知事、県民大会参加へ態度保留  「集団自決」修正、検定意見違法と提訴 など  沖縄タイムス関連記事(3月8日、9日、10日)

2008年3月8日(土) 朝刊 1・27面

来月にも再発防止策/米軍タスクフォース

 米兵暴行事件を受け、在日米軍の「性暴力の防止と対応に関するタスクフォース」が、四月中をめどに再発防止策を策定する方針を固めたことが七日、分かった。外務省沖縄事務所で開かれた米軍関連の事件・事故防止について話し合うワーキングチーム第十六回会合で、米軍側が報告した。非公開会合の後、議長を務めた倉光秀彰副所長が記者説明で明らかにした。

 逮捕権の優先問題については、出席した日米地位協定室の伊澤修室長が「日米合同委員会で調整することがあり得る」と述べ、日米地位協定の運用改善で対応できるとの認識を示したという。

 倉光副所長によると、米軍は主に、先月設置されたタスクフォースの概要について説明した上で現行の教育プログラムなどを紹介した。タスクフォースは、横田基地司令部のスタックポール参謀長をトップに約十五人の軍人らで構成。国内の各米軍基地を巡回し、性犯罪防止に絞った措置を策定するという。

 倉光副所長は「ワーキングチームで出た地元の意見を四軍調整官事務所がタスクフォースに伝える。米軍は四―六週間のプロセスを踏むというので(再発防止策の公表は)少なくても一カ月以上先になる」と述べた。タスクフォースは来週、沖縄に入る予定。米軍から詳細な活動日程や方法の説明はなかったという。

 日米共同パトロール、防犯カメラ設置、基地外居住などでも議論したというが、倉光副所長は「自由闊達な意見交換のため、詳細は公開しないことを全会一致で了承した」とし、詳しい内容は明らかにしなかった。


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内容非公開 批判の声


 米兵暴行事件後、初のワーキングチーム会合。米軍犯罪防止を日米が現地レベルで協議する場だけに、外務省沖縄事務所には七日、報道陣が多数詰め掛けた。会合は非公開で行われ、その後の記者説明でも外務省は「詳細を公表しないと(出席者が)合意した」とし、地元側の意見さえ明らかにしなかった。「要望がどう反映されるか分からない」「県民に説明するのは当然だ」。会合出席者からは同沖縄事務所の対応に疑問の声も上がった。

 記者説明は、議長で同事務所の倉光秀彰副所長が行った。倉光副所長は、米軍の教育強化や防犯カメラ設置など議題となった項目を列挙。詳細なやりとりは「自由に意見交換するため公表しないことを全会一致で決めた」と繰り返した。

 その上で、近く来沖する米軍の性犯罪防止タスクフォース(調査特別委員会)に伝えるための率直な意見交換ができた、と意義を強調した。ただ調査委の構成や具体的活動については詳細が分からないと述べ「米側に聞いたほうがいいのでは」とも。地元の意見集約も米軍の責任で行うとした。

 報道陣からは「公表しない理由が分からない」「米軍がどう意見集約し、伝達するか検証できない」との批判も出た。

 出席した自治体幹部は「会合の最後で、発表の仕方や文言をめぐり意見が割れたので、議長側に一任した。意見を公表しないと合意した覚えはない。県民に説明するのは当然だ」と不快感をあらわに。別の出席者も「米軍側から、犯罪はアルコール絡みが多く、提供しているのは沖縄側、との発言もあった。意見が正しく伝わるか分からない」と不信感を示した。

 ある自治体は基地外居住の米軍人の数だけでなく、詳しい情報提供を求めたが、回答はなかったという。「事前に進行方法の説明もなく成果は疑問。意見がどれだけ理解されたか分からず壁を感じた」と印象を話した。

 一方で「国と米軍、県、市町村が一堂に集まって事件を防ぐため互いに意見を出し合うのは意義がある」と評価の声もあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_01.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2・27面

知事、参加へ態度保留/県民大会 自民不参加

 県議会最大会派の自民が、米兵による事件続発に抗議する県民大会への不参加を決めたことを受け、仲井真弘多知事は七日、「もう少し考えたい」と述べ、大会参加についての態度を保留した。しかし、超党派の大会にならないことがほぼ確実になり、県首脳は「知事の参加は難しくなった」との見通しを示した。

 仲井真知事は「米兵による事件・事故は相次いでおり、再発防止を含め、アメリカに言う必要がある。大会の効果はそれなりにある」と大会開催の意義については評価している。

 一方で、「ハムレットの心境だ。与党が参加しないとなると、ちょっと(厳しい)。まだ時間はある。もう少し考えたい」と話した。

 県首脳の一人は「政治的価値観を超え、事件への抗議や再発防止、地位協定見直しなどをテーマに、与野党が一致することを期待していた」と説明。

 知事の出席については「自民が参加しない以上、県民全体の代表としての参加は難しい」との考えを示した。


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被害者への配慮強調/背景に政治的思惑も


 米兵による事件続発に抗議する県民大会について、県議会最大会派の自民は七日、「告訴を取り下げた被害者や家族の心情への配慮」などを理由に、参加見送りを決めた。自民の不参加により、「広く各界各層の声を聞く必要がある」としていた仲井真弘多知事の出席も見送られる公算が大きい。八日の実行委員会立ち上げを前に、超党派の県民大会が実現する可能性はほぼなくなった。

 議員総会後、新垣哲司幹事長は「『そっとしてほしい』という被害者や家族の心情を尊重し、県民大会で大々的に取り上げることは避けるべきだ」として、不参加は全会一致で決めたことだと説明した。

 二月二十八日の議員総会でも、日米安保体制や米軍再編に対する与野党の基本姿勢の違い、野党主導への反発、被害者への配慮―など否定的意見が大勢を占めていた。

 「県民大会は政府与党への批判を強める結果になり、野党が利するだけ」という声もあり、県議選を前に野党に政治利用されるのは避けたいという政治的思惑があった。被害者の告訴取り下げや米軍基地関係特別委員会の審議を受け、七日の議員総会ではあらためて「参加見送り」を確認した形だ。

 「抗議決議を全会一致で可決し、県議会として要請行動をした。党として事件・事故には厳重に抗議し、再発防止の徹底を求めていく」との考えを強調した新垣幹事長は今後、県民大会実行委の要請があったとしても「協議は尽くされた。決定は変わらない」とする。

 しかし、「被害者の感情に対する考慮も理解できるが、暴行事件後も米兵による事件・事故は相次いでいる。組織的参加の見送りは複雑な心境だ」と漏らす県議がいることも確かだ。

 与党最大会派である自民には、県民大会に代わる実効性のある対応策を示す政治的責任が問われてくる。(政経部・与那原良彦)


実行委「住民が県民党」


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決めた。実行委員会を構成する各団体は冷静に受け止めつつ、「引き下がらず、事件に怒りをぶつける」と、大会に向け気を引き締めた。八日には実行委を発足させ、引き続き幅広い結集を呼び掛ける。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「自民が不参加なら不参加で仕方ない。賛同する住民が県民党、無党派でやるだけ。引き下がったりしない」と淡々と受け止めた。

 「訴える内容は、県議会決議の範囲内。二度と人権を踏みにじらせない、と抗議するのは、一部の政党の利益にはならない。被害者の気持ちに配慮するのもみんな同じだ」。県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は、疑問を列挙した。県高校PTA連合会の西銘生弘会長は、「自分たちのシマは自分たちで守らなければ。自民党の議員にも、一県民として参加してほしい」と期待した。

 基地関係の仕事で生計を立てる家庭への配慮から、組織参加を見送った県PTA連合会。諸見里宏美会長は、「与党も野党も、もっと歩み寄ってほしかった。政治家の責任として、自分たちの立場ではなく被害者を救う方策を見いだして」と求めた。


「党超え怒りを」野党が強く批判


 米兵による事件続発に抗議する県民大会に、県議会最大会派の自民が七日、不参加を決定した。野党サイドは「被害者の感情を口実にしている」と批判の声を強め、「超党派で事件の怒りを表し、綱紀粛正と再発防止策の徹底を日米両政府に突きつけるべきだ」と訴える。一方、与党の公明県民会議は「慎重に検討している」と現時点では態度を保留した。

 米軍基地関係特別委員会委員の新川秀清氏(護憲ネット)は「大変残念だ」とし、「被害者の感情を尊重することは大前提で、事件への抗議とは別問題。再発防止のために県民ぐるみで立ち上がるべきだ」と強調した。

 喜納昌春氏(社大・結連合)は「被害者の苦渋の思いを代弁し、事件の卑劣さを訴えるべきだ」と主張。「仲井真弘多知事の姿勢にも影響が及ぶ」と懸念を表明した。

 二十三日にある大会前の軍特委開催も見送られる公算だが、嘉陽宗義氏(共産)は「被害者の感情を不参加の口実にしている。軍特委に付託された陳情をうやむやにさせない。野党で一致して開催を求める」と述べた。

 當間盛夫氏(維新の会)は「党としても参加を決め、県民の心を一つにして事件の再発に向け取り組むとしている」と参加を呼び掛けた。

 一方、与党・公明県民会議の糸洲朝則代表は「各市町村議員や幹事らに地域の声を聞くように指示した。慎重に対応を決めたい」と述べるにとどまった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_04.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 27面

「集団自決」修正 検定意見違法と提訴/愛媛県の市民団体

 沖縄戦の「集団自決」をめぐる教科書検定で、日本軍の関与を示す記述を削除、修正させた検定意見は文部科学省の自作自演で違法だとして、愛媛県の市民団体「えひめ教科書裁判を支える会」のメンバーら三十三都道府県などの百五十一人が七日、国などに検定の無効確認や取り消しなどを求め、松山地裁に提訴した。

 原告団によると、集団自決の検定意見をめぐる訴訟は全国で初めて。

 訴状によると、二○○八年から使用される高校歴史教科書の検定は、文科省が示した調査意見書を密室の検定審議会で追認させ、それを検定審の答申に基づく検定意見だという虚偽の説明をして出版社に修正・訂正を求めたもので、文科省による自作自演の違法な処分だとしている。

 原告の一人、愛媛県西条市の奥村悦夫さん(55)は提訴後の記者会見で「(審議会に)関与していないという従来の文科省の説明がうそだと公判で明らかにしたい」と述べた。

 文科省は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_05.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

泡瀬埋め立て/「海草生育場」を検討

 中城湾港泡瀬地区の埋め立てに伴う環境保護策を検討する環境保全・創造検討委員会(委員長・小浜哲名桜大大学院教授)が七日、那覇市内で開かれた。沖縄総合事務局などは二〇〇八年度の行動計画として、移植によるクビレミドロなど「海草生育場の創造」実施に向けて検討に入ることなどを提案し、了承された。

 ただ、委員からは「海草だけを保護の対象とするのは間違っている」など、表現に強い異論が出された。また、四カ所示された生育場の候補地について、クビレミドロ以外の海草がなくなる恐れなど海洋環境全体を保護する視点の必要性が指摘され、具体的な対応については同委の各専門部会で引き続き検討することになった。

 行動計画ではこのほか、比屋根湿地前のトカゲハゼ生息地で、生息しやすくするために底部を掘り返して軟らかくする対策を〇八年度以降実施することや、総合事務局が行っていた泡瀬周辺での地元意見吸い上げなどを沖縄市に任せることも了承された。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_06.html

 

2008年3月8日(土) 朝刊 2面

軍港受け入れで事業実施に意欲/浦添市長

 【浦添】儀間光男浦添市長は、七日の市議会三月定例会で、那覇軍港受け入れに伴う交付金の減額により凍結している四事業について、「軍港受け入れで三十三件・七十五億円余の事業を行い、多大な成果を上げている。ここで本市の振興策を中断するわけにはいかない」と、予算確保に強い意欲を示した。石川武夫氏(無所属)の質問に答えた。

 凍結されているのは(1)宮城児童センター建設(2)仲西中校区保健福祉センター建設(3)仲間地区街なみ環境整備事業(市道整備)(4)市てだこ小ホール備品購入。

 儀間市長は、政府から四事業の実施手法で積極的提案を受けたことを明らかにし、「現在、市と国の事務方で検討している。なるべく早い時期に四事業が再び予算計上できるよう最大限努力したい」と述べた。

 在日米軍再編に伴う米軍再編交付金で、浦添市には約三千七百万円の交付が決定している。だが、同市は軍港受け入れに伴い、SACO交付金約三億六千万円と同額の振興策を国に求めている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803081300_07.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

米兵事件 県民大会実行委、発足

あす県議会に協力要請

 米兵による事件続発に抗議する県民大会の実行委員会結成総会が八日、那覇市の八汐荘で開かれ、市民団体や労組、教育関係など約六十団体の代表ら百人が出席、正式発足した。大会名称を「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」とし、二十三日午後二時から北谷公園野球場前広場で開催することを決定。すでに参加を呼び掛けている二百八十団体に加え、今後さらに各種団体、県議会の全議員などへ賛同を求め、超党派で取り組む方針を確認した。

 大会スローガンは(1)人権(を守る)(2)実効性ある米軍の綱紀粛正と教育の徹底(3)日米地位協定の抜本改正(4)目に見える基地の整理・縮小―とした。文言は事務局で調整する。

 実行委員長は、引き続き仲里利信県議会議長へ就任を要請し、大会規模は第一段階として一万人以上、最終的に数万人規模を目指す。

 また実行委として、「米兵による事件・事故に抗議し、基地の整理・縮小を求めることは党派を超えた、県民の一致点」とする陳情を承認。

 代表が十日に県議会議長と議会各会派を訪ね、全議員の大会参加と県民への呼び掛けに協力するよう要請する。

 呼び掛け団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「沖縄は生まれ育った場所。大事にしたい。誇りにしたい。米兵による犯罪への怒りを、『県民党』として一緒に日米にぶつけよう」とあいさつ。「抗議の声を上げないと、人権に対する安定した土壌を失う。互いの力を合わせて前進したい」と決意を述べた。

 県婦人連合会の小渡ハル子会長は「戦後六十年余、米軍による事件・事故で県民の生活は脅かされてきた。もう我慢できない」と訴え、ガンバロー三唱で大会の成功を誓った。

 質疑応答では、会場から「県議会も全市町村議会も抗議決議をした。議員は決議に責任を持つべきだ」「圧倒的な数で、米軍の事件を絶対に許さない姿勢を示すべきだ」などの意見があった。

 実行委発足とともに、県子ども会育成連絡協議会、県婦人連合会、県老人クラブ連合会、県高等学校PTA連合会、青春を語る会、県青年団協議会の呼び掛け六団体は実行委幹事団体に移行した。


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超党派へ思い一つ

 県民大会に向けた実行委員会が八日、船出した。大会規模の設定だけでも異論が出る状況だが大会名、日時、会場が決まり具体的な動きが始まる。短い準備期間、不参加の表明もある逆風下で「超党派・県民党で、何としても大会を成功させたい」強い思いが参加者をつないでいる。

 「スローガンに基地撤去も含めよう」「一万人規模と言わず三万人、五万人ともっと大きくできないか」「呼び掛け団体の代表から実行委員長になってほしい」。会場からは、準備された実施要綱案にさまざまな意見が出た。発言者が変わっても同じ質問が上がる。

 そのたびに、呼び掛け六団体を代表し県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長が説明に立った。「県議会の決議の範囲で、全県民が参加できる形にしたい」「できるだけ多くの人の参加を促し最大規模の大会にする」「一万人はまだ一歩。各団体が互いの力を出し合いながら大会を前へ進めましょう」「県議会への要請はこれからも行っていく」。時にゆっくりと言い聞かせるように、時に語気を強めながら説明する。「そうだ」フロアにも、最大公約数を求める空気が広がっていった。

 最後に、参加者から決意表明があり、「声を出せない被害者の代わりに、私たちが声を出さねばならない」と声を上ずらせた人や「戦後六十数年たってもこんな終戦直後のような状況を変えよう。多数の参加で成功させよう」と力を込める人など次々とマイクを握った。

 大会実現に奔走する県婦人連合会の小渡ハル子会長は、大きくうなずきながら参加者の意見を聞いていた。総会後、目を潤ませ「これだけの団体、人が集まってくれて、心から感謝している」。事件直後から抗議や要請を繰り返す一方、被害者を傷つける報道や言動、政治の動きに眠れない日が続いたという。「これで大きく前進した。後はもう、頑張るだけ」と話し、超党派での県民結集へ向け表情を引き締めた。

 玉寄会長は「この熱気を持って県議会各派に要請してくる。私たち呼び掛け六団体は、どの党にも属さない超党派そのもの。各議員も意見書を決議したのだから、絵に描いたもちに終わらないよう実効性を持たせてほしい」と決意を新たにした。


米兵事件続発に県女団連が抗議

集会で決議


 「3・8国際女性デー」の八日、県婦人連合会など三十二団体が加盟する県女性団体連絡協議会(安里千恵子会長)は、那覇市の県男女共同参画センター「てぃるる」で集会を開き、米兵による暴行事件に関する抗議要請や特別決議、後期高齢者医療制度の中止・撤回を求める要請など、計十二の要請文案と決議案を採択した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_01.html

 

2008年3月9日(日) 朝刊 1・27面

小銃射撃場 建設を開始/ハンセン・レンジ3

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の新しい小銃(ライフル)用射撃場の建設が計画されている問題で、米軍が六日午後、防衛省に対し、工事に着手したと通知していたことが八日、分かった。金武町の儀武剛町長は「負担増につながる」と批判。「レンジ3」に近い同町伊芸区や、同町議会も計画の即時中止を求める抗議・要請決議を全会一致で可決しており、地元は反発の姿勢を強めている。

 沖縄自動車道からの距離は約五百メートルで最も近い集落の伊芸区から約一キロの場所に建設される。射撃場から東に数キロ離れたレンジ16にはレンジ4の都市型戦闘訓練施設を移設する予定で、ハンセン内に相次いでグリーンベレー専用施設が整備されることになる。

 新射撃場は兵士に射撃の資格を与えるための訓練施設。高さ約十四メートルの三階建てで、二、三階にそれぞれ十の射撃スポットを設置。ターゲットは百―千二百メートルの範囲内で対応可能で、遠距離対象に用いられる。計画が浮上した昨年夏当初は、二月に着工し、二〇〇九年七月ごろ完成する見通しとしていた。建設費は米軍予算で七百二十万ドルと見込まれている。

 在日米軍司令部は建設業者を選定し、昨年十月二日、防衛省など日本側に通知。同省は米側に「自然環境や住民の生活環境に影響が及ばないように注意し、安全に工事が行われるよう」要望しているという。(吉田伸)


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「負担増すばかり」

 【金武】「住民への負担はますます、増えるばかりだ」。金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近に計画されている、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の工事が始まったことを受け、レンジ3に近接する同町伊芸区の住民や町議らからは八日、怒りの声が上がった。町や議会、区は週明けにも対応を協議する考えで、相次ぐ負担の増加に地元の反発が広がっている。

 伊芸区に近接するレンジ4の都市型戦闘訓練施設では、現在も訓練が続いている。同区の池原政文区長は「レンジ4による被害や廃弾処理の爆音被害や山火事もある中、これ以上負担が増えることは許されない。週明けにも、行政委員を集めて対応を協議したい」と、憤った。

 同区のある男性(69)は「住宅の窓が揺れるほどの爆発音や訓練による山火事など、住民は今でも基地被害に苦しめられている。政府や米軍は米軍再編で負担を軽減するというが、陸上自衛隊の共同使用など、町民や区民にとっては負担が増えているようにしか感じられない」と、怒りをにじませた。

 金武町議会の松田義政議長は「再編による同訓練場の海兵隊員の削減もはっきりせず、レンジ4施設の移転も遅れる中、再編外で負担が増すのはおかしい。政府や米軍は、地元に配慮するべきだ」と、地元の反対を無視して作業が進められたことに不快感を示した。松田議長は、来週開会する三月定例会で、全員協議会を開き今後の対応を協議する考えを示した。

 同町の伊藝達博副町長は、詳細は聞いていないとした上で、「町と議会、区の三者で話し合い、今後の対応を協議したい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803091300_02.html

 

2008年3月10日(月) 夕刊 1面

県議会参加を陳情/米兵事件県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体は十日午後、県議会議長や議会各派に大会参加を呼び掛ける陳情に県議会を訪れた。幹事団体六団体のうち、県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長と県婦人連合会の小渡ハル子会長、県老人クラブ連合会の代表が、八日の実行委員会結成総会で承認された、県議会全会派に参加を呼び掛ける文書を手渡した。また、不在だった仲里利信県議会議長にあてて、大会実行委員長就任を要請する文書を議会事務局に託した。

 要請文は「基地あるが故に起こる米兵の事件・事故により、県民は生活と人権が脅かされ続けている」「全県民が抗議の意志を示し、日米両政府に日米地位協定の抜本改正と基地の整理・縮小を求める」と訴え「県議会全会派の議員が参加し、さらに全県民に対し県民大会への参加を呼び掛けること」を求めている。

 自民の会派会議室で対応に当たった外間盛善県議は「この前の自民議員総会では自由参加となったようだが、多くの方が参加していただければと思う」と話した。

 小渡会長は「各会派とも感触は良い」と手応えを感じた様子で、玉寄会長は「党派色を出すのではなく、県民として沖縄を大事にしてほしい。粘り強く参加を呼び掛けていく」と訴えた。県民大会は、二十三日午後二時から北谷町北谷公園野球場前広場で開かれる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803101700_01.html

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