月別アーカイブ: 2008年4月

県内大学教授らがシンポ、新基地建設は不要 沖教組教育研究所、「集団自決」で資料集 瑞慶覧58号沿い返還へ 沖縄市議会、未明離陸に抗議決議など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月28日から30日)

2008年4月28日(月) 朝刊 2面

新基地建設は不要/県内大学教授らがシンポ

 シンポジウム「押しつけられた常識を覆す―安保・開発・環境の視点から」(主催・「いまこそ発想の転換を!」実行委員会)が二十七日、那覇市の県立博物館・美術館で開かれた。県内の大学教授三氏が登壇し、名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部で進む米軍普天間飛行場の代替施設建設に反対した。

 実行委員長の宮里政玄沖縄対外問題研究会代表は「辺野古の新基地は大きな問題を抱えているが、十分な検討がされていない。沖縄は危機的状況」と懸念。沖縄の基地、振興開発問題について“政府の世界観”ではない新たな視点で討論することを呼び掛けた。

 「沖縄に新基地は不要」をテーマに報告した我部政明氏(琉大教授)は、沖縄の海兵隊の戦略的重要性はなくなったと指摘。在日米軍が一九九六年に作成した「普天間飛行場の嘉手納基地への統合に関する実現可能性についての技術評価書」を提示し、「米側の論理に沿っても、沖縄の海兵隊が必要というのは、SACO(日米特別行動委員会)最終報告前の話となった。嘉手納を補完する役割としての普天間はいらなくなった」として代替施設不要論を説いた。

 「振興開発は経済と自治を破壊する」と報告したのは島袋純氏(琉大教授)。「高率補助システムの振興開発制度は、日本の保守利益還元政治に沖縄を組み込むものだった」と述べ、高率補助により沖縄の自治は脆弱化したと指摘した。

 会場からは「経済が自立すれば豊かになるというのが今までの常識だった」という問いがあったが、「それの逆。政治的自立があって豊かになる」との持論を展開。イギリスのマン島、フランスのコルシカ島、マルタを例に、政治的自治強化の必要性を唱えた。

 桜井国俊氏(沖大学長)は「辺野古新基地は沖縄の未来を奪う」をテーマに、持続可能な開発の重要性を強調。「代替施設建設のため、沖縄で年間採取量の十二倍に当たる千七百万立方メートルの海砂が取られれば、観光も成り立たなくなる」と訴えた。

 海砂採取や構造物建設で海流が変化する例が少なくないことを指摘しながら、「環境の視点から見た沖縄の生態系状態はカタストロフィー(破局)に近い。新基地建設を許せば海がなくなり、沖縄は生きていく基盤を失う」と危惧した。

 フロアから「次は経済学者も入れて、徹底的に議論して知恵を集めてほしい」などの声が上がった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281300_04.html

 

琉球新報 社説

56回目の4・28 「主権」を考える1日に

2008年4月28日

 沖縄には独自の記念日がいくつかある。語呂合わせ的な設定ではなく、歴史的な出来事があった日という意味では、5月15日の「本土復帰記念日」と、県条例で休日の定めがある6月23日の「慰霊の日」が代表格だろう。

 近年だと、米兵による少女乱暴事件に抗議する県民大会が開催された1995年10月21日や、教科書検定意見撤回を求める県民大会の昨年9月29日が、それぞれ「10・21」「9・29」デーとして県民の記憶に刻まれ、繰り返し思い起こすに違いない。

 そんな中で、忘れ去られそうな日がある。対日講和条約(サンフランシスコ平和条約)が発効した1952(昭和27)年4月28日で、県民にとっては“屈辱の日”ともされる「ヨンテン・ニーハチ」だ。

 56年前のこの日、米ワシントンで対日講和条約の批准寄託式が開かれ、条約は発効した。敗戦に伴う連合国軍の占領統治が終わり、日本は6年8カ月ぶりに独立を回復したが、米軍の日本駐留を認める日米安全保障条約(旧安保条約)も同時に発効したため、沖縄は米国統治下に入り、異民族支配が始まった。

 日本から切り離された沖縄の屈辱と犠牲の日々は、筆舌に尽くし難い。1972年になって悲願の祖国復帰を果たすが、広大な米軍基地の大半は残り、米兵らによる凶悪な事件、悲惨な事故は後を絶たない。「4・28」はまさに、戦後沖縄の運命と苦難の歩みを決定付けた日といえる。

 県民は半世紀余にわたり、人権を踏みにじられ、過重な負担を強いられてきた。この状況から脱したいと願うなら、安保体制や日米同盟の負の部分を検証し、正していく姿勢が求められる。

 講和条約発効の日については、日本が主権を取り戻したとの位置付けで「祝日にすべきだ」との主張も政界にくすぶる。だが、憲法の恩恵に十分に浴さない今日の沖縄に思いを致せば、祝賀ムードとはいくまい。それよりも「主権とは何か」を、あらためて国民一人一人が考える1日にしたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131574-storytopic-11.html

 

2008年4月28日(月) 夕刊 1・5面

初の通年工事開始/泡瀬埋め立て

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合を埋め立てる国の二〇〇八年度の事業が二十八日午前、始まった。四月からの通年工事は初めてで、工事の準備として重機の搬入と組み立て作業が行われた。今後、国は埋め立て地を囲む護岸の内側に砂や石材を投入するほか、八月以降に仮設航路と泊地の浚渫工事を計画している。県は八月以降に人工ビーチの突堤造成を始める予定。

 〇二年に始まった埋め立て事業で、国はこれまで四―七月はトカゲハゼの産卵期に当たるとして、環境アセスメントの規定に従い工事を中断していた。しかし外周護岸によって〇七年度に埋め立て予定区域が区切られた状態になったことから、護岸内側での作業では、トカゲハゼへの影響はないと判断。事業者の沖縄総合事務局が通年工事の方針を示していた。

 同事務局那覇港湾・空港整備事務所の津田修一所長は「専門家の意見が反映された環境影響評価書に基づいて実施している。八月までは護岸の内側の作業で、海上作業はない」と説明。水質とトカゲハゼへの影響を監視するモニタリング調査を行い、環境に配慮して事業を進めると強調した。

 同事業をめぐって、環境への影響を訴える反対派の住民らが、県と沖縄市に公金支出の差し止めを求める訴訟を起こしており、二十三日に最終弁論が行われた。

 また〇七年十二月には沖縄市の東門美津子市長が「工事中の第一区域(約九十六ヘクタール)は推進、第二区域(約九十一ヘクタール)は推進困難」との考えを初めて発表。埋め立て後の土地利用計画が今後の課題となっている。


     ◇     ◇     ◇     

「完成早く」「不当事業」/推進・反対両派が集会


 【沖縄】「一日も早い完成を」「不当な公共事業だ」。泡瀬沖合の埋め立て事業が通年工事として始まった二十八日午前、事業の推進、反対両派は、埋め立て地につながる仮設橋梁入り口でそれぞれ集会を開いた。横断幕を広げてこぶしを上げ、拡声器を使って事業の歓迎や中止を訴えた。

 泡瀬地域の住民らでつくる推進派団体「プライド泡瀬」の當真嗣蒲会長は「視察や事業者の説明を通して、環境に十分配慮された工事と分かり、通年工事を歓迎している。長年の夢である人工島がスポーツのメッカとなるような施設を誘致したい」と完成後の発展を期待した。

 市内の団体などでつくる沖縄市東部海浜リゾート開発推進協議会の仲村富吉会長は「(事業は)市の経済や観光が発展する基盤づくりになる。工事を進め、一日も早く完成させてほしい」と話した。

 泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「トカゲハゼの産卵時期に工事をしない約束にもかかわらず、独断で再開するのは暴挙だ。既成事実を積み上げようとしている国に対して怒りを感じる。県民のよりどころである自然を壊すことは、観光資源を失うことにもなる」と工事の中止を求めた。

 抗議に参加した中石清重さん(83)=城前町=は「自然を壊す埋め立てがなぜ必要なのか。お金が一番という考えではなく、子や孫の世代に何を残せるのか考えてほしい」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281700_01.html

 

2008年4月28日(月) 夕刊 5面

「未明」改善に難色/北谷議会抗議に米基地広報局長

 【北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が未明離陸した問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は二十八日午前、同基地を訪れ、運用上の理由や訓練に伴う深夜・早朝離陸を一切行わないよう抗議した。

 宮里議長によると、対応したジョン・ハッチソン広報局長は「(離陸時間を)なるべく明け方にするよう配慮している。運用上の問題があり、今後未明離陸を行わないとは約束できない」として要望には応えられない意向を示したという。

 また同議会がグアムなどを経由し未明離陸を回避するよう求めたことには、「グアムにはF15をメンテナンスする隊員がおらず難しい。日数もかかる」と述べたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804281700_05.html

 

2008年4月29日(火) 朝刊 27面

「集団自決」で資料集/沖教組教育研究所

授業例・記述変遷盛る

 沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制が削除された教科書検定問題を受け、沖教組教育研究所(大浜敏夫所長)はこのほど、同問題を取り上げた授業実践例や、教科書会社ごとの「集団自決」記述の変遷など、一連の動きをまとめた資料集「沖縄戦『集団自決』と教科書問題」を作成した。同研究所は「小中高校で幅広く活用してほしい」と呼び掛ける。(嘉数よしの)

 検定問題に危機感を抱いた教員らが、「授業で正確に沖縄戦を伝えていかなければならない」と企画。小中学校の教諭三人の授業実践例が盛り込まれた。

 東村立東中学校の北島幸三教諭は昨年、三年生が検定意見の撤回を求める意見書の可決を同村議会に請願したことを、生徒の意見とともに報告。那覇市立城東小学校の下地史彦教諭は、小中高校の教科書の沖縄戦の記述を読み比べながら、児童に学びたい教科書を選んでもらった例を挙げた。

 授業で活用しやすいように、一九八二年に日本軍による住民虐殺の記述が削除された問題など、沖縄戦の実相が歪曲された教科書検定の経緯をまとめたパワーポイントをCDに収録。

 戦後の教科書問題の経過や新聞記事、県内外の市町村議会が可決した意見書すべてを盛り込んだほか、慶留間島の「集団自決」をテーマにした絵本「松三の島」も収録した。

 同研究所の平和教育シリーズの第四集として、四年ぶりの発刊。山本隆司事務局長は「教科書問題について学校教育で関心を高めたい。小中学校の検定を前に、教科書問題を理解してもらいたい」と語る。

 研究所は今後、沖縄戦についての授業計画も作成する予定。教員のアイデアを募っている。

 資料集は県内の小中学校に配布されるが、県外の教員へも活用をアピール。興味のある教員らに実費で譲る。問い合わせは同研究所、電話098(867)0161。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804291300_04.html

 

2008年4月29日(火) 朝刊 2面

鳥島の実弾回収せず/海兵隊「人命に危険ない」

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場の提供水域外に五百ポンド爆弾を誤投下した問題で、在沖米海兵隊報道部は二十八日、沖縄タイムスの取材に対し、「実弾を回収する計画はない」と述べた。県は速やかな撤去を求めていた。

 同報道部は、爆弾が海面へ着弾した際の衝撃で爆発した可能性はほとんどないとし、「深度約千四百メートルまで沈んだと思われ、人命や財産への危険の可能性はない」と説明した。

 誤投下の原因については引き続き、調査中と述べるにとどまった。

 当該機の所属部隊については、「運用上の理由から明らかにできない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804291300_06.html

 

2008年4月30日(水) 朝刊 1面

瑞慶覧58号沿い返還へ/米軍再編合意2年

 在日米軍の再編に伴い、米海兵隊のキャンプ瑞慶覧(約六百四十ヘクタール)の国道58号沿い地区(北谷町、宜野湾市)の返還について日米で合意していることが、二十九日までに分かった。沖縄タイムスの取材に、ケビン・メア在沖米国総領事が明らかにした。米軍再編最終報告(ロードマップ)の日米合意から五月一日で満二年になるが、瑞慶覧の返還部分が明言されるのは初めて。合意された返還部分は約百ヘクタールになるもようだ。

 メア総領事は「国道58号沿いのインダストリアルエリア(工業地区)は(返還しても)問題ない」と明言。日本側は過半の約三百二十ヘクタール以上の返還を求めるが、「グアム移転と関連するので沖縄に残る家族用住宅の需要を調整している。大規模な返還が期待できると思う」との見通しを示した。

 キャンプ瑞慶覧は、ロードマップに盛り込まれた「嘉手納以南六基地」の返還交渉で唯一、返還規模が確定していない。国道58号東側は、倉庫群やモータープールなどが並ぶ工業地区となっている。

 一方でメア総領事は、仲井真弘多知事が求める普天間飛行場の「三年内をめどとした閉鎖状態」の実現について「(代替施設完成までは現在の)能力を維持する必要があるので、三年間ではできない。普天間周辺の住民の懸念を解決するためには早く移設するしかない」との見解をあらためて強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804301300_02.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月30日朝刊)

[「泡瀬」通年工事]

ハゼへの影響が心配だ


 埋め立て工事が行われている近くで潮干狩りをし干潟の生物を観察している側からすると、工事の進捗はやはり気になる。

 工事による振動がもたらす影響は本当にないのかどうか。第一区域を取り巻く護岸の工事が海域の潮目を変えたのは明らかで、それが干潟の生態系を変化させたのではないか、ということもだ。

 「干潮時に沖合に広がる砂州は工事前はもっと小さかったし、干潟に流れ込む河口付近に砂がよくたまるようになった。これは潮の流れが変わったからではないか」

 二十年ほど前に泡瀬通信施設の近くに移り住み、施設横の干潟で犬を散歩させる住民の声である。

 東部海浜開発事業検討会議の委員らが提出した報告書では、干潟の魚類三種、甲殻類十一種、貝類九十九種(うち絶滅危惧種四十一種)の合計百十三種が希少動物として位置づけられている。

 私たちが心配してきたのは、工事がこれらの生物に負担がかからないように配慮されてきたかということである。

 かつては干潟のあちこちでトカゲハゼが観察でき、大きな赤貝などが採れた。だが、今では意識しなければとても見つけることはできない。よく釣れたチン、キスもまた数が減っているのが実情だ。

 流れ込む生活排水ももちろん一因といっていい。だが、もし埋め立て工事の影響が大きいのなら、そのことを事業者はもっと真摯に受け止めるべきであり、その事実に目を閉ざしてはなるまい。

 沖縄総合事務局が二十八日から始めた二〇〇八年度の工事に対する懸念はその点にある。工事が既に囲われた護岸の内側に土砂を運び込む作業であることは分かる。

 しかし、だからといって、大型トラックの騒音や土砂を固める際の振動が、この時期に始まるトカゲハゼの産卵行動に影響しないと言い切れるのかどうか。

 もし断言できないのなら、ここは一歩引いて当初計画通り「四月から七月は工事を行わない」という手順を守るべきではないだろうか。それが貴重なトカゲハゼを守る手だてになると思うからだ。

 自然環境についての地域住民の感情は、計画を決めた時とは明らかに違ってきている。それは、世界にも誇れる干潟の自然を維持し、絶滅の危機にひんした動植物を守ることに人々が責任を覚えるようになったからだといっていい。

 開発推進派や事業者も環境の重要性は認識しているはずだ。海域に広大な人工島を造るからこそ、周辺の自然保護にきちんと向き合っていくことが大切なのである。

 国は今回の工事が「浚渫工事や汚濁防止フェンスを張るなどの海域工事」には当たらないという。保全計画を守ればトカゲハゼの生態には影響ないとも答えている。

 本当にそうだろうか。専門家の意見を聞こうとせず、自ら検証もしないのであれば実態は分からないのではないか。

 生態系は一度壊れたら、元に戻すには相当な年月がいる。それゆえに、環境の保全には万全を期すべきなのである。簡単に「影響ない」というのでは、繊細な生態系を守ることへの不安を残すだけだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080430.html#no_1

 

琉球新報 社説

防衛省改革 文民統制の崩壊が心配だ

2008年4月30日

 日本軍の復活と軍部による官邸支配をほうふつとさせる動きが、水面下で進んでいる。自民党の防衛省改革小委員会の論議のことだ。不祥事続きの防衛省改革のはずが、改憲と制服組の発言力と活動の強化を求める「提言」が出てきた。文民統制も崩壊しかねない。警戒したい。

 自民党政務調査会と安全保障調査会、防衛省改革小委員会が24日にまとめた「提言・防衛省改革」に驚いた人も多いであろう。

 そもそも論議は、護衛艦による漁船衝突事故やイージスシステムの特別防衛秘密流出、テロ対策特措法に基づく給油量の取り違え、前次官による贈収賄事件など、頻発する防衛省不祥事の再発防止が目的のはずだった。

 ところが、出てきた「提言」は、冒頭から省改革の「最も重要な前提は、憲法改正である」とし、自民党改憲草案の早期実現を求めている。

 軍部の暴走による侵略戦争の反省から、戦後は武力の放棄、戦力の不保持を憲法で定めている。

 だが、その後の警察予備隊から始まる自衛隊という事実上の「軍隊」の復活を受け、「文民統制」の徹底が国是とされてきた。防衛省内では武官(軍人)を「制服組」、文官(官僚)を「背広組」と呼び、背広組による制服組の支配を徹底してきた。

 今回の「提言」をみると、制服組の権限強化、台頭策が随所に出てくる。例えば「防衛省・自衛隊出身の総理大臣秘書官や自衛官の副官」の新設。文官中心の防衛省内部部局の「制服・文官混合組織化」。統合幕僚長の陸・海・空の「業務統括」による権限強化と「統合司令部の設置」。自衛官の国会出席、各種委員会での説明を可能にするルールの新設などだ。

 「一佐を大佐に」など「国民も親しみのある階級呼称への変更」という形で旧軍の呼称復活も盛り込んでいる。

 それなのに衝突事故や機密漏洩(ろうえい)、贈収賄事件の再発防止策はどこへやら。防衛省改革の裏で改憲と武官統制の動きを加速するのは、まさに「羊頭狗肉」。あきれた話だ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131625-storytopic-11.html

 

2008年4月30日(水) 夕刊 5面

未明離陸に抗議決議/沖縄市議会

 【沖縄】沖縄市議会(喜友名朝清議長)は三十日午前の臨時会で、今月二十三日のF15戦闘機の未明離陸と、同十三日に北谷町で万引した海兵隊員の息子を憲兵隊員が基地内に連れ帰った事件、三月に市内で発生した憲兵隊が関与したタクシー強盗事件について、それぞれ意見書案と抗議決議案を全会一致で可決した。

 未明離陸については「基地周辺の『声』を無視した運用に米軍への不信は募るばかりで遺憾」とし、早朝・夜間訓練の全面中止、F15戦闘機の即刻撤去、騒音防止協定の抜本的見直しを要求している。

 タクシー強盗と海兵隊員息子による窃盗は憲兵隊員の関与を言語道断と批判。被害者への謝罪と完全な補償、米軍構成員などの教育の徹底と綱紀粛正、再発防止策を求めている。

 あて先は意見書が首相、外相、防衛相、抗議決議が駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事など。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804301700_04.html

浦添で迫撃砲弾発見、猛毒化学兵器の可能性も 新嘉手納爆音裁判長ら現地調査 少年連行、米側、明確な謝罪なし 文科省、教科書検定撤回を拒否 海兵隊グアム移転統合計画の概要公表 比女性暴行、米兵を書類送検など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月24日から26日)

2008年4月24日(木) 朝刊 2面

米軍、実施継続の姿勢/F15未明離陸

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明に、米本国に向け同基地を離陸した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)の中川京貴副議長、基地対策特別委員会の田仲康榮委員長ら六人は同日午後、同基地を訪ね、今後一切、未明離陸を行わないよう求め、抗議した。

 田仲委員長らによると、応対した第一八航空団のジェラルド・ゴンザレス広報局次長(大尉)は「今後も必要性が生じたら、行わざるを得ない」と述べ、地元の要望には応じられない考えを強調したという。

 同町議会がグアムなどを経由し、未明離陸を回避する運用を求めたことについては「グアムでは整備要員を連れて行かなければならず、いい中継地点だとは考えていない」と否定的な見解を示したという。

 午後十時から翌日午前六時までの飛行を制限した騒音防止協定で、米軍の「運用上必要な場合」は例外とする規定について、撤廃を求めた同町議会に対し、「KC135(空中給油機)などは緊急の医療搬送用としても使用しており、難しい」と答えたという。

 町議会は米民間会社所有の英国製戦闘機MK58が同基地着陸後にブレーキの故障で誘導路隣の緑地帯に突っ込んだ事故についても、原因の公表と再発防止策の徹底を求めて抗議した。

沖縄市議会は あす対応協議

 【沖縄】沖縄市議会は二十三日、基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)を二十五日に開き、同市中央で発生した憲兵隊が関与したタクシー強盗事件、北谷町の在沖米海兵隊員の息子による万引事案、F15戦闘機の未明離陸などについて議会の姿勢を示す必要があるかなど、協議することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_03.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 2面

「機体更新」に食い違い/町、詳細計画の説明要望

 【嘉手納】米軍嘉手納基地が未明離陸の理由としている、旧型F15戦闘機を製造年の新しい機体に更新する計画について、同基地報道部は二十三日、旧型機の一部は米本国での訓練後にそのまま帰還した、と説明した。沖縄タイムス社の質問に答えた。嘉手納町は、機体更新を理由にした未明離陸の回数と機数に誤差があると指摘している。

 報道部は同計画が全五十四機を対象に二〇〇五年十二月に始まったと説明しているが、同町は機体更新を理由にした未明離陸は二〇〇六年五月が最初で、これまでに八回行われ、計二十五機しか離陸していないとし、報道部側の説明と食い違っている。

 同基地報道部は機体の入れ替えはすべて終了していると説明したが、未明離陸以外で嘉手納を離陸したF15の機数や日時、新しい機体の到着日時などの詳細は明らかにしていない。

 同町の担当者は「不明な部分が多い。更新計画に伴う機体入れ替えの詳細を明らかにしてほしい」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_04.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 22面

中城海上保安部が開所

普天間移設に対応

 【うるま】一日付で第十一管区海上保安本部の保安署から昇格した中城海上保安部の開所式が二十三日、うるま市田場のニュー三和で行われ、関係者ら約二百人が発足を祝福した。

 昇格は米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設などに対応したもので、あいさつした岩崎貞二海上保安庁長官は「キャンプ・シュワブの対応には冷静で的確な対応が求められる」と周辺地域の協力を呼び掛けた。

 同保安部は国頭村から南城市までの東西百二十キロにわたる本島東海岸地域、十二市町村を管轄。職員は六十三人増の九十七人体制。

 岩本一夫保安部長は「東部地域の安全を守ることはもちろん、県民に海上保安庁の業務を知ってもらうよう努力したい」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_06.html

 

2008年4月24日(木) 朝刊 23面

浦添で化学弾?/22発内に液体 密封

 沖縄防衛局は二十三日、浦添市内の建築現場で古い砲弾七十六発が見つかり、うち二十二発の内部に液体が詰められているのを確認した、と発表した。有害物質は検出されていないが、同局は「化学弾の可能性を否定できない」として、この二十二発を現場でビニールなどで密封。米軍に情報を照会し、近く搬出作業を行うという。同局は「混乱を避けるため」として場所を公表していない。

 同局によると、砲弾が見つかったのは今月七日。長さ約六十センチ、直径約八センチで太平洋戦争時の米軍の迫撃砲弾とみられる。いずれも信管はついているが作動状態になく、爆発の可能性はないという。通常弾の五十四発は陸上自衛隊一〇一不発弾処理隊が回収した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_09.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

猛毒化学兵器の可能性/浦添で発見 迫撃砲弾

米軍遺棄なら国内初

 浦添市で七日に見つかった液体の入った迫撃砲弾は、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器である可能性があることが分かった。米軍が第二次世界大戦当時、化学兵器を所持していたことは分かっており、沖縄戦にも化学兵器を持ち込んでいた可能性を否定できないという。防衛省は県外など他の場所に移してから内容物を調べる方針だが、もし化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。

 同省などによると、見つかった弾はM57迫撃砲弾で、液体が入ったタイプは煙幕用の発煙弾か、マスタードガスが入った化学弾の二種類しかない。両タイプとも形状や内部構造が全く同じといい、中を開けないと化学兵器かどうか確認できないという。

 化学兵器は一九二五年調印のジュネーブ議定書で使用が禁止されたが、開発や保有などは禁じられていない。防衛省関係者によると、イタリアで米軍が大戦中に遺棄した化学兵器が発見されたことがあり、米軍が当時、化学兵器を所持、前線に運んでいたことは間違いないという。

 内閣府の遺棄化学兵器処理担当室の担当者は「これまで国内で米軍の化学兵器が出たという話は聞いたことがない」と話す。

 沖縄戦研究者の大城将保さんは「ひめゆり学徒のガマに投げ込まれたガス弾や黄リン弾も一種の化学弾だが、使用が禁止された物ではなかった。今回発見された砲弾が禁止兵器であれば大変な問題だ」と話した。

[ことば]

 マスタードガス 猛毒のびらん性ガスで、液体や蒸気に触れると皮膚が炎症を起こすほか、重度の視覚、呼吸器障害を引き起こす。第一次世界大戦でドイツが初めて戦場で使用。旧日本軍は広島県の大久野島などで製造していた。からしやわさびに似た臭いがしたことからこの名で呼ばれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_01.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

裁判長ら現地調査/原告、被害実態訴え

新嘉手納爆音

 米軍嘉手納基地周辺の住民五千五百四十人が、国に夜間・早朝の飛行の差し止めと損害賠償を求めている新嘉手納爆音訴訟の控訴審で、裁判官が住民の居住地域で騒音や周辺環境を確認する現地進行協議が二十四日、嘉手納町立屋良小学校などで行われた。

 同日午前七時前、福岡高裁那覇支部の河邉義典裁判長ら判事三人が、基地から約二百メートルの距離で同基地を展望できる同小学校の校舎屋上を訪問。原告の一人で、嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長が、騒音や排ガス被害の実態を概説、「住民や子供たちの生命と安全が脅かされている実態を、ぜひご覧いただきたい」と訴えた。

 前日未明には同基地からF15戦闘機など計五機が、地元の反対を押し切る形で離陸を実施したばかり。二十四日は早朝からフェンス際でP3C対潜哨戒機がエンジン調整を行っていたほか、支援戦闘機やP3Cの離陸する場面が見られた。

 同訴訟の現地進行協議は二十五日まで、計十一カ所で行われる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_02.html

 

2008年4月24日(木) 夕刊 5面

「憲兵の指導を徹底」/県警に回答

少年連行 米側、明確な謝罪なし

 今月十三日、北谷町美浜の衣料品店で万引したとして、店員に取り押さえられた米兵の息子二人を、米海兵隊憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、県警は二十四日、県警の事実確認に対し、米側が「憲兵隊員の指導教養を徹底したい」と回答していると公表した。米側が非を認めたとも取れる回答だが、明確な謝罪はなかった。

 同事件は、沖縄署員が、憲兵隊に少年二人の引き渡しを求めたが、双方の言い分がかみ合わず約三十分間もめた。

 県警は、憲兵隊が現場に到着する以前に、息子は店員によって私人現行犯逮捕されており、身柄拘束が刑事訴訟法に抵触する可能性があるとの認識で調整を進めていた。

 県警によると、二十三日、沖縄署の玉那覇章署長が在沖米海兵隊憲兵司令官のバーナード・ヘス少佐を訪ね、二度目の遺憾の意を表明。これに対し、ヘス少佐が「沖縄署の見解は理解した。沖縄に配属された憲兵隊には指導教養を徹底したい」と話したが、謝罪の言葉はなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_03.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

米兵きょう書類送検/比女性暴行

 県警は、沖縄市内でフィリピン人女性を暴行したとされる二十代の米陸軍伍長を強姦致傷容疑で、二十五日に書類送検する方針を固めた。また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー運転手を羽交い締めにして売上金を奪ったとされる米海兵隊員二人を強盗致傷容疑で同日書類送検する方針。三人の身柄は現在、米軍当局の監視下にあり、起訴後に身柄は日本側に引き渡される見通し。

 強姦致傷事件は今年二月に沖縄市内のホテルで起きた。嘉手納基地の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の要員として勤務していた伍長が、二十代のフィリピン人女性に暴行を加えた疑い。事件当時、被害女性はホテルのロビーでぐったりしているところを従業員に見つけられ、病院に救急搬送された。女性の関係者が同署に通報して発覚。県警が被害女性や複数の関係者から事情を聴くとともに、ホテルの部屋などを現場検証していた。

 強盗致傷事件は〇六年七月に同市中央一丁目の市道で発生。外国人の男二人組がタクシーの車内で男性運転手を羽交い締めにし、売上金の現金数万円と約三百ドルが入った財布を奪われたとされる。

 捜査関係者によると、沖縄署がタクシーの車内から犯人の特定につながる試料を採取。県内の別の事件で摘発された海兵隊員の試料と照会したところ、合致したという。二人は容疑を認めているという。沖縄署が米軍捜査機関に協力を求め、調べを進めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_01.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

米憲兵隊兵長を起訴/3月タクシー襲撃

 沖縄市の路上で今年三月、タクシー乗務員の男性が外国人らに襲われ、釣り銭箱を奪われた事件で、那覇地検は二十四日、強盗致傷容疑で書類送検されていた米軍嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長ダリアス・エイ・ブランソン被告(21)を傷害と窃盗の罪で起訴した。同日、米軍当局から身柄の引き渡しを受けた。

 また那覇地検は同日、被害男性の背後から両腕で抱きつき、路上に引き倒したとされる米軍人の息子の少年(19)を家裁送致。共犯とされる別の米国人の少年三人を不起訴処分とした。共犯の事実を認定したが「年齢や役割など諸般の事情を総合的に考慮し、刑事処分相当ではない、と判断した」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_02.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 2面

米軍住宅手当 月最高27万円

 【東京】県内の米軍基地外に居住する米軍人に米国政府から支払われる住宅手当の上限額が、階級に応じ一カ月当たり十六万―二十七万円に上ることが二十四日、参院外交防衛委員会で明らかになった。防衛省が山内徳信氏(社民)に、米国防総省関連ウェブサイト内の資料を提出した。

 家族帯同者への住宅手当の上限は一等兵、二等兵、上等兵、伍長が十六万円。三等軍曹、少尉、四等准尉、中尉が十八万円。二等軍曹、一等軍曹、曹長、三等准尉、大尉が二十一万円。上級曹長、一等准尉、二等准尉、少佐が二十五万円。上等准尉、中佐が二十六万円。大佐が二十七万円。単身の場合は、これらの九割が上限となる。

 一方、防衛省の地引良幸地方協力局長は、基地外の米軍住宅の光熱水料などを米側が支払った実績は、一九九六年度が約十二億円、九七年度が約十二億円、九八年度が約十二億円、九九年度が約十一億円、二〇〇〇年度が約十一億円と説明。

 政府は二〇〇〇年度まで在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)で基地外の米軍住宅の光熱水料を負担していた。地引局長は「米国との特別協定による上限調達量に基づく予算内で負担していたので、米側の支払実績額すべてを負担しているわけではない」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_03.html

 

2008年4月25日(金) 朝刊 29面

猛毒弾か 米に照会/浦添でM57迫撃弾発見

 浦添市で七日に見つかった液体の入ったM57迫撃砲弾は米国製で、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器の可能性があることが二十四日、分かった。防衛省によると液体が入ったM57タイプの迫撃砲弾は、発煙弾かマスタードガスが入った化学弾しかない。沖縄防衛局によると、今回見つかった二十二発は一九四三年に製造されており、第二次世界大戦末期の沖縄戦で米軍が使用した可能性もある。

 防衛省は県外に移してから内容物を調べる方針。化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。砲弾は未使用の状態で、爆発や液体漏れなどが起きる可能性はないという。

 沖縄防衛局の真部朗局長は同日の記者会見で「一般論、軍事的常識としては、通常弾と化学弾を一緒に取り扱うことはない。M57という同じ形の砲弾に入れて、間違えたら大変なことになる」と述べ、化学弾である可能性は低いとの見解を示した。防衛省は米側に化学兵器かどうかを照会中だが、結果が出る時期は未定。日本側では内閣官房、外務省、内閣府、環境省などが調査に当たっている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_04.html

 

琉球新報 社説

「新嘉手納」訴訟 苦痛の現場どう感じたか

2008年4月25日

 米軍嘉手納飛行場の周辺住民5541人が日米両政府を相手に、米軍機の夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた新嘉手納爆音訴訟控訴審の現地進行協議が始まった。現場検証では、福岡高裁那覇支部の河辺義典裁判長らが嘉手納町立屋良小学校などで調査をした。

 北谷町砂辺では、戦闘機が次々と着陸し、騒音測定器が最大104デシベルを計測した。現場検証の最中に米軍機の「予防着陸」も発生した。裁判長は、頭上を頻繁に飛ぶ戦闘機について普段通りなのかと住民に確認していたが、基地周辺の「日常」に触れたに違いない。

 米軍基地周辺に居住、あるいは住んだ経験のある人なら米軍機の騒音による苦痛を、強弱はあるだろうが感じているだろう。バリバリ、という地響きとも思えるような騒音に加え、住宅の窓ガラスがガタガタと小刻みに揺れ、幼子はその爆音と振動に泣き、恐ろしさに叫び声を上げる。

 騒音による苦痛は、数字としては表し難い。が、裁判で認定してもらうため苦痛を示す根拠として示さねばならない。それがW値(うるささ指数)だ。

 2005年に提訴した新嘉手納爆音訴訟で那覇地裁沖縄支部は、W値の80―75以上だった賠償基準を「W値80及び75区域の航空機騒音は減少しており、現状ではかなり低い」として85未満の地域に住む3割の原告を救済対象から外した。

 米軍飛行場の運用は、日本政府の支配が及ばないという「第三者行為論」を踏襲し「支配の及ばない第三者の行為の差し止めを求めるものであり、主張自体失当」と請求を棄却している。

 県実施の健康影響調査を基にした「騒音性聴力損失」の症例に対しても「聴力損失の発症原因たるべき航空騒音に暴露され続けているという前提条件が必要」などとして爆音との法的因果関係を否定するなど住民の苦痛を退けている。原告の失望は計り知れない。

 06年に始まった高裁支部での控訴審で原告側は、認定に用いた指標や判断手法などの誤りをはじめ、第三者行為論に当てはめた結論ありきの判決、健康被害も調査結果を正当に理解していないと指摘した。

 離着陸に必要な風向きもあるだろうが、屋良小での現場検証では、戦闘機の離陸はなく原告団から「いつもはこんなに静かじゃない」との声もあった。一次訴訟の現場検証で戦闘機は飛ばなかった。裁判所の現場検証に合わせて米軍が訓練を自粛しているのではないかと勘繰りたくもなる。

 裁判所は現場検証を通して、住民の苦痛をしっかりと受け止め、静かな暮らしを実現するための判断に生かしてもらいたい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131470-storytopic-11.html

 

2008年4月25日(金) 夕刊 7面

暴行事件不起訴米兵、軍法会議に

最も重い「高等」

 二月の暴行事件をめぐり、県警に強姦容疑で逮捕されたが不起訴処分となった在沖米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)について、海兵隊報道部は二十五日、統一軍事裁判法に違反したとして、軍法会議にかけることが決まったと発表した。同会議の日程は未定。

 強姦罪で訴追されていることから、三種類ある軍法会議のうち最も重い罪に適用する「高等」軍法会議にかけられる。強姦のほか、少女を誘拐した罪などにも問われている。

 県警はハドナット容疑者を逮捕、送検したが、被害者が告訴を取り下げたため那覇地検は不起訴とし、身柄を米側に引き渡していた。

 日米地位協定は基地外で発生した公務外の事件について日本側に第一次裁判権を付与。日本側が裁判権を行使しなかったため、米側が第二次裁判権を行使する形となった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_03.html

 

2008年4月25日(金) 夕刊 7面

文科省、撤回を拒否/教科書検定

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる「教科書検定意見の撤回を求める4・24全国集会」の実行委員会が二十五日午前、文部科学省を訪ね、軍強制記述の回復や検定制度の段階的廃止などを求める渡海紀三朗文科相あての要請書を提出した。応対した布村幸彦審議官は「検定意見は今でも正しいと思っている。撤回するつもりはない」と答えたという。

 実行委によると、布村審議官は「元戦隊長らの陳述書は検定の根拠ではなく契機にしただけ」とした上で、大阪地裁判決で否定された点も「再検討する必要はない」と述べたという。

 実行委の石山久男さんは「こちらの主張に答えていない」と批判した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_05.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 1・2面

統合計画の概要公表/海兵隊グアム移転

 米海軍のグアム統合計画室は二十五日、在日米軍再編に伴う在沖海兵隊のグアム移転計画のマスタープラン素案について、概要版を公表した。島内に海兵隊の主要キャンプや軍関係者の居住地、空母が一時寄港するための桟橋などの候補地案を明示しているが、最終報告(ロードマップ)で定めた在沖海兵隊移転のうち、どの部隊が移転するか詳細については明らかにしていない。

 素案は当初、今年三月中の策定を予定していたが、約三週間遅れた上に、全文は公表されていない。

 同統合計画室は国家環境政策法(NEPA)に基づき、環境影響評価(アセスメント)の準備書を二〇〇九年春、最終評価書を同年末までに作成する日程を説明。マスタープラン最終案策定は今年夏から、一〇年初頭にずれ込む見通しも示した。最新版の素案について「変更の可能性がある」と慎重姿勢を示している。

 米太平洋軍は〇六年にグアム統合軍事開発計画を公表。「投入される海兵遠征軍(MEF)の兵力は司令部、地上戦闘、後方支援、航空戦闘の各部隊から構成される」と明記したが、ホームページを約一週間で削除していた。日米両政府は一二年から沖縄の第三海兵遠征軍(?MEF)の司令部などの移転を開始し、一四年の全面運用を目指している。


     ◇     ◇     ◇     

海兵隊グアム移転マスタープラン要旨


背景

 素案は沖縄からグアムへの海兵隊員と家族の移転、空母が一時寄港できる桟橋建設、陸軍弾道ミサイル防衛タスクフォース配備、アンダーセン空軍基地の能力拡大に向け、現時点の国防総省の計画を文書化した。

 環境影響評価の最終報告は二〇一〇年に承認される。その後マスタープランは正式決定する。沖縄から移転する海兵隊の訓練内容は引き続き検討中である。

海軍フィネガヤン基地

 海兵隊の主な移転先。司令部や兵舎、管理棟、倉庫などが整備される。一部は訓練施設で使用するが、地元住民の居住区と隣接しておらず影響は最小限に抑えられると期待される。

訓練場

 候補地を検討中。都市型訓練や機動演習、警戒訓練、ジャングル戦闘訓練などを行う。

アプラ港

 海兵隊と海軍、沿岸警備隊の活動支援のため、アプラ港の拡充を計画している。母港にはならないが空母は年間数回寄港し、一回あたり数週間とどまる。ほか、軍艦やホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)、水陸両用車、高速輸送船などが使う施設を整備する。

航空部隊の運用と訓練

 常駐や一時配備される海兵隊の回転翼機や固定翼機を支援するため、運用や整備、管理部門の施設が必要。候補地はアンダーセン基地の北側ランプで、既存施設の基盤を活用する。多様な種類の航空訓練を任務としており、訓練地域に変化が求められ、アンダーセン空軍基地はじめ複数の場所が予定されている。北マリアナ諸島も検討されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_01.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 1面 

比女性暴行 米兵を書類送検

 沖縄署は二十五日、沖縄市内のホテルでフィリピン人女性ダンサー(21)に暴行したとして、在沖米陸軍の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊所属、特技伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者(25)を強姦致傷容疑で書類送検した。

 また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー乗務員の男性=当時(64)=に暴行を加え金銭を奪ったとして、いずれも米海兵隊キャンプ・シュワブ所属の二等兵エドワード・ミラー・ジュニア容疑者(22)と当時未成年だった二等兵(21)=いずれも当時は上等兵=を強盗致傷容疑で書類送検した。

 ホップストック容疑者は今年二月、ホテル内で女性に暴行し、全治約三週間のけがをさせた疑い。女性と関係を持ったことを認めた上で、「合意だった」と否認しているという。米軍は同容疑者を監視下に置いており、県警は米軍の協力を得て捜査していた。

 ミラー容疑者らは〇六年七月、同市中央一丁目の市道でタクシー運転手の首を絞め、財布やつり銭箱から約四万円を奪った疑い。

 昨年四月に同容疑者が道交法違反で逮捕された際、タクシーから採取した指紋と一致したため捜査線上に浮上した。二人は容疑を認めているという。米軍はミラー容疑者を拘禁、当時未成年だった二等兵を監視下に置いていた。


     ◇     ◇     ◇     

県警、日米合意に翻弄


 今年二月に起きたフィリピン人暴行事件で、県警は陸軍伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者を強姦致傷容疑で書類送検した。県警は米軍絡みの事件を相次いで立件する一方、「逮捕せずに書類送検」の傾向が強まっている。米兵容疑者の起訴前引き渡し条件に該当する強姦事件でありながら、なぜ逮捕しないのか。釈然としない点も残る。

 「警察は法と事実に基づいて捜査する。政治的な事情は一切関係ない」。事件発覚後、捜査関係者の一人はこう強調し、逮捕状を取って起訴前の身柄引き渡しを求める意思を示した。

 日米地位協定では、基地内にある米兵容疑者の身柄は、日本側が起訴するまで米軍が拘束する。だが一九九五年の米兵暴行事件をきっかけに、日米両政府は殺人や強姦など凶悪犯罪に限って、米側が起訴前の身柄引き渡しに「好意的考慮」をするという運用改善で合意した。

 今回の事件は、常識的には起訴前引き渡し条件に該当する。県警も当初は逮捕状を取ることを念頭に捜査したが、結局は書類送検になった。県警は「被害女性の人権を考えた結果」(幹部)と説明するが、それだけが理由なのか真相は分からない。

 県警は今月、米兵絡みの二つのタクシー強盗致傷事件でも任意捜査による決着を選んだ。県警内部では「米軍の協力で捜査できれば逮捕にはこだわらない」「身柄をめぐる政治問題化で捜査が遅れるより“実”を取った」との見方がある一方、「本来は逮捕が筋」「『凶悪犯罪』の定義が不明確で一県警では決められない」という複雑な心境も聞かれる。

 日米政府のあいまいな「合意」に、県警も翻弄されたままだ。(鈴木実)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_02.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 2面

憲兵の連れ帰り/防衛相が日米連絡体制規定の必要性示唆

 【東京】石破茂防衛相は二十五日の衆院安全保障委員会で、北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在米兵の息子二人を、米憲兵隊が沖縄署の引き渡し要求を拒否して基地内に連れ帰ったとされる問題に関し、米軍基地外での憲兵隊の使用について日米間の連絡体制を規定化する必要性を示唆した。川内博史氏(民主)への答弁。

 基地外における憲兵隊の活動について、日米地位協定一七条一〇項bは「軍事警察(米軍憲兵隊)は(中略)日本国の当局と連絡して使用される」と規定するが、「両方の連絡の対応に具体的に定める規定はない」(西宮伸一外務省北米局長)。今回も「事件発生後に、県警の通信室に憲兵隊から発生現場付近で外人の関係するけんかがある旨の入電があった」(警察庁井上美昭審議官)だけだ。

 川内氏は今回の事件で米側の県警への連絡が不十分だったとし、「主権国家で他国が警察権を行使する場合は、しかるべき人が、しかるべき人に連絡した上で執り行うことが必要」と指摘した。

 これに対し、石破氏は、「(日米で)認識の齟齬がないように努めていかなければならない」と連絡体制規定化の必要性を示唆。西宮局長も「連絡の在り方については関係当局と相談したい」と述べた。

 一方、石破氏は、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される米軍普天間飛行場代替施設への垂直離着陸機MV22オスプレイの配備について、「可能性を一切否定するものにはならない」と説明した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_05.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 28面

予備審問の権利放棄/暴行米兵、米当局と司法取引か

 本島中部で起きた米兵による暴行事件をめぐり、米国の統一軍事裁判法に違反したとして重罪を審理する高等軍法会議にかけられることが決まった米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)が、高等軍法会議前に予備審問を開いて意見を述べる権利を放棄していたことが二十五日、分かった。

 被告側と米当局が減刑などの司法取引を行う際は、予備審問手続きを放棄することが条件となる場合があり、今後、ハドナット二等軍曹と当局間で司法取引が行われる可能性がある。

 米軍の軍法会議は罪の重さにより高等、特別、簡易の三種類に分かれ、殺人や強姦などの重罪は高等軍法会議で審理。高等軍法会議では、軍法会議を開くべきか判断するため事前に予備審問を開くことが統一軍事裁判法で定められている。

 予備審問では被告と被害者側双方が主張を展開、捜査指揮官からその結果を踏まえた報告書を受け取った司令官が軍法会議を開くかどうか最終判断する。

 海兵隊報道部によると、ハドナット二等軍曹がこの予備審問手続きの権利を放棄したのを受けて、第三海兵師団司令官が二十一日、強姦や誘拐の罪など計五つの軍規に違反したとして高等軍法会議にかけることを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_07.html

008年4月26日(土) 朝刊 29面

3・23県民大会総括/「抗議 全国揺るがす」

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会(玉寄哲永委員長)は二十五日、那覇市の県教育会館で総括集会を開き、三月の県民大会や四月の東京での要請行動などについて「県民の怒りの声を形にし、国内外に訴えることができた」と総括した。また、県民大会で決議した日米地位協定の抜本的見直しなど四項目については実行委の構成団体を中心に要請活動を続けていくことを確認した。事務局はこの日で閉鎖する。

 玉寄委員長は活動を振り返り、「誰もが安心して暮らせる生活しやすい県になるよう求めてきた。何を提唱し、何を伝えるべきか、沖縄の子どもたちに対して恥ずかしくない大人として行動することができた」とあいさつ。さらに「これは解散ではない。火種を絶やさず、四項目の実現へ向けて努力していく」と力を込めた。

 参加者からも「われわれが声を上げなければ沖縄の怒りは表せなかった」と活動を評価する意見が相次いだ。県民大会のきっかけとなった事件で逮捕され不起訴処分となった海兵隊員についても「米軍が軍法会議にかけると発表した。県民大会の声に米軍も応えざるを得なくなったのではないか」との感想が出た。

 玉寄委員長は会合後、「軍法会議は県民の怒りが米軍を動かしたのだと思う。声を上げ続け、必要あるときはいつでも再結集する」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_08.html

 

2008年4月26日(土) 朝刊 28面

沖縄ジュゴン訴訟/米提出の報告書「ずさんすぎる」

 米国の「沖縄ジュゴン訴訟」で、米国防総省は二十四日、米サンフランシスコの連邦地裁にジュゴンへ配慮するための情報をまとめた報告書を提出した。ただ中身はジュゴンの生態、文化的価値など項目の列挙と、日本政府の環境アセス方法書の抜粋で、具体策は示されなかった。国防総省の報告書について、環境アセスに詳しい桜井国俊沖縄大学学長が分析した。

 裁判の中で、米国は基地建設とジュゴン保護に「責任がある」と認定されている。だが国防総省の報告書には当事者意識がなく、日本政府の情報を中心に「配慮する」姿勢を示しているだけで、あまりにもずさんだ。

 日本のアセス方法書抜粋も、重要情報を開示せず三度も出し直した経緯には一切触れず、体裁だけ整っていると書いているにすぎない。

 内容を吟味していないのは明らかだ。

 アセス方法書は、辺野古だけでなく、県全体のジュゴンの個体群維持への影響を予測・評価する、としているが、現在のところ雌雄の頭数、繁殖行動と出産割合、縄張りなど、ほとんど分かっていない。複数年調査さえ明記しない方法書は、空理空論だと言わざるを得ない。

 国防総省報告書は、環境面より「歴史・文化的重要性」の評価を強調している。環境問題から論点をすり替えようという側面もあるのではないか。(談)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_10.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月26日朝刊)

[米憲兵少年連行]

何も解決はしていない


 浮かび上がった日米地位協定の問題点を、日米両政府が事を荒立てないよう真相をあいまいにしたまま幕引きを図ったとしか思えない。

 日本の警察権が侵されたにもかかわらず、米憲兵隊が表面上、非を認めるような形で決着させようとしたのではないか。

 北谷町内の衣料品店で四月十三日午後、万引したとして店員に捕まえられた米海兵隊員の息子二人を憲兵隊が沖縄署に引き渡さず、基地内に連れ帰った問題である。

 警察権を侵された当の県警は「少年への捜査はできている。今後、米側に問い合わせることはない」(得津八郎本部長)とこれで矛を収める方針だ。

 得津本部長の言葉は県警レベルを超えた「政治決着」をうかがわせる。この調子では米軍関係の事件・事故で本当に適正な捜査が行われるのか、県民に強い不信感を抱かせる結果を残したと指摘せざるを得ない。

 県警は警察権が侵害され、日本の主権が侵されたことを法を執行する機関として強く認識しなければならない。

 一線で、昼夜を問わず、事件・事故の解決に駆けずり回っている捜査員の士気をもくじくことにならないか。

 むしろこれは外務省に言うべきことかもしれない。

 この問題では、米軍、外務省、県警の三者で地位協定違反か、「共同逮捕」か、などをめぐり、当初から意見が食い違っていた。

 外務省は、事件直後は問題視する姿勢を見せていたが、後から米軍寄りの説明でつじつまを合わせているようにしか見えない。

 日米両政府は地位協定の改定は鼻から念頭にない。「運用改善」を唱えるだけだ。

 明治時代を思い起こしてほしい。鎖国を解いた明治政府が力を入れたのは欧米諸国と結んでいた不平等条約の改正だった。関税を自由に決めることができず、さらに外国人が国内で起こした事件を裁くことができなかったのである。

 日米安保条約を認める、認めないの立場に関係なく、私たち自身も問われている。今回、主権を侵されたわけだから。

 沖縄などに米軍基地を集中的に配置し、付随して発生する事件・事故はその地域に限定して閉じ込めてしまう。

 仮に沖縄で頻発する地位協定絡みの事件が東京で起こっていたら、と仮定してみたらどうか。とてもこんな人ごとのような形で終わることはなかったのではないか。

 もう一つの大きな問題は情報を米軍と外務省が独占して開示しないことだ。外務省は地位協定を改めるきっかけにするどころか、沈静化を図るという逆立ちした形を取る。

 米憲兵隊をめぐっては、最近も問題になったばかりだ。今年二月に日本人警備員が実弾入り拳銃を携帯したまま、基地間を移動していたことが明るみに出た。

 銃刀法違反であり、地位協定違反であるが、拳銃携帯は憲兵隊司令官が命じていたとされる。米軍は、憲兵隊の教育を徹底することから始めるべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080426.html#no_1

 

2008年4月26日(土) 夕刊 5面

海保、ジュゴン調査団体の面談断る/「電話で理解いただける」

 【名護】米軍普天間飛行場移設先の名護市東海岸に生息するジュゴンの生態を調査している市民団体が、第十一管区海上保安本部(那須秀雄本部長)にヘリコプターの運用による影響などについて、直接要請したいと面談を求めたが、同本部が「電話で十分理解していただける」と断っていたことが二十六日、分かった。

 要請は三月二十二日に、嘉陽海岸近くの海上で海保のヘリが「十分以上ホバーリングをした」としてその目的や、海保の航空機、船舶による騒音や振動がジュゴンの生息環境に与える影響に、どう配慮するかなどを問う内容。八日付で要請書を郵送し、面談を求めている。

 海保はヘリが所属機である事を認めた上で「通常のパトロール中に海面に確認できないものを発見したので、人か物かの確認をしていた」とし、面談には応じられないと伝えた。

 沖縄タイムス社の取材に海保側は、「かたくなに面談を拒んでいるわけではないが、この内容であれば電話で十分理解していただけると考えている」とコメントした。

 北限のジュゴンを見守る会の鈴木雅子代表は「ジュゴン保護や今後の市民団体の調査、抗議活動の安全をどう図るかを含めて直接話し合いたい」と話す。その上で「沖縄防衛局や中央官庁を含め面談を断られたのは初めて。県民の間には中城海上保安部発足で警備強化への不安がある。不安を解消するためにも電話一本で済ますのではなく、公務員として誠実に対応してほしい」と改善を求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_01.html

 

2008年4月26日(土) 夕刊 4面

4・28にちなみ海勢頭さん公演/パレット市民劇場

 一九五二年四月二十八日のサンフランシスコ平和条約発効で、沖縄が本土から分離された「屈辱の日」にちなみ歌手海勢頭豊さんの「4・28コンサート」が二十八日午後七時から、那覇市久茂地のパレット市民劇場で開かれる。本土復帰十周年を記念して作った「月桃」など多彩な楽曲を披露する。

 二十五日県庁で記者会見した海勢頭さんは「テーマは重大だが、楽しいコンサートにしたい」と来場を呼び掛けた。同コンサート実行委員長の嶋津与志さんは「4・28の意味をどう未来に生かしていくか。若い人たちと一緒にコンサートを聴きたい」と話した。

 バイオリン奏者の海勢頭愛さん、歌手の島田路沙さんも出演する。午後六時開場。入場料千五百円。問い合わせはGGS、電話098(946)6663。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_05.html

海兵隊一部ハワイ移転か 沖縄ジュゴン訴訟、県内で公聴会開催も 嘉手納基地、F15未明離陸を強行など  沖縄タイムス関連記事、琉球新報 社説(4月20日から23日)

2008年4月20日(日) 朝刊 1面

海兵隊一部ハワイ移転か/米軍再編

 米海軍省が、在日米軍再編に伴いグアム移転が決まっている在沖米海兵隊の第三海兵師団(キャンプ・コートニー)と、第一二海兵連隊(キャンプ・ハンセン)の両司令部の米ハワイ州移設を希望していることが、十九日までに分かった。ハワイ州選出の米下院議員が米下院のホームページで公表した。在沖米海兵隊八千人のグアム移転の条件とされる米軍普天間飛行場移設問題が膠着し、米議会でグアム移転関連経費が承認されていないことを受け、米海軍が独自案を打ち出したとみられている。

 ハワイへの司令部移設を公表したのは、米下院軍事委員会のニール・アバークロンビー航空・地上軍小委員会委員長。同委員長は今月九日、在ハワイの米海兵隊カネオヘベイ基地の即応態勢強化を目的に、米海軍省が調査設計費として二千百二十万ドル(約二十一億九千万円)の予算を計上する計画を明らかにした。

 沖縄関連では、第三海兵師団の司令部機能や武器庫、作戦訓練施設などに六百八十万ドル(約七億円)、約四百五十人の下士官兵舎として四百八十万ドル(約四億九千万円)、第一二海兵連隊の司令部施設として百五十万ドル(約一億五千万円)が計上されるとしている。

 米ハワイ州の地元紙ホノルル・アドバタイザーによると、米太平洋軍司令部(キャンプ・スミス)は「ハワイの海兵隊強化に、調査費を獲得してくれたことは喜ばしい」と歓迎しているという。しかし、「海兵隊は二十一世紀の太平洋での戦略的課題に対応する態勢を検討中で、国防総省の最終決定は下されていない」との見解も紹介しており、米政府の最終的な結論はまだ先になりそうだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804201300_02.html

 

2008年4月20日(日) 朝刊 23面

ブレーキ故障が原因/米戦闘機事故

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で十九日午前、米民間会社所有の英国製戦闘機MK58一機が滑走路隣の緑地帯に突っ込んだ事故で、同基地報道部は同日午後、原因は「ブレーキの故障」と発表した。事故に伴い、機体から燃料約十九リットルが漏れたことも明らかにした。

 同報道部によると、機体から漏れた燃料のうち、十一リットルは回収したが、残り八リットルは芝生に流出。汚染された土壌は今後、取り除かれるという。機体に損傷はない。事故機は米海軍が契約していた。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春・北谷町長は「過密な訓練が解消されなければ、不安は払拭できない。引き続き情報を収集し、今後の対応を決めたい」としている。

 北谷町議会(宮里友常議長)は二十一日に基地対策特別委員会を開く予定。

 嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は同日に開く基地対策特別委員会で、米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が提供水域外に爆弾を投下した問題などの対応を協議する予定だったが、田仲康榮委員長は「今回の事故も緊急議案として提案したい」としている。

 複数の目撃者によると、同機は同日午前十時五分ごろ、基地北側滑走路に着陸。誘導路を移動中、機首部分から緑地帯に突っ込んだ。約三時間後、けん引されて駐機場に戻った。現場は、基地に隣接する県道74号から数百メートルの場所。

 同機は、「仮想敵機」として、米軍の訓練に参加。同基地ではたびたび目撃されている。十八日にも同基地で離着陸しているのが確認されている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804201300_05.html

 

2008年4月21日(月) 朝刊 21面

海兵隊「共同逮捕」/米少年憲兵連行

沖縄署に回答 県警は「誤認」

 北谷町の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた米兵の息子二人を、憲兵隊員が沖縄署の引き渡し要求を拒否して基地内に連れ帰ったとされる問題で、海兵隊は沖縄署の質問に対し、文書で「(沖縄署)との共同逮捕だった。署は引き渡しを求めなかった」旨の表現で回答していたことが二十日、関係者の話で分かった。県警は「把握している事実に誤認があり、内容を吟味する必要がある」とし、週明けにも米軍と交渉する方針だ。

 回答は、在沖米海兵隊憲兵司令官のバーナード・ヘス少佐が十八日に同署を訪ね、A4サイズ二枚の文書を玉那覇章署長に手渡した。

 県警関係者は「英文で多岐に渡り書かれているので現在解析中だ」とした上で、「共同逮捕だったとの意味に取れる文言があり、米軍側に真意を照会しなければならない」としている。

 十三日の事件については「沖縄署の署員七人が現場に到着し、憲兵隊に少年二人の引き渡しを求めたが、双方の言い分がかみ合わず約三十分間もめた」と説明。現場で署員と憲兵隊のやりとりを多くの買い物客らが目撃していたとし、「沖縄署が引き渡しを求めなかったと取れる憲兵隊の主張はおかしい」としている。

 一方、外務省の西宮伸一北米局長は十八日の衆院外務委員会で、同問題について「米側は(身柄は連行したが)逮捕していないし、逮捕したという認識もないので、これは共同逮捕の問題ではない」との認識を示している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211300_06.html

 

2008年4月21日(月) 朝刊 20面

県内で公聴会開催も/沖縄ジュゴン訴訟

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部移設をめぐり、自然保護団体などが米国防総省を訴えた「沖縄ジュゴン訴訟」で、日米弁護団は二十日、米国政府が県内で公聴会を開く可能性が高いとの見方を示した。米サンフランシスコの連邦地裁が八月末にも再び判決を下し、同省にジュゴン配慮のための具体的内容を命じるとの見通しを述べた。同日、那覇市の八汐荘で開かれたシンポジウムで、米国のサラ・バート弁護士らが説明した。

 公聴会は、米国国家歴史保存法(NHPA)で、実施が定められている。今年一月の判決で、同地裁が米国政府のNHPA法違反を認定しているため、原告側は実現性が高いと判断。訴訟の中で要求していく。

 バート弁護士は、同法では基地建設中止命令が出ることはないと前置きした上で「国防総省は、地域社会や民間専門家に対しても、基地とジュゴンの情報を公開し、地元と『協働関係』で事業手続きを進める法律上の義務がある」と強調した。

 その上で同省が二十四日にも提出する「情報」を精査し、的確に反論することで、より大きな基地阻止運動に結び付けられる、と語った。

 桜井国俊沖縄大学学長は日本のアセスを厳しく批判し、環境アセス学会として「日米共同アセス」など、より厳格で適正な実施を求めるアピール文を五月中に発表する、と述べた。

日本側アセスに焦点

バート弁護士に聞く

 シンポジウムのために来沖したサラ・バート弁護士に今後の注目点を聞いた。

 ―米国防総省が出す「情報」と原告側の反論のポイントは。

 「日本のアセス方法書を全部英訳して出してほしい。裁判所が原告の主張と比べれば、適切な判断ができるはずだ。国防総省が、どれだけ多く地域の人々や専門家から情報収集や意見聴取するのか、またその方法が適当か注目したい」

 ―想定される判決は。

 「国防総省は最低限のジュゴン保護しか示さない可能性もある。最悪の判決はそれが認められてしまうこと。逆に最良の判決は、可能な限り広範囲の人や事象から情報を集めさせ、基地建設がジュゴンに影響を与えるかどうか判断を迫り、影響回避のため具体的かつ詳細な命令が出ることだ。従わない場合、命令違反として新たな訴訟も提起できる」

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211300_07.html

 

2008年4月21日(月) 夕刊 5面

F15あす未明離陸/嘉手納基地報道部発表

 【嘉手納】米軍嘉手納基地報道部は二十一日午前、F15戦闘機三機と空中給油機数機が米本国に向け、二十二日未明に同基地を離陸する、と発表した。同基地からの未明離陸は昨年十月に行われて以来、約半年ぶり。周辺自治体は強く反発している。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十一日午後にも幹事会を開き、対応を協議する。

 同基地によると、「アイロン・フロー」と呼ばれる、旧型のF15を製造年の新しい機体へ更新する計画の一環。同計画に伴う未明離陸は今回が最後、という。

 嘉手納町によると、同計画に伴う未明離陸は二〇〇六年五月から始まり、今回で八回目。F15はこれまでに、計二十二機が離陸した。周辺自治体や議会は、未明離陸が強行されるたび、中止を求めて抗議を繰り返している。

 同基地は「周辺住民へ騒音の影響が及ぶことを認識しながらも、運用上の必要性と安全面を注意深く考察し、行うことにした」としている。

 野国町長は「F15の入れ替えは今回で終わりといっているが、今後も運用上の早朝離陸はある。別の基地を経由すれば嘉手納基地を早朝に離陸しなくてもいいことも証明されている。米軍は地域への配慮を口にするなら、住民に迷惑をかけないで訓練してほしい」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804211700_02.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 1面

三連協が中止要請/F15未明離陸

嘉手納基地 24時間延期

 【中部】米軍嘉手納基地報道部は二十一日午後、F15戦闘機三機と空中給油機数機が二十二日未明に予定していた離陸について「二十四時間延期する」と発表した。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十一日午後、幹事会を開き、未明離陸の中止を求めて文書で要請する方針を決めた。

 同基地から連絡を受けた嘉手納町によると、延期理由について「空中給油機に問題が発生したため」などと説明したが、詳細は明らかにしなかったという。

 同基地は「延期は、任務の支援に不可欠な空中給油能力の確保を確実にするために必要」としている。

 三連協は二十二日午前、嘉手納基地第一八航空団、外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に要請文書を送付する。

 未明離陸は同基地の旧型のF15を製造年の新しい機体に更新する「アイロン・フロー」と呼ばれる計画の一環。同計画に伴う未明離陸は今回で最後という。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_01.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 27面

分遣隊の島内移設提案/伊江島補助飛行場

米軍、ダム共用条件

 【伊江】地下ダム整備のため、伊江島補助飛行場の一部土地の共同使用に合意した米軍が、提供施設内にある「運用支援分遣隊」を島内の別の場所に移設する条件案を提示していたことが二十一日、分かった。移設先については米軍と国、村の調整で、島北側の真謝区付近の提供施設が候補に挙がっているが、同区は「事件・事故の多発につながる」と反対している。(新垣晃視)

 村によると、分遣隊は米海兵隊員約十人と、約二十人の日本人従業員で構成。演習場の管理や給水などを行っている。

 米軍が分遣隊の移設を求める最大の理由は、ダム完成後に水質の環境問題が発生した場合、責任を問われる懸念があるため。昨年八月、村側に意向を示した。

 ダム建設は「国営かんがい排水事業」を利用し、農業用水を確保する目的で二〇〇四年度から始まった。同村内には大きな川がなく、慢性的な水不足を抱えてきたが、地下ダムの完成で現在の二倍の農業用水が期待される。

 全長二千六百十二メートルの止水壁のうち、約半分が米軍提供施設内にあり、今月十七日の日米合同委員会で共同使用が合意され、全体工事が可能になった。

 数カ所あった移設先の案から、地下ダムに遠い場所を求める米軍の意向を踏まえ、住民生活への影響などにも配慮した結果、島の中央にある伊江島補助飛行場滑走路の北側が候補地に残った。具体的な場所は今後の協議で決まるが最短の場合、施設と真謝区までの距離が約百メートルになる可能性もあるという。

 村は昨年十二月、同区で説明会を開き、移設への理解を求めたが、住民からは米軍事件への不安や、生活道路の一部が使えなくなることなどに懸念や反対の声が上がった。

 区民の男性(77)=農業=は「現在施設がある所は近くに集落がなく、影響も少ないが、軍人が働く施設が民間地の近くに来るのは心配」と話す。

 大城勝正村長は「地下ダムは村民の念願であり、島内移設は苦渋の選択。今以上の基地機能の強化がないよう米軍に求め、地元に負担がかからないよう配慮し、理解を得られるよう話し合いをしていきたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_02.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 2面

ハワイ移転否定/米軍再編で防衛省次官

 【東京】防衛省の増田好平事務次官は二十一日の定例会見で、米海軍省が在日米軍再編に伴いグアムに移転予定の在沖米海兵隊の一部をハワイに移転させることを希望していることについて、「そういう事実は承知しておらず、日米間で協議している事実もない」と否定的な見解を示した。

 その上で「ロードマップ(米軍再編最終報告)に従って、在沖米海兵隊のグアム移転を着実に進めていきたい」と述べ、在日米軍最終報告に基づく従来の方針に変わりはないとの立場を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_03.html

 

2008年4月22日(火) 朝刊 2面

基地連れ帰り「共同逮捕でない」/在日米司令部が見解

 【東京】在日米軍司令部法務部は二十一日、米憲兵隊が北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在米兵の息子二人を基地内に連れ帰った問題について、「共同逮捕ではない」との見解をあらためて示した。外務省の照会に答えた。

 在沖米海兵隊は十八日、沖縄署の質問に対して「共同逮捕だった」とも解釈できる、あいまいな表現で文書回答しており、在日米軍司令部が「共同逮捕ではない」との立場を明確にした格好だ。

 米側は十七日夜、外務省に「非番の米軍人からの通報を受けた憲兵隊が現場に急行し、少年らを取り押さえたが、なおも暴れるので暴力を防ぐために手錠を掛けた。あくまで暴力を働く可能性を防ぐために行ったもので、窃盗について逮捕したという認識はしていない」と伝達していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221300_04.html

 

琉球新報 社説

憲兵隊少年連行 真相究明は外務省の仕事だ

2008年4月22日

 外務省の対応は「事なかれ主義」と言うほかない。米国を弁護し代弁する出先機関、と非難されても返す言葉はないだろう。北谷町美浜の衣料品店で起きた窃盗容疑事件で、在沖米海兵隊員の息子2人の身柄を米海兵隊の憲兵隊が拘束し、基地内に連行した問題で外務省は、これ以上問題を悪化させないために火消しに走っているように見える。

 この問題は、県警、政府、米軍それぞれの説明が食い違い、複雑な状況を呈している。

 それぞれの見解をまとめると次のようになる。まず県警は、「施設外における警察権の行使であり、明らかに地位協定に抵触する」という立場。これに対し政府は「地位協定関連取り決め等で許され得る」という認識だ。

 一方、米軍の説明は県警と政府に対するものとで食い違っている。ここに一番の問題がある。

 沖縄署が米軍に対して行った質問に対し、米軍は「共同逮捕」での手続きを規定した日米合同委員会合意事項を引用し「共同逮捕」との立場を示していた。その上で、「沖縄署が(合意事項に定められた)最寄りの警察署に連行すると言っていない」とし、これを根拠に合意事項に反しないと強調する意図が見えた。しかし政府に対する説明は、「少年が暴れるので手錠をかけたのであり逮捕ではない」として、逮捕自体を否定した。

 米軍は15日、キャンプ瑞慶覧の米海兵隊憲兵隊事務所を訪れた沖縄署員に対して身柄確保は不適切だったと謝罪している。事件当日、店員らが憲兵隊より先に現行犯逮捕(私人逮捕)していること、合意に定められた「最寄りの警察署に連行」せず、基地内に連行したことなど、状況を分析すれば米軍側に非がある筋道が見えてくる。

 だが、外務省は17日夜に在日米大使館から入った連絡に納得してしまう。「暴れたから手錠をかけた」という説明である。沖縄署への米軍回答も公表されず、政府内で調整中としてうやむやにされそうだ。

 仲井真弘多知事は「合意事項に全く違反している」と明言。県警側からも外務省に対する不満が出ている。このような事件が起きたときにこそ、政府は地位協定の問題点を徹底的に洗い出し、改定に結び付けるべきであるのに、またもや米軍の説明を尊重し「理解」してしまった。

 地位協定問題は運用改善でと主張する政府からすれば、違反か否かで問題がこじれれば、立場が苦しくなる。米側の説明は政府にとっても都合がいいのだろう。しかし、このように事をあやふやにして幕を引こうとする姿勢こそが政府不信につながっている。一体どの国の「外務省」なのか。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131366-storytopic-11.html

 

2008年4月22日(火) 夕刊 1面

未明離陸中止を要請/三連協、嘉手納司令官に

 【中部】米軍嘉手納基地で二十三日未明に、F15戦闘機三機と空中給油機数機が米本国に向け離陸を予定している問題で、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十二日午前、同基地司令官や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局に未明離陸を中止するよう文書で要請した。

 要請文では「(米軍の)姿勢は一貫して基地周辺住民を無視した基地の運用であるといわざるを得ない」と厳しく指摘。

 その上で、午後十時から午前六時の間はすべての航空機の飛行活動、エンジン調整などを行わないこと、本国への帰還・訓練などは他の基地を経由するか、時間調整により未明離陸を行わないよう求めている。

 同問題で、嘉手納町議会は二十二日、北谷町議会は二十三日に基地対策特別委員会を開き、今後の対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221700_02.html

 

2008年4月22日(火) 夕刊 5面

ハンセン山火事 米軍が消火ヘリ

 【金武】在沖米軍から沖縄防衛局に入った情報によると二十二日午前十時五十五分ごろ、金武町キャンプ・ハンセン内の廃弾処理場(EOD)1付近で火災が発生した。

 米軍は、すでに消火ヘリを要請しているという。火災原因や焼失面積は調査中。

 同訓練場では、今年三月にレンジ3付近で不発弾処理中に火災が発生していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804221700_04.html

 

2008年4月23日(水) 朝刊 1面

嘉手納F15 未明に離陸

 【嘉手納】在沖米空軍のF15戦闘機三機と空中給油機数機が二十三日未明、嘉手納基地から米本国に向け、離陸する。嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は二十二日、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、同基地からの未明離陸の今後一切の中止を求める抗議決議と意見書の両案を二十三日に開く臨時会に提案することを決めた。

 嘉手納基地報道部は、離陸時間について「オペレーション(作戦)の保安上、公開できない」と説明。同行する空中給油機の機種や機数については「その情報は入手していない」と回答した。

 嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)も二十二日午前、未明離陸の中止を求めて、同基地司令官らに対し文書で要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231300_05.html

 

2008年4月23日(水) 夕刊 1面

米軍 未明離陸を強行/嘉手納基地

 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明、米本国へ向け同基地を離陸した。嘉手納町屋良で午前五時十一分に、最高値九六デシベル(騒々しい工場内に相当)の騒音を計測した。同基地からの未明離陸は昨年十月以来、約半年ぶり。中止を要請していた嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は同日午前、反対を押し切り離陸を強行した米軍に対し、文書で抗議した。

 F15は午前五時十一分ごろから、三機が相次いで同基地南側滑走路を使用し、沖縄市方向に向け離陸。同十六分には、KC10空中給油機、KC135空中給油機が飛び立った。

 嘉手納町の職員が同町屋良の「安保の見える丘」で測定した騒音は、F15の離陸順に八九・八デシベル、九六デシベル、九〇デシベル。空中給油機は七八・七デシベル、七二・六デシベルだった。同地区に常設されている騒音測定器は、最大で九六・七デシベルを計測した。

 また、午前四時半ごろには、P3C対潜哨戒機が滑走路を往復するなどしたため、八五・七デシベルの騒音が発生した。

 三連協の抗議文は「中止要請を行ったにもかかわらず、米空軍は要請を無視し出発した。基地周辺住民の声を無視し、これまでの抗議決議などを聞き入れない姿勢は誠に遺憾である。運用を工夫すれば日中の離陸も可能であり米軍はその努力を怠っている」と指摘。

 三連協の野国会長は「住民は騒音で強制的に起こされ平穏な眠りを妨げられた。負担軽減につながっていない。あと約五十分待てば騒音防止協定の範囲時間に入るのになぜ配慮できないか」と米軍の一方的な運用を疑問視した。

嘉手納議会が抗議決議

 【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明に同基地を離陸した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は同日午前の臨時会で、同基地からのすべての航空機の未明離陸を今後一切行わないよう求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。同町議会は同日午後、同基地を訪ね、直接抗議する。

北谷町議会 決議提案へ

 【北谷】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などが二十三日未明に米本国へ向けて同基地を出発した問題で、北谷町議会(宮里友常議長)は二十三日午前、基地対策特別委員会(照屋正治委員長)を開き、同基地からの深夜・早朝離陸を今後一切行わないことなどを求める抗議決議と意見書の両案を二十五日の臨時会に提案することを決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231700_01.html

 

2008年4月23日(水) 夕刊 5面

未明の爆音 安眠裂く/家が揺れ幼児泣き

 【中部】本島中部で二十三日未明、米軍戦闘機の爆音が響いた。「騒々しい工場内」に相当する騒音に嘉手納町では子どもが泣きだした。眠りを奪う激しい爆音に耐えかね、町外への引っ越しを考える人も。「騒音さえなければいい場所なのに」。基地周辺住民は、度重なる中止要請にもかかわらず未明離陸を強行する米軍に怒りを募らせている。

 「耳が痛くなるようなキーンというすごい音。家が揺れるように感じた」。嘉手納町水釜の嘉納エリ子さん(33)は、長女杏樹ちゃん(2)の泣き声とF15の爆音で目を覚ました。

 「三月に沖縄市から引っ越してきたが、想像以上にひどい。昼夜関係なく訓練が続くと、家族の生活リズムがおかしくなる」と健康面への影響を心配する。

 同基地に隣接する同町屋良に暮らして約三十年という津波古文徳さん(63)は、同居する二人の孫を静かな環境で育てたいと、読谷村への引っ越しを検討中だ。「騒音さえなければ緑が多くて最高の場所。しかし、基地がある限り騒音はなくならない」と米軍へ不満をぶつけた。F15戦闘機が上空を通過した沖縄市知花自治会の田島清信会長(61)は「みんなが眠っている時間帯の飛行は非常識だ」と憤る。嘉手納町の「安保の見える丘」で、米軍機の離陸を確認した沖縄市議会「基地に関する調査特別委員会」の与那嶺克枝委員長は「恐怖心を覚えるほどのごう音」と険しい表情だった。

 うるま市栄野比区書記の古謝弘子さん(61)は午前五時すぎ、騒音で目が覚めた。連続して四機ほど飛行する音がし、会話もできないほどだった。「不安の中での生活に慣れさせられている。まるで戦争みたいだ」と不満を漏らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804231700_02.html

イラク派遣違憲判断 普天間移設工事日米合意 憲兵隊、組織的に協定違反か 米戦闘機、滑走路外れる など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月17日から19日)

2008年4月17日(木) 朝刊 1面

外相「大いに問題」/憲兵少年連行

米側へ抗議示唆

 【東京】高村正彦外相は十六日の衆院外務委員会で、今月十三日に北谷町内の衣料品店で万引したとして、店員に捕まった在沖米海兵隊員の息子二人を、県警より先に現場に到着した米憲兵隊が拘束、基地内に連行した問題について「大いに問題があり得ると思っている」との認識を示した。その上で「現時点で断定的なことは言えないが、(米側の)照会を得た上でそれなりの対応をしていきたい」と述べ、法解釈上の問題点が明確になった時点で米側に抗議する考えを示唆した。照屋寛徳氏(社民)の質問に答えた。

 日米合同委員会合意では、米軍関係被疑者の逮捕権が日米で競合する場合、米側に優先権があるが、被疑者の身柄は最寄りの警察署に連行されると規定している。基地内に連行した憲兵隊の対応が、同合意に違反する可能性が出てきた。

 外務省の西宮伸一北米局長は、「『共同逮捕』の条件に当てはまるかどうか引き続き(米側に)事実関係を確認し、慎重に判断する必要がある」との立場を強調。

 一方で、「そもそも(憲兵隊が)現場で県警と調整せずに施設区域(基地内)に戻した」と指摘。基地外における憲兵について「日本国の当局と連絡して使用される」と規定した日米地位協定との関係では「問題があり得る」との見解を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_02.html

 

2008年4月17日(木) 朝刊 2面

投下爆弾撤去と訓練停止を要求/県、在日米海兵隊などへ

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場の提供水域外に五百ポンド爆弾を投下した問題で、県の上原昭知事公室長は十六日、在日米海兵隊に対し、投下した爆弾の速やかな撤去と原因究明までの間のハリアー機の訓練停止を口頭で求めた。

 沖縄市で発生したタクシー強盗致傷事件についても、嘉手納基地に綱紀粛正や再発防止などを求めた。

 米側は渉外官が対応。県は今後、回答を求めていく姿勢だ。

 ハリアー機の爆弾投下問題で、県は米軍の通報の遅れや第一報の内容が誤っていたことを指摘。「公共の安全や県民の不安に対する配慮が十分でないと言わざるを得ない」とし、情報が混乱した経緯を明らかにするよう求めた。

 また連絡体制の確立、安全管理の徹底、事故の再発防止に万全を期すよう要請した。

 嘉手納基地に対しては「日米両政府や米軍が再発防止策を検討している最中に、軍人らの規律や秩序維持を任務とする憲兵隊員が事件にかかわったことは重大な問題」と訴えた。

 上原公室長は、在沖米国総領事や外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも同様の要請を口頭で行った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_03.html

 

2008年4月17日(木) 朝刊 23面

教科書協会に訂正申請要請/実行委、行動日程終了

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、検定意見撤回を求める県民大会の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は十六日、都内江東区の教科書協会(小林一光会長)を訪ね、軍強制記述の回復に向け訂正を申請するよう求めた。小林会長は「要請を重く受け止め、教科書各社に(実行委の)意向を伝えたい」と述べた。

 同協会は今月二十四日の加盟社との業務連絡会で要請内容を説明する。小林会長は「沖縄側の要望は伝えるが、具体的な対応は各社の判断。協会が踏み込んで方向性を示すことはできない」と話した。

 仲里委員長は「依然として(強制を削除する文部科学省の)意見が付されている以上、軍の主語が消される危惧がある」と指摘。小渡ハル子副委員長は「青少年に間違いを教えてはいけない。教科書会社は私たちの意をくんでほしい」と強調した。

 玉寄哲永副委員長も「沖縄戦の実態は歴史であり、があってはならない。協会からしっかり伝えて、実態を教科書で表現してほしい」と再び訂正申請するよう求めた。歪曲 政府、同協会への要請行動を終え、仲里委員長は記者団に「今日の要請で検定意見撤回、記述回復ができる期待があったが、結果的に(政府から)答弁をもらえず残念」と総括。今後については「撤回までかなり時間を要する実感があり、長い目で実行委も考えるべきではないか」と語り、組織の在り方を関係者と協議する意向を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171300_07.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月17日朝刊)

[憲兵隊の不祥事]

逮捕権の明文化を急げ


 米軍人や軍属の規律を維持、守るべきはずの在沖米軍憲兵隊の事件や地元との摩擦が健在化している。

 沖縄市内で起きたタクシー強盗事件では、嘉手納基地所属の憲兵隊兵長が強盗致傷容疑で書類送検され、今月十三日には北谷町の衣料品で万引した海兵隊員の息子二人を憲兵隊が拘束し、基地内に連れ帰った。

 タクシー強盗事件では、共犯の少年たちが供述している「事件の中心的役割」を憲兵隊員が担ったことが事実であれば由々しき事態だ。折も折、在日米軍施設の多くを抱える県内や神奈川県で米兵に絡む事件や事故が相次ぎ、組織の綱紀粛正が叫ばれているさなかである。

 日米両政府が声高に唱える「再発防止策」を最も敏感に感じ取り、実践すべき憲兵が、犯罪に手を染めてしまったのでは開いた口がふさがらない。

 心配なのはそれが一般兵に与える影響だろう。規律違反を監視、監督する側がそれを犯すとなれば、最低限あってしかるべき基地の外との緊張感が緩むことも想定される。

 県民の立場から見ればあらためて不安や不信が増幅される結果しか導かないことになる。

 さらに、容疑者の憲兵がいまだに米軍当局の手中にあることも看過できない。

 「特権」とも呼ぶべき日米地位協定では、日本の司法当局が公訴するまで、被疑者米兵の身柄を移すことができない。それに応じるか否かは米側のさじ加減一つで決まる不条理さである。

 今回の事件では被疑者が一定の期間、基地内を自由に行動していたとも指摘されている。その間に口裏合わせなどの証拠隠滅や逃亡を図ることさえ可能になる。県警は被疑者が米軍の管理下にあり、事情聴取も遂行できることから逮捕状の請求を見送っている。

 ただ、それはあくまで「政治的」な判断ではなかろうか。逮捕状を取り、引き渡しを求めれば拒否される可能性が高い。地位協定の運用で米側が応じるのは殺人や強姦など、凶悪な犯罪に限られているのが実情だからだ。

 拒否された場合の日米間の政治的な混乱を避ける狙いが透ける。昨今の米兵事件でその風潮が生まれつつあるのは憂慮すべきことだが、捜査員の間からは「十分な捜査をするために身柄を取ることが最善なのは当たり前」だという声が漏れてくる。

 それよりもむしろ、日米間の安全保障上のひずみから生まれる問題を警察の判断に任せることに問題がある。

 北谷町の万引事件で憲兵が少年二人を連れ帰った問題も地位協定に軍人家族の位置付けがあいまいにされていることに原因がある。

 昨年三月末の防衛省統計で、家族を含む在日米軍関係者が約九万二千人いる。その半数の約四万五千人が居住する沖縄は、同様の問題が繰り返される可能性が高い。

 自国の兵士の人権を盾に、駐留国の人権を脅かす矛盾を両政府はいま一度考え、逮捕権の枠組みを明文化する必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080417.html#no_1

 

琉球新報 社説

教科書検定意見 文科省の役割忘れたのか

2008年4月17日 

 文部科学省はこの期に及んで、沖縄戦の「集団自決」(強制集団死)が「日本軍の強制」によって生じたという歴史的事実から目をそらし続けている。

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の仲里利信実行委員長(県議会議長)らが、高校歴史教科書から「日本軍の強制」を修正・削除した検定意見の撤回と記述復活を文科省に要請したが、池坊保子副大臣は難色を示した。

 岩波・大江「集団自決」(強制集団死)訴訟判決で、大阪地裁は「日本軍の戦隊長が住民に自決を命じたとの本の記述は誤り」との原告側主張を退けた。

 原告の意見陳述は検定意見の参考資料となっており、判決はそれを否定したとも言える。文科省としては判決に基づいた実行委の要請に沿って検定意見の撤回と記述を復活するのが筋である。

 ところが、副大臣は実行委に対して「最終的な(司法の)判断が出ていない。現段階で何も言えない」と述べ、事実上、拒否する姿勢を示した。

 原告が控訴したことで今も係争中であり、文科省としては現時点で対応することは適切ではないとの判断なのだろう。

 その論理に当てはめれば、結論が出ていない裁判での意見陳述を検定意見の参考資料にしたこと自体、適切ではなかったことを自ら認めたに等しい。

 実行委の要請後、副大臣は「司法判断に左右されていいか疑問がある」と述べた。

 政治的圧力や事実をねじ曲げるような主張に教育行政が左右されることがあってはならない。教育行政の独立性は当然、確保されなければならない。

 しかし、検定意見の根拠の一つを司法が否定したことは重視するべきである。判決は歴史的事実について正当な判断を下しており、それを軽視することは史実に背を向けることにつながるということを文科省は認識するべきだ。

 副大臣は「教育は中立でないとならない」とも述べている。当然である。だが、岩波・大江訴訟の一方の当事者の主張だけを重視したことが、果たして「中立」と言えるだろうか。「中立」ならば「集団自決」で生き残った人たちの証言も参考にするべきである。

 参考にした意見陳述が、体験者の証言や沖縄戦研究者のこれまでの蓄積を覆すものだったことが証明されない限り、文科省は歴史を改ざんしようとする側に立脚したと疑われても仕方ないだろう。

 歴史的事実を教育現場で子どもたちに正しく伝えさせるようにすることが教育行政の在り方である。文科省はその大切な役割を忘れてはいまいか。

2008年4月17日(木) 夕刊 5面

米軍、合意違反認める/万引米少年憲兵連れ帰り

県警に米謝罪

 北谷町の衣料品店でTシャツなどを万引したとして、店員に取り押さえられた米海兵隊の息子二人を、沖縄署の捜査要請を拒否して憲兵隊員が基地内に連れ帰った問題で、米軍側が日米地位協定に関する合意事項に違反していたと認めていたことが十七日、県警関係者の話で分かった。

 県警関係者によると、事件から二日後の十五日に、米軍に対して経緯説明を求める文書を手渡した際、憲兵隊の上司が「申し訳ない」と述べたという。米軍側は近日中に正式な回答を出す方針を示している。

少年容疑認める

 【沖縄】北谷町の衣料品店でTシャツなどを万引し、店員に捕まった在沖米海兵隊員の未成年の息子二人を、通報で駆け付けた沖縄署員より先に米憲兵隊が拘束、基地内に連れ帰った問題で、十七歳の少年が同署の任意の取り調べに対し容疑を認める供述をしていることが、十七日関係者の話で分かった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804171700_03.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 27面

「集団自決」指導事例集を配布

教育庁 現場の不安に対応

 文部科学省が高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を示す記述を削除させた教科書検定問題を受け、県教育庁はこのほど、軍の強制を明記した「高等学校における沖縄戦の指導案事例集」をまとめた。同庁は「社会科や総合学習の授業で活用し、生徒に沖縄戦の実相を正しく伝えてほしい」と呼び掛けている。

 事例集には三十―五十代の教員十八人が、沖縄戦を取り上げた授業実践二十例を盛り込んだ。日本史Bでは、「集団自決」体験者の証言や沖縄タイムス社の社説を教材に、教科書検定問題を県民としてどうとらえたかなどを生徒に問う指導例がある。

 総合学習で戦跡巡りをした例や、県内の米軍基地と憲法について考えた政治・経済の授業も紹介した事例集。

 仲村守和教育長は「現場教員は(軍命が削除された)新しい教科書で、不安ではないかという懸念があり作成した。今後、教員は自信を持って平和教育を進めてほしい」と語った。

 事例集は十五日に、全県立高校に配布された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_02.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 27面

県内、評価と冷静反応/イラク派遣 違憲判断

 海外に活動範囲を広げてきた自衛隊の活動を違憲とする司法判断が示された。名古屋高裁の判決に県内では評価する声が相次いだ。一方で「自衛隊のイラク派遣自体が違憲とされたわけではない」と冷静な受け止めもあった。

 ネットワーク九条の会沖縄事務局長の加藤裕弁護士は「裁判所はこれまで、自衛隊と安全保障は政治の問題として判断を避けてきた。その結果、自衛隊は活動範囲を広げ、武力行使が行われているイラクにまで派遣された。こうした流れに、くさびを打った」と指摘。「現在の自衛隊派遣が、本当にイラクの平和のためになっているのか、自衛隊の在り方を含め国民の間で議論の材料になる」とした。

 琉球大学法科大学院の高良鉄美教授(憲法)は「立法と行政のチェックアンドバランスを意識した使命感ある判決。憲法の理念と国が進むべき道筋について立ち止まって考えるきっかけにするべきだ」と語った。

 沖縄・女性九条の会共同代表で弁護士の真境名光さん(70)は「改憲論議など戦前を思わせる空気がまん延したことに、多くの市民が危機感を持ち、行動した成果」と歓迎。その上で、自衛隊派遣差し止めが認められなかったことに「市民の側がこの判決を生かしていくために行動し、世論をつくっていかねばならない」と訴えた。

 県隊友会会長・石嶺邦夫さん(74)は「活動の一部でも違憲とされたのは残念だが、サマワでの陸自の活動など、自衛隊のイラク派遣自体が違憲とされたわけではない。日本が可能な範囲で国際貢献をしていくことは大切で、状況に応じ活動の内容を見直していけばいいのではないか」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_03.html

 

2008年4月18日(金) 朝刊 2面 

普天間移設へ工事合意/日米合同委

ハンセン射場施設提供も

 【東京】日米両政府は十七日の合同委員会で、米軍普天間飛行場移設に伴う名護市キャンプ・シュワブ内の下士官宿舎などの工事実施や、キャンプ・ハンセン内で移設される射場などの提供、伊江村地下ダム整備に伴う伊江島補助飛行場の共同使用を合意した。

隊舎移転


 普天間飛行場代替施設建設に伴い、キャンプ・シュワブ内の飛行場建設予定地の西側に、下士官宿舎、倉庫、管理棟、通信機器整備工場、舟艇整備工場の整備実施について合意した。総額約三十八億円。普天間移設に関する工事着工はこれが初めて。着工時期について、防衛省は「準備が整い次第、速やかに実施する」と明らかにしていない。


射場整備


 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ4」の米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の都市型戦闘訓練施設移設に伴い、「玉突き」で移転される二カ所の訓練施設のうち、西側A地区の施設が完成し、米側に提供することで合意した。今回提供するのは小火器用の射程五十メートルの射場や安全壁、ウェザーシェルター。


ダム建設で共用


 国営かんがい排水事業で伊江村に整備される地下ダムの建設に伴い、水をせき止める堤体などの用地として、伊江島補助飛行場の一部土地約六千六十平方メートルの共同使用に合意。そのほか、ダムの建設作業用地として、工事期間中に限定して約五十万四千九百平方メートルの共同使用も合意した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181300_04.html

 

琉球新報 社説

イラク派遣違憲 撤退を迫る画期的な判断

2008年4月18日

 航空自衛隊のイラク派遣は「違憲」との判断が17日、名古屋高裁で示された。イラクでの空自の活動が、憲法九条が禁じる武力の行使に当たるとの判断である。判決が出た以上、政府は空自をイラクから撤退すべきである。

 違憲判断は、自衛隊のイラク派遣が憲法違反として、約1100人の市民が派遣の差し止めや慰謝料を国に求めていた訴訟である。

 訴訟は派遣後の2004年から全国11の地裁で12の集団訴訟が提訴された。だが、判決で原告側の訴えはいずれも退けられてきた。

 しかし、名古屋高裁の青山邦夫裁判長は「航空自衛隊の空輸活動は憲法九条に違反する。多国籍軍の武装兵員を戦闘地域に空輸するものについては武力行使と一体化した行動」と認め、違憲と判断した。

 原告団の一人で、レバノン大使も務めた天木直人さんは、自らのブログで「憲法を少しでも学んだ者ならば自衛隊のイラク派遣が違憲であることは分かるはずだ」と訴えてきた。

 しかし、12の訴訟は「訴えの利益がない」との紋切り型の判断で、門前払いされてきた。

 「裁判官は正面から違憲審査をしようとはしない」「この国の司法はどうなっているのか。これほどまでに政治に屈していいのだろうか」「裁判官は出世に目がくらんだ官僚に成り下がっている」。そんな批判と司法への不信感が募っていた。

 「違憲訴訟は続けよう。裁判官が権力を裁く事ができなくても、我々が彼らを裁くのだ」。そんな原告団の気概が、画期的な判断を引き出している。

 国はイラク特措法で、自衛隊の活動場所を「非戦闘地域」に限定している。だが、イラクの首都バグダッドでは多くの市民が、いまも戦闘の犠牲になっている。

 高裁判決は、バグダッドなどへの多国籍軍の兵士や国連の人員、物資輸送などを行っている航空自衛隊の活動が「イラク特措法にも違反する」と判断した。

 自衛隊派遣では「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と、木で鼻をくくる国会答弁を繰り返した当時の小泉純一郎首相にも反省を促す判断である。

 一方で、憲法違反の自衛隊のイラク派遣で「平和的生存権を侵害された」とする原告団の訴えについては「具体的な権利や義務に関する紛争ではなく、訴えは不適格」と却下。慰謝料についても棄却している。

 法治国家の徹底と護憲の訴えを認める高裁判決が下された。今回の司法判断を重く受け止め、国はイラクから自衛隊を撤退させるべきである。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131240-storytopic-11.html

 

2008年4月18日(金) 夕刊 1面

北米局長「合意反せず」/米少年連れ帰り

 【東京】外務省の西宮伸一北米局長は十八日の衆院外務委員会で、北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在沖米海兵隊員の息子二人を、県警より先に現場に到着した米憲兵隊が拘束し、基地内に連れ帰った問題について、日米合同委員会合意に反しないとの見解を示した。照屋寛徳氏(社民)への答弁。

 西宮局長は「米側は(身柄は連行したが)逮捕していないし、逮捕したという認識もないので、これは共同逮捕の問題ではない」と説明。米軍関係被疑者の逮捕権が日米で競合する場合、米側の逮捕を原則とし、被疑者の身柄は最寄りの警察署に連行されると規定した同合意との関係で問題にならないとの考えを示したものだ。ただ外務省は、米軍が基地外で憲兵を使用する際には「日本国の当局と連絡して使用される」と規定する日米地位協定との関係で、今回の行動には「問題があり得る」との立場で、十八日までに在日米国大使館に遺憾の意を伝え、関連取り決めの順守を求めた。


「合意に反する」

知事は米軍を批判


 仲井真弘多知事は十八日午前の定例会見で、万引で店員に捕まった米兵の息子二人を、米憲兵隊が基地内に連れ帰った問題について「日米合同委員会の合意事項に反していると思う。家族の犯罪についてきちっと日本側の警察で身柄を拘束し、取り調べする合意になっている」と述べ、米軍の対応を批判した。

 今後の対応には「外務省でも検討しており、その結果を待ちたい」と述べた。

 沖縄市で憲兵がタクシー強盗に関与したとして書類送検されたことについては「どうしてこういうことが起こっているのか。腰を据えて再発防止策を考える必要がある。県の対応もさらにきつく、米側も家族に対して徹底した教育訓練が必要ではないか」と綱紀粛正の徹底を求めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181700_02.html

 

2008年4月18日(金) 夕刊 7面

提供外飛行は誤り/安部オール島 米ヘリ離着陸

政府に米回答 再発防止求める

 【東京】政府は十八日、米軍への提供施設外である名護市の安部オール島で、在沖米海兵隊のヘリコプターが離着陸した問題について「訓練ではなく、誤って行われた。今後ないようにしたい、と(米軍から)回答があった」と説明した。糸数慶子参院議員(無所属)の質問主意書への答弁書で明らかにした。

 問題の離着陸があったのは三月二十日。政府は、沖縄防衛局などを通して米軍や米大使館に再発防止の徹底を申し入れたという。

 また、四月三日に同市の国立沖縄工業高等専門学校の上空で、米軍ヘリがホバーリングをしたとされる問題については「ヘリはキャンプ・シュワブ内を訓練で飛行していたが、同校上空では行っていない、と回答があった」と事実関係を否定。政府は米軍に対し、地元住民に不安を与えないよう求めたとしている。

 三月二十八日に大阪地裁であった「集団自決」訴訟の判決について政府は、「今後、教科書検定調査審議会で判決自体が審議事項で取り上げられることはない」と答えた。検定意見撤回については言及しなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804181700_04.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 1面

「先に基地に連れ戻せ」憲兵隊、訓練で指導

組織的に協定違反か

 北谷町内で万引したとして店員に捕まった米海兵隊員の息子二人を同隊の憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、同憲兵隊の新隊員訓練では日常的に「県警より先に身柄を取り、基地内に連れ戻せ」と指導されていたことが分かった。複数の海兵隊関係者が十八日、沖縄タイムス社の取材に答えた。(新崎哲史)

 日米地位協定では、米軍施設以外での米軍当局の逮捕は「規律、秩序維持の必要範囲内」と制限しており、日本側当局との連携が必要と規定。憲兵隊が隊員への指導段階から協定を無視するような指導をしていた可能性がある。

 複数の関係者によると、新しく海兵隊憲兵隊に着任した際、「新隊員訓練」が行われ、日本の法律などを米軍側の担当講師が約二週間にわたって講習する。

 日米地位協定に関する講習は海兵隊司令部の法務部所属で、弁護士資格を持つ隊員が講師を務め、「県警と逮捕が同時でも、必ず基地に連れてくるように」などと指導しているという。

 新隊員訓練は、年に二度ほど行われており、同様の指導は、少なくとも二年ほど前まで行われていたとみられている。海兵隊憲兵隊は、訓練終了後にキャンプ・フォスター内の憲兵隊本部や中北部の基地内にある出張所に派遣される。

 関係者の一人は「米軍は軍人を軍のプロパティー(資産)と考える。日本側が逮捕して、『資産』が奪われる前に取り戻したいという考えがある」と説明。日本人警備員が民間地で銃を携帯した問題を挙げ、「多くの憲兵隊員は地位協定の詳しい内容を知らない。軍人の家族を連れ帰った今回の問題は、一部の上官の都合のよい解釈で、起きたのではないか」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_01.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 27面

憲兵、少年と口裏合わせ/タクシー強盗

 三月に沖縄市内で起きたタクシー強盗事件で、強盗致傷容疑で書類送検された嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長ダリアス・ブランソン容疑者(21)が米軍の監視下にある間に、共犯とされる米兵家族の容疑者の少年二人=いずれも同容疑で逮捕=と事件への関与を否認するなど口裏合わせをしていたことが十八日、関係者の話で分かった。

 米軍は県警が拘禁施設に収容するよう要請した後も一週間以上にわたって応じなかった上、その間監視状態も適正でなかった可能性がある。

 県警は証拠隠滅などを防ぐため、四月二日に同容疑者を拘禁するよう米軍に要請していたが、米軍が応じたのは十日後の十一日。その間、ブランソン容疑者は軍の監視下にあったが、一定程度自由に行動できる状態だったという。

 少年らについても、県警が二日から求めていた身柄引き渡しに米軍が応じたのは五日だった。その間、少年らは軍の監視下になかったとされ口裏合わせができる状態だったとみられる。


飲酒禁止緩和で米兵が繰り出す

初の週末ゲート通り


 【沖縄】米兵による相次ぐ事件・事故を受けて実施された飲酒禁止措置が緩和され、初の週末を迎えた十八日、沖縄市のコザ・ゲート通りは、繁華街に繰り出す米兵らでにぎわった。

 コザ・ゲート通り近くでバーを営む男性(58)には、常連客の米兵から「店に行くよ」と連絡があった。男性は「飲酒禁止措置の緩和は歓迎」と明るい表情。

 同僚と連れ立って通りを訪れた米海兵隊所属の男性兵士(28)は「とてもハッピーだ。外出禁止のころは部屋でテレビゲームばかり。部屋で酒も飲まなかった。今日は飲むつもりだよ」と声を弾ませた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_02.html

 

2008年4月19日(土) 朝刊 2面

基地周辺対策費23%増

08年度 防衛省1次分86億円

 【東京】防衛省は十八日、全国の基地周辺自治体などへ配分される二〇〇八年度周辺対策事業(補助金)の第一次都道府県配分を公表した。県内は六十件、対前年度比約23%増の八十六億二千三百万円が配分された。都道府県別に分類されない住宅防音、放送受信障害などは除かれている。

 沖縄関連で最も金額が多かったのは、生活環境施設などに補助する民生安定事業(一般助成)で、前年度比十億円増の三十八億二千万円。内訳は普天間飛行場などに関係した緑地整備など新規七件、継続十二件だった。

 学校や病院などへの防音工事費を助成する騒音防止対策事業(一般防音)は、十四億五千四百万で金武幼稚園など新規五件と継続二十一件。

 そのほか、公民館などへの防音工事費を助成する民生安定事業(防音助成)は五千八百万で、池原地区学習等共用施設など新規四件。

 住宅防音は、嘉手納基地周辺の三千二百四十三世帯に四十一億六千万円、普天間飛行場周辺の八百十五世帯に六億百万円を助成する。

 特に生活環境などに影響を受けている市町村に支払われる特定防衛施設周辺整備調整交付金は、県内十六市町村に十五億七百万を交付することが決まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月19日朝刊)

[空自輸送違憲]

イラクを撤退する時だ


 名古屋高裁(青山邦夫裁判長)は、イラク・バグダッドで航空自衛隊が多国籍軍の武装兵を空輸していることについて「他国の武力行使と一体化した行動であり、イラク特措法、憲法九条に違反する」と初の違憲判断を示した。

 自衛隊の憲法適合性について違憲としたのは、一九七三年の「長沼ナイキ訴訟」一審以来、実に三十五年ぶりである。

 同訴訟では自衛隊の存在そのものを違憲としたが、今回は自衛隊の海外活動についてである。

 「高度な政治性を有する国家の行為は憲法判断を控えるべき」とする「統治行為論」で、裁判所が憲法判断を示さない流れが定着。誰もが裁判所に無力感を感じていたのではないか。

 そういう意味で、判決は司法の本来の姿を示し、時流に流されがちな私たちの意識を覚醒させる一撃になったのではないか。

 空自が空輸を開始したのは二〇〇四年三月。当時の小泉純一郎首相は〇三年七月、戦闘地域の定義を聞かれ「どこが非戦闘地域で、どこが戦闘地域か、今私に分かるわけない」と開き直り、〇四年十一月には「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域」と強弁。無理を重ねたあいまいな概念だった。

 米国が主張していた大量破壊兵器がイラクで見つからず、フセイン元大統領とアルカイダとの関係も証明されなかった。米国でもイラク戦争を否定する意見は高まるばかりだ。それでも政府はイラクから撤退する考えはないという。違憲判決を受け、政府はあらためて国民に説明する必要があろう。

 イラク特措法では自衛隊が活動する区域は非戦闘地域に限り、しかも「武力行使とは一体化しない」ことが前提とされていた。

 この点、判決は明確だ。

 〇三年五月のブッシュ米大統領の「戦闘終結宣言」後も、米軍中心の多国籍軍はバグダッドなどで、多数の死傷者を出している。多国籍軍の活動は治安活動の域を越え、武力抗争と認定。イラク特措法の「戦闘地域」に該当すると断定した。多国籍軍の武装兵を、戦闘地域のバグダッドへ空輸することは、他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力を行ったとの評価を受けざるを得ないと結論付けた。

 軍事作戦上、後方支援も戦闘行為であることは言うを待たない。判決はこの点でも明快だ。

 現代戦は輸送なども戦闘行為の重要な要素であり、多国籍軍の戦闘行為に必要不可欠な軍事上の後方支援を行っていると認定した。

 米国自身に「出口戦略」がない。そんな米国に日本はいつまで追従するつもりなのか。

 判決は原告の市民ら約千百人が求めていた派遣の差し止めや慰謝料請求を棄却した。

 原告は判決内容は実質的勝訴として上告せず、国も形式的には勝訴のため上告できない。違憲判断が確定する。

 米国との同盟関係に配慮し、無理な解釈を重ねて自衛隊を派遣した政府は、撤退のシナリオを真剣に考える時だ。判決は米国に自衛隊撤退を告げるきっかけになり得る。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080419.html#no_1

 

2008年4月19日(土) 夕刊 1面

米戦闘機、滑走路外れる/嘉手納基地

県道から数十メートル

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で十九日午前十時五分ごろ、米民間会社が所有する英国製のMK58戦闘機一機が着陸後、滑走路に隣接する緑地帯に機首部分から突っ込んで停止した。

 事故原因や機体、人員への被害状況などは分かっていない。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)に事故の連絡は一切入っていないという。

 事故現場は県道74号から数十メートルの場所。同機は消防車など数台の緊急車両や消防隊員らに囲まれているが、放水などは確認されていない。同機は午後一時ごろけん引されて駐機場に移動した。

 目撃者らによると、同機は米軍機が訓練で使用する標的をけん引して離陸するなど、米軍機の訓練に協力する機体。この日も何らかの訓練後に着陸し、事故を起こしたとみられる。

 三連協の野国会長は、情報がないと前置きした上で「一歩間違えば住民に被害が出る。早めに原因究明し対応を明らかにしてほしい」と語った。

 事故現場を確認した嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長は「民間地から非常に近い場所。県民に大きな不安を与える。嘉手納基地の危険性があらためて浮き彫りになった」と憤った。

 県道沿いで、冷菓子を販売する女子中学生は、午前十時四十分ごろ、「消防車のサイレン音で事故に気付いた」と驚いた様子だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_01.html

008年4月19日(土) 夕刊 5面

協定無視に怒り/米軍憲兵隊の連れ戻し指導

 在沖米海兵隊の憲兵隊が日常的に「県警より先に身柄を取り、基地内に連れ戻せ」と指導していた問題で、県内の平和団体は「断じて許せない」と激しい怒りの声を上げ、識者は「明らかな地位協定違反」と、米軍側の対応を問題視した。

 日米地位協定に詳しい駿河台大学の本間浩名誉教授は「米軍基地の外については、本来は全面的に日本の警察権が優先する。例外的に、米軍内の規律や秩序維持の最小限の範囲内で拘束する権利が認められているだけだ」とし、明確な日米地位協定違反と指摘した。

 その上で「日本政府や警察は、米軍の誤った認識を厳しく追及しなければならない」と強調した。

 沖縄平和運動センターの山城博治事務局長は「地位協定以前の問題で、日本の法律を一切無視している。決して許されるものではない。これでは日本の主権がないに等しく米軍のやりたい放題だ。強く抗議する」と強く憤った。

 「米兵によるあらゆる事件・事故を許さない県民大会」実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長は「憲兵隊の指導的立場の上官が地位協定さえ理解していない。教育プログラムの強化や綱紀粛正をやっても、まったく意味がないことがはっきりした」とあきれた口調。

 「米側に配慮ばかりしている政府、特に外務省の責任は重い。米軍の裁量を許さず、米兵犯罪も、国内法を優先させると明記するべきだ」と述べ、日米地位協定の抜本改定をあらためて訴えていく姿勢を示した。

 城間勝平和市民連絡会代表世話人も「基地の外に、どんどん米軍の権力が拡大している。これが事件・事故が減らない要因になっていることを、政府はしっかり認識するべきだ」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_03.html

 

2008年4月19日(土) 夕刊 5面

義足の元軍人を支援/カンボジアに自立施設

 【沖縄】特定非営利活動(NPO)法人アジアチャイルドサポート(沖縄市)はこのほど、カンボジアに傷痍軍人らのための施設を建設、今月十日に完成式典が行われた。トラクター寄贈などに約八百万円を充てた同NPOの池間哲郎代表(54)は「村には自立にかける思いの強い人々が集まっている。施設を活用し、ぜひ発展してほしい」と期待している。

 このほど完成した障害者自立支援センターは、首都プノンペンから西方、車で約二時間半のビールトム村にある。建物面積約三百三十平方メートル。同村はカンボジア内戦や土中に埋まる地雷で傷ついた元軍人らが山中を開拓、現在は約三百世帯約千六百人が生活する。

 二〇〇六年に村人から支援要請があり、池間代表が二度現地を調査。村人が学んだり会議する場がなく、農作業も義足で十分力の入らない人の多い課題の解決を決意した、という。

 式典で、傷痍軍人でもあるドイサリー村長(51)は「踏ん張る力のない義足の人に農作業はつらかった。トラクターなどを活用し、自立のため努力したい」と感謝。今後は現金収入を得るため、換金作物のコショウなどを作る予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804191700_05.html

地位協定の抜本改正求め要請団50人が上京 米憲兵、万引少年連れ帰る、沖縄署の捜査要請応じずなど  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報社説(4月13日から16日)

2008年4月13日(日) 朝刊 2面

環境視点に被害検証/米軍基地国際シンポ

 「環境」を中心とした米軍基地問題について、沖縄と日本(神奈川)、韓国の市民団体が意見交換する「米軍基地環境調査研究国際シンポジウム」(主催・同実行委)が十二日、宜野湾市の沖縄国際大学で開かれた。軍事活動から生じる自然破壊、環境汚染、事件・事故を、各地で活動する市民や専門家が報告。不平等な地位協定の改定や基地撤去に向け、国際的連携の重要性を確認した。百二十人が参加した。実行委はシンポの内容を意見集約し、十四日に東京の参院議員会館で記者会見を行う。

ジュゴン訴訟


 米国ジュゴン訴訟弁護団の加藤裕弁護士は、名護市辺野古への普天間代替施設建設問題で、米国防総省が米国の国家歴史保存法に違反していると認定したサンフランシスコ連邦地裁判決について報告した。

 米政府が同法に基づくジュゴン保護への「配慮」が示されるまで訴訟が継続される点を強調。今月中に提出される米政府の報告書(「配慮」のために必要な情報開示)と、対する原告側の反論について、裁判所が監督していくことを説明した。

 その上で、「真に『配慮』が行われるなら、基地建設はできないはずだ」と指摘。「米政府が出す情報をしっかり検証し、反論する必要がある」と述べた。

 判決の意義については、海外駐留の米軍に同法が初めて適用され、基地建設阻止へ展望を開いたこと、世界中の同様な環境問題における先例的役割を果たしたことを挙げ、グローバルな連携が重要だと訴えた。


普天間飛行場


 伊波洋一宜野湾市長は、SACO(日米行動特別委員会)で全面返還が合意されて十二年目を迎えた現在も、普天間飛行場周辺の危険性除去が放置された現状を説明。「米国内では基地周辺の土地利用を制限する『航空施設整合利用ゾーンプログラム(AICUZ)』を米軍が自ら設け、地域の安全を保障している」として、同飛行場の異常性を強調した。

 また、在日米軍施設に対し政府が策定している日本環境管理基準で騒音などの項目が空白にされていることを挙げ、「政府はAICUZが米国連邦法でないため普天間飛行場には適用されないとし、騒音項目を除外した」と指摘。政府に環境管理基準の見直しと、米国防総省などに安全基準問題を放置している実態の是正を求める考えを示した。


神奈川


 神奈川県からは、米海軍と自衛隊の共同使用で騒音問題に悩まされる厚木基地、原潜の冷却水やアスベストなど有害廃棄物による環境汚染問題を抱える横須賀基地、相模補給廠の周辺住民が、それぞれの現状や課題を報告した。

 厚木基地爆音防止期成同盟副委員長の金子豊貴男相模原市議は「二〇〇六年に在日米軍再編が合意されて以降、日米の軍事一体化が進んでいる」と指摘した。


韓国


 韓国側からも、米軍による環境問題について報告が相次いだ。

 「我が土地米軍基地取戻し群山市民の会」のユン・チョルスさんは、米空軍群山基地の燃料タンクの老朽化で油が流出し、川や農地が汚染されていると発表。平澤平和センターのカン・サンウォンさんは、空軍基地がある平澤市で騒音被害訴訟の原告が六百七十七人に拡大したことを報告した。グリーンコリアのソ・ヂェチョルさんは、米韓が二〇〇六年、汚染を除去しないまま二十三カ所の基地を強引に返還合意した経緯を説明した。


県内

鉛・枯れ葉剤が島汚染


 沖縄環境ネットワーク世話人の真喜志好一さんは、米軍が一九六〇年代から名護市辺野古崎付近に海上基地を検討していたことを示す米側資料を披露し、「米軍の本当の目的は新たな基地の建設。普天間基地の移設は、新基地を造る口実にされた」と解説した。

 同ネットワークの内海正三さんは、キャンプ・コートニー(うるま市)海岸のクレー射撃による鉛汚染の問題を報告。日本政府が付近で採れるヒジキなどについて十分な調査を行わなかったことを批判した。

 琉球諸島を世界自然遺産にする連絡会の伊波義安さんは、米軍が六一―六二年、北部訓練場(国頭村、東村)で猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していた事実が二〇〇七年に情報公開で判明するまで公表されなかったことを挙げ、「米軍基地内で何が行われているか、県民は全く知らされない」と憤った。

 基地・軍隊を許さない行動する女たちの会の本永貴子さんは「政府が政治判断で米軍基地を受け入れるなら、米兵による犯罪に責任を持つのは当然だ」と述べた。


代表者コメント


 桜井国俊 実行委共同代表(沖縄大学学長) 地位協定を改定し、米軍活動に環境義務を課す国際法を作るため、国際的連携が必要だ。

 佐藤学 実行委共同代表(沖縄国際大教授) 沖縄と韓国が共闘することで問題が見えてきた。それを確認できたことに意義がある。

 ムン・ジョンヒョン 韓国団長(神父) 米軍が引き起こす問題は沖縄も韓国も全く同じ。今こそ私たちの連帯が始まった。共に闘いを続けよう。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804131300_01.html

 

琉球新報 社説

実弾誤投下 原因を速やかに連絡せよ2008年4月13日

 沖縄では陸も空も、そして海上でも軍事演習で終日、きな臭さが漂っているのか。しかも、訓練区域外にも模擬弾ではなく実弾が降ってくるなど、まるで戦場と言っていい。

 9日午後、米海兵隊のハリアー戦闘攻撃機が、久米島北方の鳥島射爆撃場近くの海上に250キロ爆弾2発を誤投下していた。場所は訓練海域から5・5キロも離れている。いったい、どういう訓練をすれば、それほどの誤差がでるのだろうか。その上、久米島の住民地域からは20キロも離れてはいないのだ。文字通り、一歩間違えば大惨事という状況だったといえる。

 島の住民らからは「誤って投下したでは済まない。あんな爆弾が島に落ちたら大変だ。殺傷能力の高いクラスター爆弾だったらどうするんだ」と怒りの声が上がっているが、当然だろう。久米島の北側では訓練による米軍機の爆音が聞こえ、鳥島に命中した閃光(せんこう)や煙が見えるという。住民は日ごろから不安を感じているといい、今回の事故でその感を一層強くしているのではないか。

 鳥島周辺は豊かな漁場で近海を航行する漁船も多い。爆弾の落ちた島の南側には久米島漁業協同組合が設置するパヤオ(魚礁)もあり、パヤオ漁やセーイカ漁が盛んに行われている。海兵隊報道部は「漁船は確認されなかった。爆弾はすぐに沈み水面に浮いてくる危険性はない。実弾だが爆発した兆候はなかった」としているが、理解に苦しむ。これでは漁船が見えなかったので(誤投下しても問題ない)と聞こえる。誤投下したが幸いにも漁船がいなかっただけ、ということではないか。さらに言えば爆発しなければ問題ない、という意味にもとれ、米軍の危機管理能力を疑わざるを得ない。

 一方、あらためて指摘したいのは事件・事故が起きた際の、米軍による日本側への連絡体制の不備だ。今回、米軍側から連絡があったのは事故から丸1日もたった10日夕。しかも一報は、事故は10日午後の発生で、実弾ではなくて模擬弾との内容だった。米側は「報告や確認作業で時間を要した」と弁明しているが、にわかには信じられない。ここには、住民の不安に対する配慮がみじんも感じられない。また、実弾かどうか確認するのに、こうも時間を要するのだろうか。何と悠長な軍隊なのだろう。いざという時、役に立つのかと余計な心配もしたくなる。

 実害がなかったから連絡も遅れた、というような言い訳は通用しない。提供施設外に250キロ爆弾が投下され、不発状態にあるということは事実だ。これだけでも米軍の責任は重い。不発弾ならば予期せぬ事故が起こる可能性も否定できない。再発を防ぐためにも、事故原因を徹底的に調査し、速やかに日本側に知らせるべきだ。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131096-storytopic-11.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 1面

伊江島飛行場から粉塵/米軍機訓練で恒常化

農作物・健康被害を懸念

 【伊江】米軍伊江島補助飛行場で行われている航空機の離着陸訓練で恒常的に粉塵が飛散し、農作物や洗濯物に付着するなど、住民生活に悪影響が出ている。住民からは農作物にとどまらず健康被害を心配する声も上がるが、米軍や国から抜本的な予防対策は示されていない。(新垣晃視)

 同飛行場は、野戦訓練のためアスファルトで舗装されず、コーラルが敷かれている。北風が吹く日に米軍機が離陸すると、コーラルの粉塵は飛行場南側にある黙認耕作地や、民間地の住宅に広く飛散する。村によると、強風の時は二キロ先まで飛ぶという。

 同村の特産物である葉タバコやキクに付着すると、葉や花びらの粉塵を丁寧に水で洗い流さなければならず、農家の負担は大きい。

 西崎区の照屋徳治区長は「需要が減っている葉タバコは、買い取りの品質基準が厳しくなっており、(粉塵により)出荷できなくなる恐れがある。米軍には何度も対策を求めたが、抜本的な解決には至っていない」と話す。洗濯物への付着や、農業用雨水タンクへの混入などによる健康被害の懸念もある。

 十年ほど前に、地元の要請によって民間地に近い滑走路南側が幅五十メートル、長さ三十五メートルにわたりアスファルト舗装されたが、全長二千百メートルの一部分にとどまっている。

 昨年十月十八日には、米軍機の離陸後、雲のような粉塵が黙認耕作地や民家に広がる大規模な粉塵飛散があり、農家は畑仕事の中断を余儀なくされた。米軍は滑走路に水をまいてローラーを掛ける処置を行ったが、抜本的解決には至っていない。地元住民は、葉タバコやキクの栽培時期である春から初夏にかけて、同規模の飛散が起きないか懸念している。

 大城勝正村長は「粉塵飛散は憂慮される問題。今後も起きることがあれば、コールタールを敷くなどの抜本的対策を強く求めたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_01.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 19面

高濃度有害物質を検出/本島のテラピア・ボラ

 沖縄本島に生息するテラピアやボラに、殺虫剤DDTや、生物に有害な化学物質PCB(ポリ塩化ビフェニール)などが高濃度で蓄積されていることが十三日までに分かった。愛媛大学沿岸環境科学研究センターの田辺信介教授らの研究チームと琉球大学熱帯生物圏研究センターの中村將教授が二〇〇五―〇七年に南西諸島で実施した、有害化学物質調査を通して明らかになった。

 研究対象が食用魚ではないことや、DDTやPCBについては、人間が食べて影響が出る「耐容平均残留濃度」を下回っていることから、人体に深刻な影響が出る可能性は低いという。

 調査は、石垣市のアンパル干潟、漫湖(那覇市)、嘉手納町の比謝川、恩納村の志嘉座川など六カ所で採取した魚介類の体内に蓄積された化学物質の濃度を測定した。

 その結果、最も高いところで、DDTは漫湖のテラピア一グラム当たり〇・一〇五マイクログラム、PCBは漫湖のボラ同〇・〇九三マイクログラム、シロアリ駆除剤のクロルデンは比謝川のテラピア同〇・〇九五マイクログラムをそれぞれ検出。いずれも石垣島のサンプルの数十倍から数百倍の値になった。

 国内最高レベルの残留濃度を示したクロルデンについては、本島内で一九七〇年代に大量使用されていたことを指摘。また、比謝川は流域の大半を米軍基地が占めることや、かつて基地内でDDTなどが使われていたことから、基地活動の影響も考えられるとした。

 中村教授は「物質として安定しているので、自然界で分解されない。魚を食べる鳥など、高次の生物にも有害物質が蓄積されている可能性がある」と懸念。また、南西諸島の生態系について、「今後は中国など、東シナ海沿岸諸国の人間活動の影響も考えられる。国や県が主体となり、今のうちに総合的に調査しておくことが必要だ」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_04.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 3面

高木連合会長、米労組と討議意向/地位協定改定

 【横浜】連合の高木剛会長は十三日、横浜市内で主催した「日米地位協定の抜本改定を求める連合中央集会」に出席し、米国の労働組合の全国組織である米労働総同盟産別会議(AFL・CIO)との次回定期協議で、日米地位協定改定をテーマに討議する考えを明らかにした。日米地位協定の改定には米国の承認も必要であることから、米国内での世論の盛り上がりを促したい意向だ。

 パネルディスカッションで発言した高木氏は個人的見解と断りつつ、「米国対策をやらないと、この問題はなかなか解けない。次の定期協議で討議をする素材として乗せられないか」と提案に意欲を示した。

 高木氏のほか、国民新党・社民党と地位協定改定案(三党案)をまとめた民主党の武正公一衆院議員,連合沖縄の仲村信正会長が討論。武正氏は「昨年の参院選挙で与野党が逆転した国会状況をプラスに働かせられるよう、三党案がまとまったことを契機に超党派の動きを進めたい」と述べた。仲村氏は「国民全体の問題であって沖縄だけの問題ではない」と述べ、全国への広がりに期待を込めた。

 松沢成文神奈川県知事は、地位協定改定に消極的な政府の姿勢を問題視しつつ、「ベターを求めて一つ一つ解決していかなければいけない。改定せずにできるものも同時提案することが必要」と指摘。その上で(1)環境問題の特別協定締結(2)日米合同委の中に自治体も参加できる「地域特別委員会」設置―を提案した。

 連合は同集会で、日米地位協定の抜本改定、徹底した綱紀粛正と人権教育を含む再発防止策などを求める決議を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_09.html

 

2008年4月14日(月) 朝刊 19面

嘉手納基地周辺の騒音減/滑走路工事・飛行停止で

 【嘉手納】嘉手納町が米軍嘉手納基地周辺三地点で実施している騒音測定の二〇〇七年度調査について、多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音発生回数は三地点ともに前年度に比べ減少した。同町が十一日、公表した。住宅地に近い同基地北側滑走路の改修工事で離発着がなかったことと主力戦闘機F15の飛行停止が原因とみられる。

 嘉手納町屋良の騒音発生回数は三万二千五百四十九回(前年度三万八千七百三十一回)で16%、同町嘉手納は一万八千七百八十六回(同二万千三百十五回)で11・9%、同町兼久は一万六千七百七十九回(同一万八千二百四回)で7・8%それぞれ減少した。

 深夜、早朝(午後十時から翌午前六時)の騒音発生回数は、同町嘉手納地区で二千百九十四回で前年度に比べ三百八十一回増加。そのほかの二地区は減少した。

 滑走路の改修工事は昨年一月から十一月まで実施、同期間は同滑走路での航空機の離着陸は行われなかった。F15は昨年十一月から〇八年一月まで、限定的に再開した数日を除き、約二カ月間飛行を停止していた。

 同町は「滑走路の改修工事、F15の飛行停止が減少の主原因で、F15の本土訓練移転が騒音発生回数の減少につながったとはいえない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141300_10.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月14日朝刊)

[米軍の事件事故]

仕組みを見直すときだ


 米軍による事件・事故が後を絶たない。何度、抗議を重ねても、何回、再発防止を申し入れても、防止効果が感じられないほど次から次に、事件・事故が起こる。

 米海兵隊の垂直離着陸攻撃機AV8ハリアーが久米島町の鳥島射爆撃場で、訓練中、五百ポンド(約二百二十七キロ)二発を提供水域外に投下していたことが十一日、分かった。沖縄市で三月に起きたタクシー強盗致傷事件は、その後の県警の調べで、現職の米憲兵隊員が犯行への関与を認める供述をしているという。事実だとすれば、由々しいことだ。

 日米両政府が事件・事故の発生に対して、何も対応してこなかった、というわけではない。旧那覇防衛施設局などは復帰後、職員が悲鳴を上げるほど連日、事件・事故の処理に追われた。再発防止策もその都度、打ち出している。

それなのに、一向に改善の実感がもてないのをどう解釈すべきなのか。そこが問題だ。

 各省庁の無駄遣いや、既得権にしがみついた省益主義が今、厳しい批判にさらされている。だが、こと在日米軍問題に関しては、安保既得権まで踏み込んだ議論が乏しい。日米同盟への影響を気にするあまり、聖域化してしまっているのである。

 「基地問題は沖縄など一部基地所在地域の問題」だという認識が政府の中に抜き難く存在するのではないだろうか。現状の仕組みを前提として再発防止策を講じるのではなく、仕組みそのものを見直す時だと思う。

 安保の運用をめぐる仕組みの、どの部分を改善すればいいのか。

 第一に指摘したいのは日米合同委員会の在り方である。渉外知事会(会長・松沢成文神奈川県知事)は、外務省に対し、日米合同委員会の中に自治体が参加する「地域特別委員会」のような協議機関を新設するよう求めた。

 現行の制度には、住民代表が住民の立場に立って直接、意見を述べる場がない。合同委員会で決定した事項の情報開示についても、依然として十分とはいえない。

 日米行政協定は旧日米安保条約に合わせて一九五二年に締結された。しかし、同協定を引き継いだ現在の日米地位協定体制は、さまざまな面で、現実にそぐわなくなっている。

 在日米軍がらみの話を外務省や防衛省の独占物にしてはならない。もはやそのような時代ではないのであって、住民生活に深くかかわる事案については、住民の声が直接届くような仕組みが必要である。

 事件・事故に関する情報は、米軍が義務として流しているというよりも、どちらかといえば恩恵的に流している側面が強い。AV8ハリアー機による誤投下に対し、在沖米海兵隊報道部は「所属部隊や航路、訓練計画については運用上の安全確保のため明らかにできない」と本紙の取材に答えている。

 そのような米軍側の対応をこれまで誰も不思議に思わなかった。だが、事件・事故に対する対応の仕方から改めていかないことには、実効性のある再発防止策を打ち立てるのは難しい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080414.html#no_1

 

2008年4月14日(月) 夕刊 1面

要請団50人が上京/地位協定の抜本改正求め

 「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の構成団体代表らでつくる政府要請団約五十人が十四日午前、三月の県民大会で採択された日米地位協定の抜本改正などを求めるため上京した。現地合流組を含め総勢六十五人が十五日までの二日間、複数のグループに分かれ、閣僚や関係省庁、在日米大使館、主要政党本部などを訪れる。

 要請団には実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会会長のほか、県民大会の主催団体関係者や県議、基地を抱える沖縄市の東門美津子市長や北谷町の野国昌春町長ら市町村長、市町村議会議長らが加わる。

 十四日早朝、那覇空港であった出発式で、玉寄実行委員長は「3・23で決議した四項目を引っさげて東京行動がこれから始まる。しっかり訴えていこう」とあいさつ。副実行委員長の小渡ハル子県婦人連合会会長の音頭で参加者がガンバロー三唱し、気勢を上げた。

 一行は国会議員、全都道府県の在京事務所への要請活動も予定しているが、面会を求めている福田康夫首相ら政府閣僚との日程は確定していない。十四日夕には国会近くの星陵会館(千代田区永田町)で集会を開き、問題を広く訴える。

 出発前、玉寄実行委員長は「地位協定の運用改善では何も防げないと分かりきっている。県民がどれだけ不満に感じているかをぶつけたい」。小渡副実行委員長は「会う人たちに『米兵犯罪の被害に遭うのがあなたの子どもだったらどうしますか』と問い掛け、沖縄の母親の気持ちを伝えたい」と意気込みを語った。

 県民大会は三月二十三日に北谷町などで開かれ、約六千人が参加。地位協定の改正や、米軍人への厳しい綱紀粛正と実効性ある再発防止策など四項目の大会決議を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141700_02.html

 

2008年4月14日(月) 夕刊 1面

久米島議会、抗議決議へ/米軍機爆弾投下

 【久米島】米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が鳥島射爆撃場で訓練中、提供水域外に五百ポンド(約二百二十七キロ)爆弾二発を投下した問題で、久米島町議会(山里昌輝議長)は十四日午前、議会運営委員会(宮田勇委員長)を開いた。

 議運委では、事故の再発防止と原因の徹底究明、米軍基地の整理・縮小、海兵隊を含む兵力の削減などを求める抗議決議案と、意見書案を同日午後四時から開く臨時議会に上程することを決めた。

 臨時議会では、両案とも全会一致で可決される見通し。

 一方、久米島町(平良朝幸町長)は町議会などと歩調を合わせ、関係機関に抗議するための準備を進めている。

 事故は九日に発生。防衛省や同町によると、ハリアー機が爆弾を投下した地点は鳥島中央から南西約一一・六キロ地点。

 射爆撃場の提供水域境界から約六キロの地点で、周辺海域は好漁場とされている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804141700_03.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 1面

政府、具体策言及せず/大会実行委が決議文

 【東京】「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の構成団体代表らでつくる要請団は十四日、首相官邸などを訪ね、日米地位協定改定や実効ある再発防止策の提示などを求め、大会決議を手渡した。応対した大野松茂官房副長官は「総理に伝える」と答えるにとどめ、具体的に言及しなかった。

 大野官房副長官に対し、玉寄哲永実行委員長は「地位協定の運用改善では限界がある。改正を提案できる条項がありながら、なぜ踏み込もうとしないのか」と政府の対応をただした。東門美津子沖縄市長も「一九九五年の事件から十三年間、政府は県民の声を受け止めていない」と批判した。

 一方、自民党の山崎拓前副総裁(党沖縄振興委員長)には、県老人クラブ連合会の知花徳盛常務理事らが会い、県民大会後も米兵が絡む事件が続いている現状を指摘した。山崎氏は「申し訳ない。県民の訴えは分かるが、地位協定の改定は難しい」と答えたという。

 小渡ハル子副実行委員長らは米国大使館を訪ね、レイモンド・グリーン安全保障政策課長に地位協定改定などを訴えた。グリーン課長は「(容疑者の身柄を)日本警察に引き渡すなどきちんとやっている」と改定の必要性を否定。綱紀粛正策についても、「隊員教育を一生懸命している」と述べたという。要請団は、沖縄等米軍基地問題議員懇談会(会長・鳩山由紀夫民主党幹事長)とも意見交換し、県内外の国会議員らに米軍被害の根絶を願う思いを訴えた。社民党の福島瑞穂党首にも決議文を手渡した。

 各国会議員事務所、全国市町村会、都内にある各都道府県事務所などにも各班に分かれて回った。十五日も外務省や防衛省、各政党などに要請を行う予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_01.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 25面

米憲兵、万引少年連れ帰る/沖縄署の捜査要請応じず

地位協定に抵触も

 【沖縄】北谷町内の衣料品店で十三日、在沖米海兵隊員の未成年の息子二人の万引を見つけ、現場で捕まえた店員が沖縄署に通報したが、同署員より先に来た米憲兵隊が少年らの身柄を拘束、捜査要請にも応じず基地内に連れ帰っていたことが十四日、分かった。同署は提供施設外での米軍捜査機関の捜査権などを定めた日米地位協定一七条十項などに抵触する可能性があるとして、十五日に米軍に文書で経緯説明を求める。

 調べでは、十三日午後三時半ごろ、北谷町美浜の衣料品店内でジーパンやTシャツ二枚の計約一万七千円相当を盗んだ十七歳の米少年一人を店員が見つけた。

さらに、バッグの中に同店系列店のTシャツ三枚を隠し持っていた別の十六歳の米少年を店外で見つけたため二人から事情を聴き、一一〇番通報した。

 その後、同署員より先に同店に着いた米憲兵隊が少年らを拘束したという。

 同署によると、現場に駆け付けた署員が事情聴取のため、少年二人の身柄引き渡しを求めたが、憲兵隊は応じず、基地内に連れ帰った。少年二人はその後、基地内で保護者に引き渡されたという。

 同署は十四日、米軍捜査機関に協力を求め、窃盗容疑で十六歳の少年から任意で事情を聴いたが、十七歳の少年については米軍の協力が得られず任意の取り調べもできていない。

 同署は店員の証言などから、ほかに共犯者がいる可能性もあるとみて、米軍に捜査協力を求めている。

 日米地位協定に詳しい新垣勉弁護士は「基地外での(逮捕権を持たない)私人による現行犯逮捕がはっきりしている場合、日本の警察にしか身柄の引き渡しはできない。憲兵隊は警察が来るまで事情聴取などはできるが、あくまで引き渡しに立ち会い、見守るのが役目だ」と説明。「憲兵隊が基地内に連れて帰ったことは問題で、日米地位協定に違反している」と指摘した。

 一方、駿河台大学の本間浩名誉教授は「日米地位協定の合意事項に現行犯逮捕の場合は米側に逮捕の優先権があると記されている。米軍が連れ帰ったことは直接法に反しないが、基地外の事件なので望ましいことではない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_02.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 25面

きょうにも書類送検/タクシー強盗の容疑憲兵

 沖縄市内で今年三月に起きたタクシー強盗事件で、沖縄署は十五日にも、米軍の監視下にある嘉手納基地所属の憲兵隊兵長(22)を強盗致傷の容疑で書類送検する方針を固めた。那覇地検が起訴した後、身柄は日本側に引き渡される見通し。

 同署は米軍の協力で事情聴取や家宅捜索などの捜査ができていることから、憲兵隊員の逮捕状は取らず、日本側への起訴前身柄引き渡しは求めない方針。

 事件は三月十六日午前零時二十分ごろ、同市中央二丁目の路上で発生。タクシー乗務員の男性が三人組に殴られ、現金約八千円が入った釣り銭箱などを奪われたとされる。乗務員は頭などに軽いけがをした。

 同署はすでに、犯行に関与したとして、いずれも米兵家族の少年四人を同容疑で逮捕。少年らは「憲兵隊員の運転する車で逃走した」などと供述しているとされ、同署は憲兵隊員が主導的な役割だった可能性が強いとみて調べている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_03.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 24面

コザに米兵まばら 飲酒禁止措置緩和

 【沖縄】在沖米軍による基地外での飲酒禁止措置が緩和された十四日、米兵相手の飲食店やライブハウスが集中する沖縄市のコザ・ゲート通りは米兵の姿も少なかった。

 飲食店の関係者は「客の大半は米兵。規制は早く解除してほしい」と歓迎する一方で「基地内に閉じ込められていた分、羽目を外さないか心配」との声も。通りを歩く複数の米兵は「ノーコメント」と言い残し、足早に去った。

 米兵による相次ぐ事件事故を受け、在沖米軍は二月二十日から、軍人の外出を制限している。

 米兵の飲酒禁止措置は緩和されたが、午前零時―同五時の外出禁止措置は継続される。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_04.html

 

2008年4月15日(火) 朝刊 2面

思いやり予算「良い投資」/ライス在日米軍司令官

娯楽費負担は「少額」

 思いやり予算は、日本の平和維持にとって「大変良い投資だ」と指摘し、娯楽費についても「リーズナブル」との認識を強調。一方で、環境影響評価(アセスメント)が遅れている米軍普天間飛行場移設問題については、「在任中に大きな進ちょくを見られると楽観視している」と述べ、二〇一四年の移設完了期限は守れるとの見通しを示した。

 米兵暴行事件など相次ぐ米軍の不祥事については、在日米軍の「タスクフォース」で国内すべての基地を調査・分析しつつ、既存の教育プログラムを総点検して模範施設の実践例を共有していくとの考えを示し、再発防止に意欲を示した。

 しかし、日米地位協定見直しの必要性については、「どの国と比べても、ホスト国側にとって最も有利な協定。改定するべきだとは思っていない。必要な場合は運用上の柔軟性をさらに増す努力をすればいい。今後も改善を重ねていきたい」との考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151300_05.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 1面

憲兵を書類送検/タクシー強盗

 沖縄市内で三月、タクシー乗務員が殴られ釣り銭箱を奪われた事件で、県警は米軍の監視下にある嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長(22)を十五日、強盗致傷容疑で書類送検した。日本側は起訴後に米側から身柄の引き渡しを受ける見通し。

 これまでの調べで、憲兵隊員は犯行時に現場付近にいたことや、米兵の息子の少年四人らとともに事前に計画を立てていたことを認めているとされる。また、逃走に使った車は憲兵隊員の所有とみられる。ただ、逮捕された少年らが「憲兵隊員が中心だった」と供述していることについては、否認を続けているという。

 県警は憲兵隊員の自宅を家宅捜索し、乗務員の所持品とみられる証拠物などを押収している。

 事件は、三月十六日午前零時二十分ごろ、沖縄市中央二丁目の路上で、タクシー運転手の男性を殴り現金八千円が入った釣り銭箱を盗んだ疑い。いずれも米軍人の息子の少年四人が強盗致傷容疑で逮捕された。一方、米軍は憲兵隊員を監視下に置き、県警が米側の捜査協力を得て事情聴取などを進めていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_02.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 1面

防衛政務官が柔軟姿勢/地位協定改定要請

「運用改善で不十分なら」

 【東京】防衛省の寺田稔政務官は十五日、「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会からの要請の席上、日米地位協定について「運用改善で足りない部分があれば、改定を外務省に働き掛けたい」と述べ、改定に柔軟な姿勢を示した。

 同席者によると、寺田政務官は、地位協定について、運用改善ですべての問題に対応するのは困難との見解を示したが、人権侵害に対する国内法整備を優先すべきだとの考えを強調。

 同協定はあくまで外務省の所管であるとの立場に立ちつつも、同協定の二七条で定める日米双方が地位協定改定を要請できる仕組みを指摘し、外務省に提案する考えを示したという。

 要請団は二日目の同日、外務省や民主党、共産党、江田五月参院議長らを訪ね、大会決議に盛り込まれた地位協定の抜本改定などへの支援を求めた。

 北谷町で万引した米兵の息子を米憲兵隊が連れ帰ったとされる事案について、外務省の木村仁副大臣は「報道の通りであれば日本の主権にかかわることなので、調査して慎重に対応したい」と述べたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_03.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 5面

沖縄署、文書で申し入れ/米少年万引憲兵連れ帰り

 【沖縄】北谷町美浜の衣料品店で今月十三日、Tシャツなどを万引し、店員に捕まった在沖米海兵隊員の未成年の息子二人を、通報で駆け付けた沖縄署員より先に米憲兵隊が拘束、基地内に連れ帰った問題で、同署は十五日午前、捜査に支障が出たとして嘉手納基地内にある憲兵隊事務所を訪れ、少年二人を連れ帰った詳しい経緯を説明するよう文書で申し入れた。同事務所は「正式な返答は後日文書で回答する」と答えたという。少年は十六歳と十七歳。同署は窃盗の疑いで十四日に十六歳の少年から任意で事情を聴いたが容疑を否認。十七歳の少年については十五日に任意で事情を聴いている。

 同署は事件発覚後から口頭で米軍に連れ帰った経緯などを求めているが、明確な返答がないため玉那覇章署長名で文書を手渡した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_04.html

 

2008年4月15日(火) 夕刊 5面

再発防止策徹底を/米軍爆弾投下

久米島町長ら 防衛局に要請

 米海兵隊のAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機が久米島町の鳥島射爆撃場で訓練中に、提供水域外に五百ポンド爆弾二発を投下した問題で、久米島町の平良朝幸町長や同町議会(山里昌輝議長)、県漁協組合長会(棚原哲也会長)、県漁業協同組合連合会(下地敏彦会長)は十五日午前、沖縄防衛局に、原因の早期徹底究明や再発防止策の徹底を強く申し入れた。

 対応した真部朗局長は「事故は遺憾だ。原因究明と徹底した安全管理をすでに求めているが、引き続き努力したい」と述べた。

 同日午前、米側から沖縄防衛局に対し、爆弾投下が九日午後二時四十五分だったことが伝えられたという。真部局長は第一報と事実が食い違ったことについて「連絡態勢も原因究明と再発防止を(米側に)求めたい。遅れたことや不正確だったことは反省している」と述べた。

 さらに投下地点の海域は深度約千四百メートルと説明した上で「米側がどう処理するのか、まだ詳細な説明を受けていない。引き続き説明を求めたい」と述べた。地元久米島漁協の組合長も務める棚原会長は「制限水域や射爆撃場の整理・縮小も実現してほしい」と要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804151700_05.html

 

2008年4月16日(水) 朝刊 2面

防衛政務官が柔軟姿勢示す/地位協定改定

 【東京】寺田稔防衛政務官は十五日、日米地位協定について「運用改善で足りない部分があれば、改定を外務省に働き掛けたい」と述べ、改定に柔軟な姿勢を示した。「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会の要請に答えた。

 寺田政務官の発言について、防衛省の豊田硬報道官は十五日の定例会見で「仮定の問題として、運用改善で対応できない問題がある場合について、一般的な見解を申し上げたのではないか」と述べ、運用改善で対応するという政府の従来の考えを強調した。

 要請団は二日目の同日、外務省や民主党、共産党、江田五月参院議長らを訪ね、大会決議に盛り込まれた地位協定の抜本改定などへの支援を求めた。

 北谷町で十二日、万引で店員に捕まった米兵の息子二人を米憲兵隊が連れ帰った問題について、外務省の木村仁副大臣は「報道の通りであれば日本の主権にかかわることなので、調査して慎重に対応したい」と述べたという。要請後、衆院第二議員会館で会見した玉寄哲永実行委員長は「大野松茂官房副長官は『総理に伝える』と自身の判断を保留した。地位協定改定を求める県民のうねりが全国に広がることを期待する」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161300_04.html

 

2008年4月16日(水) 朝刊 26面

教科書各社は慎重/検定撤回 実行委きょう要請行動

 「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)が十六日、二〇〇六年度の検定意見の撤回と、高校の日本史教科書への「軍強制」記述の復活を政府や教科書会社側に再び訴える。

 実行委は大阪地裁での「集団自決」訴訟判決を受けて、再訂正申請への動きを加速させたい考えだ。だが政府の反応は鈍く、教科書各社は慎重な姿勢をみせたまま。今後、再訂正申請が行われるかは、世論を再び盛り上げられるかが鍵となりそうだ。

 実行委が東京で要請行動を行うのは四回目。今回も実行委員長の仲里利信県議会議長らが首相官邸や文部科学省、教科書協会などを訪問し、検定意見の撤回と「軍強制」の記述復活を求める。

 ポイントとなるのが、三月に大阪地裁であった「集団自決」訴訟の判決だ。検定意見の根拠の一つとされた元戦隊長の証言について、大阪地裁は「信用できない」と退けた。実行委は「文科省を動かす絶好の機会」ととらえる。

 教科書執筆者たちも再申請に意欲的だ。今月五日に那覇市であったシンポジウムでは、教科書執筆者の坂本昇さん(東京都・高校教諭)が「『軍の強制』を復活させたい」と発言。歴史教育者協議会の石山久男委員長も「再申請に向けて社会科教科書執筆者懇談会を再開したい」と述べた。

 だが、政府は今回も冷淡だ。要請団に対し、今回も福田康夫首相ら閣僚は面会に応じない。

 各教科書出版社も再申請には慎重だ。ある出版社は「新教科書は四月から使い始めたばかり。現場の反応も聞かないでいきなり『再訂正』は筋が通らない」と歯切れが悪い。執筆者の一人は「各社とも世論を様子見している。教育現場や沖縄からの声が続かなければ、教科書会社を再び動かすのは難しい」と話す。

 再訂正手続きは、七月ごろまでに各社が検討を行い、八月後半に文科省に申請するのが一般的。仲里委員長は「体験者たちの言葉と(裁判で退けられた)元戦隊長の証言とどちらが重いのかをしっかり問いかけ、正しい記述復活への地道な戦いを続ける」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161300_07.html

 

琉球新報 社説

米少年憲兵連行 政府は毅然とした態度示せ2008年4月16日

 懸念していたことが起きた。13日、北谷町美浜の衣料品店で窃盗の容疑で捕まった在沖米海兵隊員の息子2人を、米憲兵隊員が拘束し基地内に連行した。2人の身柄は、憲兵隊員が到着する前に店員が押さえていた。日米合意事項では「最寄りの日本の警察署などに連行する」と定められており、それに違反することにもなる。米兵犯罪防止のため日本側と米軍が共同巡回することも検討されているが、まさに今回起きたような事例が懸念されていた。

 日本国内で起きた犯罪の容疑者は、日本の警察に逮捕され、日本の司法によって裁かれる。それが当然だ。しかし、現在の日本では、それが当然ではないのである。不平等ともいえる日米地位協定があるからだ。

 米軍基地が集中する本県では、そのひずみが如実に表れる。

 米兵女子中学生暴行事件を受け、政府は警察と米軍との日米共同パトロールを対策として打ち出した。しかし逮捕現場に警察と憲兵が一緒にいた場合、地位協定上、身柄は憲兵に引き渡さざるを得ないという問題がある。

 外務省は逮捕をめぐるトラブル防止のため(1)米軍憲兵は参加しない(2)身柄の確保や逮捕する権限は県警側―とする方向で米軍と調整している。しかし県警側はこれで問題が解決するとはみていない。憲兵が現場にいなくても警察が逮捕状請求手続きをしている間に私服軍人が連絡し、憲兵が身柄を拘束してしまうと危惧(きぐ)するからである。

 美浜で発生した事件はまさにその危惧が現実となったといえよう。

 米少年2人は衣類を盗んだ疑いで店員に身柄を確保されていた。しかし先に到着した憲兵が、遅れて到着した沖縄署員の少年らへの事情聴取を拒否し、基地内に連行。逮捕当日の13日には解放した。

 地位協定に問題があることは明白なのに、日本政府は口を開けば「運用改善で」と強調し、「改定」には及び腰だ。

 米兵犯罪の再発防止を声高に叫ぶのなら、地位協定を改定し「不平等」を解消するべきだ。米軍人であろうが、軍属であろうが、日本国内で罪を犯せば、日本警察に逮捕され、刑罰を科される。このシステムを確立しなければ犯罪は抑止されないだろう。

 「地位協定に守られているという意識が米兵たちにあるのではないか」という指摘がある。現状の不平等さからすれば、そういう考えを持たざるを得ない。

 日本政府の弱腰の姿勢には、ほとほとあきれ果てる。毅然(きぜん)とした態度で地位協定問題を解決するのが政府の責任ではないのか。今回の事件を契機に政府は、根本から姿勢を改めるべきである。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131176-storytopic-11.html

 

2008年4月16日(水) 夕刊 1・5面

「係争中」と撤回拒否/教科書検定要請

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、昨年九月に開かれた検定意見撤回を求める県民大会の実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)は十六日、自決への軍関与を認めた大阪地裁判決を受け、検定意見を撤回し軍強制記述を復活するよう求める要請書を渡海紀三朗文部科学相あてに提出した。要請後、池坊保子副大臣は「司法、行政には独立性がある。係争中に教科書を変える意思はないと(実行委側に)申し上げた」と記者団に話した。

 要請後、仲里委員長らは「文科省は判断から逃げている」などとして同省の姿勢を批判した。

 実行委は同日、首相官邸で大野松茂官房副長官にも要請書を提出。大野副長官は「要請を重く受け止め、総理や官房長官に伝える」と述べるにとどめ、検定意見や記述回復への言及はなかったという。東良信内閣府審議官にも要請した。

 要請書は、元守備隊長らの訴えを退け「集団自決」への軍関与を認めた三月の大阪地裁判決を受けて「この裁判を根拠の一つとした検定意見は是正されるべきだ」と指摘。

 「次世代を担う子どもたちに正しく真実を伝え、二度と戦争を起こさないことは大人に課せられた重大な責務だ」として、検定意見の撤回と教科書に「日本軍による強制」の語句を入れるよう求めている。

 実行委は十六日午後、教科書協会にも、記述の訂正申請を要望する予定。


     ◇     ◇     ◇     

文科省の「壁」に落胆/大阪判決 追い風ならず


 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に「軍が深く関与した」と認めた大阪地裁判決を追い風に、教科書への「軍強制」の記述復活や検定意見の撤回に期待を込め、「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会のメンバーらは十六日、文部科学省に再要請した。

 教科書会社からの訂正申請を受けた記述修正後の要請から約三カ月ぶりとなる同省では、前回と同じ池坊保子副大臣が対応し、地裁判決に原告側が控訴していることを理由に「係争中で何も言えない」と一蹴、再要請を事実上拒否した。

 「壁は厚い。なかなか思うようにいかない」

 要請に同行した小渡ハル子県婦人連合会会長は、文部科学省から収穫が得られなかったことに落胆の色を隠せない様子だった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804161700_01.html