琉球新報 関連記事(3月30日?4月1日)

下地島空港利用を合意 防衛相「97―98年長官時」
 【東京】久間章生防衛相は29日午後の衆院安全保障委員会で、「屋良確認書」によって軍事使用が認められていない下地島空港(宮古島市)について「私が防衛庁長官、藤井(孝男)氏が運輸大臣の時、せめてスクランブルだけでもやったらどうかということで両省が合意したことがある」と明らかにした。「屋良確認書」に反する軍事使用の政府内合意が明らかになるのは初めて。下地幹郎氏(無所属)に答えた。
 自衛隊機によるスクランブル使用の合意は第2次橋本改造内閣(1997年9月―98年7月)でなされた。久間防衛相は「(下地島空港は)沖縄県が管理しており、県議会は民間しか使わせないという決議をしている。国が頭ごなしに(スクランブルで)使うということはできないという事情があり、断念した経緯がある」と述べた。
 下地氏は、嘉手納飛行場の周辺地域の負担軽減を理由に「下地島空港を日米共同で使い、嘉手納飛行場の訓練を移せば騒音は本当に減る」と述べ、政府の対応を求めた。
 下地島空港は米軍による軍事使用が懸念されたため、1971年に屋良朝苗主席が(1)下地島空港は琉球政府(県)が管理。使用方法を決定(2)本土政府は民間航空以外の目的に使用させる意思はない―とする公文書を日本政府に出し、政府も了承した。しかし、79年の開港以来、給油などを理由とした米軍機の飛来が繰り返されてきた。
(3/30 9:35)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22528-storytopic-3.html

教科書から「自決強制」を削除 文科省が修正意見
 【東京】文部科学省は30日、2008年度から使用される高校教科書の検定結果を公表した。日本史教科書では沖縄戦の「集団自決」(集団死)で日本軍による自決命令や強要があったとする5社、7冊に「沖縄戦の実態について誤解する恐れがある」として修正を求める初の検定意見が付いた。5社は検定意見に従い記述を修正した。同省は「日本軍による自決命令や強要が通説となっているが、近年の状況を踏まえると命令があったか明らかではない」としている。日本軍の関与について断定的表記はしないという教科書検定の新基準は議論を呼びそうだ。
 検定意見を受けたのは、山川出版社、東京書籍、三省堂、実教出版、清水書院の5社。
 昨年の検定まで、「集団自決」が軍の強制と明記した教科書も合格していた。
 今回の修正意見によって、山川出版社の教科書は「日本軍によって壕を追い出され、あるいは集団自決に追い込まれた住民もあった」と日本軍の関与を明記した記述から「日本軍に壕から追い出されたり、自決した住民もいた」に変更。軍の関与をあいまいした。
 実教出版の教科書は「日本軍は、県民を壕から追い出し、スパイ容疑で殺害し、日本軍のくばった手榴弾(しゅりゅうだん)で集団自害と殺しあいをさせ―」という記述を「日本軍は、県民を壕から追い出したり、スパイ容疑で殺害したりした。また、日本軍のくばった手榴弾で集団自害と殺しあいがおこった」と改めた。
 文科省は「集団自決」に対する初の検定意見について「近年、日本軍の命令や強要を否定、疑問視する学説や書籍が出ており、断定的記述には検定意見を付すべきだと判断した」と説明した。
 また、大江健三郎氏の『沖縄ノート』の「集団自決」に関する記述を「名誉を傷つけられた」として遺族が大江氏と出版元の岩波書店を訴えた裁判で、原告の元日本兵が「軍命令はなかった」と証言していることを考慮したとしている。
(3/31 10:01)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22560-storytopic-1.html

「岩波訴訟」原告意見も参考
 【東京】「集団自決」に関する歴史教科書の記述で初の検定意見を付した文部科学省は30日までに教科書各社の申請本を調査する上で参考とした主な書籍等の一覧を公表した。大阪地裁で争われている「沖縄集団自決えん罪訴訟」の原告の意見陳述を検定意見の参考資料としたことの是非について意見が分かれそうだ。
 教科書各社は昨年4月中旬、文科省に申請本を提出し、秋までに教科書審査官、専門委員が調査した。
 検定意見を教科用図書検定調査審議会に諮り、12月に教科書各社に検定意見を送付。今年2月までに各社の修正表が出そろった。審議会では今回の検定意見に対する異論はなかった。
 文科省は参考にした書籍により、教科書調査官が申請本の「集団自決」に関する記述が客観的にみて適正かを検討。「近年の沖縄戦資料を調べた結果、断定的記述を続けるのはどうか」(教科書課)と検定意見に至ったという。
 『沖縄ノート』(岩波書店)をめぐる裁判で「命令はなかった」とする原告の意見陳述を参考としたことについて「現時点で司法判断は下っていないが、当事者本人が公の場で証言しており、全く参考にしないというわけにはいかない」(同)と説明する。
 文科省は検定意見について「断定的記述の修正は求めたが、集団自決における日本軍の命令や強要の有無に関して全く記述してはいけないということではない。いろんな記述は可能だ」と強調する。
 しかし、検定意見を付された5社7冊は日本軍の関与を削除しており、なぜ「集団自決」が起きたのか分かりにくい記述となった。
(3/31 10:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22563-storytopic-1.html

「事実打ち消せない」 教科書自決強制削除
 地獄絵図の地上戦があった沖縄戦の悲惨さの象徴とも言える住民の「集団自決」。これまで日本軍の強要を明記していた高校教科書が、国の検定意見によって軍の関与を薄めるよう修正された。「これは歴史の改ざんだ」。軍の関与を糾弾してきた体験者たちは、やり場のない怒りに身を震わせた。教育基本法改正や憲法の改正の動き、防衛省発足、そして検定意見。国は歴史を逆戻りさせる道へさらに一歩を踏み出したかのようだ。「二度と同じことを繰り返したくない」。体験者、県民の思いは、国の大きな意志にまたも踏みにじられた。
 沖縄戦時下の渡嘉敷島(渡嘉敷村)で自らの命を絶ったり、肉親に手をかける集団自決(集団死)を体験し、国や日本軍のかかわりを糾弾してきた沖縄キリスト教短期大学名誉教授の金城重明さん(78)=与那原町=は検定結果について「教科書の改ざんは歴史の改ざんだ。打ち消せない事実を隠ぺいするものだ」と厳しい表情で語った。
 金城さんは日本軍の集団自決への関与の記述が修正されたことを「まったく間違いだ」と批判。母親や弟妹を手に掛けた体験から「皇民化教育で『鬼畜米英』の思想や生きて虜因の辱めを受けずの軍人精神が住民に強要され、生きるのが恐ろしいという心境に誰もがなった。軍がいなければ追いつめられなかった。現に慶良間の集団自決は日本軍が駐留した所でしか起きていない」と指摘した。
 これまで県外の修学旅行生にも体験を語ってきた。その生徒らが学ぶ教科書が金城さんの体験を打ち消そうとしていることに金城さんは「国は間違った方向に導いてはいけない。体はきつくなってきているが、声を上げていきたい」と力を込めた。
 慶留間島(座間味村)の集団自決の生き残り体験を語ってきた元座間味村長の與儀九英さん(78)=沖縄市=は「現場の声を聞かず、戦争(体験)を学者や研究者が理屈で創作するのはおかしい。10年、20年後に沖縄戦(の実態)はなくなる」と激しく非難した。「集団自決に至る戦前の教育など、背景を掘り下げれば軍の指揮系統は見えてくるはずだ。軍命とは何かの定義をはっきりさせるべきだ」と指摘した。
 慶良間諸島の集団自決をめぐる「岩波裁判」も進む。與儀さんは「当時の兵事主任や村長が生きている間に、彼らが日本軍の手足となっていたことが証明できていれば…」と悔しさをにじませ、「沖縄戦研究者の責任は大きい。裁判は立証の最後のチャンス。学者はもっと掘り下げて発信すべきだ」と訴えた。
 15歳で慶留間島の集団自決を体験した中村武次郎さん(76)は「日本軍の兵隊は『いざというときは来たらいいよ』と言っていたのに、米軍が上陸する際は逃げていなくなった。自分たちの場合は、道具を使わずに手で首を絞めた」と当時の状況を振り返った。集団自決が日本軍によるかについては「昭和19年に隊長が島に来て島民400人を運動場に集め訓示したが内容は覚えていない」と複雑な思いを述べた。
(3/31 10:05)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22562-storytopic-1.html

普天間代替「変更あり得ない」 メア米総領事が発言修正
 ケビン・メア在沖米国総領事は30日午後、米軍普天間飛行場代替施設建設で地元の意向に配慮する必要性に言及した28日の自身の発言について、誤解されているとした上で「滑走路を可能な限り海側に位置することで日米は既に合意した。その位置に何ら変更があり得るとは考えていない」と言葉を補った。
 この発言修正ともとれる行動に県首脳は「反響が予想より大きすぎて、打ち消しにかかったのだろう。だが前から言っていることと変わっていない。われわれも再協議しろと言っておらず、詳細設計を確定する行為は必要だ。(28日の発言で)気持ちは通じている」と楽観的な展望を語った。
 メア総領事は28日の記者団とのインタビューで「普天間代替施設計画を実行しながら、できるだけ沖合に寄せてほしいという地元の意見を十分配慮し、できるだけ沖合に寄せる必要があると認識した上で計画を確定しようと考えている」と述べていた。
(3/31 10:12)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22565-storytopic-3.html

真実見る大切さ訴え 平和の島をつくるシンポ

「平和の島沖縄をつくるシンポジウム―憲法を生かしウチナー魂を発揮しよう」で意見を述べるパネリストら=31日、那覇市泉崎の琉球新報ホール
 憲法九条の改正に反対し、平和な沖縄をつくろうと2007「平和の島沖縄をつくるシンポジウム―憲法を生かしウチナー魂を発揮しよう」(同実行委員会主催、琉球新報社共催)が31日、那覇市泉崎の琉球新報ホールで開かれ、基調講演や憲法九条についての意見交換が行われた。
 憲法九条・メッセージ・プロジェクト代表の安斎育郎さんは基調講演で、スプーン曲げのマジックを披露し、会場からの拍手に「デパートで600円で売っている。目で見ながら真実が見えていない」「国がうそをつくはずがないという思い込みを警戒しなければならない」と指摘した。
 安斎さんは「大量破壊兵器があるからと始まったイラク戦争も結局兵器は見つからない。大義はなくなったのに戦争は続いている。戦争はだましで始まりずっと続く」と語り、「憲法改正も都合のいいところだけを見せ、全体がうまい話のように思わせる。徹底して見ることを心掛けなければならない」と訴えた。
 シンポジウムでは、垣花豊順琉球大学名誉教授が日本国憲法と明治憲法の相違点などを説明、南風原町憲法九条の碑建立期成会の金城義夫会長は除幕式を5月に予定することなどを報告した。若者を代表し、城間陽介さんは、憲法改正について「不戦の誓いが破られようとしている。歴史から学ばなければいけない」と発表した。
(4/1 9:49)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-22591-storytopic-1.html

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