月別アーカイブ: 2007年10月

沖縄タイムス 関連記事、琉球新報 社説(9月27日、28日)

2007年9月27日(木) 朝刊 1面

渡海文科相「県民大会 見極め対応」教科書検定問題

決議注視の構え

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は二十六日、就任後初の閣議後会見で、二十九日に宜野湾海浜公園で開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」について、「どういう大会になるのか、どういう意見が出るのかを見極めて、対応させていただきたい」と述べ、大会の規模や決議の内容を注視し、対応を検討する考えを明らかにした。

 渡海文科相は、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を文部科学省が削除した高校歴史教科書の検定に対し、県内で強い反発が起こっていることについて「地元の皆さんが集会することは昨日聞いた。われわれ(山崎派)の中には沖縄の議員もいる。沖縄の人にとって実はそうなんだろうなというのが率直な印象だ」と述べ、県民感情に理解を示した。

 その上で「先の大戦で沖縄の方々が大変大きな犠牲を払われた。そういった方々の犠牲の上に現在があることを重く受け止めなければならない。これは大臣であろうが政治家であろうが関係なしに、日本国民はそういう思いを持たなければならないと常日ごろから強く思っている」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_01.html

 

2007年9月27日(木) 朝刊 27面

実相伝える高校生決意/「教科書には真実だけを」

【読谷】宜野湾海浜公園で二十九日に開かれる「教科書検定意見の撤回を求める」県民大会で、県立読谷高校(本永清校長)三年の津嘉山拡大君(18)、照屋奈津美さん(同)が高校生代表として登壇、メッセージを朗読する。読谷村波平のチビチリガマでは、「集団自決(強制集団死)」により、八十人余の住民が命を落とした。学校や親族から悲惨な戦争の実相を学び、高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制が削除されることに危機感を持っている。大会では「教科書には真実だけを書いてほしい」との願いを込めた一つのメッセージを二人で朗読する。

 津嘉山君の曾祖母は戦争中、祖母をかばい、流れ弾に当たって命を落とした。生き残った祖母からは、よく悲惨な戦争の話を聞かされた。県民大会で発表するメッセージを読んだ祖母は「しっかり頑張りなさいよ」と背中を押した。

 戦時中、親せきがチビチリガマに避難していたという照屋さん。将来は高校日本史の教師になりたいという。「教科書が変えられれば、私たちが習ってきたこととは違うことを教えなければいけなくなってしまう」と、大会での発表を決意した。

 津嘉山君は「教科書検定問題は沖縄だけが盛り上がっていて、温度差を感じる。県外の人にも事実を見てほしい」。照屋さんは「今まで知らなかった人にも『集団自決』がどういうものだったかを学ぶ機会になってほしい」と話す。

 大会では、読谷高校のダンス部が平和を訴える創作ダンスを披露する。本番を間近に控え、練習にも力が入る。

 二年の上原未希子部長(17)は「創作ダンスには沖縄の声を聞いてほしいという願いを込めた。大勢の人に、平和を願う気持ちを伝えたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_02.html

 

2007年9月27日(木) 朝刊 27面

沖縄の声 著名人も賛同

 平和・民主・革新の日本をめざす全国の会(全国革新懇)は二十六日、高校歴史教科書の沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍強制の記述を削除させた文部科学省の検定意見撤回などを求めるアピールに、野球評論家の張本勲さんら著名人四十六人が賛同したと発表した。同会は二十七日、文部科学省を訪ねアピール文と集めたメッセージなどを提出し、検定意見撤回を求める予定だ。

 著名人約三百人にアピール文への賛同願いを送付。同封したはがきに四十六人が賛同の意思を表示し、タレントのピーコさんら二十五人がメッセージを寄せた。同会の荒川和明事務室長は「芸能人が多く賛同してくれたのが印象的。平和の危機を感じる人が多く、声を上げるべきだと感じたのではないか」と話した。

 メッセージを寄せたのは、写真家の石川文洋さん、哲学者の鶴見俊輔さん、脚本家の小山内美江子さんら。ピーコさんは「有った真実をなかったとする。それも国の力で歪められたら怖しいことです。それは民主的な国でなく独裁の国です」と記している。

 教育再生会議委員でエッセイストの海老名香葉子さんは「真実を伝えなければ再びあやまちを繰り返すかもしれません。あの無惨は伝えきれぬほどです。戦争下の命令に従って死んで逝ったのです」。俳優の宝田明さんは「弱い立場の罪なき沖縄県民の嘘いつわりのない悲痛な心の叫ぶ声が正しくとらえられ、二度と戦争を起こさせないためにも、堂々と後の世代に伝えてゆくべき」と指摘している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_03.html

 

2007年9月27日(木) 朝刊 2面

殉国死でなく犠牲者だ/中山元文科相に聞く

政治家では撤回不可能

 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題は、与党の自民党内にも文部科学省の対応を疑問視する声が上がる。自民党の「教育再生に関する特命委員会」の委員長を務め、同委で沖縄の教科書問題を取り上げた中山成彬元文部科学相に聞いた。(聞き手=東京支社・吉田央)

 ―委員会で沖縄の教科書検定問題を取り上げた理由は。

 「沖縄戦や南京大虐殺、従軍慰安婦問題を話し合うために私が二回、主宰して開いた。特に沖縄については私は何度も足を運んでいる場所で、このまま放っておけない思いがあった。沖縄戦をよく知っている仲村正治、嘉数知賢の両衆院議員らに声を掛け、文科省に検定の経緯を説明させた」

 ―「集団自決」に関する検定後の記述をどう受け止めるか。

 「日本の検定制度は中国や韓国など外に弱く、沖縄など内に強い。私は委員会で文科省の担当官に『沖縄県民という国内の人への思いやりがないじゃないか』と相当、怒った。なぜ今どき記述を直すのかと聞くと、向こうは『(大阪で)裁判中だから』という説明だった。裁判が終結していないときに、なぜ書き直すのか。沖縄の心情が分からないのかという憤りがあった」

 「自民党でも若い人が増えているし、そういう人たちに教えるためにも開きたかった。会合には四十人ほどの国会議員が参加していたが、沖縄の議員の戦争体験を聞いて涙ぐんでいた人もいた。参加者全員が同じ気持ちだったはずだ」

 ―あなたと同様に南京や慰安婦の教科書記述を追及している自由主義史観研究会は、「集団自決」を自発的な美しい殉国死と位置付けている。

 「確かに私は彼らと付き合いがあるし、南京や慰安婦問題で戦後、米国に一方的に刷り込まれた自虐史観を排除するべきだと思っている。人口二十万人の南京で、三十万人の虐殺なんてあるわけがない。しかし、それ(集団自決)は全く違う。何が美しいか。(自決した県民は)犠牲者だ。そこは間違っちゃいかん」

 ―県民が求める検定の撤回は可能か。

 「検定に文句は言うが、われわれ(政治家)では直せない。日本の検定制度はそういうものだ。執筆者と検定官が、小さな島で追い詰められて逃げ回った沖縄県民の気持ちをよく理解し、執筆に当たり、検定に当たることが必要だ」

 ―検定制度を見直す必要性は。

 「検定がないと誰でも教科書を作れてしまう。ある程度、調査する人(教科書調査官)がいないとえらいことになる。日本は国定教科書ではない」

 ―福田内閣の発足で政府の対応は変わるか。

 「変わらないのではないか。今の政権は参院選の結果を受け、歴史や国家より、政治とカネ、年金、格差是正など内向きの政治を志している」

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_04.html

 

2007年9月27日(木) 朝刊 2面

普天間代替 今の政府案が理想的/石破防衛相

沖合移動を困難視

 【東京】石破茂防衛相は二十六日、就任後初の閣議後会見で、米軍普天間飛行場の移設で県や名護市が求めているV字形滑走路の沖合移動について、「今の形が理想的。合理的な理由がない以上これを変更することは困難という点に何ら変わりはない」とあらためて困難視した。

 一方で石破氏は「一切聞く耳を持たぬつもりはない。本当に地元の方がどう言っているのか、実際に(航空機が)どのように飛ぶのか、大臣としてきちんとした認識を持ちたい」と述べ、今後、県や名護市の意向、代替施設の運用計画などについて自ら把握に努める考えを強調した。

 その上で「地元の理解と協力なくして基地の存続はあり得ない。日米同盟存続のためにも地元の理解が最も重要。『政府は誠心誠意やってない』と地元の方に受け止められるようなことは絶対にあってはならない」との認識を示した。

 今年一月から開かれていない普天間移設に関する協議会については「できるだけ早期に開かれるべきだ。それが開かれるような環境をきちんと整えていくことが政府の責任で、岸田文雄沖縄担当相とともに私の責任であると思っている」と説明。岸田沖縄相と連携しながら協議会の早期再開を目指す考えを示した。

 石破氏の着任に先立ち、外相に横滑りした高村正彦前防衛相は防衛省での離任式で、普天間の移設・返還について「米軍再編を実施していく上でのキーポイント」と指摘。その上で「自治体や住民との信頼関係が大切。日米合意に従い国の考えを丁寧に説明しつつ地元の意見も聞き、誠実に話し合い、一日も早く実現していただきたい」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_05.html

 

2007年9月27日(木) 朝刊 2面

県議会きょうから代表質問

 県議会(仲里利信議長)九月定例会の代表質問が二十七日午前十時から始まる。二十八日までの二日間の日程で、初日は国場幸之助氏(自民)と佐喜真淳氏(同)が登壇し、米軍普天間飛行場の移設問題をめぐる環境影響評価(アセスメント)方法書についての今後の対応や、高校歴史教科書検定問題に対する仲井真弘多知事の見解などをただす。

 十月一日から四日までの日程で開催される一般質問には与野党二十五人が質問通告した。日程と質問者は次の通り。

 【一日】狩俣信子氏(護憲ネット)▽当銘勝雄氏(同)▽前田政明氏(共産)▽渡嘉敷喜代子氏(護憲ネット)▽新川秀清氏(同)▽外間久子氏(共産)

 【二日】嘉陽宗儀氏(共産)▽兼城賢次氏(護憲ネット)▽当山全弘氏(社大・結連合)▽奥平一夫氏(同)▽比嘉京子氏(同)▽玉城義和氏(無所属)

 【三日】當間盛夫氏(維新の会)▽赤嶺昇氏(同)▽吉田勝廣氏(無所属)▽辻野ヒロ子氏(自民)▽仲田弘毅氏(同)▽岸本恵光氏(同)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709271300_06.html

 

琉球新報 社説

飛行経路隠し 地元に対する背信行為だ

 政府は普天間代替施設周辺での陸域上空飛行は避けられないとの米側の意向を認識しながら、その事実を伏せて名護市など地元と協議していたことが米公文書で明らかになった。

 島袋吉和名護市長はその事実を知らされないまま、「名護市辺野古、豊原、安部地区上空の飛行ルートを回避する」との基本合意書に額賀福志郎防衛庁長官(当時)とともに署名し、政府の新沿岸案を基本的に受け入れた。

 その際、島袋名護市長は「市の考え方が受け入れられ、大変うれしい。長官に深い敬意を表する」とまで述べている。実際には、政府は市長を裏切っていたのである。

 米軍機の陸域上空飛行回避が日米で合意していないことが隠されていたとあっては、基本合意事項の実効性に大きな疑問符が付く。

 米側の陸域上空飛行要求は十分に予想されることではある。政府はその要求を拒否し、米側の了解を取り付けた上で、名護市などと基本合意文書を取り交わしたとでも言うのだろうか。

 地元にとって重要な問題であり、米側要求に対する対応を含め、政府は詳細に説明するべきだ。

 滑走路の沖合への移動を求める名護市の要求を突っぱねるなど、政府にはこの間、地元意向をしっかりとくみ取っていく姿勢が見えない。

 米側の意向を最優先していることがその背景にあり、今回の飛行経路隠しもその延長線上にあるのではないか。

 しかしながら、政府は島袋名護市長や東肇宜野座村長と民間地上空の飛行を回避することを約束した以上、それを実現する責任がある。地元との約束を軽く見ることがあってはならない。

 陸域上空の飛行を政府が容認するようなことがあれば、名護市や宜野座村だけでなく、県民への重大な背信行為である。陸域上空での飛行は認めない姿勢を貫き、米側からその確約を早急に取り付けることが求められる。

 政府の説明では、V字形滑走路2本はそれぞれ離陸専用と着陸専用だったが、米側は2本とも離着陸での使用を求めている。

 名護市などとの基本合意後、米側の新たな要求が次々と明らかになるのはどういうことだろう。まだ隠されている事項があるのでは、との疑念がわく。

 米公文書は移設計画の「すべての側面が明らかにされないなら、この計画は失敗に終わるだろう」としている。政府の場当たり主義的な姿勢によって、普天間の危険性除去が行き詰まった今の状況を暗示していると言えないか。

 政府は機会あるごとに「地元負担の軽減」を強調する。言葉だけでなく、県民要求に沿って行動に移すことが必要だ。

(9/27 10:34)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-27547-storytopic-11.html

 

2007年9月28日(金) 朝刊 1面

知事 アセス意見提出も視野/手続き上の役割考慮

 県議会(仲里利信議長)九月定例会は二十七日午後も、代表質問が行われた。米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見への対応について、知念建次文化環境部長は「環境影響評価手続きでの役割を踏まえ、今後の対応を検討している」と述べ、提出も視野に検討していることを明らかにした。仲井真弘多知事は「アセス手続きにおける知事意見の位置付けなども考慮し、今後の対応を検討している」と述べた。いずれも佐喜真淳氏(自民)への答弁。

 知念文化環境部長は方法書の知事意見について、「市町村長意見を勘案し、住民等意見に配意しつつ、地域の環境保全に責任を有する立場から意見を述べるという環境影響評価手続きでの役割を踏まえ、今後の対応を検討している」と述べた。

 二〇一〇年に日本で開催が決定しているAPEC(アジア太平洋経済協力会議)に関する県の対応について、仲田秀光観光商工部長は「関係機関からの情報収集に努め、開催にかかわる地元負担や経済効果など、総合的な見地からAPECの誘致について検討している」と述べ、県開催に向けて意欲を示した。

 上原昭知事公室長は、中華航空機爆発炎上事故の課題について「那覇空港事務所の那覇空港緊急計画に定められた県や消防等への連絡が行われなかったため、対応に遅れが生じた」との認識を示し、今後、同事務所に対し、通信訓練の実施や連絡体制の内容の見直しを働き掛けていく考えを示した。国場幸之助氏(自民)への答弁。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281300_01.html

 

2007年9月28日(金) 朝刊 2面

住民意見書 377通受理/普天間代替環境アセス

 米軍普天間飛行場代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きで、沖縄防衛局は二十七日、郵送分(同日消印有効)を除く意見書の受け付けを終了、計三百七十七通を受理した。同局は近く意見概要を県などに送付する。これを受け、県は早ければ十二月上旬にも知事意見の提出期限を迫られる。方法書の受け取りを「保留」している県の対応が注目される。

 二〇〇四年の辺野古沖合への移設案(従来案)の方法書に対する意見書は計千百七十五通、郵送分を除く受付終了日の段階では八百四十六通が提出された。意見概要は受付終了日(六月十六日)から二カ月以上経過した八月末に、八百五十三件に集約して県などに送付されている。

 アセス手続きでは、県は意見概要の受理後、名護市など関連市町村長の意見を聴取した上で、知事意見を九十日以内(県条例に基づくアセスの場合は六十日以内)に沖縄防衛局に提出。同局は知事意見などを踏まえ、方法書を確定する。

 県アセス条例は、知事意見をまとめるために、必要があれば期間内に県環境影響評価審査会の意見を聴くことができる、と規定。県が審査会に諮問するのかや、名護市などの対応も焦点になる。

 意見書は「飛行場の総面積が明示されていない」「V字形滑走路二本のそれぞれの幅が明示されていない」「航空機の種類についてMV22オスプレイなど具体的な機種の記載がない」「飛行ルートや演習内容が不明」など方法書の内容の不備を指摘している。


環境団体は156件を提出/ジュゴン監視団


 米軍普天間飛行場代替施設に関する環境影響評価(アセスメント)方法書に対する意見書の提出締め切り日となる二十七日、沖縄ジュゴン環境アセスメント監視団(東恩納琢磨団長)のメンバーらは沖縄防衛局を訪ね、計百五十六件の意見書を提出した。

 同監視団では同日提出分以外にも、メンバー個人で数件、郵送で提出しているという。

 同監視団と沖縄平和市民連絡会では同日、県議会に方法書の撤回などを求める陳情を提出した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281300_02.html

 

2007年9月28日(金) 朝刊 1面

あす宜野湾で県民大会

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」が、二十九日午後三時から宜野湾市の宜野湾海浜公園で開かれる。二〇〇六年度の教科書検定で、高校の日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述が削除された問題に対し、検定意見の撤回や記述の回復を求める。実行委員会(委員長、仲里利信県議会議長)は「県民の総意を示し、必ず検定意見を撤回させよう」と五万人以上の参加を目指している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281300_03.html

 

2007年9月28日(金) 朝刊 29面

北部農100人超参加 生徒が力

 【名護】「次世代に真実を伝えたい」「生徒が信用できる教科書であってほしい」―。北部農林高校の生徒会が、二十九日に開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に向けて、同校生徒の参加を呼び掛けている。今週から活動を始め、すでに四十人近くの生徒が参加の意思を見せ、教職員も家族を含めて六十人以上が参加を予定している。実際に教科書を使う学校現場から、教科書書き換えに異議を唱える声が広がっている。

高校生だから


 同校で二十、二十一日に開かれた校内リーダー研修で、教科書検定問題が話題に上り、生徒会から大会参加への声が上がった。生徒会長の島袋奈津子さん(三年)は「高校生だからこそできることがあるはず。学生は教科書は信頼できると思って学んでいるが、このままでは信じられなくなる。私たちに真実を教えてほしい」と訴える。


ポスター制作


 生徒会では、二十五日からポスターを各クラスに張り、校内放送で生徒の参加を呼び掛けている。副会長の平安山歩さん(三年)は「少しずつだけど、ほかの生徒たちにもこの問題への関心が高まっている」と、問題意識の広がりを実感している。

 当日は、学校の大型バスに乗り込み会場に駆けつける。顧問の金城育子教諭は「生徒たちが自主的に活動したことは意義深い。高校生でも、自分たちが感じたことや表現したいことを、行動で示せるという自信になる」と話し、生徒たちの活動に頼もしさを感じていた。


バス2台仕立てお年寄りを招待/うるま市の仲松隆さん

大会成功願う


 【うるま】「県民が一つになり声を上げなければ」―。県民大会に向け、うるま市高江洲の建築業、仲松隆さん(53)は個人で六十人乗りの大型バス二台をチャーターした。近所のお年寄りが移動手段に困っているため、バスを手配したという仲松さんは「多くの人が協力し、参加人数五万人を超えなければ」と大会の成功を願っている。

 九月上旬に参加した地域のグラウンドゴルフ大会で、お年寄りが会場までの交通手段がなく悩んでいるという話を耳にし、参加人数の確認より先にバスを予約した。

 その後、地域を回り、カンパと参加を呼び掛けた。人が集まるかという不安もあったというが、バス二台はすぐに満席となった。

 仲松さんは、幼いころから米軍の捕虜になって命を取りとめた父や、幼児のころ母親に置き去りにされてしまった親族から沖縄戦の話を聞き、「二度と悲惨な戦争を起こしてはいけない」という教えを学んだ。

 その教えは、四十歳を過ぎて授かった照平君(11)、直哉君(9)、佐也伽ちゃん(7)ら愛する子どもたちへ語り継いでいる。

 当日は子どもと妻の清美さん(45)の家族五人、そして戦争体験を経て平和を願う多くのお年寄りと会場へ向かう。「行政まかせでなく一般の人たちの意識を高めなければ、県民の声は政府に届かない」と言葉に強い思いを込めた。


体験者の証言代読


 「県民大会」実行委員会は二十七日、那覇市内で最終打ち合わせを行い、座間味島の「集団自決(強制集団死)」体験者の宮平春子さん(81)=座間味村=が式典であいさつ(代読)すると発表した。宮平さんは「日本軍の命令で集団自決が始まった。教科書には正しいことを書いてほしい」と訴えている。

 宮平さんに代わり、親類が代読する。宮平さんは「集団自決で亡くなった兄の子どもが生きていたら、もう六十歳以上になる。手にかける前に抱きしめ、号泣した兄のことを思い出すと今でも苦しい」と話した。

 宮平さんは今年七月の県議会文教厚生委員会の現地視察でも、自らの体験を証言している。宮平さんは一九四五年三月、当時村助役で兄の宮里盛秀さんが「軍からの命令で、敵が上陸してきたら玉砕するよう言われている」と父・盛永さんに話した、と証言している。


那覇市長・議長ビラ配りPR


 那覇市の翁長雄志市長と市議会の安慶田光男議長、議員ら約五十人は二十七日、同市のパレットくもじ前で市民にビラ千枚を配り、県民大会への参加を呼び掛けた。

 翁長市長は「皆で結集し大会を成功させることで、日本の将来を築き上げよう。イデオロギーや党派を超えてウチナーンチュの気持ちを伝えていこう」と訴えた。

 同市は、二十八日まで市役所本庁一階に、大会への寄付金箱を設置している。


高知市議会が意見書を可決


 高校歴史教科書の検定意見について高知市議会は二十七日、国に検定意見撤回を求める意見書を賛成多数で可決した。

 意見書は「沖縄戦は決して遠い南の島の出来事ではない。戦争の実相を伝えることは、悲惨な戦争を再び起こさないための礎だ」と訴えている。

 沖縄戦では高知県出身者も多数死亡していることなどから民主、社民両党系会派が提案した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281300_04.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 1面

10年発言 撤回要求/嘉手納議会、抗議決議

 【嘉手納】米軍嘉手納基地司令官のブレット・ウィリアムズ准将が「未明離陸は十年は続くだろう」などと発言、未明離陸を継続する姿勢を示した問題で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は二十八日午前、臨時会を開き、発言の撤回と謝罪を求める抗議決議と意見書を全会一致で可決した。同司令官、駐日米国大使、在日米軍司令官、在沖米国総領事らに郵送する。

 同基地所属のF15戦闘機など計五機が地元の中止要求を無視し、十一日未明に離陸を強行したことを受け、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(会長・野国昌春北谷町長)のメンバーが二十一日に抗議し、未明離陸回避を求めたことに対し、同司令官は「三沢や岩国で未明離陸を繰り返しても抗議はない。抗議があるのは沖縄だけ」などと発言した。

 意見書、抗議決議では、嘉手納基地を岩国基地(山口県)、三沢基地(青森県)と同一視した発言について「基地被害に苦しむ沖縄の実情を知らなすぎる。もっと地域住民の声を真摯に受け止めるべきだ」と批判。

 未明離陸を継続する姿勢を示したことについては「町民は神経をとがらせ、怒りと不安にかられている」として、発言の撤回、謝罪のほか、未明離陸の中止などを求めている。

 また、岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機などが非人道的兵器として国際的に非難を受けているクラスター爆弾、ナパーム弾と同様の性能を持つ焼夷弾MK77を使用した訓練を実施している問題についても全会一致で抗議決議と意見書を可決した。

 「大量殺人兵器を装着した訓練を沖縄周辺の提供区域で実施すること自体、大きな問題。事前連絡や情報提供もなく町民無視の横暴な態度だ」などとして、同戦闘機の飛来、実弾訓練の中止、両爆弾の撤去などを求めている。

 あて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、第一海兵航空団司令官。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_01.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 1面

医療費助成 宜野湾議会が条例可決/来月から中3まで無料

 【宜野湾】宜野湾市議会(伊波廣助議長)は二十八日の九月定例会最終本会議で、中学校卒業時までの入院費、四歳児までの通院費をそれぞれ無料にする医療費助成条例の一部改正案を全会一致で可決した。十月一日から施行する。

 県の基準では入院費が就学前まで、通院費は三歳児までとなっている。多くの市町村が県と同様の年齢に設定する中、中学三年までの入院費無料化は県内最長。所得制限も設けていない。三歳児の通院の際、各医療機関ごとに支払う一カ月千円の負担も市が賄う。

 市の財政負担は年間約四千万円、本年度は約千五百万円の見込み。国民健康保険の収納率を改善し、一般会計の繰り入れ分などを財源に充てるほか、オリジナル健康体操の普及など市民の健康増進に力を入れる。

 同市では、四歳までは通院、入院費、五歳から中学校卒業までは入院費の負担がなくなる。助成方法は償還払いのため、市民はいったん医療機関に費用を支払った後、市に申請して助成を受ける。

 また、同議会は駐留軍関係離職者等臨時措置法の再延長を求める意見書も可決した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_02.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 7面

検定撤回へ300人集結/都内集会 アピール採択

 【東京】二十九日に開かれる「教科書検定意見撤回を求める県民大会」を支援する「県民大会プレ集会@首都圏」が二十七日夜、都内で開かれ、約三百人が参加した。県出身国会議員や沖縄戦研究者が、日本軍の強制や命令なしに「集団自決(強制集団死)」は起こり得なかったことを強調。「沖縄戦の事実を抹殺する検定意見の撤回をもとめる集会アピール」を満場一致で採択し、全国に運動を広げる方針を確認した。

 大阪で係争中の「大江・岩波沖縄戦裁判」で被告側を支援する首都圏・大阪の両団体と、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」が主催した。

 沖縄戦研究者の林博史関東学院大教授は、日本軍が駐留しなかった前島や浜比嘉島などでは「集団自決」が起きていなかった事例を指摘。「『集団自決』には日本軍が決定的な役割を果たし、渡嘉敷、座間味、慶留間の三島は軍の論理が最も典型的に表れた例だ」と強調し、教科書に軍の強制を明記する必要性を説明した。

 「すすめる会」の山口剛史事務局長(琉球大准教授)は「日本軍の強制記述の復活にとどまらず教科書検定制度にメスを入れ、全国の子どもたちとアジアの人たちにどういう教科書を示すかという運動を続ける必要がある」と述べ、長期的な運動体制の確立を訴えた。

 連帯あいさつをした山内徳信参院議員は「教科書が真実を語らなくなれば政府、政治は音を立てて戦争に向かっていく」と危機感を強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_03.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 7面

県民大会へ広がる連帯/姫路でもビラで訴え

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」に連帯、兵庫県姫路市内で憲法九条を守るために活動している各団体が大会当日の二十九日と三十日、姫路駅前などで教科書検定問題や「大江・岩波沖縄裁判」について訴えるビラを配布と署名活動を行う。はりま文化9条の会の泥憲和さん(53)は「これは沖縄だけの問題ではない」と、意気込んでいる。

 泥さんはインターネットを通じ県民大会開催を知った。「沖縄では県民が一体となって大会に取り組んでいる。戦争の記憶が色濃く残っている沖縄。同じ日本人として、知らないことはおかしい。検定の先には改憲も見え隠れする」と指摘した。

 市内で活動する各団体に声を掛け、県民大会への連帯を決定した。活動に加わる姫路空襲を語り継ぐ会の高井今夫事務局長(56)は「『集団自決(強制集団死)』や南京大虐殺などの教科書問題は、九条の骨抜きにつながる。沖縄と本土ではいつも温度差があるが、同じ日本人として史実を共有していく必要がある」と、力強く語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_04.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 1面

「県民の怒り全国へ」/恩納村の稲嶺盛良さん

 「県民の怒りを全国に訴えたい」―。恩納村真栄田の稲嶺盛良さん(49)は、愛媛県松山市で検定意見撤回の活動を続けている義父の久保田一郎さん(76)に毎晩のように本紙の連載記事をファクスで送り続けている。八月から送り始めた記事は五十本以上。親子の草の根の連携が、愛媛県内で広がり、県議会や教育委員会への請願提出につながっている。(平良吉弥)

 稲嶺さんが送る記事は、座間味村や渡嘉敷村で起きた「集団自決(強制集団死)」の体験者の証言をつづった本紙の「命語い」や、教科書検定に抗議する戦争体験者の怒りを伝える連載「教科書改ざんただす」など。

 本土紙で教科書検定問題の記事が少ないことに不満を漏らした久保田さんを気遣った稲嶺さんが、毎晩のように記事を送るようになった。

 稲嶺さんは「沖縄に基地負担を押し付けても何とも思わない政府に不満があり、歴史改ざんも許せなかった。県外で活動する義父のために何かしたかった」と話す。

 久保田さんは「検定問題は沖縄だけの問題ではない。記事を読んで沖縄県民の怒りを共有している。頑張りたい」ときっぱり。

 今月十九日、久保田さんが代表を務める「愛媛?沖縄ゆいまーる」など三団体が愛媛県議会、松山市議会に検定意見撤回の意見書可決を求めて請願を提出。連携する別の市民団体も県教育委員会や二十ある市町教育委員会に検定撤回を文科省に要求することを求める内容の請願を出した。

 久保田さんは「陳情の採択は難しい状況だが、歴史の歪曲を許さない取り組みを愛媛県で続けていく」と話す。稲嶺さん、久保田さんは二十九日の県民大会に参加する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_05.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 1面

内閣で受け止め対応/沖縄相「丁寧に要請聞く」

 【東京】岸田文雄沖縄担当相は二十八日午前の閣議後会見で、教科書検定意見撤回を求める県民大会が二十九日に開かれることについて「この問題に対する県民の思いの深さをあらためて感じている。私も福田内閣もしっかり受け止めていかなければならない」と述べ、内閣として対応するべき問題との認識を明らかにした。

 十月中旬に大会決議を受けた要請団が上京することを念頭に「できるだけ丁寧に、話や思いを聞かせていただかなければならないと思っている」と述べ、要請団と会談する意向を明らかにした。

 米軍嘉手納基地で未明離陸が相次ぎ、地元の反発が強まっていることには「未明離陸による騒音は地元の生活に直結する重大な出来事と認識している」と現状を問題視。「住民生活に極力、影響がないよう(米軍側に)最大限の配慮の働き掛けを続けないといけない」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_06.html

 

2007年9月28日(金) 夕刊 1面

沖振法の延長 点検後に判断/県議会代表質問で知事

 県議会(仲里利信議長)九月定例会の代表質問二日目が二十八日午前、始まった。五年後に期限切れを迎える沖縄振興特別措置法(沖振法)延長について、仲井真弘多知事は「社会資本の整備状況や産業振興の制度などについてさまざまな角度から検証する必要がある。次年度から総点検作業を開始することにしており、同措置法の延長などについて適切に対応したい」と述べ、総点検作業の結果を見極めた上で延長の必要性を最終判断したいとの認識を示した。

 また、仲井真知事は二十九日に宜野湾海浜公園で開催される「教科書検定意見撤回を求める県民大会」について「九月十一日の庁議で全部局長に参加を呼び掛けた。多くの県民が参加され、大会が成功することを念願している」と述べ、大会の成功に期待感を表明した。いずれも當山弘氏(護憲ネット)の質問に答えた。

 この日は、高嶺善伸氏(護憲ネット)、前島明男氏(公明県民会議)、喜納昌春氏(社大・結連合)の三氏が質問に立つ予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200709281700_07.html

歴史の転換点となるか、沖縄県民大会

 町村官房長官が沖縄戦「集団自決」検定意見の撤回に一歩踏み込む考えを示しました。運動の大きな成果ですね。

「教科書検定意見撤回を求める県民大会」は、本当に、多くの人で一杯の集会でした。(沖縄県人口の約1割近くが集まったことになります)

 政党代表には、公明党まで出席していました。沖縄県の自民党は集会に積極的といってもいい役割(県議会議長が大会実行委員長)。出席しなかった政党は自民党代表のみ。自民党の孤立が示されました。

 12年前の1995年、米兵の少女暴行に抗議する県民大会をはるかに上回る数でした。大会はむしろ厳粛なと言ってもいい雰囲気の中で静かに進んでいきました。
 会場への往復は、バスに乗って立ったまま何時間も過ごしました。これは、沖縄で初めてだったと思います。会場へ行くバスは、バス会社と実行委員会の話し合いで、12年前と同じ無料でした。会場から宿舎に帰る道は参加者のバスで渋滞し、普通1時間ですむ道のりが3時間かかりました。

 愛媛の岩崎さんは、たった一人の沖縄県民との連帯スタンディングを行いました。これは、すごい!としか言えません。心からの敬意を表します。

 翌朝の琉球新報、沖縄タイムス報道もすごいものでした。昨日は、琉球新報、沖縄タイムス両社に、本土へ持って行くために、大会を報道している新聞を受け取りに行きました。重いものでしたが、草の根運動の東京事務所に宅急便で送りました。

 1ヶ月あまり、体調を崩してしまい、体力が落ちておりやっとの事でした。しかし、29日の集会の大成功で、久方ぶりの爽快な朝でした。

 本土に、このすごい集会を伝えることが本土の私たちの仕事だと思います。本土メディアは堕落していると言っては、過言でしょうか?