琉球新報・沖縄タイムス 関連ニュース・社説(4月19日、20日)

環境省が問題点指摘 普天間移設事前調査
 【東京】沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団の東恩納琢磨団長らは18日午後、東京の衆院第一議員会館で赤嶺政賢衆院議員の同席の下、防衛施設庁と環境省の担当者に対し、米軍普天間飛行場移設に伴い防衛省が実施する環境現況調査(事前調査)の詳細をただした。 環境省自然環境局は現況調査に関し「何を目的に調査するのか見えない部分がある」とした上で「さんご礁の概況調査をするなら、特定のシーズンや特定の生殖体に限ってしまうと、全般的な調査としては足りないところがある」と問題点を指摘した。
 環境省が防衛省が行うさんご礁の現況調査について問題があるとの認識を示すのは初めて。
 昨年12月の普天間移設措置協議会で守屋武昌防衛事務次官が「サンゴのミドリイシの仲間は5月から6月ごろの満潮時に産卵するため、この時期に行う必要がある」と述べたことについて、沖縄リーフチェック研究会の安部真理子会長が「ミドリイシ以外のサンゴ種や産卵が見られない種はどうか」とただしたことに答えた。
 その一方、現況調査について「既存の資料として使用はできる」と述べた。
 防衛施設庁再編チームの担当者は現況調査の結果の利用法について「県と調整した上で決めたい」とし、環境影響評価法に基づいた調査との関連について明言を避けた。
 説明を受けた後、東恩納団長らは記者会見を行い「現況調査は環境アセス法を形骸(けいがい)化させるものだ」と批判。「具体的な調査方法が分からず、事前調査で自然や環境が破壊されないか危機感が強まった」と述べた。
(4/19 9:47) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23094-storytopic-3.html

KC135パンク緊急着陸 着陸予定F15普天間に

KC135空中給油機が着陸後、タイヤをパンクさせ、緊急車両が駆け付けた=19日午後3時すぎ、嘉手納基地
 【嘉手納】米空軍嘉手納基地で19日、米軍機4機が相次いで緊急着陸した。うち同基地所属のKC135空中給油機1機が午後3時10分ごろ、主脚タイヤの一部をパンクさせて緊急着陸した。約20分滑走路が閉鎖されたため、着陸予定のF15戦闘機2機は急きょ普天間基地へ着陸した。
 給油機が着陸する数10分前から滑走路周辺には消防車両など緊急車両数台が待機、給油機は何らかのトラブルを起こしたものと思われる。
 給油機の着陸と同時に、タイヤが割れる破裂音が周囲に響き、破片のようなものが滑走路上に飛び散った。白い煙のようなものも確認された。給油機の着陸と同時に待機していた消防車両など数台が近づき、パイロットが機体から降りるなど慌ただしい雰囲気が漂っていた。
 また目撃者によると、午前11時27分ごろにはMC130H特殊作戦機1機が2基のエンジンのうち1基を止めたまま緊急着陸した。午後4時53分ごろにはP3C対潜哨戒機1機もエンジン1基を止めたまま緊急着陸。午後5時26分ごろにはF22A戦闘機1機も緊急着陸した。
(4/20 10:17) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23124-storytopic-1.html

知事「削除修正は遺憾」 教科書検定
 仲井真弘多知事は20日午前の定例記者会見で、沖縄戦の「集団自決」への日本軍の関与を削除・修正した教科書検定について「これまで明記されたことが削除・修正されたのは遺憾に思う。沖縄戦をきちんと検証し、教科書に公正かつ正確に記述してほしい」との見解を明らかにした。一方で、記者団が日本軍の強制の有無について見解を求めたのに対し「断定して言うのは少し難しい」「公式見解で『こうだ』と言うのはどうか」と明言を避けた。
 知事は「沖縄の人の大部分が、今までの教科書の記述を『そうだ』と信じているが、検定には専門家も入っており、異論がないわけではない」「係争中でもあり『削除・修正は遺憾で、公正かつ正確に記述してほしい』との私の願いを言うにとどめたい」と述べた。
 一方で「(検定での)削除の理由が『分かった』と言うには、どうかな、というのはある」とも付け加えた。13日の定例会見でも知事は「削除や修正はちょっと疑義があり、いかがなものかという印象を受ける」と述べていた。
 米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局が県に申請した海域使用の具体的な内容については「公表するか協議中だ。(施設局側から)ここ(一部)は公表してほしくないという部分はあるらしい」と述べ、施設局側から公表を控えるよう働き掛けがあったことを明らかにした。県は既に、関係書類すべての不開示を決定している。
 知事は、安倍晋三首相の来県について「総理からは『普天間飛行場移設に当たっては知事や地元の意見に耳を傾けていきたい』との発言があった」と言及。地元の意向を尊重するよう求める考えを言外ににじませた。
(4/20 16:01) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23137-storytopic-3.html

かすむ「基地」地元複雑/参院補選候補者、言及少なく
 「格差是正」「生活者視点」のスローガンが飛び交う参院補選。その影で、大型選挙のたびに争点となってきた基地問題は候補者の言及も少なく、かすみがちだ。北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設は、着工を待つばかりの段階。下地島空港では、防衛相が地元合意を前提としつつ公式に自衛隊使用の希望を明言した。選対本部が集まる那覇市から遠く離れた、東村と宮古島市の地元住民は論戦をため息交じりに見つめる。
 「ここまで手続きが進んでしまえば、大きな政治が動かなければ止められない。候補者たちも人口がわずかな所には目を向けてくれないのか…」。東村高江区の仲嶺武夫区長(68)はそう言って考え込んだ。
 人口百五十人余りの集落を取り巻くように計画される六カ所のヘリパッド。同区は反対を決議したが、日米両政府はすでに着工に合意。四月に入って測量や環境調査の会社も現地入りしている。
 農業の金城正恒さん(65)の自宅は、集落に一番近いヘリパッド予定地からわずか約五百メートル。「操縦士と確実に視線が合ったと分かる」ほどのヘリの低空飛行、深夜に及ぶ騒音に悩まされる。それでも、「本当に止められないなら、補償を取った方がいい」との考えも浮かぶ。選挙に取り残されたような集落で、苦悩は深まっている。
 告示直前の四月三日。宮古島市伊良部の下地島空港に関して、久間章生防衛相は地元の合意を条件に自衛隊機の使用を望む発言をした。従来の国と県の合意を覆す可能性をはらむが、その是非は争点になっていない。軍事利用に反対する伊良部住民委員会の福島正晴委員長(50)は「防衛大臣が(自衛隊が)使いたいと言っている状況でも、両候補ともほとんど取り上げない。県民の将来の不安を取り除くため、重要な問題なのに」と声を落とす。
 二〇〇五年の市長と市議の同時選挙では最大の争点の一つとなり、ほぼすべての候補者が軍事利用に反対を表明した。一方で、福島委員長には軍事利用に向けた動きが水面下でくすぶっているとの警戒がある。「候補者や政党は『基地』より『生活』という判断があるのだろうが、もう少し関心を持つべきではないか」と求めた。(阿部岳、溝井洋輔)
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普天間移設に影響せず/防衛省首脳
 【東京】防衛省首脳は二十日午前、参院沖縄選挙区補欠選(二十二日投開票)が米軍普天間飛行場移設計画に与える影響について「何も変わらない。(与党が支持する候補が)勝てばやりやすくなると思うが、負けたとしても粛々と進めていく」と同選挙の勝敗に影響されないとの考えを示した。
 その上で首脳は、「基地問題について沖縄の人は冷めてしまっている」と述べ、同補選で普天間移設問題が大きな争点となっていないとの認識も示した。
沖縄タイムス 4月20日 夕刊
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704201700_04.html

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