沖縄タイムス 関連記事(4月14日?16日)

2007年4月14日(土) 朝刊 1・2面
米軍再編法案 衆院可決/野党側、強く反発
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」が十三日午後の衆院本会議で採決され、自民、公明の与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。これにより法案の今国会での成立は確実な情勢となった。与党側は「十分な審議時間を経た」と本会議採決の理由を説明するが、野党各党は「審議不十分」として強く反発している。
 法案は二○一七年三月末までの時限立法で、再編に関係する自治体に(1)再編計画受け入れ(2)環境影響評価の着手(3)施設整備の着工(4)工事完了・運用開始―の四段階で交付金を上積みする制度を新設。負担が重い市町村には公共事業での国の補助率をかさ上げするほか、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設定する。
 採決前の討論で寺田稔氏(自民)は、安全保障委員会での総審査時間が「十七時間五十分」に上り、昨年の臨時国会で成立した防衛省昇格関連法の時の「十四時間二十一分」を上回っていることを強調。民主党が十三日の同委員会の締めくくり質疑を欠席し、採決だけに臨んで反対したことについて「政党としての説明責任を果たしていない」と批判した。
 一方、民主党「次の内閣」の笹木竜三防衛相は、同委員会での審議で再編計画の全容や財政負担の具体的な中身が示されなかったことに「国民への説明の姿勢が完全に欠落している。財政規律のかけらもない」と反発。
 赤嶺政賢氏(共産)は「審議は全く不十分。交付金は地方を金の力で分断、懐柔し、基地強化を押し付けるものであり、関係自治体と住民を愚弄するものにほかならない」と廃案を訴えた。
 赤松正雄氏(公明)は在沖米海兵隊のグアム移転について「(移転費用の)日本負担は極めて異例であることから、懸念する声があるのは当然」としつつ、「国際協力銀行の融資で行い、回収されることから、おおむね妥当と判断した」と理解を示した。
 日森文尋氏(社民)は「自治体の合意を金で買う、買収行為まがいの手法にほかならない。地方自治を破壊し、国際安全保障環境を悪化させる」と指摘した。
     ◇     ◇     ◇     
県関係議員
 【東京】在日米軍再編の協力に応じた地方自治体への交付金支給を柱とした「米軍再編推進法案」が衆院を通過した十三日、県関係の衆院議員七人から賛否両論が挙がった。自民党は新たな基地負担を受ける市町村への振興策に当たる交付金を評価する一方、「必要だが好きな法律ではない」(嘉数知賢氏)と複雑な心境を明かす議員も。野党は「出来高払い」の制度を念頭に「ムチと麻薬だ」(共産党の赤嶺政賢氏)と痛烈に批判した。
 安次富修氏(自民)は「SACO(日米特別行動委員会)でも移設できなかった普天間飛行場を動かす法律だ」と可決を評価。西銘恒三郎氏(同)も「国の安全の根幹にかかわる基地を受け入れる自治体のための交付金制度は、政治の現実としてあり得る」と述べた。
 嘉数氏は「沖縄の負担軽減となるように提案された」としながらも「協力的な自治体には交付金を出すが逆の場合はそうではない」と述べ、法律の運用の在り方を見守る考えを強調。
 仲村正治氏(自民)は「沖縄で基地の整理・縮小を進めるため必要だが、実施段階で県民の意思が反映されるか見極め、言うべきことは言っていく」とくぎを刺した。
 照屋寛徳氏(社民)は「日米合意案を無条件に受け入れる自治体だけに交付金を支払うのは再編実現に向けたどう喝だ」と問題視。
 赤嶺氏は、在沖米海兵隊のグアム移転経費を日本側が一部負担することに「外国に基地を造るため国民の税金を使うのは憲法の精神から許されない」と述べた。
 下地幹郎氏(無所属)は「米軍再編に伴う基地負担の軽減と新たな防衛戦略は、必ず沖縄にとってプラスになると信じて賛成した」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704141300_02.html

2007年4月15日(日) 朝刊 1・3面
「普天間」争点 きょう告示/宜野湾市長選
 【宜野湾】任期満了に伴う宜野湾市長選が十五日、告示される。投開票は二十二日。無所属で二期目を目指す現職の伊波洋一氏(55)=社民、社大、共産、民主推薦=と、無所属新人で前市教育委員会教育部長の外間伸儀氏(59)=自民、公明推薦=が出馬を表明、激しい選挙戦が予想される。
 争点は市域の四分の一を占める普天間飛行場問題や経済振興、教育・福祉施策など。選挙結果は同飛行場の移設問題にも影響を及ぼすとみられる。両氏は十五日午前八時半から、それぞれの選対事務所前で出発式を開く。同市の選挙人名簿登録者数は十四日現在で六万七千六百六十九人。
 伊波氏は一九五二年生まれ。琉球大学卒。七四年宜野湾市役入り。市職労委員長や中部地区労事務局長を経て九六年から県議二期七年。二〇〇三年同市長選に初当選。同市嘉数出身。
 外間氏は一九四七年生まれ。和歌山大学卒。七二年宜野湾市役所入り。福祉部長や企画部長などを歴任し、〇六年十二月に同市教育委員会教育部長で退職。うるま市与那城平安座出身。
     ◇     ◇     ◇     
普天間移設先に違い/伊波・外間氏アンケート
 【宜野湾】十五日告示される宜野湾市長選で沖縄タイムス社は立候補する伊波洋一、外間伸儀の両氏にアンケートし、互いの政策を比較した。最大の争点となっている普天間飛行場問題は一日も早い危険性除去では一致しているものの、移設先へのスタンスに違いが表れた。
 日米特別行動委員会(SACO)合意で、キャンプ瑞慶覧の普天間ハウジング地区への移設が盛り込まれた米海軍病院について、伊波氏は反対、外間氏は容認の立場。
 経済振興では、伊波氏は企業誘致による波及効果や雇用確保を強調。外間氏は高率補助の公共事業で活性化を目指すとしており、両者の違いが鮮明になっている。
 福祉施策は伊波氏が中学校卒業までの入院医療費の無料化などを明言。外間氏は各小学校区に児童センターを配置する、としている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704151300_02.html

2007年4月16日(月) 朝刊 1・22面
外間・伊波氏一騎打ち 宜野湾市長選
 【宜野湾】任期満了に伴う宜野湾市長選が十五日告示され、無所属新人で前市教育委員会教育部長の外間伸儀氏(59)=自民、公明推薦、二期目を目指す無所属現職の伊波洋一氏(55)=社民、社大、共産、民主推薦=が立候補を届け出た。普天間飛行場の移設先、経済活性化などが主な争点。投開票は二十二日。同市の選挙人名簿登録者数は、十四日現在で六万七千六百六十九人。
 外間候補は同市真志喜の選対本部前で開かれた出陣式で「地域を回ると市民から『市政を変えてほしい』と言われる。停滞した宜野湾市を、私が変えてみせる」と述べた。
 普天間問題については「危険性除去など市民の生命、財産を守ることは市長の責務。国、県と連携し、一日でも早く返還を求める」と強調した。
 伊波候補は同市野嵩の選対本部前での出発式で、「普天間飛行場を返還させ、未来にはばたく市をつくる」と訴えた。
 普天間問題については「米国では住民被害を受ける基地は存在できない。日本政府は反対の声に耳を貸さず容認している。県内移設ではなく、グアムや米本土へ移すのが私たちの声だと日米両政府に訴える」と述べた。
 外間伸儀(ほかま・しんぎ) 1947年生まれ。和歌山大学卒。72年宜野湾市役所入り。福祉部長や企画部長などを歴任し、2006年12月に同市教育委員会教育部長で退職。うるま市与那城平安座出身。
 伊波洋一(いは・よういち) 1952年生まれ。琉球大学卒。74年宜野湾市役所入り。市職労委員長や中部地区労事務局長を経て96年から県議2期7年。2003年同市長選に初当選。同市嘉数出身。
     ◇     ◇     ◇     
 【宜野湾】「次の四年間を私に任せて」―。二十二日投開票の宜野湾市長選が十五日告示され、七日間の選挙戦が始まった。一騎打ちが確定した外間伸儀さん(59)、伊波洋一さん(55)は、選対本部前で開かれた出発式で支持者とガンバロー三唱し気勢を上げた。
伊波洋一陣営
声大に「即時閉鎖」
 伊波陣営は、同市野嵩の選対事務所前で出発式を行った。イメージカラーの黄色の服や「必勝」と書かれた鉢巻きを締めた支持者らで埋まった。
 時折、激しい雨が降ったものの、支持者らの熱気は最高潮。傘も差さずに気勢を上げ、行き交う車はクラクションを鳴らした。
 妻の成子さん(50)からタスキを掛けられた伊波さん。「市民は米軍機の墜落に恐怖を感じている。即時閉鎖をするべきだ」と訴えると、支持者らは「そうだ」と盛んな拍手で応えた。
 この日は、市内のスーパー前などで名刺を配ったほか、各地で遊説。市民らは笑顔で手を振り返していた。
外間伸儀陣営
力強く「市民目線」
 濃紺の背広にネクタイを締めた外間さん。出陣式では「宜野湾市を変えてみせます。市民の目線に立った行政を進めたい」と力強くあいさつ、支持者が拍手を送った。
 三十五年勤めた市役所を退職しての出馬。緊張からか表情は終始硬いが、時折、笑みを浮かべて支持者に手を振る。
 遊説先の真栄原交差点では、イメージカラーの青色のジャンパーを着けた支援者や、市民らに駆け寄って握手。知名度アップと政策の浸透に力を入れる。クラクションで応援する運転手も。
 妻の順子さん(50)と一緒に地域を回った外間さん。「頭を真っさらにし、新たな戦いを始めたい」と力を込めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704161300_02.html

2007年4月16日(月) 朝刊 1面
首相、普天間を視察/初の来県 補選応援
 安倍晋三首相は十五日、参院補選の応援演説などのため、就任後初めて来県した。安倍首相は自衛隊那覇基地で行われた急患輸送ヘリ事故で死亡した四隊員の葬送式に参列したほか、宜野湾市の嘉数高台から米軍普天間飛行場を視察した。
 安倍首相は同日午前、沖縄入り。葬送式に参列した後、糸満市の国立沖縄戦没者墓苑を訪れ献花した。嘉数高台での普天間飛行場の視察では、仲井真弘多知事から住宅密集地の真ん中にある同飛行場の危険性について説明を受け、静かに聞き入っていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704161300_05.html

コメントを残す