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6月4日からベトナムで国際会議が開かれます。

 国際民主法律家協会大会(International Democratic Lawers Asspciation)17回大会が6月6日から1週間ハノイで開かれます。草の根運動からは、共同代表で、国際委員会委員長小湊忍さんが参加します。

委員長の私平山基生は参加できませんが、レポート「『米軍違憲』判決こそが9条の精神」を提出します。内容は次の通りです。

(国際民主法律家協会ハノイ大会20090606

第3分科会「司法の独立」での発言)

 

「米軍違憲」判決こそが9条の精神

 

日本司法への米政府干渉と日本政府・最高裁の追随

 

米軍基地をなくす草の根運動・平山基生

 

1沖縄県など日本から行われたベトナムなど他国侵略戦争

 

第2次世界大戦以後、米軍により侵略を受けた諸国のみなさん、特にベトナムのみなさん

 

私は1人の日本人として、日本国憲法から見て「米軍の侵略は私たちの日本政府がみなさんへ戦争行為を行ったことと同じである」と申し上げ、謝罪しなければなりません。このことをきわめて残念に思います。なぜなら、憲法を蹂躙して米帝国と軍事同盟を結んでいる日本政府が、沖縄県を含む日本に他国侵略の米軍基地を求め援助し維持しているからです。

 

ですから、みなさん、特に、ベトちゃんドクちゃんとそのご家族を始めすべてのベトナムのみなさんに深く深くお詫びしなければなりません。このような「政府の行為」を許している主権者として、日本国民は謝罪しなければなりません。

 

全世界には、米国内をのぞいて700の米軍基地があると言われています。日本には、2007年3月末の記録では、133(一時使用63を含む)の基地があります。専用施設は沖縄県だけに33(本土は52)全日本の専用施設の39%にのぼっています。

 

在沖日米軍は、ほとんど全世界すべての諸国への米軍介入に関わっていると推測されます。特に、ベトナム戦争のとき、沖縄県の米軍基地からは、連日のごとくB52が飛び立ち、軍用ヘリが輸送され、枯れ葉剤を撒き、ベトナムの人々を殺傷したのです。5月15日から17日には、パリで枯れ葉剤民衆法廷が開かれました。この法廷では、米国政府だけでなく、枯れ葉剤を撒いた米軍に基地を提供し米軍を援助した日本政府をも共犯者として訴追し断罪しなければなりません。

 

日本は、自国憲法に於いて、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」と規定して、「政府の行為」を規制しました。そのことは、正に日本政府の行為が米軍の行為であることに等しいことを意味します。こういうわけで、ベトナム侵略は、米国政府と共に、わが国日本政府の行為であることを否定できないからであります。

 

2在沖日米軍基地を容認している日本政府

 

1951年9月8日サンフランシスコでわが国政府が調印し翌1952年4月28日発効した「日本国との平和条約」第3条は、沖縄県を米国政府管理下に引き渡しました。同日調印し同日発効した「日米安全保障条約」は、ポツダム宣言に実質反して米占領軍が引き続き沖縄県を含む日本に駐留することを、「日本政府の行為として」認めました。少なくとも、1952年4月28日安保条約発効以後は、在沖日米軍の行為は、憲法上日本政府の行為であると断じなければなりません。

 

3「在日米軍の存在は違憲」東京地裁判決の最高裁における逆転判決へ、米政府公文書館資料で明らかになった米政府干渉

 

今から50年前1959年3月30日、東京地方裁判所で、一つの当然ではありますが重要な画期的判決が下されました。

 

それは、立川基地拡張に反対して米軍基地内に入った(砂川事件)労働者・学生を、米軍基地を守る特別法(刑事特別法)で起訴した裁判に於いて、1959年3月30日下された、東京地方裁判所(伊達裁判長)による「米軍違憲」判決です。

 



伊達秋雄裁判長は「「わが国が外部からの武力攻撃に対する自衛に使用する目的で合衆国軍隊の駐留を許容していることは、指揮権の有無、合衆国軍隊の出動義務の有無に拘らず、日本国憲法第9条第2項前段によって禁止されている陸海空軍その他の戦力の保持に該当するものといわざるを得ず、結局わが国内に駐留する合衆国軍隊は憲法上その存在を許すべからざるものといわざるを得ないのである。」と判決しました。

 

東京地裁判決は、米軍が米政府と共に日本政府の行為(安保条約の締結)で駐留している以上、在日米軍そのものが、憲法9条第2項で放棄している「戦力」にあたると正しく判示しています。キーワードは、「政府の行為」です。憲法は、主権者である国民が政府をしばる国家最高の法律であることは、憲法学上の常識です。

 

日本国憲法は、その憲法学上の常識の上にたって、憲法解釈の指針となる前文で、「日本国民は、(中略)政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、(中略)この憲法を確定する。」と述べ政府を縛っています。伊達判決は、この部分も引用しています。この判決が、高等裁判所の審理を抜いて、1年もしない同年12月16日最高裁の判決で破棄されたのです。

 

伊達判決をひっくり返した日本の最高裁判所判決は、在沖日米軍があたかも天から降ってきたか地から湧いてきたかのように、日本国憲法でいう「戦力」とは、わが国のものを指す、と決めつけ、米国政府と共に、日本政府が安保条約を結び、米軍を駐留させているから日本に米軍がいるという厳然とした事実を無視しています。また、高度に政治的な問題は最高裁は審理できないという悪名高い『統治行為論』で審理自体を放棄しています。これはまともな憲法解釈とはとうてい言えません。

 

これは、憲法第81条いっさいの政府の行為を「憲法に適合するかしないかを判断する権限」を放棄するものです。 また、日本国の裁判官たちは,憲法第76条「その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法および法律にのみ拘束される」という規定に背いています。

 

 米政府の介入は、昨年4月、日本の研究者によって発見された公文書で暴露されました。東京地裁判決の翌朝マッカーサー米大使が藤山外相と会い、この判決を素早く処理するように要請しました。また、大使は日本の最高裁長官とも会い、迅速な処理を要請しています。外相も長官も善処を約束しています。

 

 4 日本国民は統一戦線を結成して日本が真に「法の支配」する民主独立平和国家となる為に闘っている

 

いま、日本全国に、7294組織されている「九条の会」(2008年11月24日現在)は、ある意味では、そのような国民運動の継続であるといっても良いでしょう。統一戦線を強めることができるならば、私達は必ず勝利するでしょう。(以上)