2008年4月24日(木) 朝刊 2面
米軍、実施継続の姿勢/F15未明離陸
【嘉手納】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機など計五機が二十三日未明に、米本国に向け同基地を離陸した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)の中川京貴副議長、基地対策特別委員会の田仲康榮委員長ら六人は同日午後、同基地を訪ね、今後一切、未明離陸を行わないよう求め、抗議した。
田仲委員長らによると、応対した第一八航空団のジェラルド・ゴンザレス広報局次長(大尉)は「今後も必要性が生じたら、行わざるを得ない」と述べ、地元の要望には応じられない考えを強調したという。
同町議会がグアムなどを経由し、未明離陸を回避する運用を求めたことについては「グアムでは整備要員を連れて行かなければならず、いい中継地点だとは考えていない」と否定的な見解を示したという。
午後十時から翌日午前六時までの飛行を制限した騒音防止協定で、米軍の「運用上必要な場合」は例外とする規定について、撤廃を求めた同町議会に対し、「KC135(空中給油機)などは緊急の医療搬送用としても使用しており、難しい」と答えたという。
町議会は米民間会社所有の英国製戦闘機MK58が同基地着陸後にブレーキの故障で誘導路隣の緑地帯に突っ込んだ事故についても、原因の公表と再発防止策の徹底を求めて抗議した。
沖縄市議会は あす対応協議
【沖縄】沖縄市議会は二十三日、基地に関する調査特別委員会(与那嶺克枝委員長)を二十五日に開き、同市中央で発生した憲兵隊が関与したタクシー強盗事件、北谷町の在沖米海兵隊員の息子による万引事案、F15戦闘機の未明離陸などについて議会の姿勢を示す必要があるかなど、協議することを決めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_03.html
2008年4月24日(木) 朝刊 2面
「機体更新」に食い違い/町、詳細計画の説明要望
【嘉手納】米軍嘉手納基地が未明離陸の理由としている、旧型F15戦闘機を製造年の新しい機体に更新する計画について、同基地報道部は二十三日、旧型機の一部は米本国での訓練後にそのまま帰還した、と説明した。沖縄タイムス社の質問に答えた。嘉手納町は、機体更新を理由にした未明離陸の回数と機数に誤差があると指摘している。
報道部は同計画が全五十四機を対象に二〇〇五年十二月に始まったと説明しているが、同町は機体更新を理由にした未明離陸は二〇〇六年五月が最初で、これまでに八回行われ、計二十五機しか離陸していないとし、報道部側の説明と食い違っている。
同基地報道部は機体の入れ替えはすべて終了していると説明したが、未明離陸以外で嘉手納を離陸したF15の機数や日時、新しい機体の到着日時などの詳細は明らかにしていない。
同町の担当者は「不明な部分が多い。更新計画に伴う機体入れ替えの詳細を明らかにしてほしい」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_04.html
2008年4月24日(木) 朝刊 22面
中城海上保安部が開所
普天間移設に対応
【うるま】一日付で第十一管区海上保安本部の保安署から昇格した中城海上保安部の開所式が二十三日、うるま市田場のニュー三和で行われ、関係者ら約二百人が発足を祝福した。
昇格は米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設などに対応したもので、あいさつした岩崎貞二海上保安庁長官は「キャンプ・シュワブの対応には冷静で的確な対応が求められる」と周辺地域の協力を呼び掛けた。
同保安部は国頭村から南城市までの東西百二十キロにわたる本島東海岸地域、十二市町村を管轄。職員は六十三人増の九十七人体制。
岩本一夫保安部長は「東部地域の安全を守ることはもちろん、県民に海上保安庁の業務を知ってもらうよう努力したい」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_06.html
2008年4月24日(木) 朝刊 23面
浦添で化学弾?/22発内に液体 密封
沖縄防衛局は二十三日、浦添市内の建築現場で古い砲弾七十六発が見つかり、うち二十二発の内部に液体が詰められているのを確認した、と発表した。有害物質は検出されていないが、同局は「化学弾の可能性を否定できない」として、この二十二発を現場でビニールなどで密封。米軍に情報を照会し、近く搬出作業を行うという。同局は「混乱を避けるため」として場所を公表していない。
同局によると、砲弾が見つかったのは今月七日。長さ約六十センチ、直径約八センチで太平洋戦争時の米軍の迫撃砲弾とみられる。いずれも信管はついているが作動状態になく、爆発の可能性はないという。通常弾の五十四発は陸上自衛隊一〇一不発弾処理隊が回収した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241300_09.html
2008年4月24日(木) 夕刊 5面
猛毒化学兵器の可能性/浦添で発見 迫撃砲弾
米軍遺棄なら国内初
浦添市で七日に見つかった液体の入った迫撃砲弾は、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器である可能性があることが分かった。米軍が第二次世界大戦当時、化学兵器を所持していたことは分かっており、沖縄戦にも化学兵器を持ち込んでいた可能性を否定できないという。防衛省は県外など他の場所に移してから内容物を調べる方針だが、もし化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。
同省などによると、見つかった弾はM57迫撃砲弾で、液体が入ったタイプは煙幕用の発煙弾か、マスタードガスが入った化学弾の二種類しかない。両タイプとも形状や内部構造が全く同じといい、中を開けないと化学兵器かどうか確認できないという。
化学兵器は一九二五年調印のジュネーブ議定書で使用が禁止されたが、開発や保有などは禁じられていない。防衛省関係者によると、イタリアで米軍が大戦中に遺棄した化学兵器が発見されたことがあり、米軍が当時、化学兵器を所持、前線に運んでいたことは間違いないという。
内閣府の遺棄化学兵器処理担当室の担当者は「これまで国内で米軍の化学兵器が出たという話は聞いたことがない」と話す。
沖縄戦研究者の大城将保さんは「ひめゆり学徒のガマに投げ込まれたガス弾や黄リン弾も一種の化学弾だが、使用が禁止された物ではなかった。今回発見された砲弾が禁止兵器であれば大変な問題だ」と話した。
[ことば]
マスタードガス 猛毒のびらん性ガスで、液体や蒸気に触れると皮膚が炎症を起こすほか、重度の視覚、呼吸器障害を引き起こす。第一次世界大戦でドイツが初めて戦場で使用。旧日本軍は広島県の大久野島などで製造していた。からしやわさびに似た臭いがしたことからこの名で呼ばれる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_01.html
2008年4月24日(木) 夕刊 5面
裁判長ら現地調査/原告、被害実態訴え
新嘉手納爆音
米軍嘉手納基地周辺の住民五千五百四十人が、国に夜間・早朝の飛行の差し止めと損害賠償を求めている新嘉手納爆音訴訟の控訴審で、裁判官が住民の居住地域で騒音や周辺環境を確認する現地進行協議が二十四日、嘉手納町立屋良小学校などで行われた。
同日午前七時前、福岡高裁那覇支部の河邉義典裁判長ら判事三人が、基地から約二百メートルの距離で同基地を展望できる同小学校の校舎屋上を訪問。原告の一人で、嘉手納町議会基地対策特別委員会の田仲康榮委員長が、騒音や排ガス被害の実態を概説、「住民や子供たちの生命と安全が脅かされている実態を、ぜひご覧いただきたい」と訴えた。
前日未明には同基地からF15戦闘機など計五機が、地元の反対を押し切る形で離陸を実施したばかり。二十四日は早朝からフェンス際でP3C対潜哨戒機がエンジン調整を行っていたほか、支援戦闘機やP3Cの離陸する場面が見られた。
同訴訟の現地進行協議は二十五日まで、計十一カ所で行われる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_02.html
2008年4月24日(木) 夕刊 5面
「憲兵の指導を徹底」/県警に回答
少年連行 米側、明確な謝罪なし
今月十三日、北谷町美浜の衣料品店で万引したとして、店員に取り押さえられた米兵の息子二人を、米海兵隊憲兵隊が基地内に連れ帰った問題で、県警は二十四日、県警の事実確認に対し、米側が「憲兵隊員の指導教養を徹底したい」と回答していると公表した。米側が非を認めたとも取れる回答だが、明確な謝罪はなかった。
同事件は、沖縄署員が、憲兵隊に少年二人の引き渡しを求めたが、双方の言い分がかみ合わず約三十分間もめた。
県警は、憲兵隊が現場に到着する以前に、息子は店員によって私人現行犯逮捕されており、身柄拘束が刑事訴訟法に抵触する可能性があるとの認識で調整を進めていた。
県警によると、二十三日、沖縄署の玉那覇章署長が在沖米海兵隊憲兵司令官のバーナード・ヘス少佐を訪ね、二度目の遺憾の意を表明。これに対し、ヘス少佐が「沖縄署の見解は理解した。沖縄に配属された憲兵隊には指導教養を徹底したい」と話したが、謝罪の言葉はなかった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804241700_03.html
2008年4月25日(金) 朝刊 29面
米兵きょう書類送検/比女性暴行
県警は、沖縄市内でフィリピン人女性を暴行したとされる二十代の米陸軍伍長を強姦致傷容疑で、二十五日に書類送検する方針を固めた。また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー運転手を羽交い締めにして売上金を奪ったとされる米海兵隊員二人を強盗致傷容疑で同日書類送検する方針。三人の身柄は現在、米軍当局の監視下にあり、起訴後に身柄は日本側に引き渡される見通し。
強姦致傷事件は今年二月に沖縄市内のホテルで起きた。嘉手納基地の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の要員として勤務していた伍長が、二十代のフィリピン人女性に暴行を加えた疑い。事件当時、被害女性はホテルのロビーでぐったりしているところを従業員に見つけられ、病院に救急搬送された。女性の関係者が同署に通報して発覚。県警が被害女性や複数の関係者から事情を聴くとともに、ホテルの部屋などを現場検証していた。
強盗致傷事件は〇六年七月に同市中央一丁目の市道で発生。外国人の男二人組がタクシーの車内で男性運転手を羽交い締めにし、売上金の現金数万円と約三百ドルが入った財布を奪われたとされる。
捜査関係者によると、沖縄署がタクシーの車内から犯人の特定につながる試料を採取。県内の別の事件で摘発された海兵隊員の試料と照会したところ、合致したという。二人は容疑を認めているという。沖縄署が米軍捜査機関に協力を求め、調べを進めていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_01.html
2008年4月25日(金) 朝刊 29面
米憲兵隊兵長を起訴/3月タクシー襲撃
沖縄市の路上で今年三月、タクシー乗務員の男性が外国人らに襲われ、釣り銭箱を奪われた事件で、那覇地検は二十四日、強盗致傷容疑で書類送検されていた米軍嘉手納基地所属の憲兵隊の兵長ダリアス・エイ・ブランソン被告(21)を傷害と窃盗の罪で起訴した。同日、米軍当局から身柄の引き渡しを受けた。
また那覇地検は同日、被害男性の背後から両腕で抱きつき、路上に引き倒したとされる米軍人の息子の少年(19)を家裁送致。共犯とされる別の米国人の少年三人を不起訴処分とした。共犯の事実を認定したが「年齢や役割など諸般の事情を総合的に考慮し、刑事処分相当ではない、と判断した」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_02.html
2008年4月25日(金) 朝刊 2面
米軍住宅手当 月最高27万円
【東京】県内の米軍基地外に居住する米軍人に米国政府から支払われる住宅手当の上限額が、階級に応じ一カ月当たり十六万―二十七万円に上ることが二十四日、参院外交防衛委員会で明らかになった。防衛省が山内徳信氏(社民)に、米国防総省関連ウェブサイト内の資料を提出した。
家族帯同者への住宅手当の上限は一等兵、二等兵、上等兵、伍長が十六万円。三等軍曹、少尉、四等准尉、中尉が十八万円。二等軍曹、一等軍曹、曹長、三等准尉、大尉が二十一万円。上級曹長、一等准尉、二等准尉、少佐が二十五万円。上等准尉、中佐が二十六万円。大佐が二十七万円。単身の場合は、これらの九割が上限となる。
一方、防衛省の地引良幸地方協力局長は、基地外の米軍住宅の光熱水料などを米側が支払った実績は、一九九六年度が約十二億円、九七年度が約十二億円、九八年度が約十二億円、九九年度が約十一億円、二〇〇〇年度が約十一億円と説明。
政府は二〇〇〇年度まで在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)で基地外の米軍住宅の光熱水料を負担していた。地引局長は「米国との特別協定による上限調達量に基づく予算内で負担していたので、米側の支払実績額すべてを負担しているわけではない」と強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_03.html
2008年4月25日(金) 朝刊 29面
猛毒弾か 米に照会/浦添でM57迫撃弾発見
浦添市で七日に見つかった液体の入ったM57迫撃砲弾は米国製で、猛毒のマスタードガスが入った化学兵器の可能性があることが二十四日、分かった。防衛省によると液体が入ったM57タイプの迫撃砲弾は、発煙弾かマスタードガスが入った化学弾しかない。沖縄防衛局によると、今回見つかった二十二発は一九四三年に製造されており、第二次世界大戦末期の沖縄戦で米軍が使用した可能性もある。
防衛省は県外に移してから内容物を調べる方針。化学兵器であれば、米軍の遺棄化学兵器が国内で見つかる初めてのケースとなる。砲弾は未使用の状態で、爆発や液体漏れなどが起きる可能性はないという。
沖縄防衛局の真部朗局長は同日の記者会見で「一般論、軍事的常識としては、通常弾と化学弾を一緒に取り扱うことはない。M57という同じ形の砲弾に入れて、間違えたら大変なことになる」と述べ、化学弾である可能性は低いとの見解を示した。防衛省は米側に化学兵器かどうかを照会中だが、結果が出る時期は未定。日本側では内閣官房、外務省、内閣府、環境省などが調査に当たっている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251300_04.html
琉球新報 社説
「新嘉手納」訴訟 苦痛の現場どう感じたか
2008年4月25日
米軍嘉手納飛行場の周辺住民5541人が日米両政府を相手に、米軍機の夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた新嘉手納爆音訴訟控訴審の現地進行協議が始まった。現場検証では、福岡高裁那覇支部の河辺義典裁判長らが嘉手納町立屋良小学校などで調査をした。
北谷町砂辺では、戦闘機が次々と着陸し、騒音測定器が最大104デシベルを計測した。現場検証の最中に米軍機の「予防着陸」も発生した。裁判長は、頭上を頻繁に飛ぶ戦闘機について普段通りなのかと住民に確認していたが、基地周辺の「日常」に触れたに違いない。
米軍基地周辺に居住、あるいは住んだ経験のある人なら米軍機の騒音による苦痛を、強弱はあるだろうが感じているだろう。バリバリ、という地響きとも思えるような騒音に加え、住宅の窓ガラスがガタガタと小刻みに揺れ、幼子はその爆音と振動に泣き、恐ろしさに叫び声を上げる。
騒音による苦痛は、数字としては表し難い。が、裁判で認定してもらうため苦痛を示す根拠として示さねばならない。それがW値(うるささ指数)だ。
2005年に提訴した新嘉手納爆音訴訟で那覇地裁沖縄支部は、W値の80―75以上だった賠償基準を「W値80及び75区域の航空機騒音は減少しており、現状ではかなり低い」として85未満の地域に住む3割の原告を救済対象から外した。
米軍飛行場の運用は、日本政府の支配が及ばないという「第三者行為論」を踏襲し「支配の及ばない第三者の行為の差し止めを求めるものであり、主張自体失当」と請求を棄却している。
県実施の健康影響調査を基にした「騒音性聴力損失」の症例に対しても「聴力損失の発症原因たるべき航空騒音に暴露され続けているという前提条件が必要」などとして爆音との法的因果関係を否定するなど住民の苦痛を退けている。原告の失望は計り知れない。
06年に始まった高裁支部での控訴審で原告側は、認定に用いた指標や判断手法などの誤りをはじめ、第三者行為論に当てはめた結論ありきの判決、健康被害も調査結果を正当に理解していないと指摘した。
離着陸に必要な風向きもあるだろうが、屋良小での現場検証では、戦闘機の離陸はなく原告団から「いつもはこんなに静かじゃない」との声もあった。一次訴訟の現場検証で戦闘機は飛ばなかった。裁判所の現場検証に合わせて米軍が訓練を自粛しているのではないかと勘繰りたくもなる。
裁判所は現場検証を通して、住民の苦痛をしっかりと受け止め、静かな暮らしを実現するための判断に生かしてもらいたい。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131470-storytopic-11.html
2008年4月25日(金) 夕刊 7面
暴行事件不起訴米兵、軍法会議に
最も重い「高等」
二月の暴行事件をめぐり、県警に強姦容疑で逮捕されたが不起訴処分となった在沖米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)について、海兵隊報道部は二十五日、統一軍事裁判法に違反したとして、軍法会議にかけることが決まったと発表した。同会議の日程は未定。
強姦罪で訴追されていることから、三種類ある軍法会議のうち最も重い罪に適用する「高等」軍法会議にかけられる。強姦のほか、少女を誘拐した罪などにも問われている。
県警はハドナット容疑者を逮捕、送検したが、被害者が告訴を取り下げたため那覇地検は不起訴とし、身柄を米側に引き渡していた。
日米地位協定は基地外で発生した公務外の事件について日本側に第一次裁判権を付与。日本側が裁判権を行使しなかったため、米側が第二次裁判権を行使する形となった。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_03.html
2008年4月25日(金) 夕刊 7面
文科省、撤回を拒否/教科書検定
【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる「教科書検定意見の撤回を求める4・24全国集会」の実行委員会が二十五日午前、文部科学省を訪ね、軍強制記述の回復や検定制度の段階的廃止などを求める渡海紀三朗文科相あての要請書を提出した。応対した布村幸彦審議官は「検定意見は今でも正しいと思っている。撤回するつもりはない」と答えたという。
実行委によると、布村審議官は「元戦隊長らの陳述書は検定の根拠ではなく契機にしただけ」とした上で、大阪地裁判決で否定された点も「再検討する必要はない」と述べたという。
実行委の石山久男さんは「こちらの主張に答えていない」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804251700_05.html
2008年4月26日(土) 朝刊 1・2面
統合計画の概要公表/海兵隊グアム移転
米海軍のグアム統合計画室は二十五日、在日米軍再編に伴う在沖海兵隊のグアム移転計画のマスタープラン素案について、概要版を公表した。島内に海兵隊の主要キャンプや軍関係者の居住地、空母が一時寄港するための桟橋などの候補地案を明示しているが、最終報告(ロードマップ)で定めた在沖海兵隊移転のうち、どの部隊が移転するか詳細については明らかにしていない。
素案は当初、今年三月中の策定を予定していたが、約三週間遅れた上に、全文は公表されていない。
同統合計画室は国家環境政策法(NEPA)に基づき、環境影響評価(アセスメント)の準備書を二〇〇九年春、最終評価書を同年末までに作成する日程を説明。マスタープラン最終案策定は今年夏から、一〇年初頭にずれ込む見通しも示した。最新版の素案について「変更の可能性がある」と慎重姿勢を示している。
米太平洋軍は〇六年にグアム統合軍事開発計画を公表。「投入される海兵遠征軍(MEF)の兵力は司令部、地上戦闘、後方支援、航空戦闘の各部隊から構成される」と明記したが、ホームページを約一週間で削除していた。日米両政府は一二年から沖縄の第三海兵遠征軍(?MEF)の司令部などの移転を開始し、一四年の全面運用を目指している。
◇ ◇ ◇
海兵隊グアム移転マスタープラン要旨
背景
素案は沖縄からグアムへの海兵隊員と家族の移転、空母が一時寄港できる桟橋建設、陸軍弾道ミサイル防衛タスクフォース配備、アンダーセン空軍基地の能力拡大に向け、現時点の国防総省の計画を文書化した。
環境影響評価の最終報告は二〇一〇年に承認される。その後マスタープランは正式決定する。沖縄から移転する海兵隊の訓練内容は引き続き検討中である。
海軍フィネガヤン基地
海兵隊の主な移転先。司令部や兵舎、管理棟、倉庫などが整備される。一部は訓練施設で使用するが、地元住民の居住区と隣接しておらず影響は最小限に抑えられると期待される。
訓練場
候補地を検討中。都市型訓練や機動演習、警戒訓練、ジャングル戦闘訓練などを行う。
アプラ港
海兵隊と海軍、沿岸警備隊の活動支援のため、アプラ港の拡充を計画している。母港にはならないが空母は年間数回寄港し、一回あたり数週間とどまる。ほか、軍艦やホーバークラフト型揚陸艇(LCAC)、水陸両用車、高速輸送船などが使う施設を整備する。
航空部隊の運用と訓練
常駐や一時配備される海兵隊の回転翼機や固定翼機を支援するため、運用や整備、管理部門の施設が必要。候補地はアンダーセン基地の北側ランプで、既存施設の基盤を活用する。多様な種類の航空訓練を任務としており、訓練地域に変化が求められ、アンダーセン空軍基地はじめ複数の場所が予定されている。北マリアナ諸島も検討されている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_01.html
2008年4月26日(土) 朝刊 1面
比女性暴行 米兵を書類送検
沖縄署は二十五日、沖縄市内のホテルでフィリピン人女性ダンサー(21)に暴行したとして、在沖米陸軍の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊所属、特技伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者(25)を強姦致傷容疑で書類送検した。
また、二〇〇六年に同市中央の路上でタクシー乗務員の男性=当時(64)=に暴行を加え金銭を奪ったとして、いずれも米海兵隊キャンプ・シュワブ所属の二等兵エドワード・ミラー・ジュニア容疑者(22)と当時未成年だった二等兵(21)=いずれも当時は上等兵=を強盗致傷容疑で書類送検した。
ホップストック容疑者は今年二月、ホテル内で女性に暴行し、全治約三週間のけがをさせた疑い。女性と関係を持ったことを認めた上で、「合意だった」と否認しているという。米軍は同容疑者を監視下に置いており、県警は米軍の協力を得て捜査していた。
ミラー容疑者らは〇六年七月、同市中央一丁目の市道でタクシー運転手の首を絞め、財布やつり銭箱から約四万円を奪った疑い。
昨年四月に同容疑者が道交法違反で逮捕された際、タクシーから採取した指紋と一致したため捜査線上に浮上した。二人は容疑を認めているという。米軍はミラー容疑者を拘禁、当時未成年だった二等兵を監視下に置いていた。
◇ ◇ ◇
県警、日米合意に翻弄
今年二月に起きたフィリピン人暴行事件で、県警は陸軍伍長ロナルド・ホップストック・ジュニア容疑者を強姦致傷容疑で書類送検した。県警は米軍絡みの事件を相次いで立件する一方、「逮捕せずに書類送検」の傾向が強まっている。米兵容疑者の起訴前引き渡し条件に該当する強姦事件でありながら、なぜ逮捕しないのか。釈然としない点も残る。
「警察は法と事実に基づいて捜査する。政治的な事情は一切関係ない」。事件発覚後、捜査関係者の一人はこう強調し、逮捕状を取って起訴前の身柄引き渡しを求める意思を示した。
日米地位協定では、基地内にある米兵容疑者の身柄は、日本側が起訴するまで米軍が拘束する。だが一九九五年の米兵暴行事件をきっかけに、日米両政府は殺人や強姦など凶悪犯罪に限って、米側が起訴前の身柄引き渡しに「好意的考慮」をするという運用改善で合意した。
今回の事件は、常識的には起訴前引き渡し条件に該当する。県警も当初は逮捕状を取ることを念頭に捜査したが、結局は書類送検になった。県警は「被害女性の人権を考えた結果」(幹部)と説明するが、それだけが理由なのか真相は分からない。
県警は今月、米兵絡みの二つのタクシー強盗致傷事件でも任意捜査による決着を選んだ。県警内部では「米軍の協力で捜査できれば逮捕にはこだわらない」「身柄をめぐる政治問題化で捜査が遅れるより“実”を取った」との見方がある一方、「本来は逮捕が筋」「『凶悪犯罪』の定義が不明確で一県警では決められない」という複雑な心境も聞かれる。
日米政府のあいまいな「合意」に、県警も翻弄されたままだ。(鈴木実)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_02.html
2008年4月26日(土) 朝刊 2面
憲兵の連れ帰り/防衛相が日米連絡体制規定の必要性示唆
【東京】石破茂防衛相は二十五日の衆院安全保障委員会で、北谷町内の衣料品店で万引したとして店員に取り押さえられた在米兵の息子二人を、米憲兵隊が沖縄署の引き渡し要求を拒否して基地内に連れ帰ったとされる問題に関し、米軍基地外での憲兵隊の使用について日米間の連絡体制を規定化する必要性を示唆した。川内博史氏(民主)への答弁。
基地外における憲兵隊の活動について、日米地位協定一七条一〇項bは「軍事警察(米軍憲兵隊)は(中略)日本国の当局と連絡して使用される」と規定するが、「両方の連絡の対応に具体的に定める規定はない」(西宮伸一外務省北米局長)。今回も「事件発生後に、県警の通信室に憲兵隊から発生現場付近で外人の関係するけんかがある旨の入電があった」(警察庁井上美昭審議官)だけだ。
川内氏は今回の事件で米側の県警への連絡が不十分だったとし、「主権国家で他国が警察権を行使する場合は、しかるべき人が、しかるべき人に連絡した上で執り行うことが必要」と指摘した。
これに対し、石破氏は、「(日米で)認識の齟齬がないように努めていかなければならない」と連絡体制規定化の必要性を示唆。西宮局長も「連絡の在り方については関係当局と相談したい」と述べた。
一方、石破氏は、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部に建設される米軍普天間飛行場代替施設への垂直離着陸機MV22オスプレイの配備について、「可能性を一切否定するものにはならない」と説明した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_05.html
2008年4月26日(土) 朝刊 28面
予備審問の権利放棄/暴行米兵、米当局と司法取引か
本島中部で起きた米兵による暴行事件をめぐり、米国の統一軍事裁判法に違反したとして重罪を審理する高等軍法会議にかけられることが決まった米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)が、高等軍法会議前に予備審問を開いて意見を述べる権利を放棄していたことが二十五日、分かった。
被告側と米当局が減刑などの司法取引を行う際は、予備審問手続きを放棄することが条件となる場合があり、今後、ハドナット二等軍曹と当局間で司法取引が行われる可能性がある。
米軍の軍法会議は罪の重さにより高等、特別、簡易の三種類に分かれ、殺人や強姦などの重罪は高等軍法会議で審理。高等軍法会議では、軍法会議を開くべきか判断するため事前に予備審問を開くことが統一軍事裁判法で定められている。
予備審問では被告と被害者側双方が主張を展開、捜査指揮官からその結果を踏まえた報告書を受け取った司令官が軍法会議を開くかどうか最終判断する。
海兵隊報道部によると、ハドナット二等軍曹がこの予備審問手続きの権利を放棄したのを受けて、第三海兵師団司令官が二十一日、強姦や誘拐の罪など計五つの軍規に違反したとして高等軍法会議にかけることを決めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_07.html
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008年4月26日(土) 朝刊 29面
3・23県民大会総括/「抗議 全国揺るがす」
「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」実行委員会(玉寄哲永委員長)は二十五日、那覇市の県教育会館で総括集会を開き、三月の県民大会や四月の東京での要請行動などについて「県民の怒りの声を形にし、国内外に訴えることができた」と総括した。また、県民大会で決議した日米地位協定の抜本的見直しなど四項目については実行委の構成団体を中心に要請活動を続けていくことを確認した。事務局はこの日で閉鎖する。
玉寄委員長は活動を振り返り、「誰もが安心して暮らせる生活しやすい県になるよう求めてきた。何を提唱し、何を伝えるべきか、沖縄の子どもたちに対して恥ずかしくない大人として行動することができた」とあいさつ。さらに「これは解散ではない。火種を絶やさず、四項目の実現へ向けて努力していく」と力を込めた。
参加者からも「われわれが声を上げなければ沖縄の怒りは表せなかった」と活動を評価する意見が相次いだ。県民大会のきっかけとなった事件で逮捕され不起訴処分となった海兵隊員についても「米軍が軍法会議にかけると発表した。県民大会の声に米軍も応えざるを得なくなったのではないか」との感想が出た。
玉寄委員長は会合後、「軍法会議は県民の怒りが米軍を動かしたのだと思う。声を上げ続け、必要あるときはいつでも再結集する」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_08.html
2008年4月26日(土) 朝刊 28面
沖縄ジュゴン訴訟/米提出の報告書「ずさんすぎる」
米国の「沖縄ジュゴン訴訟」で、米国防総省は二十四日、米サンフランシスコの連邦地裁にジュゴンへ配慮するための情報をまとめた報告書を提出した。ただ中身はジュゴンの生態、文化的価値など項目の列挙と、日本政府の環境アセス方法書の抜粋で、具体策は示されなかった。国防総省の報告書について、環境アセスに詳しい桜井国俊沖縄大学学長が分析した。
裁判の中で、米国は基地建設とジュゴン保護に「責任がある」と認定されている。だが国防総省の報告書には当事者意識がなく、日本政府の情報を中心に「配慮する」姿勢を示しているだけで、あまりにもずさんだ。
日本のアセス方法書抜粋も、重要情報を開示せず三度も出し直した経緯には一切触れず、体裁だけ整っていると書いているにすぎない。
内容を吟味していないのは明らかだ。
アセス方法書は、辺野古だけでなく、県全体のジュゴンの個体群維持への影響を予測・評価する、としているが、現在のところ雌雄の頭数、繁殖行動と出産割合、縄張りなど、ほとんど分かっていない。複数年調査さえ明記しない方法書は、空理空論だと言わざるを得ない。
国防総省報告書は、環境面より「歴史・文化的重要性」の評価を強調している。環境問題から論点をすり替えようという側面もあるのではないか。(談)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261300_10.html
沖縄タイムス 社説(2008年4月26日朝刊)
[米憲兵少年連行]
何も解決はしていない
浮かび上がった日米地位協定の問題点を、日米両政府が事を荒立てないよう真相をあいまいにしたまま幕引きを図ったとしか思えない。
日本の警察権が侵されたにもかかわらず、米憲兵隊が表面上、非を認めるような形で決着させようとしたのではないか。
北谷町内の衣料品店で四月十三日午後、万引したとして店員に捕まえられた米海兵隊員の息子二人を憲兵隊が沖縄署に引き渡さず、基地内に連れ帰った問題である。
警察権を侵された当の県警は「少年への捜査はできている。今後、米側に問い合わせることはない」(得津八郎本部長)とこれで矛を収める方針だ。
得津本部長の言葉は県警レベルを超えた「政治決着」をうかがわせる。この調子では米軍関係の事件・事故で本当に適正な捜査が行われるのか、県民に強い不信感を抱かせる結果を残したと指摘せざるを得ない。
県警は警察権が侵害され、日本の主権が侵されたことを法を執行する機関として強く認識しなければならない。
一線で、昼夜を問わず、事件・事故の解決に駆けずり回っている捜査員の士気をもくじくことにならないか。
むしろこれは外務省に言うべきことかもしれない。
この問題では、米軍、外務省、県警の三者で地位協定違反か、「共同逮捕」か、などをめぐり、当初から意見が食い違っていた。
外務省は、事件直後は問題視する姿勢を見せていたが、後から米軍寄りの説明でつじつまを合わせているようにしか見えない。
日米両政府は地位協定の改定は鼻から念頭にない。「運用改善」を唱えるだけだ。
明治時代を思い起こしてほしい。鎖国を解いた明治政府が力を入れたのは欧米諸国と結んでいた不平等条約の改正だった。関税を自由に決めることができず、さらに外国人が国内で起こした事件を裁くことができなかったのである。
日米安保条約を認める、認めないの立場に関係なく、私たち自身も問われている。今回、主権を侵されたわけだから。
沖縄などに米軍基地を集中的に配置し、付随して発生する事件・事故はその地域に限定して閉じ込めてしまう。
仮に沖縄で頻発する地位協定絡みの事件が東京で起こっていたら、と仮定してみたらどうか。とてもこんな人ごとのような形で終わることはなかったのではないか。
もう一つの大きな問題は情報を米軍と外務省が独占して開示しないことだ。外務省は地位協定を改めるきっかけにするどころか、沈静化を図るという逆立ちした形を取る。
米憲兵隊をめぐっては、最近も問題になったばかりだ。今年二月に日本人警備員が実弾入り拳銃を携帯したまま、基地間を移動していたことが明るみに出た。
銃刀法違反であり、地位協定違反であるが、拳銃携帯は憲兵隊司令官が命じていたとされる。米軍は、憲兵隊の教育を徹底することから始めるべきだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080426.html#no_1
2008年4月26日(土) 夕刊 5面
海保、ジュゴン調査団体の面談断る/「電話で理解いただける」
【名護】米軍普天間飛行場移設先の名護市東海岸に生息するジュゴンの生態を調査している市民団体が、第十一管区海上保安本部(那須秀雄本部長)にヘリコプターの運用による影響などについて、直接要請したいと面談を求めたが、同本部が「電話で十分理解していただける」と断っていたことが二十六日、分かった。
要請は三月二十二日に、嘉陽海岸近くの海上で海保のヘリが「十分以上ホバーリングをした」としてその目的や、海保の航空機、船舶による騒音や振動がジュゴンの生息環境に与える影響に、どう配慮するかなどを問う内容。八日付で要請書を郵送し、面談を求めている。
海保はヘリが所属機である事を認めた上で「通常のパトロール中に海面に確認できないものを発見したので、人か物かの確認をしていた」とし、面談には応じられないと伝えた。
沖縄タイムス社の取材に海保側は、「かたくなに面談を拒んでいるわけではないが、この内容であれば電話で十分理解していただけると考えている」とコメントした。
北限のジュゴンを見守る会の鈴木雅子代表は「ジュゴン保護や今後の市民団体の調査、抗議活動の安全をどう図るかを含めて直接話し合いたい」と話す。その上で「沖縄防衛局や中央官庁を含め面談を断られたのは初めて。県民の間には中城海上保安部発足で警備強化への不安がある。不安を解消するためにも電話一本で済ますのではなく、公務員として誠実に対応してほしい」と改善を求めている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_01.html
2008年4月26日(土) 夕刊 4面
4・28にちなみ海勢頭さん公演/パレット市民劇場
一九五二年四月二十八日のサンフランシスコ平和条約発効で、沖縄が本土から分離された「屈辱の日」にちなみ歌手海勢頭豊さんの「4・28コンサート」が二十八日午後七時から、那覇市久茂地のパレット市民劇場で開かれる。本土復帰十周年を記念して作った「月桃」など多彩な楽曲を披露する。
二十五日県庁で記者会見した海勢頭さんは「テーマは重大だが、楽しいコンサートにしたい」と来場を呼び掛けた。同コンサート実行委員長の嶋津与志さんは「4・28の意味をどう未来に生かしていくか。若い人たちと一緒にコンサートを聴きたい」と話した。
バイオリン奏者の海勢頭愛さん、歌手の島田路沙さんも出演する。午後六時開場。入場料千五百円。問い合わせはGGS、電話098(946)6663。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804261700_05.html