琉球新報・沖縄タイムス 関連ニュース・社説(4月16?18日)

事前調査「6月に開始」 市民団体抗議に施設局
 沖縄のさんご礁の生態を監視している「沖縄リーフチェック研究会」の安部真理子会長らは16日午前、那覇防衛施設局を訪ね、米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)について、環境影響評価法の手続きに基づいて実施すべきだと抗議し、施設局が県に提出した海域使用申請を撤回するよう求めた。
 これに対し施設局建設企画課の渡部輝課長補佐は「サンゴ類などの状況を把握するため調査する。(サンゴ類の)調査は6月ごろからやりたい。アセスにどう反映するかは県とよく調整して進めたい」と述べ、海域使用申請を撤回しない姿勢を示した。海域調査とは別に陸域の調査も並行しアセス調査の前に行う方針を示した。
 安部会長らは、事前調査が本来、環境影響評価(アセスメント)法の手続きを経て実施されるべき環境現況調査だと指摘。事前調査の方法を公開しないとしていることについても、環境への影響が検証できないとして公開を求めた。
(4/16 16:02) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23031-storytopic-3.html

小松基地訴訟・騒音を放置していいのか
 基地の騒音は放置するしかないのか。受忍限度を超える騒音被害が発生していると認めながら、なぜ原因を除去するよう求めないのだろうか。
 航空自衛隊小松基地(石川県小松市)の騒音をめぐり、周辺住民ら約1580人が国に自衛隊機や米軍機の飛行差し止めと一人当たり120万円の慰謝料など損害賠償を求めた第三、第四次小松基地騒音訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部は、国に損害賠償の支払いを命令したものの、飛行差し止めは認めなかった。
 損害賠償については一審判決より増額した計約11億8800万円の支払いを国に命じたが、将来の損害賠償請求については、権利保護の要件を欠く不適法な訴えとして却下された。
 基地周辺住民らが、「静かな空を返して」と訴えてきた自衛隊機の飛行差し止めについては、「防衛庁長官(防衛相)に委ねられた権限の行使の取り消しなどを含むため民事上の請求として不適法」と認めなかった。
 米軍機の飛行差し止めについては、「国は米軍の活動を規制できない」と請求を却下した。
 また、控訴審判決は、小松基地は「国防政策上、日本海側随一の基地施設として枢要な役割を付与されており、大規模災害への対応の役割も担っている」。さらには「自衛隊機の運航に必然的に伴う騒音は住民の受忍を義務付けるもの」とまで述べている。
 納得できるものではない。在日米軍基地の専用面積の75%を占める沖縄は、嘉手納と普天間に二つの飛行場を抱え、小松基地同様、周辺住民が数次にわたる爆音訴訟を提訴し、闘っている。
 「嘉手納、普天間の両基地は安全保障上重要な役割を担っている。運航に必然的に伴う騒音は住民の受忍を義務付ける」と言われているようなものだ。
 嘉手納町が実施した米軍嘉手納基地周辺の2006年度騒音測定調査で、最も騒音が激しい屋良地区で深夜から早朝にかけての騒音発生回数が過去最多を記録した。町に寄せられた苦情は、前年度より1・5倍も増え過去最高となった。
 日米が合意した騒音防止協定では、午後10時から翌朝午前6時まで「運用上必要とされるものに制限される」とされているのにこの状況だ。とても受忍できるものではない。
 基地の騒音をめぐる訴訟で国に損害賠償が命じられたことは、「欠陥空港」との烙印(らくいん)でもある。国には欠陥空港を改善する責務がある。だが、国が効果的な対策を実施しているようにはみえない。
 「静かな空を返せ」「静かな夜を返せ」の訴えは基地周辺住民の切実な願いだ。
(4/17 9:58)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23045-storytopic-11.html

「移設予定地変更を」 伊集次期村長が見解表明
 【東】任期満了に伴い、17日告示された東村長選挙は同日午後5時に立候補者の届け出が締め切られた。無所属新人で元同村議の伊集盛久氏(66)以外に届け出がなく、伊集氏の無投票での初当選が確定した。伊集氏は北部訓練場(国頭村、東村)一部返還に伴うヘリパッド(着陸帯)移設について「移設予定地をなるべく住宅地から離すよう国に働きかけたい」と予定地に近接する同村高江区の負担軽減を目指す考えを明らかにした。任期は4月27日から4年間。
 伊集氏は「移設予定地は民間地にあまりにも近く危険だ。変更の可能性は低いかもしれないが、住民の意思の先頭に立つことが村長の務めだ」と述べ、「5月下旬に国へ要請したい」と語った。

 伊集 盛久氏(いじゅ・せいきゅう) 東中学卒。1966年東村議に初当選。90年に村議会議長に就任し、3期12年務めた。北部市町村議会議長会長、県町村議会議長会長を歴任した。40年生まれ。東村宮城出身。
(4/18 9:49) 琉球新報
琉球新報 社説
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23063-storytopic-3.html

憲法世論調査・民意は「9条」の現状維持
 憲法改正の手続きを定める国民投票法案が与党の賛成多数で衆院を通過し、参院で審議が進められている。憲法をめぐる論議が熱を帯びてきているが、国内世論は慎重だ。
 とりわけ、改憲の焦点となっている九条については改正に否定的で、現状維持を求める声が強い。
 任期中の憲法改正に意欲を示す安倍晋三首相に対する警戒感が広がっているようにも見える。
 共同通信社の全国電話世論調査で、戦争放棄と戦力不保持を規定した九条について「改正する必要があるとは思わない」との回答は44・5%で、「改正する必要がある」の26・0%を大きく上回った。
 2005年の同様の世論調査で「九条を改正する必要がある」と答えたのは31・3%、「改正の必要があるとは思わない」は41・3%だった。九条の改正派が減少し、維持派が増えているのは特徴的だ。
 九条は「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記している。
 とりわけ「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と定めた九条二項は、戦力の不保持にまで踏み込み、平和主義の集大成ともいえる内容だ。
 戦争の悲劇を二度と繰り返さないためにも堅持すべきである。
 同盟国への攻撃を自国への攻撃と見なして実力で阻止する権利、すなわち「集団的自衛権」の憲法解釈についても54・6%が「今のままでよい」と答え、「憲法を改正して行使できるようにすべきだ」の18・7%、「憲法の解釈を変更して行使できるようにすべきだ」の18・3%を大きく引き離している。
 九条の規定に照らし「防衛のための必要最小限度の範囲を超えている」と解釈し、集団的自衛権は行使できないとする政府見解を過半数が肯定した。
 安倍首相は、米国を狙った弾道ミサイルの迎撃を可能にすることを念頭に置き、憲法解釈の見直しを有識者会議で検討する姿勢だが、民意に逆行するようなことがあってはならない。
 現在の政府解釈は多くの国民の理解を得て、既に確立された見解である。時の政権に都合のいいよ
うに変えられたのではたまらない。
 世論調査の結果は、タカ派的姿勢の安倍首相に対する国民の懸念の表れではないか。
 沖縄は、去る大戦で住民を巻き込んだ悲惨な地上戦が行われ、20万人余が犠牲になった。県民は、平和の尊さを身に染みて知っている。再び戦争のできる国にすることだけは願い下げだ。
(4/18 9:54)
琉球新報 社説
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23068-storytopic-11.html

「事前調査」を不開示 普天間移設関連文書
 県は17日までに、米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)の海域使用に関し、那覇防衛施設局が県に提出した申請書と関連書類すべての不開示を決定した。
 文書には海域調査の地点や手法などが具体的に記されているとみられる。不開示の理由については、公開によって外部からの圧力や干渉などの影響を受ける恐れがあるため、と説明している。
 市民の情報公開請求に対し、仲井真弘多知事名で決定を通知した。通知を受けた市民は「施設局は代替施設建設のための調査とはっきり言っており、方法などを隠して調査するのを県が手助けするものだ」と批判。異議申し立てする考えだ。
 市民に通知された決定書は、不開示の理由について「国との間で協議中の事案であり、公にすることで外部からの圧力や干渉などの影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れがある」と記している。
 環境影響評価(アセスメント)法による手続きに先立ち、施設局は3月27日、県土木建築部海岸防災課に対し、サンゴなどの調査で海岸を使用するための「公共用財産使用協議書」と関係資料を提出していた。
(4/18 9:57) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23070-storytopic-3.html

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