ハンセン共同使用、17日から陸自訓練  地位協定見直しで食い違い など  沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(3月11日、12日)

2008年3月11日(火) 朝刊 1面

金武町、米側に抗議へ/射撃場建設着工

 【金武】金武町の米軍キャンプ・ハンセン「レンジ3」付近で、最大千二百メートルの射程に対応する米陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の小銃(ライフル)用射撃場の建設工事が始まったことを受け、儀武剛町長、松田義政議長、レンジ3に近接する池原政文伊芸区長の三者は十日、同町役場で協議を開き、「負担増につながる」との見解で一致。射撃場建設に反対し、米側に抗議することを決めた。抗議の具体的な方法や日程などは、今後調整する。

 三者の協議に先立ち、沖縄防衛局の赤瀬正洋企画部長らが同町役場を訪れ、儀武町長に工事開始の連絡を米軍から受けたことを報告した。儀武町長は「誠に遺憾で、負担増につながり反対だと伝えた。反対の意思は変わらない。米側に強く抗議していく」と、射撃場建設に強く反対していく姿勢を見せた。

 伊芸区の池原区長は、レンジ4の都市型戦闘訓練施設による訓練や、同レンジ付近で最近爆発音を発生させる訓練や山火事が多発していることを挙げ、「これまでにない廃弾処理などの訓練がレンジ4付近で行われている可能性があり、訓練が過密化して米軍のやりたい放題になっている。レンジ4施設の移転も遅れ、問題がピークに達している」と、怒りをあらわにした。その上で「都市型訓練施設の時と同じやり方で、地元の意向を無視している。これ以上、負担を強いることは許されない」として、十一日にも同区行政委員会を開き、区や同委員会としての対応を協議する考えを示した。

 松田議長は「地元はずっと反対の意思を示している。米国や米軍に、怒りの意思を向けていく」と話し、今週開会する町議会三月定例会で全員協議会を開き、町議会としての対応を協議する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111300_02.html

 

琉球新報 社説

新射撃場着工 地元の負担増は明らかだ

 地元の負担増に対し配慮のかけらもない。建設工事の強行は人々の不安をあおり、混乱を招くだけである。建設工事をただちに中止するよう強く求める。

 金武町の米軍キャンプ・ハンセン内の海兵隊レンジ(射撃場)3付近にライフル専用射撃場を新設する工事を始める、と在日米軍が通知してきた。

 約600メートルの距離の所にはレンジ4の陸軍都市型戦闘訓練施設がある。地元はただでさえレンジ4での廃弾処理に伴う爆音被害に苦しめられ、山火事なども絶えない。射撃場の新設によって過度の負担を押し付けられることになるのは明らかだ。

 新設計画には地元金武町議会や伊芸区が猛反対し、昨年夏に抗議決議を可決している。そのことを知りながら、なぜ無視する形で着工するのか。その無神経ぶりが全く理解できない。

 しかも、建設地点は本島北部と中南部を結ぶ県民生活、産業活動の大動脈である沖縄自動車道からわずか500メートルだ。伊芸集落からは約1キロ。ライフル射撃の射程にすっぽり入る。これで脅威を感じない方がおかしい。「地元への配慮はないのか」(松田義政・同町議会議長)と憤るのは当然だ。

 防衛省の姿勢にも腑(ふ)に落ちない点がある。

 キャンプ・ハンセンでの訓練などをめぐる地元感情などの実情を熟知しているはずなのに、連絡は徹底されない。町と伊芸区に工事開始を伝えたのは、在日米軍から連絡が入った翌日だった。

 地元にとって安全にかかわる重大事だ。間を置かずに連絡を入れるのが筋ではないか。

 米軍に住民の安全、環境への影響を最小限にするよう求めたと防衛省は説明するが、これもおかしくはないか。安全面や環境の問題などを持ち出すのであれば、普通ならまず中止を求めるべきではないのか。

 米軍との連絡や交渉に際し、工事の着手を前提にするようなやり方では、到底県民を納得させることはできない。工事を取りやめるよう忠言するべきだ。

(3/11 9:56)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32071-storytopic-11.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

防衛相「安保議論も」地位協定見直しで

渉外知事会の要請に

 【東京】米兵による事件続発を受け、米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事や副会長の仲井真弘多知事らが十一日午前、高村正彦外相と石破茂防衛相と会談し、米軍基地に絡む事件・事故の解決に向け、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。松沢知事らによると、石破防衛相は「日米安全保障条約も含めて、もっと根源的なところから議論し直す必要があるのではないか」と述べ、見直しも含めて積極的に議論する必要性を指摘したという。

 地位協定の見直しについて、政府はこれまで一貫して否定的な立場を取っていた。防衛省幹部は石破氏の発言を「これまでの持論」としているが、見直し容認とも取れる閣僚の発言は波紋を広げそうだ。

 松沢知事によると、石破氏は「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、安保、地位協定の問題を、もう一度このままでいいのか議論したい」とも述べたという。

 要請では、容疑者の身柄引き渡しなどの刑事裁判権の見直しや、米軍の規律の保持などの地位協定改定に政府が着手するよう求めた。

 高村外相は、環境問題について「勉強不足なので、米軍が(外国と)結んでいる他の協定との比較や、日本国内で起きている事例でどういう不備があるかもう一度、調査研究する」と述べたという。しかし、容疑者の身柄移転など刑事裁判権については「米韓など外国との協定と比べると最も進んでいる。この件を理由に改定は極めて難しい」との以前からの考えを繰り返したという。

 要請後、仲井真知事は「沖縄でも県民大会を開く動きがあり、協定改定を求める強い意見がある。日本側へ基準を移さないと、時代と合わなくなっている」と見直しの必要性を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_01.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

ハンセン 17日から陸自訓練

初の在沖米基地使用

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用が十七、十八の二日間の日程で始まることが十一日、分かった。第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施する。陸自は訓練の詳細を十一日午後、正式に発表する。

 在沖米軍専用基地内の日米共同使用は初めて。ハンセンの共同使用では、小火器などを使用した射撃訓練や不発弾処理訓練も想定されているが、今回は比較的経度な戦闘訓練にとどまる見通し。

 共同使用をめぐっては、ハンセン周辺の三町村が昨年十一月に受け入れを表明。これを受けて防衛省は、再編交付金について上限額の10%分(二千万円)を〇七年度分として内定した。来年度に上限額を支給するため、月内の訓練開始を目指していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_02.html

 

2008年3月11日(火) 夕刊 1面

「14年完成」を堅持/普天間代替

防衛相 遅れ補う方策検討

 【東京】石破茂防衛相は十一日午前の閣議後会見で、二〇〇九年七月末を目指していた米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)の完了が、最大で約八カ月遅れる可能性があることについて、「一四年完成は何としても達成しなければならない」と述べ、スケジュールの遅れを補う方策を検討する考えを明らかにした。

 石破氏は、当初予定していた二月中の冬季調査が実施できなかったことに関し、「できるだけ早くアセス調査に着手したい。そういう作業を急ぎ、普天間の移設・返還が早期に行われるように努力する」と強調した。

 その上で「今回、冬季調査が実施できなかったという影響をどれだけ軽微なものにするか。あるいは工事実施に当たってどれくらいの工夫ができるかなど、いろいろ考えていかなければならない」と述べ、スケジュールの短縮を具体的に検討する必要性を指摘した。

 一方、現在実施している事前調査の結果をアセス調査に組み込むことについては、「法の趣旨を順守しているかどうか、かなり厳密な判断が必要だと思う。可能性としてあるかないかを含め、今は答えられる状況にない」と明言を避けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803111700_03.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 1面

陸自、迫撃砲使用も想定/ハンセン共同使用17日から

 【東京】在日米軍再編に伴う、陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の米軍キャンプ・ハンセンの共同使用で、陸自が将来的に迫撃砲の実弾射撃を想定し、米軍と調整していることが十一日、分かった。金武町によると、陸自は小火器(小銃、機関銃、拳銃)の使用については説明しているが、迫撃砲については知らされていないという。

 陸自は沖縄タイムス社の取材に対し、「現在米軍と調整中で、地元の理解を得た後、訓練が可能であれば実施したい」としている。

 迫撃砲は第一混成団の第一混成群部隊が装備しており、現在は九州での訓練で使用している。筒状の発射台からりゅう弾を発射させる火器で、キャンプ・ハンセンでは一九九七年、迫撃砲を使用した米軍の訓練で約百万平方メートルを消失する山火事が発生したこともある。

 使用場所は不明だが、騒音なども懸念され、地元の反発も予想される。金武町幹部は十一日夜、「小火器訓練については聞いているが、迫撃砲については初耳だ。情報を確認したい」と語った。

 陸自は十一日、キャンプ・ハンセンでの初の訓練を十七、十八の二日間、実施すると発表。初回は第一混成団第一混成群から百五十人が参加し、野営訓練やロープ降下訓練などを実施し、空砲を含め、射撃を実施する予定はないという。

 共同使用をめぐっては、キャンプ・ハンセン周辺三町村が昨年、受け入れを表明。これを受け、防衛省は、再編交付金について、上限額の10%分(二千万円)を二〇〇七年度分として内定した。

 来年度に上限額を支給するためには、月内の訓練開始が条件とされたため、陸自などが訓練計画の策定を急いでいた。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_02.html

 

2008年3月12日(水) 朝刊 2面

「協定見直し」で食い違い/渉外知事会要請・石破発言

 【東京】石破茂防衛相は十一日、米兵暴行事件を受けて日米地位協定の見直しを求めた渉外知事会の要請に対し、地位協定を改定するためには、日米安全保障条約見直しを含めた議論が必要だとの認識を示した。要請した渉外知事会長の松沢成文神奈川県知事、副会長の仲井真弘多知事が明らかにしたが、防衛省はその後、豊田硬報道官が会見で「(石破氏は)見直しの方向性については述べていない」と発言の事実を否定した。

 松沢知事らによると、石破氏は防衛省での会談で「日米安保条約自体が片務的な条約で、それとセットとなっている地位協定もほとんどの裁量権が米軍側にある。安全保障条約を含めて地位協定の問題を根源から議論しないといけない」と指摘したという。

 さらに「今後は(閣僚として)政府にいても、(政治家として)自民党にいても、もう一度このままでいいのか、議論したい」と述べたという。

 これらに対し豊田報道官は会談に同席したと説明した上で、安保条約に関する発言について「『片務的』ではなく、『非対照的』と説明した。義務は双方に発生しているが、その内容が同じではないという政府のオーソドックスな見解をそのまま述べたものだ」と指摘。

 また、「安保条約を含めた地位協定の見直しを議論しないといけないという指摘をした事実もない。政府として議論したいということも言っていない。ただ、『党内の議論が低調だ。いずれ党に戻ったときに十分な議論をしたい』と述べた」と説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121300_04.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年3月12日朝刊)

[地位協定見直し]

逆転国会で本格論議を


「半主権国家」のような


 米兵による暴行事件をきっかけに、日米地位協定の見直しを求める動きが再び広がっている。

 渉外知事会の松沢成文会長(神奈川県知事)、仲井真弘多副会長(沖縄県知事)は、高村正彦外相、石破茂防衛相に会い、日米地位協定の抜本的な見直しを要請した。

 県は地位協定の見直し問題に重点的に取り組むため新年度から調査スタッフを強化するという。知事訪米を念頭に問題点を洗い直していく考えだ。

 二十三日に開かれる県民大会も、地位協定の見直しが要求の柱の一つになっている。

 地位協定のどこが問題なのか。何をどう変えればいいのか。

 駐留を認められた外国軍隊には特別な取り決めがない限り受け入れ国の法令は適用されない、というのが政府の解釈である。

 その結果、米軍基地が集中する沖縄では、しばしば日本の主権と駐留米軍に与えられた権利がぶつかり、摩擦を引き起こしてきた。沖縄で地位協定が問題になるのは、ほとんどの場合、この二つが擦れ合った時である。

 二〇〇四年八月に起きた沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故は、その典型的な事例だ。大学構内に墜落したにもかかわらず、沖縄県警は、現場に立ち入ることさえできなかった。

 基地従業員の銃携帯問題や、基地外で日米共同パトロールを実施した場合の優先逮捕権などの問題もそうだ。基地外に住む米兵の住民登録もやはり、地位協定と国内法の摩擦問題としての性格を持っている。

 沖縄から見たとき、日本が「半主権国家」のように見えるのは、この種の問題の発生頻度があまりにも多い上に、駐留軍の権利の前で日本の主権がへこんでしまうというケースが少なくないからだ。

 この構図は本土からは見えにくい。

 一九九五年の米兵による暴行事件以降、日米両政府が地位協定の運用改善に努めてきたのは事実である。だが、そうであるにもかかわらず、地位協定をめぐる問題が次から次に起きるのはなぜなのか。そのことを根本から問い直さなければならない。


限界がある運用の改善


 九五年の暴行事件を受けて日米両政府は、米兵の身柄の引き渡しについて、殺人・強姦などの「凶悪な犯罪」の場合、米国が「好意的考慮を払う」ことに合意。「その他の特定の場合」についても、日本側の要請に「十分に考慮する」との運用改善が図られた。

 だが、連続放火事件やひき逃げ事件、婦女暴行未遂事件などで米軍は被疑者の身柄の引き渡しを拒否、運用改善の限界が明らかになった。

 考慮の対象となる犯罪の種類が限定されている上に、拘禁移転の判断が最終的に米軍にゆだねられている構図は今も変わらない。

 日米合同委員会の合意事項は、特別な理由がない限り、速やかに、すべて公開すべきであるが、これもまだ実現していない。

 地位協定の運用をめぐって日米合同委員会でどのような細部の取り決めがなされているのか、基地を抱える自治体ですら分からないのが現状だ。

 環境問題に至っては、地位協定にその条文すら盛り込まれていない。「国内法の基準と米国法の基準のうち、より厳しい基準を選択するという考え方に基づいて厳しい環境管理を行っている」というのが政府の見解だ。そうであるならばこの際、環境問題への関心の高まりを受けて明文規定を設けるべきである。


小さなかごに多くの卵


 かつて米国防総省高官が沖縄の基地の現状を「小さなかごにあまりにも多くの卵を詰め込みすぎている」と表現したことがある。

 地位協定がたえず問題として浮上するのは、第一に、米軍基地が集中し過ぎるあまり事件・事故や環境問題などの発生が絶えないからであり、第二に、地位協定の内容自体が現状にそぐわないからである。

 基地の整理・縮小と地位協定の抜本的な見直しは、問題解決のための車の両輪といえる。

 地位協定は一度も改定されたことがない。運用改善によって対応するという日米両政府のかたくなな姿勢を突き崩すのは、正直、容易なことではないが、現状を放置すれば、過大な負担を担ってきた自治体や住民の不信感を高めるだけだろう。

 逆転国会での本格的な論議を期待したい。今こそ、その好機である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080312.html#no_1

 

琉球新報 社説

地位協定要請 占領の残滓、不平等解消を

 米軍基地を抱える都道県でつくる渉外知事会が11日、外務省や防衛省に、被疑者の迅速な身柄引き渡しや環境問題の取り扱いを求めて「地位協定見直し」を要請した。

 対応した高村正彦外相は、環境問題では「他国の地位協定と比較し、不備があるか研究してみたい」と踏み込んでいる。

 だが、被疑者の身柄引き渡し問題では、北大西洋条約機構(NATO)や韓国などに比べ、「日米地位協定は最も進んでいる」との認識を示し、「この件を理由に改定するのは極めて難しい」と従来通りの見解に終始している。

 環境問題では、独米地位協定にあたるボン補足協定で、基地返還の際の原状回復義務と環境浄化責任を米軍に義務付けている。

 日本は、基地返還に当たって米軍は原状回復義務を負わないため、汚染除去は日本側の負担である。

 米韓地位協定では、米軍基地内汚染が起きた際には、自治体への迅速な通報を義務付け、自治体の基地内立ち入り、共同調査が実施できる。返還時に汚染が見つかれば、米軍が浄化義務を負う。

 日本、とりわけ沖縄では、通報の遅れが問題となり、さらに自治体の立ち入り調査は、米軍の管理権で阻まれている。

 イタリアでは、すべての米軍基地はイタリアの司令官の下に置かれ、米軍側は重要な行動をすべて事前に通告し、作戦行動や演習、軍事物資や兵員の輸送、いかなる事件・事故も発生をイタリア側に通告する定めになっている。

 米軍の行動が国民の生命・健康に危険が及ぶとみなせる場合は、イタリア司令官に米軍の行動を中止させる権限を与えているという。

 米韓地位協定では、米兵事件を受け1991年と2001年の2度改定が行われ、ボン補足協定も過去3度改定されている。

 要請の中で、渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは、米兵事件が相次ぐ背景に「地位協定で守られている」との米兵らの考え方があるのではないかと指摘し、「これを変えないと地域住民との摩擦、圧力、事件、事故は根絶できない」と強調している。

 なぜ日本政府は「改定」に消極的なのか。時代とともに、環境対策など新たな基地使用条件や規制の必要性も指摘されているが、政府は改定を拒み続けてきた。

 今回の渉外知事会の要請に石破茂防衛相は「(日米両政府が)パートナーシップを求めるなら根本から議論しないといけない」と答え、地位協定に限らず、日米安保の見直しも含めた論議の必要性にまで踏み込んだとの話もある。

 「占領の残滓(ざんし)」「不平等協定」といわれる協定を、基地被害の撲滅につながる国民本位の協定の改定につなげたい。

(3/12 9:54)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-32100-storytopic-11.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

F16緊急着陸/嘉手納即応訓練

 【嘉手納】米軍嘉手納基地の有事を想定した即応訓練は十二日午前、同基地所属のF15戦闘機や米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機が飛行訓練を実施した。このうち、F16一機が離陸後も前輪を収納するハッチが閉まらず、緊急着陸した。嘉手納町屋良では、午前七時五十七分に一〇一・七デシベル(電車通過時の線路脇の音に相当)の騒音を計測した。

 緊急着陸した機体は午前八時ごろに離陸。本来なら離陸直後に閉まるはずのハッチが開いたままの状態で飛行した。約四十分後に着陸し、機体の点検を受ける様子が確認された。同基地報道部は「トラブルがあったという報告は受けていない」としている。

 嘉手納町が屋良地区に設置している騒音測定器は、午後一時までに多くの人が不快に感じる七〇デシベル以上の騒音が七十四回あった。最高値は、F16が同基地北側滑走路を使用して離陸した時間に計測された。

 飛行したF15とF16は訓練用の模擬ミサイルを装着している機体もあった。また、同町屋良の「道の駅かでな」からはサイレン音や拡声器放送、白煙を伴う訓練も確認された。

 今回の即応訓練は十四日まで。航空機の運用態勢など航空団の総合的な即応能力について、太平洋空軍の監査を受ける。

 F16は即応訓練終了後も、同基地にとどまり、同基地所属のF15戦闘機と空対空の訓練などを行う予定。同基地報道部は「実弾は使用しない」としている。


     ◇     ◇     ◇     

「F16飛来 負担軽減に程遠い」/三連協、米軍へ抗議


 【嘉手納】米軍嘉手納基地で行われている有事を想定した即応訓練に参加するため、米軍クンサン基地(韓国)所属のF16戦闘機十二機が飛来したことに対し、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は、十二日午前、訓練の中止を求め、嘉手納基地司令官などに文書で抗議した。

 抗議文では、「米軍再編に掲げられた沖縄の基地負担の軽減とは程遠い」と非難。SACO合意に基づき本来は伊江島補助飛行場で行われるはずのパラシュート降下訓練が昨年、同基地で二回実施されたほか、未明離陸による騒音被害で、騒音防止協定も順守されていないと指摘。今回の即応訓練で「明らかに騒音が激化する。一方的な基地機能強化だ」と批判している。抗議文は外務省沖縄事務所、沖縄防衛局にも送付した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_01.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 1面

自民、役員会で再検討/県民大会

 米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会の幹事団体が十二日、県議会を訪れ、仲里利信議長に実行委員長就任を、各会派に大会への参加をあらためて要請した。自民党県連の新垣哲司幹事長は要請に対し、「あすの役員会で再検討したい」と述べた。仲里議長も、実行委員長就任に「議会の合意が得られれば」と積極的な姿勢を示した。

 自民党県連の新垣幹事長は党として十三日に役員会を開き、大会参加について議員総会で再協議する方向を示した。要請に訪れた県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長に答えた。

 新垣幹事長は「当初は暴行事件に抗議する大会だったので、被害者感情を考慮し参加を見送った。今は大会の趣旨が変わったと認識している」と理解を示した。その上で「要請がある以上、できるだけ早急に協議したい」と述べた。

 玉寄会長は要請で、大会の趣旨が日米地位協定の抜本改定や米軍基地から派生する人権の問題を訴えることであることに伝え、県議会の抗議決議の範囲内であることを強調した。自民党側が再協議の方針を示したことに「大変ありがたい言葉をもらった」と手応えを感じた様子だった。

 自民党県連との面会に先立ち、玉寄会長、県婦人連合会の小渡ハル子会長など三人が県議会に仲里議長を訪ね、実行委員長への就任を要請。仲里議長は要請後、記者団に「自民党としては不参加を決めているので、決定に従う。ただ、今後の議論の推移を見守り(各会派の)皆さんが合意すれば(実行委員長を)やるつもりだ」と述べた。

 自民党内部には「被害者感情への配慮」や「野党の政治的利用への警戒心」から県民大会開催に消極的な意見が強く、七日の議員総会では組織的な参加をしないことをいったん、決めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_02.html

 

2008年3月12日(水) 夕刊 5面

戦争の記憶 風化させぬ/島守の会がDVD制作

 「戦争の実態を、県民や後の世代に伝えたい」―。沖縄戦で亡くなった県職員らを祭る、糸満市の「島守の塔」建立までの経緯を、映像や記録文、約十人の戦争体験者の証言でつづるDVDビデオの制作が、当時の県職員やその遺族などで構成する「島守の会」(新垣進松会長)によって進められている。四月上旬の完成を目指し、作業は佳境を迎えている。(又吉嘉例)

 「島守の塔」は、戦前最後の島田叡県知事や荒井退造警察部長をはじめ、戦争で殉職した県職員四百六十八人の慰霊のため、戦後、同会が県民に寄付を募り、一九五一年に建立された。

 慰霊塔はその後も同会によって維持、管理されていたが、大城盛昌副会長は「当時の生き残りは皆九十歳前後だし、約二百人の会員中、実際に管理に携わっている人は二十人ほど」と、後継者不足を懸念。「会の活動を県民に広く知らせたい」と、昨年十一月、塔についての映像記録を残す方針が決まった。

 八日、浦添市内の映像制作会社で、DVD「島守の塔」の試写会があり、集まった会員ら八人が完成直前の作品を鑑賞した。見終わった参加者からは「ウチナーグチには訳を入れたほうがいい」「戦後の島守の会の活動に、もっと焦点を当ててほしい」などの意見が出た。

 編集を請け負う仲松昌次ディレクターは「生存者や遺族の高齢化で、ひめゆり部隊や鉄血勤皇隊など、どこも戦争体験の継承問題を抱えている」と説明。「映像だと若者の感性に訴えやすいのではないか」と話した。

 戦前、戦後と歴代四人の知事の側近だった同会の板良敷朝基さん(90)は「何十年もたち、塔の意義も影が薄くなっている。一般の県民や現在の県職員が塔に対する理解を深め、県自身の問題としてとらえてほしい」と、「戦争の記憶の風化」に警鐘を鳴らした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200803121700_03.html

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