沖縄市タクシー強盗、憲兵隊員関与疑いなど  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(4月3日、4日、5日)

2008年4月3日(木) 朝刊 1面

夜間外出制限 緩和 2時間短縮

 在沖米海兵隊報道部は二日、在沖米軍人に課していた午後十時から午前五時までの夜間外出制限措置を四日から、深夜十二時から午前五時に短縮すると発表した。基地外での軍人の飲酒を全面禁止する措置は継続する。制限時間中でも自家用車やタクシー、米軍施設間を運行するバスによる基地と基地外住居間の移動は可能としている。

 在沖米軍トップのリチャード・ジルマー四軍調整官は発表文で「反省の期間とそれに伴って実施した任務時間外の制限措置は、基地外での不法行為を減少することができた」とコメント。「最終的には地元との信頼関係を再構築するのに役立つだろう」としている。

 県基地対策課によると、二月十日の米兵暴行事件以降、米軍人や軍属らによる事件・事故が十九件と相次いで発生しており、ジルマー四軍調整官が評価する制限措置の効果をめぐって県民から反発が出そうだ。

 同報道部によると、ジルマー四軍調整官は四軍の下士官らと意見交換した上で、各軍の司令官らと協議し、一日に今回の緩和措置を決断した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_04.html

 

2008年4月3日(木) 朝刊 27面

「再発防止策は不十分」/首長ら疑問視

 【中部】米兵の外出禁止措置が緩和されることについて、米軍基地を抱える本島中部の首長らは二日、「具体的な再発防止策が示されない中でなぜ」と米軍の対応を疑問視した。同措置が事件減少につながったとの見解には「事件はなくなっていない。兵士一人一人への指導を徹底するべきだ」と訴える意見も出た。

 野国昌春北谷町長は「神奈川県では米軍人による刺殺事件が発生した。米軍は綱紀粛正や教育の徹底を言うが、具体策は報告されていない」と指摘する。

 「基地外居住の実態調査など町の要求にも応えておらず、信頼関係の回復は十分とはいえない」と、緩和措置を疑問視した。

 米軍人による事件が相次ぐ沖縄市。市議会「基地に関する調査特別委員会」の与那嶺克枝委員長は「緩和するのであれば、兵士一人一人まで指導が行き渡るようにするべきだ」とした。

 沖縄市内には米兵相手のバーやライブハウスが軒を連ねる。関係者は「外出禁止措置で、通りは大打撃を受けている。規制緩和は歓迎だ。静かに見守りたい」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_05.html

 

2008年4月3日(木) 朝刊 2面

原因は不発弾処理/ハンセン火災

 先月二十六日に金武町のキャンプ・ハンセンで起きた原野火災の原因は不発弾処理だったことが二日、分かった。真部朗沖縄防衛局長が同日、抗議に訪れた社大党の喜納昌春委員長らに答えた。先月三十一日に、米海兵隊から連絡があったという。沖縄防衛局によると、米軍は廃弾処理場(EOD)1付近で不発弾を発見したが、EODへの移動は危険が伴うとし、その場で処理したと説明したという。米軍は詳しい処理現場については明らかにしていない。

 不発弾をEODでなく、発見現場で処理することについて、沖縄防衛局は「回数は多くないと承知しているが、その頻度は承知していない」と説明。発見現場での不発弾処理時の民間への通報について沖縄防衛局は「民間地における不発弾処理と米軍演習場内における予定外の不発弾処理については単純に比較することができない」としている。

 金武町や同町議会、伊芸区は火災原因について「(集落に近い)レンジ4付近で廃弾処理を行っている」と指摘している。

 喜納委員長や糸数慶子参院議員らは「焼失による原野破壊は米国の責任で植栽し復旧すること」などを六項目を要請した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031300_06.html

 

琉球新報 社説

身柄引き渡し すべての米兵犯罪に適用を2008年4月3日 神奈川県警は2日、横須賀市でタクシー運転手が刺殺された事件で、米海軍に脱走罪で身柄を拘束された男性兵士を米海軍横須賀基地内で取り調べた。

 米兵は米海軍犯罪捜査局の事情聴取に続き、同県警にも殺害を認める供述をした。早期に身柄を日本側に移し、取り調べを本格化させることを求めたい。

 現行の日米地位協定は、運用改善に基づき、米兵の起訴前の身柄引き渡しを要求できるようになった。米側は今回の事件で、日本側の引き渡し要求に応じるとみられる。

 しかし、起訴前の身柄引き渡しは凶悪事件に限っている。しかも、米側の「好意的配慮」で引き渡すなど、多くの問題点がある。

 横須賀市では空母乗組員による強盗殺人事件(2006年)が発生するなど、米兵犯罪は沖縄だけの問題ではない。

 米側は事件発生のたびに、綱紀粛正に努めるとするが、凶悪事件発生後も米兵犯罪は続発している。米軍の統率力は機能していないと言わざるを得ない。

 すべての米兵犯罪で速やかに身柄を引き渡すなど、地位協定の抜本的改定なしには、後を絶たない米兵犯罪の捜査にも大きな支障を来す。

 06年1月に北谷町のキャンプ瑞慶覧で発生したタクシー強盗事件では、米軍が拘束した容疑米兵2人は日本側が起訴するまで、身柄は引き渡されなかった。

 もう一人の容疑者は既に除隊し帰国していた。米側は当時、その容疑者について「軍とともに米本国の特別機関が聴取している。事情聴取の情報提供もしながら宜野湾署と捜査協力を続けている」とした。だが、県警はいまだに帰国した米兵の行方や詳細な情報を把握できていない。

 地位協定が日本側の捜査の壁となり、犯罪者の逃げ得を許すことは、あってはならない。

 民主、社民、国民新の野党三党が地位協定改定統一案をまとめた。

 すべての事件で引き渡し要求に米側が応じることを明文化したほか、基地外での事故の場合、米軍警察は「日本当局の第一義的な統制の下に捜査する」と明記した。

 米軍活動による環境破壊や汚染の浄化は日本の責任となっているが、米側に原状回復義務を負わせる環境条項を盛り込んだ。

 実現すれば、大きな前進である。

 地位協定改定は仲井真弘多知事をはじめ、県民の意志である。14都道府県で構成する渉外知事会も見直しを政府に要求している。

 迅速な捜査、適正な処罰を科すことは、米兵犯罪の抑止にもつながる。だが、政府は米側に見直しを求めないことを明言している。国民の安全を守る気があるのだろうか。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-130789-storytopic-11.html

 

2008年4月3日(木) 夕刊 1面

嘉手納基地 戦闘機の3割外来機/町が離着陸調査

 【嘉手納】嘉手納町が米軍嘉手納基地の運用実態調査のため二〇〇七年度に計三日間実施した目視調査で、騒音が激しいとされる戦闘機の離着陸回数は計三百九十九回で、このうち30%が外来機だったことが二日、分かった。町は「想像以上に多い」としており、外来機による基地運用が恒常化している実態が浮き彫りになった。

 目視調査は、〇七年四月二十五日、同六月十三日、〇八年二月十三日の三日間。いずれも、嘉手納町屋良の「道の駅かでな」で午前六時―午後十時まで、離着陸回数や騒音発生回数、騒音の最高値などを調べた。

 三日間合計の航空機の離着陸回数は五百五十七回。このうち、戦闘機が72%を占めた。

 外来機のFA18戦闘攻撃機は調査を実施した三日間すべてで離着陸が確認され、計九十二回。四月の調査では当時、同基地に一時配備されていたステルス戦闘機F22Aラプターの離着陸が二十八回あった。

 三日間の騒音発生回数の一日当たりの平均は百三十八回で、合計は四百十四回。二〇〇六年度の一日当たりの平均騒音発生回数百九回を上回った。

 〇六年度の同様の目視調査では、航空機の離着陸回数四百九十八回。騒音は、三百八十七回発生した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031700_02.html

 

2008年4月3日(木) 夕刊 5面

沖高専上空で米軍ヘリ訓練

 【名護】米軍のヘリコプターが、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の上空付近で、機体を空中で静止させるホバーリング訓練を行っているのが三日午前、確認された。春休み期間で授業はなかったが、キャンプ・シュワブに隣接する同校は、これまで名護市などを通じ米軍に運用の改善を求めていただけに、あらためて周辺の生活環境への配慮が求められそうだ。

 糸村昌祐校長は「授業中にヘリが周回した事もあり、その度に改善を求めてきた。教育機関なので静かな環境が望ましいし、授業に影響が出るような訓練はやめてほしい」と話した。

 同校グラウンドで野球の練習をしていた宮里貴紀さん(五年)は「あまりに低空で飛んだので、不時着するのかと思った。沖国大の墜落事故が頭に浮かんだ。生徒が巻き込まれる恐れがあり、ヘリは学校の上空を飛んでほしくない」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804031700_03.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 29面

米兵の息子2人が自供/タクシー強盗致傷

 今年三月十六日夜に沖縄市内の路上でタクシーから現金箱を盗んだとして窃盗の容疑で沖縄署に逮捕された米兵の息子二人が、同日未明に同市内で起きた外国人らしき三人組によるタクシー運転手への強盗致傷容疑事件についても関与を認める供述をしていることが三日、関係者の話で分かった。県警は二つの事件が同一犯による可能性が高まったとみて、近く二人を強盗致傷容疑で再逮捕する方針。米軍側は強盗致傷容疑事件の共犯とみられる複数の外国人の身柄を確保しており、県警が引き渡しを求めている。

 タクシー運転手の強盗致傷容疑事件は三月十六日午前午前零時二十分ごろ、同市中央二丁目の路上で発生。外国人とみられる三人組の男がタクシーを止めて乗務員の男性を殴り、現金約八千円入りの釣り銭箱を盗んで逃走した。乗務員は殴られた際に転倒し、すりむくけがをした。

 この事件から約二十二時間半後の同日午後十時四十五分ごろには、同市南桃原の路上で、別のタクシー運転手が車内から現金五千四百円入りの現金箱を盗まれた。同署が、海兵隊の息子の無職少年(15)と空軍兵の息子の男子高校生(16)を窃盗容疑で逮捕していた。米軍が身柄を確保している複数の外国人は、強盗致傷事件の実行犯か補佐役だった可能性がある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_04.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 29面沖高専上空でヘリ訓練/米軍、生活配慮なく

 【名護】米軍のヘリコプターが、名護市辺野古の国立沖縄工業高等専門学校の上空付近で、機体を空中で静止させるホバーリング訓練を行っているのが三日午前、確認された。春休み期間で授業はなかったが、キャンプ・シュワブに隣接する同校は、これまで名護市などを通じ米軍に運用の改善を求めていただけに、あらためて周辺の生活環境への配慮が求められそうだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_05.html

 

2008年4月4日(金) 朝刊 2面

泡瀬埋め立て下旬開始/総事局計画

 【沖縄】中城湾港泡瀬沖合の埋め立て事業で、事業者の沖縄総合事務局は三日、四月下旬から護岸の埋め立て作業などを開始する二〇〇八年度の事業計画を発表した。例年四―七月はトカゲハゼの産卵期に当たるとして、環境アセスメントの規定に従い工事を中断していた。しかし、外周護岸によって区切られた状態になり、内部での作業には影響がなくなったとして初めて四月から工事を行う。

 国の工事は、四月から囲まれた護岸の内側に砂を投入し、八月以降に護岸への石材や土のう設置、仮設航路浚渫、十二月から新港地区の泊地の浚渫工事などを予定している。事業費は約四十億円。県は八月以降に人工ビーチの突堤建設を始める。第一区域の事業は一二年度完了の予定。

 同事務局は「工事中は水質監視調査を行い、濁りがあれば工事を中断して対策を取る。八月以降の工事は通常通り汚濁防止膜を設置する」と説明している。

 通年工事に反対する泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「囲ったから影響がないというのは勝手な解釈。強引に進めるやり方に怒りを覚える」と批判。工事中止を求め、何らかの行動を取るとした。

 推進派のプライド泡瀬の當真嗣蒲会長は「第一区域の工事は決まったことであり、沖縄市の経済発展のため一日も早く進めてほしい。環境に配慮された工事であり、外周が囲われたのであれば希少生物にも影響はないと思う」と歓迎した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041300_06.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年4月4日朝刊)

[横須賀・米兵逮捕]

再発防止策を洗い直せ


 「良き隣人」でありたいという言葉とは裏腹に、米軍は今や、基地を抱える住民にとって「内なる脅威」になりつつあるのではないか。そんな疑問を振り払うことができない。

 神奈川県横須賀市で起きたタクシー運転手刺殺事件で神奈川県警横須賀署捜査本部は、米海軍に脱走罪で身柄拘束されていたナイジェリア国籍の米海軍一等水兵(22)を強盗殺人容疑で逮捕した。

 横須賀市では二〇〇六年一月にも、米兵による女性殺害事件が起きている。飲酒などで浪費した末に、泣き叫ぶ被害者に暴行を加えて殺害し、現金を奪うというおぞましい事件だった。

 米軍は事件後、深夜の飲酒制限をはじめ、さまざまな再発防止策を実施した。だが、米兵による凶悪犯罪はその後も、横須賀をはじめ各地で後を絶たない。

 なぜ、こうも米兵による事件が頻発するのか。腹立たしくあれば、もどかしくもある、というのが正直な気持ちだ。

 今回の事件は、従来のような一時しのぎの再発防止策の限界を明らかにした。米軍駐留の在り方まで含めた大胆な解決策を模索する必要がある。

 そうでなければ、壊れた蓄音機のように、今後も、謝罪と再発防止をむなしく繰り返すしかないだろう。

 国内にありながら米軍基地は、民間地域とは別世界を成している。通用する法体系も生活スタイルも、メディアによる報道も、基地の内と外ではことごとく違う。その違いと落差が、再発防止を難しくしているのである。

 米兵による暴行事件や殺害事件は、日本社会にとっては重大事である。連日のように報道され、国会でも取り上げられる。

 基地内でも米兵向けに、繰り返し同様の報道がなされ、重大な出来事として受け止められているかといえば、決してそうではない。

 事件そのものへの嫌悪の情は共通するとしても、金網の内と外とでは、事件に対する受け止め方に、さまざまな点で大きな落差があると言わなければならない。

 夜間外出禁止や教育プログラムなど、行動規律の厳格化を進めているのは事実だが、それでもまだ、金網の内と外の落差が埋められたとはいえない。

 日本社会が感じている問題の深刻さをいかに基地内に浸透させ、実効性のある再発防止策を打ち出すことができるか。それが問われているのだと思う。その壁になっているのが地位協定である。

 部隊内部の規律厳格化だけでは限界がある。地位協定そのものを見直し、起訴前の身柄引き渡しについては、もっと広範な犯罪を対象にすべきである。

 逆に言えば、犯罪等の処理についてまで地位協定による手厚い「保護」がなされているため、再発防止策が十分な効果を上げていないともいえる。根本的な見直しが必要だ。

 繰り返すようだが、基地内での取り組みと日本社会の重大性認識には落差があり、これをどう埋めるかが大きな鍵である。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080404.html#no_1

 

2008年4月4日(金) 夕刊 1面

タクシー窃盗/別の強盗致傷で再逮捕

 三月十六日夜に沖縄市内で起きたタクシー乗務員に対する窃盗事件で逮捕された米兵の息子二人が、同日未明に同市内で起きた別のタクシー乗務員への強盗致傷事件についても犯行を認める供述をしている問題で、沖縄署は四日、二人を強盗致傷容疑で再逮捕した。基地内に住む別の米兵の息子二人についても四月二日に同容疑で逮捕状を取ったが、米側の捜査協力が得られていない。また、嘉手納基地所属の兵長(21)が、犯行に関与したとみて米軍が監視下に置いており、同署が任意同行して調べを進めている。

 逮捕されたのは、在沖米空軍兵の息子の男子高校生(16)=同市八重島=と、米海兵隊員の息子の無職少年(15)=住所不定。逮捕状を取ったのは、在沖空軍兵の息子(19)と在沖米陸軍の息子(19)。少年四人のうち三人が実行犯とみられている。空軍兵長は実行犯ではないが、補佐的な役割をした疑いが持たれている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804041700_04.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 1面

憲兵隊員 関与疑い/沖縄市タクシー強盗

米軍が拘束 県警捜査

 沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシー強盗致傷事件で、米軍の監視下にある嘉手納基地所属の兵長(21)が憲兵隊員であることが四日分かった。米兵犯罪の取り締まりに当たるべき憲兵隊員が犯行に関与した可能性がある。また、県警が強盗致傷容疑で二日に逮捕状を取った米兵の息子二人について、米側は四日現在、身柄の引き渡しに応じていない。

 県警によると、憲兵隊員は実行犯ではなく、何らかの補佐的な役割を果たした疑いが持たれている。県警は「米軍から十分な捜査協力が得られている」として逮捕状を請求せずに任意で捜査を進めており、日本側が身柄を取らないまま書類送検するとみられる。

 逮捕状を取った基地内に住む米兵の息子二人については、沖縄署が複数回にわたり米側に身柄の引き渡しを求めているが、現在まで実現していない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_07.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 2面

米兵事件防止へ新機関を/渉外知事会 自治体参加 要求

 【東京】米軍基地を抱える十四都道県でつくる渉外知事会会長の松沢成文神奈川県知事らは四日、外務省の宇野治政務官と会い、米兵事件の再発防止に向けて、日米合同委員会の中に、自治体が参加する「地域特別委員会」のような協議機関の新設を求めた。宇野政務官は、米側が積極的な姿勢であれば検討する意向を示したという。

 松沢知事によると、シーファー駐日大使が三日に神奈川県庁を訪れた際、機関新設を提案したところ、同大使は「こういう事態では米政府として前向きに検討しなければならない義務がある」と答えたという。

 渉外知事会は、これまでにも日米地位協定の抜本的改定を政府に要請しているが、政府は改定に否定的で、運用改善で対処する見解を繰り返し示している。

 再発防止策などの協議について、渉外知事会は、地位協定で定められている日米合同委に自治体の意見を反映する場がないことを問題視。地元の意向を踏まえて話し合える仕組みの必要性を要望した。

 松沢知事は「改定ができないのであれば、基地所在自治体の声をくみ取る協議の場を設けてほしい。政府の言う運用改善ですぐにできる妥当な提案だ」と指摘。「日米両政府に対応してもらわない限り、地元の信頼は得られない」と述べた。

 渉外知事会は四日、大野松茂官房副長官にも要請した。沖縄県からは吉川浩正県東京事務所長が同席した。来週は高村正彦外相に要請するという。


身柄引き渡し 米軍裁量


 米軍人の家族ら五人が絡んだとみられるタクシー強盗致傷事件。沖縄県警は逮捕状を取った二人の米軍人家族の身柄引き渡しを米軍側に要求しているが、応じるかどうかは米軍の裁量に委ねられているのが現状だ。神奈川県のタクシー強盗殺人事件の容疑者米兵とは違い、米軍人・軍属の家族は、日米地位協定の運用改善でも米側が「好意的考慮」を払う対象には含まれない。

 強盗致傷容疑で四日に再逮捕された二少年は、三月に別の窃盗容疑で逮捕されていたが、その際、一人(16)は緊急逮捕。もう一人(15)は捜査協力を求められた米軍当局が二日後に沖縄署へ連れてきたため、同署は通常逮捕した。

 一方、残りの二人=いずれも(19)=は県警が逮捕状を取り、身柄引き渡しを求めているが、米軍側は「引き渡し手続き開始のための正式な要請が沖縄県警からあり、現在はその手続きの途中だ」として、依然引き渡しには応じておらず、理由も明らかにしていない。

 ある県警捜査幹部は「米軍は通常、家族の取り調べについては協力的だが、結局は米軍の都合次第で決まる。引き渡しが遅れれば捜査も遅れる。じくじたる思いはある」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_08.html

 

2008年4月5日(土) 朝刊 2面

「宮古島に陸自誘致」/商議所会頭、再び言明

 【宮古島】宮古島商工会議所の中尾英筰会頭は、四日の同会議所創立七十五周年記者会見で、「宮古島に陸上自衛隊を誘致したい」と述べた。

 中尾会頭は、昨年十一月の同会議所の臨時議員総会でも同様な発言をしていた。

 中尾会頭は、北朝鮮の動向や中国の国防費増加などを示しながら、先島での国防体制構築の重要性を強調。さらに、誘致理由として、急患輸送ヘリによる人命救助、不発弾処理などの迅速化、宮古出身の陸自隊員二百人のUターンによる人口増加なども挙げた。

 反対の声もあるとしながら、「誘致には多くの方の支援がある。宮古に自衛隊が来たからといって、戦争につながるとは思わない。(誘致によって)国民の不安を解消し、生命と財産を守ることが大事だ」との見解を示した。しかし、下地島空港への誘致については否定した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051300_09.html

 

2008年4月5日(土) 夕刊 1面

タクシー強盗 米兵息子2人逮捕

 【沖縄】沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシー強盗致傷事件で、米軍は五日午前、沖縄署が逮捕状を取っていた米兵の息子の少年二人=いずれも(19)=の身柄を同署に引き渡した。これを受け同署は同日午前、少年二人を強盗致傷容疑で逮捕した。二人は容疑を認めているという。同事件での逮捕者は米軍人の息子ばかり四人となった。

 同署はさらに、嘉手納基地所属の憲兵隊員も事件に関与した可能性があるとみて、任意で事情を聴くなど調べを進めている。

 同署は二日に少年二人の逮捕状を取り、米軍に複数回にわたり、身柄引き渡しを求めていた。

 同署によると、米軍は五日午前、「基地内で少年を引き渡すので来てもらいたい」と連絡。同署の捜査員が嘉手納基地内で身柄引き渡しを受けたという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051700_03.html

 

2008年4月5日(土) 夕刊 5面

「取り締まる憲兵が・・・」/タクシー強盗関与 地元首長、強い憤り

 【中部】またも米軍関係者か―。沖縄市で起きた米軍関係者によるタクシーを狙った強盗致傷事件は、嘉手納基地所属の憲兵隊員も犯行に関与していたことが浮上。犯罪を取り締まる憲兵隊員の関与は、米軍の「綱紀粛正」の中身のなさを露呈した。米軍関係者による事件が繰り返される本島中部の住民やタクシー業界関係者からは「米軍事件が日常になってしまった」と怒りと不安が渦巻いた。

 沖縄市の東門美津子市長は事件に憲兵隊員が関与している可能性があることに「冗談じゃないでしょう」とあきれた様子。「取り締まる側が犯罪にかかわっていたなら、許せないし話にならない。米軍は一連の抗議行動をどう受け止めているのか」と強い憤りを示した。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)会長の野国昌春北谷町長は「憲兵隊は規律を守り、指導すべき立場にある。関与の疑いがあること自体が米軍の規律の緩みの激しさを表し、大問題だ」と指摘した。

 基地の中まで米軍人を送迎する「ベースタクシー」を運行する沖縄市内のタクシー会社は、防犯のため昨年の夏から、後部座席と運転席の間にプラスチックの板を設けるなど対策をとっている。同社の運行管理者(61)は「沖縄市での事件後、不審者は乗せず、身に危険を感じたらすぐ逃げるよう乗務員に注意を促した。タクシー運転手が何度も被害に遭って遺憾だ」と憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200804051700_04.html

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