月別アーカイブ: 2008年8月

新基地断念を要請/県議会代表が外務省などに 踏み込んだ方向性を/教科書検定審議会部会 宜野湾市長がハワイへ出発/普天間返還要請行動へ など  沖縄タイムス関連記事・社説(7月24日から29日)

2008年7月24日(木) 夕刊 1面

新基地断念を要請/県議会代表が外務省などに

 六月定例会で名護市辺野古沿岸部への新基地建設に反対する決議・意見書を可決した県議会(高嶺善伸議長)の代表は二十四日午前、外務省沖縄事務所や在日米軍沖縄調整事務所を訪ね、「新基地は過重な負担や固定化になり、周辺海域の環境破壊につながる」とした決議の趣旨を伝え、新基地建設計画断念を求めた。

 外務省沖縄事務所には、米軍基地関係特別委員会の渡嘉敷喜代子委員長をはじめ、社民・護憲ネット、共産党、民主党、社大・ニライの会、無所属クラブの野党五会派の代表が参加した。改革の会と、決議・意見書に反対した自民、公明県民会議は参加しなかった。

 県議らは「県民世論は辺野古への新基地建設反対が常に半数を超える。県議選の結果を受けた反対決議の可決は民意の反映。新基地建設反対は県民の総意だ」と訴えた。

 対応した外務省沖縄事務所の山田俊司事務官は「重く受け止めている」としながらも、「辺野古への移設は、再編協議で日米両政府が合意した訓練の移転、海兵隊のグアム移設、嘉手納基地以南の返還とパッケージになっている。合意を進めることが沖縄の負担軽減になる」という従来方針を示すにとどまった。

 在日米軍沖縄調整事務所では、バーノン・ボーン所長(大佐)が「私たちのレベルで解決できることではない」と述べ、四軍調整官のリチャード・ジルマー中将や在日米軍司令部に伝える意向を示すにとどめたという。

 県議団は同日午後、仲井真弘多知事や沖縄防衛局、在沖米国総領事館に要請する。週明けに上京し、外務省や防衛省、在日米軍司令部などに要請する予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807241700_04.html

 

2008年7月26日(土) 朝刊 31面

母国が手紙 支援を約束/米兵暴行事件被害の豪女性

 【東京】二〇〇二年に神奈川県で在日米海軍兵から性的暴行を受け、加害者に謝罪と補償を求めているオーストラリア出身の四十歳代女性のジェーンさん=仮名=が二十五日、都内の外国特派員協会で会見し、オーストラリア政府が米政府との交渉で全面的に支援する意向を示していることを明らかにした。支援を求めたジェーンさんの手紙に返事があったという。ジェーンさんは同日、在日米国大使館に手紙の写しと勝訴した民事訴訟の判決文などを提出し、迅速な対応を求めた。

 ジェーンさんは「オーストラリア政府から全面的に協力するとの返事をもらい、とても勇気づけられた。政府同士で早めに交渉し、犯人に謝罪と補償をさせてほしい」と訴えた。

 ジェーンさんは、行方が分からなくなっている加害者が米本国に居住しているとの情報が六月に知人から寄せられたことも明らかにした。ジェーンさんが加害者を相手に慰謝料を求めて起こした民事訴訟では性的暴行の事実が認定されている。ただ、加害者は審理中に出国し所在が分からず、本人からの支払いは実現していない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807261300_03.html

 

2008年7月26日(土) 朝刊 2面

踏み込んだ方向性を/教科書検定審議会部会

 【東京】沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題を受け、検定手続きの透明化を検討している教科書検定審議会の作業部会は二十五日、都内で会合を開いた。文部科学省は今後の議論の方針を示したが、委員からは、手続き改善の方向性が不明確だとの指摘が相次いだ。

 方針は(1)教育基本法で示す目標を踏まえた教科書改善(2)知識・技能の習得、活用、探究に対応する教科書の質・量での充実(3)正確かつ公正・中立で多面的・多角的な考察に資する教科書(4)子どもたちが学習しやすいよう配慮・工夫がなされた教科書づくり―の四点。

 委員側から「検定の仕組みをどうするか見えてこない。踏み込んだ方向性を出さないと(部会に求められる)議論の期待に応えられない」などの批判が出た。

 同省は「(方針は)検定に求められる基本理念を整理したもの。具体論は別途議論する」と説明した。

 手続きの透明化について委員から「何が公正・中立かは時代や事象によって変わる。教科書の記述は学校の先生に自信と確信を与えるものであり、そのためには検定プロセスをできる限り公開していくことが大事」との意見もあった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807261300_04.html

 

2008年7月27日(日) 朝刊 1・3面

返還地対策 国に責任/米軍再編シンポ

協定改め環境条項を/第二軍転法求め決議

 中部の市町村長や大学教授らが基地問題について議論する「米軍再編とどう向き合うか?沖縄中部地区の課題PART2」(主催・沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会、後援・沖縄中部市町村会)が二十六日、ちゃたんニライセンターで開催され、日米両政府で合意された嘉手納以南の基地の返還で、環境問題や跡地利用などの課題について議論を交わした。基地を抱える市町村長が直面する深刻な基地被害の現状を報告、日米地位協定の改定を軸に返還に向けた早急な対策の必要性を訴えた。

 沖大客員教授で軍事評論家の前田哲男氏は「返還に向けた出口戦略を構想する」と題して基調講演した。

 前田氏は憲法九五条(特別法の住民投票)を根拠に、佐世保や横須賀、呉、舞鶴の四市が一九五〇年、住民投票で「旧軍港都市転換法」を定め、国有財産だった旧軍施設を地元自治体に無償譲与されたと説明した。

 九五条に基づく法制定を活用し、返還後の在沖米軍基地の跡地対策を政府が担うような取り組みを提案。「県内の自治体には提起する権利がある」と呼び掛けた。

 また韓米地位協定や北大西洋条約機構(NATO)とドイツのボン協定が改定された事例を説明し、地位協定改定で環境条項を盛り込む重要性を説いた。

 シンポジウムでは、沖縄国際大学の照屋寛之教授が、第二次軍転法の制定を盛り込む決議文を読み上げた。

 (1)米軍に対し、有害物質の土壌汚染地域を容易に特定するため基地使用履歴情報の提供(2)返還前に政府が基地内の土壌汚染調査を実施(3)原状回復中、政府が地権者に給付金交付(4)基地従業員の雇用確保―などを盛り込むよう求めた決議文を参加者の拍手で採択した。決議文は県議会に提出する。

 シンポには二百人余が参加した。


     ◇     ◇     ◇     

返還前の調査必要/使用履歴の開示も


 【中部】「米軍再編とどう向き合うか」をテーマにしたシンポジウムは二十六日、沖縄、浦添の両市長や主催者である沖縄の「基地と行政」を考える大学人の会の教授らが、返還跡地が直面する環境汚染問題の解決策などについてパネルディスカッションを行った。(1面参照)

 米軍再編と沖縄中部地区自治体の課題と題して議論を展開。沖縄大学の桜井国俊学長は「現行の地位協定は米軍に浄化責任もなければ土地の利用履歴の提供義務もない。返還前の事前調査などで時間と経費を削減することは、地権者や地元自治体だけでなく税金を払う国民のためになる」と強調した。

 さらに県議会で「県生活環境保全条例」が基地内にも適用されるべきだと異論が出た事に対し、「県の条例を基地内に適用することは難しい。しかし地元の自治体が住民の命と暮らしを守るためにアクションを取ることは可能だ。返還に至る前にできることはやっていくべきだ」と訴えた。

 沖縄大学の前田哲男客員教授は「地位協定の問題は運用する政府が制度疲労を起こしているからだ。自民党の体制疲労が地位協定の問題をあらわにしてきた点を見逃してはならない」と指摘した。

 キャンプ・キンザーを抱える浦添市の儀間光男市長は「環境影響評価で三年かかり跡地利用は五年あっても足りない。地位協定を完全に見直さないといけない」と主張。嘉手納基地のある沖縄市の東門美津子市長は「県民が一つになり国民全体に問題を広げ、訴え続けることが必要」と来場者に呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807271300_01.html

 

2008年7月27日(日) 朝刊 1面

米原潜寄港 年最多に/ホワイトビーチ

 県基地対策課に入った連絡によると、二十六日午前九時四十七分、うるま市勝連のホワイトビーチに米海軍原子力潜水艦ロサンゼルス級プロヴィデンス(六、〇八二トン)が寄港した。県が統計を取っている過去四十年間で、年間最多の二十五回に達した。

 また第七艦隊報道部は沖縄タイムスの取材に対し、米海軍横須賀基地(神奈川県)で行われている港湾工事が影響し、潜水艦部隊がホワイトビーチを含む他基地を使用していると回答、寄港増の理由の一つが明らかになった。

 プロヴィデンスは病人移送を目的に入港、十一分後に出港した。

 ホワイトビーチには二十二日に入港した同級アッシュヴィル(六、〇八二トン)が依然として接岸している。

 文部科学省の調査によると、二隻とも放射能の値は平常値と同じだった。

 今年に入り同ビーチへの原潜寄港が増えたことに、同報道部は「潜水艦部隊の日程の詳細には言及できない」と前置きした上で、「日本を含むアジア太平洋地域への寄港はルーティンで、運用上の任務になっている」と説明。沖縄近海での訓練増加の質問には明言を避けた。

 一方、横須賀基地では原子力空母「ジョージ・ワシントン」の母港化に備え、昨年八月から港湾の浚渫工事が進んでおり、工期は今年八月までとなっている。

 同報道部は「ジョージ・ワシントンを受け入れる建設プロジェクトが進む間、潜水艦の乗員は沖縄を含む他の日本の基地を訪れていた」と述べ、ホワイトビーチや佐世保基地に寄港していたことを明かした。

 さらに報道部は、ホワイトビーチを「優れた施設があるだけでなく、素晴らしい文化や温暖な気候のため、第七艦隊の乗員にとって、沖縄は寄港地の中で最も訪れたい港の一つだ」ととらえていると説明した。

 一方、寄港増に危機感を募らせる地元のうるま市議会は二十五日、基地対策特別委員会(東浜光雄委員長)を招集し、三十日に臨時議会を開いて、寄港反対の抗議決議と意見書提案を決めた。(吉田伸)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807271300_02.html

 

2008年7月28日(月) 朝刊 3面

宜野湾市長がハワイへ出発/普天間返還要請行動へ

 【宜野湾】米軍普天間飛行場の早期返還と危険性除去を目的に、伊波洋一宜野湾市長は二十七日、米国ハワイ州への直訴行動に出発した。伊波市長は「市民の声を携え、墜落の危険性を一日も早くなくすよう米軍に要請する」と述べた。

 出発前に那覇空港で会見した伊波市長は、民間地への米軍機墜落事故を防ぐために日米で合意された飛行ルートが守られず、騒音は増加傾向にある現状を説明。米軍自らが事故危険地域に設定した滑走路近くのクリアゾーンに約三千六百人が生活する矛盾を指摘し、「危険性は極限状態に達している。米軍司令部や連邦議員に、運用停止による危険性除去を求める」と訪米の意図を述べた。

 米太平洋総司令官、米太平洋海兵隊司令官との面会が困難視されていることについては、「ハワイ滞在中も調整を続ける。面会が実現しなければ、現地の議員や学識経験者に今後の対応を相談する」とした。

 要請団には同市区選出県議の渡嘉敷喜代子氏、新垣清涼氏が同行した。ホノルル市助役や米国連邦議会議員などと面会し、八月一日に帰国する予定だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807281300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年7月28日朝刊)

[基地の跡利用]

新規立法へ対応を急げ


 日米両政府が合意した沖縄の米軍基地再編計画には決定的な盲点がある。

 普天間飛行場の辺野古移設を前提に返還が決まった嘉手納飛行場以南の六施設は(1)普天間飛行場(全面返還、約四百八十一ヘクタール)(2)キャンプ桑江(全面返還、約六十八ヘクタール)(3)キャンプ瑞慶覧(一部返還)(4)陸軍貯油施設・第一桑江タンクファーム地区(全面返還、約十六ヘクタール)(5)牧港補給地区(全面返還、約二百七十四ヘクタール)(6)那覇港湾施設(全面返還、約五十六ヘクタール)である。

 ところが、これらの施設をいつの時点でどのように返還するのか、土地の供給過剰がもたらす混乱にどう対応するのか、跡利用に国はどのようにかかわるのか―肝心な部分は具体的には何一つ決まっていないのである。

 どのような事業を実施するにせよ県や市町村の財政負担は避けられない。しかし、正直言って今の市町村に負担できるだけの財政力はない。

 過去の返還跡地は、返還から事業完了までに平均十四年三カ月もかかっている。これをどう短縮するか。地権者との合意形成も時間のかかる難題だ。

 途方もない課題が山のように立ちふさがっているのである。

 はっきりしているのは、現行の法制度ではこれだけの大規模な基地返還には全く対応できない、ということだ。

 二十六日、北谷町で開かれた米軍再編をめぐるシンポジウムで、沖縄本島中部五市町の首長は、口をそろえて窮状を訴え、国の財政支援を求めた。

 米軍は地位協定によって基地返還の際の原状回復義務を免除されている。土壌を汚染しても、浄化する責任がないのだ。その結果、何が起きているか。

 恩納通信所は、返還後に汚水処理槽からPCBなどの有害物質が検出され、地権者への土地引き渡しが遅れた。キャンプ桑江(北側地区)でも返還後に鉛、ヒ素などの有害物質が見つかった。「掘ったら何が出てくるか分からない」(野国昌春北谷町長)のが実情だ。

 跡地利用計画を策定するためには文化財調査が必要だが、事前の立ち入り調査は認められていない。「不透明な再編スケジュールが利用計画策定の障害となっている」(東門美津子沖縄市長)のである。

 返還後三年間の給付金支給を定めた駐留軍用地返還特措法(軍転特措法)や、大規模跡地、特定跡地への給付金支給を盛り込んだ沖縄振興特別措置法だけでは不十分だ。

 跡利用に当たって優先的に確立すべき原則は「国の責任の明確化」である。その作業を後回しにして移設作業だけを先行させると、県や市町村は政府との交渉カードを失い、財政負担を嫌う政府に押し切られることになりかねない。

 六施設の跡利用事業を円滑に進めるためには、新規立法が欠かせない。県と市町村は、これを「戦後処理・復帰処理事業」として位置付けてはどうだろうか。

 早急に問題点を整理し、県内の合意形成と世論喚起を図る必要がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080728.html#no_1

 

2008年7月29日(火) 朝刊 1面

空自那覇基地 給油機駐機場を整備

訓練想定 配備は否定

 【東京】航空自衛隊小牧基地(愛知県)へ今年三月に初めて配備されたKC767空中給油輸送機の運用性向上を目的に、防衛省が、空自那覇基地と千歳基地(北海道)の既存駐機場を補強整備する予定であることが二十八日、分かった。那覇基地では九月から測量などの調査を開始し、二〇〇九年度末ごろまでに整備する予定。

 防衛省は、同機が訓練などで飛来した際に使用することを想定しており、「格納庫を整備する予定はない。同機を那覇基地に配備するわけではない」と説明している。

 駐機場の整備目的については「南北に長い国土の中央に位置する小牧基地のみで運用することは不経済で非効率的」としている。整備費用は約三億円。

 軍事評論家の前田哲男氏(沖縄大学客員教授)は、「空中給油機により、戦闘機などの滞空時間は長くなり、活動範囲も広くなるが、自衛隊の『自衛』目的のために必要かどうかは疑問だ」と指摘した。

 KC767は、民間旅客機のボーイング767をベースに開発された新型機。現在小牧基地に二機が配備されており、〇九年度までに計四機体制となる予定。

 現在、同基地の空中給油・輸送機実用試験隊が実用試験を実施。今年十月ごろまでに実用試験を終え、運用試験に移行。一〇年一―三月ごろまでに本格的な部隊運用が始まる見通しだ。

 KC767の運用を想定し、今年三月と四月に空自のF15戦闘機が那覇基地や周辺空域で、米空軍嘉手納基地の空中給油機KC135から給油を受ける訓練を実施している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807291300_01.html

 

2008年7月29日(火) 朝刊 2面

嘉手納の諸問題訴え

来月三連協が上京

 【中部】沖縄、嘉手納、北谷の三市町でつくる嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)は二十八日、北谷町役場で幹事会を開き、八月三日から五日の日程で、在日米軍のエドワード・ライス司令官の表敬訪問や米軍三沢基地(青森県)を視察することなどを確認した。三市町長が参加する。

 当初、三連協はライス司令官に嘉手納飛行場から派生する諸問題の解決促進について要請する予定だったが、在日米軍から「司令官が市町村長から要請書を受け取ることはできない」という旨の返答がきたため、表敬という形をとることにした。口頭で未明離陸など騒音問題について要請するとみられる。

 また、青森県内では、同基地のほか、三沢市役所や東北防衛局三沢防衛事務所を訪れ、基地から派生する事件事故への対応や運用状況などについて担当者と情報交換する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807291300_02.html

 

2008年7月29日(火) 夕刊 1面

要請書受け取り総司令部が拒否/宜野湾市長申請に

 【宜野湾】宜野湾市によると、米軍普天間飛行場の早期返還や危険性除去を要請するため米国ハワイ州を訪問中の伊波洋一宜野湾市長は二十九日(現地時間二十七日)、米太平洋軍総司令部のあるキャンプ・スミスを訪ねたが要請書の受け取りを拒否された。

 伊波市長は訪米前に同司令部司令官のティモシー・J・キーティング海軍大将との面談を断られていたため、同基地のゲートで要請書の提出を申請。対応したハインス同司令部渉外官は「米国防総省などを通じ提出してほしい」として受け取りを拒んだという。

 二〇〇四年の訪米で同司令部の戦務支援部長が対応し、要請書を直接手渡せたという伊波市長の指摘に対し、ハインス渉外官は「現在は正式なルートを通じて受け取ることがルールとなっている」と説明したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807291700_05.html

 

2008年7月29日(火) 夕刊 5面

米陸軍、在沖米兵立件へ/比女性暴行

 在日米陸軍は二十九日までに、沖縄市でフィリピン人女性を暴行したとして、在沖縄米陸軍のロナルド・ホプストック伍長(25)を強姦に関する罪などで立件することを決めた。

 在日米陸軍によると、今後は予備審問を開くなどして、百二十日以内に実際に軍法会議にかけるかどうかを決める。

 伍長は二月十八日、沖縄市内のホテルで二十一歳だったフィリピン人女性に暴行、けがをさせたとして県警が四月に強姦致傷容疑で書類送検。だが、那覇地検は五月、「十分な証拠がない」として嫌疑不十分で伍長を不起訴処分としていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200807291700_06.html

終戦63周年の決意 – 真の独立と平和を、生活向上を、民主主義を、環境を?敗戦

 今日は、敗戦・終戦記念日です。

 私は、当時6歳でした。今日と同じように晴れ上がった暑い夏の日でした。栃木県の矢板という小さな町の小さな教会に付属する牧師館にいました。

 牧師館の畳の部屋でした。縦型の真空管式ラジオ、茶色のラジオを大人たちが囲んでいました。そのラジオを今でもはっきり覚えています。敗戦の玉音放送(天皇の放送を「玉音」というのです!)が流されたのは、このラジオからでした。36歳の若い父はいませんでした。もちろん徴兵でとられ、中国戦線にいたからです。それから63年。

 私は、今年の敗戦記念日を、ひと月後に70歳を迎える年齢で迎えました。

 戦争と重なった、学齢前の時期を除けば、私の人生はほとんど、「戦後」と重なっています。その人生をふまえて、敗戦63年を記念する今日、私は、何を決意したでしょうか。私の決意は、平凡ではありますが、日本の真の独立を回復することと再び戦争をする国にはしない、平和憲法を守る、ということでした。

 [マスメディアと9条]しかし、マスメディアの状況を見ると、この決意は決して平凡ではないことに気づかされます。「戦争は二度としない」ということは、63年前は当たり前のことでした。その2年後に制定された日本国憲法、特に9条は、その当たり前の国民の感情を国の基本法に反映したものでした。しかし、今や、マスメディアや日本社会では、そのことが「当たり前のこと」ではなくなっています。社説で「憲法9条を守ろう」と旗色鮮明にしている新聞は地方紙にはかなりありますが、全国紙はそうではありません。東京新聞の今日の社説は、「人間中心主義に帰れー終戦記念日に考える」と題した、なかなかいい社説でした。オリンピックで言えば入賞ということになるでしょう。しかし、メダルの色は、残念ながら「金」とは行きませんでした。「銅」というところでしょうか。なぜなら、人間中心主義を政治的に反映しているものは、日本国憲法特に第9条であることへの言及がなかったからです。

 [憲法9条を守ること]戦後63年、沖縄県をふくむ日本は米「帝国」の従属下におかれています。「戦争をする国」米「帝国」に対して、日本は、「戦争をしない国」であることを国の基本法である憲法で定めています。しかるに、宗主国の政策に、従属国は国の基本的あり方をあわせようとしています。それが9条を中心とする憲法の改悪です。

 日本の対米従属の象徴であり実体であるものは、在沖日米軍基地です。この基地は現実に戦争状態です。1959年東京地裁は、伊達判決において、日本における米軍の存在は憲法ととうてい両立し得ない、と判示しました。

(なお、ここで、「在沖日米軍基地」と表記するのは、沖縄県における米軍基地(専用施設)が、施設数で全日本の41%、面積で75%を占める状況を考慮するとき、単に在日米軍基地と表記するだけでは、沖縄県をふくむ全日本国における米軍基地の異常な実態をうまく反映できないからです)

 戦後63年間、日本は戦争をしなかった、ということは、ある意味では当たっています。しかし、現実には当たっていません。日本は在沖日米軍基地の存在によって、国の基本法に反して「戦争をしてきた国」「戦争をしている国」なのです。それに加えるに、「自衛隊」の参戦と軍隊化が執拗に米日支配層によって追求され、恒久法まで立法しようとしています。

 日本310万人、アジア2000万人というとてつもない数の人命によってあがなわれ、今も被爆者などの苦しみによって生き続けている憲法を守ることは、米軍基地をなくす運動と相まって、日本を「戦争をしない国」であり続けさせるだけでなく世界を「戦争をしない国ぐに」にかえ、在沖日米軍基地と自衛隊派兵によって「戦争をしている国」であることをやめさせ、日本を真に独立した国にすることにつながると確信します。このことは、また、生活向上と、民主主義と、環境保全につながります。それを実現する統一・共同戦線結成のために生涯をかけて努力する決意です。

 これが私の敗戦・終戦63年の決意です。

(2008年8月15日)