沖縄タイムス 関連記事(4月11日?12日)

2007年4月11日(水) 朝刊 22面
沖縄基地の危険性 学会で発表へ/英国立日本研のフック氏
 沖縄と国際安全保障の関係を研究している英国立日本研究所所長でシェフィールド大学のグレン・フック教授(57)が十日、那覇市の県庁で、県内の米軍基地調査の結果を報告した。「沖縄には国家が背負う安全保障上のリスクと、それに関連して個人が遭遇するリスクが偏在している」と指摘した。
 同教授は英国学術協会の研究費を得て「東アジアのリスク研究プロジェクト」に参加。担当する国際安全保障分野で「国家と個人が請け負うリスクがぶつかり合う現場」として、沖縄を研究対象に選んだ。先月末から十日ほどかけて米軍基地が所在する自治体などを訪ね、住民や首長らから聞き取り調査した。
 県民が政治的立場を問わず、「現在の危険にもつながる要因」と連想していることが印象に残ったという。「成熟した主権国家ではリスクは民主的に分配されるが、日本では沖縄に集中。原因を分析したい」という。
 来年中に論文をまとめ、英米の学会で発表する。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111300_09.html

2007年4月11日(水) 夕刊 1面
オスプレイ「県内配備可能性ある」/麻生外相
 【東京】麻生太郎外相は、十一日の衆院外務委員会で米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイの県内配備について、「(オスプレイが)完成品になった段階で、(現行ヘリと)置き換える可能性は十分に考えておく必要がある」と述べ、県内配備の可能性を事実上認めた。防衛省の大古和雄防衛政策局長は、米軍普天間飛行場に配備されているCH46、CH53ヘリの後継機種に関し「(米軍が)オスプレイ以外のものを開発しているとは承知していない」と指摘、後継機はオスプレイ以外にないとの認識を示した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 麻生外相は、オスプレイが過去に墜落事故を起こした経緯を挙げ「軍事技術の進歩に伴い、いい完成品が出来上がれば、米側が置き換えていこうとする努力をするのは当然だ」と述べた。
 日米両政府がSACO(日米特別行動委員会)最終報告の草案に、米軍普天間飛行場代替施設へのオスプレイ配備を明記していたことについて、外務省の西宮伸一北米局長は「承知していない」と強調。その上で「(米側から)『現時点で具体的に決まっていない』との説明を受けている。SACO最終報告はオスプレイ配備を前提にしたものではない」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111700_01.html

2007年4月12日(木) 朝刊 1面
オスプレイ県内配備 外相、可能性認める
 【東京】麻生太郎外相は十一日の衆院外務委員会で米海兵隊の垂直離着陸機MV22オスプレイについて、「(実戦配備可能な)完成品になった段階で、(現行ヘリと)置き換える可能性はわれわれとしては十分に考えておく必要がある」と述べ、将来的に県内配備される可能性を事実上認めた。防衛省の大古和雄防衛政策局長は、米軍普天間飛行場に配備されているCH46、CH53ヘリの後継機種に関し、「オスプレイ以外のものを開発しているとは承知していない」と指摘、後継機はオスプレイ以外にないとの認識を示した。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 麻生外相は、オスプレイが過去に墜落事故を起こした経緯に触れながら「軍事技術の進歩は当然だと思う。それに伴い、いい完成品が出来上がれば、米側が置き換えていこうとする努力をするのは当然だ」と述べた。
 オスプレイについては額賀福志郎防衛庁長官(当時)が昨年四月の同安全保障委員会で「将来、米海兵隊の輸送ヘリをオスプレイに代替していく予定であるとは聞いている」と述べているが、麻生外相の発言は県内配備を念頭に置いたもので、従来よりも踏み込んだものといえる。
 日米両政府が日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案に、普天間飛行場代替施設へのオスプレイの配備を明記していたことについて、外務省の西宮伸一北米局長は「承知していない」と述べた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_01.html

2007年4月12日(木) 朝刊 27面
教科書執筆者も怒り/修正検定で集会
 【東京】沖縄戦の「集団自決」について、日本軍の関与を指摘する記述を削除・修正した高校歴史教科書の検定を受けた「沖縄戦緊急学習会」(主催・出版労連教科書対策部)が十一日夜、都内で開かれた。教科書会社の執筆者は「現場との議論がないまま歴史が歪曲された」と危機感を強調し、修正撤回を求めた。沖縄から参加した平和ガイドは「死者への冒だ」と声を震わせた。大阪で続いている「集団自決」訴訟の説明もあり、参加した出版・教育関係者、平和団体など約百十人からは東京の支援組織の立ち上げなどが提起された。(吉田央)
 実教出版で日本史教科書を執筆する石山久男さんは「責任者が陰に隠れて出てこない。(教科書会社に)修正を通知する教科書調査官は(教科用図書検定調査)審議会の意向を伝えるだけで、議論がまったくできない」と悔しさをにじませた。
 「文部科学省はある時は通説を書けと言い、ある時は異なる学説の併記を求める。今回は(軍命はなかったという)元日本兵一人の証言に合わせろと言っている」と話し、教科書検定が一貫性を欠いていると批判した。
 出版労連教科書対策部の吉田典裕事務局長は「戦争ができる国造りのため、政府の思い通りの考え方を子どもたちに押し付け、戦争への抵抗感を薄くしたい安倍政権の狙いが容易に読み取れる」と批判。
 「軍の関与を否定していない学説も引用して正反対の結論を導いた。とんでもない検定だ」と怒りをあらわにした。
 三年前に沖縄に移住して平和ガイドを努める大島和典さんは、大阪での「集団自決」訴訟を説明。「この裁判は沖縄だけの問題ではない。東京でも支援組織を立ち上げ、沖縄での出張法廷や裁判官の現地調査を求めよう」と呼び掛けた。
 渡嘉敷島「集団自決」の生き残りの金城重明さんによる証言ビデオの上映もあり、金城さんは「日本軍が住民に手りゅう弾を配った時点で自決命令が出ていた。住民は軍官民共生共死の方針により、生きる恐怖から死を選んだ」と明確な軍命があったことを訴えた。
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文科省「冤罪訴訟」公表資料で使用/「不適切」大臣が陳謝
 【東京】高校教科書検定で文部科学省が報道機関に公表した沖縄戦関連の「著作物等一覧」で、大阪で係争中の訴訟について原告側が使用する「沖縄集団自決冤罪訴訟」との呼称を使用していた問題で、伊吹文明文科相は十一日の衆院文部科学委員会で「極めて不適切だった」と陳謝した。一方、沖縄戦「集団自決」で日本軍の関与を削除した検定結果には「日本軍の強制がなかったとは言っていない」と主張し、問題視しない考えを強調した。赤嶺政賢(共産)、日森文尋(社民)の両氏への答弁。
 赤嶺氏は同省が今回の検定意見の理由の一つに同訴訟を挙げていることを念頭に「事実認定も証人尋問もこれから。どちらが正しいか決まっていないのに原告側の意見が影響したことになる。バランスの観点から重大な問題だ」と批判、文科相に説明を求めた。
 伊吹文科相は「法律上の検定権者は文部科学大臣だが、議院内閣制の日本で検定権者に教科書の内容が左右されることはあってはならない」と指摘。
 その上で「だから私は公正に一言の言葉も挟んでいない。役人も私も安倍晋三首相も一言の了解もできない仕組みで検定が行われている」と述べ、検定意見の妥当性への言及を避けた。
 日森氏は「検定意見は裁判の結果が出てからでも遅くない」と拙速な判断を問題視した。
 これに対し伊吹文科相は「最高裁の判決も裁判官の主観で変わる。判決が出ればそれが正しいから史実を書き直せというのも乱暴だ」と反論し、裁判結果と検定判断は連動しないとの考えを強調した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704121300_02.html

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