月別アーカイブ: 2008年12月

『蟹工船』が読まれることは・・・3/3

蟹工船が読まれてる不幸な時代を繰り返してはならない

 『蟹工船』が、青年達の間で読まれていることは、とても良いことです。虐殺され30歳にもならないうちに殺された多喜二が、今、不正規の労働者青年達を励ましています。多喜二は、今も生きています。多喜二の母が、亡骸に対して「もう一度立て」と呼びかけたあの悲しみを、今も僕は共にします。日本は、すばらしい才能ある作家を失った。天皇制警察軍部によって奪われた。しかし、短い多喜二の人生は、巨大なものを残した。

 『蟹工船』がいま、自然成長的に読まれていることは、きわめて不幸なことです。そういう時代はもう繰り返してはならない。63年前の焼け野原で日本国民は誓ったはずです。昔は天皇制軍国主義、今は、日米軍事同盟主義の違いがありますが、民衆と他国への二つの戦争を馬鹿な日本の支配層は馬鹿な合衆国の支配層と心中してもいいから、続けようとしています。

過去と現在ー先進国にふさわしい団結を

 しかし、日本の民衆も世界の民衆も80年前とは違います。

 日本では、九条の会が7294も結成され、共産党、社民党、そして部分的には、民主党の党派を超えて共同、結集し事実上の統一・共同戦線ができています。多喜二の時代には、侵略戦争に反対できたのは、非合法の共産党だけでしたのに。

 労働法制上、トヨタ、スズキ、キャノンなどは、違法行為を行っているわけです。

 昔存在し得なかった全国的労働組合も存在しています。今、全国的労働組合組織は、ヨーロッパでは当たり前の、ゼネストに立ち上がる時ではないでしょうか。非正規労働者の首を切る経営者はやがて、正社員の首も容赦なく切るでしょう。今労働組合が未加入の労働者と共にゼネストで立ち上がらなくていつ立ち上がるのか。「首切り」という違法を権力的に行う大企業の暴力に対して、団結の力を示すべきではないでしょうか

 多喜二の『蟹工船』はそれを教えています。

『蟹工船』が読まれることは・・・2/3

蟹工船の時代と現代

 さて、『蟹工船』にもどりましょう。1929年前半にプロレタリア芸術運動機関誌『戦旗』に発表された『蟹工船』が来年で80年経つ今、共産党が宣伝したからでもないのに、読まれていることは一体何を意味するしているのか?

 1931年9月18日関東軍が、「南満州鉄道」を自ら爆破した柳条湖事件をでっち上げ、これを口実に中国への総攻撃を開始しました。「自衛」(田母神もと航空自衛隊空幕長)のためにね(笑い)。いわゆる「満州」事変が始まったのです。

 労働者への戦争と、他国への戦争とは同時並行的に起こっています。『蟹工船』は日本軍艦が蟹工船の労働者弾圧のために出動したことを描いています。多喜二は命がけで二つの戦争、一つは労働者への戦争もう一つは他国への戦争に反対した1903年生まれの作家でした。そして、この誠実で有能な世界に誇れる若い作家は共産党員であり、民衆弾圧のまさに中核であった共産党弾圧を描いた『1928年3月15日』を描いたこともあり、警察権力に非常に憎まれ、見るも無惨な拷問の後に虐殺されました。1933年でした。

 企業防衛と称して、情け容赦なく首を切り住まいまで奪う、現代の愚かな日本の大資本家たちと『蟹工船』で描かれている資本家達とどこが違うのでしょう。侵略を「自衛」と称する教育を「自衛」隊で行っていた田母神らが旧皇軍とどこが違うのか、と言うことと同じに。

その3へつづく

『蟹工船』が読まれることは・・・1/3

大企業の首切りと「テロとのたたかい」の類似点

 今、「雇用問題」が大問題になっています。

 主として非正規労働者を対象とする「首切り」は、大企業家たちによる労働者への「戦争」です。彼らは、多分、主観的には、「企業が生き延びるためには労働者の明日の生活のことなどよりも、今の企業経営のことが死活問題だ」と言うでしょう。利益がかなり減ったとしても、まだ余剰があり、内部留保は十分にあり、株主配当は7倍?にも引き上げているのに。

 これは、反テロ戦争は米国の死活問題だというブッシュの論理と似ています。9・11(これすら、反論はあるにしても「謀略」の疑いは限りなくあります。後世の歴史は必ずこれを明らかにするでしょう。「皇軍=関東軍」が、盧溝橋事件を起こしたように)への反撃、再発防止ということで、もう明らかになった「イラク大量破壊兵器保持」のでっち上げを理由に、イラク侵略戦争を田母神流に「自衛」と称して実行したように。

 また、アフガンを支配しているように。大企業は、危機でもないのに「企業存亡の危機」ということで、情け容赦なく、労働者の「首を切る」。まさにでっち上げで最大限利潤を追求する。これほど大量な、かつ違法な「首切り」で文字どおり、労働者は命綱を切られ生きることすら困難になる。ヨーロッパの資本家や政府は、もう少しは利口です。こういう首切りが社会に与える影響は、内需の減少、売り上げの低下、そしてさらなる利潤の減少という悪循環にはいることを意味するのに。馬鹿な、日本の大企業家たち!これもブッシュの愚かさと似ています。

その2へつづく

「政府は貧しい」といいながら4兆円の軍事予算の矛盾

 今朝のNHKテレビで、社会保障費2200億円の削減問題をたずねられた与謝野「大臣」は「政府は貧しいですからね」と一言。

莫大な軍事予算を半減するだけでも2兆円の財源に

 日本政府が貧しいのなら、1,000億を軽く超えるイージス艦を5隻?も持つようなこと、アメリカの軍隊のためにアメリカの領土グアムにどうして兆を超えるお金を払うこと、3000億近い、条約上の義務もない「思いやり」予算を毎年米軍に払う、そんなゆとりが日本政府にあるのか、インド洋上で、タダで油を供給する違憲の行為をする「ゆとり」があるのか。日本政府は、金がないと言いつつ軍事費を聖域にし、4兆円の違憲の「戦力」を維持するためのお金を払う毎年払う「余裕」が、アメリカのため大軍需企業と汚職のためにはあるのです。「自衛隊」を廃止し、国際災害救助隊を作るならば、隊員の雇用も継続し、生き甲斐も与え、しかも試算したわけではありませんが、半分の予算で十分すむでしょう。半分にすれば2兆円は浮きます。

なぜ現実に起きている貧困問題をを直視できないのか

 続いて、「雇用」の論議がテレビでされていました。派遣会社の女社長が、例外的な事例を出すことによって、社会的な「貧困」問題を全く見ようとしない私利私欲を正当化する発言をしています。明日住むことすらできない危険にある多くの人たち=非正規労働者のことを全く考えに入れない冷酷多弁な発言をする「知識人」として国際基督教大学教授が、出演していました。キリストの名に恥ずかしくないのでしょうか。こういう人物たちを見ると、言葉もありません。

 怒りをエネルギーに変え、力を合わせ状況を変えていきましょう。  

 今夜より、田母神元空幕僚長の皇軍「自衛」の歴史的現場、中国天津市を短期間でありますが、中国語の「沖縄米軍基地パンフ」を携えて訪れます。義和団事件で8カ国軍上陸の租界市であった地です。

自動車資本の横暴が目に余る

自動車資本の横暴が目に余る。連日のごとく、非正規労働者の首切りが報じられている。3万を超す。共産党も社民党も、がんばっている。明日から住む家もなくなると言う、解雇された非正規労働者。その数はまだまだ増えるという。そんなことが、21世紀の世界、日本で許されるのだろうか。労働運動を励まし、不正義に抗している人たちを励ましていかなければならない。イラクやアフガンで、殺されている、又難民となっている幼い子供たちなどの状況にもこの不正義はつながっている。

政治の中身を変え、自公政権に変わる憲法遵守政府を作らなければならない。そのための統一戦線、共同戦線、結集を作り上げなければならない。

非力ではあるが、できる限りのことを毎日毎日私たちは努力するしかないのだ、とつくづく思う。