原潜寄港反対に全会一致/県議会特別委 知事訪米費を削除/県議会最終日 悲劇の始まり、忘れまい/十・十空襲64年 ジュゴン保護1500人が署名/スペインの自然会議 ジュゴン保護3度目勧告/IUCNが異例の採択 など 沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(10月9日から16日)

2008年10月09日【朝刊】 社会

ジュゴン署名1000人突破/前回分超える勢い

IUCN会議保護団体参加


 スペイン・バルセロナで開催中の国際自然保護連合(IUCN)第四回世界自然保護会議で、ジュゴン保護キャンペーンセンター(海勢頭豊代表)が集めているジュゴン保護のための署名が、現地時間八日午前までに千人分を超えた。二〇〇四年の前回会議で集まった千三百人分を同日中にも上回る勢いという。蜷川義章事務局長は「絶滅の危機と警告されているジュゴンの生息地への軍事基地計画に、驚きと怒りの声が上がっている」と現地の様子を伝えた。

 同センターなど日本の非政府組織(NGO)六団体は今回の会議で、日米両政府にジュゴン保護の取り組みを求める勧告案を共同提出している。最終日の十四日に採択される見通し。署名は、採択後に日米両政府が勧告を速やかに履行するよう求めている。

 署名には世界各国のNGO関係者などが協力。会議後、同センターが日米両政府に提出する。蜷川事務局長は「二〇〇〇年、〇四年に続く三度目の勧告ということもあり、関心の高さを感じている」と手応えを語った。

 同センターは、NGOが集まる自然フォーラムにブース展示などで参加。シンガー・ソングライターの海勢頭代表らによるオリジナル曲の演奏や会場周辺の道ジュネーなどで、ジュゴン保護を訴えている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-027-2_002.html

 

2008年10月09日【朝刊】 政治

原潜寄港反対に全会一致/県議会特別委

F15機即時撤去 協定締結を要求


 県議会九月定例会は八日、米軍基地関係、沖縄振興・那覇空港整備促進、観光振興・新石垣空港建設促進の三特別委員会があった。軍特委では、米軍普天間飛行場の代替施設建設に議論が集中したほか、米原子力潜水艦のホワイトビーチ寄港反対を求める陳情八件を全会一致で採択。本会議でも採択される。

米軍基地関係

 軍特委(渡嘉敷喜代子委員長)は、中部市町村会が嘉手納基地のF15戦闘機の即時撤去や同基地に特化した使用協定締結などを求める「嘉手納飛行場から派生する諸問題の解決促進に関する陳情」も全会一致で採択した。

 普天間飛行場の代替施設建設をめぐり、上原昭知事公室長は環境影響評価(アセスメント)の準備書提出が来年二、三月になる見通しをあらためて示した。

 その上で、公有水面の埋め立ての許認可は「順調にいけば知事の任期中にこぎつけることが可能。今の形で協議会が進めば、一定の道筋をつけることが可能だ」との認識を示した。具志孝助氏(自民)に答えた。

 名護市東海岸の十三区の住民説明会について、上原公室長は「事業者の沖縄防衛局の予定はないが、県として地元の理解と協力を得るため、住民への説明は必要。防衛局に努力するよう求めたい」とした。

 中川京貴氏(自民)、新垣清涼氏(社大・結)への答弁。

沖縄振興・空港整備

 沖縄振興・那覇空港整備促進特別委員会(当銘勝雄委員長)は、那覇空港の滑走路増設に向けた協議、県独自の基本構想となる「沖縄二十一世紀ビジョン(仮称)」策定の取り組み、沖縄振興計画の総点検について、それぞれの進ちょく状況で質疑があった。

 津覇隆交通政策課長は、滑走路増設をめぐり、豊見城市が現滑走路より沖合に千三百十メートル離すよう求める声明を出したことを重く受け止めているとし、「豊見城、那覇、糸満の三市との連絡会議を開いて意見を吸い上げる」と説明。十月末から十一月初めに予定されている同空港技術検討委員会に、関係自治体の考え方を報告する方針を示した。

観光振興・新石垣

 観光振興・新石垣空港建設促進特別委員会(比嘉京子委員長)では、新石垣空港ターミナルビルの事業費について漢那政弘部長が「(旅客ターミナル)は約五十八億円、貨物は約五億円程度と試算している」と述べた。辻野ヒロ子氏(自民)に答えた。

 建設予定地内の洞窟で、絶滅危惧種リュウキュウユビナガコウモリの妊娠したメスが発見されたことについて、新石垣空港課の栄野川盛信課長は「県も調査をしたが確認できていない。事後調査で環境影響の程度が著しくなれば、付近の工事をいったん中止し、回避・低減措置を取る」と説明した。玉城ノブ子氏(共産)に答えた。

 また、第二次観光振興計画(二〇〇五―〇七年度)で定めた十一の数値目標について最終的な達成状況が報告された。

 入域観光客数とコンベンション(各種会議や展示会など)参加者数などはクリアしたが、旅行支出総額の低迷を背景に一人あたり県内消費額や観光収入など七指標では目標を達成できなかった。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月09日【朝刊】 社会

米軍と11管など合同訓練を実施/米軍機墜落を想定

 

米軍機が墜落したとの想定で、脱出した隊員をヘリで救助する第11管区海上保安本部のヘリ=8日午前、うるま市津堅島沖の米軍訓練水域

 米軍機が墜落し負傷者が出たとの想定で、在沖米空軍(第十八航空団)と第十一管区保安本部などによる合同実動訓練が八日、うるま市津堅島沖の米軍訓練水域であった。ヘリコプターで漂流する隊員を救出した。日米合わせ約百四十人が参加し、通報・連絡や捜索救助活動など初動対応を確認した。

 米軍訓練水域外の海上で米軍機が墜落し、隊員二人は緊急脱出したが、日本の漁船一隻が飛散物で損傷、負傷者一人が出ているとの想定。漁船には十一管本部の巡視艇がぴったりと近づき、乗組員を救助した。

 海上事故では救出ヘリなどさまざまな航空機が現場に集まるため、各機関が周波数を統一したという。

 迫田裕治内閣官房沖縄危機管理官は訓練後、「各機関が連携しておおむね予定通りに進んだ。日米双方で課題を検討したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-026-1_004.html

 

2008年10月09日【朝刊】 社会

空襲から大綱 復興たどる/那覇市歴史博物館で企画展

 

十・十空襲と那覇大綱挽の歴史を年代順に並べた写真に見入る来場者=8日、那覇市歴史博物館

 沖縄戦で那覇市の九割が灰じんとなった十・十空襲と、復興の象徴として一九七一年十月十日に復活した那覇大綱挽の歴史をたどり、平和を考える初の企画展「那覇大綱挽と10・10空襲展」が那覇市歴史博物館で始まっている。二十九日まで。

 十九世紀ごろ制作されたとされる現存する最も古い絵図「那覇四町綱之図」を初公開。戦前最後となった一九三五年当時の活気あふれる様子、那覇市制五十周年を記念し平和への願いを込めて復活した七一年当時の写真や文書約百点を年代順に展示した。

 その間に四四年の「十・十空襲」で、各地で黒々と煙が上がる那覇の全景、一面焼け野原となった爆撃直後の写真と、米軍の無差別攻撃と住民被害の説明文が添えられている。

 当時、台湾に疎開していたという森田恒勝さん(76)=那覇市=は、「終戦後、那覇の街を見て衝撃を受けたが、皆の復興への願いが燃え上がっていて、自分も頑張れた」と振り返り、「大綱挽が復活したときの興奮がよみがえった。平和への思いが原点だということを若い世代に見てほしい」と力を込めた。

 企画した同博物館学芸員の外間政明さんは、「祭りと戦争を並べることで、平和と地域の力を考えるきっかけになれば」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-M_1-026-1_001.html

 

2008年10月09日【夕刊】 社会

前原高の寮生ら半世紀後に集い/来月 うるま市で

 沖縄戦後の混乱期に県内の新制高校としていち早く開校した前原高校。「とにかく生きて勉強することに夢中だった」あのころを共に過ごした寮生の集いが五十年余の時をへて、十一月十四日午後三時からうるま市田場のニュー三和で開かれる。

 前原高校は一九四五年十一月に現在の前原地区内に開校した。沖縄戦直後の混乱期で、米駐屯軍CBMU工兵隊跡地のコンセットを教室として利用。同校にはうるま市近辺の離島のほか、宮古、八重山、大東島などの生徒たちも入学。離島出身者は、「西原睦寮」で共同生活しながら勉学に励んだ。同校はその後、うるま市田場に移転した。

 集いの企画が持ち上がったのは今年二月。十期生の同期会で一―十六期まで寮生活を送った仲間と語り合いたいと提案があったのがきっかけ。当時の一期生は現在八十代半ば。十六期生も六十代を超える。それぞれ年齢は違うものの、学徒出陣や疎開を経験し、沖縄戦を生き延びた激動の時代を共有している。

 十期生の新屋敷文春沖縄国際大学名誉教授(72)は「とにかく生きて勉強することに夢中だった。時がたっても、寮生との結びつきは一生忘れない」と力を込める。

 一期―十六期生の卒寮生は約五百人。参加者には在学当時の写真を持参してもらい、会場でスライド投影する予定。彫刻家金城実さん(十二期卒)の作品を写真に収めた展示会も計画している。会費五千円、夫婦会費九千円。問い合わせは新屋敷さん、電話090(4471)7006。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-09-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 政治

沖縄総合事務局存続 厳しい見方/分権委「移せるものは県に」/首長らは廃止反対訴え

 国の出先機関の統廃合を検討している地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は九日来県し、見直し対象になっている内閣府の沖縄総合事務局を視察したほか、自治体の首長と懇談した。丹羽委員長は「国と県で同じような仕事が行われているようだ。住民のために無駄を省くことが重要で、移せるものは県に移すのが原則だ」と現体制での存続に厳しい見方を示した。これに対し、総合事務局側は国の責任による沖縄振興の必要性を示し、組織存続を主張。首長からも廃止に反対する意見が出た。

 分権委は年末に、同総合事務局を含む出先機関の統廃合を盛り込んだ第二次勧告を首相に提出する予定。

 懇談会を終えて、丹羽委員長は記者団に「出先機関をつぶすのが目的ではない。残さないといけない仕事もあるだろうが、廃止・縮小すべきはしなくてはならない」と説明。分権に伴う財源についても「財政の手当てをせずに仕事だけ渡すようなことはしない。人も金も移譲する」と述べた。

 意見交換で総合事務局側は「米軍基地が集中するなど、沖縄は特殊事情を抱えている。沖縄振興計画で目指す自立経済の確立も道半ばで、国の責任で引き続き振興策を担うことが必要だ」と強調した。

 これに対し、分権委の猪瀬直樹委員は「国の補助金で繁栄するのでなく、できるだけ国の枠組みから解放され、自立した経済を目指すのが地方分権だ」と指摘。法人税率引き下げによる企業誘致などを提案した。

 懇談会には伊波洋一宜野湾市長、儀武剛金武町長、外間守吉与那国町長が出席。伊波市長は米軍普天間飛行場の跡地利用に関連し、「県では道路整備などの財源が確保できず、国がやる必要がある。道州制が導入されるまで出先機関は存続させてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 社会

きょう十・十空襲/64年前の惨劇忘れず/那覇市内で展示・上映会

 県内全域が米軍機に爆撃された一九四四年十月十日の「十・十空襲」から六十四年。被害を伝える資料展示や記録フィルムの上映会などが那覇市内で開かれる。

 那覇市首里崎山町の喫茶室アルテ崎山店では、「十・十空襲を風化させない市民の集い実行委員会」が県公文書館などで集めた空襲直前の那覇市の航空写真や、体験者の証言集が展示された。訪れた同市の男性(67)は「航空写真の隅に当時の私の家が写っており、この空襲が破壊の始まりだったとあらためて考えさせられる。昨年亡くなった母に、もっと話を聞いておけばよかった」としみじみ語った。

 十日は同店で午後八時から証言映像集「島クトゥバで語る戦世?十・十空襲の記憶?」を上映。また、「沖縄戦記録フィルム一フィート運動の会」が午後六時半から、同市繁多川公民館で、実写フィルムの上映と空襲体験者の仲里ハルさんの講演会を開く。

空襲に遭遇した鈴木さん

人々の安否気遣う

 沖縄戦直前、第九師団(武部隊)に所属していた鈴木攝郎さん(85)=神戸市=は、一九四四年十月十日の十・十空襲に那覇市で遭遇した。部隊は後に、台湾へ移動、以来沖縄を訪れたことはない。街が壊滅する様子を目撃した鈴木さんは「那覇はりっぱな街になったようだ」と思いをはせた。

 金沢市出身の鈴木さんは、一九四四年、中国牡丹江で第九師団に入隊。同年七月、兵員増強のため沖縄へ移動した。「上陸時、民家の軒先でおばあさんたちが小さな黒いまんじゅうを勧め、歓迎していた」と振り返る。

 軍旗護衛兵だった鈴木さんは、十・十空襲のあった日は、波上海岸で陣地作りをしていた。「最初、演習と思った。米軍は未完成だった小禄飛行場を攻撃した。停泊中の駆逐艦五隻をたたき、那覇市内を爆撃していった」

 鈴木さんらは類焼を防ぐため市内へ向かった。「ある家に入ると仏間に七十代ぐらいの男性が一人で座っていた。家を出るよう説得したが、男性は仏壇にじっと手を合わせており、助けだせなかった」

 浜辺には、高射砲で撃ち落とされた米軍機乗員の遺体が浜に流れついていた。遺体は足や頭がなかった。「親が見たら悲しいだろう」。鈴木さんたちはこっそりと埋葬した。

 同年十二月に部隊は台湾へ移動、そこで終戦を迎えた。「僕はある意味、命拾いした」と話し、沖縄戦直前に出会った人々の安否を気遣った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-026-1_001.html

 

2008年10月10日【朝刊】 政治

第2次軍転特措法を/中部首長学識者ら 国に返還対策を要請

 中部の市町村長や大学教授らは九日、沖縄防衛局と外務省沖縄事務所を訪れ、基地返還後の円滑な跡地利用を目的とした第二次軍転特措法の制定などを要請した。桜井国俊沖縄大学学長が真部朗局長と今井正沖縄担当大使に、「責任ある返還対策を国・県に求める決議」を手渡した。今後、県や県議会、県選出国会議員にも要請する。

 桜井氏や宮城篤実嘉手納町長ら五氏が参加。沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会が七月に開いたシンポジウムの決議文を持参した。決議は(1)有害物質の土壌汚染地域を特定するため基地使用履歴情報の提供(2)返還前に政府が基地内土壌汚染を調査(3)返還基地の調査、原状回復期間中、政府が地権者に給付金交付―などを盛り込んだ第二次軍転特措法制定などを求めた。

 真部局長は「立法について本省にしっかり報告したい」と述べ、項目別に対応を説明。「基地使用履歴を求めるのは当然。今でも米軍から入手しているが、(米軍が)二十―三十年前の使用履歴をしっかり残しているかというと、必ずしもそうではない」と述べ、完全な履歴の把握には限界があることを明かした。

 米軍の施設使用と並行する返還前調査は「現実的にかなり難しい」。返還手続き後に汚染が見つかった場合は、キャンプ桑江を例に「責任を持った処理をやっている」と説明した。

 桜井学長や宮城町長は返還後の跡利用まで時間がないことを強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-002-1_002.html

 

2008年10月10日【朝刊】 社会

入館者350万人突破/平和祈念資料館/市村さんに記念品

 【糸満】県平和祈念資料館(糸満市摩文仁)の改築・移転後の延べ入館者が九日、三百五十万人を突破、修学旅行生の市村奈津美さん(17)(さいたま市立大宮北高校二年)に沖縄戦の資料集など記念品を贈った。

 同級生らと入館した市村さんは?朗報?に驚きの表情。「事前に平和学習を重ねて来たので(三百五十万人目は)記念になるし、うれしい」と話していた。

 同館は改築・移転後の二〇〇〇年四月から毎年、四十万人前後の入館があり、〇六年六月には二百五十万人を突破。修学旅行生が年々増加、〇七年度は全体の約55%を占めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-M_1-026-1_008.html

 

2008年10月10日【夕刊】 政治

知事訪米費を削除/県議会最終日

 県議会(高嶺善伸議長)は十日、九月定例会の最終本会議を開き、一般会計補正予算案から仲井真弘多知事の訪米費を削除する修正案を賛成二十五、反対二十二の賛成多数で可決した。知事の訪米要請は一九八五年から十一回行われてきたが、県議会が予算を認めないのは初めて。

 修正部分を除く一般会計補正予算の原案は全会一致で可決され、補正予算は総額三十一億三千百十五万八千円になる。

 本会議では総務企画委員会の當間盛夫委員長が、県提案の一般会計補正予算案から訪米費約千四百万円を削除する修正案を、可否同数の委員長裁決で可決したことを報告した後、討論に入った。

 知事が訪米の要請項目に盛り込んだ「在日米軍再編の確実な実施」に含まれる普天間飛行場の名護市辺野古移設をめぐり、与野党は県民の支持の有無について論戦を繰り広げた。

 野党は崎山嗣幸氏(社民・護憲)ら三氏が修正案に賛成。「辺野古移設は六月の(新基地建設に反対する)県議会決議と相いれない。訪米の意義は認めるが、今回の知事要請は一方に偏り前代未聞だ」と述べた。

 与党は照屋守之氏(自民)ら四氏が修正案に反対し、「宜野湾市も名護市は受け入れを表明している。野党の新基地建設反対の決議は地元意向を無視したものだ」として原案通り訪米を認めるよう主張した。

 そのほか、沖縄特別振興対策調整費を活用した県保育所入所待機児童対策特別事業基金条例は全会一致で可決した。

 また、精神障害者社会復帰施設・県立てるしのワークセンターを民間へ移譲するための施設廃止条例、ICチップ導入に伴う免許証交付手数料を引き上げる県警察関係手数料条例の一部改正条例などは賛成多数で可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月10日【夕刊】 政治

知事「10年は存続を」/総合事務局/地方分権委は「3,4年だ」

 沖縄総合事務局を含む国の出先機関の統廃合を検討している地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は十日午前、県庁で仲井真弘多知事ら県幹部と意見交換した。

 総合事務局の在り方について、仲井真知事は「地方分権推進の観点から出先機関の見直しは必要」としながらも、米軍基地返還に伴う跡地利用などで国関与の重要性を強調。「五年、十年ぐらいは残していただきたい」と、段階的縮小が望ましいとの認識を示した。

 意見交換後、記者会見した丹羽委員長は「沖縄は長い間、国の支援を受けていただけに、自立・自活の精神が薄いという印象を持った。権限が足りないなら、中央から奪取するという気概を持つことが地方分権だ」と指摘。沖縄総合事務局については「県と同じ仕事をしていると強く感じた。(知事が求めた)十年じゃ困る。せいぜい三、四年だ」と語った。

 県は、出先機関の見直しについて(1)地方分権の観点から見直しは必要(2)自立的発展につながる事務・権限の移譲は受け入れる(3)沖縄振興の国の責務は地方分権にかかわらず果たされるべきだ―との基本原則を主張。財源は内閣府による予算の一括計上、高率補助を堅持しつつ、使途の自由度が高い一括交付金とする必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-001-2_002.html

 

2008年10月10日【夕刊】 社会

ジュゴン保護1500人が署名/スペインの自然会議

 スペイン・バルセロナで開かれている国際自然保護連合(IUCN)の第四回世界自然保護会議で、沖縄のジュゴン保護を日米両政府に促すための署名活動をしているジュゴン保護キャンペーンセンター(海勢頭豊代表)は現地時間八日までに、九十五カ国千五百十四人分の署名を集めた。三日間の活動で、前回会議の八十九カ国千三百六人分を超えた。署名活動は最終日の十四日まで続けられる。

 蜷川義章事務局長は「会議参加者に沖縄のジュゴンの問題が浸透してきている。生息地に米軍基地が建設されるという事実は、初めて知った人にショックを与えている」と報告した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-10-E_1-007-2_004.html

 

2008年10月11日【朝刊】 社会

悲劇の始まり 忘れまい/十・十空襲64年/各地で祈り誓う

 

「なぐやけの碑」に手を合わせる遺族たち=10日、那覇市若狭

 県内のほぼ全域が米軍機に爆撃された一九四四年の「十・十空襲」から六十四年の十日、戦没者を悼む慰霊祭やイベントが各地で行われた。遺族や体験者たちは「十・十空襲は悲劇の始まり。過去を忘れまい」と平和の誓いを新たにした。

 那覇市若狭の「なぐやけの碑」では同市連合遺族会の慰霊祭があり、約二百人が参列。夫を亡くした新垣好子さん(85)は「私たちは戦争を忘れない。二度と戦争を起こしてはならない」と弔辞を読み上げた。

 同市繁多川公民館では、「一フィート運動の会」が実写フィルムの上映と講演会を開いた。約百人が空襲の映像に見入り、積徳高等女学校の女学生だった仲里ハルさん(81)の体験談に耳を傾けた。仲里さんは「壕の中で爆弾のすごい振動におびえた。夕方に壕から出ると、周りが火の海でびっくりした」と振り返った。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-031-1_002.html

 

2008年10月11日【朝刊】 政治

知事訪米費を削除/県議会最終日

 県議会(高嶺善伸議長)九月定例会の最終本会議は十日午後まで開かれ、一般会計補正予算案から仲井真弘多知事の訪米費を削除する修正案を賛成二十五、反対二十二の賛成多数で可決した。

 知事の訪米要請は一九八五年から十一回行われてきたが、県議会が予算を認めなかったのは今回が初めて。修正部分を除く一般会計補正予算の原案は、全会一致で可決した。修正後の補正予算は総額三十一億三千百十五万八千円。

 そのほか、議員提案された台風13、15号の関連被害に対する支援を求める意見書・要請決議、労働者が自ら起業し経営する協同組合を早期制度化するよう求める意見書、過疎地域自立促進のための新たな立法措置を求める意見書もそれぞれ全会一致で可決した。

 経済労働委員会、文教厚生委員会、米軍基地関係特別委員会は審議した陳情を報告。原油や食料価格の高騰に対する緊急対策を求める陳情、ホワイトビーチへの米国原子力潜水艦寄港に反対する陳情など三十六件を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月11日【朝刊】 政治

再提案の意向/訪米費削除で知事/野党は修正要求

 県議会九月定例会の本会議最終日で、一般会計補正予算案から訪米費が削除された十日、仲井真弘多知事は「僕自身、理解不能だが、私の考えは変わっていない」との見解をあらためて示した。十一月定例会以降の再提案については「議会の仕組みもあるので、与党のみなさんと相談したい」と述べるにとどめた。

 訪米の要請項目に盛り込んだ「在日米軍再編の確実な実施」が野党の反発を買い、知事の訪米予算が初めて議会で承認されなかった。執行部の県は「説明したつもりだが、野党に足りないと言われれば、また説明するしかない」との認識だ。

 削除した修正案に賛成した野党六会派のうち、最大会派社民・護憲ネットの新里米吉団長は「訪米は賛成だし、意義は認めている」と説明。「『再編の確実な実施』を削除か修正して、与野党がぶつからないような内容にしてほしい」と県や自民党幹部に伝えたと明かした上で、要請項目の中身を変えれば、予算承認に応じる構えを示唆している。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-11-M_1-002-1_003.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

沖縄市議会が抗議決議/未明離陸/騒音協定の形骸化指摘

 【沖縄】沖縄市議会(喜友名朝清議長)は十四日午前、臨時会を開き、米軍嘉手納基地からF15戦闘機など十九機が四日未明に離陸したことに対する抗議決議と意見書の両案を全会一致で可決した。

 抗議決議と意見書は、住民や地元自治体の抗議や未明離陸の中止申し入れにもかかわらず強行されたことに「周辺住民の声を無視した運用に米軍への不信は募るばかりで、誠に遺憾」と批判。夜間の飛行を制限した騒音防止協定が形骸化していると指摘し、早朝、夜間訓練の全面中止、F15戦闘機の即刻撤退、同協定の見直しを求めている。

 あて先は、抗議決議が駐日米国大使、在日米軍司令官など。意見書が内閣総理大臣、外務大臣、防衛大臣など。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-007-2_004.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

米兵が住居侵入/沖縄署、容疑で逮捕

 沖縄署は十二日、沖縄市上地の民家に侵入したとして、米軍嘉手納基地内に住む海軍二等水兵マルコ・モンタジーノ容疑者(21)を住居侵入の容疑で現行犯逮捕した。「何も悪いことはしていない」と否認しているという。

 同署の調べでは、モンタジーノ容疑者は十二日午後十時四十分ごろ、沖縄市上地四丁目の民家敷地内に侵入した疑い。付近住民から通報があり、署員が現場に駆けつけたところ、民家から逃走しようとした同容疑者を発見したという。同署によると、同容疑者は酒に酔った状態だったという。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-007-2_002.html

 

2008年10月14日【夕刊】 社会

戦争の証言記録は重要/平和ネット 記念シンポで訴え

 沖縄平和ネットワークは十二日、那覇市の教育福祉会館で総会を開き、沖縄タイムス賞受賞記念として、同ネット設立までの経緯や取り組み、今後の課題について意見交換した。

 関係者は、国などによる戦跡整備とそれに伴う観光地化で、常に戦争美化へと歴史を書き換える動きがあったと指摘。体験者の証言など住民の立場から記録を残し伝え続けることの重要性を訴えた。

 代表世話人の大城将保さんは、住民による遺骨収集が、日本政府援助で慰霊碑整備された際、「国のために命を捨てた英霊」と碑文に記されたことや、政府補助金による当初の県立資料館が、軍の遺留品展示場になった事例を挙げた。

 「沖縄戦跡の靖国化」への危機感から、住民の戦場体験記録運動が進み、同館は、同ネットの前身「沖縄戦を考える会」が証言や資料を集め、住民中心の展示に切り替えた経緯を説明した。一方で、現在の教科書問題や「集団自決」訴訟を挙げ、「心に傷を抱え沈黙する体験者の話を記録する作業は、今も続いている」と述べた。

 村上有慶さんは、戦跡保存について「戦争を否定し、実りある平和教育を行うための文化財指定でなければ意味がない」と指摘。「平和運動が大きな川になるための一滴の源泉として、たゆまず勉強し、現場に立つことが使命」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-14-E_1-006-2_002.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

ジュゴン保護3度目勧告/IUCNが異例の採択

普天間移設/日米共同アセス要求


 スペインのバルセロナで開かれている国際自然保護連合(IUCN)総会は十四日、国の天然記念物で米軍普天間飛行場移設予定地の名護市東海岸にも生息するジュゴンの保護を求める勧告案を賛成二五八、反対九の賛成多数で採択した。勧告は三度目で、同一生物では極めて異例。二〇一〇年の国連「国際生物多様性年」でジュゴン保護の推進や、普天間代替施設建設で日米共同の環境影響評価実施を求めるなど、従来より踏み込んだ内容となった。日米両政府は棄権した。

 勧告案は、日本の六つの環境保護団体が共同提出。法的拘束力はないが、日本が政府として加盟し、野生生物保護に大きな影響力のあるIUCN勧告は、政府の政策にも影響を与えそうだ。中でも、国際生物多様性年の節目に行われる生物多様性条約第十回締約国会議は日本で開催されるため、議長国としての姿勢が問われるのは必至だ。

 勧告は、国際的な環境保護条約を管理する国連環境計画(UNEP)や種の保存委員会、IUCNなど国際的機関のネットワークで保護に取り組むことを明記。普天間代替施設建設では、日米共同の環境アセスメントと影響を最小限にするための行動計画作成、日本政府に対し、(建設撤回を含む)すべての選択肢を踏まえ、研究者やNGO団体と協議しアセスを行うよう要求した。

 またジュゴンが生息するすべての国に対し、移動性野生動物種の保全に関する条約のジュゴン覚書への参加を推奨した。日本は、同覚書に加盟していない。

 ジュゴンは東南アジアやオーストラリアなど三十七カ国で確認されているが、北限の沖縄では減少が著しく生息数は五十頭以下とされる。環境省は絶滅危惧種の中でも最も深刻な「ごく近い将来に絶滅の危険性が極めて高い種」としている。

 勧告案は、日本自然保護協会、世界自然保護基金(WWF)ジャパン、ジュゴン保護キャンペーンセンターなどが提出した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_005.html

 

2008年10月15日【朝刊】 政治

防衛局が局発注工事入札の資格緩和/7億9000万円以上

県内90社が参加可能/県に説明/分割発注も促進


 県が国発注工事で県内企業の優先活用を求めていたことを受け、沖縄防衛局の真部朗局長は十四日、受注機会の拡大につながる対策として同局が実施する一般競争入札の参加資格を緩和するなど対応策を同日から講じることを明らかにした。真部局長らが同日、県庁に仲井真弘多知事を訪ねて説明した。

 予定価格七億九千万円以上の工事で、入札の参加資格となっている企業の経営状態などを数値化した「経営事項評価点数」を千二百点以上から千点以上に緩和する。点数の緩和で、県内に一社しかなかった参加可能企業は九十社に増える。七億九千万円未満の工事でも、同局が格付けるBランク業者の一部がAランク対象の工事に参入できるようにする。

 仲井真知事は「産業を鍛えて雇用をつくろうというのが最大の目標だが、非常に苦しんでいる。要請した方向で回答していただき感謝している」と評価した。真部局長は「運用の様子を見て、意見や要請をいただければ対応したい」と話した。

 そのほか、入札時に価格だけでなく企業の技術力や地域貢献度を考慮する「総合評価方式」の評価項目を見直し、県内での施工実績やセメントなど県産資材の使用状況を評価して加点するほか、中小企業でも入札しやすいよう分離分割発注を促進するとしている。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-002-1_001.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

1社、再訂正を検討/「集団自決」記述/執筆者間で方針確認

 【東京】教科書執筆者らでつくる「社会科教科書懇談会」は十四日、都内で第六回会合を開き、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる記述の再訂正申請について協議した。検定意見が付された五社のうち一社は、執筆者間で再訂正申請する方針を確認したことが報告された。しかし、ほかの会社から具体的な方向性は示されなかった。

 会合には五社のうち四社の関係者が参加。執筆者で方針を確認した一社も会社側は「検討中」との考えで、再訂正申請の最終的な合意は得られていないという。

 同社の執筆者は「強制性を明確にするようあらためたい。少なくとも『強制集団死』を注釈に入れたい」とし、「昨年九月の県民大会などで抗議の声が上がったことも盛り込みたい」と話した。

 そのほかの三社は「執筆者で話し合っていない」「(再訂正申請の)方向は今のところない」などの現状が報告されたほか、他社が申請するのであれば同調したいとする考えもあった。

 文部科学省で話し合いが進んでいる検定制度の改善策については、執筆者に守秘義務を課すことを容認しないことを申し合わせた。

 同懇談会は、今月三十一日の「集団自決」訴訟控訴審の判決内容などを見極めながら、十一月五日に次回会合を持ち、対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_002.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

「世界的関心事に」/環境団体、意義を強調

 IUCNの三度目のジュゴン保護勧告が、より具体的内容で採択されたことに、環境保護団体メンバーらは「沖縄の問題から世界的環境問題へと関心が高まったあかしだ」と意義を強調。一方、米軍普天間飛行場の移設先、名護市の島袋吉和市長は「詳しい内容を見ていないので、具体的にコメントすることはできない」と述べるにとどめた。

 現地で勧告案を提出したジュゴン保護キャンペーンセンターの蜷川義章事務局長は、勧告がIUCNに対してもなされていることを挙げ、「IUCN自らが、主体的にジュゴン保護に取り組む意志が明確になった」と評価。普天間代替の日米共同アセスが盛られたことに「基地建設がジュゴンに影響がある、という前提で協議されており、世界的に関心が高まったことのあらわれ」と指摘した。

 WWFジャパンの花輪伸一自然保護室主任は「二〇一〇年」が明記されたことに、「日本は生物多様性条約締約国会議の議長として、計画をまとめる義務がある。拘束力はなくとも、ジュゴン保護に国際社会から義務を課せられたのと同じだ」と強調した。

 名護市の大浦湾を中心に現地調査を続ける沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長は「基地建設作業が進む中で、勧告に実効性を持たせるためには、県民、国民が世論を盛り上げる必要がある」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_004.html

 

2008年10月15日【朝刊】 社会

「沖縄側も支援」/県民大会実行委

 教科書会社一社の執筆者間で再訂正申請の方針が確認されたことに、「9・29教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の玉寄哲永副委員長は「信念ある執筆者がいて心強い。沖縄側も積極的に声を上げて支援したい」と話した。

 県立学校七十校の社会科教員らで再訂正申請を求める要請文を教科書会社などに送付した南部商業高校の上江洲由直教諭は「一社の執筆者の声でも非常にうれしい」と歓迎した。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-M_1-029-2_003.html

 

琉球新報 社説

海自集団暴行死 真相究明し再発防止を 2008年10月15日

 侵略から国民を守るはずの組織で何が起きているのか。

 海上自衛隊の特殊部隊「特別警備隊(特警隊)」の隊員を養成する第一術科学校で9月9日、25歳の3等海曹が隊員15人を相手に格闘訓練をさせられ、頭を強打して意識不明となり、約2週間後の9月25日に死亡した。

 昨年6月末の力士暴行死事件を想起させられる出来事に、慄然(りつぜん)とした。

 同学校を管轄する海自の呉地方総監部は、事件当日と死亡の翌日に「訓練中の事故」と広報した。7月にも別の隊員が、異動直前の格闘訓練で16人の相手をさせられ、歯を折るなどの負傷をしていたことも判明した。

 教官らは遺族に「(異動の)はなむけのつもりだった」と説明しており、不見識極まりない。訓練に名を借りた制裁であり、集団による体罰ではないのか。海自の説明に「全く納得できない」とする遺族の気持ちが痛いほど伝わる。

 特警隊は1999年の北朝鮮の工作船事件を機に、2001年3月に特殊部隊として新設された。厳しい訓練を行うと言われるが、秘匿性が高く実態は厚いベールに包まれている。

 事件が明らかになったのは、3曹の死亡から約3週間後の今月12日である。事件を隠ぺいする理由が分からない。

 イージス艦「あたご」と漁船の衝突事故、イージス艦情報流出事件、護衛艦「さわゆき」火災で海士長の逮捕など海自の不祥事が相次いでいる。

 自衛隊員の自殺も目につく。8月下旬には、福岡高裁が海自隊員の自殺を「上司の侮辱的言動によるストレスが原因」と認定した。

 浜田靖一防衛相は訓練の範囲を逸脱しているとの認識を示した。ところが制服組の杉本正彦呉地方総監は「訓練中の事故」と言い、認識にずれがあるのはなぜか。

 防衛省は組織挙げて真相究明に取り組み、遺族はもとより国民の疑問に答える責任がある。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-137131-storytopic-11.html

 

2008年10月15日【夕刊】 政治

「騒音規制守られず」普天間移設 宜野湾市長が訴え

 米軍普天間飛行場の危険性除去と、代替施設の建設計画・環境影響評価(アセスメント)を協議する両ワーキングチームの第二回会合が十五日午前、那覇市の沖縄総合事務局で開かれた。

 危険性除去のワーキングチームでは、同飛行場を抱える宜野湾市の伊波洋一市長が出席し、同飛行場で騒音規制措置(午後十時―翌日午前六時)に当たる時間帯の飛行や場周経路など、日米合意が守られていない現状を訴えた。県内開催は初めて。

 両ワーキングチームとも冒頭以外は非公開。会合を主宰する防衛省地方協力局の山内正和次長は「普天間飛行場の移設を円滑に進めるため、政府や県、名護市、宜野座村が密接に意見交換することが重要と考えている」とあいさつした。

 伊波市長は騒音規制措置の日米合意があった一九九六年以降、飛行回数が増えていると指摘。二〇〇四年の沖縄国際大学へのヘリ墜落事故以降、市民の苦情件数は〇五年百九件、〇六年百六十件、〇七年百九十五件と激増していると説明、米軍自身の環境管理基準が普天間など日本国内で守られていないと訴えた。

 会合後、防衛省の藤井高文沖縄調整官と内閣官房の武藤義哉参事官が記者説明。伊波市長の要望について「ワーキングチームで検討はしていくことになると思う」と述べた。

 環境アセスについて「ある程度のデータが出てきた」と説明。「今まさにデータを集めている最中で、今後四季のデータがそろった中で、予測評価をしていく」と述べるにとどめた。

 また、県や名護市から建設計画の地元説明やデモフライトの実施を求める意見があったという。

 危険性除去ワーキングチームのメンバーは同日午後、普天間飛行場を宜野湾市の嘉数高台公園と施設内から視察する。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-001-2_001.html

 

2008年10月15日【夕刊】 社会

環境省、壕周辺を調査/真嘉比「化学弾」

 那覇市真嘉比の壕で旧日本軍の化学弾の疑いがある不発弾二発が回収されたことを受け、環境省は十五日、壕周辺の大気や土壌の汚染を調べる現地調査をした。化学弾・毒ガスなどの旧日本軍化学兵器の関連で、国による調査は県内で初めて。後日、周辺の地下水も採取し、約一カ月後に全体の分析結果を公表する。

 環境省職員四人と作業員五人が機器を使い、発見場所の壕周辺の大気や深さ五十センチまでの土を採取した。県、那覇市の担当職員も立ち会った。地下水は後日、所有者の了解を得て周辺の井戸八カ所で採取する。

 採取されたサンプルは東京の民間機関で、化学剤や分解された残留物質の有無が分析される。

 環境省環境リスク評価室の筒井誠二室長補佐は「防衛省から砲弾自体は傷や漏れなどもなく堅牢だったと報告があり、環境汚染の可能性は少ないと考えている。安全、安心の確保を図るため、念のため調査する」と話した。

 不発弾は九月三日、陸上自衛隊が那覇市内の墓地から七発を回収。このうち二発の弾頭に化学弾の特徴を示す二本の溝が見つかった。防衛省などが詳しく調べているが、特定はできていないという。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-005-2_003.html

 

2008年10月15日【夕刊】 社会

都市型施設抗議闘い続け3周年/県統一連 連携呼び掛け

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセンレンジ4に建設された都市型戦闘訓練施設に対する県統一連の早朝抗議行動が十五日、三周年を迎えた。二〇〇五年十月から同演習場第一ゲート前で週一回行っている。

 約六十人が参加した集会では、日本語と英語で書かれた抗議のプラカードを手に「施設を撤去せよ」などとシュプレヒコールを繰り返した。新垣繁信代表幹事は「日米同盟が強化され、基地機能が強化され続けている。今後も連携して、闘い続けていこう」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-15-E_1-004-2_001.html

 

2008年10月16日 沖縄タイムス 社説

[ジュゴン保護勧告]

最後通告だと考えたい


 「守るべきものたちに 明日も訪れる何かが 正しい やさしいであれ」

 歌手Coccoさんの歌「ジュゴンの見える丘」にある一節だ。古くからウチナーンチュの営みに密接にかかわりながらも、今ではなかなか目にすることのない貴重なこの哺乳類の行く末を案じ、保護することの大切さが歌詞に込められている。

 スペインのバルセロナで開かれていた国際自然保護連合(IUCN)の総会で、ジュゴン保護を求める勧告書案が賛成多数で採択された。

 世界約八十カ国が加盟し、約一万人の科学者や専門家で構成される組織の今回の意思決定は持つ意味が大きい。

 ジュゴン保護を求めたのは今回だけではない。二〇〇〇年、〇四年に続いて三回目である。同一生物での三度の勧告は異例という。いわば国際社会からの最後通告と言っていいだろう。

 前回採択の際、IUCNは提案理由を「その後の対策が十分に進んでいない」としていた。今回の勧告は現在でも日本政府の対応は鈍いという批判と受け止めたい。

 生息地である名護市辺野古崎の沖には、米軍普天間飛行場代替施設の建設計画が進んでいる。一四年の完成を目標にしているが、ジュゴンの環境に負荷を与えないための対策は不十分と言わざるを得ない。

 環境影響評価法(アセス)に基づく手続きで、事業主体の防衛省の調査は修正を余儀なくされている。勧告で日米両政府の共同による調査を求めていることは画期的だ。

 日米で合意した建設案によれば、海域の埋め立てによって約二十二ヘクタールの藻場が消失されるという。藻場はジュゴンの重要な餌場だ。計画が実行されれば生息域が狭められるのは間違いない。

 IUCNに加盟している日本政府は、今回の採択を棄権した。「(ジュゴンは)適正な保護を行っている」ことを理由に挙げたが、世界中の専門家の分析にどう反論するのだろうか。

 勧告は、ジュゴンへの影響を最小限にするための行動計画を作成することを併せて求めている。より実効性の高い手続きが不可欠であり、すべての選択肢を踏まえ、研究者らと協議し、アセスを行うことを要求しているのである。

 小手先の手法ではごまかせない。法的拘束力がないことは逃げ道にはならない。

 勧告が指摘する「すべての選択肢」とは、仮にジュゴンが生息する環境への一定の負荷が避けられないなら、基地建設計画そのものの見直しも視野に入れるべきだということだ。

 建設予定地にはアオサンゴの群落も見つかり、IUCNのレッドリストに初掲載された。同海域は世界に誇れる自然を維持しているのである。

 自然保護と経済活動が相反するとの考え方は今や時代錯誤だ。ジュゴン保護は海域だけではなく、陸域をも含む生態系全体を保全し、地域の大切な資源を残すことにつながる。それが今を生きる世代の努めである。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-16-M_1-005-1_001.html

 

2008年10月16日【夕刊】 社会

ジュゴン保護 勧告で報告会/瀬嵩海岸

 【名護】スペインで開催された国際自然保護連合(IUCN)総会で、米軍普天間飛行場移設予定地の名護市東海岸に生息する国の天然記念物ジュゴンの保護を求める勧告が採択されたことを受け十五日、名護市大浦湾に面した瀬嵩海岸で報告会とコンサートが開かれた。

 帰国したジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長は「参加者の関心の高さに驚いた。ジュゴン保護が沖縄の片隅の問題ではなく、世界中が共有する問題であることが、バルセロナで証明された。基地ではなくジュゴン保護区をつくろう」と呼び掛けた。

 まよなかしんやさんや、県内で基地問題のドキュメンタリー映画を制作しているアメリカ人のイアン・エベレッドさんらが、平和への願いを込めて歌うと、参加者から大きな拍手が送られた。

http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-10-16-E_1-004-2_001.html

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