琉球新報・沖縄タイムス 関連ニュース・社説(4月25日)

辺野古沖調査・地元との話し合いが先だ
 普天間飛行場の名護市辺野古への移設作業は、V字形に2本の滑走路を建設する政府案の修正を県や名護市が求めているにもかかわらず既成事実だけが着々と積み重ねられている。
 那覇防衛施設局は建設に向けて、辺野古沖の環境現況調査(事前調査)に24日から着手、潜水士が海底のサンゴの状況を目視で調査した。
 そもそも県民の頭越しに日米で決めた移設案であり、地元の合意を得ていない段階での調査は大いに疑問だ。
 まず、代替施設の建設位置や運用方法などについて、県や名護市、辺野古住民と十分に話し合うことが先決ではないか。移設作業だけを突出して進めるのは拙速としか言いようがない。
 施設局が提出した公共用財産使用協議書に正式に同意を与えていない段階だったため、環境に直接手を付けず県の同意を必要としない作業を先行して実施した。
 やみくもに日米合意案での移設を急ぐ政府の姿勢が一段と鮮明になってきた。
 「現行のV字形案のままでは賛成できない」と公約し知事選に当選した仲井真弘多知事は、島袋吉和名護市長とともに、V字形滑走路を沖合に移動するよう求めている。事前調査は容認したものの、現状では環境影響評価(アセスメント)には同意できない―との考えだ。
 だが、守屋武昌防衛事務次官は「日本政府と米政府が合意した案は地元の調整を受けてできたものだ。現時点で変えることは全く考えていない。米国も同じ考え方だ」と繰り返し指摘、取り付く島がない。
 地元の意見に耳を貸さず、理解を得ることもないままに強引に移設作業を進めたのでは、いずれ行き詰まるだろう。
 そのことは、SACO(日米特別行動委員会)最終報告に基づく辺野古沖への移設が、住民らの反対運動に阻まれて頓挫した経緯を見ても明らかだ。
 政府は、日米合意案に執着するのはやめ、県民の声によく耳を傾けるべきだ。
(4/25 9:42)
琉球新報 社説
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23261-storytopic-11.html

[「代替施設」海域調査]
アセスの趣旨からも疑問
 那覇防衛施設局が名護市辺野古キャンプ・シュワブ沿岸部への普天間飛行場代替施設建設に伴う海域の現況調査に向けた確認作業に入った。
 辺野古沖案からV字形滑走路案に変更されてから初の調査だが、地元の反対と不安に配慮したやり方と言えるのかどうか。疑問と言うしかない。
 今回の調査は環境影響評価法の面からも問題点が指摘されている。沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団が強調する「アセス法(環境影響評価法)の方法書の手続きが完了する前に調査を行うことは違法」との見方である。
 県も「次の段階の環境アセスにつながるもので、V字形滑走路案などについて地元の意向も踏まえ協議した後にやるべき」と述べていたではないか。
 調査内容を非公開にしたことも疑惑を助長させる一因であり、透明性を重視する環境アセスメントの趣旨に照らして不自然なのは明白だろう。
 それが県民の不安と国に対する不信感を増幅させていることを無視してはなるまい。
 施設局は調査を「環境アセスと異なる」としている。それでも結果を環境影響評価に反映させることができるのであれば、それに言及しない国の手法が県民の理解を得られないのは言うまでもない。
 県が言うように「(代替施設の)早期移設が普天間飛行場の危険性除去」につながるのは確かだが、地元と県、国の移設協議が進んでいないというのもまた実態としてあるではないか。
 であれば、今回の施設局の動きに対し県はもっと毅然とした姿勢で臨むべきだったのであり、調査を許したことの責任は極めて重い。
 「県内ありき」で代替施設の建設を進めようとする日米両政府への不信感は大きいのであり、政府に対する県民の怒りを忘れてはなるまい。
 一方、県が事前調査を容認したことで、移設作業がなし崩し的に進められる恐れも出てきた。
 事前調査は「海底の国有財産の調査は県の同意はなくてもできるもの」(県)として済まされるものではないはずだ。
 なぜ県は調査を黙認したのか。これによって「普天間」移設のプロセスが形骸化しないのかどうか。地元をはじめ県民の不安はそこにもあり、県には説明責任が求められる。
 調査を強行することで地元住民や反対派との間に緊迫した状況をつくった施設局の姿勢は批判されてしかるべきだ。国と県、名護市は県民の不安、疑問にきちんと応える責任があろう。
沖縄タイムス 社説(2007年4月25日朝刊)
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070425.html#no_1

ギンバル返還 跡利用推進を要望

ギンバル訓練場に隣接する中川区住民を対象に開かれた説明会=24日夜、金武町の同区公民館
 【金武】日米特別行動委員会(SACO)で合意された金武町の米軍ギンバル訓練場の返還条件となっている米軍ブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、町当局と那覇防衛施設局は24日夜、ギンバル訓練場に隣接する中川区住民らを対象にした説明会を中川区公民館で開いた。住民ら約40人が出席し、町が推進する跡地利用計画への要望を出したほか、ヘリパッド移設後の騒音を懸念する声が上がった。
 町担当者や施設局職員の説明に対し、住民からは「ギンバル訓練場が返還されずにそのまま利用されることには反対。跡利用計画を金武町全体の事業として早く進めてほしい」「ヘリパッドが移設されるなら、米軍には飛行ルートや時間を守らせてほしい」などの意見があった。
 中川区の宜志富司区長は「跡地利用計画の財源が確保できる間に返還を進めてほしい」と述べた。
 同問題については、両訓練場内に土地を所有する並里区が反対を表明しており、10、11の両日の並里区への説明会でもヘリパッド移設に反対する意見が相次いだ。
 儀武剛町長は「各区から意見を聞き、町全体の基地負担軽減を考えて最終判断をしたい」と述べ、金武区や屋嘉区、伊芸区などでも説明会を開き、あらためて並里区との話し合いを行う意向を示した。
(4/25 9:53) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23270-storytopic-1.html

機器設置へ作業本格化 「普天間」事前調査

海底の写真撮影後、機材を引き上げる作業員=25日午前10時ごろ、名護市辺野古沖
 【名護】那覇防衛施設局は25日午前、米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う、名護市辺野古周辺海域の現況調査(事前調査)の前段階となる潜水作業を前日に続き実施した。施設局が契約した漁船から潜水士が数カ所で写真を撮るなど、海底の状況を確認した。基地建設に反対する市民団体も前日に続いて反発。海上での抗議行動を展開した。
 早朝から続いた雨が一時的に降りやんだ午前9時すぎ、潜水士が確認作業を開始した。作業は辺野古周辺海域数カ所で同時に行われ、潜水士は海底の様子を目視やカメラで確認し、作業船に上がり記録を取っていた。作業船の周囲は第11管区海上保安本部の職員が乗った警戒船やゴムボートが取り囲み、反対派の行動をけん制した。
 反対派も午前8時にシーカヤックやボートで辺野古を出発。作業船に近づき、作業をやめるよう潜水士に訴えた。
 県は24日、那覇防衛施設局から求められていた「公共用財産使用協議」に同意しており、施設局は現状確認が済み次第、調査機器を設置する本格的な作業に移るとみられる。
(4/25 16:02) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23281-storytopic-3.html

知事、沖合移動を要請 防衛相、アセス協力求める

普天間移設計画などをめぐる意見交換で面会する(左から)久間防衛相、仲井真知事、島袋名護市長=25日午前、防衛省
 【東京】仲井真弘多知事と久間章生防衛相は25日午前、防衛省内で会談し、手詰まり状態にある米軍普天間飛行場移設問題で意見交換した。防衛省によると、仲井真知事はV字案に対し「(形に対しては)異論はないが、意見を以前からいろいろ申し上げている」と述べ、地元の要望を入れて沖合にずらすことなどを暗に求めた。普天間飛行場の「3年以内の閉鎖状態」や沖合移動の具体案などには言及せず、次回協議会の日程についても触れなかった。会談後、仲井真知事は県や名護市が求める修正案について「前から話している。まだ最終的な答えはもらっていない」と述べた。
 仲井真知事は冒頭、久間防衛相に対し、参院補選への協力に謝意を伝えた。知事によると、久間防衛相は県が24日に移設先の環境現況調査(事前調査)で海域使用に同意したことに対して礼を述べた。会談には名護市の島袋吉和市長、末松文信副市長も同席した。
 会談に先立つこの日朝、知事は久間防衛相と都内のホテルで2人だけで面会し、意見交換したもようだ。
 久間防衛相は環境現況調査(事前調査)の後に実施する正式な環境影響評価(アセスメント)について「(公有水面埋め立ての)許可権者は知事なのでよろしくお願いしたい」と協力を求めた。これに対し、仲井真知事は「よく打ち合わせた上で進めていきたい。地元の意見に耳を傾けていただければ」と述べた。
 さらに久間防衛相は「危険性除去のため移設を早めなければいけない。いろいろ工夫の仕方を考えたい」と述べ、「10年前にも移設返還にかかわったが、今度こそ完了させたい」と移設推進に強い意欲を示した。
 仲井真知事は「そこはわれわれも同じだ」とした上で「確認書にも危険性除去は書いてある。延長線上の問題ととらえてほしい」と要望した。
 知事は参院補選で来県した安倍首相の「地元の意見に耳を傾けたい」との発言について、移設案修正への理解を「大変(強く)にじませたと思う」との認識を示していた。
(4/25 16:04) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23282-storytopic-3.html

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