文書が次々、明らかになっているにもかかわらず、である。しかも、当時の日本側の交渉担当者も密約の事実を公にしている。

 「相手国との信頼関係から公表できない」。これまで、外交文書の公開に関し、日本政府はこう答えてきた。今回はどうか。すでに相手国が認めて、文書まで公表している。先の言い訳が通用しないのは、誰が見ても明らかだろう。

 百歩譲って、現在進行形の外交交渉の内容までが、すべて公表できるとは思っていない。ただ、すでに30年以上が経過、さらに当事者の一方が認めている。これでも知らないと言い張れるのか。まるで黒を白と言いくるめる論法に等しい。行政だけではなく司法も実質的な判断を避け、形式的な理由で役割を放棄している。これで法治国家といえるのだろうか。主権者もなめられたものだというしかない。

 ここに見えるのは強烈な「お上意識」。情報は一手に握って国民には付き従わせるだけということか。旧態依然の発想だ。記者に情報を漏らしたとして空自一佐が懲戒免職になったばかりだが「国民の知る権利」はどこへいったのか。「大本営発表」の復活はごめんだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136845-storytopic-11.html

 

2008年10月06日【朝刊】 社会

米兵、タクシー盗み事故/沖縄署 容疑で2人逮捕

 運転手が離れたすきにタクシーを盗んだとして、沖縄署は五日、窃盗容疑で在沖米海兵隊員二人を現行犯逮捕した。

 米兵二人は盗んだタクシーで逃走中、宜野湾市の国道58号で信号待ちの車列をすり抜けようとして、車五台と接触する物損事故を起こした。けが人はいなかった。

 逮捕されたのは、キャンプ・フォスター所属のマシュー・エカーソン容疑者(21)と、キャンプ・コートニー所属のシェーン・ストッジヒル容疑者(20)。同署によると、二人は容疑を認めているという。

 調べでは、エカーソン容疑者らは同日午後六時四十五分ごろ、北谷町美浜の路上に駐車中のタクシーを盗んだ疑い。タクシーの運転手は車を離れていた。

 同署によると、タクシー運転手の同僚らが追い掛けたが、同容疑者らはタクシーを運転してそのまま逃走。宜野湾市の伊佐交差点付近で物損事故を起こした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-06-M_1-019-1_002.html

 

2008年10月06日【夕刊】 政治

普天間・嘉手納危険・騒音解決求め決議 中城村

可決中部9議会に


 【中城】開会中の中城村議会(比嘉明典議長)は九月定例会最終日の六日午前、普天間飛行場を離着陸する航空機による騒音が激化したとして、同飛行場の運用中止と危険性除去などを求める抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。村民への被害増大を理由にした村議会決議は異例。

 抗議決議は、普天間飛行場の米海兵隊ヘリが沖縄国際大学に墜落した後の離着陸ルート変更で、同村上空を通過するヘリや航空機が増えたと指摘。「村民だれ一人として、村上空の飛行を許した覚えはない」とし、同飛行場の運用中止、村民の不安解消のための日米交渉などを求めている。あて先は在日米軍司令官、在日米海兵隊司令官、外相、沖縄防衛局長。

 同日午前、中城村議会は、中部市町村会(会長・知念恒男うるま市長)から決議要請があった、普天間飛行場の危険性除去と早期返還、嘉手納基地から派生する騒音など諸問題の解決を求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。

 中部市町村会が、構成十市町村の議会に決議を要請、宜野湾市議会(伊波廣助議長)を除く九議会が可決している。宜野湾市議会は七月、議会独自に、普天間飛行場の危険性除去を求める意見書を全会一致で可決したが、嘉手納基地については言及していない。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-06-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月07日【朝刊】 政治

知事訪米費を削除 県議会委員会可決

本会議で議決へ


 県議会九月定例会の総務企画委員会(當間盛夫委員長)が六日開かれ、野党六委員が仲井真弘多知事の訪米予算約千四百万円を削除する一般会計補正予算の修正案を提出し、可否同数の委員長裁決で可決された。十日の本会議に報告され、賛成多数で修正議決される見通し。

 知事訪米は一九八五年から十一回行われたが、議会で予算が削られるのは初めてになる。

 本会議には訪米費を除く総額三十一億三千百十五万八千円が提案される。

 修正案を提出したのは社民・護憲ネット、共産、社大・結、民主、無所属クラブの野党五会派六委員で、當間委員長も同じ野党の改革の会所属。

 提案理由を述べた前田政明氏(共産)は、知事が訪米要請項目に盛り込んだ「在日米軍再編の確実な実施」には、「普天間飛行場の名護市辺野古移設が含まれている」と述べ、六月定例会で野党が多数可決した「『名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する意見書・決議』とは相いれない」と説明した。

 一方、知事を支持する照屋守之氏(自民)は質疑で「知事は普天間移設問題には一切触れないと説明している。新基地建設反対決議に反するという一方的な理由で削除するのは県民に説明がつかない」と主張した。

「理解できない」

仲井真知事

 東京出張中の仲井真知事は六日、都内で記者団に対し「県議会の代表・一般質問で説明したことを酌み取ってもらえたと思っていたので極めて残念。(訪米費削除は)理解できない」と述べた。

 訪米する意向は変わらないとし、「県議会の良識で、再考して判断が出ることを期待している」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-07-M_1-001-2_002.html

 

2008年10月07日 沖縄タイムス 社説

[訪米予算削除]

県の見通しは甘かった


 県議会総務企画委員会は六日、仲井真弘多知事の訪米経費約千四百万円を削除した補正予算修正案を可決した。

 一九八五年、西銘順治知事が訪米し、国防総省のワインバーガー長官らに基地問題を要請して以来、知事訪米は過去十一回を数えるが、議会で訪米経費が削除されたのは初めてである。

 米軍普天間飛行場の移設問題で県議会は、名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議を賛成多数で可決したばかり。知事は与党少数の議会で再び政治的敗北を喫したことになる。

 県議会の事情を熟知しながら、なぜ、知事は訪米経費を補正予算案に盛り込んだのだろうか。

 知事は代表質問に対する答弁の中で、普天間飛行場の辺野古移設と嘉手納基地以南の基地返還がパッケージになっていることを認めた。その上で知事は、米側に「在日米軍再編の確実な実施」を求める、と説明した。

 米側に要請するのは海兵隊のグアム移転や嘉手納以南の返還のみで、辺野古問題には触れない、と県はいう。そういう説明で果たして県民は納得するだろうか。

 もし野党が訪米経費を盛り込んだ予算案に賛成すれば、野党は辺野古移設反対の決議に自ら背くことになる。そうなったら野党は県民から集中砲火を浴びたことだろう。

 野党が賛成できないような予算案を、野党との十分な事前調整もないまま議会に提出したのは、見通しの甘さが招いた「ちょんぼ」というしかない。

 西銘知事は二回の訪米で、普天間返還に初めて触れた。大田昌秀知事は七回の訪米で知日派議員を動かし、基地負担の軽減を訴え続けた。

 稲嶺恵一知事が訪米したのは二〇〇一年と〇五年の二回である。〇五年の要請行動で稲嶺知事は「海兵隊の県外移転」を打ち出した。

 過去十一回の訪米は、大ざっぱに言えば、県民世論を背景に「基地負担の軽減」「普天間飛行場の返還」「海兵隊の県外移転」などを訴えたものだった。

 仲井真知事は訪米で、日米合意案の沖合移動の必要性を説明し、それが「局面打開=問題解決」の近道だと、米側に直接伝えたかったのではないか。しかし、それを県議会であからさまに言うと、野党の理解が得られない。

 結果として知事や県側の説明はあいまいになり、訪米の真意そのものが分かりづらくなった、のだと思う。

 県知事が訪米し、米政府や議会に基地問題を訴えること自体は、決して否定すべきことではない。

 自治体や住民の度重なる要請にもかかわらず米軍はまたも、嘉手納基地でF15戦闘機などの未明離陸を強行した。

 住民生活に直接影響を与える未明・早朝の離陸さえ改善できない現実。このケースなどは、知事や与野党が一緒になって対米行動に乗り出してもおかしくない問題だ。

 米大統領選後、新政権に対して、沖縄側はどのようなメッセージを発信するのか。問題は訴える中身だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-07-M_1-005-1_001.html

 

2008年10月07日【夕刊】 政治

嘉手納議会が抗議決議/F15未明離陸

米側「日中はあり得ぬ」


 【中部】嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は七日午前、臨時会を開き、米空軍嘉手納基地で四日未明にF15戦闘機など十九機が離陸したことに対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。奥間常明副議長と基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)の代表らが閉会後に同基地を訪ね、抗議した。

 田仲委員長によると、同基地のジョン・ハッチソン広報局長は「航空機騒音規制措置(騒音防止協定)は守っていくが協定外の運用もある。米本国へ向かうため日中に離陸はあり得ない。(未明離陸は)非常にまれだが必要」と語ったという。

 抗議決議は「未明離陸は今年三回目で、町民に耐え難い爆音被害を与えている」と指摘。町の野國總管まつりの日に強行されたことに対し、「満身からの強い怒りを禁じえない」とし、午後七時から午前七時まで飛行しないよう訴えた。

 一方、沖縄市議会(喜友名朝清議長)も七日午前に開いた基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)で、十四日に臨時会を開き、未明離陸に対する抗議決議と意見書を提案することを決めた。全会一致で可決の見通し。可決後、沖縄防衛局に申し入れを行う予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-07-E_1-005-2_003.html

 

2008年10月08日【朝刊】 政治

環境条例また継続/県議会文厚委/基地規制で平行線/与野党合意へ修正協議

 県議会九月定例会の文教厚生委員会(赤嶺昇委員長)は七日、六月定例会から継続審議となっている「県生活環境保全条例」について継続審議とすることを決めた。米軍基地への措置をめぐって議論が分かれたためで、二度目の継続は異例。「県や市町村は米軍に環境改善を求めることができる」という形で条文化が可能とする県環境審議会や野党委員らの意見に対し、県は「結果的に米軍の行動を規定する内容の条文は盛り込めない」との姿勢だ。一方、「表現によっては可能」(県)とする見解も出たことから、委員らは今後、与野党が合意できる修正案づくりで協議する方針。

 同条例は公害防止条例を約三十年ぶりに全面改正するもので、全県下で公害対策を強化するが、県は「米軍には国内法が適用されない」「条例は国内法を超えて制定できない」として米軍基地を対象外とする方針を示している。

 委員会は同日午前、同条例案を答申した桜井国俊県環境審議会会長(沖大学長)を参考人招致。桜井会長は「基地環境に対する県の態度表明になり、条例に盛り込めない法的な理由はない」との見解を述べた。

 審議会は、県や市町村の行為規定として(1)(米軍に対し)公害予防の観点で協定締結を申し入れることができる(2)環境汚染事例が発生した場合立ち入り調査を求めることができる―などの形で条文を盛り込むことを提案している。

 野党委員から「地位協定の抜本改正を主張する県の立場として条文化できる」「法律を超えた条例は国内にすでに多数存在しており、法的にも可能」など県の見解に対する異論が噴出。与党委員は県の姿勢に一定程度理解を示し、議論は平行線をたどった。

7議案を可決

 同委員会は七日、県保育所入所待機児童対策特別事業基金条例など七議案を可決した。

 知念建次県文化環境部長は、事業者が産業廃棄物施設を設置する前の事前手続きを定めた指導要綱を来年四月から運用する方針を明らかにした。住民との事前協議の必要性を定めていない廃棄物処理法の不備を補完する目的。

 要綱では、事業者に対し住民説明会や公告縦覧の実施、県の指示に基づく関係機関との調整、協定書の提出を求める。上原章氏(公明県民会議)への答弁。

 読谷村座喜味で民間業者経営の安定型産業廃棄物最終処分場から、有害物質「クロルデン」が検出された問題について同部は、初動調査として今月中旬に埋め立て地内部の塩類濃度を測定し、廃棄物の状態を調査する意向を示した。必要があれば、掘り起こし調査を行う。結果は十一月下旬ごろに出る予定。仲村未央氏(社民)への答弁。

 県立芸術大学の非常勤講師らが大学に雇用条件などに関して団体交渉を求めている問題で長田勉事務局長は、九日にも団体交渉を実施することを明らかにした。比嘉京子氏(社大・結)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-08-M_1-002-1_002.html

 

2008年10月08日【朝刊】 社会

きょう目視調査/三連協、嘉手納周辺で

 【中部】嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は八日、沖縄市、嘉手納町、北谷町の三カ所で同飛行場を離着陸する戦闘機の飛行経路を目視調査する。三連協による合同調査は初めて。同飛行場の騒音問題の解決に向け、飛行パターンの実態を把握し資料として活用する。

 三市町は騒音被害を受ける共通の問題を抱えていたが、飛行経路は個別に確認していた。三連協が連携することで住宅地や公共施設の上を戦闘機が飛ぶ回数や方向がより詳細に調べられるとしている。嘉手納町の道の駅かでな、沖縄市のコリンザ、北谷町のちゃたんニライセンターの三カ所の屋上で午前六時から午後十時まで調査。結果は九日に公表する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-08-M_1-024-1_002.html

 

2008年10月08日【夕刊】 政治

三連協、初の目視調査/嘉手納基地 米軍機追跡

 

米軍機の騒音を測定する嘉手納基地周辺自治体の職員ら=8日午前10時53分、嘉手納町・道の駅かでな

あす結果公表


 【中部】「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は八日、嘉手納町の道の駅かでななど三カ所で、米軍機の飛行実態を確認する目視調査を実施した。三連協としての調査は初めて。同日午前六時から、嘉手納町、沖縄市、北谷町の職員らが各調査ポイントで離陸後の飛行ルートや騒音測定値などを記録している。同日午後十時まで調査し、九日に結果を公表する。

 調査ポイントは道の駅かでなのほか、沖縄市のコリンザ、北谷町のちゃたんニライセンター。嘉手納町側が戦闘機などの離陸情報を沖縄市、北谷町へ無線機で連絡し、連携しながら飛行ルートを追跡した。

 調査は従来確認されている飛行傾向などから、嘉手納基地を縦横に飛ぶルートや市街地上空を含むルートなど五パターンに分類。それぞれのパターンの回数や飛行形態を記録した。

 午前八時五十五分に西側から進入したF15戦闘機三機のうち一機が嘉手納町の住宅地上空を旋回飛行した。午後一時までに百七回の離着陸、旋回を確認、うち市街地上空にはみ出したのは計十一回だった。機種別にはF15戦闘機の八十六回が最多だった。騒音は最大で午前六時四十六分にF15が離陸した時の一〇一・八デシベルだった。

 道の駅を訪れた野国町長は「公共施設の上空は避けて飛んでいるという米軍の言い分を突き崩す資料が収集できる。より正確なデータにするため、今後は五日程度継続調査したい」と述べ、三連協による共同調査の意義を強調した。

 宮城篤実嘉手納町長は「地域住民からの訴えがある中、嘉手納基地全体の運用状況が把握できないでいた。実務的な調査を根拠に米軍に運用改善を求める必要がある」と話した。

 住民の苦情増加を受けて今年九月に独自調査を実施した沖縄市の提案で、三連協の目視調査が決まった。今後、騒音軽減や市街地上空の飛行停止を米軍に求める際の資料として活用する考えだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-08-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月08日【夕刊】 社会

米兵タクシー窃盗に抗議/北谷町が米軍に 「再発防止策公表を」

 【北谷】北谷町美浜の路上で駐車していたタクシーを盗んだとして、沖縄署が在沖米海兵隊の上等兵二人を窃盗容疑で逮捕したことを受けて、北谷町(野国昌春町長)は八日までに、在日米軍沖縄地域調整事務所などに抗議文を、沖縄防衛局などに要請書を送った。

 抗議文(七日付送付)は「人通りの多い地域での人目もはばからない凶行に町民は驚がくしている。米軍の取り組みの成果が全く見えない状況は極めて遺憾であり、強い怒りを持って抗議する」とし、再発防止の抜本的対策の公表と被疑者への厳格な処罰などを求めた。

 野国町長は「町内で米軍人による事件・事故が頻繁に起こっている。綱紀粛正の徹底が行われていない。軍人による事件・事故のために危険な町の烙印を押されては人の流れが離れていく」と危惧した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-08-E_1-005-2_002.html

グアム移転8550人 検定撤回、なお要求 外出禁止令を緩和/在沖米海兵隊 GBS訓練嘉手納からグアム移転、米軍計画 新嘉手納爆音訴訟が結審 F15未明離陸中止を要求/三連協、米軍・国に など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(9月29日から10月3日)

2008年09月29日【朝刊】 政治

グアム移転 8550人/在沖海兵隊 部隊の詳細判明

再編計画 海軍が米議会報告


 在日米軍の再編計画で、グアムに移転する在沖米海兵隊の具体的な部隊や人員などが二十八日までに、米海軍省がまとめた軍事計画報告書で明らかになった。ウィンター米海軍長官が十五日、米議会に報告書を提出。海兵隊の運用は太平洋軍の基本的方針として、司令部機能をグアムへ移転し、沖縄に兵站支援のハブ機能を維持する考えを示している。報告書によると、グアムに移るのはキャンプ・ハンセンの第三海兵遠征軍司令部群やキャンプ・コートニーの第三海兵師団司令部、牧港補給地区(キャンプ・キンザー)の第三海兵兵站群司令部など。人員の内訳は司令部隊三千五十人、地上司令部隊千百人、航空司令部隊千八百五十人、兵站司令部隊二千五百五十人の計八千五百五十人を明記している。(吉田伸)

 第三海兵遠征軍(?MEF)の能力を沖縄とグアム、ハワイの三カ所に配置し、多様な拠点で演習を実施することで、分散した部隊の相互運用性を維持すると説明している。

 移転に伴い、グアム島の七百三十二万平方フィート(六十八万平方メートル)に家族住宅三千五百二十戸、独身下士官用隊舎三千四百室、独身将校用官舎四百室などの建設計画も盛り込んだ。

 また、施設建設費として、二〇〇九会計年度(〇八年十月―〇九年九月)予算で二千八百万ドルを計上。一〇年度は三億六千五百万ドルの歳出意向を盛り込んだが、「暫定的なものに過ぎず、日米の予算執行の推移を見ながら、議論が必要だ」と述べるにとどめた。

 日米両政府は二〇〇六年四月、移転費総額百二億七千万ドルのうち、日本側が59%にあたる六十億九千万ドルを負担することで合意している。

 だが、米政府監査院(GAO)が今月十七日に発表した報告書では、米太平洋軍高官が、高速輸送船配備や移動経費などの予算があらたに必要とし、合意額をはるかに上回る百五十億ドル以上見積もっており、事業費総額は不確定な要素が多い。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-M_1-001-1_005.html

 

2008年09月29日【朝刊】 社会

検定撤回 なお要求 県民大会1年

6団体代表きょう会見/委員長就任も要望


 二〇〇六年度高校歴史教科書の検定で、文部科学省が沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から、日本軍強制の記述を削除したことに抗議する「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から、二十九日で満一年を迎えた。復帰後最大の十一万六千人(主催者発表)が参加し、「軍強制」の記述を削除した検定意見の撤回と記述回復を求めたが、いまだ実現していない。

 大会呼び掛け六団体の代表者らは二十九日、県庁で会見し、県民大会決議の実現や空席となっている委員長に高嶺善伸県議会議長の就任などを求めるアピール文を発表する。教科書執筆者も十月中旬に都内で懇談会を開き、「日本軍強制」記述の再訂正申請に向け、本格的に動きだす。

 県民大会によって、教科書で「集団自決」の背景や要因が従来より詳しく説明されるようになったものの、検定意見は堅持され、「日本軍強制」の文言が削除された教科書が四月から使用されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-M_1-001-1_003.html

 

2008年09月29日【朝刊】 社会

真実再び 吉川さん「参加者に勇気もらった」/県民大会から1年

背押され 走り続けた


 「日本軍の命令、誘導、強制がなければ『集団自決』は起こらなかった」。渡嘉敷島で「集団自決(強制集団死)」を体験した吉川嘉勝さん(69)は、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で証言者として訴えたことで、生活が大きく変わった。「参加者から勇気をもらった」。約十一万人の熱気に包まれた宜野湾市・宜野湾海浜公園を一年ぶりに訪れた。(平良吉弥)

 あの日から走り続けている。大会終了後、求められると県外にも足を運び、北海道から福岡県まで講演に出向いた。渡嘉敷島を訪れる小中高生や観光客らを「集団自決」のあった「玉砕場」近くに案内することも増えた。「本土への発信が必要」との思いを強くしたからだった。

 大会後、「(当時六歳の)子どもに何が分かるのか」とインターネット上で名指しで中傷された。同級生やこれまで口をつぐんできた島の八十代の女性から「逃げる時に、あんたのお父さんが倒れていた」などの証言を聞くことで、使命感と自信を深めていった。

 大会当日、壇上から見えた人の波。あの時のことを思い出すと今でも震えが来る。

 「五万人を超えると思ったが十一万人以上の参加者とは。大いなる勇気がわいた。沖縄戦の史実の歪曲を許さないという参加者の怒りを感じた。沖縄の平和学習は十分に機能していた」

 元中学校長として喜びも感じていた。

 「県民大会を契機に『集団自決』が起きた背景に理解は広がっている。日本軍のいない島で『集団自決』は起きていない。軍強制を否定する中傷などは認識不足だ」と、じっと前を見据えた。

 だが、教科書検定意見の撤回と「軍強制」の記述回復の願いはいまだ実現していない。「(政府が)検定意見を撤回しないのは『集団自決』が『尊厳死』、『家族愛による死』だったとしたいからではないか。日本を戦争のできる国にしようとする動きと一致している」と話す。「歴史の歪曲は絶対に許せない。このままでは沖縄戦の時のように国の捨て石にされてしまう」

 県民大会の会場だった公園では小学生がサッカーの試合をしていた。吉川さんは児童をながめながら言葉に力を込めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-M_1-021-1_001.html

 

2008年09月29日 沖縄タイムス社説

[県民大会から1年]

継承への確かな道筋を


 沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」は、当事者にとって、言葉では尽くせない「語り得ぬ体験」だった。

 苦痛に満ちた体験の重さに比べると、言葉はあまりにも軽く、語ろうとする瞬間に、記憶の淵から、死んだ子どもや親の姿が立ち現れ、心をかき乱す。

 当事者が過酷な体験を語り始めたのは「集団自決」に関する教科書記述が文部科学省の検定によって書き換えられたからだ。

 宜野湾海浜公園で開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から、きょうでちょうど一年になる。

 お年寄りから子どもまで、世代を超えて集まった、あの圧倒的な人の波は何だったのか、とあらためて思う。この一年の間に、何が、どう変わったのだろうか。

 「沖縄戦体験の風化」という言葉がこれまで、幾度となく使われてきたが、県民大会が示したものは、沖縄戦に関する個人の記憶が家族の記憶として受け継がれ、地域の記憶・集団の記憶として共有されているという事実だったのではないか。

 県民大会を契機に、県内の高校教師を中心に、平和教育の新たなあり方を模索する動きが広がっている。全国的にも、教科書検定や「集団自決」問題を一から学び直そうという取り組みが増えた。

 体験者の証言を幅広く聞き取ることができるのは、あと十年かそこらだろう。この限られた時間に、史実を踏まえた体験継承の確かな道筋をつけること。それが今、私たちに求められている。

 文部科学省は、検定によって日本軍による「強制」の表現を削除した。超党派の県民要求を背景に、教科書会社はあらためて該当部分の訂正を申請し、その結果、「強制」が「関与」に変わった。

 軍の関与という形で記述が復活したのである。しかし、検定意見そのものは依然として撤回されていない。

 二〇〇五年度まで軍の強制記述が認められてきたにもかかわらず、〇六年度用教科書にクレームがついたのは、安倍晋三政権の誕生と無関係ではない。

 安倍政権を取り巻く政治的空気に応える形で、教科書調査官が検定意見の原案をまとめ、それが沖縄戦専門家のいない審議会で通ってしまったのだ。

 検定制度の透明性をどう確保していくか。これもまた、今回の問題が提起した重要な課題であるが、具体的な改善策はまだまとまっていない。

 作家の大江健三郎さんらを被告とする「集団自決」訴訟で大阪地裁は三月、元戦隊長が「集団自決に関与したことは十分に推認できる」との判断を示した。

 

 名誉棄損で訴えたにもかかわらず、元戦隊長は大江さんの著作『沖縄ノート』を「提訴後に初めて読んだ」のだという。

 原告側の主張は、係争中でありながら、教科書検定の検定意見に反映された。

 原告の主張を退け、住民の証言に重きを置いた地裁判決は、この問題を考える上で里程標になるものだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-M_1-005-1_001.html

 

琉球新報 社説

歴史教科書検定 県民大会要求実現は道半ば 2008年9月29日

 教科書検定意見撤回を求める県民大会からきょう29日で1年を迎えた。

 「集団自決」(強制集団死)の日本軍強制の記述復活を求め、11万6000人(主催者発表)が参集した大会は、政府を突き動かす原動力にもなった。

 その後、教科書会社6社の訂正申請を教科用図書検定調査審議会(検定審)が承認し、それを受けて渡海紀三朗文部科学相(当時)もすべて承認した。

 訂正申請で「集団自決」の背景・要因が詳しく記述されたことは県民大会の成果の一つである。その一方で、「日本軍の強制」の明確化は認められなかった。

 県民大会で決議した教科書検定意見の撤回と記述の回復には至っておらず、まだ道半ばである。

 検定審は「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現である」との検定意見を付して「集団自決」での日本軍の「命令」「強制」などの表現を削除、修正させた。その検定意見が撤回されない以上、歴史教科書問題は解決したとは言えない。

 県民大会後、検定審は日本軍の「直接的な命令」「強制」についての断定的記述は「生徒が誤解する」との指針をまとめ、訂正申請した教科書会社に通知していた。

 歴史教科書問題に対する検定審の姿勢は何ら変わっていないのである。

 にもかかわらず、この間の県民運動は停滞している感が強い。

 文科相の訂正申請承認後、自民党県連は「100パーセント満足できる結果ではないが、実行委員会の役割は終わった」として、県民大会実行委の解散を提起する方針を決めるなど、超党派組織は事実上崩壊している。

 県民大会実行委員長の不在も約3カ月続いている。

 歴史的事実は一つであり「100パーセント満足できる結果」が得られない限り、県民運動は継続する必要がある。

 次代に正しい歴史を伝えることは、県民の責務である。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136634-storytopic-11.html

 

2008年09月29日【夕刊】 政治

沖縄言及「振興」のみ 基地は触れず/麻生首相が所信表明

 【東京】麻生太郎首相が二十九日の所信表明演説で沖縄関係に触れるのは、「地域の再生」のテーマで、「沖縄の声に耳を傾け、沖縄の振興に引き続き取り組みます」と述べる部分のみ。

 県内基地問題への言及はなく、福田康夫前首相の昨年十月の所信表明演説と比べて減少する。

 福田前首相は、在日米軍再編に関連して「抑止力の維持と負担軽減という考え方を踏まえ、沖縄など地元の切実な声に耳を傾けて、地域の振興に全力を挙げて取り組みながら、着実に進める」と述べていた。

 麻生首相は、福田前首相のように基地問題への取り組みの中で沖縄の問題に触れる形ではなく、地方分権や災害対策などに触れる「地域の再生」に盛り込む。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-E_1-001-2_001.html

 

2008年09月29日【夕刊】 社会

平和学び1年 10代が映像化/9・29県民大会取材 さらに掘り下げ

那覇西高放送部 「私も歴史受け継ぐ側」


 沖縄戦を伝えることの大切さと難しさをテーマに、那覇西高校放送部がちょうど一年前のきょう、宜野湾市内で開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」や慰霊の日などの記録をまとめたビデオを制作している。県民大会での取材をきっかけに、ガマめぐりや体験者の証言聞き取りなど一年間かけて学び、約八分の作品にまとめる。十一月の九州高校放送コンテスト県予選に出品する予定だ。(宮城貴奈)

 県民大会の模様を昨年十一月の九州高校放送コンテスト県予選に盛りこむ予定だった部員たち。「自分たちが勉強不足のままで、いい作品はできない」と資料の読み込みや体験者へのインタビュー、ガマ体験など平和学習と制作期間に一年以上かけた。

 会場の中央で、額の汗をぬぐいながらじっと舞台を見つめるお年寄りや若者のまなざしを撮影した平田愛莉さん(二年)。県民大会に参加した際、「自分も(すでに)沖縄戦を受け継ぐ側になっている」と実感した。

 ただ、部員たちは自ら積極的に史実を学ばなければ教科書の記述に誤りや間違いがあっても、そのまま次の世代に伝えてしまうのではないかとの思いを強くしたという。「これで本当に受け継ぐことができるのか」との疑問が沖縄戦をあらためて学び直すきっかけになった。

 今後は、県民大会を取材した県外の高校と、沖縄戦をテーマに学ぶ交流も計画されている。部員らは「使っている教科書や県民大会、沖縄戦についてどう考えるか意見交換、制作したビデオも見てほしい」と県外の高校生との交流に期待を寄せている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-29-E_1-005-2_002.html

 

2008年09月30日【朝刊】 政治

外出禁止令を緩和/在沖米海兵隊/カード別 午前2時も

 【北中城】在沖米海兵隊報道部は二十九日、在沖を含む国内の海兵隊と海軍兵士の外出禁止令(午前零時―午前五時)を緩和し、上官に素行が優良と判断された兵士については適用外とすると発表した。新たなリバティーカード制度として、米兵をゴールドカード、レッドカード、カード非保持者の三種類に分け、ゴールド保持者は午前二時まで基地外で飲酒できるとした。

 一方、レッドカード保持者は四月から適用されている外出禁止令を継続。その上で、公務外では基地外での単独行動を認めずに二人一組で行動するリバティ・バディ制を義務づけた。

 同報道部によると、レッド、ゴールドの資格は兵士の所属する部隊長が「成熟度」で判断し決定するとして、割合や人数は把握していないという。カード非保持者は、新たに沖縄駐留した兵士で、沖縄の文化などを学んだ後にレッドカードが与えられる。

 在日米海兵隊トップのリチャード・ジルマー在日米海兵隊基地司令官(中将)は同日、新しい外出禁止措置を定めた指令に署名。「効力を発揮し、事件・事故は減少傾向にある。今後も、県民のよき地域メンバーになる努力を続けたい」とのコメントを発表した。

 同措置はキャンプ富士(静岡県)と岩国基地(山口県)にも適用される。在沖米軍は二月の米兵暴行事件後、家族を含めた全面外出禁止措置をとっていたが、その後緩和している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-30-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月30日【朝刊】 社会

米軍消火ヘリ民間地で取水/金武町屋嘉

 

キャンプ・ハンセンの山火事で、民間地の貯水池から水をくむ米軍の消火用ヘリ=26日、金武町屋嘉

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ5」付近で二十六日に発生した山火事で、米軍の消火用ヘリが、同町屋嘉区の農業用貯水池から無断で取水していたことが二十九日、分かった。同町によると、キャンプ・ハンセンの火事では、通常、施設内のダムや消火用プールから取水して消火活動に当たるが、民間地からの取水はこれまで例がないという。

 町や区には、事前事後の連絡は一切なかった。地元では、今後取水が恒常化し、特に夏場や干ばつ時などの使用に懸念が広がっている。地元住民によると、ヘリは二十六日午後五時すぎから日没までの間、十回程度取水したという。貯水池は区が管理しており、来年度から本格的に供用開始される。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-30-M_1-025-1_003.html

 

2008年09月30日【朝刊】 社会

「軍強制」記述回復を/県民大会1年/6団体、検定撤回求め声明

 二〇〇六年度高校歴史教科書の検定で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から、「日本軍強制」の記述を削除したことに抗議する「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から一年たった二十九日、県子ども会育成連絡協議会など六団体が、文部科学省に、検定意見撤回など大会決議の実現を求める声明を発表した。

 声明は、沖子連、県婦人連合会、県PTA連合会、県老人クラブ連合会、県青年団協議会、元女子学徒隊でつくる「青春を語る会」の六団体の連名で発表。

 文科省が県民大会以降も検定意見を撤回せず、日本軍強制の記述を認めていないことなどを批判し、十一万六千人が参加した県民大会で「県民がなぜ怒ったのか、何に対して怒ったのかまったく理解していない」と指摘。「私たち県民は無理難題を求めているわけではない。沖縄戦の事実は事実として教科書に残すべきであり、ゆがめてはならない」と訴えた。

 その上で今後、中学校教科書の検定でも、沖縄戦の史実のわい曲が懸念されるなどとし、「現状はまだ道半ば。六団体は結束を強めながら奮闘する」とアピールした。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-30-M_1-024-1_002.html

 

琉球新報 社説

所信表明演説 抽象論では響かない/「逃げない論戦」を期待 2008年9月30日

 2代続けて、宰相が政権を投げ出し、その間の政治空白が国民生活に影を落としている。この国の経済立て直しを具体的にどうするのか。最も問われている。

沖縄への言及後退

 麻生太郎首相は、自らの政治姿勢を明らかにする所信表明演説を29日の衆参両院本会議で行った。首相の演説に国民が期待したものは、財源や経済成長率の回復に向けた道筋だった。

 48・6%の支持率という低空飛行で始まった国民の麻生首相への期待は、芳しくない。

 首相は、経済立て直しについて、3段階で取り組むことを強調した。景気対策に続き、財政再建を第2段階とした。経済成長をより重要とし、第3段階では規制改革などによる成長を提示した。

 しかし、改革による成長については「日本経済の王道をゆくことだ。新たな産業や技術を生み出すことにほかならない」と具体性を欠き、加えて「改革すべきは規制や税制。廃すべきを廃し改めるべきは改める」などとスローガン的な抽象論が続き、胸に響かない。

 「強い日本と明るい日本」の麻生流日本観で始まった所信だったが、経済成長に対し「勤勉な国民」「優れた科学と技術の力」というわが国の強みを挙げたものの、抽象的な言葉の羅列となり、新味に乏しく、根拠の薄い楽観論が目立った。

 沖縄への言及は後退した。橋本龍太郎氏以降、所信表明、施政方針の各演説で沖縄の基地問題に対する考え方について取り上げる傾向にあった。

 政権後半では、米軍再編問題に触れないこともあった小泉純一郎氏も、政権前半は日米安保体制が有効的に機能することを強調し、基地問題への姿勢を示した。

 麻生首相は、「地域の再生」の項目の中で、観光庁の新設に触れた上で「沖縄の声に耳を傾け、沖縄の振興に引き続き取り組む」と続けた。沖縄振興について示したが基地問題には一切触れなかった。

 観光庁新設がなぜ、沖縄の振興につながるのか。脈絡も不自然で理解し難い。「取って付けた内容」と言われてもやむを得まい。

 麻生首相は、外相として普天間移設にかかわってきたが、強い関心を寄せて取り組んできたという印象は薄い。首相として基地問題への姿勢をより具体的に示してもらいたかった。

 麻生首相の所信表明は、就任直後としては安倍晋三氏、小泉氏より分量が少ない。分量の多寡が必ずしも政策に対する姿勢に反映されるわけではないが、首相の決意に確信を持つだけの説得力があった内容とは言い難い。

 インド洋での海上自衛隊による給油活動では、重要性を強調した。「対米追従」の批判がある日本の国際貢献について「わが国の国益をかけ、わが国自身のためにしてきた」と理由付けた。

不都合に「ふた」

 その上で「国際社会の一員たる日本が活動から手を引く選択はあり得ない」とした。日本の国際貢献は、給油活動しかないという前提で、その是非を民主党に求めている。十分な論議なしに再び成立を急ぐことは避けるべきだ。

 いずれの政策理念についても、民主党に問う形にし、対立を鮮明にする所信表明演説は、解散総選挙を強く意識したものだ。

 小泉氏以降、歴代首相が必要性を指摘してきた消費税増税には触れていない。選挙で不都合なものにはふたをする演説となり残念だ。

 首相は「日本と日本人の底力に一点の疑問も抱いたことがない」と強調した。さらに「わたしは決して逃げない」と言い切った。

 投げ出した宰相らに続く自民党政権の信頼回復は容易ではない。逃げない論戦を期待する。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136662-storytopic-11.html

 

2008年10月01日【朝刊】 政治

GBS訓練嘉手納からグアム移転 米軍計画

 米空軍嘉手納弾薬庫地区内シルバーフラッグサイトで行われている訓練機能をグアムに移転する計画があることが三十日、分かった。米空軍によると、嘉手納基地に駐留している第五五四レッドホース部隊第一分遣隊の拠点もグアムに移る。同地区では模擬爆発装置を使用した基地修復訓練などが行われており、地元嘉手納町民が訴えていた騒音の一部緩和につながるか注目される。

 米軍のグアム軍事統合計画の一環で、米海軍省がまとめた報告書に盛り込み、ウィンター米海軍長官が九月十五日、米議会に計画を提出した。シルバーフラッグサイトの機能移転について、防衛省は「聞いたことがない」としている。

 報告書は、グアムのアンダーセン空軍基地のノースウエストフィールド地区に、在韓米空軍の工兵部隊などと、嘉手納で行われてきた米太平洋空軍の各工兵隊部隊の即応訓練機能を一カ所にまとめる計画を盛り込んでいる。ノースウエストフィールド地区は、嘉手納の分遣隊に加え、韓国・烏山基地の第五五四レッドホース部隊、キャンプ・ハンフリーズの第六〇七戦闘通信中隊などの新拠点になる。

 基地修復訓練は、基地が攻撃されたことを想定した即応訓練。滑走路の修繕などを行うが、模擬爆発装置や地上爆発模擬装置(GBS)による爆発音や煙幕について、嘉手納町には住民の苦情が相次いでいた。

 二〇〇四年十二月には近隣の嘉手納高校に煙幕が流れ込み、生徒らが目やのどの痛みを訴え、教室外に避難する騒ぎもあり、宮城篤実嘉手納町長や町議会が、訓練中止とシルバーフラッグサイトの移転を求めた経緯がある。(吉田伸)

[ことば]

 シルバーフラッグサイト 米空軍が世界中で3カ所保有しており、有事に備えて滑走路の早急な修復作業など基地修復訓練などを行う。嘉手納弾薬庫地区はその一つで、アラスカやグアム、韓国など太平洋地区の米空軍の工兵部隊が訓練を行っている。そのほか、フロリダ州ティンダル空軍基地と、ドイツのラムシュタイン空軍基地にある。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-001-2_002.html

 

2008年10月01日【朝刊】 社会

負担減に光 住民歓迎/嘉手納訓練移転

計画説明なく不満も


 【嘉手納】米軍嘉手納弾薬庫地区内のシルバーフラッグサイトで行われている訓練機能のグアム移転計画に、地元の嘉手納町からは「ようやく負担軽減が見えてきた」など歓迎する一方で、政府や米軍から詳細な説明がないことに不満の声が上がった。

 嘉手納町によると、同地区内では模擬爆発装置を使用し、爆発音や発煙などを伴う基地修復訓練などが年間約十回程度行われている。本年度は四、五月に計四回実施されている。

 宮城篤実町長は「まったくの初耳。事実であれば歓迎だが何の説明もない。正式な連絡を待って対応を検討したい」と話した。

 同町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「被害に苦しむ住民の声が反映された。移転時期などの詳細を早期に公開してほしい」と求めた。

 嘉手納弾薬庫地区に近い同町東区の島袋敏雄区長は訓練について「事前に連絡されても、戦時中を思い出すお年寄りもいて、爆発音に精神的な苦痛を感じている。嘉手納の訓練は激しすぎる。今後も負担軽減に向けた取り組みを続けてほしい」と要望した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-031-1_003.html

 

2008年10月01日【朝刊】 社会

「平穏戻せ」勝利誓う 新嘉手納爆音控訴審きょう結審

原告「一審覆す」


 【沖縄】米軍嘉手納基地の周辺住民五千五百四十一人が、日米両政府に夜間と早朝の飛行差し止めと、損害賠償などを求めている新嘉手納爆音訴訟控訴審は一日、福岡高裁那覇支部で結審する。原告らは三十日夜、「沖縄市民小劇場あしびなー」で前夜集会を開き、飛行差し止め請求を棄却し、損害賠償の救済枠を一気に狭めた二〇〇五年の一審判決について「不当判決を覆すため最後まで戦おう」と気勢を上げた。

 集会には原告や弁護団、支援者ら約百人が参加。仲村清勇原告団長は「嘉手納基地は機能強化が進み、多数の外来機も使用し地域に爆音をふりまいている。県民の願いとは逆行している。なんとしても一審判決をひっくり返すため、最後まで頑張ろう」と呼び掛けた。

 池宮城紀夫弁護団長は「賠償金さえ払えば、米軍のやりたい放題を黙認するというのが国の姿勢。われわれの目的は賠償ではなく、静かな夜を返せというのが(旧訴訟から)二十六年の思いだ」と訴えた。

 集会の通知など裏方として、裁判闘争を支えてきた玉那覇ヤス子さん(57)=沖縄市=は「わたしは原告ではないが、思いは一緒。被害に苦しんでいる住民の声に耳を傾け、良識ある判断をしてほしい」と話した。

 全員でガンバロー三唱したほか、「嘉手納基地の爆音は深夜、早朝を問わず、まさにわが物顔で住民の頭上を飛び交っている。一審不当判決をひっくり返し、W値(うるささ指数)七五、八〇地域の救済と健康被害の実態を明らかにし、勝利を勝ち取ろう」とする大会アピールを採択した。

 一日の最終弁論では、原告団から六支部(北谷、嘉手納、具志川、石川、沖縄、読谷)の代表と弁護団がそれぞれ意見陳述する予定。二〇〇八年度内に判決が出る見通し。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-031-1_001.html

 

2008年10月01日【朝刊】 政治

代替施設建設 要請せず/県議会一般質問

知事訪米で公室長強調「日米合意済み」


 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会は三十日、一般質問二日目の質疑を行った。知事が、年明けに予定している訪米の際に要請すると表明している在日米軍再編の確実な実施について、上原昭知事公室長は「海兵隊のグアム移転」「嘉手納飛行場より南の施設・区域の返還」に限ると説明。「代替施設の建設は日米両政府で合意されており、米国政府に要請する必要はない」と述べ、普天間飛行場代替施設の建設促進は求めない方針をあらためて示した。

那覇空港 民間専用化求めず

 那覇空港の民間専用化について、上原良幸企画部長は「滑走路増設に当たり、国は自衛隊が将来も現状通り利用することを前提に検討している。共同使用について引き続き安全管理の徹底を求めていく」と述べ、民間専用化を要請する考えのないことを明らかにした。いずれも新里米吉氏(社民・護憲)に答えた。

 上原部長は、県が返還要請の方針を示した久米島射爆撃場の訓練空域について「那覇、久米島間を運航する民間航空機は、制限空域を迂回して運航せざるを得ない状況」と説明。「解除された場合は、飛行距離が短縮され、運航コストの削減や運航時間の短縮が図られると考えている」と述べた。新垣安弘氏(民主)に答弁。

 仲村守和教育長は、県内公立学校普通教室のクーラー設置状況(四月現在)が小学校46・3%、中学校48・1%、高校81・7%、特別支援学校100%だと説明。二〇一一年度までに小中学校60%、高校100%の整備を目標にしていることを明らかにした。渡久地修氏(共産)に答えた。

 国が本年度、学童クラブの運営補助金の一部を増額したにもかかわらず、県内では前年度並みに抑えられた問題について、伊波輝美福祉保健部長は「補正予算計上やそのほかの方法がないか検討したが、厳しい財政状況で財源確保の見通しが立たず、対応できなかった」と明らかにした。赤嶺昇氏(民主)に答弁した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月01日【朝刊】 社会

嘉手納基地40億円学校/県内中学校と1人340万円差

 米軍嘉手納基地内に日本政府が約四十億円かけて新設した中学校「リュウキュウミドルスクール」(生徒数約六百人)について、仲村守和教育長は三十日、同スクールと県内中学校の工費を生徒一人当たりで比較すると、約三百四十三万三千円の差があることを明らかにした。

 同スクールと県内中学校との比較は「アメリカの学校設置基準などが確認できず、一概に比較することは難しい」としつつ、「県民感情からみて、同じ県内で大きな差があることは、好ましいことではないと考えている」と語った。

 県議会九月定例会一般質問で、渡久地修氏(共産)の質問に答えた。

 同スクールの用地面積は、太平洋最大の約十六万千八百平方メートルで、建物面積は一万四千平方メートル。四百メートルトラックや水泳プール、ソフトボール場などが整備されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-M_1-031-1_004.html

 

2008年10月01日【夕刊】 社会

新嘉手納爆音訴訟が結審 来年2月に判決

 米軍嘉手納基地の周辺住民五千五百四十一人が、日米両政府に夜間・早朝の飛行差し止めと、国に損害賠償を求めている新嘉手納爆音訴訟の控訴審の第十六回口頭弁論が一日、福岡高裁那覇支部(河邉義典裁判長)であった。住民側は、主張を総括した九百二十七ページの最終準備書面を提出。各地域の原告六人と弁護団が意見陳述で、騒音被害の実情や控訴審判決への願いを法廷で語り、飛行の差し止めや損害賠償請求を大幅に退けた一審判決を取り消すよう訴えた。弁論は終結し、判決は来年二月二十七日午後一時半に言い渡される。

 原告の住民側は最終書面で、一審・那覇地裁沖縄支部判決が退けたW値(うるささ指数)七五―八〇地域の騒音実態について、控訴審で提出した原告約五百人分の陳述書などをもとに、騒音の程度が減少していないことを強調。国の騒音測定や評価方法は、実態を過小評価していると批判した。また一審判決が否定した騒音と聴力損失などの因果関係や、睡眠・生活妨害の事実を重ねて指摘。新たに騒音による心疾患で死亡する危険性と、インフルエンザで死亡するリスクが、数値的にほぼ変わらないとする専門家の研究結果などを主張に盛り込んだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-E_1-001-2_002.html

 

2008年10月01日【夕刊】 社会

勝利信じ 原告気勢/新嘉手納爆音訴訟結審

「静かな生活」訴え/仲村団長「現状絶対許さぬ」


 本島中部に住む五千五百人余もの原告が爆音被害からの解放を求めているマンモス訴訟の控訴審が一日、結審した。旧訴訟の提起から二十六年。米軍嘉手納基地の周辺住民や原告弁護団は意見陳述で、「人間らしい静かな生活を送りたい」というささやかな願いさえかなわない日常にあらためて怒りの声を上げ、戦後六十三年を経た沖縄の現状を「形を変えた戦場だ」と切々と訴えた。

 二〇〇五年の一審判決では、受忍限度対象地域をうるささ指数(W値)八五以上に引き上げ、旧訴で認められた七五以上から狭めた。意見陳述で、W値八〇区域に住む國場長信さん=旧具志川市=は「大型輸送機がゴォーンと地響きがするような音をまき散らしている。睡眠を妨害され、家族団らんを壊され、健康に不安を抱えながら生活している」。W値九〇区域の比嘉貞子さん=北谷町=は「砂辺で育ち、結婚し、子どもを育てたが、五十年以上爆音にさらされている。せめて夜の間だけでも静かになることを願う」と語った。

 池宮城紀夫弁護団長は「戦後六十三年、米軍統治二十七年、日本復帰から三十六年経つが、中部地域を中心に沖縄全体が形を変えた戦争状態だ」と変わらない基地被害を指摘した。

 原告の住民ら約三百五十人はバス七台に分乗し、午前十時の開廷前に福岡高裁那覇支部に到着。事前集会では、支援者も含め約五百人が「頑張ろう三唱」で気勢を上げた。

 結審後、仲村清勇原告団長(71)は「言うべきことはすべて言った。一審判決を覆すような納得できる結果を期待している」と話した。また、米国が応訴しないことを正式に表明していたことについて原告側の田村ゆかり弁護士は「米国は日本に自らの権益を主張してくださいと言い残し、訴訟の場から逃げてしまった。原告らの思いがこもった、訴状は送達すらされていない」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-01-E_1-005-2_001.html

 

2008年10月02日【朝刊】 政治

知事訪米予算 削除へ/野党決定 移設推進伝達危ぐ

 県議会の野党六会派は一日夜、代表者会議を開き、九月定例会に提案されている仲井真弘多知事の訪米予算約千四百万円を認めず、補正予算案から削除することを決めた。知事が訪米目的として挙げる「在日米軍再編の確実な実施」の中に、野党が反対する米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が含まれ、知事が米側に移設推進の考えを伝える可能性があると判断した。知事訪米は一九八五年から行われているが、予算が削られるのは初めて。

 代表者会議後、会見した最大会派社民・護憲ネットの新里米吉団長は、知事訪米の意義に理解を示しつつ、「野党も納得できる要請内容にすべきだ。知事の一方的主張は認められない」と強調。六月定例会で野党多数で可決した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」の考え方とは相いれないとした。

 今後、補正予算関連の質疑が行われる総務企画委員会で予算案の修正に着手するという。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-02-M_1-001-1_004.html

 

琉球新報 社説

「新嘉手納」結審 爆音苦の解消促す判決を 2008年10月2日

 米軍機の夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた新嘉手納爆音訴訟の控訴審が1日、福岡高裁那覇支部で結審した。

 昼夜を問わず、爆音にさらされている住民が、夜間だけでも平穏に生活したいと要求するのは当然である。戦後63年の長きにわたり、その権利を制限できるものではない。

 住民の爆音苦の解消を国に促すことを控訴審判決には求めたい。

 一審判決は「静かな夜を」との住民のささやかな願いを踏みにじっただけでなく、これまでの各訴訟で賠償対象とされてきたうるささ指数(W値)75―80の地域を「騒音は軽減傾向」として賠償対象から外した。

 日常的に被害を受け続ける状況は何ら変わっていない。にもかかわらず、不備が指摘される国の測定結果を基に「軽減傾向」というあいまいな判断基準で、W値75―80地域の住民を切り捨てるのは乱暴にすぎた。

 まがりなりにも、これまでの各判決で確立された基準を変更するには、合理的でなければならないはずである。

 控訴審判決は、一審判決を揺り戻すだけでは十分とは言えない。

 原告側の要求はあくまでも夜間の飛行差し止めである。一審判決は「国の支配の及ばない第三者の行為の差し止めを求める請求で、主張は失当」とした。

 国の提供する施設が日本国民に爆音被害をもたらしているのである。被害を受けた国民が放置させないよう求めることが、適当でないと言えるのだろうか。

 国は控訴審でも、一審判決でさえ認めなかった「危険への接近」を持ち出して賠償額の減額を主張するなど、爆音被害に加担しながら何ら反省がない。

 国は日米安保を盾に基地周辺住民に我慢を強いているばかりか、日常的に航空機事故の危険にさらしているのである。

 戦後63年余にわたって住民を苦しめる異常な状況を司法が追認することがあってはならない。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136748-storytopic-11.html

 

2008年10月03日【朝刊】 社会

アオサンゴ群落 赤信号/国際自然保護連合 絶滅危惧種に/「普天間」予定地周辺にも

 

約9メートルの高さまで成長したアオサンゴの群落=3月24日、名護市の大浦湾(伊藤桃子撮影)

 日本などの各国政府や環境保護団体でつくる国際自然保護連合(IUCN)がまとめる最新版の絶滅の恐れのある生物リスト(レッドリスト)に、沖縄県の名護市や石垣島で大群落が確認されているアオサンゴが絶滅危惧種として掲載される見通しになったことが二日明らかになった。リストは六日、スペインでの総会で発表される。

 名護市の大群落は米軍普天間飛行場の移設が予定されている同市辺野古崎から東に約三キロの地点で、建設で悪影響を受ける可能性が高い。同海域には国の天然記念物のジュゴンが生息していることも分かっており、保護を求める声がさらに強まるのは必至だ。

 アオサンゴはインド洋から太平洋にかけて分布し、骨格の内側が青いのが特徴。石垣島の世界最大の大群落が知られていたが、昨年辺野古崎沖の大浦湾でも大群落が見つかり話題を集めた。

 最近は、地球温暖化に伴う海水温上昇で起きる白化現象や病気で死ぬものが増え、観賞用に採取されるケースも目立つ。 IUCN総会に参加する世界自然保護基金(WWF)ジャパンの花輪伸一さんは「辺野古・大浦湾や白保海域の保全の重要性がますますはっきりしてきた。環境アセスメントにも影響するだろう。今回の総会は沖縄にとって大きな意味を持つ会議になる」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-M_1-001-1_003.html

 

2008年10月03日【朝刊】 社会

知事が署名 協定更新/泡瀬共同使用/米軍と13年まで 沖縄市長は拒否

 中城湾港泡瀬沖合埋め立て事業のための米軍泡瀬通信施設の保安水域共同使用協定について、仲井真弘多知事は二日、新たな更新署名を拒否していた東門美津子沖縄市長に代わり、協定書に署名した。更新期限は二〇一三年九月八日まで。

 県港湾課は「期限が切れ、再度締結すると外交上の手続きが難しくなる。従来通り継続することが妥当と判断した」とした。

 東門市長は四月、国と県に対し、同事業の一部が保安水域にかかるため「新たな基地の提供につながる」として署名しないことを通知。県は五月、沖縄防衛局に知事を署名者とする更新手続きを依頼していた。知事の署名で正式に協定が更新されたことになる。東門市長は「(署名は)県の判断。新たな基地の提供につながることはしないと市民に表明してきた基本姿勢を堅持していきたい」と話した。

基地計画再考を

 辺野古崎沖の大浦湾を調査した日本自然保護協会の大野正人さんの話 アオサンゴが世界的に減少傾向にあり、大浦湾にある大規模な群落は重要な価値を持つ。同湾は琉球列島でもほかで見られない地形的特徴があり、サンゴやジュゴンをはじめ多様な生物を支えてきた。生物多様性上重要な「ホットスポット」といえる。湾を埋め立てて飛行場が移設されれば、湾内の海流が変化するなどアオサンゴにも悪影響を与える恐れがある。基地建設計画は見直すべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-M_1-001-1_004.html

 

2008年10月03日【朝刊】 社会

F15あす未明離陸/嘉手納基地報道部発表/町、中止申し入れ

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二日、F15戦闘機十二機余りが米本国での訓練参加のため、四日午前零時から同四時にかけて、同基地を離陸すると発表した。複数のKC10空中給油機も同行する。嘉手納町によると、今年の同基地からの未明・早朝離陸は四、五月に続いて三回目。同町は二日、「土曜日である上、(町主催の)まつりがあり、町民感情を逆なでする」として、同基地などに対し、中止するよう口頭で申し入れた。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会は幹事会、嘉手納町議会(三連協)は基地対策特別委員会を三日午前にそれぞれ開き、対応を協議する。三連協の野国昌春会長(北谷町長)は「地域住民に迷惑がかかると分かりながら、実行するのは軍隊の都合を優先しているからだ」と非難した。

 F15はハワイのヒッカム空軍基地まで九時間半かけて飛行。同基地を経由し、十一月中旬までネバダ州とフロリダ州で行う訓練に参加するという。嘉手納基地は「パイロットの安全のため日照時間内に空中給油を行い、目的地に到着する必要がある」と説明した。

 また、未明離陸の回避について検討したものの「グアム経由は追加支援が必要なため、派遣がふくれあがる」などとして、安全性やコストなどを検討した上での判断としている。

 嘉手納町では四、五の両日「野國總管まつり」が予定されている。同町東区の島袋敏雄区長は「町民が楽しみにしているイベントで、東区からも大勢が参加するのに残念。深夜の爆音による健康被害も心配だ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-M_1-027-1_001.html

 

2008年10月03日【朝刊】 政治

15年までにグアム移転/嘉手納GBS訓練/施設跡利用は未定

報道部「米軍再編とは別」/本紙に回答


 米空軍嘉手納弾薬庫地区内の訓練施設(シルバーフラッグサイト)のグアム移転計画で、同施設の移転が二〇一五年までに完了することが二日、分かった。嘉手納基地報道部が沖縄タイムスの取材に答えた。同施設の移転後の使用計画は現段階では未定という。(吉田伸)

 同施設は有事に損傷を受けた滑走路などの施設の修復作業を目的に、地上爆発模擬装置(GBS)などを使い、爆発音や煙幕が発生する訓練を行っている。

 訓練の主力となっている嘉手納基地に駐留する第五五四レッドホース部隊第一分遣隊は、施設の移転に伴いグアムへ拠点を移すが、詳細な時期は今後確定するという。

 施設のグアムへの移転について、同基地報道部は「在日米軍再編とは異なり、米空軍の計画の一部」と述べた。グアムには空軍のアンダーセン基地があり、同分遣隊に加え、今年二月に韓国の韓国・烏山基地から移っている本隊などを集約して拠点化。施設も一本化させる。

 また訓練施設と憲兵隊「コマンド・ウォリアー」訓練施設も統合すると説明している。

 施設はアンダーセン基地ノースウエストフィールド地区に置く。部隊や訓練施設の集約化に向けて、約二百万ドルの予算をかけてインフラ整備などのプロジェクトに着手している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-M_1-002-1_003.html

 

2008年10月03日【夕刊】 社会

F15未明離陸中止を要求/三連協、米軍・国に

 【中部】米空軍のF15戦闘機十二機余りとKC10空中給油機複数機が米軍嘉手納基地から四日未明に離陸を予定している問題で、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は三日午前、未明離陸中止を求めて米軍などに文書で要請した。嘉手納町議会も同日の基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)で、強行されれば近日中に開く臨時会に抗議決議と意見書の両案を提出することを決めた。

 三連協は「運用上の所要は米軍の都合のみを優先したもの」「さらなる騒音被害はいかなる理由があろうと断じて容認できない」と米軍を非難。三連協が国に締結を求めている嘉手納基地使用協定で定めた午後七時―翌日午前七時までの飛行やエンジン調整を行わないこと、経由地や時間の調整により深夜早朝に飛行しないことを求めた。

 あて先は、嘉手納基地第一八航空団司令官のブレット・ウィリアムズ准将、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局。中止要請にもかかわらず強行されれば

六日に再度幹事会を開き、抗議も検討する、としている。

 一方、嘉手納町議会基地対策特別委員会では、委員から「国側が積極的に解決するという姿勢が見えない」などの意見が上がった。抗議決議と意見書の両案には、これまで日米両政府が未明離陸回避に向けて、どのように協議を進めてきたかなどを明らかにするよう盛り込む。

 北谷町議会は、六日に基地対策特別委員会(照屋正治委員長)を開いて対応を協議する。飛行した場合、抗議決議と意見書を提案する方針だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月03日【夕刊】 政治

不発弾全額負担は「困難」/政府閣議決定 処理費で見解

 【東京】政府は三日午前の閣議で、不発弾処理対策など沖縄に関係する政府答弁書七件を閣議決定した。県関係国会議員三氏の質問主意書に答えた。県が、不発弾処理費を全額国負担とする補助制度の創設を求めていることについては「国と地方公共団体の基本的な役割分担の変更は困難」と否定的見解を示した。

 県が維持・管理している不発弾の一時保管庫を国に移管するよう要望している点にも「現時点で政府が行うことは考えていない」と回答。糸数慶子参院議員(無所属)の質問に答えた。

 不発弾処理は現在、全国一律で市町村が費用の半分を負担し、残りを特別交付金で補助している。「探査や発掘」は、不発弾等処理交付金で全国一律に九割補助している。

 仲井真弘多知事は八月、政府に対し、不発弾処理費について、現行の特別交付税に代わる独自の制度を創設し、全額国庫負担とするよう要請していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-E_1-001-2_002.html

 

2008年10月03日【夕刊】 政治

訪米予算 審議注視/知事

 仲井真弘多知事は三日午前の定例記者会見で、野党が訪米予算を補正予算案から削除する方針を決めたことについて、「十二月議会もあるが、ダメとは一切考えていない。折り合いをつける用意があるのか、総務企画委員会で担当部長に頑張ってもらいたい」と述べ、委員会審議を見守る姿勢を示した。

 野党は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を含む「在日米軍再編の確実な実施」を、知事が訪米の要請内容に盛り込むことに反対している。知事は「本会議での議論を通じて、そういうあたりが論点になるのかというのが、ようやく分かった」と話した。

 「再編実施」にこだわることについては、「何も沖縄だけを対象にした再編ではない」と述べた。しかし、辺野古移設とパッケージの「海兵隊のグアム移転」「嘉手納基地より南の施設・区域の返還」については、議会答弁同様に「しっかり進めたい」と述べた。

 嘉手納基地のF15戦闘機が四日未明・早朝の離陸を計画していることに関しては「(四日は)行けたら行こうと思っている。すさまじい爆音をきちっと見て感じてきたい」と述べた。

 中城港湾の泡瀬沖合埋め立て事業で、米軍泡瀬通信施設の保安水域にかかる共同使用協定の更新について、拒否した東門美津子沖縄市長に代わって知事が署名したことについて、「沖縄市も承知しており事業の必要性は理解いただけると思っている」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-03-E_1-001-2_003.html

麻生内閣が発足/沖縄通去り不透明 米原潜ホワイトビーチ寄港、30回目 知事訪米費、認めず/県議会野党6会派、方針確認 鳥島射爆場、返還要求へ 検定意見撤回へ決意/県民大会1周年で集会 など 沖縄タイムス関連記事・琉球新報 社説(9月25日から28日)

2008年09月25日【朝刊】 政治

麻生内閣が発足/沖縄通去り不透明

普天間移設作業 停滞も/事務方、政権の行方注視

 自民党の麻生太郎総裁(68)は二十四日、国会で第九十二代首相に選出され、皇居での認証式を経て自民、公明両党連立の麻生内閣が発足した。官房長官に河村建夫元文部科学相、外相に中曽根弘文元文相、防衛相は浜田靖一元防衛副長官を起用し、普天間飛行場移設問題に携わる閣僚を一新した。同問題は事務レベルの作業班で協議が進んでいるが、沖縄の意向に柔軟に対応してきた事務方トップの二橋正弘官房副長官も漆間巌前警察庁長官と交代。沖縄問題に精通した首脳陣の刷新に、関係者からは「移設作業が停滞しないか」と懸念する声が上がる。(東京支社・島袋晋作、西江昭吾)

求心力低下

 「全くの想定外。意図が全く分からない」

 普天間移設問題では、県が求める政府案(V字案)の沖合移動などをめぐって強力な指導力を発揮した町村信孝官房長官の後任人事が焦点だった。沖縄とのかかわりが薄く、安全保障関係に精通していない河村氏の起用に、防衛省幹部は首をかしげる。

 町村氏を支えた二橋氏も交代することで、同幹部は「官邸の求心力は低下する」と指摘する。

 政府は普天間移設を防衛省が主導してきた昨年まで、日米合意案(V字案)を受け入れさせようと北部振興事業、再編交付金を凍結するなど強引な手法を展開。沖縄の政府への不信感は頂点に達し、移設問題は膠着状態に陥っていた。

 しかし昨年九月に発足した福田内閣で官房長官に就任した町村氏は、二橋氏とともに沖縄からの信頼回復に力を注いだ。県が求めるV字案の沖合移動についても、柔軟な姿勢を示し、防衛省の担当者を一掃するまで徹底した。

 これらの経緯を知る政府関係者は「これまでが特別だった」と振り返る。

情勢は混沌

 ただ同関係者は、今年八月に設置した普天間飛行場の危険性除去と代替施設の建設計画・環境影響評価に関する二つのワーキングチームの存在を強調。「大臣が誰になろうと、事務作業は淡々と進める」と強気の姿勢。別の防衛省幹部も「ワーキングチームを設置していて良かった」とする。

 だが、十月上旬にも衆院が解散され、総選挙が実施される見通しの下、政府内では「民主党政権になったら、日米合意ごと吹き飛ぶ」「民主党といえども普天間の方針は変えられない」など憶測が飛び交っており、普天間をめぐる情勢は混沌としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-002-2_001.html

 

2008年09月25日【朝刊】 社会

米原潜ホワイトビーチ寄港、30回目/18分間沖合停泊後に出港

 県基地対策課は二十四日、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦アッシュビル(六、〇八二トン)が同日午前九時四十六分、うるま市勝連の米軍ホワイトビーチに入港したと発表した。補給・維持が目的。十八分間、沖合停泊し、出港した。

 原潜の県内寄港は今月二十日の同じアッシュビル以来。今年に入って三十回目で、年間最多寄港数の更新が続いている。復帰後の県内寄港は三百八回目。

 文部科学省の調査結果によると、放射能の値は平常と同じ。

 県基地対策課は二十三日、外務省日米地位協定室に対し、ファクスで寄港増加の理由や安全性の確保を求めている。同型のヒューストンが放射性物質を含む冷却水漏れ事故が発覚して以来、県は外務省に寄港前日に同様の要請を続けている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-028-1_003.html

 

2008年09月25日【朝刊】 社会

再訂正申請を要請へ/高校社会科教員らが文書

 県立学校の社会科教員らが高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」から日本軍の強制を示す記述を削除した文部科学省の教科書検定に抗議し、教科書会社や教科書協会に、記述の再訂正申請などを求める要請文を送付することが二十四日、分かった。全県立高校と特別支援学校の社会科教員の同意を取り付け、各校の連名で今月末に送付する。

 要請文は、沖縄戦の史実を生徒らに伝えるため、八月末に社会科教員の集会を開いた有志を中心に作業。昨年九月二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から一年を迎えるのに合わせた取り組み。要請文は「集団自決」など沖縄戦に関する記述について「教科書によって差があり、生徒の信頼をなくしかねない」と指摘している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-029-1_008.html

 

2008年09月25日【朝刊】 政治

浦添市議会、臨港道路関連費を可決/市が40億円保証

 【浦添】臨港道路(浦添線)整備のため米軍キャンプ・キンザー(牧港補給地区)沖合約十八ヘクタールを埋め立てる計画で、浦添市議会は二十四日の本会議で、事業主の市土地開発公社の費用負担約四十億円を市が担保し、民間金融機関から融資を受ける補正予算案を賛成多数で可決した。

 同事業ではこれまで、公社側が事業実施に必要な環境アセスメントを終え、漁業者からも同意を得ている。事業に伴う提供水域の全面返還も日米間で合意に達し、二十二日、那覇港管理組合に埋め立てへの免許願書を提出した。

 一九八七年三月に市の第二次総合計画のマリントピア構想を端緒とする西海岸開発計画は、二十年余りで着工への見通しがついた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-002-2_003.html

 

2008年09月25日【夕刊】 政治

知事、訪米の意義強調/県議会代表質問/建築確認で支援機関

 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会の代表質問が二十五日午前、始まった。仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場の危険性除去のため、来年一月以降に予定している訪米について「大統領選の直後で、次期政権の人選や外交・防衛政策の調整が行われる時期。政策形成に影響力を持つ米側の関係者に実情を理解してもらい、情報収集と意見交換を行うことは大変重要なことだ」と意義を強調した。具志孝助氏(自民)の質問に答えた。

 今月五日に、普天間飛行場移設問題に対する「県の考え方」を発表した理由を「移設問題に対する私の姿勢が県民や県議会に十分に理解されていないように感じた。移設の必要性や県の取り組み、今後の進め方について九月議会の前に公表した」と説明した。

 同飛行場の危険性除去について、上原昭知事公室長は「訓練の分散移転など、抜本的な改善措置が必要」と述べた。

 改正建築基準法に基づき建築確認申請が厳格化され住宅着工数が低迷していることについて仲井真知事は、構造技術者の確保や育成を図る「県建築設計サポートセンター(仮称)」を国や建設関係団体と連携して立ち上げることを明らかにした。

 那覇空港の滑走路間隔千三百十メートル案について上原良幸企画部長は「ターミナル配置などの条件が整えば、空港能力が最大二倍になる可能性があり、発展に十分対応できる。デメリットは航空機のターミナルまでの走行距離が長くなり、燃費がかさむ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-001-2_002.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

「集団自決」記述、「軍関与」復活を評価/塩谷文科相/「強制」に言及せず

 【東京】塩谷立文科相は二十五日午前、就任会見を行い、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書記述で、昨年の訂正申請によって「軍の関与」は復活したものの「強制」は認められなかったことについて「教科書発行社から申請があり、具体的な手続きを踏み、訂正されたことは良かったと思う」との考えを示した。

 塩谷氏は沖縄戦について「実際に住民を巻き込んだ悲惨な戦いだった」と指摘。しかし、教科書記述で沖縄側が、「関与」ではなく「強制」の文言の復活を求めていることへの見解については言及を避けた。

 また、教科書検定審議会の作業部会が、検定制度見直しの議論が進んでいることについては「透明性の向上などの必要性を専門的な見地から論議されるよう促していきたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_002.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

原子力空母横須賀配備/うるま市長「歓迎せず」/県内団体、艦載機訓練増を危ぐ

 県内関係者らも原子力空母の配備に対し、「安全性があいまい」「艦載機の沖縄飛来が増加、うるささが増す」と反対の声を上げた。

 原潜が寄港する米軍ホワイトビーチを抱えたうるま市の知念恒男市長は「歓迎しない。『原子力』と付く艦船は日本に入港してほしくない」と批判した。在日米海軍司令部から横須賀での入港式典の招待状が届いたが、返事はしなかったという。知念市長は、その理由として「一番大事なことは市民の安全、安心を守ることだ」と強調した。

 平和運動センターの山城博治事務局長は同日午前、横須賀港で海上抗議行動に参加。山城事務局長は、原子力潜水艦の放射能漏れが二年間公表されなかったことやその間の文部科学省の調査で異常が報告されていないことを挙げ「軍事機密ということで、米軍に関する情報が何も公表されないし日本政府も何も言わない中で、安全と言われても信用できない」と語気を強めた。

 県平和委員会の大久保康裕事務局長は「原発二基に相当するものを積んでいて、事故があっても隠ぺいされ、乗員が起こした事件などへ説明もないままでの配備は許されない。艦載機が飛来する嘉手納基地の騒音激化の可能性や空母が沖縄近海を通る可能性もある。横須賀や沖縄だけの問題ではない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_004.html

 

2008年09月25日【夕刊】 政治

佐藤沖縄相、中曽根外相会見

普天間移設問題 地元理解が大事

就任会見で佐藤沖縄相

 【東京】佐藤勉沖縄担当相は初登庁後の二十五日未明、就任会見を行い、米軍普天間飛行場の移設問題について「地元の意見を丁寧に伺い、理解を得ながら進めることが大事だ。早期解決に向けて政府と地元の橋渡しに努めたい」との考えを示した。

 振興策に関しては「先の大戦で大変な戦禍にさらされ、広大な米軍基地が存在している。振興を図ることは国の責務であり、全力で取り組む」と強調。自立型経済の構築に向けて「大学院大学構想による人材育成や雇用の安定に取り組みたい」と述べた。早期に沖縄を訪問したい意向も示した。

再編着実に実施

中曽根外相

 【東京】中曽根弘文外相は二十五日未明の閣議後会見で、在日米軍再編について「着実に、予定通り実施していくことが大切だ」と述べ、米軍普天間飛行場の代替施設案(V字案)についても日米が合意した通りに実行していくべきだとの見解を示した。

 中曽根氏はまた、「日米同盟の一番の核心である安保条約、安保体制の一環として米軍が沖縄に駐留している。そういう意味では安保条約の目的である抑止力をしっかりと維持するということも大切」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-004-2_001.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

やんばるの戦争中南部も知って/映画「未決・沖縄戦」/来月4日 那覇初上映

 【名護】沖縄戦を本島北部からとらえたドキュメンタリー映画「未決・沖縄戦」(輿石正監督)の上映会が十月四日、那覇市大道の那覇造形美術学院で開かれる。

 これまで北部を中心に五回上映しており、那覇での開催は初めて。制作スタッフらは「戦時下のやんばるで何があったのか、中南部の方にも知ってほしい」と参加を呼び掛ける。上映時間八十九分。入場無料。

 「未決―」は、昨年九月の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で、輿石監督(62)が受けた衝撃をモチベーションに制作。北部の沖縄戦体験者十三人が、旧日本軍による住民虐殺や朝鮮人慰安婦の存在などについて貴重な証言を行っており、「戦闘だけでない戦争」を伝えている。

 北部での上映後、証言を申し出る戦争体験者も現れた。「沖縄戦はまだ終わっていない」。スタッフはあらためて痛感した。

 ドキュメンタリー映画「未決・沖縄戦」のDVDは三千円(送料込み)で販売中。映画の予告編(約五分)をHP上で公開。

 問い合わせはじんぶん企画、電話0980(53)6012。HPアドレスは、http://www.edic-121.co.jp/

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_003.html

 

2008年09月26日【朝刊】 社会

沖縄戦「学ぶ」「伝える」/北部農林高 生徒・卒業生がシンポ

 

県民大会を振り返り、意義や課題について話し合ったシンポジウム=25日、名護市・北部農林高校

 昨年九月二十九日に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を振り返り、同大会の意義や課題などを探るシンポジウムが二十五日、名護市の北部農林高校で開かれ、関係者約六十人が参加。生徒や卒業生から「沖縄戦のことをもっと学んでたくさんの人に伝えたい」「平和の大切さを考える機会をつくっていきたい」など、活発な意見が上がった。

 シンポで講演した琉球大学の山口剛史准教授は渡嘉敷村で「集団自決(強制集団死)」を体験した金城重明さんの証言を示し「教科書には住民がどのように戦闘に巻き込まれたのかが書かれていない。軍の強制の記述が削除され、事実とは違うということで多くの人が抗議した」と教科書検定問題を分かりやすく説明。「どういった教科書の記述だったら沖縄戦がきちんと学べるのか考えてほしい」と問いかけた。

 県民大会で高校生代表として壇上に上がった沖縄国際大学一年の津嘉山拡大さんと琉球大一年の照屋奈津美さんも招かれた。津嘉山さんは「平和な時だからこそ、みんなで考え、歴史の真実を変えるようなことがあったらNOと言えるようにしよう」と呼び掛けた。

 同高校三年の比嘉涼太君は「県民大会に参加し、沖縄戦のことをもっと学びたい、知りたいと思うようになった」と話した。

 二年生の澤岻鈴佳さんも「軍の命令には逆らうことができなかったことを考えるととても恐ろしい。オジー、オバーから戦争体験を聞き、学んだことを同級生や小中学生に伝えていきたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-029-1_002.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

知事訪米費 認めず/県議会野党6会派、方針確認

辺野古移設主張を懸念/真意見極め 来週判断


 県議会の野党六会派は二十五日、九月定例会に提案されている仲井真弘多知事の訪米費を認めない方向で一致した。同日の代表質問での知事答弁を受け、六月定例会で野党が賛成多数で可決した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」に反し、訪米先で移設推進の立場を主張する懸念があると判断した。野党による一般質問が終わる十月一日まで真意を見極めて最終判断する考えだが、双方の主張の隔たりは大きく、妥協点を見いだすのは困難な情勢だ。

 仲井真知事は、仲村未央氏(社民・護憲ネット)への答弁で、訪米では日米地位協定の抜本的見直しなどのほか、嘉手納以南の施設・区域の返還が盛り込まれた米軍再編の確実な実施を求めると説明した。米軍再編は普天間飛行場の辺野古移設もパッケージだとの指摘には「そういう風に認識している」とし、パッケージの考え方にも「実現されるべきだと評価している」と述べた。

 野党は本会議終了後、代表者会議を開き、今後の対応を協議した。辺野古移設計画が含まれる米軍再編の確実な実施を求めるとする知事の考えでは、反対決議の趣旨と異なる訪米行動になるとの認識で一致。今後の代表・一般質問でさらに真意を追及し、来月一日に結論を出す方針を確認した。

 野党最大会派で、まとめ役を担う社民・護憲ネットの新里米吉団長は「新基地建設反対決議は民意の反映だと自負している。知事の答弁からは民意に沿わない要請行動が想定され、容認できない」と述べた。

 知事の訪米費千四百六十万円は、補正予算案の一部として計上されている。訪米時期は米大統領選後、次期政権のスタッフ人選や政策調整が行われる年明け早々の予定。多数を占める野党が認めなければ、訪米費が削除された修正予算案が可決される見通しだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

「私用での免除 問題」/米軍車通行料/上原公室長 政府対応必要と見解

 米軍が娯楽に使用する車両について有料道路料金が免除される「軍用車両有料道路通行証明書」が発行されている問題について、上原昭知事公室長は二十五日の県議会代表質問で、「県としては、私的な利用について免除されているのであれば問題だと考えている」として、政府で適切に対応すべきだとの見解を示した。仲田弘毅氏(自民)に答えた。

 同問題について政府は、米軍が日本文化に対する理解を深め、士気の高揚を図る目的で米軍人を観光地に行かせるような場合には軍隊の活動として認められるものもあると説明している。高村正彦外相(当時)は今年六月、「個人的な娯楽移動も一切合切含まれるものではない」として、日米合同委員会で協議する意向を示している。

 那覇空港で起きた航空自衛隊那覇基地所属F4ファントム戦闘機のタイヤパンク事故の原因について、上原公室長は「航空自衛隊によると、着陸した際、一時的にタイヤロックした状態になったため、一部に負荷が発生し、パンクに至ったと推定される」との見方を示した。照屋大河氏(社民・護憲ネット)への答弁。

 十一日に起きた同事故で、県は航空自衛隊に対して事故原因の究明や実効性のある再発防止策などを要請した。航空自衛隊は十七日までの間に、那覇基地にあるすべてのF4機の安全点検、隊員への教育を行った。点検では異常は見つからなかったとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_003.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

中城の騒音測定 来月から再開へ/防衛局村、被害把握期待

 中城村久場に設置された沖縄防衛局の航空機騒音測定器が今年六月から停止している問題で、真部朗局長は二十五日、新たに村内二カ所に十月から測定器を設置し、運用を開始することを明らかにした。定例記者懇談会で述べた。

 防衛局から今月十七日に説明を受けた中城村によると、設置場所として検討されているのは同村登又と浜。浜田京介村長は「調査を通して、国は村民の騒音被害を把握してほしい。その上で基地の早期撤去、飛行ルートの変更を求めたい」としている。

 中城村の騒音は、日米両政府が二〇〇七年八月、米軍普天間飛行場の場周経路を見直して以降、深刻化している。新しい飛行ルートは宜野湾市の住宅密集地域に配慮した一方で、中城村民からは騒音の苦情が相次いでいる。

 村から測定器設置要請を受けた同防衛局は今年一月、久場の石材販売業者の建物屋上に機器を設置し、三月から運用を開始していた。しかし、業者の砂利運搬の際の騒音も検知するとして六月十三日に測定を停止している。真部局長は「なるべく早い段階で再開したい。測定結果は適時、村に説明したい」と述べた。

 また、同飛行場の危険性除去などを議論するワーキングチームの第二回会合は、来月の県内開催で調整が進んでいる。

 宜野湾市の意見を聴取することについて、真部局長は「方針は固まっていないが、(市の意見聴取を)視野に入れて検討している」と説明した。詳細な日程については、「新しい政権が成立したばかり。調整中だ」と述べるにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_001.html

 

琉球新報 社説

米原子力空母配備 国民危険にさらす母港化 2008年9月26日

 たとえ国民を危険にさらすことになっても、米国から求められれば唯々諾々として従う。米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備は、日本政府の対米追従姿勢をこれまで以上に鮮明にした。

 ジョージ・ワシントンは小規模の原発に匹敵する原子炉2基を動力源として搭載している。米本土以外で米原子力空母の母港となるのは米海軍横須賀基地が初めてだ。

 米国は「原子力艦船は50年間無事故。原子力事故の可能性は極めて低く想定し難い」と安全性を強調しているが、人間が操作する以上、事故が起きる可能性は決してゼロではない。

 母港化は東京湾に原発を誘致したに等しい。もしも大規模な放射能漏れが起きれば、首都圏に取り返しのつかない惨事をもたらす危険性をはらんでいる。

 50年間、無事故だったからといって、これからも安全であるという保証はどこにもない。それどころか、そろそろ事故が起きてもおかしくない時期にきている―との見方さえ成り立つ。

 「防護壁が商業炉に比べてはるかに頑丈。停泊中に放出され得る放射能量は商業炉の1%未満」などと米国は文書で説明したが、「軍事機密」を盾にして、日本国内の原発で実施している安全審査を拒んでいる。

 現状は、放射能事故防止のための安全性を日本側が検証できる体制さえ確立されていない。

 国民生活の安全を第一に考えるなら、原子力空母の配備など言語道断だ。本来ならきっぱりと断るべきところだが、日本政府は米国の一方的な言い分をうのみにして受け入れた。

 少なくとも、わが国の港が母港となる以上は、日本による安全性検証のシステムは不可欠であるはずだ。

 そんな当たり前の要求さえできなくて主権国家と言えるのか。日本政府は、原子炉の安全性にかかわる事項を速やかに公開するよう米側に求め、日本の原発並みの安全審査を認めさせるべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136540-storytopic-11.html

 

2008年09月26日【夕刊】 政治

鳥島射爆場 返還要求へ/知事、県議会で表明

ホテル・ホテル水空域 一部解除も


 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会代表質問二日目が二十六日午前開かれ、仲井真弘多知事は、鳥島射爆撃場と久米島射爆撃場の返還と、沖縄本島東方五十キロに位置する訓練空域・水域のホテル・ホテル訓練区域の一部解除について「日米両政府に対して強く求めていきたいと考えている」との見解を示した。仲井真知事が両射爆撃場の返還などを求めるのは初めて。玉城ノブ子氏(共産)の質問に答えた。

 両射爆撃場の返還と、ホテル・ホテル訓練区域の一部解除は、県漁業協同組合連合会と県漁業協同組合長会が二十二日、仲井真知事に要請。知事は「一緒に取り組んでいこうと思う」と前向きな姿勢を示していたが、答弁で「地元自治体の意向を踏まえ、一部解除と返還について両政府に強く求めていきたい」と初めて明言した。

 伊波輝美福祉保健部長は、二〇〇九年一月一日からスタートする産科医療補償制度に加入している県内の産科医療機関や施設は九月二十二日現在三十カ所で、加入率65・2%と、全国平均の加入率80%に比べ低調であることを明らかにした。前島明男氏(公明県民会議)の質問に答えた。

 産科医療補償制度とは、産科医療事故での訴訟増加などを受け、財団法人日本医療機能評価機構(東京都)が新たにスタートさせるもの。通常の妊娠・分娩にもかかわらず子どもが脳性まひとなった場合などに適用される。

 制度適用は〇九年一月一日の分娩から。全国すべての産科病院や診療所、助産所が加入対象で、県内の対象施設は四十六カ所。補償額は一時金六百万円など総額約三千万円。制度に加入していない医療機関での分娩は補償対象外となる。

[ことば]

 鳥島射爆撃場 久米島の北約28キロに位置し、島全体が演習場。戦後米軍が使用を開始し、復帰後は提供施設・区域として米空軍が管理し、主に空対地射爆撃訓練が行われている。周辺海域は好漁場。1995年12月から翌年1月にかけて、劣化ウラン弾1520発が誤射された。今年4月には米海兵隊のAV8ハリアー機が提供水域外に当たる島の南西約11・6キロ地点に500ポンド爆弾2発を誤投下した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-E_1-001-2_001.html

 

2008年09月27日【朝刊】 社会

「はみ出し飛行」35回 普天間離着陸ルート調査

 

普天間飛行場でのはみ出し飛行の例

宜野湾市長 国へ再調査求める


 【宜野湾】宜野湾市は二十六日、沖縄防衛局と同時に実施した、米軍普天間飛行場を離着陸する航空機の飛行ルートの調査結果を発表した。期間中、ヘリコプターは百六十六回飛行し、うち三十五回で“はみ出し飛行”などのルート違反を確認した。伊波洋一市長は「期間中は飛行回数が少なく、実態を反映していない。長期間の調査が必要だ」と、国に再調査を求めている。

 調査は、沖縄防衛局が実施した八月二十八日から七日間に同市も実施。うち三日は土日や米国の休日などで飛行がなかった。

 日米両政府は、同飛行場周辺で訓練するヘリの飛行ルート「場周経路」や、同飛行場への進入などに使う「離着陸経路」を定めている。

 しかし、場周経路を南北や東側方向にはみ出すAH1J軽攻撃ヘリ、大山区など西海岸上空で旋回した後に東シナ海へ抜けるCH53E大型輸送ヘリなどの「経路違反」を確認した。 同市は、期間中、市民への騒音被害が大きいヘリの「タッチ・アンド・ゴー」訓練が見られなかったと指摘。訓練の激しい日は二百―三百回の離着陸があり、七―八割がはみ出し飛行するという。

 また、固定翼機は二百四十六回の飛行を確認、KC130空中給油機などが三時間以上、タッチ・アンド・ゴーを繰り返していた。同市は「米国では固定翼機の飛行を制限するクリアゾーンに宜野湾市の住宅街はある。危険な飛行実態があらためて明らかになった」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-026-1_003.html

 

2008年09月27日【朝刊】 政治

鳥島射爆場の返還 知事「強く求める」

 仲井真弘多知事は二十六日、鳥島射爆撃場と久米島射爆撃場の返還と、沖縄本島東方五十キロに位置する訓練空域・水域「ホテル・ホテル訓練区域」の一部解除について、「地元自治体の意向を踏まえ、日米両政府に対して強く求めていきたいと考えている」と述べた。仲井真知事が両射爆撃場の返還などを求めると明言するのは初めて。

 同日の県議会(高嶺善伸議長)九月定例会代表質問で、玉城ノブ子氏(共産)の質問に答えた。

 両射爆撃場の返還と訓練区域の一部解除について仲井真知事は、県漁業協同組合連合会と県漁業協同組合長会から二十二日に要請を受けた際にも前向きな姿勢を示していたが、答弁で初めて明言した。

 米軍再編に伴う基地労働者への影響については、「移転計画の詳細が明らかでなく、具体的な従業員の雇用への影響は把握できていない」とした。沖縄振興計画に職業訓練充実、離職者への特別給付金、就職促進手当などの支援策を盛り込んでいるとして、「国や関係機関と連絡会を設けており、できる限り早めに情報を入手できるよう努めている」と説明した。山内末子氏(民主)に答弁した。

 モノレール延長事業における費用負担については、漢那政弘土木建築部長が「浦添ルート案」の総事業費約三百九十六億円のうち県負担額は約五十七億円、那覇市が約三十億円、浦添市が四十六億円を見込んでいると説明。維持管理費は年間約六億円で、延長により約二億円増えると試算した。山内氏に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月27日【朝刊】 政治

久米島町・県漁連は歓迎/鳥島射爆場の返還要求

県と連携 国に要請へ


 仲井真弘多知事が、鳥島、久米島の両射爆撃場返還と、沖縄本島東方にあるホテル・ホテル訓練区域の一部解除を求めることを初めて表明した。久米島町の平良朝幸町長も「国の動向を見ながら、県と足並みをそろえて返還を求める」と明言。県漁業協同組合連合会の下地敏彦会長は「知事が解決に向けて努力するということは本当に力強い」と歓迎する。(政経部・吉田伸、南部総局・新垣亮)

 鳥島射爆撃場は管理する米空軍だけでなく、海兵隊や海軍などが頻繁に使用する訓練場で、返還のハードルは高い。だが知事は、県議会代表質問の終了後も「難しい問題だが取り組んでいきたい。どこから始めたほうがいいか。議会が終わって考えたい」とあらためて前向きな姿勢を示した。

経済損失は大

 「山がだいぶ削られた」「これでは島がなくなる」。八月二十七日。町有地の鳥島射爆撃場を洋上視察した久米島町議らは、爆撃でいびつに削り取られた岩肌やさびた金属片が散らばる島の姿に落胆した。

 一緒に視察した平良町長は「議会と共に、島のためになる方策を探っていきたい」と話す。返還を求めていなかった町だが、返還を強く訴える漁業者や町議会の声の高まりに背中を押される形で方針を転換した。

 もともと、年間約百八十万円という鳥島射爆撃場の借地料の安さに不満を募らせていた。「安く貸しているのに、大きな経済損失を被っている。何度も要請したが国の誠意が見られない。返還を求めざるを得ない」。平良町長は言い切った。

「燃油」で悲鳴

 稲嶺県政下、地元の要請は返還でなく提供水域の整理・縮小だった。県も「適切に対応していきたい」とあいまいな態度だった。

 漁業者が返還に踏み込んだのは、防衛省から支払われる損失補償額の減少が大きい。県漁連の下地会長によると「年間約十五億円だったが、数年で半額の約七億五千万円にまで落ち込んだ」という。今年に入り、燃油高騰で悲鳴は増した。

 県漁業協同組合長会の会長も務める久米島漁業協同組合の棚原哲也組合長は「提供水域が返還されたら初めてのケース。業界だけでなく、県の要請は国も真剣に検討してくれる。返還の実現まで粘り強く訴えていきたい」と期待する。

 県漁連などは県とともに、防衛省や外務省、農林水産省などに要請行動を行う考えだ。今後は政府の対応に注目が集まる。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月28日【朝刊】 社会

検定意見撤回へ決意/県民大会1周年で集会

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の強制を削除した文部科学省の検定意見に抗議した昨年の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の一周年集会が二十七日、那覇市の教育福祉会館で開かれた。教科書執筆者や識者が、これまでの経緯と今後の取り組みについて報告。文部科学省に対し、検定意見の撤回と「軍の強制」記述の復活などを求めるアピールを採択した。

 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会と6・9県民大会実行委員会が主催。二百七十人が参加した。

 集会では、教科書執筆者の石山久男さんが教科書再訂正申請に向け、県民、国民世論の後押しの必要性を訴えた。昨年末の訂正申請で、文科省が「軍強制」を認めず、「軍の関与」にとどまったことに「問題は解決していない」と強調。沖縄戦での日本軍による強制の仕組みなど「悲劇の象徴『集団自決』が起きた根本原因を、次代へ伝える必要がある」と述べた。

 一方で、再訂正について、文科省の壁や教科書会社の消極姿勢を挙げ、「非常に困難な状況」と指摘。戦争を体験し語り継いできた県民の思いと歴史の真実を残すことが、「沖縄のみならず日本とアジアの平和創造につながる」として、歴史歪曲を許さない大きな流れをつくりたい、と呼び掛けた。

 出版労連教科書対策部の吉田典裕事務局長は、教科書会社が文科省に従属せざるを得ない構図、文科省教科書調査官が主導し国の意向が反映されやすい検定制度の問題点を提示した。

 「すすめる」会代表の高嶋伸欣琉球大学名誉教授は、県民大会や運動の意義を強調。岩波書店の大塚茂樹さんが、「集団自決」訴訟の地裁判決の勝利報告と控訴審の経過を説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-28-M_1-001-1_004.html

 

2008年09月28日【朝刊】 社会

真実守る闘い 正念場/修正主義に対抗訴え

270人「負けない」決意/県民大会1周年集会


 「真実を守る闘いはこれからがヤマ場だ」。那覇市で二十七日に開かれた「県民大会一周年集会」。登壇者はこの一年間の取り組みについて報告し、「粘り強い運動で歴史修正主義に対抗しよう」と口々に訴えた。県内三カ所で計十一万六千人が集まり、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から軍の強制を削除させた教科書検定意見に抗議した日から一年。参加者たちは「沖縄があきらめてはいけない」と決意を新たにしていた。

 「戦争の真実を伝えるか、美化するか。いまは時代の節目だ」

 「これは教科書だけの問題ではない。日本の未来がかかった問題だ」

 登壇者四人は、教科書検定をめぐる動きの背景に「修正主義者」らの政治的な働きかけがあることを強調。運動を継続して対抗するよう、それぞれの言葉で訴えかけた。集まった教育関係者や市民ら約二百七十人は約三時間におよぶ熱弁に耳を傾け、最後に全員で「頑張ろう」とシュプレヒコールを上げた。

 急きょ会場に駆けつけた教科書執筆者の都立高校教諭・坂本昇さんは「沖縄に来られてよかった」と顔をほころばせた。生徒の進路指導や就職活動のため、集会への参加はぎりぎりまで迷ったが、県民大会の感動を思い出したいと何とか日程を確保したという。「一年前の静かな熱気は確かに残っている。文科省の壁は厚いが、再び立ち向かうエネルギーをいただいた」

 沖縄戦を体験し、県立一中時代の同期生六十二人が戦死したという宮城政三郎さん(79)は「犠牲になった友人のため、子や孫のため、真実をねじ曲げる動きに絶対に負けてはいけない」と厳しい口調。

 幼稚園教諭の志喜屋直子さん(52)は「うそをつくなというのは、子どもたちに毎日伝えていること。いつまでかかっても声を上げ続けることが大切だ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-28-M_1-025-1_001.html

 

琉球新報 社説

グアム移転費増 追加分は米国負担が筋だ2008年9月28日

 米太平洋海兵軍は、在日米軍再編に伴う在沖海兵隊のグアム移転経費が、日米で合意した金額より47億ドル増えるとの見積もりを示した。

 移動用の高速艇購入、北マリアナ諸島の訓練関連経費、グアムへの人員・物資輸送費、移転先施設の家具や事務用品購入費などを新たに盛り込んだためだ。

 今後、米連邦議会が増額に難色を示し、米国が日本に負担増を促す可能性もあるようだが、そんな身勝手な要求を認めてはならない。

 日米両政府が2006年の在日米軍再編協議で合意したのは、グアムへの移転経費102億7000万ドルのうち日本が60億9000万ドル(2008米会計年度の価格)、米国が41億8000万ドル(同)を提供することだ。

 高速艇などを購入するのは米国側の一方的な事情にすぎない。そのために日本に新たな負担を押し付けるのは筋違いも甚だしい。

 経費の増額は、米政府監査院(GAO)の報告書に、米太平洋海兵軍幹部の試算として盛り込まれた。移転経費は当初算定額を大幅に上回り、150億ドル以上に達する。報告書は増額分の負担内訳には触れていない。

 新たな負担の要求に日本が応じれば、米国は次々と必要経費を持ち出してきて追加支出を求めてくるだろう。日米合意の枠外なのだから、増加分は当然、米国が負担すべきである。

 そもそも、米軍再編最終報告は県民の頭越しに決定された。牧港補給地区、那覇軍港など嘉手納飛行場より南にある施設の全面返還は海兵隊のグアム移転が前提であり、グアム移転は普天間飛行場の名護市への移設が前提になっている。

 日米合意から2年以上経過したが、米陸軍パトリオット・ミサイルの配備など、基地機能強化だけが先行し、「負担軽減」は脇に追いやられた感がある。

 日本政府は、沖縄県民の声に十分に耳を傾け、基地負担の軽減に全力で取り組むべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136603-storytopic-11.html