麻生内閣が発足/沖縄通去り不透明 米原潜ホワイトビーチ寄港、30回目 知事訪米費、認めず/県議会野党6会派、方針確認 鳥島射爆場、返還要求へ 検定意見撤回へ決意/県民大会1周年で集会 など 沖縄タイムス関連記事・琉球新報 社説(9月25日から28日)

2008年09月25日【朝刊】 政治

麻生内閣が発足/沖縄通去り不透明

普天間移設作業 停滞も/事務方、政権の行方注視

 自民党の麻生太郎総裁(68)は二十四日、国会で第九十二代首相に選出され、皇居での認証式を経て自民、公明両党連立の麻生内閣が発足した。官房長官に河村建夫元文部科学相、外相に中曽根弘文元文相、防衛相は浜田靖一元防衛副長官を起用し、普天間飛行場移設問題に携わる閣僚を一新した。同問題は事務レベルの作業班で協議が進んでいるが、沖縄の意向に柔軟に対応してきた事務方トップの二橋正弘官房副長官も漆間巌前警察庁長官と交代。沖縄問題に精通した首脳陣の刷新に、関係者からは「移設作業が停滞しないか」と懸念する声が上がる。(東京支社・島袋晋作、西江昭吾)

求心力低下

 「全くの想定外。意図が全く分からない」

 普天間移設問題では、県が求める政府案(V字案)の沖合移動などをめぐって強力な指導力を発揮した町村信孝官房長官の後任人事が焦点だった。沖縄とのかかわりが薄く、安全保障関係に精通していない河村氏の起用に、防衛省幹部は首をかしげる。

 町村氏を支えた二橋氏も交代することで、同幹部は「官邸の求心力は低下する」と指摘する。

 政府は普天間移設を防衛省が主導してきた昨年まで、日米合意案(V字案)を受け入れさせようと北部振興事業、再編交付金を凍結するなど強引な手法を展開。沖縄の政府への不信感は頂点に達し、移設問題は膠着状態に陥っていた。

 しかし昨年九月に発足した福田内閣で官房長官に就任した町村氏は、二橋氏とともに沖縄からの信頼回復に力を注いだ。県が求めるV字案の沖合移動についても、柔軟な姿勢を示し、防衛省の担当者を一掃するまで徹底した。

 これらの経緯を知る政府関係者は「これまでが特別だった」と振り返る。

情勢は混沌

 ただ同関係者は、今年八月に設置した普天間飛行場の危険性除去と代替施設の建設計画・環境影響評価に関する二つのワーキングチームの存在を強調。「大臣が誰になろうと、事務作業は淡々と進める」と強気の姿勢。別の防衛省幹部も「ワーキングチームを設置していて良かった」とする。

 だが、十月上旬にも衆院が解散され、総選挙が実施される見通しの下、政府内では「民主党政権になったら、日米合意ごと吹き飛ぶ」「民主党といえども普天間の方針は変えられない」など憶測が飛び交っており、普天間をめぐる情勢は混沌としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-002-2_001.html

 

2008年09月25日【朝刊】 社会

米原潜ホワイトビーチ寄港、30回目/18分間沖合停泊後に出港

 県基地対策課は二十四日、米海軍のロサンゼルス級原子力潜水艦アッシュビル(六、〇八二トン)が同日午前九時四十六分、うるま市勝連の米軍ホワイトビーチに入港したと発表した。補給・維持が目的。十八分間、沖合停泊し、出港した。

 原潜の県内寄港は今月二十日の同じアッシュビル以来。今年に入って三十回目で、年間最多寄港数の更新が続いている。復帰後の県内寄港は三百八回目。

 文部科学省の調査結果によると、放射能の値は平常と同じ。

 県基地対策課は二十三日、外務省日米地位協定室に対し、ファクスで寄港増加の理由や安全性の確保を求めている。同型のヒューストンが放射性物質を含む冷却水漏れ事故が発覚して以来、県は外務省に寄港前日に同様の要請を続けている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-028-1_003.html

 

2008年09月25日【朝刊】 社会

再訂正申請を要請へ/高校社会科教員らが文書

 県立学校の社会科教員らが高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」から日本軍の強制を示す記述を削除した文部科学省の教科書検定に抗議し、教科書会社や教科書協会に、記述の再訂正申請などを求める要請文を送付することが二十四日、分かった。全県立高校と特別支援学校の社会科教員の同意を取り付け、各校の連名で今月末に送付する。

 要請文は、沖縄戦の史実を生徒らに伝えるため、八月末に社会科教員の集会を開いた有志を中心に作業。昨年九月二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」から一年を迎えるのに合わせた取り組み。要請文は「集団自決」など沖縄戦に関する記述について「教科書によって差があり、生徒の信頼をなくしかねない」と指摘している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-029-1_008.html

 

2008年09月25日【朝刊】 政治

浦添市議会、臨港道路関連費を可決/市が40億円保証

 【浦添】臨港道路(浦添線)整備のため米軍キャンプ・キンザー(牧港補給地区)沖合約十八ヘクタールを埋め立てる計画で、浦添市議会は二十四日の本会議で、事業主の市土地開発公社の費用負担約四十億円を市が担保し、民間金融機関から融資を受ける補正予算案を賛成多数で可決した。

 同事業ではこれまで、公社側が事業実施に必要な環境アセスメントを終え、漁業者からも同意を得ている。事業に伴う提供水域の全面返還も日米間で合意に達し、二十二日、那覇港管理組合に埋め立てへの免許願書を提出した。

 一九八七年三月に市の第二次総合計画のマリントピア構想を端緒とする西海岸開発計画は、二十年余りで着工への見通しがついた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-M_1-002-2_003.html

 

2008年09月25日【夕刊】 政治

知事、訪米の意義強調/県議会代表質問/建築確認で支援機関

 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会の代表質問が二十五日午前、始まった。仲井真弘多知事は、米軍普天間飛行場の危険性除去のため、来年一月以降に予定している訪米について「大統領選の直後で、次期政権の人選や外交・防衛政策の調整が行われる時期。政策形成に影響力を持つ米側の関係者に実情を理解してもらい、情報収集と意見交換を行うことは大変重要なことだ」と意義を強調した。具志孝助氏(自民)の質問に答えた。

 今月五日に、普天間飛行場移設問題に対する「県の考え方」を発表した理由を「移設問題に対する私の姿勢が県民や県議会に十分に理解されていないように感じた。移設の必要性や県の取り組み、今後の進め方について九月議会の前に公表した」と説明した。

 同飛行場の危険性除去について、上原昭知事公室長は「訓練の分散移転など、抜本的な改善措置が必要」と述べた。

 改正建築基準法に基づき建築確認申請が厳格化され住宅着工数が低迷していることについて仲井真知事は、構造技術者の確保や育成を図る「県建築設計サポートセンター(仮称)」を国や建設関係団体と連携して立ち上げることを明らかにした。

 那覇空港の滑走路間隔千三百十メートル案について上原良幸企画部長は「ターミナル配置などの条件が整えば、空港能力が最大二倍になる可能性があり、発展に十分対応できる。デメリットは航空機のターミナルまでの走行距離が長くなり、燃費がかさむ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-001-2_002.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

「集団自決」記述、「軍関与」復活を評価/塩谷文科相/「強制」に言及せず

 【東京】塩谷立文科相は二十五日午前、就任会見を行い、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書記述で、昨年の訂正申請によって「軍の関与」は復活したものの「強制」は認められなかったことについて「教科書発行社から申請があり、具体的な手続きを踏み、訂正されたことは良かったと思う」との考えを示した。

 塩谷氏は沖縄戦について「実際に住民を巻き込んだ悲惨な戦いだった」と指摘。しかし、教科書記述で沖縄側が、「関与」ではなく「強制」の文言の復活を求めていることへの見解については言及を避けた。

 また、教科書検定審議会の作業部会が、検定制度見直しの議論が進んでいることについては「透明性の向上などの必要性を専門的な見地から論議されるよう促していきたい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_002.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

原子力空母横須賀配備/うるま市長「歓迎せず」/県内団体、艦載機訓練増を危ぐ

 県内関係者らも原子力空母の配備に対し、「安全性があいまい」「艦載機の沖縄飛来が増加、うるささが増す」と反対の声を上げた。

 原潜が寄港する米軍ホワイトビーチを抱えたうるま市の知念恒男市長は「歓迎しない。『原子力』と付く艦船は日本に入港してほしくない」と批判した。在日米海軍司令部から横須賀での入港式典の招待状が届いたが、返事はしなかったという。知念市長は、その理由として「一番大事なことは市民の安全、安心を守ることだ」と強調した。

 平和運動センターの山城博治事務局長は同日午前、横須賀港で海上抗議行動に参加。山城事務局長は、原子力潜水艦の放射能漏れが二年間公表されなかったことやその間の文部科学省の調査で異常が報告されていないことを挙げ「軍事機密ということで、米軍に関する情報が何も公表されないし日本政府も何も言わない中で、安全と言われても信用できない」と語気を強めた。

 県平和委員会の大久保康裕事務局長は「原発二基に相当するものを積んでいて、事故があっても隠ぺいされ、乗員が起こした事件などへ説明もないままでの配備は許されない。艦載機が飛来する嘉手納基地の騒音激化の可能性や空母が沖縄近海を通る可能性もある。横須賀や沖縄だけの問題ではない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_004.html

 

2008年09月25日【夕刊】 政治

佐藤沖縄相、中曽根外相会見

普天間移設問題 地元理解が大事

就任会見で佐藤沖縄相

 【東京】佐藤勉沖縄担当相は初登庁後の二十五日未明、就任会見を行い、米軍普天間飛行場の移設問題について「地元の意見を丁寧に伺い、理解を得ながら進めることが大事だ。早期解決に向けて政府と地元の橋渡しに努めたい」との考えを示した。

 振興策に関しては「先の大戦で大変な戦禍にさらされ、広大な米軍基地が存在している。振興を図ることは国の責務であり、全力で取り組む」と強調。自立型経済の構築に向けて「大学院大学構想による人材育成や雇用の安定に取り組みたい」と述べた。早期に沖縄を訪問したい意向も示した。

再編着実に実施

中曽根外相

 【東京】中曽根弘文外相は二十五日未明の閣議後会見で、在日米軍再編について「着実に、予定通り実施していくことが大切だ」と述べ、米軍普天間飛行場の代替施設案(V字案)についても日米が合意した通りに実行していくべきだとの見解を示した。

 中曽根氏はまた、「日米同盟の一番の核心である安保条約、安保体制の一環として米軍が沖縄に駐留している。そういう意味では安保条約の目的である抑止力をしっかりと維持するということも大切」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-004-2_001.html

 

2008年09月25日【夕刊】 社会

やんばるの戦争中南部も知って/映画「未決・沖縄戦」/来月4日 那覇初上映

 【名護】沖縄戦を本島北部からとらえたドキュメンタリー映画「未決・沖縄戦」(輿石正監督)の上映会が十月四日、那覇市大道の那覇造形美術学院で開かれる。

 これまで北部を中心に五回上映しており、那覇での開催は初めて。制作スタッフらは「戦時下のやんばるで何があったのか、中南部の方にも知ってほしい」と参加を呼び掛ける。上映時間八十九分。入場無料。

 「未決―」は、昨年九月の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で、輿石監督(62)が受けた衝撃をモチベーションに制作。北部の沖縄戦体験者十三人が、旧日本軍による住民虐殺や朝鮮人慰安婦の存在などについて貴重な証言を行っており、「戦闘だけでない戦争」を伝えている。

 北部での上映後、証言を申し出る戦争体験者も現れた。「沖縄戦はまだ終わっていない」。スタッフはあらためて痛感した。

 ドキュメンタリー映画「未決・沖縄戦」のDVDは三千円(送料込み)で販売中。映画の予告編(約五分)をHP上で公開。

 問い合わせはじんぶん企画、電話0980(53)6012。HPアドレスは、http://www.edic-121.co.jp/

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-25-E_1-005-2_003.html

 

2008年09月26日【朝刊】 社会

沖縄戦「学ぶ」「伝える」/北部農林高 生徒・卒業生がシンポ

 

県民大会を振り返り、意義や課題について話し合ったシンポジウム=25日、名護市・北部農林高校

 昨年九月二十九日に開かれた「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を振り返り、同大会の意義や課題などを探るシンポジウムが二十五日、名護市の北部農林高校で開かれ、関係者約六十人が参加。生徒や卒業生から「沖縄戦のことをもっと学んでたくさんの人に伝えたい」「平和の大切さを考える機会をつくっていきたい」など、活発な意見が上がった。

 シンポで講演した琉球大学の山口剛史准教授は渡嘉敷村で「集団自決(強制集団死)」を体験した金城重明さんの証言を示し「教科書には住民がどのように戦闘に巻き込まれたのかが書かれていない。軍の強制の記述が削除され、事実とは違うということで多くの人が抗議した」と教科書検定問題を分かりやすく説明。「どういった教科書の記述だったら沖縄戦がきちんと学べるのか考えてほしい」と問いかけた。

 県民大会で高校生代表として壇上に上がった沖縄国際大学一年の津嘉山拡大さんと琉球大一年の照屋奈津美さんも招かれた。津嘉山さんは「平和な時だからこそ、みんなで考え、歴史の真実を変えるようなことがあったらNOと言えるようにしよう」と呼び掛けた。

 同高校三年の比嘉涼太君は「県民大会に参加し、沖縄戦のことをもっと学びたい、知りたいと思うようになった」と話した。

 二年生の澤岻鈴佳さんも「軍の命令には逆らうことができなかったことを考えるととても恐ろしい。オジー、オバーから戦争体験を聞き、学んだことを同級生や小中学生に伝えていきたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-029-1_002.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

知事訪米費 認めず/県議会野党6会派、方針確認

辺野古移設主張を懸念/真意見極め 来週判断


 県議会の野党六会派は二十五日、九月定例会に提案されている仲井真弘多知事の訪米費を認めない方向で一致した。同日の代表質問での知事答弁を受け、六月定例会で野党が賛成多数で可決した「名護市辺野古沿岸域への新基地建設に反対する決議」に反し、訪米先で移設推進の立場を主張する懸念があると判断した。野党による一般質問が終わる十月一日まで真意を見極めて最終判断する考えだが、双方の主張の隔たりは大きく、妥協点を見いだすのは困難な情勢だ。

 仲井真知事は、仲村未央氏(社民・護憲ネット)への答弁で、訪米では日米地位協定の抜本的見直しなどのほか、嘉手納以南の施設・区域の返還が盛り込まれた米軍再編の確実な実施を求めると説明した。米軍再編は普天間飛行場の辺野古移設もパッケージだとの指摘には「そういう風に認識している」とし、パッケージの考え方にも「実現されるべきだと評価している」と述べた。

 野党は本会議終了後、代表者会議を開き、今後の対応を協議した。辺野古移設計画が含まれる米軍再編の確実な実施を求めるとする知事の考えでは、反対決議の趣旨と異なる訪米行動になるとの認識で一致。今後の代表・一般質問でさらに真意を追及し、来月一日に結論を出す方針を確認した。

 野党最大会派で、まとめ役を担う社民・護憲ネットの新里米吉団長は「新基地建設反対決議は民意の反映だと自負している。知事の答弁からは民意に沿わない要請行動が想定され、容認できない」と述べた。

 知事の訪米費千四百六十万円は、補正予算案の一部として計上されている。訪米時期は米大統領選後、次期政権のスタッフ人選や政策調整が行われる年明け早々の予定。多数を占める野党が認めなければ、訪米費が削除された修正予算案が可決される見通しだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

「私用での免除 問題」/米軍車通行料/上原公室長 政府対応必要と見解

 米軍が娯楽に使用する車両について有料道路料金が免除される「軍用車両有料道路通行証明書」が発行されている問題について、上原昭知事公室長は二十五日の県議会代表質問で、「県としては、私的な利用について免除されているのであれば問題だと考えている」として、政府で適切に対応すべきだとの見解を示した。仲田弘毅氏(自民)に答えた。

 同問題について政府は、米軍が日本文化に対する理解を深め、士気の高揚を図る目的で米軍人を観光地に行かせるような場合には軍隊の活動として認められるものもあると説明している。高村正彦外相(当時)は今年六月、「個人的な娯楽移動も一切合切含まれるものではない」として、日米合同委員会で協議する意向を示している。

 那覇空港で起きた航空自衛隊那覇基地所属F4ファントム戦闘機のタイヤパンク事故の原因について、上原公室長は「航空自衛隊によると、着陸した際、一時的にタイヤロックした状態になったため、一部に負荷が発生し、パンクに至ったと推定される」との見方を示した。照屋大河氏(社民・護憲ネット)への答弁。

 十一日に起きた同事故で、県は航空自衛隊に対して事故原因の究明や実効性のある再発防止策などを要請した。航空自衛隊は十七日までの間に、那覇基地にあるすべてのF4機の安全点検、隊員への教育を行った。点検では異常は見つからなかったとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_003.html

 

2008年09月26日【朝刊】 政治

中城の騒音測定 来月から再開へ/防衛局村、被害把握期待

 中城村久場に設置された沖縄防衛局の航空機騒音測定器が今年六月から停止している問題で、真部朗局長は二十五日、新たに村内二カ所に十月から測定器を設置し、運用を開始することを明らかにした。定例記者懇談会で述べた。

 防衛局から今月十七日に説明を受けた中城村によると、設置場所として検討されているのは同村登又と浜。浜田京介村長は「調査を通して、国は村民の騒音被害を把握してほしい。その上で基地の早期撤去、飛行ルートの変更を求めたい」としている。

 中城村の騒音は、日米両政府が二〇〇七年八月、米軍普天間飛行場の場周経路を見直して以降、深刻化している。新しい飛行ルートは宜野湾市の住宅密集地域に配慮した一方で、中城村民からは騒音の苦情が相次いでいる。

 村から測定器設置要請を受けた同防衛局は今年一月、久場の石材販売業者の建物屋上に機器を設置し、三月から運用を開始していた。しかし、業者の砂利運搬の際の騒音も検知するとして六月十三日に測定を停止している。真部局長は「なるべく早い段階で再開したい。測定結果は適時、村に説明したい」と述べた。

 また、同飛行場の危険性除去などを議論するワーキングチームの第二回会合は、来月の県内開催で調整が進んでいる。

 宜野湾市の意見を聴取することについて、真部局長は「方針は固まっていないが、(市の意見聴取を)視野に入れて検討している」と説明した。詳細な日程については、「新しい政権が成立したばかり。調整中だ」と述べるにとどめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-M_1-002-1_001.html

 

琉球新報 社説

米原子力空母配備 国民危険にさらす母港化 2008年9月26日

 たとえ国民を危険にさらすことになっても、米国から求められれば唯々諾々として従う。米原子力空母ジョージ・ワシントンの横須賀配備は、日本政府の対米追従姿勢をこれまで以上に鮮明にした。

 ジョージ・ワシントンは小規模の原発に匹敵する原子炉2基を動力源として搭載している。米本土以外で米原子力空母の母港となるのは米海軍横須賀基地が初めてだ。

 米国は「原子力艦船は50年間無事故。原子力事故の可能性は極めて低く想定し難い」と安全性を強調しているが、人間が操作する以上、事故が起きる可能性は決してゼロではない。

 母港化は東京湾に原発を誘致したに等しい。もしも大規模な放射能漏れが起きれば、首都圏に取り返しのつかない惨事をもたらす危険性をはらんでいる。

 50年間、無事故だったからといって、これからも安全であるという保証はどこにもない。それどころか、そろそろ事故が起きてもおかしくない時期にきている―との見方さえ成り立つ。

 「防護壁が商業炉に比べてはるかに頑丈。停泊中に放出され得る放射能量は商業炉の1%未満」などと米国は文書で説明したが、「軍事機密」を盾にして、日本国内の原発で実施している安全審査を拒んでいる。

 現状は、放射能事故防止のための安全性を日本側が検証できる体制さえ確立されていない。

 国民生活の安全を第一に考えるなら、原子力空母の配備など言語道断だ。本来ならきっぱりと断るべきところだが、日本政府は米国の一方的な言い分をうのみにして受け入れた。

 少なくとも、わが国の港が母港となる以上は、日本による安全性検証のシステムは不可欠であるはずだ。

 そんな当たり前の要求さえできなくて主権国家と言えるのか。日本政府は、原子炉の安全性にかかわる事項を速やかに公開するよう米側に求め、日本の原発並みの安全審査を認めさせるべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136540-storytopic-11.html

 

2008年09月26日【夕刊】 政治

鳥島射爆場 返還要求へ/知事、県議会で表明

ホテル・ホテル水空域 一部解除も


 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会代表質問二日目が二十六日午前開かれ、仲井真弘多知事は、鳥島射爆撃場と久米島射爆撃場の返還と、沖縄本島東方五十キロに位置する訓練空域・水域のホテル・ホテル訓練区域の一部解除について「日米両政府に対して強く求めていきたいと考えている」との見解を示した。仲井真知事が両射爆撃場の返還などを求めるのは初めて。玉城ノブ子氏(共産)の質問に答えた。

 両射爆撃場の返還と、ホテル・ホテル訓練区域の一部解除は、県漁業協同組合連合会と県漁業協同組合長会が二十二日、仲井真知事に要請。知事は「一緒に取り組んでいこうと思う」と前向きな姿勢を示していたが、答弁で「地元自治体の意向を踏まえ、一部解除と返還について両政府に強く求めていきたい」と初めて明言した。

 伊波輝美福祉保健部長は、二〇〇九年一月一日からスタートする産科医療補償制度に加入している県内の産科医療機関や施設は九月二十二日現在三十カ所で、加入率65・2%と、全国平均の加入率80%に比べ低調であることを明らかにした。前島明男氏(公明県民会議)の質問に答えた。

 産科医療補償制度とは、産科医療事故での訴訟増加などを受け、財団法人日本医療機能評価機構(東京都)が新たにスタートさせるもの。通常の妊娠・分娩にもかかわらず子どもが脳性まひとなった場合などに適用される。

 制度適用は〇九年一月一日の分娩から。全国すべての産科病院や診療所、助産所が加入対象で、県内の対象施設は四十六カ所。補償額は一時金六百万円など総額約三千万円。制度に加入していない医療機関での分娩は補償対象外となる。

[ことば]

 鳥島射爆撃場 久米島の北約28キロに位置し、島全体が演習場。戦後米軍が使用を開始し、復帰後は提供施設・区域として米空軍が管理し、主に空対地射爆撃訓練が行われている。周辺海域は好漁場。1995年12月から翌年1月にかけて、劣化ウラン弾1520発が誤射された。今年4月には米海兵隊のAV8ハリアー機が提供水域外に当たる島の南西約11・6キロ地点に500ポンド爆弾2発を誤投下した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-26-E_1-001-2_001.html

 

2008年09月27日【朝刊】 社会

「はみ出し飛行」35回 普天間離着陸ルート調査

 

普天間飛行場でのはみ出し飛行の例

宜野湾市長 国へ再調査求める


 【宜野湾】宜野湾市は二十六日、沖縄防衛局と同時に実施した、米軍普天間飛行場を離着陸する航空機の飛行ルートの調査結果を発表した。期間中、ヘリコプターは百六十六回飛行し、うち三十五回で“はみ出し飛行”などのルート違反を確認した。伊波洋一市長は「期間中は飛行回数が少なく、実態を反映していない。長期間の調査が必要だ」と、国に再調査を求めている。

 調査は、沖縄防衛局が実施した八月二十八日から七日間に同市も実施。うち三日は土日や米国の休日などで飛行がなかった。

 日米両政府は、同飛行場周辺で訓練するヘリの飛行ルート「場周経路」や、同飛行場への進入などに使う「離着陸経路」を定めている。

 しかし、場周経路を南北や東側方向にはみ出すAH1J軽攻撃ヘリ、大山区など西海岸上空で旋回した後に東シナ海へ抜けるCH53E大型輸送ヘリなどの「経路違反」を確認した。 同市は、期間中、市民への騒音被害が大きいヘリの「タッチ・アンド・ゴー」訓練が見られなかったと指摘。訓練の激しい日は二百―三百回の離着陸があり、七―八割がはみ出し飛行するという。

 また、固定翼機は二百四十六回の飛行を確認、KC130空中給油機などが三時間以上、タッチ・アンド・ゴーを繰り返していた。同市は「米国では固定翼機の飛行を制限するクリアゾーンに宜野湾市の住宅街はある。危険な飛行実態があらためて明らかになった」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-026-1_003.html

 

2008年09月27日【朝刊】 政治

鳥島射爆場の返還 知事「強く求める」

 仲井真弘多知事は二十六日、鳥島射爆撃場と久米島射爆撃場の返還と、沖縄本島東方五十キロに位置する訓練空域・水域「ホテル・ホテル訓練区域」の一部解除について、「地元自治体の意向を踏まえ、日米両政府に対して強く求めていきたいと考えている」と述べた。仲井真知事が両射爆撃場の返還などを求めると明言するのは初めて。

 同日の県議会(高嶺善伸議長)九月定例会代表質問で、玉城ノブ子氏(共産)の質問に答えた。

 両射爆撃場の返還と訓練区域の一部解除について仲井真知事は、県漁業協同組合連合会と県漁業協同組合長会から二十二日に要請を受けた際にも前向きな姿勢を示していたが、答弁で初めて明言した。

 米軍再編に伴う基地労働者への影響については、「移転計画の詳細が明らかでなく、具体的な従業員の雇用への影響は把握できていない」とした。沖縄振興計画に職業訓練充実、離職者への特別給付金、就職促進手当などの支援策を盛り込んでいるとして、「国や関係機関と連絡会を設けており、できる限り早めに情報を入手できるよう努めている」と説明した。山内末子氏(民主)に答弁した。

 モノレール延長事業における費用負担については、漢那政弘土木建築部長が「浦添ルート案」の総事業費約三百九十六億円のうち県負担額は約五十七億円、那覇市が約三十億円、浦添市が四十六億円を見込んでいると説明。維持管理費は年間約六億円で、延長により約二億円増えると試算した。山内氏に答えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-002-1_001.html

 

2008年09月27日【朝刊】 政治

久米島町・県漁連は歓迎/鳥島射爆場の返還要求

県と連携 国に要請へ


 仲井真弘多知事が、鳥島、久米島の両射爆撃場返還と、沖縄本島東方にあるホテル・ホテル訓練区域の一部解除を求めることを初めて表明した。久米島町の平良朝幸町長も「国の動向を見ながら、県と足並みをそろえて返還を求める」と明言。県漁業協同組合連合会の下地敏彦会長は「知事が解決に向けて努力するということは本当に力強い」と歓迎する。(政経部・吉田伸、南部総局・新垣亮)

 鳥島射爆撃場は管理する米空軍だけでなく、海兵隊や海軍などが頻繁に使用する訓練場で、返還のハードルは高い。だが知事は、県議会代表質問の終了後も「難しい問題だが取り組んでいきたい。どこから始めたほうがいいか。議会が終わって考えたい」とあらためて前向きな姿勢を示した。

経済損失は大

 「山がだいぶ削られた」「これでは島がなくなる」。八月二十七日。町有地の鳥島射爆撃場を洋上視察した久米島町議らは、爆撃でいびつに削り取られた岩肌やさびた金属片が散らばる島の姿に落胆した。

 一緒に視察した平良町長は「議会と共に、島のためになる方策を探っていきたい」と話す。返還を求めていなかった町だが、返還を強く訴える漁業者や町議会の声の高まりに背中を押される形で方針を転換した。

 もともと、年間約百八十万円という鳥島射爆撃場の借地料の安さに不満を募らせていた。「安く貸しているのに、大きな経済損失を被っている。何度も要請したが国の誠意が見られない。返還を求めざるを得ない」。平良町長は言い切った。

「燃油」で悲鳴

 稲嶺県政下、地元の要請は返還でなく提供水域の整理・縮小だった。県も「適切に対応していきたい」とあいまいな態度だった。

 漁業者が返還に踏み込んだのは、防衛省から支払われる損失補償額の減少が大きい。県漁連の下地会長によると「年間約十五億円だったが、数年で半額の約七億五千万円にまで落ち込んだ」という。今年に入り、燃油高騰で悲鳴は増した。

 県漁業協同組合長会の会長も務める久米島漁業協同組合の棚原哲也組合長は「提供水域が返還されたら初めてのケース。業界だけでなく、県の要請は国も真剣に検討してくれる。返還の実現まで粘り強く訴えていきたい」と期待する。

 県漁連などは県とともに、防衛省や外務省、農林水産省などに要請行動を行う考えだ。今後は政府の対応に注目が集まる。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-27-M_1-002-1_002.html

 

2008年09月28日【朝刊】 社会

検定意見撤回へ決意/県民大会1周年で集会

 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から日本軍の強制を削除した文部科学省の検定意見に抗議した昨年の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の一周年集会が二十七日、那覇市の教育福祉会館で開かれた。教科書執筆者や識者が、これまでの経緯と今後の取り組みについて報告。文部科学省に対し、検定意見の撤回と「軍の強制」記述の復活などを求めるアピールを採択した。

 沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会と6・9県民大会実行委員会が主催。二百七十人が参加した。

 集会では、教科書執筆者の石山久男さんが教科書再訂正申請に向け、県民、国民世論の後押しの必要性を訴えた。昨年末の訂正申請で、文科省が「軍強制」を認めず、「軍の関与」にとどまったことに「問題は解決していない」と強調。沖縄戦での日本軍による強制の仕組みなど「悲劇の象徴『集団自決』が起きた根本原因を、次代へ伝える必要がある」と述べた。

 一方で、再訂正について、文科省の壁や教科書会社の消極姿勢を挙げ、「非常に困難な状況」と指摘。戦争を体験し語り継いできた県民の思いと歴史の真実を残すことが、「沖縄のみならず日本とアジアの平和創造につながる」として、歴史歪曲を許さない大きな流れをつくりたい、と呼び掛けた。

 出版労連教科書対策部の吉田典裕事務局長は、教科書会社が文科省に従属せざるを得ない構図、文科省教科書調査官が主導し国の意向が反映されやすい検定制度の問題点を提示した。

 「すすめる」会代表の高嶋伸欣琉球大学名誉教授は、県民大会や運動の意義を強調。岩波書店の大塚茂樹さんが、「集団自決」訴訟の地裁判決の勝利報告と控訴審の経過を説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-28-M_1-001-1_004.html

 

2008年09月28日【朝刊】 社会

真実守る闘い 正念場/修正主義に対抗訴え

270人「負けない」決意/県民大会1周年集会


 「真実を守る闘いはこれからがヤマ場だ」。那覇市で二十七日に開かれた「県民大会一周年集会」。登壇者はこの一年間の取り組みについて報告し、「粘り強い運動で歴史修正主義に対抗しよう」と口々に訴えた。県内三カ所で計十一万六千人が集まり、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から軍の強制を削除させた教科書検定意見に抗議した日から一年。参加者たちは「沖縄があきらめてはいけない」と決意を新たにしていた。

 「戦争の真実を伝えるか、美化するか。いまは時代の節目だ」

 「これは教科書だけの問題ではない。日本の未来がかかった問題だ」

 登壇者四人は、教科書検定をめぐる動きの背景に「修正主義者」らの政治的な働きかけがあることを強調。運動を継続して対抗するよう、それぞれの言葉で訴えかけた。集まった教育関係者や市民ら約二百七十人は約三時間におよぶ熱弁に耳を傾け、最後に全員で「頑張ろう」とシュプレヒコールを上げた。

 急きょ会場に駆けつけた教科書執筆者の都立高校教諭・坂本昇さんは「沖縄に来られてよかった」と顔をほころばせた。生徒の進路指導や就職活動のため、集会への参加はぎりぎりまで迷ったが、県民大会の感動を思い出したいと何とか日程を確保したという。「一年前の静かな熱気は確かに残っている。文科省の壁は厚いが、再び立ち向かうエネルギーをいただいた」

 沖縄戦を体験し、県立一中時代の同期生六十二人が戦死したという宮城政三郎さん(79)は「犠牲になった友人のため、子や孫のため、真実をねじ曲げる動きに絶対に負けてはいけない」と厳しい口調。

 幼稚園教諭の志喜屋直子さん(52)は「うそをつくなというのは、子どもたちに毎日伝えていること。いつまでかかっても声を上げ続けることが大切だ」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-09-28-M_1-025-1_001.html

 

琉球新報 社説

グアム移転費増 追加分は米国負担が筋だ2008年9月28日

 米太平洋海兵軍は、在日米軍再編に伴う在沖海兵隊のグアム移転経費が、日米で合意した金額より47億ドル増えるとの見積もりを示した。

 移動用の高速艇購入、北マリアナ諸島の訓練関連経費、グアムへの人員・物資輸送費、移転先施設の家具や事務用品購入費などを新たに盛り込んだためだ。

 今後、米連邦議会が増額に難色を示し、米国が日本に負担増を促す可能性もあるようだが、そんな身勝手な要求を認めてはならない。

 日米両政府が2006年の在日米軍再編協議で合意したのは、グアムへの移転経費102億7000万ドルのうち日本が60億9000万ドル(2008米会計年度の価格)、米国が41億8000万ドル(同)を提供することだ。

 高速艇などを購入するのは米国側の一方的な事情にすぎない。そのために日本に新たな負担を押し付けるのは筋違いも甚だしい。

 経費の増額は、米政府監査院(GAO)の報告書に、米太平洋海兵軍幹部の試算として盛り込まれた。移転経費は当初算定額を大幅に上回り、150億ドル以上に達する。報告書は増額分の負担内訳には触れていない。

 新たな負担の要求に日本が応じれば、米国は次々と必要経費を持ち出してきて追加支出を求めてくるだろう。日米合意の枠外なのだから、増加分は当然、米国が負担すべきである。

 そもそも、米軍再編最終報告は県民の頭越しに決定された。牧港補給地区、那覇軍港など嘉手納飛行場より南にある施設の全面返還は海兵隊のグアム移転が前提であり、グアム移転は普天間飛行場の名護市への移設が前提になっている。

 日米合意から2年以上経過したが、米陸軍パトリオット・ミサイルの配備など、基地機能強化だけが先行し、「負担軽減」は脇に追いやられた感がある。

 日本政府は、沖縄県民の声に十分に耳を傾け、基地負担の軽減に全力で取り組むべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-136603-storytopic-11.html

コメントを残す