沖縄タイムス 2007年5月1日(火) 朝刊 1面
国民保護計画策定3割 県内市町村
全国の3分の1
戦争やテロなど有事の住民避難に備える国民保護法制で、国が目標とした三月末までに国民保護計画を策定したのは県内で十三市町村と、全体の三割にとどまることが分かった。全国の九割に比べると、慎重さが目立つ。国や県への協力が義務付けられる民間の指定地方公共機関は、全体の六割に当たる十五法人が国民保護業務計画を作成した。当初指定に難色を示した民放も、五社のうち二社が作成した。
計画を策定した十三市町村のうち、離島があるうるま、本部、渡嘉敷、座間味、粟国、南大東、伊是名、久米島の八市町村はすべて、全島民の島外避難を想定。米軍牧港補給地区を抱える浦添市は、「基地従業員や米軍人・軍属の家族が基地外に避難の場合、迅速な対応が課題」とした。
米原子力潜水艦が寄港するホワイトビーチや石油コンビナートがあるうるま市は、避難の準備から実行、復興まで段階ごとのマニュアルを独自に添付した。避難所では通常の食料に加えて離乳食やおかゆも用意、遺体安置に備えてひつぎやドライアイスを準備するなど、詳細に定めている。
このほかに那覇市、糸満市、南城市、嘉手納町が国民保護計画を策定した。策定していない二十八市町村のうち、宜野湾、石垣、沖縄、読谷、北中城の五市村では前提となる条例も成立しておらず、時期のめどが立たない。
一方、指定地方公共機関では県医師会、沖縄ガス、琉球エアーコミューター、海運八社、県トラック協会、沖縄セルラー電話が国民保護業務計画を作成し、県に報告した。
警報の放送が義務付けられる民放五社のうち、沖縄テレビ放送とFM沖縄も計画を作成。いずれも民放連のモデルに沿って、「いかなる緊急事態にあっても市民の基本的人権および知る権利を守り、自由で自律的な取材・報道活動を貫く」と明記した。特に沖縄テレビは独自に「多くの住民の犠牲が出た沖縄戦の反省」を盛り込んだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705011300_01.html
沖縄タイムス 2007年5月1日(火) 朝刊 2面
普天間移設 反対決議を撤回へ/辺野古区
【名護】米軍普天間飛行場移設予定地、名護市辺野古区の大城康昌区長は四月二十九日、区の最高意思決定機関である同区行政委員会(宮城利正委員長)に対し、一九九九年に代替施設のヘリポート陸上案と埋め立て案に反対した決議について撤回するよう提案した。同日の二〇〇七年度区民総会で明らかにした。反対決議の撤回を同区区長が明言したのは初めてで、行政委で決議が撤回されれば、移設作業にも影響を与えるとみられる。
大城区長は、名護市がV字形滑走路案に合意し、市や県が同案を基本に進めている現状を指摘。「一九九九年の反対決議は現状にそぐわなくなっており撤回する」と話した。その上で「反対決議を撤回するからには、久辺三区や二見以北十区がこれまで求めてきた、(地域活性化事業などの)条件をしっかり実現してもらわなければいけない」として、名護市と協議して、国に振興策などを要望していく考えを示した。総会には、区民約二百四十人が参加したが、特に異論は出なかったという。
五月から新役員体制になる行政委は、区長の方針を受けて近く決議撤回に向けて審議する予定。宮城安秀副委員長は「区長が出した方針であり、行政委としてはそれを全面的に支援していくことになると思う」と話し、決議撤回という区長の方針を支持する姿勢を見せている。
県が普天間飛行場の移設候補地に、辺野古区を最有力候補としていた九九年九月、同区はヘリポート建設による危険性の増大や騒音被害の拡大、環境破壊への影響を懸念して、陸上案と埋め立て案の両案に反対する決議をした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705011300_04.html
沖縄タイムス 2007年5月1日(火) 夕刊 1面
F15移動中前脚折る 嘉手納
基地報道部「調査中」
【嘉手納】米軍嘉手納基地で一日午前十時ごろ、同基地所属のF15戦闘機一機が同基地滑走路に向けて移動中に前輪脚(ノーズギア)が折れ、機体前部を滑走路に付けて停止した。事故原因など詳しい状況は不明。午後一時現在、同基地報道部は「事故による滑走路閉鎖はない。原因は調査中」としている。
消防車などの緊急車両が行き交ったほか、迷彩服姿の約三十人の米兵が機体を取り囲んで作業するなど、現場は緊迫した雰囲気に包まれた。目撃者によると、午前十一時十分ごろに同機のものとみられる折れたノーズギアやタイヤを運ぶ様子が確認できた。
同機は午前十時すぎ、南側滑走路東側の待機場所に向かう際、事故を起こした。事故後、操縦士一人が機体を降り、他の米軍要員とともに機体周辺で待機。約五分後、消防車など数台が周囲を取り囲み、迷彩服を着た米軍要員約三十人が周辺で機体を見守っていた。
事故当時、南側滑走路の待機場所には四機のF15戦闘機が待機していたが、約十分後、離陸を取りやめ、格納庫へ戻った。
事故直後にKC135空中給油機やF15が離着陸した。同基地に一時配備中の最新鋭のステルス戦闘機F22四機も同十時五十分ごろ離陸した。
嘉手納町は同基地に事故原因など詳細を問い合わせており、「事実関係を確認後、今後の対応を検討したい」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705011700_03.html
米F15前輪折る 滑走路へ移動中前のめり
前のめりになった状態で止まったF15戦闘機。機体の周辺には米兵が集まった=1日午前11時5分ごろ、嘉手納基地
1日午前10時すぎ、米軍嘉手納基地で、離陸のため駐機場から滑走路に向かって移動していた同基地所属のF15戦闘機が、滑走路手前の東側で前輪が折れ、機首部分を路面に接触させて前のめりの状態で停止した。緊急車両数台が機体周辺に駆け付け、操縦士を救助した。原因は不明。午後零時15分現在も、機体はそのままの状態で置かれている。
嘉手納飛行場は現在、北側滑走路が補修中のため、南側滑走路一本だけが使用可能になっている。事故後も他のF15は離陸している。
目撃者によると、滑走路東側で離陸前の最終点検をしたF15が滑走路方向に進んでいる途中で前のめりの状態で停止した。消防車両を含む緊急車両数台が駆けつけ、一時は騒然となった。
操縦士は緊急車両で駆け付けた救助員によって救助されたが、けがをした様子は確認されていない。機首の接地で火災などは発生していない。
事故機は昨年の機種更新で同基地に配備されていた。1984年製とみられる。
(5/1 16:03) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23435-storytopic-1.html
沖縄タイムス 2007年5月2日(水) 朝刊 23面
「F15は欠陥機」怒り/周辺首長撤退要求
【嘉手納】米軍嘉手納基地で一日午前、前輪脚(ノーズギア)を折り、機体前部を滑走路上に付けたままで停止したF15戦闘機の事故で、事故機は同日午後五時五十分ごろ、けん引され格納庫に入った。相次ぐF15戦闘機のトラブルに同基地に隣接する沖縄市、嘉手納町、北谷町の首長は一斉に反発。「あらためて撤退を訴えていきたい」などと怒りをあらわにした。
F15戦闘機は昨年一月に伊計島沖に墜落したほか、同三月と八月にはフレア照明弾を誤射。同五月には着陸時に滑走路から外れ、脇の緑地帯に突っ込んだ。米空軍F22Aラプターと空自の共同訓練が実施された四月二十八日にも緊急着陸した。
多発するF15戦闘機の事故。地元、嘉手納町の宮城篤実嘉手納町長は「さまざまなトラブルを発生させている戦闘機が嘉手納基地に常駐している現状は、地域に不安を与えている」と指摘。今回の事故については「離陸する直前に故障が分かり、地域に被害を与えるという大事には至らずに済んだが、今後もF15の撤退を訴えていきたい」と述べた。
「F15は欠陥機」と憤る野国昌春北谷町長は「もし離陸後に発生していたら大きな事故につながっていた」と話した。
東門美津子沖縄市長は「これまでにも事故が発生するたびに再発防止と安全管理を徹底するよう強く申し入れてきたが改善が見られない。緊張感が足りないのではないか」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705021300_03.html
沖縄タイムス 2007年5月2日(水) 朝刊 23面
投票法に反対声明/9条の会沖縄
憲法「改悪」に反対する市民団体「第9条の会・沖縄うまんちゅの会」は一日、県庁で記者会見し、憲法改正手続きを定める「国民投票法」の制定に反対する声明を発表した。同法案は今国会で成立する見通し。共同世話人代表の安里要江さんは「日本が再び戦争をしないためにも平和憲法を守らなければならない」と訴えた。
声明では与党が衆院で審議を十分尽くさないままに強行採決したことを批判。「戦争をやれる国」へと日本を変えようとしていると強く抗議した。
同法が制定された場合、「与党の計画通りに憲法改悪が強行される。基地の島沖縄が侵略戦争の出撃基地としてますます強化されていくことは火を見るより明らかだ」と指摘。「いまこそ全国民が憲法改悪・国民投票法制定反対の声を上げるべき時だ」と訴えている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705021300_10.html
「普天間」は合意通りに 日米安保協議委
【東京】日米安全保障協議委員会では1日、2006年5月に合意した在日米軍再編の最終報告(ロードマップ)に沿って、米軍普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設など米軍再編を着実に進めていく意向を再確認した。
普天間飛行場代替施設の滑走路に関し、名護市や県が沖合へ寄せるよう求めている修正について言及はなかった。米軍普天間飛行場の危険性除去に関する抜本的な解決策にも触れられなかった。
目標の14年までに普天間飛行場代替施設を完成させることが、在沖米海兵隊のグアム移転や嘉手納飛行場より南の施設返還など再編全体の成功の「鍵」になることも強調された。
共同発表では合意後、1年間の取り組みが進展として評価された。評価事項として挙げられたのは(1)2006年6月、日米合同委員会内に在日米軍再編総括部会を設置(2)普天間代替施設の環境現況調査開始(3)在沖米海兵隊のグアム移転に向けた協力―など。
グアム移転に関しては(1)米国の環境影響評価手続きの開始(2)国際協力銀行(JBIC)が資金の出資などの業務を行う米軍再編推進法案の国会提出―などが掲げられた。
さらに、1996年に合意された日米特別行動委員会(SACO)の最終報告に関し、06年9月の瀬名波通信施設、同年12月の楚辺通信施設、読谷補助飛行場の返還が進展したとして評価された。
(5/2 9:47) 琉球新報
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23441-storytopic-1.html