沖縄タイムス 関連記事(4月2日?3日)

2007年4月2日(月) 朝刊 23面
乗員4人無言の帰任 陸自ヘリ墜落
 急患搬送に向かう途中で鹿児島県・徳之島の山中に墜落し、死亡した陸上自衛隊第一〇一飛行隊(那覇)のCH47ヘリコプターの乗員四人の遺体が一日夕、旅客フェリーで那覇市通堂町の那覇港に到着した。港には、遺族と同飛行隊所属の隊員ら約六十人が集まり、無言のまま帰任した四人の殉職を悼んだ。遺体は琉球大学医学部に運ばれ、鹿児島県警が二日にも司法解剖し、身元の特定などをする。
 死亡したのは機長の建村善知三佐(54)、副操縦士の坂口弘一・一尉(53)、整備員の岩永浩一・二曹(42)、同藤永真司二曹(33)。
 フェリーは午後六時四十分すぎ、那覇港に入港。間もなく遺体を乗せたワゴン車二台が下船し、外で待っていた遺族らの目の前を通過して、港を後にした。時間にしてわずか数分。四人の上司の印口岳人第一〇一飛行隊長の合図で隊員が一斉に敬礼する中、遺族はハンカチで涙をぬぐったり、目を閉じて合掌したりしていた。
 ワゴン車が見えなくなると、遺族らは肩を寄せ合いながら沈痛な面持ちで用意された送迎バスに乗り込んだ。
 この日着任したばかりの第一混成団長兼那覇駐屯地司令の武内誠一陸将補も参列した。
 第一混成団の広報担当者は「あらためて悲痛な思いが込み上げてきた。いまだに亡きがらにさえ対面できていない遺族の気持ちは察するにあまりある」と声を落とした。
 鹿児島県徳之島の亀徳港を出港したフェリーには陸自第一混成団の隊員数人も同乗した。徹夜の捜索や対応に追われ、一様に疲れきった表情。「救急搬送の生き字引のようだった。その人が事故で亡くなるなんて…」。同僚の一人は、建村三佐の死を沈痛な表情で語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704021300_01.html

2007年4月3日(火) 朝刊 27面
指示撤回求め抗議/「集団自決」修正
文科省に市民団体「軍関与明記を」
 文部科学省が二〇〇八年度から使用される高校歴史教科書の検定で沖縄戦の「集団自決」記述について、日本軍の関与を否定する意見を付し教科書会社に修正させたことについて、県内の市民団体が二日、記者会見し「検定結果は沖縄戦の実相をゆがめることであり、戦争の本質を覆い隠し、美化するものだ」と強く抗議した。文科相あてに、今回の修正指示の撤回と各会社が軍の関与を明記した申請段階の文章に戻すよう求めた。
 「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の共同代表の高嶋伸欣琉大教授、福地曠昭さんらが県庁記者クラブで会見した。
 高嶋教授らは、文科省が大阪地裁で係争中の訴訟で「『集団自決』で軍命はなかった」と述べた一方の当事者(原告)の主張を根拠に、教科書会社に申請内容の書き換えを要求したことについて、「裁判を恣意的に利用した。政治的な意図が見え隠れする」と批判した。その上で「原告らの主張する『集団自決』は、住民が国に殉じた犠牲的精神に基づき、自ら命を絶った美しい死であったとする一方的な歴史観だ」と指摘。その内容の教科書が全国の子どもたちに渡ることを絶対に許す事ができないとして、修正指示の撤回などを文科省に強く求めていく考えを示した。
 高嶋教授は「今回の教科書検定の理由は支離滅裂だ。文科省は教科書の検定基準や裁判を恣意的に利用している。追及しなければならない」と語気を強めた。福地共同代表は「子どもたちに事実と違うことを教えてはいけない。指導要領や教育方法は変わっても、沖縄から徹底的に平和教育を進めるべきだ」と語った。
 「すすめる会」は六日午後六時半から那覇市の教育福祉会館で緊急抗議集会を開く。三日午前には、沖教組と高教組が同クラブで抗議会見を開く。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704031300_01.html

2007年4月3日(火) 朝刊 27面
2万5000人結集へ気勢/嘉手納包囲
 【北谷】復帰三十五年の節目を迎え、五月十三日に米軍嘉手納基地を「人間の鎖」で包囲する5・13嘉手納基地包囲行動実行委員会は二日、北谷町の北谷町商工ホールで結成総会を開いた。平和運動センターの崎山嗣幸議長ら幹事団体の各代表十人を共同代表に選出し、スローガンなど包囲行動の要綱を採択した。
 嘉手納基地の包囲行動は、沖縄サミット開催に合わせて行われた二〇〇〇年以来、七年ぶり四回目。要綱によると、五月十三日午後三時から、同基地の周囲約十七キロを約二万五千人で包囲する。
 スローガンは(1)PAC3やF22戦闘機の配備など嘉手納基地の基地機能強化の反対(2)辺野古新基地など県内の基地移設反対(3)普天間飛行場の早期閉鎖と返還(4)北部訓練場のヘリパット建設の中止の四項目。
 崎山共同代表は「三十五年前、県民は平和への復帰を望んだはずが、基地を取り巻く現状は機能強化などわれわれの望みに逆行している。米軍再編や平和憲法の改正を見過ごすわけにはいかない」と訴えた。
 社大、社民、共産、民主の各政党や連合沖縄など十団体で構成する実行委員会の幹事団体代表は「米軍のやりたい放題を認めない」「次の世代へ平和を残すために行動を成功させよう」とそれぞれ決意を表明した。
 総会には県内の労組や平和団体などから約五十人が参加。ガンバロー三唱で気勢を上げた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704031300_03.html

2007年4月3日(火) 夕刊 5面
高教組・沖教組「歴史歪曲 許さぬ」/「集団自決」修正
 文部科学省が二〇〇八年度から使用される高校歴史教科書の検定で、沖縄戦で日本軍が住民の「集団自決」を強制したとの記述の修正を求める意見を付けたことについて、高教組と沖教組は三日午前、県庁記者クラブで会見し、「子どもに直接かかわるものとして、政治的意図で進められた今回の歴史歪曲を絶対に許すことはできない」と強く抗議した。同日付で伊吹文明文科相あてに検定意見の撤回を求める抗議文を送付することを明らかにした。
 会見した松田寛高教組委員長、大浜敏夫沖教組委員長らは、大阪地裁で係争中の「岩波・集団自決」訴訟が検定理由に挙げられていることを「『未確定なことを断定的に記述しているところはない』という自らが課した検定基準を逸脱している」と指摘。「日本軍の直接、間接的関与を否定し、沖縄戦の悲惨な歴史を美化することが今回の検定意見の狙いだ」と批判した。
 その上で、「今回の検定結果は『戦争のできる国民』を学校からつくり出そうとする動きだ」とし、「歴史の真実を伝えることが教師の責務であると確信している。今回の検定意見を直ちに撤回するよう強く求める」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704031700_02.html

2007年4月3日(火) 夕刊 4面
県内の基地被害調査/英国日本研のグレン氏
 【名護】沖縄の米軍基地について研究している英国立日本研究所所長のグレン・フックシェフィールド大学教授(57)が二日、米軍普天間飛行場代替施設の移設予定地の名護市辺野古や大浦湾を訪れ、住民らから基地被害や代替施設移設への不安を聞き取りした。グレン教授は「県民は、日常の中に基地があることのリスクを感じているようだ」と話した。
 グレン教授は反対派市民団体のメンバーから説明を受けた。その後、辺野古で座り込みを続ける住民らから聞き取った。
 住民からは住宅地上空を飛ぶヘリへの不安などが相次ぎ、「外国への抑止力のために基地が必要だというが、県民は基地があるリスクを負わされていると感じている」と語った。
 グレン教授は十二日まで滞在し、基地所在市町村を回り、基地の視察や周辺住民を調査する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704031700_05.html

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