『蟹工船』が読まれることは・・・3/3

蟹工船が読まれてる不幸な時代を繰り返してはならない

 『蟹工船』が、青年達の間で読まれていることは、とても良いことです。虐殺され30歳にもならないうちに殺された多喜二が、今、不正規の労働者青年達を励ましています。多喜二は、今も生きています。多喜二の母が、亡骸に対して「もう一度立て」と呼びかけたあの悲しみを、今も僕は共にします。日本は、すばらしい才能ある作家を失った。天皇制警察軍部によって奪われた。しかし、短い多喜二の人生は、巨大なものを残した。

 『蟹工船』がいま、自然成長的に読まれていることは、きわめて不幸なことです。そういう時代はもう繰り返してはならない。63年前の焼け野原で日本国民は誓ったはずです。昔は天皇制軍国主義、今は、日米軍事同盟主義の違いがありますが、民衆と他国への二つの戦争を馬鹿な日本の支配層は馬鹿な合衆国の支配層と心中してもいいから、続けようとしています。

過去と現在ー先進国にふさわしい団結を

 しかし、日本の民衆も世界の民衆も80年前とは違います。

 日本では、九条の会が7294も結成され、共産党、社民党、そして部分的には、民主党の党派を超えて共同、結集し事実上の統一・共同戦線ができています。多喜二の時代には、侵略戦争に反対できたのは、非合法の共産党だけでしたのに。

 労働法制上、トヨタ、スズキ、キャノンなどは、違法行為を行っているわけです。

 昔存在し得なかった全国的労働組合も存在しています。今、全国的労働組合組織は、ヨーロッパでは当たり前の、ゼネストに立ち上がる時ではないでしょうか。非正規労働者の首を切る経営者はやがて、正社員の首も容赦なく切るでしょう。今労働組合が未加入の労働者と共にゼネストで立ち上がらなくていつ立ち上がるのか。「首切り」という違法を権力的に行う大企業の暴力に対して、団結の力を示すべきではないでしょうか

 多喜二の『蟹工船』はそれを教えています。

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