沖縄タイムス 関連記事(4月13日?14日)

2007年4月13日(金) 朝刊 1面
全オスプレイ飛行中止/2月に米海兵隊
 【東京】米海兵隊が次期主力機に位置付ける垂直離着陸機MV22オスプレイに今年二月、飛行中に操縦が不能になる恐れのある不具合が見つかり、すべてのV22型機の飛行を中止していたことが十二日、分かった。同日の衆院安全保障委員会で保坂展人氏(社民)が、米議会調査局(CRS)の報告書を基に明らかにした。二〇〇五年からの二年間でエンジンに関するトラブルが少なくとも四件起こり、百万ドル(約一億二千万円)以上の損害が相次いだことも明記している。
 外務省の岩屋毅副大臣は報告書について「把握していない」と述べるにとどめた。
 CRS報告書は〇七年三月十三日付。オスプレイについて「二月に飛行中に操縦不能を引き起こす可能性があるコンピューターチップの欠陥が見つかり、海兵隊はすべてのオスプレイの飛行を中止した」としている。
 オスプレイは国防総省の国防調達委員会が〇五年九月に大量生産の許可を出した後もテスト飛行を続けているが、報告書は「技術、作戦上の困難と災難に見舞われ続けている」とトラブルの頻発を指摘。
 (1)飛行中の氷結でエンジンに損傷を受けた(〇五年十月)(2)離陸の際の(乗員の)不注意で翼とエンジンに百万ドル以上に相当する損傷を負った(〇六年三月)(3)初の海外への飛行で、エンジンの空気圧縮装置の不具合による予防着陸を強いられ、目的地に到着できなかった(〇六年七月)(4)エンジン火災で修理に百万ドル以上を要する損傷を負った(〇六年十二月)―などを列挙した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_03.html

2007年4月13日(金) 朝刊 31面
「戦争よみがえり苦痛」/普天間爆音
 【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟の第十八回口頭弁論は十二日午後も那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で続行。原告住民に対する初の本人尋問で午前の二人に続き、午後は別の二人が証言した。
 知念忠二さん(72)=宜野湾市野嵩=は県の実施した騒音調査について、「自宅では早朝からエンジン調整音が聞こえ、重たく不気味な音で眠れない。早朝の調整音は県の測定に入っていないと聞いた」と指摘。
 沖縄戦で空襲されたことや親族を亡くした経験を涙ながらに語り、「頭の上を飛行機やヘリコプターが飛ぶと、トラウマがよみがえる。毎日苦しい思いをしている」と訴えた。
 夫と佐喜眞美術館を経営する佐喜眞加代子さん(58)=同市新城=は「住宅地の上空で戦闘訓練が行われているのはとても不安で、不快。騒音だけでなく、飛行場そのものの閉鎖と返還を早くしてほしい」と強い口調で話した。
 閉廷後に原告と国、裁判所による進行協議が行われ、五月十七日に現場検証を行い、今年中に結審。二〇〇八年三月までに判決が言い渡される見通しとなった。
 二十六日の第十九回口頭弁論では別の住民五人が証言する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_05.html

2007年4月13日(金) 夕刊 1面
知事「軍命」削除に疑義/教科書検定
 仲井真弘多知事は十三日午前の定例記者会見で、沖縄戦の「集団自決」に関し、日本軍関与の記述を削除・修正した高校歴史教科書の検定について、「何かの軍命があったか、なかったかという議論というのは、そういうものよりも全体の状況の中で判断すべきだと思う。(軍命の文言を)削除するとか、変えるという点については疑義というか、いかがなものかと思う」との認識を示した。
 一方、「(当時)手りゅう弾が配られたというのはいろんな人の話を聞いて、事実であったと認識しているが、その時に軍命があったかどうかについては、いろんな見方、感想がある」との見方も示した。
 衆院特別委で十二日に憲法改正手続きを定める国民投票法案が可決されたことについて、「可能な限り、県民はむろん、国民全体に分かりやすく説明していただく必要があると思う。審議が足りないという意見もあり、国会の中で十分な審議を尽くしてほしい」と慎重審議を求めた。
 また、米軍再編推進法案が衆院安全保障委員会で可決されたことについて、在沖海兵隊のグアム移転に関する融資措置や関連自治体への交付金支給などが盛り込まれていることに触れ、「再編という大きな整理整頓の中で、基地を受け入れ、負担が増大する地域に財政的措置を含め手当てするのは必要なことと認識している」と評価する考えを示した。
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域での現況調査(事前調査)のため、那覇防衛施設局から同意申請されている公共用財産使用協議書への対応については、受理から一カ月後の四月下旬をめどに回答する方針を示した。
 また、事前調査の位置付けに関し、仲井真知事は「正式なアセスに基づく調査に入り、それ(事前調査の結果)がデータとして使えるものがかなり多いとは思う」との認識を示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_01.html

2007年4月13日(金) 夕刊 7面
市民団体「とんでもなく危険」/投票法案可決
 憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案が十三日午後、衆院本会議で採決され、自民、公明両党などの賛成多数で可決、衆院を通過した。
 憲法改正手続きを定める国民投票法案が衆院憲法調査特別委員会で可決されたことを受け、市民団体「あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク」の宮城清子代表(81)らは十三日午前、県庁記者クラブで会見し、「この国は大きく右傾化した」と危機感を訴えた。
 声明は「この法案は、何が何でも憲法を改悪するための、とんでもなく危険なもの。暴挙を断じて許せない」と批判。特に(1)最低投票数の規定もなく極めて少数の賛成でも改憲が可能になる(2)公務員や教育者の反対運動は一切禁止されている―ことに強く反発した。
 元教員の當山全治さんは「六十年前のものがまた来たかと怒りを持っている」と批判。元ひめゆり学徒隊の宮城代表も再び戦争への道をたどることを危惧し、「沖縄は六十年余たっても連日米軍の演習で戦争さながら。戦争への基地造りを許すわけにはいかない」と怒りをあらわにした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_03.html

2007年4月13日(金) 夕刊 1面

再編法案 午後通過
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」は十三日午後の衆院本会議で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決される見通し。
 参院に送付され、今国会での成立は確実な情勢だ。
 久間章生防衛相は法案成立の見通しを受け、同日午前の閣議後会見で「大変ありがたい。(成立後は)具体的な調査やスキームを米側と協議することになっていく。経費などについてもこれから精査していく」と意義を強調した。
 法案成立の時期については、七月で期限切れとなるイラク復興支援特別措置法を二年延長する改正案などを挙げ、「うち(防衛省)はまだ法律がたくさんある。そういう点では一日も早いほうがいい」と述べた。
 政府は四月下旬の日米首脳会談や日米安全保障協議委員会(2プラス2)などで再編問題の進展の一つとしてアピールしたい考えだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131700_04.html

2007年4月14日(土) 朝刊 31面
国民投票法案 衆院通過/浅い議論 深い憂慮
 衆院本会議は十三日午後、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案を自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院に送付した。
 「憲法を変えたら、この国はどうなるのか」。国民投票法案が衆院を通過した十三日、県内の識者や戦争体験者らからは、改憲への一歩を踏み出すものと不安や懸念の声が相次いだ。一方、「議論に先立つ法整備は必要だ」との声も。護憲団体や平和団体は相次ぎ、抗議声明を発表した。憲法施行六十年。国民の議論が深まらないまま加速する改憲の流れ。最低投票率の規定がないなど多くの問題を抱え、審議は参院に移る。
 元ひめゆり学徒、宮良ルリさん(80)は「国民投票法案は改憲への第一歩であり、非常に悔しい。憲法を変えたら、どういう国になっていくのか国民は分かっているのか」と憤る。
 沖縄戦で多くの仲間を失った。「今の憲法ができた時、戦争体験者たちは、これでもう戦争はなくなると喜んだ。六十年ほどで改憲してしまうのは、のど元過ぎれば熱さを忘れるのか」といら立ちを隠さない。深まらない議論に「国民の多くが忙しさにかまけて憲法に関心が薄いように見える」。
 県憲法普及協議会の加藤裕事務局長(42)は「最低投票率や日数もじっくり議論しておらず、公務員や教員の運動制限も問題。国民全員が自由に平等に議論して意見を反映できる仕組みになっていない」と批判した。
 一方、那覇青年会議所の添石幸伸理事長(37)は「国民投票法自体は必要なこと。感情やイデオロギーを超え、憲法をより良いものにしていく議論は大事で、先立つ法的整備は必要だ」と話す。「ただ今回どれだけその中身が周知され、議論が熟成されたか。国民が問題意識をもって理解しているかを考えると怖い部分もある」との考えを示した。
狩俣さん9条改正反対 島尻さん戦争直結せず
参院補選 候補者賛否
 衆院を通過した国民投票法案について、参院沖縄選挙区補欠選挙に立候補している狩俣吉正さん(57)は反対、島尻安伊子さん(42)は賛成と、賛否が分かれた。
 補選の当選者は同法案の審議に加わることになる。
 狩俣さんは「改憲イコール前文と九条の改正。これに賛成できない。当選したら、明確に反対していく」と主張。最低投票率に関する規定がないことなどを疑問視した上で、「手続法の中身に問題が多すぎる。最高法規である憲法を改正する手続法としてはお粗末だ」と述べた。
 島尻さんは「国民投票法案も、憲法改正にしても、戦争ができるようになる法整備ではないと信じている」と強調。「憲法はさまざまな解釈がなされており、整備は必要。ただ、これまでのプロセスで民主党の政争の具にされ、結果的に強行採決になったのは残念だ」と語った。
県内各団体から抗議声明相次ぐ
 憲法改正手続きを定める国民投票法案の衆院通過を受け、県内の護憲団体や平和団体は十三日、相次いで抗議声明を出した。県憲法普及協議会(高良鉄美会長)と沖縄人権協会(福地曠昭理事長)は、連名による声明で、「そもそも憲法は、国民が自らの人権を守るために、国に対してそのあり方を命じる最高法規なのだから、その時々の一時的な世論によって左右されるべきものではない」と指摘。同法案を「与党が改憲しやすいように、形式的にだけ手続きを整備しようとしたものにほかならない」と断じた。
 第9条の会・沖縄うまんちゅの会(安里武泰ほか共同世話人)は「国民投票法が制定されると、与党の計画通りに憲法改悪が強行され、日本はかつてのような戦争の暗黒に引きずり込まれてしまう」と厳しく批判。「基地の島沖縄が侵略戦争の出撃基地として、ますます強化されていく」と危機感を示した。
 県労連や自由法曹団など十七団体でつくる県憲法改悪反対共同センターは「県民は六十二年前の戦争で多大な犠牲を受け、戦後も引き続き広大な米軍基地が居座り続け苦しめられている。こうした危険な動きにもっと敏感に声を上げなければならない」と訴えた。
 沖縄平和運

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