月別アーカイブ: 2007年7月

沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(6月29日、30日、7月1日)

2007年6月29日(金) 朝刊 2面

 

ヘリパッド近く着工

 

 那覇防衛施設局の佐藤勉局長は二十八日の定例記者懇談会で、米軍北部訓練場の一部返還に伴う東村高江区周辺へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設について「七月以降、適切な時期に工事実施したいと考えている。現在、五月中旬から実施している工事着手前の現況調査の内容の最終確認を行っている」と述べ、近く着工する方針を明らかにした。

 

 

 移設される六カ所のヘリパッドのうち、本年度はN―4地区二カ所とH地区を整備する予定。区域ごとに施行予定だが、本年度施行分については、県道70号で分断されているため、同時施行するという。工事に際しては、すべての作業員に貴重な動植物に関するデータや作業上の注意事項などをまとめた「保護手帳」を配布、作業中は常時携帯させるという。

 

 

 また、嘉手納基地内で大量のジェット燃料が流出した問題について佐藤局長は、来週前半にも土壌入れ替え作業に、県と施設局職員が立ち入りできるよう米軍と調整中であると明らかにした。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706291300_06.html

 

 

 

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月29日朝刊)

 

 

[「集団自決」意見書]

 

示された「県民の総意」

 

 高校歴史教科書の文部科学省の検定で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に日本軍が関与したとする記述が削除、修正された問題で、検定意見の撤回を求める意見書が県議会をはじめ、県内四十一市町村の全議会で可決された。

 

 

 五月十四日の読谷村議会が「賛成多数」、それ以外は「全会一致」で足並みをそろえた。

 

 

 全市町村での意見書可決は、二〇〇四年の沖国大への米軍ヘリ墜落事故で抗議決議・意見書を可決して以来だという。

 

 

 意見書は「沖縄戦における『集団自決』が『軍による強制・強要・命令・誘導等』なしには起こり得なかったことは否定することのできない事実」などと指摘している。

 

 

 全市町村議会が自主的に検定意見の撤回を求めたことは、地方自治と主権在民の立場から国への「異議申し立て」であることは言うまでもない。

 

 

 「史実を正しく伝え、二度と戦争を繰り返してはならない」という地域住民の思いがそのまま反映され「県民の総意」が強く打ち出されたといえる。

 

 

 県議会は当初、最大会派の自民党が党内で意見が折り合わなかったものの、最終的に「日本軍による関与があった」という点で一致した。全県民の声が集約され、一つのうねりとなって可決を後押ししたといえよう。

 

 

 政府・文科省は、この県民の総意を真摯に受け止め、検定の撤回と記述の回復を速やかに図ってもらいたい。

 

 

 文科省は、今なお「軍による直接的な命令があったかどうかは不明確。『強いられて』という表現は高校生には命令があったように誤解される」というが、それでは「集団自決」の事実がうやむやにされてしまいかねない。

 

 

 確かに、日本軍の直接の命令が渡嘉敷、座間味、慶留間の各島であったかどうかは定かでないし、大阪地裁で係争中の民事訴訟で当時の指揮官が命令の事実を否定するなどの動きもある。

 

 

 だが、言葉による命令があったかどうかということが、日本軍が「強いた」とみるかどうかを決定づけるものでは必ずしもないはずだ。

 

 

 当時の皇民化教育や軍国主義社会、さらに戦時下の極限状態の中で「いざという時は自決するように」と日本兵が手りゅう弾を配ったことには多くの住民の証言がある。

 

 

 少なくとも、広い意味での日本軍の関与、軍の圧力があったのは紛れもない事実といえる。

 

 

 歴史の事実は一つであり、変えられない。正しい歴史を示すことが未来への道標となる。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070629.html#no_1

 

 

 

 

 

琉球新報 社説

 

「撤回」要求決議 県民は軍命削除を許さない

 

 来年度から使用される高校歴史教科書検定で、沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制に関する記述が修正・削除された問題で28日、国頭村議会が「検定意見の撤回」を求める意見書を全会一致で可決した。これで県内41全市町村で撤回決議が可決された。

 先の県議会の撤回決議も含め、「検定意見の撤回」要求が、名実ともに「県民総意」となった。

 意見書で国頭村議会は「体験者による数多くの証言や、歴史的事実を否定しようとするもの」と批判している。県、他市町村の意見書も同様の趣旨だ。

 広大な米軍嘉手納基地を抱える嘉手納町は、基地被害にも触れ、戦後世代が増え、戦争体験者の減少が進む中で沖縄戦の実相を伝えることの大切さを指摘している。民を苦しめる「軍隊」の問題は、日米の国の違いはあれ、沖縄ではいまも続く「歴史」である。

 沖縄戦を直接体験した歴史の証言者が沖縄にはまだまだ健在だ。一部の研究者や官僚たちが「軍命があったとの明確な証拠はない」と言い張っても、「集団自決」で肉親を失った体験者たちの口は封じられない。

 賛成多数の読谷村を除く40市町村議会が、全会一致での「撤回」要求の可決だ。全議会の決議を、国は重く受け止めるべきだ。

 文科省は県の仲村守和教育長の撤回要請に、「集団自決で日本軍が関与したと思う」(布村幸彦審議官)と認めている。だが、検定意見の撤回には「政治家は口出しすべきではない」(伊吹文明文科相)として、応じる気配がない。

 文科相には教科書検定意見に対する「正誤訂正の勧告権」があると研究者は指摘している。政治の介入で改ざんされた教科書は、「正確な史実」によって是正されるべきである。だが、史実を突きつけ、史実を認めさせても、なお是正を拒む政治がそこにある。

 いまなぜ歴史教科書から「軍命」を削除しなければならないのか。ここ数年、国民保護法などの有事法制が整備されている。防衛庁の省昇格、集団的自衛権の行使に関する有識者懇の発足、米軍と自衛隊の融合を進める米軍再編特措法、憲法改正を狙う国民投票法の成立と続く。

 一連の政府の動き、政治の流れに「新たな戦争準備」を警戒する声もある。その動き、流れの中に、教科書検定問題がないか。

 悲惨な戦争を二度と日本が繰り返さないためにも、議会決議を県民運動に広げ、政府が歴史の史実を正しく後世に伝えるよう、強く求め続けたい。

 

 

(6/29 9:32)

 

 

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-25016-storytopic-11.html

 

 

 

 

 

2007年6月29日(金) 夕刊 7面

 

入港強行で質問状/与那国町長、外務省に送付へ

 

 【与那国】与那国町の祖納港に米海軍掃海艇二隻が入港した問題で、外間守吉町長は入港の目的を「友好親善」としながら「県の自粛」、「町長の反対」を無視する形で強行に入港した理由など十項目の質問を外務省北米局長に郵送する考えを固めた。入港の賛否をめぐり町内に混乱を招き、町民間に亀裂としこりが残ったことについての同省の見解も求めている。

 

 

 近く石垣市内で記者会見を開き、来週にも文書を郵送する予定。

 

 

 外間町長は「(外務省が説明するように)日米地位協定で定められているから入港できる、では済まされない。相手方が拒否する権利のない友好親善とは何か。政府として説明責任がある」と述べた。

 

 

 質問は、「開港ではない祖納港に入港するほどの重大な緊急性、必要性があったのか」「当初計画していた石垣港への入港は与那国町長の反対表明を無視して祖納港に入港したのはなぜか」―など。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706291700_05.html

 

 

 

 

 

2007年6月30日(土) 朝刊 24面

 

虐待通報記録せず/コザ児相 米国籍児死亡で

 

 うるま市で今年四月、米国籍の男児(8)が死亡した事件で、昨年十一月に男児を保護した市民がコザ児童相談所とうるま署に児童虐待の疑いがあると通報していたことに関連し、県の伊波輝美福祉保健部長は二十九日、「いくつかの課題や問題点があった。今後、外部専門家の意見を聴き、米軍人や外国人の相談の在り方も検討していく」との考えを明らかにした。

 

 

 同日行われた県議会六月定例会の一般質問で、兼城賢次氏(護憲ネット)の質問に答えた。

 

 

 また、伊波福祉保健部長は市民からの通報があった際の同所の対応について「夕方の勤務外で受付相談員がいなかったため、職員は所定の様式ではなくメモ用紙に記録した。本来ならメモを電話相談受付簿に記録すべきだが、それがなされず、記録として残っていない」と述べた。

 

 

 さらに、今後の児童虐待防止の取り組みについては「基地内の関係機関とのネットワークがないため、連絡会議を開催するなど連携を図りたい」との考えを示した。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706301300_08.html

 

 

 

 

 

2007年6月30日(土) 朝刊 24面

 

東門市長/特派員に基地被害訴え

 

 【東京】東門美津子沖縄市長は二十九日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、米軍嘉手納基地から派生する基地被害などを説明した。この中で米軍人などによる事件が多く発生していることについて「中でも女性や子どもたちの被害は痛ましく、基地ある故の人権蹂躙は今なお沖縄の人々の心に深い傷跡を残している」と指摘した。

 

 

 こうした基地問題を踏まえて、「子どもが子どもらしく生きられる世界を求めて、大人たちに平和の構築を訴える」同市の取り組みとして、〇五年からキジムナーフェスタを開催、三回目が七月二十一日に開幕することもアピールした。

 

 

 東門市長はF15戦闘機の未明離陸による騒音被害やジェット燃料の流出事故などを挙げ、在日米軍再編について「基地機能の強化が優先される状況にあり、市民の不安と負担が増していることは極めて遺憾」と強調した。

 

 

 東門市長は「世界が失ったもの、大人たちが置き去りにしてきたものをすくい上げ、子どもたちの前に広げて見せる必要がある」と訴え、キジムナーフェスタ開催の意義を強調した。

 

 

 外国メディア約十社が参加した。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706301300_09.html

 

 

 

 

 

2007年7月1日(日) 朝刊 27面

 

沖教組、検定撤回要求を決議/「集団自決」修正

 

 【北中城】沖教組(大浜敏夫委員長)の第四十三回定期大会が三十日、北中城村立中央公民館で開かれた。高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」の記述から、日本軍の関与が削除された問題で、「沖縄戦での日本軍による『集団自決』強制の事実を歪めた教科書検定に抗議し、検定意見の撤回を求める決議」を採択した。

 

 

 決議では今回の検定が日本軍による誘導と強制の事実を隠し、住民が自発的に自決したかのように書き直されたことは、日本軍による住民への加害を否定しようとするものであり、「戦争のできる国」づくりに導いていこうとする意図が見えると強く批判。

 

 

 沖縄戦の実相を子どもたちに伝えるため、沖縄戦「集団自決」に関する教科書検定意見を直ちに撤回することを求めている。あて先は文科相と首相。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200707011300_02.html

 

 

沖縄タイムス 関連記事、社説(6月27日、28日)

2007年6月27日(水) 朝刊 1面

 

「普天間」運用改善 効果疑問視/県議会代表質問

 

公室長「抜本対策を」

 

 

 県議会(仲里利信議長)六月定例会は二十六日午後も代表質問が行われた。米軍普天間飛行場の危険性除去について、上原昭知事公室長は「政府は移設までの間、運用改善による危険性の除去を検討していると聞いているが、県としてはより抜本的な対策が必要」と述べ、運用改善では不十分との見解を表明した。

 

 

 普天間飛行場の代替施設建設に伴う環境影響評価(アセスメント)手続きについて、上原知事公室長は「環境影響評価の手続き前に、政府の誠意ある姿勢が示されることが必要」と指摘。

 

 

 県が求める三年をめどにした普天間飛行場の閉鎖状態の確保や、代替施設滑走路の沖合移動に関し、政府の踏み込んだ対応が方法書受託の前提条件との認識をあらためて示した。

 

 

 入院中の仲井真弘多知事に代わって答弁した仲里全輝副知事は、仲井真知事が予定していた尖閣諸島視察について、「今後の視察予定は、日程確保が難しい状況が続いているが、適当な時期に視察したいというのが知事の考え」と述べた。

 

 

 大平修県警本部長は、米軍人軍属による飲酒運転の摘発状況について「二〇〇六年は飲酒運転による人身事故が十件発生し、八十四件摘発された。人身事故は前年比で六件、摘発も十三件増えた。今年五月末までの摘発件数は四十二件で前年同期より九件増えた」と、増加傾向にある状況を説明した。

 

 

 いずれも親川盛一氏(自民)への答弁。

 

 

 代表質問二日目の二十七日は、平良長政氏(護憲ネット)、渡嘉敷喜代子氏(同)、金城勉氏(公明県民会議)、当山全弘氏(社大・結連合)の四氏が登壇する。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271300_03.html

 

 

 

 

 

2007年6月27日(水) 朝刊 2面

 

ヘリパッド移設「反対意思変わらず」/並里区基地委が強調

 

 【金武】金武町の米軍ギンバル訓練場返還問題で、儀武剛町長は二十六日、並里区基地問題調査特別委員会(宮平良英委員長)にブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設を受け入れた経緯などを説明した。宮平委員長は「区はこれまでに二回反対を決議しており、反対の意思は変わらない」と強調。北部訓練場の一部返還に伴うヘリパッドの移設に反対している東村高江区などと意見交換しながら、対応を協議する方針を明らかにした。

 

 

 儀武町長は「苦渋の決断だったが、返還を受け入れないと、現状を放置してもいいとのメッセージになる。ギンバルとブルービーチ内三カ所で行われている訓練は一カ所になるので、負担軽減になる」と説明。その上で「基地経済から脱却し、自立経済の確立と若年層の雇用確保のためにも、跡地利用は重要だ」と強調した。

 

 

 委員からは、飛行ルートや夜間飛行について防衛省から説明がなく、ブルービーチ内のヘリパッド移設予定地以外でも訓練に使われる可能性があるのではないかなど、反発や不安の声が上がった。儀武町長は「七月中旬ごろには上京したいので、それまでに説明しながら調整を続けていく」と述べた。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271300_04.html

 

 

 

 

 

2007年6月27日(水) 朝刊 2面

 

与那国寄港は「安保上重要」/米掃海艇で政府答弁書

 

 【東京】政府は二十六日に閣議決定した答弁書で、米海軍掃海艇二隻の与那国町への寄港について「米軍の円滑かつ効果的な活動を確保し、日本と米国との相互協力および安全保障条約の目的達成のため極めて重要」との見解を示した。照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。(一部地域既報)

 

 

 同町は台湾との交流促進を目指し、クリアランス船などの入港に関する要件緩和を盛り込んだ「国境交流特区」構想を国に申請しているが、安全上の理由などで却下されている。

 

 

 照屋氏は、台湾からのクリアランス船の入港は拒み、一方で米海軍掃海艇の入港を認めた理由をただした。

 

 

 答弁書は「台湾からの船舶についても、関税法および検疫法の規定に基づく許可を受けて入港することは可能」とし、あくまで現行法の枠内で対応できるとの見解にとどまった。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271300_05.html

 

 

 

 

 

2007年6月27日(水) 夕刊 1面

 

ヘリパッド来週着工 施設局方針

 

高江区長、反発

 

 

 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴い、ヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)六カ所が東村高江区周辺に移設される問題で、那覇防衛施設局が来週にも工事に着手する方針であることが二十七日、分かった。同区の仲嶺武夫区長は「地元区民との話し合いは十分ではない。騒音軽減の具体策の提示もないまま着工することは認められない」と強く反発している。

 

 

 高江区の道路付近には二十六日、米軍提供施設と民間地域の区分を示す赤いペイントの線が引かれた。日本語と英語で「立ち入り禁止」と書かれた看板も約六カ所に設置され、着工に向けた準備が始まった。

 

 

 仲嶺区長は「看板設置の連絡はない。施設局は騒音などの影響は、(ヘリコプターの)運用面でカバーすると説明しているが、具体的な解決策をどう講じるのかは示されていない。国はもっと住民と話し合いを持ってほしかった」と驚きを隠せない様子で話した。規制現場を早急に確認、近日中に区の代議員を召集し、今後の対応を話し合う。

 

 

 区民が提出した工事車両の出入りに伴う騒音など、周辺環境に与える影響についての質問に対しても国から回答はない、という。地元の移設に反対する住民らは、監視小屋を設置するなど移設反対の運動を行う。

 

 

 施設局は東村や高江区に、ノグチゲラなどの鳥類の繁殖時期を避けた七月から本格工事に着手する方針を伝えていた。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271700_01.html

 

 

 

 

 

2007年6月27日(水) 夕刊 1面

 

サンゴ損傷 問題視せず/県議会で土建部長

 

辺野古現況調査

 

 

 県議会(仲里利信議長)六月定例会は二十七日午前、二日目の代表質問が行われた。米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う海域の現況調査で、那覇防衛施設局が調査機器の設置作業中、サンゴを損傷したことについて首里勇治土木建築部長は「サンゴの着床具はサンゴが密に生息している地域ではなく、その周辺に設置している。サンゴの生育環境に大きな影響を与えるものではない」と述べ、問題視しない考えを示した。渡嘉敷喜代子氏(護憲ネット)への答弁。

 

 

 首里部長は公共用財産使用協議の同意書の藻場・サンゴ類などへの配慮事項で「調査機器設置作業中における藻場・サンゴ類の踏みつけによる影響をできるだけ避けること」としている点を挙げ、「配慮事項は守られているものと考えている」との認識を示した。

 

 

 嘉手納基地内で大量のジェット燃料が流出した問題で、上原昭知事公室長は、米軍が県の調査や検査は必要ないと判断したことに「県民の不安に対する配慮が欠けていると言わざるを得ない。県土の生活環境を保全するためには客観的かつ科学的な環境調査が重要」とし、土壌撤去時の立ち入りを求めていることを明らかにした。

 

 

 社会保険庁の年金記録不備問題について、伊波輝美福祉保健部長は「基礎年金番号に結び付いていない約五千万件の記録をこのまま未処理で放置し、万が一にも受給漏れが発生しては年金制度に対する国民の信頼が崩れる」とした上で、「一刻も早く国において、信頼回復のための方策を講ずることが必要」との認識を示した。平良長政氏(護憲ネット)の質問に答えた。

 

 

 午後は金城勉氏(公明県民会議)、当山全弘氏(社大・結連合)が登壇する。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271700_04.html

 

 

 

 

 

2007年6月27日(水) 夕刊 1面

 

F15嘉手納に緊急着陸

 

 【嘉手納・宜野湾】二十七日午前九時五十分ごろ、米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機一機が同基地に緊急着陸した。基地内の消防車などが出動したが、放水はなく、同機は約三十分後にけん引されて格納庫に移動した。その間、滑走路は閉鎖され、訓練中だった別のF15戦闘機二機が普天間飛行場へ着陸した。

 

 

 目撃者によると、緊急着陸したF15戦闘機は沖縄市側から南側滑走路に進入。滑走路に張られたワイヤに機体のフックを引っ掛けて停止した。着陸後、緊急車両や整備要員に囲まれ、一時騒然とした。

 

 

 宜野湾市基地渉外課などによると、同日午前十時四十分ごろ、F15戦闘機二機が普天間飛行場駐機場で給油しているのが確認された。嘉手納基地報道部は「予防的な着陸で、機体にトラブルはなかった」と説明。普天間飛行場に着陸した二機については「一時的な着陸で、用意が整い次第(嘉手納基地に)戻る」としている。同日午前十一時すぎには、韓国クンサン基地所属のF16戦闘機一機が嘉手納基地に緊急着陸した。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706271700_05.html

 

 

 

 

 

2007年6月28日(木) 朝刊 26面

 

沖縄のジュゴンCGに/WWFジャパン

 

 ジュゴンを知ってもらおうと、世界自然保護基金(WWF)ジャパンは名護市辺野古や大浦湾の海底の様子を「ジュゴンの視点」から再現したCG映像を制作した。ホームページ上などで公開、「二〇一〇年を国際ジュゴン年に」と呼び掛ける。

 

 

 海底の地形は、WWFジャパンの調査を基に再現した。太陽が差し込む中、海草が揺れ、サンゴの周りを熱帯魚が泳ぐ様子が楽しめる。

 

 

 WWFジャパンの町田佳子さんは「都市部では沖縄のジュゴンは知られていない。消えようとしている動物を身近に感じてほしい」と話す。

 

 

 ポストカードなども用意、送料以外は無料で提供、ジュゴン保護の機運を盛り上げる。CGは制作協力したエーティーエムケーのホームページで見られる。アドレスはhttp://atmk.art-studio.cc/dugongpr/

 

 

 問い合わせは町田さん、電話03(3769)1713。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706281300_10.html

 

 

 

 

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月28日朝刊)

 

 

[慰安婦決議案]

 

歴史認識への問い掛けだ

 

 米下院外交委員会が、第二次大戦中の従軍慰安婦問題で日本政府に責任を認め公式に謝罪するよう求める決議案を賛成多数で可決した。

 

 

 決議案は、「慰安婦制度は日本政府による強制的な売春」「日本政府は、日本軍が女性を性的奴隷にしていないとの主張の誤りをただすべきだ」などとし、元慰安婦に対する国際社会の声に配慮―するよう求めている。

 

 

 政府が最大の友好国とし、同盟国と考える米国議会が突きつけた、安倍晋三首相とその周辺の“歴史認識”への異議申し立てとみていい。

 

 

 法的拘束力はないが、今後の日米関係に影響を及ぼす可能性はある。その行方を注視していく必要があろう。

 

 

 従軍慰安婦問題は、一九九〇年代初めに日韓の問題として出てきた。

 

 

 従軍慰安婦については、沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」とともに旧日本軍の関与や「軍命」があったとするのが通説になっている。

 

 

 元慰安婦として悲惨な体験をした女性らの証言も数多くあり、その声に耳を閉ざしてはなるまい。

 

 

 九三年には、当時の河野洋平官房長官が「心身にわたり癒やしがたい傷を負われたすべての方々に対し心からおわびと反省の気持ち」を表明している。

 

 

 一部で「河野談話」を否定する動きはあったが、それでも村山富一、橋本龍太郎、小泉純一郎前首相らが「談話」を引き継ぎ、謝罪してきた。

 

 

 しかし、安倍首相の根底に「(旧日本軍の)強制性を裏付ける証拠がなかったのは事実」とする考えがあるのは明らかだ。就任当初に「河野談話の見直し」を打ち出したのはそのためだ。

 

 

 中国や韓国をはじめアジア各国から反発が相次いだため、「談話の継承」に転じたが、そのあいまいさが自らの認識や政治信条の間でずれを生じさせたのではないか。

 

 

 とはいえ、「広義の強制性はある」が「狭義の強制性はない」とする論法が説得力を持ち得てないのは誰の目にも明らかであり、決議案はこの主張にも異を唱えたことになる。

 

 

 政府は「米議会の問題」とし静観を装っている。だが、米議会に誤解があるのならなぜ理を尽くして説明を試みないのか。日米関係が重要なのであれば、なぜきちんと対処しようとしないのか、理解に苦しむ。

 

 

 私たちには史実を真正面から受け止めることで、歴史から多くを学ぶ喜びがある。歴史の大切さはそこにこそあるはずだ。米下院の決議は、首相だけでなく私たち一人一人が歴史の事実にどう向き合おうとしているのかを厳しく問うているのだと受け止めたい。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070628.html#no_1

 

 

 

 

 

2007年6月28日(木) 夕刊 1面

 

全41市町村議会 可決/「集団自決」修正意見書

 

 高校歴史教科書の沖縄戦の記述から「集団自決(強制集団死)」への軍関与が削除された教科書検定問題で、国頭村議会と嘉手納町議会は二十八日午前、検定の撤回と記述の復活を求める意見書を可決した。五月十四日の豊見城市議会の決議を皮切りに、県内四十一市町村のすべての議会が同様の意見書を可決。検定の撤回を求める県民の意志をより強く示した。一方、県選出・出身の与党系国会議員でつくる「五ノ日の会」(会長・仲村正治衆院議員)は、党三役に検定撤回を要求したが、中川秀直幹事長らは困難との見方を示した。

 

 

嘉手納・国頭も

 

 

 【嘉手納・国頭】嘉手納町議会(伊礼政吉議長)と国頭村議会(仲井間宗明議長)が全会一致で可決した意見書は「沖縄戦で、筆舌に尽くし難い犠牲を強いられた県民にとって到底容認できない」「係争中の裁判を理由に、一方の当事者の主張のみを取り上げることは、文部科学省自らが課す検定基準を逸脱する」などと文科省の検定意見を批判。

 

 

 その上で「戦後生まれの世代が増え、体験者の減少化が進むこの時代こそ、史実をねじ曲げ風化させる動きをいさめ、沖縄戦の実相を正しく伝えるとともに、悲惨な戦争を再び起こさせないよう今回の検定意見の撤回を強く要請する」と、速やかな記述の回復を求めている。あて先はいずれも、首相、文部科学相、衆参両院議長。

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706281700_01.html

 

 

 

 

 

2007年6月28日(木) 夕刊 5面

 

総意 運動に弾み/修正撤回へ正念場

 

 県内四十一市町村全議会で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への軍関与記述復活と教科書検定の撤回を求める意見書が可決された。県民の総意があらためて示されたことに、体験者や運動を進めてきた人々は「勇気百倍」「快挙だ」と喜び、評価する。しかし、文部科学省はかたくなな姿勢を崩さず、記述復活の見通しは立っていない。

 

 

 渡嘉敷島の「集団自決」の現場から生き延びた高嶺繁昌さん(69)は、「こうして周囲で声を上げてくれるのは、私たちにとって勇気百倍。さすが沖縄県民は素晴らしい」と、手放しで喜んだ。「為政者の都合で歴史の真実が右、左に曲げられるのを放置してはいけない」。今後も証言を続け、事実を伝えていくことを誓った。

 

 

 検定撤回に向け運動を推進してきた高嶋伸欣琉球大学教授は、県民世論が明確になったことを喜ぶとともに、「中央政府に対して異議ありと思えば、声を上げる地方自治と主権在民の精神が健在」と高く評価した。また、文科省の拒否姿勢を強く感じつつも「まだ時間はある。自信を持って国内外の世論に働き掛けたい」とした。

 

 

 沖教組の大浜敏夫委員長は「快挙だ」と快哉を叫ぶ。「全県民の怒りの声が集約され、一つのうねりとなって可決を後押しした。全国の子供たちが持たされる教科書。文科省は真摯に受け止めて、検定の撤回と記述の回復を図ってほしい」と求めた。

 

 

 「6・9沖縄戦の歴史歪曲を許さない!県民大会」実行委員会は七月九日に会合を開き、今後の運動方針などを決めたいとしている。

 

 

[解説]

 

 

 県議会と県内四十一市町村の全議会が、高校歴史教科書の沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」記述から「軍命」を削除させた検定の撤回と記述の復活を求める意見書を可決したことで、県民の総意が強く打ち出されたといえる。

 

 

 全議会で、足並みがそろうのは難しく、最近では、二〇〇四年の沖国大への米軍ヘリ墜落事故で抗議決議・意見書を可決して以来。今回は、それに並ぶ県民の意志が示された形だ。

 

 

 政府自民党の一部は、県民の反発に理解を示しているが、文部科学省は、県議会や県民大会実行委員会の要請団に対し、一貫して検定撤回は困難という姿勢を崩していない。

 

 

 慰霊の日に来県した安倍晋三首相は、戦没者追悼式のあいさつで、沖縄戦を「悲劇」と表現したが、何が「悲劇」だったのか触れず、教科書問題にも言及しなかった。

 

 

 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育を進める会」は、現在十三万人分が集まっている署名運動を終息させず継続し、全国に波及させることなどを検討している。県民の総意を背景に、検定の撤回と記述の復活を求める取り組みはこれからが正念場だ。(社会部・安里真己)

 

 

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706281700_02.html