沖縄タイムス 関連記事(4月8日?11日)

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
民芸、都内で「沖縄」上演/戦後「責任」問い掛け
 【東京で真栄里泰球】劇団民芸の木下順二追悼公演「沖縄」(木下作)が七日、東京都渋谷区の紀伊国屋サザンシアターで初日を迎えた。演出は児玉庸策さん。祭りの夜の幻想的な雰囲気を織り込みながら、沖縄に対する日本人の「責任」を問い掛ける舞台を、詰め掛けた観客は見入っていた。
 「沖縄」は一九六三年にぶどうの会によって初演され、民芸による上演は初めて。出演は日色ともゑさん、境賢一さん、杉本孝次さんら。
 敗戦から十五年目の沖縄の離島に持ち上がった米軍の土地接収話への人々の思惑や戦争の記憶などを描いた。心に傷を持つ女性や島出身の学生、元日本兵、島の人々のかかわりの中で、現在にも通じる本土と沖縄の関係性が浮かび上がっていく。演出の児玉さんは「(日本が)起こしたことを正確に認識することが責任を取ることにつながる。木下先生の残したことを大切にしていきたい」と話した。公演は十八日まで。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_05.html

2007年4月8日(日) 朝刊 24面
「慰安婦」の存在証言/宮古島市
 【宮古島】従軍慰安婦に関する宮古島市長や市議の答弁を削除した市議会の問題を受け、宮古での従軍慰安婦問題について多くの人に知ってもらおうと、市内に住む女性の有志(川浦弥生世話人)らは七日、同市中央公民館で「宮古島の日本軍『慰安婦』についての証言を聞く会」を開いた。研究者が慰安所調査を報告し、また住民二人が沖縄戦中に自宅近くで慰安所の様子を目撃したことなどを証言した。
 沖縄各地での慰安所、慰安婦調査を続ける早稲田大学大学院生の洪△伸(ホン・ユンシン)さんは「沖縄から『人道に対する罪』を問うということ」をテーマに報告。宮古には戦時中に少なくとも十一カ所の慰安所があったとした上で、二〇〇六年に二回、聞き取り調査したことなどを語った。
 洪さんは、日本軍の組織的な関与があったこと、宮古では他の地域とは異なって民家と隣接した地域に慰安所があったことを指摘。「慰安所を手掛かりに、それを見た一人一人が証言者となり、守るべき人権について考えたい」と述べ、五月に実施する第三次調査への協力を呼び掛けた。
 洪さんの調査に協力した同市上野の仲里キミさん(71)は、小学校低学年だった戦時中に自宅近くに慰安所があったことを報告。慰安婦が歌い、覚えていたアリランを口ずさみ「楽しそうに歌っていたが、子どものころは、つらい状況とは知らなかった」と語った。与那覇博敏さん(73)=同市平良=も同様な証言をした。
※(注=△はへんが「王」でつくりが「允」)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_06.html

2007年4月9日(月) 夕刊 1面
西山元記者が控訴/沖縄返還 密約訴訟
 沖縄返還の「密約」をめぐる取材を国家公務員法違反罪とされた元毎日新聞記者の西山太吉さん(75)が、国に密約を認めて謝罪するよう求めている沖縄返還密約訴訟で、西山さんは九日、密約の事実には触れずに請求を棄却した一審・東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
 西山さん側は、返還交渉の中枢にいた吉野文六・元外務省高官の証言や米国の公開公文書で密約の証拠を積み重ねたが、一審・東京地裁は密約の事実には検討を加えず、損害賠償請求権は二十年で消滅するとした民法の除斥期間を適用して訴えを全面的に退けた。
 控訴に当たり西山さんは「政府は閣議で密約を否定する見解を決めており、仮に司法が密約を認定した場合は閣議決定を覆すことになる。一審が密約の事実から逃げたのは、内閣を崩壊させるような判決までは出せなかったということだ。行政を追認するこうした司法を突き破ることができるのは、世論の力しかない」と話した。
 一審・東京地裁が除斥期間を適用し、密約の主張について事実上の門前払いとしたことについては、「国が作った救済制度で国を救うこと自体がばかげている」と批判した。
 訴訟で西山さんは、国家公務員法違反罪に問われた刑事裁判について、密約を不問に付した一方的な訴追で精神的な苦痛を受け続けているとして、国に謝罪や慰謝料を求めた。米国の公開公文書で密約が裏付けられるたびに官房長官や外務大臣らが記者会見や国会答弁で密約を否定しており、西山さんはそのたびに名誉を傷つけられていると訴えている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704091700_01.html

2007年4月10日(火) 夕刊 5面
ヘリ帰還 入学式に騒音 普天間飛行場
「台無しだ」父母憤り
 【宜野湾】十日午前七時半ごろ、韓国など海外演習に参加していた第三一海兵遠征部隊(31MEU)のヘリ部隊約二十機が米軍普天間飛行場に帰還した。同飛行場では二月から「主力ヘリ」が不在となっており、約二カ月ぶりに部隊が戻った。
 この日は同市内八小学校で入学式があり、同飛行場に隣接する普天間第二小学校(出盛光朋校長)では、入学式のさなかに学校上空を飛び、騒音が響いた。目立った混乱はなかったが、保護者から不満の声が上がった。
 体育館で行われた入学式に出席した堀口智子さん(35)=同市普天間=は「ヘリの音であいさつが聞こえにくかった。せっかくの入学式が台無しだ」と憤った。
 宮城嗣吉さん(41)=同市喜友名=は「基地が身近にあることをあらためて感じた。子どもの安全も心配だ。米軍は配慮してほしい」と話した。
 帰還したヘリは普天間所属のCH46やCH53、UH1など。着陸後、物資を降ろす様子が確認された。「普天間」に常駐する固定翼機を含む五十数機のうち、約半数が戻った。
 米海軍機関紙によると、二月上旬、31MEUなど約四千人の兵士が沖縄近海で訓練。その後、三月二十五日から三十一日まで韓国で戦時増援演習「RSOI」に参加したとみられる。
 同飛行場では、一月にCH46中型輸送ヘリを含む第一海兵航空団第二六二海兵中ヘリ中隊がイラクへ出発。二月にKC130空中給油機など固定翼機を除くすべてのヘリが不在となっていた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704101700_03.html

2007年4月11日(水) 朝刊 2面
参考人質疑で賛否 米軍再編推進法案/衆院安保委
 【東京】日米が合意した米軍再編への協力度合いに応じ地方自治体に交付金を支給する「米軍再編推進法案」を審議中の衆院安全保障委員会は十日、参考人質疑を行った。参考人は米軍再編について反対、賛成それぞれの立場で見解を述べた。
 拓殖大学の川上高司教授(国際政治)は「米軍が抑止力を落とさずに少しでも出て行ってくれるなら、やるべきだ。たとえ訳の分からないものであっても、この機を逃さずにどんどんやるべきだ」と述べ、米軍再編を推進する法整備の必要性を強調した。
 軍事評論家の江畑謙介氏は米軍再編を一定評価する一方、「今までの経緯を見ると、日米間の合意を急ぐあまり、国民に十分な説明がなされてこなかった印象がある」と指摘。普天間飛行場代替施設のV字滑走路案に関連して「垂直離着陸機MV22オスプレイでも滑走距離はせいぜい数十メートルあればいい」と述べ、形状や規模など、政府の説明責任が不十分との認識を示した。
 沖縄大学の新崎盛暉名誉教授は法案に反対の立場から、再編交付金の在り方について「(自治体の対応は)国の言いなりになるか、値を釣り上げるためにごねるということしか残らなくなる。いずれにせよ自治体の自律性が大幅に損なわれる危険性をはらんでいる」と批判した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704111300_04.html

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