沖縄タイムス 関連記事(4月16日?18日)

2007年4月16日(月) 朝刊 22面
ヘリ墜落死の4人悼む/陸自が葬送式
 陸上自衛隊第一混成団(那覇市)の第一〇一飛行隊の輸送用ヘリが急患搬送に向かう途中で鹿児島県・徳之島の山中に墜落し、乗員四人が死亡した事故で、四人の葬送式が十五日、同飛行隊の格納庫で開かれ、参列した遺族や安倍晋三首相、久間章生防衛相らが冥福を祈った。
 四人は機長の建村善知一佐(54)、副操縦士の坂口弘一二佐(53)、整備員の岩永浩一曹長(42)と藤永真司曹長(33)。事故のあった三月三十日付で二階級特別昇任した。
 安倍首相は「極めて過酷な状況の中、身の危険を顧みず、患者救命を第一に最後まで任務を完遂しようと務められた」と四人の死を悼んだ。
 遺影が置かれた祭壇に、出席した同僚ら約千百人が献花。遺族代表が「それぞれの職務に応じて精いっぱい生きた」とあいさつして亡きがらを見送った。
急患搬送任務早期に再開へ
武内団長着任会見
 陸上自衛隊第一混成団の武内誠一団長(陸将補)が十五日、那覇駐屯地内で着任会見を開いた。武内団長は、同混成団第一〇一飛行隊の輸送用ヘリが急患搬送に向かう途中で墜落した事故について「四人のかけがえのない隊員を失ったことは残念でならない」と哀悼の意を表した。その上で、事故以降休止している同隊の急患搬送任務をなるべく早期に再開する意向を示した。武内団長は四月一日に着任した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704161300_09.html

2007年4月16日(月) 夕刊 1面
未明70デシベル超6600回/嘉手納基地06年度
屋良3900回で最高
 【嘉手納】嘉手納町基地渉外課は十六日までに、米軍嘉手納基地周辺三地点で実施している騒音測定の二〇〇六年度調査結果をまとめた。約一メートル離れた場所の電話のベルに相当し、多くの人が不快を感じる70デシベルを超える騒音は合計七万八千二百五十回で、対前年度で百五十六回減少。一方で、滑走路に最も近い屋良地区では、日米の騒音防止協定で基地の運用が制限されている深夜早朝(午後十時―翌日午前六時)に過去最高となる三千九百十二回の騒音を計測した。
 深夜早朝に発生した騒音の三地区総数は六千六百六十回で、前年度に比べ七十四回増加。〇二年度の六千八百四十六回に次いで、二番目に多い数値となった。
 滑走路から約六百メートルに位置する屋良地区は、全体の49%を占める三万八千七百三十一回(前年度三万七千八百七十七回)。そのほか、嘉手納は二万千三百十五回(同二万二千四十七回)、兼久地区は一万八千二百四回(同一万八千四百八十二回)だった。
 また、深夜早朝の騒音増加に伴い、「眠れない」「爆音で目が覚めてしまった」など、住民から町に寄せられた苦情も過去最多の百五十件に上った。
 深夜早朝の騒音増加について同課は昨年五月、七月に相次いだF15戦闘機の未明離陸、屋良地区に近い海軍駐機場でのP3C対潜哨戒機のエンジン調整音などが原因とみており、「騒音防止協定で定める深夜、早朝の飛行禁止条項を順守すべきだ」としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704161700_02.html

2007年4月16日(月) 夕刊 1面
投票・再編法案 強行採決に抗議/平和運動センターが集会
 憲法改正手続きを定める国民投票法案と米軍再編推進法の衆院可決に対して、沖縄平和運動センターは十六日昼、那覇市の県庁前県民広場で緊急抗議集会を開いた。百人以上が集まり、「戦争国家への道を許さない」と怒りの声を上げた。
 国民投票法案について、崎山嗣幸議長は「憲法九条を改変し、日本を戦争に引きずり込む安倍内閣の超タカ派的体質の表れだ」と非難。照屋寛徳社民党県連委員長は衆院での委員会審議について、「定足数を満たすのは開会直後だけで、与党の多くが(委員会室から)いなくなる」と不十分さを批判した。
 沖縄九条連のダグラス・ラミス共同代表は「自民党の新憲法案は戦争をするだけでなく、大日本帝国憲法下のように国民(の意識)をつくり直すのが目的だ」と指摘。居合わせた修学旅行生たちに「憲法問題に関心はないかもしれないが、その生活も今の憲法が守ってくれている」と訴えた。
 米軍再編推進法案に対しても、「グアムの移転費用の積算根拠もない」「アメとムチの手法にウチナーンチュの怒りを」などと批判が相次いだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704161700_03.html

2007年4月17日(火) 朝刊 27面
市民団体「世論あれば撤回可能」/教科書検定
 沖縄戦「集団自決」の記述に関する教科書検定問題で、「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」の高嶋伸欣共同代表=琉大教授=らは十六日、県庁で会見し、文部科学省による修正意見の撤回を求める県民大会の開催を呼び掛けていく方針を明らかにした。高嶋代表らは同省が過去に検定意見を修正した事例があることを指摘し、「沖縄戦を正しく伝えるには世論の盛り上がりが必要だ」と訴えた。
 同会は、各種団体や政党に呼び掛けて六月二十三日の慰霊の日の前に県民大会を開催する計画だ。県議会や市町村議会にも陳情や意見書を出し、協力を求めることにしている。
 高嶋共同代表によると、文部省(当時)が、一九八一年に検定でいったんは削除した公害企業名を世論の批判などを受けて訂正し、復活させたケースがある。高嶋共同代表らは「(『集団自決』に関し軍命があった)沖縄戦の実相を正しく伝えるために、県民世論を盛り上げて、教科書ができる前に修正意見を撤回させよう」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704171300_03.html

2007年4月18日(水) 朝刊 29面
教科書検定「教育の押し付けだ」/教職員OBら戦争美談化を危ぐ
 【北谷】沖縄戦の集団自決に関する高校教科書の記述で、文部科学省が軍の関与について修正を求めていることに反対する「四・一七沖縄戦の歴史歪曲を許さない教職員・OB緊急集会」(主催・高教組、沖教組、民主教育をすすめる沖縄県民会議)が十七日夕、北谷町のちゃたんニライセンターで開かれた。四百八十人が参加し「教育が一方的な考えを押し付けることはあってはならない」とする集会アピールを採択。あらためて検定意見の撤回を求めた。
 集会で沖教祖の松田寛委員長は「日本軍という主語がなくなることで、教科書が“美しい死”に書き換えられることは火を見るより明らか。史実を否定することに沖縄から反対の声を上げていこう」と呼び掛けた。
 講演した沖縄戦体験者の與儀九英さん(元座間味村長)は「慶留間島で玉砕命令を受け、子どもたちが日本国民だから自決しようと話していた。教育の恐ろしさはこういうところ」と自身の経験を語った。高嶋伸欣琉大教授は「教科書の歪曲は見過ごせない。なぜ黙っていたかと次世代に言われかねない状況の中、みんなで考えなければならない」と訴えた。
 参加した金城美佐子さん(56)=糸満市=は「県民、教師として納得いかない。上から教育を押し付けられる恐ろしいことを防がなければいけない」と話していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704181300_02.html

2007年4月18日(水) 夕刊 5面
県内首長ら惜しむ声/長崎市長死亡
 銃撃された長崎市の伊藤一長市長が死亡した事件を受け、仲井真弘多知事は十八日午前、哀悼の意を表明した。「伊藤市長は、平和の発信ということでは沖縄とのかかわりもあり、平和を希求することの大切さを訴えていた。心よりご冥福をお祈り致します」とコメントを発表。さらに「いかなる理由であれ、暴力は卑劣な行為。民主主義を否定するものであり、絶対に許すことはできない」とした。
 平和学習で長崎に生徒らを派遣している県内関係自治体の首長らからも驚きと怒りの声が上がった。「沖縄市平和大使」として今年八月、市内の中学生を長崎へ派遣する東門美津子沖縄市長は「伊藤市長は核廃絶運動など、世界平和の実現に向けて尽力されている方。暴力で言動を阻止することは法治国家で絶対にあってはならない。強い怒りを覚え、非常に悲しい」とコメントした。
 毎年、広島と長崎に中高生を派遣している北谷町。派遣は一九九五年から始まり、長崎については昨年までに中学生三十四人を送っている。野国昌春町長は「長崎に行った子どもたちもショックを受けていると思う。民主主義を暴力で否定するもので、断じて許せない」と怒りをあらわにした。同町長は伊藤市長が会長を務める日本非核宣言自治体協議会幹事。「昨年、協議会総会で会った。平和に対する思いが非常に強い方だとお見受けした。残念だ」
 同協議会メンバーの安田慶造読谷村長は「これだけ平和に力を入れている人が狙われたということは、核問題をはじめとする平和運動に大きな影響が出るのではないか」と懸念を表明した。
 県内在住の被爆者でつくる県原爆被爆者協議会(被爆協)の安里盛繁理事長(78)=宜野湾市=は「核廃絶運動に力を注ぎ、被爆者にとって大切な人。昨年十一月、国民保護法案についても、これでは長崎市民は守れないと長崎市独自の保護法をつくりたいと意欲的だったのに残念だ」と声を落とした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704181700_02.html

2007年4月18日(水) 夕刊 4面
辺野古座り込み3周年/28日にシュワブ包囲行動
 【名護】「日常の生活に戻りたいが、移設を断念させるまではやめるわけにはいかない」。米軍普天間飛行場の名護市への移設問題で、代替施設建設に反対する住民や市民団体らが、移設先に隣接する同市辺野古で座り込み運動を始めて十九日で三年がたった。ヘリ基地反対協議会は二十八日午後二時から、座り込み三周年の取り組みとして代替施設建設に伴う海域での現況調査に反対するため、市民団体などに呼び掛け、キャンプ・シュワブを「人間の鎖」で包囲する。
 座り込みは、那覇防衛施設局が辺野古沖案のボーリング地質調査に向けた現地作業に着手した二〇〇四年四月十九日から始まった。
 昨年は、政府と名護市、宜野座村がキャンプ・シュワブ沿岸部に滑走路をV字形に建設する案を基本合意、日米両政府が在日米軍再編の最終報告に合意するなど移設問題は新たな局面に突入した。代替施設の建設に伴うシュワブ内の兵舎移転に関する文化財調査では、ゲート前で反対活動を行う住民らに、初めて機動隊が投入され逮捕者も出た。しかし、反対派住民の新たな基地を造らせないとの思いは変わらない。辺野古漁港近くのテントでは、住民や市民団体のメンバーらが座り込みを続けている。政府は周辺海域で、移設作業に伴う現況調査に必要な「公共用財産使用協議書」を県に提出した。
 平和市民連絡会の平良夏芽共同代表は「政府は米軍再編を進めようと、かなり強引に事を進めようとしている。二〇一四年までに移設を終えたいとの思いもあるのだろうが、絶対に阻止するという覚悟で活動を続ける」と訴える。一方で、「県民の世論を高めるような活動をしていかないといけない」とも話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704181700_03.html

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