沖縄タイムス 関連記事(4月7日?8日)

2007年4月7日(土) 朝刊 2面
空幕長 F22共同訓練認める
 【東京】田母神俊雄・航空幕僚長は六日の定例会見で、米軍嘉手納基地に暫定配備されている最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターと航空自衛隊との共同訓練について「調整の最終段階。来週中には話がまとまり、訓練ができる方向にいくと思う。早めにやりたい」と述べ、近く沖縄周辺空域で実施することを公式に認めた。
 田母神空幕長は訓練について「当然、沖縄の部隊(南西航空混成団)は参加するだろう。そのほかの部隊も、F15も参加させたい。沖縄周辺の海域でやるように調整している」と説明。
 その上で「F22の性能がどの程度か確認することはもちろんだが、通常訓練と同様、わが方(空自)の戦術がこれ(F22)に対して使えるのかというようなことも分かると思う」とした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704071300_04.html

2007年4月7日(土) 夕刊 4面
「9条を守ろう」全国行脚で訴え/福崎さん那覇を出発
 「政府に訴えるより、歩きながら一人一人に憲法九条の大切さを伝えたい」。ネズミ男をイメージした格好で全国行脚する「WALK・9条の会」の福崎やすおさん(51)=広島県在住=が六日、「憲法第9条」と書かれた旗を持ちながら那覇市をスタート、「九条を守ろう」と訴えた。
 出発点に激戦地となった沖縄を選んだ。うそをつき、人を裏切り、金に目がくらむネズミ男のキャラクターが人間らしい姿と話し、「不完全な存在だからこそ、罪を犯さないために憲法九条は大切」と話す。
 全国行脚は、昨年十一月に広島県で行われた「9条ピースフェスタ」に参加し、決意した。広島県で町議員を十四年勤めた後、二年前に舌がんに。がん経験者の会で、同じ病気に苦しむ人の助けになれば、とカウンセリングを学んだ。
 議員時代は、自身の意見を訴えていたが、カウンセリングを通して「一方通行の言葉より対話の大切さを知った」という。
 二十六日ごろまで滞在予定で、「九条について多くの県民と話す機会を持ちたい」と語った。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704071700_04.html

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
比移民の妻子生存か/44年戦死の平良泰山さん
NPO調査で判明/おいが訪問18日対面
 戦前のフィリピン移民で一九四四年に戦死した、多良間村出身の平良泰山さん=享年(26)=の妻子とみられる現地の人が比セブ島近くのオランゴ島にいることが七日までに分かった。おいの野原賢秀さん(51)=多良間村=が訪比し、十八日にアビリーナ・タイラさん(86)と息子のパトリシオさん(66)に対面する。戦後六十二年が過ぎて海外残留遺族が存在する可能性が出たことについて、野原さんは「まずは会ってみたい。雰囲気などから感じるものがあると思う」と話している。(吉田央、溝井洋輔)
 遺骨収集事業を手掛ける特定非営利活動法人(NPO法人)「空援隊」(杉若恵亮理事長)の倉田宇山理事の調査で判明した。
 倉田さんは遺骨収集の取材でオランゴ島を訪れた二〇〇五年九月、地元警察からの情報でアビリーナさんと面談。平良さんと両親の姓名、沖縄出身者であることなどを聞き取った。アビリーナさんは日本語が話せないが、数種類の日本の軍歌を口ずさんだという。
 〇六年八月、沖縄で平和の礎に平良さんの刻銘を見つけ、同年十二月に多良間島に野原さんらを訪ね、アビリーナさんの証言がほぼ正しいことを確認した。
 平良さんは一九一七年六月、多良間村塩川生まれ。倉田さんの調査によると、四〇年ごろ渡比し、その後に現地召集された。四四年に沖縄の家族に戦死公報が届いた。アビリーナさんらフィリピンの遺族は日本国籍を持たず、「恩給法」の適用も受けられなかったという。倉田さんは「野原さんとパトリシオさんのDNA鑑定などを通じ、就籍できるよう支援したい」と話している。
 現在、多良間村役場に勤務する野原さんは「フィリピンは遠くないし、親せきが増えればいい」と話している。
 平良さんの妹の野原ヨシさん(85)=同村=は「兄とは十五、十六歳の時から離れて暮らしていた。フィリピンに家族がいると聞いて良かったと思っている。子どもにも会ってみたい」と話した。
 総務省恩給企画課は「日本国籍の取得の問題のほか、(平良さんの)戸籍に(アビリーナさんとの)婚姻関係が記載されているかどうか、恩給法適用の時効が七年という問題もある」とし、恩給法の適用を困難視している。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_01.html

2007年4月8日(日) 朝刊 25面
集団的自衛権 首相容認方針/「次は憲法」警戒感
 安倍晋三首相が集団的自衛権行使を一部容認する方向で、憲法九条の解釈を見直す方針を固めたことについて、七日、県内からは反発の声が上がった。
 安倍首相の著書「美しい国」を読んだという沖縄・女性九条の会の上原智子事務局長は「意外ではなかったが、動きが速いと思った」と警戒感を示す。これまでのように法律レベルではなく、憲法レベルで容認することは「日本の進む方向を国内外にアピールすることになり、不安を感じる。会では今後も意見公告などを通して、多くの人に九条の大切さを知ってもらえるよう地道に活動していく」と話した。
 政治学者のダグラス・ラミスさんは「これは、アメリカの戦争に参加するという意味だろう。長いものには巻かれろ、という言葉があるが、本当に長いか確かめる必要がある。アメリカは第二次世界大戦以来大きい戦争に勝ったことがない」と指摘。「いわば集団的敗北権。どうして負ける勢力と一体になりたいのだろう」と疑問を示した。
 高良鉄美琉大教授は権力者の憲法擁護義務が憲法に定められていることを挙げ「安倍首相だけでなく今の閣僚には憲法を順守の意識がない」と、姿勢が憲法に反していると強調。「米国と一体となっていくことしか頭にないのではないか」と批判した。
 違憲共闘会議議長の有銘政夫さんは「九条の解釈を変えるための地ならしだ。現状に合わないからと、次は憲法を変えるだろう。国民世論で、絶対に許さない信念を持って反対を突き付けていかなければ。運動の責任が大きくなる」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_02.html

2007年4月8日(日) 朝刊 3面
米軍移転費 日本が負担/那覇空港返還
 一九七二年の沖縄返還で米軍が那覇空港から移転するための費用を、当時の山中貞則総理府総務長官が「日本政府に負担する準備がある」と米側に表明していたことが七日までに、米国の公開公文書で分かった。返還交渉の経緯に詳しい我部政明・琉球大教授によると、返還に伴う米軍基地移転費の補償を日本側が具体的に明言したことが確認されるのは初めて。移転費を補償する明確な根拠がない中、日本側が米軍基地移転に政治的な判断で個別に対処していた事実の一端が浮かび上がった。(粟国雄一郎)
 米軍移転費の負担については、六九年に非公開で行われた日米会談で、当時の福田赳夫蔵相が「施政権返還に伴う費用は日本側が負担する」と明言している。
 一方でその後、日本側が米軍の移転にどう対処してきたかは明らかになっていないという。
 山中氏の発言が記されていたのは、七一年六月三日付で米国務省から駐日米大使館に送られた秘密電信文。二日前の一日、ワシントンで山中氏とキッシンジャー米大統領補佐官が四十五分間にわたって会談した内容を伝えていた。
 それによると、山中氏はニクソン大統領に対する佐藤栄作首相のメッセージを伝え、沖縄返還について話し合う中で、日本政府が那覇空港の返還費用を負担する準備があることを表明した、とされる。
 八日後の六月九日、パリで行われた愛知揆一外相とロジャース国務長官との会談で、那覇空港の返還などを含めた施政権返還交渉が最終合意された。
 同十七日には沖縄返還協定が調印されたが、空港返還に伴う米軍の移転費を日本側が負担することは明らかにされなかった。
 我部教授によると、施政権返還と同時に那覇空港の明け渡しを求める日本側に対して、米側は基地移転費の補償を要求。返還前の米軍基地に対する移転費について、日本側は国内向けに説明する根拠を見いだせなかったとみられる。
 那覇空港にいた米軍のP3対潜哨戒機は嘉手納基地へ、家族住宅は牧港補給基地やキャンプ桑江などに移転した。我部教授は日本が当初合意した返還にかかる補償額に追加して支払った可能性が高いとみている。
[識者評論]
我部政明琉大教授
米は当然視 現在も続く
 日本政府が米軍の基地移転費を負担するという公式な発言はこれまでになく、山中貞則氏が明言している点で興味深い。山中氏は沖縄返還に熱心だったが、日米交渉にも関係していたということは知られていない。交渉の重要な当事者とまではいえなくても、極秘の財政問題を知った上で会談に臨んでいることがうかがえ、少なくともある程度の内容は知りうる立場だったのだろう。
 返還に伴うさまざまな費用について米側は、日本の要求に基づく返還であり、それに伴う費用を日本が負担するのは当然というスタンスだった。文面からは、山中氏が移転費の負担を明言しても、米側の反応が鈍かったことが読み取れる。
 当時の米側の最大の焦点は、日本から取り付けていた「基地移転およびその他の費用」の二億ドルを、基地の移転費のみではなく、継続的な維持・修繕費として確保することだった。
 日米地位協定は、駐留米軍の維持費は米側が負担するとしているが、日本は条文を緩やかに解釈することで最終的に米側の要求を受け入れた。この二億ドルの支払いは後の「思いやり予算」となり、米軍基地の維持費に対する日本の負担は増大していくことになる。(談)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704081300_03.html

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