沖縄タイムス 関連記事(4月12日?13日)

2007年4月12日(木) 朝刊 2面
騒音・事故の危険性大/金武ヘリパッド移設
説明会で並里区民反発
 【金武】那覇防衛施設局と金武町は十一日、日米特別行動委員会(SACO)で返還合意された同町ギンバル訓練場について、返還条件となっているヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設先とされるブルービーチ訓練場に隣接する並里区住民らに対する説明会を開いた。同ビーチに近い四区の住民からは、訓練が集約されることで騒音や事故の危険性が増大することへの不安など、反発の声が相次いだ。
 施設局はブルービーチへの移設計画の概要、町はギンバル訓練場の跡地利用計画を説明した。
 住民からは「ブルービーチの返還を求めるべきだ」「飛行ルートについて文書を交わしても、守られる保証がない」「数年後にオスプレイが配備される懸念がある」などの声が上がった。同区の区議会は、一九九六年と二〇〇六年に移設反対を決議しており、与那城直也区長は「区の意思は変わらない。町から意見を求められれば、あらためて区議会を開き対応を協議したい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_04.html

2007年4月12日(木) 朝刊 26面
「議論足りない」6割/国民投票法案
県労連など街頭で調査 承認規定認知1割
 憲法改定手続きを定める国民投票法案が衆院特別委員会で採決されるのを前に、県労連などでつくる県憲法改悪反対共同センターは十一日、県庁前で緊急街頭アンケートを実施した。回答した百四人のうち六十三人(61%)が国会や国民の議論は「尽くされていない」と答えた。「尽くされた」は四人(4%)にとどまった。
 アンケートは夕方の一時間に実施。同法案が審議されていることは「知っている」が七十二人(69%)、「知らない」が三十二人(31%)で、一定の関心が示された。
 国民の承認を、有権者数ではなく有効投票数の過半数で得る規定について正確に知っていた人は十四人(13%)。三十三人(32%)が有権者数の過半数だと考えていた。
 自由法曹団沖縄支部の仲山忠克事務局長は「与党は国民に重大な問題を含む法案の内容を知らせないまま、強行採決しようとしている。過半数の規定などは国民の意思に反する」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_05.html

2007年4月12日(木) 夕刊 5面
「子が難聴」「会話壊す」/原告、被害訴え
普天間爆音訴訟
【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟の第十八回口頭弁論が十二日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)であり、原告住民四人への初の本人尋問が行われた。
 一九九四年から宜野湾市佐真下で暮らしているという主婦の久場たつのさん(46)は、「ヘリが家の近くを旋回する時は家の物が揺れたり、身体全体に音が響く。押しつぶされそうな感じがする。エンジン調整の音も早朝六時ごろから夜中まで聞こえ、長い時には四時間続く」と陳述した。
 国側は「二〇〇〇年から現在まで肩こりや耳鳴り、頭痛の被害を訴えているが、出産によるものではないか」と質問。久場さんは「原因は出産かもしれないが、騒音がなければ七年も続かないと思う」と反論した。また、心療内科でパニック障害と診断されたことや、六歳になる子どもが難聴になったことも付け加えた。
 市嘉数の知花真正さん(68)は「航空機が家の上空を飛ぶ時にはパイロットの顔が見えるくらい近い。重苦しい音で、会話など家族のだんらんが壊されている」と被害の実態を説明。「飛行場からの騒音は幼少時のサイパンでの戦争体験を思い出し不安になる」と訴えた。
 二十六日の次回口頭弁論では別の五人が証言する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121700_01.html

2007年4月13日(金) 朝刊 1・31面
改憲へ流れ加速/国民投票法案可決
 衆院憲法調査特別委員会は十二日夕、憲法改正手続きを定める国民投票法案の与党修正案を自民、公明両党の賛成多数で可決した。
 「改憲への第一歩だ」「九条を守って」。国民投票法案が衆院憲法調査特別委員会で可決された十二日、県内で不安の声が広がった。一方で、改憲に賛意を示す県民も。護憲団体は「このまま、政府主導でなし崩しに改憲へと進められていくのか」と懸念を示した。
 法案が可決された同日夕、那覇市寄宮の与儀公園で「九条の碑」の前を歩いていた同市の無職男性(84)は「沖縄戦では私を除く一家六人全員を失った。戦争は人殺し。九条を守って」と訴えた。
 買い物客でにぎわう、同市おもろまちのサンエー那覇メインプレイス。うるま市の無職、照屋寛徳さん(58)は「自分には憲法問題はなじみがない。憲法が変わっても、どう生活が変わるのかイメージできない」と関心が高まらない様子。
 読谷村役場玄関前に立つ「九条の碑」の前には、今月六日に広島県府中市から来県し、ネズミ男をイメージした姿で行脚する福崎裕夫さん(51)の姿が。「国民投票法案が可決されれば、国民一人一人の意思表示が大切になる。九条の持つ意味を真剣に考えて」と訴えた。
 石垣市浜崎町の新栄公園の「九条の碑」前を散歩していた同市新川の主婦(50)は「時代に合わない部分は変えたほうがよい」と改憲に理解を示しながらも、「投票率が低ければ賛成が少数でも改正される。それは危険。もっと一般市民が興味を持つように説明を」と注文をつけた。
 「沖縄・女性九条の会」の共同代表を務める真境名光弁護士は「国会は改憲へつながるはしごを登り始めた」と危機感を抱く。「政府は『憲法改正は良いこと』という雰囲気をつくり出し、なし崩しに改憲を進め、国民もそれに乗せられている」と話し、「九条が変えられ、命の危険にさらされるのは自分や家族だということを一人でも多くに知らせるしかない」と決意を新たにしていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_01.html

2007年4月13日(金) 朝刊 1・31面
再編法案を可決/衆院安保委
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じた地方自治体への交付金支給を柱とした「米軍再編推進法案」が十二日夜の衆院安全保障委員会(木村太郎委員長)で、自民、公明などの賛成多数で可決された。与党側は同法案を十三日の衆院本会議で可決、参院に送付する方針で、今国会での成立が確実な情勢となった。法案に反対する野党各党は今回の採決に「審議不十分」と反発を強めている。
 政府は、同法案の成立の見通しが立ったことを受け、四月下旬の日米首脳会談や五月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)などで再編問題の進展の一つとしてアピールしたい考えだ。
 民主党は十二日の委員会で質疑に応じなかったが採決には出席、反対した。共産、社民両党は質疑した上で反対した。
 同法案には防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)アセス着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みすることが明記された。
 特に負担の大きな市町村を指定して公共工事の補助率に特例を設ける。沖縄の場合、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法を適用。防衛省は「特に負担の大きな市町村」について「普天間飛行場が移設するキャンプ・シュワブと岩国基地周辺の市町村が該当する」(幹部)としている。
 そのほか、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設定する。
     ◇     ◇     ◇     
アメとムチ 地元二分
 【北部】協力の度合いに応じて自治体へ交付金を支給するというアメとムチを鮮明にした米軍再編推進法案が十二日、衆院安全保障委員会で可決された。普天間飛行場代替施設建設予定地の地元名護市や宜野座村は「交付金支給は負担側には当然」と歓迎。地元の要望を主張しながらも国側に協力することで交付金確保を確実にしたい姿勢を見せた。一方、代替施設建設に反対する市民団体からは「県民を愚弄している」「アメに惑わされるな」と怒りの声が噴出した。
 従来の日米特別行動委員会(SACO)関連交付金が同案の「再編交付金」に取って代わるとの説明を防衛省側から受けた名護市。二〇〇七年度もSACO交付金六億三千万円を見込んで公民館建設や道路、学校整備を計画している。同市幹部は「法整備が早く進むに越したことはない。計画事業が滞ってしまっては困る」と期待した。
 日米合意案の修正を求める名護市に対して、防衛省首脳が「交付金ゼロ」を明言したことについては、「政府と市で合意をしている。交付金ゼロは理解しかねる」とした。
 宜野座村の東肇村長は「地域に負担を強いるのであれば、国が何らかの補償をするのは当然だ」と指摘。その上で「地域住民の理解を得ることが大事で、アメとムチというやり方はあまり好ましくはないが、国が決めることで致し方ない」と話した。
 一方、二見以北十区の会の渡具知智佳子共同代表は「出来高払いで推進派を脅して、移設作業が進まなければ反対派に怒りの矛先が向いてくる。県民を二分し、沖縄をばかにする法案だ。市長や知事は、もっと強く反対すべきだ」と批判。
 ヘリ基地反対協の安次富浩代表委員は「何でもお金で解決しようとして脅すやり方は民主主義に反する」と憤った。
 名護市とともに交付金を支給しないと名指しされた山口県岩国市。「住民投票の成果を活かす岩国市民の会」の大川清代表は「沖縄も岩国も基地で栄えてはいない。各地が分断され、身の安全と引き換えに目の前のアメを選択してしまわないよう、連携を深めたい」と決意を込めた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704131300_02.html
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