ジュゴン絶滅危惧種に レッドリスト入り準備
【東京】環境省の「絶滅の恐れのある野生動植物選定・評価検討会哺乳類(ほにゅうるい)分科会委員」(座長・阿部永・元北海道大学農学部教授)が2006年12月の最終会合までに、国の特別天然記念物のジュゴンを「絶滅危惧(きぐ)種」に指定し、絶滅の恐れがある野生生物を分類した「レッドリスト」に加える方針をまとめたことが20日、分かった。環境省が正式決定に向け作業を進めている。ジュゴンのほかにも対象生物が多く作業に時間がかかる見込みで、環境省は「決定時期は未定」としている。
ジュゴンは「ごく近い将来に野生絶滅の危険性が極めて高い」と規定される「絶滅危惧IA類」に指定される見通しだ。ジュゴンは普天間代替施設建設予定地の名護市辺野古沖で複数回、発見されており、保護の方法や代替施設建設の影響を巡り議論を呼びそうだ。
レッドリストの改訂作業は1995年から始まったが哺乳類のリストの改訂は2002年以来。初めて海の哺乳類が検討対象になった。06年12月には鳥類や爬虫(はちゅう)類などが改訂されている。
阿部座長は「哺乳類にも絶滅危惧種が多く、もともと数が少ないジュゴンも加えるよう意見をまとめた」と説明。
WWFJ(世界自然保護基金日本委員会)の花輪伸一氏は「指定は当然だが今後どう守っていくかが重要」と指摘。「法的な拘束力はないが国際的に保護に向けたの機運が高まる」と期待した。
(4/21 10:03) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23148-storytopic-1.html
[ジュゴン]
守るのは人間の責任だ
絶滅の恐れのある野生生物を分類した「レッドリスト」改訂版で、環境省は沖縄本島が生息域の北限とされる国の特別天然記念物ジュゴンを「絶滅危惧IA類」に指定する方針を固めた。
二〇〇五年十一月に改訂された「沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物・レッドデータブックおきなわ(動物編)」でも、「ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高い」とするIA類に分類されている。
国による哺乳類のレッドリスト改訂は約九年ぶりだが、ジュゴンについては国、県ともに同じ見解に至ったと見ていい。ジュゴンを取り巻く環境はそれほど厳しい。
餌場を維持し生息域を守るのは私たちの責任だが、陸域の開発に伴い事態は悪化する一方だ。だからこそ、国による保護政策は急務と考えたい。
環境省が〇一年度から〇五年度にかけて行った航空機からの目視調査では、本島東海岸中部や西海岸中北部で十三頭のジュゴンが確認されている。
研究者らの調査でも、特に名護市辺野古沿岸が重要な生息地として知られているが、確認数は少ない。
この海域には、普天間飛行場の代替施設である新基地の建設が予定されている。
言うまでもないが、辺野古岬沿岸部と大浦湾を埋め立て二本の千八百メートル滑走路を持つ新基地を造った場合、広大な埋め立てで藻場が減り、ジュゴンの餌場が喪失するのは明らかだろう。
埋め立てはまた、周辺の環境に負荷をかけ、流出する赤土や土砂が海底の自然に影響を及ぼすはずだ。工事に伴う騒音で、ジュゴンが寄り付かなくなる可能性は今以上に高くなる。
何よりも、国や県、名護市がジュゴンの保護対策として具体的に言及していないのが不安に輪をかけている。
「絶滅の恐れのある野生動植物選定・評価検討会」の阿部永座長は「国内のジュゴンは世界の生息域の端に分布していることから、もともと数が少ない。その上、目視調査で確認できた例も極めて少ない」と述べている。
その貴重さは単に数が少なくなったからではない。海洋環境のバロメーターであり、何よりも古くから地域に息づく海の哺乳動物を私たちの時代に失うわけにはいかないということだ。
すべては人間による自然破壊が原因で、その結果、絶滅の危機に瀕しているのであればなおさらである。
絶滅寸前にあるジュゴンを保護し個体数を増やすには何が必要なのか。ヤンバルクイナやノグチゲラしかり、種を失ってからでは遅い。自然との共生に知恵を絞り万全の対応を急ぎたい。
沖縄タイムス 社説(2007年4月21日朝刊)
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070421.html#no_1
島尻氏が初当選 狩俣氏に2万7018票差 参院沖縄補選
参院補選の当選を決め、万歳をする島尻安伊子氏(中央)=22日午後9時45分ごろ、那覇市牧志の選対事務所
参院沖縄選挙区・補欠選挙(欠員1)は22日、投開票され、新人の前那覇市議・島尻安伊子氏(42)=無所属、自民、公明推薦=が25万5862票を獲得、22万8844票を得た新人の前連合沖縄会長・狩俣吉正氏(57)=無所属、社民、社大、共産、民主、国民新党推薦=に2万7018票の差をつけ初当選した。女性では初の保守系の県選出国会議員となる。全県規模の選挙で県外出身者が当選したのも初めて。自公勢力は7月の参院選・通常選挙に向けて弾みをつけた。投票率は47・81%で全県選挙として初めて50%を割り、過去最低を記録した。
補選は糸数慶子前参院議員の知事選出馬に伴い生じた欠員を補うために実施された。国内政局の天王山となる7月の参院選・通常選挙の前哨戦として与野党が対立。県内外から注目を集めた。
島尻氏は「台所から政治を変える」と、子育て支援策の充実を前面に訴え、無党派層からも支持を得た。県知事選で勝利した自公、経済界の組織力を生かし、短期決戦の中で知名度を上げた。2度にわたって来県した安倍晋三首相をはじめ自民、公明両党首脳の応援も奏功した。
狩俣氏は野党共闘、出身母体の労組が運動を展開、革新地盤で支持を広げたが、及ばなかった。前面に掲げた格差是正の訴えも浸透が広がらず、基地問題、憲法改正をめぐる動きも追い風にできなかった。
新人の会社代表・金城宏幸氏(68)=無所属=は9142票だった。
今選挙の投票率47・81%は2004年7月の前回選挙の54・24%を6・43ポイント下回った。
当日有権者数は104万6237人(男50万8869人、女53万7368人)だった。
◆参院沖縄選挙区・補欠選挙得票数
当 島尻 安伊子氏 255,862票
狩俣 吉正氏 228,844票
金城 宏幸氏 9,142票
(4/23 9:45) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23200-storytopic-3.html
伊波氏が再選 新人の外間氏を破る 宜野湾市長選
再選し万歳する伊波洋一氏(中央)=22日午後10時すぎ、宜野湾市野嵩の伊波選対事務所
【宜野湾】任期満了に伴う宜野湾市長選挙は22日、投開票され現職の伊波洋一氏(55)=無所属、社民、社大、共産、民主推薦=が2万1643票を獲得し、新人の外間伸儀氏(59)=無所属、自民、公明推薦=に3842票の差をつけて2期目の当選を果たした。
伊波氏は「この4年間、基地を動かすために頑張ってきたことが市民に評価された。普天間飛行場を海外へ移し、1日も早く返還させたい」と述べ、米軍普天間飛行場の県内移設に反対し、海外移転による危険性除去と早期閉鎖・返還を求める姿勢をあらためて示した。
伊波氏は「革新のエース」と言われる抜群の知名度と労組を中心とした運動量で選挙戦をリード。4年の実績を紹介するリーフレットをいち早く全戸配布し、行政改革や企業誘致などの取り組みと乳幼児医療無料化の拡大など新たな施策の提案で「基地問題だけでない伊波」を強調し、市民の支持を集めた。
外間氏は市政の変革を掲げ、公共事業による景気浮揚策や普天満宮周辺整備などの市街地開発などを訴えたが、知名度不足が響いた。
当日有権者数は6万5847人。投票総数は3万9765人。投票率は60・39%で前回市長選の55・54%に比べ4・85ポイント上回った。同市長選で60%超の投票率は14年ぶり。無効票は321票。
◆宜野湾市長選挙得票数
当 伊波 洋一氏 21,643票
外間 伸儀氏 17,801票
(4/23 9:50) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23203-storytopic-3.html