浦添の遺棄弾移送完了 普天間協議、再開半年、足踏み Yナンバー車、日米協議4年なし ギンバル移設、民意揺れ など  沖縄タイムス関連記事・社説、琉球新報 社説(5月11日から14日)

2008年5月11日(日) 朝刊 23面

浦添の遺棄弾移送完了/毒ガス成分確認されず

 浦添市内の建築現場で見つかった、化学弾の可能性がある米国製M57迫撃砲弾二十二発の遺棄弾が十日、陸上自衛隊と民間の専門業者によって米軍嘉手納弾薬庫内の県の不発弾保管庫に移送された。防衛省によると、七日から行われた砲弾の密封容器への収納、移送作業で毒ガス成分の漏れは確認されなかったという。

 移送作業は十日午前七時に始まった。密封容器に収納された砲弾はトラック四台に分けて乗せられ、同日午前八時に現場を出発。自衛隊車両二台、県警のパトカー二台、浦添市消防本部の消防車一台を伴い、国道58号を時速四十―五十キロで読谷村まで北上した。午前九時すぎに弾薬庫内に運び込まれ、二時間後に作業が終了した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805111300_03.html

 

2008年5月11日(日) 朝刊 23面

沖縄口で平和を「9条Tシャツ」/沖教組教育研が製作

 Tシャツを着て九条を守ろう―。県教職員組合(沖教組)教育研究所は、背中に憲法九条の一部を沖縄口(ウチナーグチ)で記したTシャツを作り十日、発表した。憲法改正手続きを定めた国民投票法が昨年五月に成立するなど九条をめぐる動きが慌ただしくなる中、誰でも気軽に参加できる平和運動を広めようと企画。舞台俳優の北島角子さんが沖縄口に訳した。

 Tシャツの胸の部分は黒地に白や水色で地球などのイラストと文字がデザインされ、「9」の隠し文字が浮かび上がる。背中の部分には今後、関西弁や東北弁など各地のお国言葉に置き換え、全国にTシャツを普及させたいという。

 那覇市首里崎山町のアルテ崎山でTシャツを披露した沖教組の山本隆司副委員長は「Tシャツなら着るだけで意思表示ができる。子供から大人まで多くの人に広めたい」と意欲。公演の際に沖縄口で九条を朗読するという北島さんは「憲法と聞くと固い感じがするが、沖縄口だと柔らかく聞こえる。すてきな沖縄口で平和憲法を人々の心に届けられれば」と語った。

 Tシャツは一枚二千円で子供サイズからXLサイズまで。問い合わせは学校用品、098(867)3683。アルテ崎山でも購入できる。

 5・15平和行進二日目の十七日は、糸満市摩文仁の平和祈念公園出発の南コースを歩く日教組と沖教組の組合員らがTシャツを着る予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805111300_04.html

 

2008年5月11日(日) 朝刊 2面

普天間協議 足踏み/再開半年

 政府が昨年十一月、難航する米軍普天間飛行場(宜野湾市)移設問題を「官邸主導」で解決しようと十カ月ぶりに再開させた県側との協議会が、半年を経ても足踏み状態を続けている。代替施設として名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部にV字形滑走路を建設する政府案に対し、県側が沖合への移動を求めているからだ。

 地元の軟化を狙って矢継ぎ早に打ち出した北部振興策の凍結解除など「太陽政策」も空振りの格好。米政府は沖合移動をかたくなに拒否し、政府内では官邸サイドの見通しの甘さに批判が出始めている。

 「私が官房長官でいる限り、米軍再編に不熱心ということはない」。町村信孝官房長官は九日、官邸を訪れたネグロポンテ米国務副長官に、移設協議の停滞を釈明した。

 防衛省は安倍内閣当時、北部振興策の予算執行や米軍再編交付金を凍結する「アメとムチ」で県側に妥協を迫った。しかし町村氏や二橋正弘官房副長官は、防衛省任せでは解決は困難と判断。譲歩を促すため、今年になって凍結を解除した。

 政府関係者は、七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でブッシュ米大統領が来日する際の大筋決着を「最短シナリオ」として描いていたという。

 しかし協議会は四回の会合を重ねても打開の糸口を見いだせず、官邸筋は「もう打つ手はない」とお手上げ状態。

 シーファー駐日米大使が町村氏に「沖合移動はパンドラの箱を開けるようなもの。米軍が不満を言いだす」と伝え、安易に妥協しないようくぎを刺す場面もあった。

 防衛省幹部の一人は「沖縄に予算措置はしたが、何も進まない。町村氏も解決の難しさにようやく気付いたのではないか」と冷ややかに話している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805111300_05.html

 

2008年5月12日(月) 朝刊 2面 

「普天間」移設3年内閉鎖状態に力点/仲井真知事就任1年半

 米軍普天間飛行場を名護市のキャンプ・シュワブ沿岸部へ移設する日米政府合意をめぐり、仲井真弘多知事が主張の力点を変化させた。滑走路位置の沖合修正と、「三年」をめどに同飛行場を閉鎖状態にするとの二つの受け入れ条件のうち、閉鎖状態をより声高に訴え始めている。

 背景には二〇〇六年十一月の知事選で公約した三年まで残り一年半となったことがある。

 加えて六月の県議選で県政与党の苦戦が予想され、進展が見えにくい沖合修正より閉鎖状態の実現を訴える方が県民にアピールできると判断、かじを切ったようだ。

 「危険性除去のため絶えず研究を続けています、という姿勢をみせていただきたい」。四月九日、官邸で開かれた移設協議会で、仲井真知事は何度も発言を求めた。

 住宅地に囲まれた普天間飛行場の危険性は早くから指摘され、〇四年には隣接する大学に同飛行場所属のヘリが墜落。こうした経緯から仲井真知事は知事選で「三年以内の閉鎖状態実現」を掲げて当選した。

 関係者は「就任から一年半が過ぎ、普天間移設で前進がないことに焦りもあるようだ」とおもんぱかり、県議選で与党側が過半数を割り込めば移設自体が頓挫しかねないと懸念する。

 昨年八月、閉鎖状態に対する「回答」として住宅密集地を避けた飛行ルートを示していた防衛省は、ここにきて「何が技術的に可能か研究検討したい」との姿勢を示し始めたが、具体策の道筋は見えない。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805121300_02.html

 

沖縄タイムス 社説(2008年5月12日朝刊)

[移設協議足踏み]

「解」はどこにあるのか


 防衛省主導の強硬路線に対する反発を考慮し、話し合い路線へ転換した官邸。日米合意案(V字案)を修正させ、官邸主導による沖合移動をもくろむ県。昨年十一月、普天間移設協議会がおよそ十カ月ぶりに再開されたのは、官邸と県の局面打開に向けた思惑が一致したからだ。

 だが、協議会再開から半年が過ぎても依然として修正協議は進んでいない。官邸からは協議会の会合のたびに「柔軟発言」が飛び出すものの、沖合移動については足踏みの状態だ。県にとって大きな誤算は、米側の姿勢が極めて強硬なことである。

 ネグロポンテ米国務副長官は九日、町村信孝官房長官、石破茂防衛相に会い、「合意された通り、タイムリーに実施していく必要がある」と述べ、安易に妥協しないようくぎを刺した。

 シーファー駐日米大使も町村官房長官に「沖合移動はパンドラの箱を開けるようなもの」だと伝え、官邸の動きをけん制した。

 米政府高官の否定的発言は、ケビン・メア在沖米総領事の一連の発言とも重なる。

 総領事は本紙のインタビューに対し「もう調整は終わっており、二年前から実行する段階に入った」「選択肢はこの計画を実行するか、しないかの二つ。修正という選択肢はない」と答えている(四月三十日付朝刊)。現場の外交官がなぜ、これほど居丈高な発言をするのか、反発を覚えた読者も多いに違いない。

 明らかなことは、発言が個人的な資質によるものではなく、米政府の一致した見解だという点だ。

 私たちはこれまで、在日米軍再編計画の中に盛り込まれた日米合意案の問題点を幾度となく指摘してきた。

 第一に、「地元の頭越しに進めることはない」(橋本龍太郎元首相)という当然の前提が今回の日米交渉では踏襲されず、県など地元のきちんとした同意を得ないまま交渉を進めたこと。

 第二に、天然記念物のジュゴンが生息し、「自然環境の厳正な保護を図る区域」だと県自ら評価した区域を移設先に選んだこと。防衛省の環境影響評価方法書は、情報開示が不十分なために不備が目立った。

 第三に、「地元の負担軽減と抑止力の維持」という政府の主張が、本来、相いれない部分を含んでいるにもかかわらず都合のいいように語られ、その結果、政府側の言うことと米軍側の言うことがしばしば食い違いをみせたことだ。

 第四に指摘したいのは、米軍再編推進法に基づく再編交付金の問題だ。これほどあからさまな「アメとムチの政策」は、地方自治をいびつにするだけである。

 普天間飛行場の危険性の除去についても、有効な対策が打ち出せないでいる。

 仲井真弘多知事はこれから先、どのような姿勢で臨むつもりなのだろうか。沖合移動そのものにも問題が多いだけに、世論を背景に日米に迫るという構図は描けない。ここは、原点に立ち返って問題点を一から洗い直すしかないのではないか。急がば回れ、だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20080512.html#no_1

 

琉球新報 社説

地位協定の改定 超党派で実現を目指せ 2008年5月12日

 日本は本当に独立国家なのだろうか。防衛のために米軍の駐留を認めたのはいいが、基地内はまさに治外法権。日本の法律は及ばず、どんな化学物質を使い、どんな兵器を保持しているのか。まるで分からない。

 基地内だけに限らず、日本の主権下であるはずの民間地域でも米軍や軍人の、ほとんどやりたい放題ではないか。事故があれば勝手に現場を確保、日本の警察さえ入れない。米軍人や軍属の被疑者についても、憲兵が力ずくで基地内に連れ去る。早朝だろうが未明だろうが、爆音を響かせて離着陸を繰り返す。住民のことなどお構いなしだ。日本政府も、見て見ぬふりと批判されても仕方ない。

 なぜ、このような不平等がまかり通るのか。しかも、在日米軍専用施設の75%を押し付けられた沖縄でこそ、この矛盾が噴き出すのだ。不条理な現実の裏には明らかに日米地位協定がある。

 改定を求める沖縄側に、日米両政府がまるで口裏を合わせるかのように、こう答える。「(協定は)外国と比較しても、最も進んでいる」「運用改善で十分、目的は達成できる」と。しかしそれは違う。明らかに事実に反する。環境問題に関して、ドイツでは基地返還の際の原状回復義務と浄化を米軍に義務付けている。米軍基地内では防衛活動に必要な措置が取れるが、その使用にあたってはドイツ法令が適用できる。米軍人・軍属および家族である被疑者の身柄についても、ドイツ側からの要請があれば、その拘禁はいつでも可能だ。韓国、イタリアでも似たような事例は多い。

 翻って沖縄。米兵らが「何をしても(日米地位協定と軍が)守ってくれる」と信じ込んでも何ら不思議ではない。「(われわれは日本の防衛に)命を犠牲にしている。協定見直しを政争の具にしている」(ケビン・メア米総領事)などの発言も根は一緒ではないか。

 野党が共同で地位協定の改定に乗り出した。参院本会議に国会決議案を提出するという。明治の元勲たちは欧米との不平等条約の改正に命を懸けて対峙(たいじ)した。せめて、その気概の一端を見せてほしい。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-131991-storytopic-11.html

 

2008年5月12日(月) 夕刊 1面

「協定改定米に促す」/基地被害聞き取り

 八月の「沖縄ビジョン」再改訂に向け、県内の基地問題や経済情勢を把握するため来県した民主党プロジェクトチーム(PT)視察団(団長・武正公一衆院議員)が十二日、県庁記者クラブで会見を開き、「日米地位協定改定は『平成の条約改正』として米政府や米議会に働き掛け、具体的に取り組みたい」と報告した。経済政策については「県内の地域ごとの課題を取り上げ、現実的可能性を絞り込みたい」と述べた。

 視察団は会見に先立ち、仲井真弘多知事と意見交換したほか、宜野湾市の伊波洋一宜野湾市長から米軍基地被害の実態などについて聞き取り調査した。

 仲井真知事は地位協定改定について「与党を含め、各政党が取り組んでも途中で(議論が)止まってしまう。しっかり取り組んでほしい」と理解を求めた。

 伊波市長は普天間飛行場の事故の危険性について、米軍が自ら定めた同飛行場のクリアゾーン(利用禁止区域)を守らず、危険性が放置されている現状を説明。二〇〇七年に日米で合意した場周経路も守られていないことを指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805121700_04.html

 

2008年5月12日(月) 夕刊 5面

帰還兵の80%心にダメージ/元米大佐・外交官アン・ライトさん

 「イラクやアフガニスタンからの帰還米兵の80%が精神的ダメージを受け、正常に判断できる状態ではない」。元米陸軍大佐・元外交官のアン・ライトさん(61)が十一日、沖縄市のくすぬち平和文化館で講演し、米国帰還兵局の統計データなどを報告。「軍がカウンセリングしなければ、何をするか分からない兵士を放置することになる」と警告した。

 ライトさんは陸軍に二十九年間、外交官として十六年間勤務。二〇〇三年に、ブッシュ政権のイラク戦争に反対して外交官を辞任し、平和を目指す活動を続けている。今回は九条世界会議の招きで来日、大阪や北海道、新潟などを回り沖縄入りした。

 講演では米国防総省の発表などから、「米軍内では女性兵士の三人に一人がレイプされている。イラクやバーレーンなどで三十九人の女性兵士が戦闘によらない死に方をし、十五人は死因に疑惑があるが、五人は自殺と発表された。うち二人の両親は虐待されて死んだとして、三週間前に国会に申し立てた」とした。

 米兵の海外駐留中の性犯罪は、米国内の性犯罪者リストに乗らないと指摘。一九九五年、二〇〇〇年に県内で暴行事件を起こした加害者がそれぞれ、米国内でも犯罪を起こしたとし、「日本の皆さんが米国領事館に、性犯罪者リストに載せるよう要求しほしい」と訴えた。

 参加者からの質問に答え「レイプは増えてきている。メディアや勇気ある発言で数は明らかになってきたが、米政府は積極的に公表したり警告はしていない。軍隊に女性を勧誘するならはっきり危ないと示すべきだ」などと訴えた。

 ライトさんは、十三日午後六時から名護市労働福祉会館でも講演する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805121700_05.html

 

2008年5月13日(火) 朝刊 2面

県、危険除去で市聴取/普天間飛行場

 【宜野湾】仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の危険性除去策を検討する研究会設置を県の担当課に指示したことを受け、県返還問題対策課は十二日、宜野湾市役所を訪れ、伊波洋一市長らからヒアリングを行った。危険性除去策について県がヒアリングを行うのは初めて。同課の名嘉真稔副参事は「現場の情報を持ち帰り、環境や航空などの担当課と情報を共有したい」と述べた。

 伊波市長は飛行場周辺地域の安全のため、ヘリコプターの進入経路と場周経路を定めた報告書が日米で合意された二〇〇七年八月以降も、設定されたルートをはみ出して訓練を繰り返している現状を訴えた。

 また、米本国では航空施設整合利用ゾーンプログラム(AICUZ)によって基地周辺の利用禁止区域が定められ、地域の安全が保たれていることを説明。

 AICUZは米国以外で適用されないが、日本国内の米軍基地については日本政府が環境基準を定められると指摘し、「環境を守る基準があれば、普天間飛行場だけでなく県内のほかの基地にも適用できる。県も積極的に取り組んでほしい」と要望した。

 名嘉真副参事らは、場周経路が守られていない客観的なデータの必要性を指摘。研究会設置の具体的なめどは立っていないとした上で、「今後も市から情報を得て、県の各担当課と話し合いたい」と述べた。

 仲井真知事は四月に開かれた普天間移設協議会で、政府が危険性除去の取り組みを再検討する方針を示したことを受け、研究会の設置を指示。伊波市長は二日、上原昭知事公室長に対し、同飛行場の運用停止などを求める要請を行っていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805131300_03.html

 

2008年5月13日(火) 朝刊 23面

米兵退去求め署名へ/砂辺住民

 【北谷】基地外に住む米兵が未明まで騒ぎ、たばこの吸い殻を捨てるなど地域に迷惑を掛けているとして、北谷町砂辺に住む住民約二十人は十二日、会合を開き家主や不動産会社などに退去させるよう署名、要請することを決めた。行政への要請も検討する。周辺住民からは「生活権の侵害だ」と抗議の声が上がっている。

 住民によると、昨年十二月に米兵が引っ越してきた。二人の米兵が生活しているとみられるが、週末になると複数人集まり未明まで騒ぐようになった。たばこの吸い殻などが投げ捨てられ、酔っ払った米兵が嘔吐することもあった。

 住民らは何度か警察に通報したが、改善されなかった。四月二十七日に住民約二十人が米兵に対し十時以降は騒がないよう申し入れた。その時は米兵は謝罪し、騒がないことを約束したが、五月九日から十一日にかけては、再び昼夜構わず騒いだ。十一日未明には上半身裸の男女がベランダで騒ぐ光景もあった、という。

 近くに住む女性(62)は「米兵がみんな悪いというわけではない。基地外に住むなら家主も近隣住民に迷惑を掛けないよう指導を徹底してほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805131300_04.html

 

2008年5月13日(火) 夕刊 1面 

日米協議4年なし/Yナンバー車

 【東京】外務省の西宮伸一北米局長は十三日午前の参院外交防衛委員会で、米軍人・軍属らの私有車両(Yナンバー車)の車庫証明提出問題を協議する、日米合同委員会の特別分科委員会が二〇〇四年八月三十一日以来、一度も開かれていないことを認めた。井上哲士氏(共産)への答弁。

 同年七月の合同委員会では、「Yナンバー車」の車庫が「基地外」にある場合、車庫証明書の提出を義務付けることで合意した。そのほか、「基地内」の車庫証明書の提出についても特別分科委員会を少なくとも二週間に一回開いて議論することを確認していた。

 西宮局長は「そのほかの形で随時、米側との協議は行ってきている」と述べつつ、「(協議が)若干停滞している」と、協議が進んでいない実態を認めた。

 高村正彦外相は「日米合意が守られるよう、詰めきっていないところは早く詰めるように努力していきたい」との考えを示した。

 一方、国土交通省の松本和良技術安全部長はYナンバー車の登録について、「米軍人などは住民登録されていないため、居住場所が基地内か基地外か、公的証明書で確認できない」と述べ、登録申請者が「基地外」と申告した車しか、車庫証明書を確認できない現状を説明した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805131700_03.html

 

2008年5月13日(火) 夕刊 5面

未明離陸に抗議決議/嘉手納議会「強い憤り」

 【嘉手納】米軍嘉手納基地で相次いでいるF15戦闘機などの未明、早朝離陸について、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十三日の臨時会で、同基地からのすべての航空機の未明、早朝離陸の全面中止を求める抗議決議、意見書の両案を全会一致で可決した。伊礼議長や基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)の委員ら計八人は閉会後、同基地を訪ね、直接抗議した。

 伊礼議長や田仲委員長によると、同基地のジョン・ハッチソン広報局長は「(未明、早朝離陸は)まれにある運用で、正当な理由がある。最大の課題の運用上の安全を守るためには、この方法しかとれない」と答えたという。

 抗議決議、意見書は「嘉手納町域で九三・七デシベルの騒音を記録し、基地周辺住民の安眠を妨げた」と被害の実態を指摘。未明離陸を強行する米軍に対し「地域住民の切実な声を無視する姿勢は極めて容認しがたく強い憤りを覚える」と訴えている。

 あて先は駐日米国大使、在日米軍司令官、嘉手納基地第一八航空団司令官、外務省沖縄大使、沖縄防衛局長ら。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805131700_05.html

 

2008年5月13日(火) 夕刊 5面 

空から見る跡地の変容/第5回あんやたん展始まる

 沖縄の時代の移り変わりを写真で振り返る、第五回「タイムスアーカイブ あんやたん写真展」が十三日、那覇市おもろまちの沖縄タイムス本社一階ギャラリーで始まった。入場無料。二十五日まで。

 今回のテーマは一九七二年の空撮を中心に返還された米軍基地の過去と現在の様子を展示。返還後、急速に発展する那覇新都心の変ぼうぶりなどを紹介する。

 ハーバービューホテルの写真に目を通していた那覇市の高山末子さん(63)は「親や姉から土地を接収され、強制的に移動させられた話などを聞いていた。体験はしていないが、写真を見ることで当時の苦労がしのばれ、平和の大事さを実感する。子や孫にも見せたい」と感慨深そうに見つめた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805131700_07.html

 

2008年5月14日(水) 朝刊 29面

米軍解雇 無効と提訴へ/元従業員、国相手に

 米軍キャンプ瑞慶覧(北中城村)にある在沖米海兵隊福利厚生施設MCCSの元従業員安里治さん(46)が、米国人上司からパワーハラスメントを繰り返され、不当に解雇されたとして、二十二日にも国を相手に解雇処分取り消しを求める訴訟を提起する。十三日、沖縄防衛局を訪れ、趣旨に賛同する同僚や支援者ら五千七百三十二人分の署名を提出した。

 安里さんによると、二〇〇三年ごろからパワハラを受け、心身に不調を来した。同様に嫌がらせを受けたという別の上司に対し、慰める目的で方言で「何かあればウチクルスサー」と発言したところ、上司に報告され、米軍側から「殺すと脅迫した」と見なされた。

 〇七年、暫定出勤停止処分、その後も「職場の秩序を乱した」との訓戒を受け、弁明書や苦情申し立ても却下されたという。同年十二月、懲戒解雇処分となった。

 十三日、防衛局側と面会した安里さんは「防衛局は独自に調べず、『米軍の調査を基に解雇を決定した』と明言した。雇用主としての誠意が見られず、責任も果たしていない」と批判。「米国人上司の都合で嫌がらせを受けて苦しむ仲間がたくさんいる。司法に訴えることで人権を取り戻し、これ以上被害者を出さないようにしたい」と訴えた。

 同行した全駐労マリン支部の仲里修委員長は「裁判に向け、支部として可能な限りの支援態勢をつくっていきたい」と話した。安里さんの解雇をめぐっては、全駐労組合員を中心に地域住民などが撤回を求めて署名した。

 米軍基地従業員の解雇の最終責任の所在について、沖縄防衛局は「日米間で合意した労務提供契約に基づき手続きが行われ、日米が合意した場合に、従業員への解雇を含む制裁措置が取られる」としている。

 米軍側は安里さんへの解雇予告通知書で、上司や同僚への聞き取りなどから「殺す、もしくは危害を加える、という脅迫は深刻で信じるべきである」と結論付けている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141300_01.html

 

2008年5月14日(水) 朝刊 29面

米兵暴行事件/高等軍法会議16日開廷

 二月に起きた米兵暴行事件をめぐり、県警に強姦容疑で逮捕されたが不起訴処分となった在沖米海兵隊のタイロン・ハドナット二等軍曹(38)の高等軍法会議が十六日、開かれる。海兵隊報道部が十三日に発表した。

 ハドナット二等軍曹は十六歳未満の子どもへの強姦や誘拐など五つの軍法違反に問われている。

 高等軍法会議は三種類ある軍法会議のうち、最も重い罪に適用される。タイロン二等軍曹は予備審問の権利を放棄しており、減刑などの司法取引が行われる可能性がある。

 ハドナット二等軍曹は県警に逮捕、送検されたが、被害者が告訴を取り下げたため、那覇地検は不起訴処分にして釈放、身柄は米側に引き渡されていた。

 軍法会議はキャンプ・フォスターで開かれ、日本側の報道機関の代表五社が傍聴できる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141300_02.html

 

2008年5月14日(水) 朝刊 2面

レンタカーも高速料金無料/横田基地が利用PR

 【東京】米軍横田基地(東京都福生市など)がホームページに掲載している基地内のレンタカーサービスに関する紹介の中で、「レンタル料を支払えば、日本国内におけるほとんどの高速料金を支払わずに済む」と記述し、利用を呼び掛けていたことが、十三日の参院外交防衛委員会で明らかになった。井上哲士氏(共産)の質問に、外務、防衛両省が認めた。

 防衛省によると、車両の運行が公務として行われる場合、米軍当局から「軍用車両有料道路通行証明書」が交付され、同証明書を提示すれば料金が免除される仕組み。料金は事後に日本政府が肩代わりしており、二〇〇七年度は全国で八億八千三百八十三万千円で、そのうち県内は一億九千六百四十九万三千円。

 掲載されたレンタル時の同意書には、「貸主は軍用車両有料道路通行証明書を支給する」との記述もある。そのほか、「休日や夏休みは込み合うので、申し込みはお早めに」と、公務外での使用をうかがわせる呼び掛け文も。

 この問題を井上氏が同委員会で質問した先月十七日直後、ホームページから記述が削除されたという。

 防衛省は井上氏の質問を受け、在日米軍司令部に対し、証明書発行の有無や発行責任者などについて照会。在沖を含めたその他の基地でも同様の実態がないか調べている。

 高村正彦外相は「何らかのことを感じて(ホームページから)消したとすれば、事実関係を聞いた上で、適切なものとなるよう努力したい」と述べた。

 一方、外務省の西宮伸一北米局長は「Yナンバー車」の車庫証明提出問題を日米で協議する、特別分科委員会が〇四年八月三十一日以来、一度も開かれていないことを認めた。

 これに対し高村外相は「日米合意が守られるよう、詰め切れていないところは早く詰めるよう努力していきたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141300_03.html

 

2008年5月14日(水) 夕刊 5面

ギンバル移設 民意揺れ/区民66%反対・地主9割賛成

 【金武】金武町の米軍ギンバル訓練場に先端医療施設を建設する前提とされるブルービーチ訓練場へのヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設について、同ビーチに隣接する並里区の世帯主の66%が「条件付き返還」に反対していることが3月に同区区議会が実施したアンケートで分かった。賛成は20%だった。一方でギンバル訓練場の個人地主の9割は町の跡地利用計画に同意しており、町内の複雑な住民感情がうかがえる。(新垣晃視)

 アンケートは調査用紙を同区の千七十九世帯に配布。回収率は63%。

 「ギンバル訓練場の跡地利用計画」については、42%が賛成、37%が反対と賛否が割れたが、「ブルービーチへのヘリパッド建設」のみの問いでは、75%が反対、13%が賛成と反対が大多数を占めた。

 自由回答では「町と議会はこれまで条件付き返還に反対だった。これを覆す正当かつ十分な説明がない」「なぜ今ごろアンケートか。町の説明会直後がよかったのでは」との意見もあった。

 跡地利用計画は、米軍基地所在市町村活性化特別事業(島田懇談会事業)を利用した、がんの早期発見、治療が可能な先端医療施設を構想。ギンバル訓練場(約五十六ヘクタール)のうち、約三十四ヘクタールが区有地で、残り約二十二ヘクタールを九十七人(町内七十八人、町外十九人)の個人地主が所有しており、町によると、そのうち九割が同計画に同意の意思を示している。

 区有地は、区の条例で、区議会の議決がなければ処分できないと定められており、今のところ具体的な話し合いは進んでいない。

 騒音や赤土流出などを懸念し、同区議会は一九九六年と二〇〇六年、ヘリパッド移設に関し反対を決議した経緯がある。一方、町青年団協議会は昨年九月、跡地利用での若者の雇用促進を町に要請している。

 同区の與那城直也区長は「ブルービーチへのヘリパッド建設に反対というのが区民の総意。ただ、若者から雇用を確保してほしいという声もある。ギンバル訓練場の返還は国や町で決められており、区で止められるものではない。区民の意見をよく聞き、今後の対応を話し合っていきたい」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141700_01.html

 

2008年5月14日(水) 夕刊 5面

未明離陸 3市町抗議

 【中部】米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機などの未明・早朝離陸が相次いでいる問題で、「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は十四日午前、中止要請を無視し飛行したとして同基地や沖縄防衛局を訪れ抗議した。引き続き外務省沖縄事務所へも抗議した。

 会長の野国昌春北谷町長らによると、同基地第一八航空団任務支援群のマックス・カシュバム司令官は「明るいうちに(本国に)着かなければならない。機数が少ないため五月三日は午前六時すぎの離陸でも運用可能だった」と答えたが、パイロットの安全や運用上の問題で未明離陸は今後もあり得るとの見解を示した。防衛局への抗議では、宮城篤実嘉手納町長が「訓練計画自体を変更するよう米に提起してほしい」と訴えた。

 また、北谷町砂辺の外国人住宅での騒音問題について、野国会長は「米兵が深夜まで騒ぎ、住民に迷惑をかけている。基地外に住むのであればモラルは守ってほしい」と要請。真部朗局長は「米軍に注意喚起を促したい」と答えた。

 外務省沖縄事務所では、野国会長が「長年抗議を繰り返しているが、成果が形として見えない。これでは住民から『政府は弱腰だ』との声も出てくる。抜本的な解決に向けて動いてほしい」と迫った。今井正・沖縄担当大使は「深刻な問題だと認識している。住民への影響に配慮するよう引き続き米側に要請したい」と述べるにとどまった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141700_02.html

 

2008年5月14日(水) 夕刊 5面

海保、抗議ボート阻む/辺野古調査

 【名護】米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴い、環境影響評価(アセスメント)が行われている名護市辺野古で十四日、基地建設に反対し作業船に抗議する市民団体のボートに、キャンプ・シュワブのビーチから出港した海上保安庁のボートが船に近づかないよう取り囲み警告をするなど、緊迫した状況が続いている。同日午前十時ごろ、作業船に抗議する市民団体のボートに対し、シュワブ内から出港した同庁のゴムボート四隻が近づき、作業船に近づかないよう警告を発し、ボートを取り囲んだ。

 座り込みを続けている平和市民連絡会の当山栄事務局長は「米軍基地から海保の船が出るということは、軍隊との一体化ではないか。基地建設に抵抗する行為さえ制限しようとする国の状況は許されない」と、憤った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200805141700_03.html

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