沖縄タイムス 関連記事(10月14日?17日)

2007年10月14日(日) 朝刊 1面

14府県 意見書・陳情を審議/教科書検定

 文部科学省が、教科書検定で高校の日本史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の日本軍強制を削除した問題で、全国十四府県議会が九月定例会で意見書案や陳情を審議したことが十三日、沖縄タイムス社の調べで分かった。

 このうち五府県(沖縄、京都、奈良、高知、福岡)で検定意見撤回や記述回復を求める意見書案が議員提案され、可決された。

 市民が提出した同趣旨の請願や陳情は、三県議会(埼玉、神奈川、兵庫)が委員会で継続審議を決定。六県議会(千葉、新潟、長野、鳥取、香川、愛媛)は、意見書案や陳情を賛成少数で否決か不採択とした。県民大会開催より前に九月定例会が閉会し、審議に入れなかった県議会もあった。

 また市町村では、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」によると、十四市四町が意見書案や請願を可決、採択した。県民大会以降は、東京都小金井市、神奈川県鎌倉市、京都府宇治市など三市で可決。今後、東京都立川市や杉並区などでも可決の動きがある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710141300_02.html

 

2007年10月14日(日) 朝刊 25面

しのび寄る戦争に警告/那覇で反戦の集い

 県マスコミ労協は十三日、那覇市のおきでんふれあいホールで反戦ティーチイン「戦争への道を止めるために―ジャーナリズムと労組の責任を考える」を開いた。九十二歳のジャーナリスト、むのたけじさん(秋田県在住)が講演し、「昭和二十年と今はどこが違うか。弾は飛んでいないが、戦争は始まっている」と強く警告した。

 むのさんは戦前、戦中の朝日新聞などで勤務、敗戦時に「戦争協力の責任上、記者全員の退社」を主張し、自らは実行に移した。従軍記者の経験から、「インドネシア占領時の布告は二年前に書かれていた。その時点で社会に巣くい、戦争を画策していた責任者がいる」と指弾した。

 「私の知る限り、従軍して死んだ記者はいるが、人を殺そうとした記者はいない。そこにヒューマニズムがある。真実を暴いてほしい」。県内外から集まった約二百人の報道関係者や市民が、会場に響く訴えに聞き入り、大きな拍手を送った。

 ノンフィクションライターの島本慈子さん、歴史研究者の伊佐眞一さんも登壇し、ジャーナリズムの在り方について議論を深めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710141300_07.html

 

2007年10月15日(月) 朝刊 2・25面

伊吹氏が訂正申請提案/教科書問題

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、自民党の伊吹文明幹事長が、安倍晋三内閣で文部科学相を務めていた八月に県関係国会議員と会談した際、「記述の修正を教科書会社にお願いしてはどうか」と提案していたことが十四日までに分かった。教科書会社に訂正申請を働き掛けるよう求めた発言とみられる。出席者からは「訂正申請の検討は安倍政権当時から始まっていたのではないか」と指摘する声が上がっている。

 政府の方針転換について関係者の間では、タカ派色の強い安倍前首相が辞任し、福田内閣が発足したことが要因との見方が強かった。

 訂正申請を念頭に置いたとみられる伊吹提案が明らかになったことで、安倍内閣当時から教科書検定問題の「落としどころ」として、この方法が模索されていた可能性が浮上した。

 伊吹氏と会談したのは、県選出・出身の国会議員でつくる「五ノ日の会」(会長・仲村正治衆院議員)。

 伊吹氏は八月二十四日、記述の修正を求めて教科書会社を訪ねるよう促した。五ノ日の会は検定意見撤回を要請していたため、「趣旨が違う」(出席者)と判断。実行しなかった。

 会談の約一カ月後に十一万人が参加した県民大会が開かれ、政府は十月一日、訂正申請に柔軟に対応する方針を閣僚の記者会見などで表明。記述の修正に応じないとする従来方針を転換させた。

 出席者の一人は「本来は政府が表立ったメッセージを出さず、教科書会社が自主的に訂正申請するのが『検定への政治介入』と批判されない理想の形。伊吹氏の狙いもそこにあったのではないか」と振り返る。

 別の出席者は「当時は訂正申請の仕組みを知らず、伊吹氏の提案もピンとこなかった」と述べ、訂正申請と結び付けなかったと述懐した。

 伊吹氏は三月末の検定結果公表後、「集団自決」に関する記述の修正を一貫して否定した。しかし、同日の会談では、県議会が六月に可決した検定意見の撤回を求める意見書の文面が日本軍の「関与」という表現でまとまったことに、「さすがは政治の知恵だ。『軍の関与』という表現であれば、次回の検定で問題とならないだろう」と述べるなど、従来より柔軟姿勢を示した。


     ◇     ◇     ◇     

きょう「撤回」再要請/大会実行委代表団150人


 文部科学省が二〇〇六年度の教科書検定で、来春から高校で使われる日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除した問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の代表団が十五、十六の両日に上京し、福田康夫首相らに「検定意見撤回と記述の早期回復」を再度、要請する。

 要請団には県議会議長の仲里利信・大会実行委員長や県遺族連合会の仲宗根義尚会長ら県民大会の主催、共催団体関係者や県議、「集団自決」の現場となった渡嘉敷村の小嶺安雄村長ら市町村長や、市町村議会議長ら計百五十人以上が参加する予定。

 福田首相、渡海紀三朗文科相、町村信孝官房長官の三人と面談予定。複数のグループに分かれ、各政党代表、幹部や全国会議員、各教科書会社に対し、「教科書に沖縄戦の正しい姿を伝える記述を」と訴える。

 東京では、県人会と「沖縄戦首都圏の会」が十五日午後六時半から国会近くの星陵会館で総決起集会を開き、要請行動に合流する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151300_02.html

 

2007年10月15日(月) 朝刊 2面

返還跡地の利用 明記/県が第4次計画案

 県は十四日までに、第四次県国土利用計画案をまとめた。県土利用の課題として新たに、米軍再編に伴う嘉手納基地以南の大規模返還用地の利用を明記した。また、土地利用の変化を受け、地域住民による主体的な保全活動などの観点から「県土利用の総合的なマネジメント」を新たな項目に追加。二〇一七年を目標年次として、人口百四十二万人、五十四万世帯と想定した。県土地対策課は現在、同案への県民の意見を募るパブリックコメントを実施しており、来年二月の県議会に提案する。

 県国土利用計画は、県の土地利用に関する行政上の指針となる総合的な長期構想。国が定める全国計画の変更や、社会情勢の変化などに応じて、必要な見直しを行う。

 現行の第三次計画の目標年次は〇五年までで、今後想定される返還跡地の利用など大きな変化要素があるため、昨年から改定作業に取り組んだ。

 第四次県計画案では、追記した跡地利用の課題と方針で、嘉手納以南の施設・区域返還を「自立的発展に寄与する貴重な空間として、計画的な都市づくりや新しい経済活動の拠点形成を目指す必要がある」と位置付けた。その上で「県土構造の再編も視野に入れ、中南部地域の一体的な都市圏形成を目指し、総合的かつ計画的な土地利用を図る必要がある」とした。

 また、地域間の交流や連携による道路・海岸の清掃活動への参加など、個人や団体の身近な土地利用という観点から「県土利用の総合的マネジメント」を行うことを新たな課題に明記。土地の開発だけにとどまらず「県土を良い状態で次世代へ引き継ぐ」という「持続可能な県土管理」の視点を盛り込んだ。

 地球温暖化などへの関心の高まりを受け、環境保全の視点を強化した点も特徴だ。

 地域別では、北部地域は自然環境保全や防災、景観への配慮をした上で、森林の持つ公益的機能の維持・増進、エコツーリズム、体験・滞在型の観光促進のための整備なども挙げた。

 中部地域は、米軍基地・施設が土地利用上の制約になっていることを指摘し、「広域的な視点に立った都市機能の再編・再整備を計画的に行うとともに、公園・緑地の整備を組み込んだ市街地再開発や土地区画整理の活用」を目指している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151300_09.html

 

2007年10月15日(月) 夕刊 1・5面

要請団、首相と面談へ/政党代表にも訴え

 文部科学省が来年春から高校で使われる日本史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除した問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長の仲里利信県議会議長ら代表団百六十七人は十五日午後、福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相に「検定意見撤回と記述の早期回復」を再要請する。

 実行委メンバーら要請団の第一陣九十七人は十五日午前、那覇空港に続々と集まった。要請団には仲里実行委員長や副実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長、県遺族連合会の仲宗根義尚会長ら県民大会の主催、共催団体関係者や県議、「集団自決」があった渡嘉敷村の小嶺安雄村長ら市町村長、市町村議会議長らが参加。一行は十五日に福田首相や渡海文科相、町村信孝官房長官の政府閣僚の三人と面談を予定しているが確定していない。十六日には複数のグループに分かれ、各政党代表や幹部、全国会議員、各教科書会社に対し「沖縄戦の正しい姿を伝える記述をしてほしい」と訴える。

 要請団は(1)検定意見撤回と記述回復(2)検定結果の中立性、公平性に疑義が生じていることから速やかな教科用図書検定調査審議会の開催と必要な措置を講じること(3)審議会を公開し、透明、中立、公正性を確保、沖縄戦研究家の参加、情報の公開(4)沖縄戦に関する記述に配慮する「沖縄条項」の新設―を要望している。

 出発前に仲里実行委員長は「二百人近い要請団とともに上京するのでぜひ四項目の要望を着実に実行していただきたい」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

検定撤回 政府に届け/要請団、切実な思い胸に


 「悲惨な沖縄戦の姿を正しく後世に伝えてほしい」。十五、十六の両日、文部科学省が教科書検定で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた問題で、検定意見撤回と記述回復を求めて十五日、上京した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の代表団参加者は、自身の沖縄戦体験などからあふれる思いを、政府や国会に投げ掛ける。

 元女子学徒隊でつくる「青春を語る会」の中山きくさん(78)は、自身も沖縄戦時、日本兵から手榴弾を手渡された。「学友の多くも、日本兵から二個の手榴弾を渡され、『一つは米兵に、一つは自分のため(自決のため)』に使うように言われていた」と証言する。

 それだけに「軍の強制」を削除した教科書検定や、検定意見には我慢がならない。検定結果が明らかになった四月から署名活動を始め、実行委への参加も自ら申し出た。「記述回復は当然のこと。沖縄戦を知らない審議委員により、いいかげんに決められた検定意見が撤回され、二度と同じことが起きないようにするため、何度でも要請を繰り返す」と決意を固めている。

 県遺族連合会は三日前に役員会を開き、「あの悲惨な沖縄戦の真実を後世に伝え続け、平和の希求と享受につなげるのがわれわれの目的」と、要請行動に向けての意志を再確認した。沖縄市で沖縄戦を体験した仲宗根義尚会長(71)は「『集団自決』は体験していないが、置かれた社会環境は一緒だった。慶良間諸島の人々らが、日本軍に追い詰められていった状況は容易に想像できる」と語った。

 皇民化教育と、日本軍の完全支配下にあった当時の沖縄で「激しい地上戦により逃げ場を失った住民に、日本軍から手榴弾が渡された。これはまさに命令だった」との考えを、自身の体験を交えながら、東京で訴えてくるつもりだ。

 「軍の強制を示した教科書記述を元通りにするのは最低限。その上で、検定意見や検定制度にもしっかり手を入れてほしい」と強い口調で話した。

 代表団は、出発前、県議会議長の仲里利信・大会実行委員長の「検定意見撤回と記述回復を求めるという共通の認識に立ち、行動しよう」とのげきを受け、「所期の目的を貫徹しよう」の掛け声でガンバロー三唱をして、東京に向かった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151700_01.html

 

2007年10月15日(月) 夕刊 1面

嘉手納議会 抗議決議へ/米兵息子の暴行

 【嘉手納】米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子(21)が強姦致傷の容疑で沖縄署に逮捕された事件で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十五日、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、米軍に再発防止の徹底、被害者への謝罪・補償などを求める抗議決議と意見書の両案を臨時会に提案することを決めた。

 臨時会の日程や両案の文面については近日中に再度、委員会を開いて調整する。

 委員からは「基地に隣接している市町村ではどこでも起こり得る事件」「凶悪犯罪を起こしながら逃げ帰ろうとしたことは断じて許せない」などの批判が相次いだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151700_04.html

 

2007年10月16日(火) 朝刊 1面

政府、具体策言及せず/教科書検定 再要請

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、十一万人が参加した県民大会の要請団約百七十人が十五日上京し、仲里利信実行委員長(県議会議長)ら代表十一人と県関係国会議員が首相官邸で大野松茂官房副長官と会談した。検定意見の撤回と記述の回復を含めた四項目を要望。大野副長官は「要望の一つ一つを認識しながら重いものとしてしっかり受け止める」と述べる一方、具体的な対応策に言及しなかった。

 会談は非公開で行われ、仲里委員長は会談後、記者団に「正直なところ、前回の要請とあまり変わりがなかった」と失望感を表明。大野氏が「県民の多くが(大会に)集まったことを政府として重く受け止める」と述べた三日の会談から、官邸の対応に進ちょくがなかったことを強調した。仲里委員長は「(大野氏から)具体的な回答があれば『何回答』『何%』と言えるが、そういうことを言っていないので…」と述べ、実質的な“ゼロ回答”だったとの認識を示した。

 一方で、大野氏から「渡海紀三朗文部科学相に皆さんの意をくんだ形で対処してほしいと伝える」との発言もあったと紹介。これに対しては「大変、ありがたく思う」と謝意を表した。

 要請団の要望は(1)検定意見の撤回と記述の回復(2)教科用図書検定調査審議会の速やかな再開催(3)審議の公開と審議会への沖縄戦研究者の参加(4)沖縄条項の確立―の四点。いずれにも、明確な回答はなかった。

 会談に同席したのは県PTA連合会の諸見里宏美会長、沖縄の未来を語る会(二十二の旧制学校同窓会で構成)の大浦敬文事務局長らと、県関係国会議員九人。諸見里会長は、東中学校の生徒が検定意見の撤回を求める意見書可決を東村議会に要望したことをきっかけに、PTAが活動に加わった経緯を説明。「最初に声を上げた子どもたちの指摘で運動が盛り上がった」として、県民運動の広がりを強調した。大浦事務局長は「沖縄戦の体験者の声を聞いてほしい」と訴えた。

 仲村正治氏(自民)、照屋寛徳氏(社民)、赤嶺政賢氏(共産)の各衆院議員と喜納昌吉氏(民主)、山内徳信氏(社民)、糸数慶子氏(無所属)の各参院議員も発言した。要請団は十六日、数グループに分かれて各政党や教科書会社などを訪ねる。


県、九州知事会に決議案


 沖縄戦での「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書検定問題で、仲井真弘多知事が十八日に那覇市内で開かれる九州地方知事会(会長・金子原二郎長崎県知事)に、県が政府に要望している検定意見の撤回と記述回復などについて、「県の要望に対して真摯な対応」を国に求める決議案を提案することが十五日、分かった。

 決議案では、教科書検定問題をめぐって、県議会や県内全市町村議会で、検定意見の撤回と記述回復を求める意見書が可決されたことや、県内の各界・各層を網羅した超党派による県民大会が開かれたことなどを明記。

 その上で九州地方知事会として、国に対し「沖縄県の教科書検定意見に関する要望に対して真摯な対応」を要望している。同案は全会一致で可決される見込み。

 同知事会には山口県を含む九州各県の知事が参加する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161300_01.html

 

2007年10月16日(火) 朝刊 29面

700人集会 国を批判/東京要請行動

 【東京】教科書検定意見の撤回を求める総決起集会(主催・東京沖縄県人会、沖縄戦首都圏の会)が十五日夜、国会近くの星陵会館で開かれた。国会議員や市民ら約七百人が参加。発言者からは「政府は検定意見撤回を政治介入と言うが、最初に行政介入したのは文部科学省だ」(山内徳信参院議員)など、文科省主導の検定過程を批判する声が相次いだ。

 民主党の川内博史衆院議員は訂正申請の動きについて「記述の訂正と回復は百八十度違う」と指摘。「(民主党などが衆参両院に提示した)決議案を何としても採決に持ち込む」と意気込んだ。

 与党・公明党の遠山清彦参院議員も「審議会は議事録も公開されず、どんな議論があったか与党も分からない」と教科書検定の「密室性」を強調した。

 東京沖縄県人会の川平朝清会長は「県人会は政治的なものに(通常)かかわらないが、青少年育成の立場から日本の正しい現代史を知ってほしい」と記述回復を訴えた。

 集会終盤には上京中の県民大会要請団が登壇し、南部商業高校の生徒九十五人が「教科書には真実を載せて」などと書いた横断幕を手に決意を新たにした。

 主催者は集会に先立ち、国会での院内集会や千代田区有楽町でのビラ配りなどをした。


「ゼロ回答」に怒り


 県民大会実行委員長の仲里利信県議会議長ら要請団十一人の直接の訴えに対し、大野松茂官房副長官は十五日午後、「しっかりと受け止める」とこれまでの政府発言にとどまるなど実質的な“ゼロ回答”となった。要請団からは「検定意見撤回に応じるまで沖縄に帰らない」と失望と怒りの声が上がった。

 要請団が求めていた福田康夫首相や町村信孝官房長官との面談は国会審議があり、実現しなかった。しかも人数が制限され、仲里委員長や副実行委員長の翁長雄志那覇市長、県PTA連合会の諸見里宏美会長らが官邸の門をくぐった。

 要請を終えた諸見里会長は「具体的な回答はなく、あらかじめ用意した言葉を話すだけ。重く受け止めたとは思えない」と憤った。沖縄の未来を語る会の大浦敬文事務局長は「質問や前向きな発言もなくがっかり。せめて『行動を無にしない』との副長官の言葉がリップサービスでないことを期待したい」と話した。

 官邸前で報告を聞いた元女子学徒隊でつくる青春を語る会の中山きく会長は「中に入れると思ったのに残念。誤った教育でお国のために命をささげた私たちの思いを伝えたかった」と悔しそうに語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161300_02.html

 

2007年10月16日(火) 夕刊 1面

「要請を実現したい」/細田幹事長代理前向き

 【東京】自民党の細田博之幹事長代理(元官房長官)は十六日午前、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題への対応について、「本道に戻したい。(県民大会実行委員会の)要請内容を実現したいと思っている」と述べ、検定意見撤回や記述の回復に積極的に取り組む考えを示した。十一万人が参加した県民大会の実行委員会要請団に答えた。実行委はこのほか、社民党の福島瑞穂党首、公明党の太田昭宏代表や浜四津敏子代表代行、池坊保子文科副大臣らにも要請。教科書協会も訪ね、今回の検定で意見が付された五社の担当者らに記述の訂正を要請した。

 要請団の約百七十人は同日、七班に分かれて関係先を回り、検定意見の撤回と記述の回復を含めた四項目を要望。実行委員長の仲里利信県議会議長や高嶋伸欣琉球大学教授らのグループは自民党本部に細田幹事長代理を訪ね、検定意見の撤回などを求めた。

 仲里委員長らによると、同席した河村建夫広報本部長(元文科相)も「教科書に歴史の事実が書かれなければ、文部科学相はきちんと直すよう監督指導する責任がある」と述べ、文科相の責任で対応する必要性を強調したという。

 仲里委員長は要請後、細田幹事長代理の発言について「力強い話があり大きな前進だ」と歓迎。高嶋教授も、河村広報本部長の発言に「政治家の責任の在り方を示したいい発言」と評価した。

 一方、実行委幹事の伊波常洋県議(自民)らのグループは、自民党沖縄振興委員長の山崎拓衆院議員を平河町の個人事務所に訪ねた。山崎氏は冒頭、「超党派の県民大会は県民の総意としてしっかりと受け止めたい。沖縄振興委員会でも、この問題で何かできることがあるか検討している」と述べ、党として対応する姿勢を明らかにした。

 面談は非公開だったが、伊波県議らによると山崎氏は「子どもたちに教える立場から、軍部の関与については事実上元に戻すことを希望しており、そうなると予見している」など、記述回復に前向きな姿勢を示した。

 検定意見の撤回については「制度の問題があるが、今後起こらない仕組みを必ず確立する」と述べ、検定意見撤回以外の手段で解決に取り組む考えを示した。

 要請団の要望は(1)検定意見の撤回と記述の回復(2)教科用図書検定調査審議会の速やかな再開催(3)審議の公開と審議会への沖縄戦研究者の参加(4)沖縄条項の確立―の四点。


小沢氏、国会決議に意欲

「政府・文科省と戦う」


 【東京】民主党の小沢一郎代表は十六日、国会への「沖縄戦『集団自決(強制集団死)』の教科書検定に関する決議案」提出について、「民主党の認識は一致している。政府や文部科学省に対して戦っていく」と、意欲を示した。十一万人が参加した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長の仲里利信県議会議長らの要請団に答えた。

 検定手続きの見直しなどを求める同決議案提出をめぐっては、自民党執行部から反対意見が相次いでいるほか、民主党内からも「全会一致」の慣例を重視し「多数決ではできない」(平田健二参院民主幹事長)との異論が出ており、めどが立たない状況に陥っている。

 小沢代表はこれまで、「参院の判断、運営に任せている」と述べ、事態を静観する構えを見せていたが、今回の発言は従来より踏み込んだものといえる。

 仲里議長らによると、小沢代表はそのほか「政府は審議会に責任を負わせるような格好でやっているが、真正面からはっきりと政府の言葉を言わなければならない」と述べ、同問題をめぐる政府の対応を非難。

 その上で「歴史の事実は一つ。その事実を歪曲することは厳にあってはならないし、それは自分たちもただしていく」と述べ、県民大会で決議した検定意見の撤回や記述の回復に前向きに取り組む姿勢を示したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161700_02.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 1・2・3面

大会決議堅持 強調/解決まで実行委存続

「集団自決」検定撤回/仲里委員長「何度でも要請」

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、十一万人が参加した県民大会実行委員会の約百七十人による要請行動が十六日、終了した。同日夕、東京都内で会見した仲里利信実行委員長(県議会議長)は大会決議で求めている検定意見の撤回と記述の回復を堅持する姿勢を強調。問題解決まで実行委員会を存続させ、実行委員長を務める考えを表明した。

 会見後に開かれた集会では実行委メンバーは「一致団結して頑張ろう」と気勢を上げ、引き続き超党派で連帯して取り組む方針を確認した。

 仲里委員長は会見で、決議要求について「要求が実現されるまで何回でも政府に対して要請を続けていく」と述べ、粘り強く求めていく考えを示した。

 一方、文科省が出版社からの訂正申請で記述の修正を図ろうとしていることに「ずばり(記述を)元に戻してほしい。ちゃんと決着するまでは旧来の教科書でいい。急ぐ必要はない」と述べた。

 要請の成果については、「文科省のこれまでのかたくなな姿勢が、やや和らいだという感触を受けた。わずかだが、前回よりは前進だったと受け止めている」と手応えを語った。

 ただ、政府・与党から決議要望に関する具体的な回答がなく、実質的な進展が見られなかったことには「ある程度予想していた。この問題が一朝一夕に決着するとは思っていない」と淡々と語り、政府の動向を見守りながら、継続的に取り組む考えを示した。

 会見後に開かれた報告集会でも仲里委員長は、「今回の要請で必ずや厚い壁を突破して、私どもの願いが必ず届くものだと思っている」と述べ、連帯を呼び掛けた。

 これに対し県内から駆け付けた実行委関係者からは「委員長を中心に頑張っているのは県民の誇り」「最後の最後まで、撤回させる頑張りたい」などの声が相次ぎ、結束を強めていた。


     ◇     ◇     ◇     

党首クラスが対応


 【東京】「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会らでつくる要請団は十五、十六の両日、官邸や文部科学省、政党、教科書会社担当者らを訪れ、検定意見撤回と記述回復を求めて要請行動を繰り広げた。実行委員会は要請終了後、検定意見の撤回と記述の回復まで、引き続き超党派で取り組むことを確認した。


自民「本道に戻す」

民主など「要請ぜひ実現」


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校教科書の検定意見問題で、県民大会実行委員会の要請団は十六日、精力的に関係機関を訪ねた。政党各党は党首クラスが顔をそろえる異例の対応で出迎えた。それぞれの立場で、十一万人を超える県民の声に対する考えを明らかにした。

 沖縄担当相の経験もある自民党の細田博之幹事長代理は「皆さんの気持ちを重く受け止め、幹部にしっかり伝える」と切り出した。「これだけの証人があり、証言もある。一刻も早く元に戻さなければいけない。(教科書の記述を)本道に戻したい」と述べたという。

 民主党の小沢一郎代表は要請後の会見で、「歴史の事実は事実として、正しく認識した上で考えていかなくてはならない」と理解を示した。その上で「要請内容をぜひ、実現したい」と前向きに取り組む考えを強調した。

 与党の公明党は太田昭宏代表や浜四津敏子代表代行らが応対した。太田代表は(1)沖縄戦の「集団自決」は旧日本軍の関与を否定できない(2)沖縄戦の実相を伝えるために真実を調査・研究する機関の立ち上げを検討する―などの立場を説明。

 同党が政府に提起している沖縄戦の調査・研究機関設置について「調査・研究は体験者の声を聞くことが一番大事なことだと思う。教科書検定に政治は不介入ということは大事なこと。『集団自決』の事実を表現できるように力を注ぎたい」と述べた。

 共産党は志位和夫委員長や国会議員らが出席。志位委員長は検定意見の撤回と軍強制記述の復活を政府の責任で実行するべきだとの考えを強調。「軍の強制なしにあの悲劇は起き得ない。(文部科学省の)検定調査官が勝手に意見を出したことが問題の発端で、『政治介入』したのは文科省である」と指摘した。

 国会決議についても触れ、「中途半端な決着ではつらい体験を証言した人たちを否定することになる。国会でも超党派で一致できるよう努めたい」とした。

 社民党は福島瑞穂党首や又市征治幹事長らほぼ全議員が顔をそろえた。福島党首は「私も直接、『集団自決』の当事者の方々から話を聞いている。軍の強制を削除することは許し難い。子どもたちにしっかりと歴史を勉強させることが大事だ。党を挙げて取り組みたい」と理解を示した。

 衆院会派「国民新党・そうぞう・無所属の会」は、国民新党の綿貫民輔代表や亀井久興幹事長、下地幹郎そうぞう代表が応対した。綿貫代表は「国会の中でもいろんな意見が出ている。中身を検討したい」と発言。

 亀井幹事長は「事実は事実として若い世代にしっかりと伝えることが、歴史教育の上で大前提。そこがねじ曲げられていることがあればそれを正していくのは当然だ。与党も野党もない」と述べ、他党とも調整する考えを示した。

 また、新党日本の田中康夫代表も要請団と会い、「事実は一つしかない。検定意見の撤回、あるいは記述の回復までわが党も頑張りたい」と述べたという。


国会決議に意欲 民主小沢代表


 【東京】民主党の小沢一郎代表は十六日、国会への「沖縄戦『集団自決(強制集団死)』の教科書検定に関する決議案」提出に関連し、党内に結束を図るよう指示した。十一万人が参加した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の要請団に対しても同日、「(民主党は)皆、同じ認識を持っている」と語り、決議に意欲を示した。(一部地域既報)

 検定手続きの見直しなどを求める同決議案提出をめぐっては、自民の執行部から反対意見が相次いでいるほか、民主内からも「全会一致」の慣例を重視して「多数決ではできない」(平田健二参院民主幹事長)との異論が出ており、めどが立たない状況に陥っている。

 小沢代表はこれまで、事態を静観する構えを見せていた。しかし、要請に同席した同党の川内博史衆院議員によると、小沢代表は要請団との面会に先立ち、「歴史をねじ曲げる検定だということで党内で一致している。闘っていく。党内をしっかりまとめるように」と党内結束を指示したという。


政府が「反省」言及/検定制見直し 否定的


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、上京中の県民大会実行委員会要請団は十六日、文部科学省に池坊保子副大臣を訪ね、検定意見の撤回と記述の回復を要望した。池坊副大臣は「(県民の)皆さんが非常な痛みを感じたことを、私どもは反省しなければいけないと思っている」と述べ、今回の検定問題で政府として初めて「反省」に言及した。

 一方で「検定制度が悪かったとは思っていない」と述べ、検定制度の見直しには否定的な考えを強調した。

 要請には県民大会実行委員会の仲里利信委員長(県議会議長)や県関係国会議員、県高校PTA連合会の西銘生弘会長らが同席した。

 仲村正治衆院議員は、沖縄戦で「県民二対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と海軍次官あてに打電して自決した大田実中将の電文に「『集団自決』を強要した悲劇があった」という部分があったと指摘。「(日本軍の強制は)否定することのできない歴史の事実。教科書の書き換えを撤回してほしい」と訴えた。

 要請団は、南部商業高校の生徒九十五人が渡海紀三朗文科相にあてた寄せ書きを手渡した。池坊副大臣は「しっかり大臣に渡したい」と述べた。


実行委 会見要旨


 【東京】「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会らでつくる要請団の記者会見要旨は次の通り。

 仲里利信実行委員長文科省のこれまでのかたくなな姿勢が、やや和らいだんじゃないかという感触だ。わずかだが、前回よりは前進だったと受け止めている。これまで文科省は責任の所在について一切言及しなかったが、反省すべきことを反省すると、文科省の指導監督責任に触れた。また、各政党の代表者からは異口同音に、われわれの取り組みに対する高い評価と力強い支援の言葉に意を強くした。今後も粘り強く、要求が実現されるまで何回でも政府に要請を続けていく。

 平良長政同委幹事 教科書会社は、真実を伝える教科書の社会的責任を十分理解しており、県民の思いをそれぞれの社で話し合い、真実を反映できる教科書にしたいというような決意もあった。


一問一答


 ―わずかな前進とは。

 仲里氏 具体的な結果が出たわけではないが、感触というか、前回と比べ、ある程度の前進があったと思っている。文科省の答弁は前進だととらえている。

 ―教科書会社の訂正申請を待つ政府の姿勢に変化はないが。

 仲里氏 私たちは県民大会で決議した検定意見の撤回と記述の回復という二点は最初から譲れないという共通認識に立っており、その姿勢に変化はない。

 ―知事は「記述回復」優先と発言しているが。

 仲里氏 それは知事のお考え。公式には議会の場で正式に検定意見の撤回と記述の回復を求めることを明言している。それは変わりないものと思っている。知事は政府の立場も念頭におっしゃったとは思う。

 ―一部政党の言う「談話」が実現し、将来同じようなことが起きないとなれば検定意見を撤回できると考えるか。

 仲里氏 その意見は聞いていないが、私たちは現時点では撤回と回復、それを一歩も譲ることができない。

 ―教科書会社の反応をどう受け止めるか。

 仲里氏 教科書会社も財政的な問題もあり、大変だと思うが、それ以上に子どもたちに誤ったこと(を伝え)、文科省に疑いを持たせるようなことをしている。問題が決着するまで旧来の教科書でいいのではないか。急ぐ必要はない。

 ―今後の活動は。

 仲里氏 この問題が一朝一夕に決着するとは思っていないが、国の動向を見守りながら次の行動を皆で考えたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_01.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 24・25面

検定撤回なお「壁」/真実継承へ正念場

 【東京】県民大会実行委員会幹事の平良長政県議ら要請団代表七人は十六日、来年春から使われる高校歴史教科書で文部科学省の検定意見が付き、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」から日本軍強制を示す記述を削除した教科書会社五社に対し、記述の完全復活や表現を強めるよう求めた。教科書会社の編集責任者らは「県民の思いは受け止めた。執筆者と話し合った上で慎重に検討していきたい」などと答えた。教科書会社に直接要請をするのは今回が初めて。

 都内の教科書協会で開かれた要請には、東京書籍、実教出版、清水書院、三省堂、山川出版の編集責任者と担当者ら九人が出席。県PTA連合会の諸見里宏美会長が、本紙のオピニオン面に高校生が寄せた「私は絶対に、うその書かれた教科書を使いたくありません」の投稿のコピーを配布。「子どもたちは本当のことを知りたいと考えている。事実を教え、伝える教科書には真実を載せてほしい」と訴えた。

 高嶋伸欣琉球大教授は「文科省は教科書会社側に責任転嫁し、訂正申請を認めようとしている。訂正は本来は文科省の責任で行うべきだ。われわれも文科省の責任を追及していく」と話し、文科省が検定意見撤回に応じない現状で、教科書会社が訂正申請をすることへの懸念を表明。「沖縄戦をめぐる記述は申請段階のものがベストではない。新たな証言の掘り起こしや研究が急速に進んでいる」とし、記述を強めるよう求めた。

 ある会社の担当者は「投稿にはショックを受けた。教科書の真実を訴え、未来を子どもたちとつくっていく役割を認識し、執筆者と十分に相談した上で適切な判断をしていきたい」と話した。一方、各社からは、具体的な記述内容に関しては特に発言はなかった。

 各社では、十七日に予定されている執筆者らの懇談会なども踏まえ、訂正申請に向けた具体的な協議を進めている。これまでのところ五社以外に検定意見の付かなかった一社も訂正申請を検討している。


政府姿勢に安堵と不満


 【東京】県民大会実行委員会は十六日、二日間の要請行動を終えた。約百七十人の参加者の中には要請を終えた達成感や記述回復に対する政府の前向きな姿勢に安堵感も漂った。一方で、検定意見撤回の回答は得られず、実行委幹部からは「まだ道半ば、これからが正念場だ」とくぎを刺す意見も相次いだ。

 十六日午後、文部科学省や首相官邸、各政党幹部、全国会議員などへの要請行動を終えた一行は、都内の衆院第一会館で報告会を開いた。「全国にこの問題を訴えることができた」「感触として前進があった」と話す報告者。拍手も起こったが、副実行委員長で県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「前進はあったかもしれないが大きな変化はなかった。文科省がなぜ検定意見を付け、日本軍強制の記述を削除したのかはっきりさせるべきだ」と訴える。さらに「検定意見撤回は達成できていない。今が正念場だ」と話した。

 県PTA連合会の諸見里宏美会長は「トップが対応しなかったので当たり障りのない発言だった」と実行委が当初求めていた福田康夫首相や渡海紀三朗文科相への要請が実現しなかったことに不満を表明した。「検定意見が撤回されないままでは十年後に再び同じ問題が起こる。子どもたちに正しい歴史を伝えるためにも絶対に譲れない」と強調した。

 旧制学校同窓会でつくる沖縄の未来を語る会の大浦敬文事務局長は「政府を動かすのは難しいと感じた」と話す。「前向きな発言もリップサービスにしか映らない。検定意見撤回の言質を取られないように対応している。今後も超党派で全県的な運動を継続していく必要がある」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_02.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 2面

豪空軍機が初飛来/那覇基地

 オーストラリア空軍のP3C哨戒機一機が十六日、海上自衛隊第五航空群(那覇市)や米軍と親善訓練を行うため、那覇航空基地に到着した。オーストラリア空軍航空機の訪日は六回目だが、那覇に飛来したのは今回が初めて。

 海上自衛隊と同型の哨戒機を運用するオーストラリア空軍との基礎的な訓練を通じ、信頼醸成を図るのが目的。背景には、対中国をにらんだ日米豪印の安全保障協力の体制強化の意図もうかがえる。十七日は九州西方海域で日米豪の三カ国、十八日は九州東方海域で日豪の親善訓練を行う。

 日豪訓練では、海自第五航空群第九航空隊の哨戒機とともに、海自の潜水艦を使用した基礎的な対潜戦訓練を実施予定。昨年六月には、海自第九航空隊がオーストラリアを親善訪問。日豪の親善訓練は一九八一年以降、二十三回行われている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_06.html

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