架 け 橋

架 け 橋     外間喜明

やまとぅに45年住む うちなーんちゅー 
今年になって このフレーズを何十回使っただろうか
住み込み店員として10代で異郷の地を踏んでから半世紀近く
山歩きが好きで仕事の合間に やまとぅの各地を歩きまわり
心通い合う友人もたくさん出来た
贅沢言わなきゃ暮らしも何とかやっていける
還暦を過ぎて人生の充実期を迎えたはずの僕に
与えられた役割というのがあるのだろうか
奇跡的に生き残ったカンポウヌクェヌクサーのこの僕に

35年前の悲願の祖国復帰=沖縄返還が実現し
異民族支配の異常さから脱却し
各県とも外国とも自由に往来することが出来て
家々も道路もすっかり良くなり 経済的にも豊かになって
全ての矛盾は解消し しまんちゅーたちは伸び伸びと暮らし
観光客は押し寄せ 年中賑わっている緑と花の島沖縄

え?
ホントに何の問題もないの?
この島々はホントにこの世の楽園なの?

一見華やかに思えるこの島で 例えば
タクシードライバーは昼夜働いても やっとこさ月に10数万の稼ぎ
女房の働きがなければ とてもやっていけないという
島のごく普通の労働者には週休2日制は夢のまた夢
県民所得は最下位の47位 失業率は全国平均の2倍
米軍犯罪は絶えるどころか
基地の重圧は変わらず 米軍再編で更に重く

そんな沖縄の厳しい現実を知らないやまとぅんちゅーが少なくないならば
たくさんの人たちに知ってもらおう
僕のふるさとが世界に誇る文化も自然も 魅力に溢れた美(ちゅ)ら島を 
忙しい日常を過ごす都会人の心を癒してくれる うちなーを
沖縄と日本本土と うちなーんちゅーとやまとぅんちゅーとが相互理解し合える
上滑りでない 心の交流の出来る橋を架けようではないか
男も女も 老いも若きも みんなで手を携えて往来のできる大きな橋をいっぱい
そんな橋の一つに僕はなりたい

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