那覇空港返還でも密約 日本が費用負担約束
沖縄返還協定締結直前の1971年6月、当時の山中貞則総理府総務長官(故人)がキッシンジャー米大統領補佐官(国家安全保障担当、当時)との会談で、当時米空軍基地だった那覇空港の米軍移転費用を日本政府が負担する用意があると伝えていたことが1日までに分かった。公開された米政府の機密電文に山中氏の発言内容があるのを我部政明琉大教授らが確認した。
復帰時の米軍移転費を日本側が負担する密約の存在は判明しているが、具体的施設についての提案が明らかになったのは初めて。我部教授は「移転費はこれまでに明らかになった密約の日本側負担金とは別に支払われたものだろう」と推測している。
機密電文は1971年6月3日付の米国務省発駐日米大使館あてで、6月1日に山中氏がキッシンジャー氏とワシントンで会談した概要を記載。その中で、山中氏は交渉の席上、「日本政府は那覇空港の日本への返還に伴って発生する費用を支える準備がある」と述べたと記されている。沖縄返還をめぐっては、密約負担分も合わせて3億9500万ドルを日本側が負担したが、今回、明らかになった公電は「このこと(山中氏の表明)と(日本政府との密約の)財政決着との関係ははっきりしない」とも述べており、那覇空港の米軍移転費用は3億9500万ドルとは別の負担金であった可能性が高い。
山中氏の発言部分は、機密保持の観点のためか、公電作成後に上から「×」をタイプしてあったが、判読可能で、我部琉大教授らが確認した。
我部教授によると、米側は移転費の支払いを日本政府に求めており、実際に日本の負担でP3対潜哨戒機は嘉手納基地、住宅はキャンプ桑江や牧港補給基地へと移転した。
(4/2 9:36)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22616-storytopic-3.html
「一方的な歴史観」 平和団体、文科省指示に抗議
文部科学省の歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決」の記述から「軍の強制」が削除されたことを受けて、「沖縄戦の歴史わい曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」と「大江健三郎・岩波書店沖縄戦裁判支援連絡会」のメンバーが2日、県庁で記者会見し、文科省に今回の修正指示を撤回するよう求めた抗議文を発表した。
抗議文で同メンバーは、これまでは日本軍によって強制された「集団自決」(集団死)が日本軍による住民虐殺の事実と併せて沖縄戦研究の定説として教科書に記述されてきたと説明した上で、「今回の検定結果は、住民が『お国のために』という犠牲的精神に基づき、自ら命を絶った美しい死であったという一方的な歴史観を押しつけるものである。これは沖縄戦の実相をゆがめるものであり決して許すことができない」と抗議した。
琉球大学教育学部の高嶋伸欣教授は、今回の検定結果について、大阪地方裁判所で係属中の大江健三郎氏と岩波書店を名誉棄損で訴えた原告梅澤裕氏の主張を持ち出している点を重視。「『軍命がなかった』という一方の当事者の主張に立脚したものであり、結論が出ていない事柄について断定的に記述しないという教科書検定基準に逸脱している」と指摘し、事実は事実として声を上げなくてはならないと述べた。
沖縄戦記録フィルム1フィート運動の会代表の福地曠昭氏は、「62年前の歴史がこれほどまでに曲げられることに対し憤りを感じる」と述べ、学校教育現場で子どもたちに沖縄戦の実情を教えるとともに、戦争の美化を阻止したいと語気を強め述べた。
同会は、文部科学省に対し今回の修正指示を撤回し、申請時の文章に戻すよう要求書を送付する。
注:高嶋伸欣教授の「高」は旧漢字
(4/3 9:38)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22650-storytopic-1.html
糸数氏で野党統一 7月参院選挙区
社大党が7月の参院選沖縄選挙区(改選一議席)への擁立を決めた同党副委員長の前参院議員・糸数慶子氏(59)について、社民党県連、共産党県委、民主党県連の野党各党は2日までに、社大の協力要請を了承した。糸数氏が野党統一候補となることが確定した。参院選沖縄選挙区は2期目を目指す現職の西銘順志郎氏(57)との一騎打ちとなる見通しだ。
社大党の喜納昌春委員長らは、先週から各党を相次いで訪ね、糸数氏擁立について報告するとともに、選挙区での協力を要請。社民は3月27日に要請を受け、同日三役で糸数氏推薦の方針を決めた。民主は3月29日の要請を受け、30日の常任幹事会で推薦方針を決めた。
2日の共産との会談では、無所属無会派の堅持や基本姿勢など参院補選での一致点を踏まえることを確認。共産は政策など調整した上で、補選終了後に正式決定する。
喜納委員長らは2日、連合沖縄に対しても協力要請した。連合沖縄は補選後に議論する方向だ。
(4/3 9:44)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22646-storytopic-3.html
高教組・沖教組 文科省に撤回要求
文部科学省の高校教科書検定を受け、沖縄戦の「集団自決」から「日本軍の強制」が削除、修正されたことについて、高教組と沖教組は3日午前、県庁記者クラブで会見し、「沖縄戦の歴史を歪曲(わいきょく)することで、戦争のできる国民を学校からつくり出そうとする動きである」と厳しく批判。文科省に検定意見の撤回を求める抗議文を発表した。
高教組の松田寛委員長は「戦争のできる国づくりに教育が使われていくことを大変危惧(きぐ)している。日本軍の関係を否定し、沖縄戦の歴史を美化する方向に流れていくことを危惧する」と危機感をにじませた。沖教組の大浜敏夫委員長は「教師は教科書を教えるのではなく、教科書で教える立場。沖縄戦の真実を教えたいという気持ちに揺るぎはない」と述べ、検定意見の撤回を求める全県的な運動の展開を呼び掛けた。
抗議文では、文科省が検定意見の理由に係争中の岩波「集団自決」訴訟を挙げていることについて「文科省自らが課している検定基準(未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと)を逸脱している」と抗議。「裁判自体に大きな影響を与えようとする政治的意図の表れとしか言いようがない」と懸念を示した。
第三次家永教科書裁判で「集団自決の原因については、日本軍の存在とその誘導」との最高裁判決が出ていることなどを指摘。「このような経過を無視し、現在係争中の裁判を利用することで、日本軍の直接間接的関与を否定し、沖縄戦の悲惨な歴史を美化することが今回の検定の狙い」とした。
さらに「『教え子を再び戦場に送らない』という強い決意のもと、沖縄戦の実相を通して歴史の真実を伝えることが教師の責務であると確信している」との決意を表明した。
(4/3 16:04)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22672-storytopic-1.html
基地のリスク痛感 英国国立研究所長、辺野古で聞き取り
東恩納事務局長(左から2人目)らから説明を受けるフック所長(左)=2日、名護市の長島
【名護】「基地とリスク」をテーマに聞き取り調査のため来県中のグレン・フック英国国立日本研究所長(シェーフィールド大学教授)は2日、名護市辺野古を訪れ、米軍普天間飛行場移設先の米軍キャンプ・シュワブを視察し、住民から話を聞いた。
フック所長はシュワブに近い長島へ渡り、基地を視察。ジュゴン保護基金委員会の東恩納琢磨事務局長がこれまでの基地建設計画の経緯や、V字形滑走路、辺野古の海の生態系などを説明し、基地の危険性を強調した。
その後、辺野古区で地元住民と面談。住民は射撃訓練の実態や、騒音被害、環境破壊など基地がもたらす被害を切実に訴えた。
フック所長は「一般的な日常生活のリスクとして、失業や年金問題、交通事故などがあるが、沖縄においては基地のリスクの大きさを痛感した。沖縄におけるリスクは公平でなく、県民は不平等を受けているという意識の高さを感じた」と感想を述べた。
フック所長は3月31日に来県し、1日には伊波洋一宜野湾市長らと面談。宮城篤実嘉手納町長らからも聞き取りを行う予定。
(4/3 16:07)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22673-storytopic-1.html
沖合案より範囲縮小 辺野古環境調査
【東京】北原巌男防衛施設庁長官は3日午後、衆院安全保障委員会で、米軍普天間飛行場移設先のキャンプ・シュワブ沖で行う環境現況調査(事前調査)の範囲に関し、SACO合意した沖合移設案の方法書で示された面積と比べ「宜野座村(松田)の方向が短くなっている」と述べ、従来案と比較し調査範囲が縮小していることを認めた。
那覇防衛施設局が県に示した「公共用財産使用協議書」によると、使用の場所は「名護市の嘉陽から名護市久志に至る間の地先まで」とされている。
さらに北原長官は使用面積について「3925平方メートル」と明らかにした。防衛施設庁施設部によると区域全域ではなく調査で実際に海底を使用する地点の面積の合計という。使用する面積が示されたのは初めて。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
「名護市が求めているV字案の沖合への移動ができる余地はないのか」という赤嶺氏の質問に対して、北原長官は「直接答えるのは差し控えたい」とした上で県に協議書を提出した際「名護市沿岸域の広い範囲で調査されるものであり、名護市の考えにも対応できるものである」とした仲井真弘多知事の談話を引用し、調査範囲に関しては名護市や県の同意を得ていることを強調した。
施設庁はこれまで現況調査に関し、1999年の合意案(従来の海上案)に基づいて、名護市の大浦湾から宜野座村の潟原までの海域で実施する意向を示し、県や名護市にも伝えていた。
県は現行の政府移設案の修正を求めており、修正前の環境影響評価(アセスメント)実施には難色を示している。
(4/4 9:51)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22682-storytopic-3.html