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沖縄タイムス 関連記事・社説、琉球新報 社説(11月18日、19日、20日)

2007年10月18日(木) 朝刊 1・2面

「軍強制」明記 申請へ/教科書検定

4社執筆者が一致/「軍命」伝聞記述も

 【東京】二〇〇六年度の教科書検定で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」に関する記述に検定意見が付された教科書の執筆者による「社会科教科書執筆者懇談会」の第二回会合が十七日、東京都内で開かれた。対象五社のうち出席した四社、約二十五人の執筆者と編集者が訂正申請の準備状況を報告。主語の「日本軍」と軍の強制性を明記した上で、今月末から十一月前半の申請を目指すことで一致した。

 このうち二社の執筆者によると、編集責任者との協議で軍強制の明記を会社の判断として決定したという。

 出席者は(1)「日本軍による」という主語の明記(2)日本軍の強制の明確化(3)添付資料の活用で「集団自決」体験者の新証言を記載―などの原則に基づいて訂正申請する方針を確認。

 ある社の執筆者は「軍命を聞いたという体験談を載せれば、伝聞資料だが、軍命の記述が復活する教科書が出てくるかもしれない」と述べ、軍命が明記される可能性を指摘した。

 懇談会では四社の申請が出そろった段階で各社の記述内容を公表することや、執筆者の声明を発表する方向で調整することも決めた。今回の懇談会に欠席した山川出版にも働き掛ける。

 歴史教育者協議会の石山久男委員長(実教出版執筆者)は「国民にオープンにすることで、記述内容を文部科学省に認めさせたい」と指摘。

 声明については「文部科学省が(表現を弱めるなど)曖昧な決着を図る方向に訂正申請が利用されないよう、検定意見の撤回が本筋という県民の考えに配慮しつつ、執筆者の考えを発表する」と説明した。執筆者は十一月五日に次回会合を開き、訂正申請した会社の記述の内容や、申請していない会社の準備状況などを情報交換する。


     ◇     ◇     ◇     

文科省が不公表指示/訂正申請記述


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」から日本軍強制の記述を削除した教科書検定問題で、教科書会社が文部科学省に訂正申請をする際の記述内容について、同省が申請に対する結果をまとめるまで、記述内容を公表しないよう教科書会社に指示していることが十七日、分かった。教科書会社関係者が明らかにした。文科省は現在、教科用図書検定調査審議会の審議過程の透明性を高める方向で検討しているが、その実効性が問われそうだ。

 教科書会社側が訂正申請の手続きを聞くため十七日に文科省を訪れた際、「記述内容を公表してもいいか」と質問。これに文科省の担当者が答えた。教科書会社によると、担当者は根拠法として教科用図書検定規則の細則を挙げたという。

 訂正申請の手続きの説明は各社個別で行われ、十七日は清水書院、実教出版、山川出版の順に行われた。十八日は三省堂、東京書籍に説明をする。


県民に「疑義生じ反省」/渡海文科相「撤回」は否定


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、渡海紀三朗文部科学相は十七日、「(県民に)疑義が生じたことは、われわれも反省しなければいけない」と述べ、沖縄側の訴えに一定の理解を示した。一方で、今回の検定手続きの正当性も主張し、検定意見の撤回には応じられない考えを重ねて強調した。参議院予算委員会で山内徳信氏(社民)の質問に答えた。

 山内氏は県民大会の総意が、検定意見の撤回と記述の回復にあると指摘。渡海文科相は「すでに(教科書会社の)数社から、修正を出すときにはどういう手続きになるのか相談もある。それには真摯に対応し、中身は再度審議会で審議していただく。準備を進めている」と、意見書撤回の可能性を否定した。

 文科省の検定調査官主導の検定意見だったとの問いには「検定制度は歴史の反省から民間の教科書会社が提出し、(政治の)介入を行わない制度を築いてきた。今回もその仕組みの中で中立・公正に行われたと報告を受けている」との認識を示した。

 また、教科用図書検定調査審議会の透明性確保に向け、「議事録は全面公開していないが、一部を紹介するなど、今後、しっかりやらないといけない。それをやることで職責を果たしたい」と理解を求めた。

 福田康夫首相は、在日米軍専用施設の約75%が集中する沖縄の現状認識をただされ、「基地の集中で県民は多くの負担をされ、経済、社会でも厳しい状況がある」とした上で、「地元の切実な声に耳を傾け、地域振興に取り組みを進め、負担の軽減に向けて政府として全力を挙げたい」と述べた。

 一方で、「普天間飛行場の移設・返還をはじめとする米軍再編を着実に進めることを通じ、負担軽減に努めたい」とし、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設合意した計画を進める考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710181300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年10月18日朝刊)

[対テロ新法案]

国際貢献の在り方論じよ

 政府はインド洋上での海上自衛隊の給油活動を継続させる「新テロ対策特別措置法案」を閣議決定し、国会に提出した。

 現行のテロ特措法が十一月一日に期限切れを迎えるための措置だが、給油活動については国民にも賛否がある。

 本当に必要なのかどうか。国際貢献はどうあるべきかも含めて、国会で徹底的に議論してもらいたい。

 活動地域をペルシャ湾を含むインド洋などの「非戦闘地域」にした新法案は、海上自衛隊の活動内容を「給油・給水」に限定している。

 だが、気になることも一つある。文民統制(シビリアンコントロール)とも関連する「国会承認条項」を削除したことだ。政府は「法の成立自体が国会承認の代わりになる」と説明するが、到底納得できるものではない。

 自衛隊を海外に派遣する以上、その活動状況を国会は把握する責務があるはずだ。いざというときに政治によるコントロールが効かなくなれば、それこそ道を誤りかねないからだ。

 参院での与野党逆転で承認が得られない事態を避けようとしたようだが、姑息な手法を取ればそれこそ国民の信頼を損ねる。

 現行法は二〇〇一年九月十一日の米中枢同時テロを受けて二年間の時限立法として制定された。同法はこれまで三回延長され、活動期間は約六年にも及んでいる。

 にもかかわらず、活動情報が十分に開示されてきたとは言い難い。

 この問題ではまた、米補給艦への燃料供給量が大幅に訂正されたり、イラク戦争にも利用されたのではないかという疑惑も持ち上がっている。

 海自の給油艦が、四年間保存するという内部規則に違反して航海日誌を五カ月分廃棄したことも判明している。これでは「証拠隠し」と言われても仕方がない。

 政府は新法案を審議する前にこれらの疑問に答える責任があり、情報をきちんと開示し国民の疑惑を晴らすことが求められよう。

 民主党の小沢一郎代表は政権を取った場合、国連決議に基づいてアフガニスタンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)への参加を打ち出しているが、党内には異論もある。

 そのまま対案として出せるのか疑問だが、政府・与党案に反対するだけでは国民も納得すまい。

 米国に追随した貢献ではなく、日本が主体となった国際貢献策はないのかどうか。憲法との整合性を含めた案を国会に提示し、国民を巻き込んだ重厚な論議にしていくべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071018.html#no_1

 

2007年10月18日(木) 夕刊 1・5面

あすパラシュート訓練/嘉手納今年2回目

 【東京】米空軍が十九日午後三時三十分ごろ、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施することが十八日午前分かった。「人命救助のための態勢維持」を目的に、救難隊員十二―十四人が参加して行われる。同基地でのパラシュート降下訓練は日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、伊江島補助飛行場で実施することとされており、嘉手納基地周辺住民の反発は必至だ。同基地での訓練は今年一月以来、約十カ月ぶり、復帰後四度目となる。沖縄、嘉手納、北谷の三市町は十八日午後、「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)幹事会を開き、対応を協議する。

 日米両政府は今年一月の合同委員会で、SACOで伊江島補助飛行場での実施が合意されたパラシュート降下訓練について、「例外的な場合に限って」嘉手納基地を使用することで合意。同月二十六日、八年ぶりに嘉手納基地で訓練を実施し、地元の猛反発を招いた。

 また、嘉手納での訓練に先立つ一月十六日には、うるま市の津堅島訓練水域で実施したことが後に明らかになるなど、伊江島以外でのパラシュート訓練が相次いでいた。

 一月の同訓練をめぐっては、周辺市町村議会が抗議決議したほか、嘉手納基地を抱える三市町でつくる三連協や県が中止を求めて同基地に抗議している。

 日本政府によると、米軍は伊江島補助飛行場での訓練が悪天候などで制約されることが多く、訓練所要を満たさない米軍兵士が多数生じているとして、嘉手納基地の使用を求めている。

 日本側は、「日米安保条約の目的達成のため、米軍が訓練を通じて即応体制を維持する必要性があることは理解している」として、今回の訓練を容認した。

 一方で、「政府としてはSACO最終報告に沿ってパラシュート降下訓練を伊江島補助飛行場で実施するよう、今後も米側に働き掛けていく」としている。

 防衛省沖縄防衛局と外務省沖縄事務所は十八日午前、嘉手納町役場に宮城篤実町長を訪ね、同訓練の実施について説明した。


     ◇     ◇     ◇     

常態化懸念 地元憤り/「基地強化許さぬ」


 【中部】「日米合意の枠を超えて、嘉手納基地を運用するのか」―。嘉手納基地でパラシュート降下訓練が実施されることについて、地元自治体の首長らは十八日、本来なら認められない訓練の実施に「基地機能の強化だ」と一斉に反発した。

 沖縄、嘉手納、北谷の三市町の首長らで組織される「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)会長の野国昌春北谷町長は同日午前、町役場を訪れた外務省沖縄事務所と沖縄防衛局の職員から直接、訓練の内容を聞いた。

 野国町長は同日午後一時三十分から幹事会を開いて対応を協議することを指示。「基地の負担軽減と言いながら、まったく負担軽減の形が見えない。恒常化することへの不安があり、きちんと抗議することが必要だ」と語気を強めた。

 嘉手納町役場にも同日午前、沖縄防衛局の職員らが訪れ、宮城篤実嘉手納町長に訓練概要を説明した。宮城町長は「伊江島飛行場で実施するはずの訓練が、嘉手納基地で行われることは納得できない」と米軍を批判した。

 嘉手納町議会の田仲康榮基地対策特別委員長は、伊江島の天候不良を理由に、嘉手納基地での訓練の常態化を狙っていないか―と懸念。「基地機能の強化は許されない。降下訓練は中止するべきだ」と言い切った。十九日の基地特委で対応を協議する。

 隣接する同町屋良の島袋敏雄東区自治会長は「米軍再編で負担軽減がいわれる中で、訓練が増えることは地域にとって許されない」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710181700_01.html

 

2007年10月19日(金) 朝刊 1面

教科書検定 要望決議を採択/九州知事会全会一致で

 第百三十回九州地方知事会(会長・金子原二郎長崎県知事)が十八日、那覇市内のホテルで開かれ、沖縄戦での「集団自決(強制集団死)」の日本軍の強制を削除した高校歴史教科書検定問題に関し、県が特別決議として提案した「沖縄県の教科書検定問題に関する要望」についての決議を全会一致で採択した。

 会議後の記者会見で、金子会長は「一地域一県の問題ではなく、全国的な問題として取り上げていかなくてはいけない、というのが大方の知事の意見」と説明した。

 決議採択について、仲井真弘多知事は「県民大会の趣旨や県民の平和に対する強い思いを、九州・山口の各県知事にもご理解ご賛同いただいた。大変心強く感じた」と述べ、検定意見の撤回と記述回復に向けて、引き続き関係団体と連携して対応する考えを示した。

 決議では、県議会や県内全市町村議会で、検定意見の撤回と記述回復を求める意見書が可決されたことや、九月二十九日に開かれた県民大会で意見撤回を求める決議が決議されたことを明記。沖縄戦については「史上まれにみる激烈な地上戦を体験し、一般県民を含む多くの尊い生命を失った」として、国に対し「筆舌に尽くし難い犠牲を強いられた沖縄県民の心情を重く受け止め、沖縄県の教科書検定意見に関する要望に対して真摯に対応することを強く要望する」とした。

 ほかに、「水俣病問題の早期解決を求める決議」「原爆症認定制度の見直しに関する決議」も全会一致で採択した。

 政策連合の検討報告では救急医療体制の整備、ドクターヘリの効率的導入・共同運航などについて、来年三月までにまとめることを決定。県は米軍基地問題の解決促進も要望した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191300_01.html

 

2007年10月19日(金) 朝刊 1面

オスプレイ2014年県内配備

 【宜野湾】米普天間飛行場に配備されている主力のCH46中型輸送ヘリの後継として、米海兵隊が垂直離着陸機「MV22オスプレイ」を二〇一四年度から県内に配備する計画を進めていることが十八日、分かった。同年までにCH46をすべて撤退させ、オスプレイは一六年度までに配備を完了させる。すべての航空計画書に優先される最新の「海兵航空計画」で明らかになった。

 オスプレイの県内配備については、在沖米軍トップのジョセフ・ウェーバー四軍調整官や在沖海兵隊基地司令官のジョセフ・メディナ准将が、昨年夏に「一四年から一六年の間に配備する」と発言していた。同計画が明らかになったことで、オスプレイの県内配備がより現実的になった。

 日本政府はこれまで、オスプレイの県内配備は「現時点で具体的な予定はない」などと否定しており、政府の説明責任も問われそうだ。

 同計画によると、同飛行場所属のCH46E二十四機は一四年度までに順次撤退。代わって、二個中隊のオスプレイが配備される。

 在日米軍再編で日米両政府は、普天間飛行場の代替施設を一四年までにキャンプ・シュワブ沿岸部に移設することで合意している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191300_02.html

 

2007年10月19日(金) 朝刊 1面

きょうパラシュート訓練/県、中止を要請

 米空軍嘉手納基地は十八日、パラシュート降下訓練について「基本的に伊江島で行うが、天候面の悪条件および運用上の諸条件により例外的に嘉手納基地で訓練を行う必要性が生じることになった」として、十九日午後三時半ごろから同基地内で訓練を強行する声明を発表した。仲井真弘多知事は同日、「中止を要請してきたが、一月に引き続き実施するのは誠に遺憾」とのコメントを発表、保坂好泰基地防災統括監が外務省沖縄事務所と沖縄防衛局に中止を要請した。

 沖縄、嘉手納、北谷の三市町の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)も同日、「訓練の恒常化を図る狙いがうかがえ、断じて容認できない」と、抗議文を同基地のブレット・ウィリアムズ司令官らに送付した。

 仲井真知事は「県としては県民の生命、生活および財産を守る立場から、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を実施しないよう、米軍をはじめ日米両政府に強く要請していきたい」として、今後も継続して嘉手納基地での同訓練中止を求める考えを表明した。

 嘉手納町議会は十九日、沖縄市議会は二十二日、北谷町議会は週明けの基地対策特別委員会で対応を協議する。

 一方、嘉手納基地報道部は「基地施設の境界線より内側に位置する、日本政府に了承された着地点を暫定的に使用する。周辺地域の住民に安全面で配慮するとともに、万全の安全態勢で訓練を行う」としている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191300_03.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年10月19日朝刊)

[落下傘降下訓練]

通用しない「例外規定」

 嘉手納基地で十九日、救難隊員によるパラシュート降下訓練が実施される。今年一月の訓練に続き二回目、復帰後は四回目である。

 当然ながら、地元は「訓練の恒常化が狙いだ」と猛反発だ。沖縄、嘉手納、北谷の三市町で組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は訓練は容認できないと強い姿勢を見せ、中止を求める決議文を嘉手納基地司令官に送付した。

 嘉手納基地報道部によると、今回の訓練も一月と同様、伊江島補助飛行場で行うべき降下訓練が悪天候で制約されたため、例外的に実施するという。

 一九九六年の日米特別行動委員会(SACO)で読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場に訓練を移転することが合意されたはずだ。ところが、今年一月の日米合同委員会で「例外的な場合」を理由に嘉手納基地の使用を合意、八年ぶりに実施された経緯がある。

 「例外」を振りかざして訓練をするなら、SACO合意とはなんだったのだろうか。形骸化と言ってもいい。

 嘉手納基地の機能は確実に強化されている。F15戦闘機訓練が本土移転されたが、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備され、最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの一時配備もあった。F15戦闘機の未明離陸が相次ぎ、クラスター爆弾、ナパーム弾と同様の性能を持つ焼夷弾MK77使用の訓練も明らかになった。

 未明離陸についても、騒音防止協定の「例外規定」を盾に実施している。降下訓練も未明離陸も、「日米安保の目的達成」に「例外規定」を持ち出す。これでは合意も協定も有名無実だ。負担軽減どころか、やりたい放題の訓練がまかり通ることになる。

 福田康夫首相は衆院本会議で未明離陸について「周辺住民にとって大変深刻な問題だ」と語り、騒音防止協定順守を米軍に働き掛ける考えを示した。

 住民の立場に立つならば、福田首相はパラシュート降下訓練の中止を米軍に強く申し入れるべきだ。「例外規定」は通用させてはならない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071019.html#no_2

 

琉球新報 社説

米兵降下訓練 県民無視の例外認められぬ

 原則は原則だ。恣意(しい)的で説得力を欠いた理由を安易に持ち出してくる姿勢は、いい加減にしてほしい。危険性の高い訓練など到底認めるわけにはいかない。

 米軍が19日午後に嘉手納飛行場でパラシュート降下訓練を実施すると通告してきた。

 嘉手納飛行場では今年1月末にも県や地元自治体の反対を押し切って、8年ぶりに降下訓練が実施された。

 外務省・防衛省によると、今回の訓練目的は「人命救助のための態勢維持」で、救難隊隊員約10人が降下する予定だ。

 降下訓練では過去、何度も降下ミスなどの事故が起きている。人命救助を目的とする訓練で嘉手納基地周辺に住む住民の生活が脅かされ、危険にさらされる。間尺に合わない矛盾した話だ。

 伊江島での訓練は、天候面での悪条件により制約が多く、過去半年間訓練が思うように実施できずに「訓練所要を満たさない兵士が多数生じている」というのが米軍側の説明である。1月末の訓練も同じ理由だった。

 パラシュート降下訓練については、1996年のSACO(日米特別行動委員会)最終報告で、読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場への移転が決まった。

 ただ問題なのは、日米合同委員会で「基本的に伊江島飛行場を使用することとし、嘉手納飛行場はあくまでも例外的な場合に限る」と確認したことだ。

 米軍の場合、「基本的」と「例外的」の線引きが緩く、原則はあってなきがごとしだ。県民の常識とはあまりにも懸け離れすぎている実態を、これまでさんざん見せつけられてきた。

 嘉手納基地での8年ぶりの降下訓練の際にも私たちは「例外を認めれば、基地や訓練を自らの都合に合わせて拡大解釈しつつ、使い勝手の良い『便法』として、後々まで利用することになる」と批判した。

 案の定である。県民の意向をないがしろにして、1年もたたないうちに一方的に押し付けようとしている。

 SACO合意は、国と国との約束ではないか。約束は何のために交わされるのか。原則は不断に守られ、尊重されることで意味を持つ。政府には、そのことを米側に強く申し立てる責務がある。

 訓練の通告を実施の前日に行うやり方も問題だ。県や地元の抗議を最小限に封じ込め、訓練を強行したい狙いだろうが、横暴すぎる。地元への配慮はみじんも感じられない。

 これ以上の「危険の拡散」は許されない。政府は、県民無視の訓練をやめさせるよう米側に強く働き掛けるべきだ。

(10/19 9:50)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28198-storytopic-11.html

 

2007年10月19日(金) 夕刊 1面

全5社から訂正申請照会/内容 審議委に一任

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は十九日午前の閣議後会見で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題について、同日までに検定意見を付けられた教科書会社の五社すべてから訂正申請の手続きに関する照会が文科省にあったことを明らかにした。

 一方、五社のうち四社が訂正申請で軍の強制性を明記する方針を示していることに関しては、「(申請の)内容の問題については、(教科用図書検定調査)審議会の先生方の意見を聞くということになろうかと考えている」と述べ、審議委員の判断に一任する考えを示した。

 会見後、衆院文部科学委員会に臨んだ渡海文科相は所信表明で同問題について「県民の思いを重く受け止めるとともに、教科書検定の公正中立の確保に十分意を用いつつ、検定制度に基づき真摯に対応してまいります」と述べた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191700_02.html

 

2007年10月19日(金) 夕刊 1面

民間上空飛行を防衛局長が明言/普天間代替

 【東京】防衛省の金澤博範防衛政策局長は、十九日の衆院安全保障委員会で、名護市キャンプ・シュワブ沿岸部で計画されている米軍普天間飛行場の代替施設(V字案)の運用について、米軍機の訓練で住宅地上空を飛行する可能性を明らかにした。訓練で住宅地上空の飛行を日本政府が国会で認めるのは初めて。

 金澤局長は、V字案をめぐる日米協議における日米両国の認識について「一切陸上の上は飛ばないという認識が共にあったわけではない」と説明。その上で「(住宅地上空を飛行しないのは)緊急時は当然除外されるし、その他の場合、訓練の形態によっては当然飛ぶことはあり得る。それは当然の前提だ」と明言した。

 代替施設の運用について米側からは、ケビン・メア在沖米国総領事は昨年十二月、住宅地上空の飛行が想定されていることを明らかにしていた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191700_04.html

 

2007年10月19日(金) 夕刊 7面

地元抗議無視 午後にも強行/米軍パラ訓

 【中部】嘉手納基地の米空軍第一八航空団第三一救難中隊は十九日午後三時半ごろ、同基地でパラシュート降下訓練を実施する。同訓練は、八年ぶりに行われた今年一月に続くもの。

 同基地を抱える沖縄、嘉手納、北谷の三市町の首長らで組織する「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)は十八日、訓練中止を求める抗議文を同基地や沖縄防衛局などに送付しており、強行されれば反発が強まるのは必至だ。

 外務、防衛両省によると、救難隊員十二―十四人が降下訓練を実施する。嘉手納基地報道部は今回の訓練は「即応能力の維持が目的」で、「基地施設の内側に位置する着地点を使用し、周辺地域へ安全面で配慮する」と発表している。

 同訓練は、一九九六年のSACO(日米特別行動委員会)合意で、読谷補助飛行場から伊江島補助飛行場への移転が決まった。嘉手納基地で実施する理由について同基地報道部は「天候面の悪条件などにより、例外的に訓練を行う必要性が生じた」と説明している。

 「例外」的な措置が今年に入り二度目となることから、三連協は「訓練の恒常化を図る狙いがうかがえ、断じて容認できない」として訓練中止を求めている。


周辺に市街地「中止すべき」/上原公室長


 米空軍嘉手納基地所属の第一八航空団第三一救難中隊が同基地内で十九日午後、パラシュート降下訓練を実施する問題で、上原昭知事公室長は、同日午前の県議会決算特別委員会で「パラシュート降下訓練は、SACO(日米特別行動委員会)で伊江島で行うと基本合意されている。嘉手納基地は周辺に市街地があり住民も不安に思っている。即刻中止すべきだと考えている」と述べた。

 十八日に第一八航空団司令官、在沖米国総領事、沖縄防衛局などに中止要請したことを報告した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710191700_05.html

 

2007年10月20日(土) 朝刊 1面

落下傘訓練 再び強行/嘉手納基地で米軍

強風2人コース外に/知事「不安与え遺憾」

 米空軍嘉手納基地所属の第三一救難中隊の九人が十九日午後四時前、県や周辺自治体の中止要請を押し切り、同基地内でパラシュート降下訓練を強行した。強風のため、二人は予定地点から数百メートル離れた滑走路外に降下。うち一人は基地内の林に降り、基地内のレスキュー隊が出動する事態となった。同基地によると、二人はかすり傷で済んだという。同部隊のチャールズ・ブリスボイ副司令官は「伊江島での訓練だけで錬度が維持できなければ、今後も嘉手納基地を使うことは重要と考える」との認識を示した。

 仲井真弘多知事は同日、「米軍が訓練を実施したことは、周辺住民をはじめ県民に多大な不安を与えるもので誠に遺憾。今後、嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を実施することがないよう、日米両政府に強く求める」とのコメントを発表した。

 一方、同基地報道部は同日、「今回の訓練は、隊員の技能維持と日米の安全保障同盟の責務遂行を支援するため、同訓練の必要性を示すものとなった」との声明を発表した。

 C130輸送機に搭乗していた九人は同日午後三時四十八分、嘉手納基地の上空約三千メートルから一斉に降下。当初は、五人と四人の二組に分かれる予定だったが、強風のため同時に降下した。降下時間も天候の影響で予定より約二十分遅れた。

 米軍によると、降下予定地点は滑走路近くの芝生を中心に半径三十メートル。民間地との境界のフェンスまで約二千メートル離れた位置に設定していた。

 兵士らは医療器具を装着の上、手動で着陸地点への誘導操作が可能なパラシュートを使用していたが、二人は風にあおられるなどして目標地点を大きくそれた。

 同訓練は日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、伊江島補助飛行場での実施が合意されている。日米両政府は、一月に八年ぶりに嘉手納基地での同訓練を実施した際、日米合同委員会で「例外的」措置とすることを確認したが、わずか九カ月足らずで再実施に踏み切った。ブリスボイ副司令官は今後、嘉手納基地で同訓練を実施する際も、機材の降下は行わないことを明言した。


     ◇     ◇     ◇     

強風実施「米説明合わぬ」/地元3首長、反発


 【中部】在沖米空軍によるパラシュート降下訓練が強行されたことに、嘉手納基地を抱える嘉手納、北谷、沖縄の三自治体首長は十九日、「強風の中での訓練で、天候を理由に挙げた米軍の説明はつじつまが合わない」などと反発。嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の中止要請直後の訓練とあって、「負担軽減を強く求めたい」と怒りを募らせた。

 嘉手納基地に隣接するニライ消防本部から訓練を確認した三連協会長の野国昌春北谷町長は「三連協の抗議にもかかわらず実行され遺憾だ。戦闘機の未明離陸、最新鋭の地対空誘導弾(PAC3)配備と負担軽減は実現していない。さらにパラシュート訓練恒常化の不安が高まった。負担軽減が実感できるよう強く求める」と述べた。県外出張中の東門美津子沖縄市長はコメントを発表し、「三連協の抗議を無視した形の訓練実施は、国がSACO合意の形骸化を黙認しているといわざるを得ない」と指摘。「例外的な場合を理由に何ら有効な対策を打ち出さないことは、訓練の恒常化と嘉手納基地の機能強化に加担するものだ」と日本政府を批判した。

 宮城篤実嘉手納町長は「米軍にとって使い勝手のいい基地という実態があらためて明らかになった。パラシュート降下訓練は黙認できない。今後の訓練の動向も冷静に見極めたい」と述べた。


嘉手納、抗議決議へ


 【嘉手納】嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十九日、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、嘉手納基地での在沖米空軍のパラシュート降下訓練について「住民の危険と負担が増加する」などとして、同訓練の今後一切の中止を求める抗議決議と意見書の両案を二十三日の臨時会に提案することを決めた。

 委員会では、今年一月に続き、地元の反対を押し切って訓練を強行する米軍を批判する声が相次いだ。

 田仲委員長は「米軍の都合ばかりが優先され、今後も嘉手納基地で強行される恐れがある。負担は増加する一方だ」と怒りをあらわにした。

 また、同基地内に住む米軍人の息子(21)が強姦致傷容疑で沖縄署に逮捕された事件についても、米軍に被害者への謝罪や補償、再発防止の徹底などを求める抗議決議と意見書の両案を臨時会に提案する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710201300_01.html

 

2007年10月20日(土) 朝刊 28・29面

着地失敗 不安あおる/「事故怖い」住民怒り

 【中部】「訓練では何が起きるか分からない」「事故が起きないか怖い」―。米兵二人が、目標地点から外れて着地した嘉手納基地でのパラシュート降下訓練。林の中に落ちた兵士は軽傷、緊急車両が現場へと向かった。かつて読谷補助飛行場で行われたパラシュートによる物資投下訓練での事故を思い出す人も。「伊江島では海に落ちた兵士もいる。訓練はやめた方がいい」。目撃者や基地周辺住民には怒りと不安の声が噴き出した。

 雲の間から現れた兵士の大半は、パラシュートを調整しながら同基地南側滑走路周辺の着地点辺りに倒れ込んだ。しかし、一人の兵士は風に流されるように幅六十一メートルの南側滑走路を越え、さらに数百メートル南西の林の中へ突っ込んだ。

 また、もう一人の兵士は、事前に設定された着地点から東側の駐車場周辺に着地。いずれも基地内だが、着地点からは大きく外れた。

 飛行ルートの真下に位置する北谷町砂辺の松田正二区長は「住民の声を無視して毎日騒音をまき散らす米軍は、パラシュート訓練など何の問題もないと考えているのだろう。着地点からずれた兵士もいるが、民間地でない限り米軍は何とも思わないはずだ」と憤った。

 砂辺区に住む女性(74)は「騒音だけでも迷惑なのに、なぜわざわざ近くに住宅地のある嘉手納基地で訓練を行うのか」と米軍を批判した。

 昨年返還された読谷補助飛行場で一九六五年、パラシュートでつり下げた小型トレーラーが民家近くに落下、小学五年の女児が死亡した事件などを思い出すといい「訓練中の事故の話を聞いたことがあるので怖い。迷惑だ」と顔をしかめた。

 同基地に隣接する嘉手納町屋良の島袋敏雄東区自治会長は「米軍は周辺住民に迷惑を掛けないというが、計算通りにいかないのが訓練だ。地域に不安を与える降下訓練は絶対に反対だ」と言い切った。


     ◇     ◇     ◇     

雲の中から姿 緊迫/道の駅かでな


 【嘉手納】嘉手納基地が見渡せる嘉手納町屋良の「道の駅かでな」では十九日、パラシュート降下訓練を見ようと観光客や地元住民ら数十人が展望台に詰め掛けた。予定時間が過ぎても訓練する様子がなかったものの、一部が引き上げた直後、突然雲の中から九人が現れた。

 「降りてきた」

 集まった人の間から声が上がった。逆光のため、黒い影となったパラシュートがゆっくり地上に近づく。突然の出現に、全員がかたずをのんだようにしばらく静まり返った。訓練の様子を撮影しようと、カメラやビデオなどを向ける人も多かった。

 伊江島補助飛行場で働いていたという沖縄市の与座正夫さん(73)は「伊江島では風向きによって集落やきび畑、海に落ちることも多かった。訓練は危ないからやめた方がいい」と強調した。

 観光で訪れ、たまたま訓練に遭遇した長野県の宮坂実枝子さん(60)は「基地の中に着地したけど、そうじゃなかったら大変なこと。(訓練は)島の人からするとあまりいいことじゃないと思う」と興奮気味に話した。


自宅屋上から監視/嘉手納町知念さん


 【嘉手納】曇り空を、九つのパラシュートが降下した十九日午後三時五十分ごろ、嘉手納町屋良の知念正直さん(72)の二階建ての自宅屋上では、知念さんの帽子が飛ばされそうになるほどの北風が吹いていた。訓練終了後、二人が強風のため予定地点から大きく外れて着地したと聞き、「やっぱり自然が大きく影響する訓練だけに、民間地に着陸する被害がないとは言い切れない」と不安そうな表情を浮かべた。

 一九六五年、読谷補助飛行場で行われた、米軍のパラシュート訓練のため、一人の少女の命が奪われた。「当時は嘉手納基地でも、住民に通知がないままパラシュート訓練が行われており、人ごとでは済まされない恐怖感があった」。子どもたちに「パラシュートが落ちてきたらすぐに逃げるように」と口うるさく注意したことを振り返る。

 訓練予定時間の午後三時三十分ごろ、何度も航空機の音が聞こえてきた。知念さんが双眼鏡を片手に上空を探すが、厚い雲に覆われ、機体は見えない。約二十分後、突如ゆっくりと落下するパラシュートが視界に入る。

 「住民を軽視し、米軍の都合を最優先に運用されている基地の実態は復帰前と変わらない」。パラシュートに視線を向けたまま、言い切った。

 「例外」として一月に実施されたパラシュート降下訓練は、わずか九カ月後に再び強行された。

 危機感は強くなる一方だ。「最初は『一時的』『例外』を理由にしておきながら、いつの間にか当たり前のように恒常的に行うのが米軍の手段。パラシュート訓練も同じことが言えるのでは」。日米両政府に訴えたいことを尋ねると「平和に暮らしたいだけ」と言葉少なにつぶやいた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710201300_02.html

 

2007年10月20日(土) 朝刊 29面

検定撤回意見書 都内で相次ぐ/3自治体で可決

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制が削除された教科書検定問題で、東京都千代田区議会(高山肇議長、議員数二十五人)は十九日、教科書記述の回復を求める意見書を全会一致で採択した。「悲惨な戦争を再び起こさないためにも、沖縄戦の歴史を正しく伝えるよう、『集団自決』に関する記述の回復が適切に行われることを強く求める」と指摘している。与野党間の調整で、検定意見撤回の明記は見送った。

 「沖縄戦首都圏の会」事務局の渡辺勝之次長は「東京の中枢である千代田区で、記述回復の意見書が採択された意義は大きい」と評価している。

 また、十八日は立川市議会(矢口昭康議長)が「集団自決」への軍関与を否定する教科書検定意見の撤回を求める意見書を、全会一致で採択。

 十七日は杉並区議会(河野庄次郎議長)が、「国会と政府が沖縄戦の教科書記述に速やかに対策を講じる」ことを求める意見書を採択するなど、都内で意見書採択が相次いだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710201300_05.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年10月20日朝刊)

[オスプレイ配備]

「隠蔽」が過ぎないか

 米海兵隊は普天間代替施設に垂直離着陸機「MV22オスプレイ」の沖縄配備計画を着々と進めているようだ。この問題について日本政府は今なお具体的な情報開示をしておらず、地元軽視の強引な手法が目立つ。

 オスプレイは普天間飛行場に配備されているCH46中型輸送ヘリの後継機である。海兵航空計画によると、二〇一四年度から県内配備が始まり、一六年度までに二個中隊の配備を完了。同飛行場所属のCH46E二十四機は一四年度までに撤退させる計画だ。

 オスプレイの沖縄配備計画は今回初めて明らかにされたものではない。一九九六年十二月の日米特別行動委員会(SACO)最終報告後から配備が取りざたされてきた。

 今年四月、SACO最終報告の草案では代替施設へのオスプレイ配備が明記されていたが、最終局面で沖縄側の反発を懸念した日本政府が反対し、オスプレイへの具体的な言及が削除されていたことが明らかになった。

 しかし、その後も政府は「SACOや米軍再編による普天間移設はオスプレイの沖縄への配備を前提にしたものではない」など、木で鼻をくくったような説明を続けている。

 代替施設建設へ向けた環境影響評価(アセスメント)手続きでも、航空機の種類は具体的に明記されなかった。政府の姿勢は何ら変わっていない。

 日米両政府は普天間飛行場の代替施設を二〇一四年度までにキャンプ・シュワブ沿岸部に移設することで合意した。新たなヘリパッドを含め、新基地がどのように運用されるのか、地元住民が不安を抱くのは当然ではないか。

 オスプレイ配備をめぐっては米国政府と日本政府の説明があまりにも食い違っている。政府の情報隠蔽も度を越している。このまま不誠実な態度で米軍再編を強行するつもりなのか。

 これでは県民の政府不信は募り、地元住民の反発が強まるだけである。地元にとって重大な問題をあいまいにした強権的手法には限界がある。政府は説明責任をきちんと果たすべきだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20071020.html#no_2

10.27緊急デモ 辺野古への基地建設・高江へのヘリパッド建設を許さない!

お知らせです

「辺野古への基地建設・高江へのヘリパッド建設を許さない!10.27緊急デモ」

10月27日(土)17:00集合、17:30出発。

場所:水谷橋公園(東京都中央区銀座1-12-6)。

銀座線「京橋」駅、有楽町線「銀座一丁目」駅、
都営浅草線「宝町」駅徒歩5分。

主催:辺野古への基地建設を許さない実行委員会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、市民のひろば。詳細は「基地建設阻止」ブログの「10/25の情報」をご覧ください。

お知らせ-市民社会フォーラム東京例会

市民社会フォーラム第11回東京例会のお知らせです
ぜひご参加ください
  
  
市民社会フォーラム第11回東京例会 日本政治の展望―「活憲」を軸に
日時 10月27日(土)15時?18時 会場 法政大学市ヶ谷キャンパス58年館867教室 
参加協力費 500円

話題提供

「活憲を展望する政治論―政治学者の立場から」五十嵐仁さん

「活憲を実現するためには―平和活動家の立場から」きくちゆみさん

※講演後、対談、参加者との質疑応答

改憲と消費税増税を狙う自公政権は参議院選挙で歴史的敗

北を帰し、安倍首相は辞任に追い込まれ、年内に解散総選挙の可能性もあり、野党政権実現の期待も高まっています。

参院での与野党逆転の中、当面は臨時国会で、テロ特措法延長などが争点になります。

こうした政権交代も視野に入る時局をふまえ、憲法の理念を守り活かすための政治=「活憲」の展望について、人気ブログ「五十嵐仁の転成仁語」で精力的に発言している政治学者・五十嵐仁さんと、同じく人気ブログ「きくちゆみのブログとポッドキャスト」などで平和のメッセージを発信されている環境・平和活動家のきくちゆみさんに、ご講演・対談いただきます。

共催

へいこうせん(平和と公正の選択を求めるネットワーク)

沖縄・日本から米軍基地をなくす草の根運動

協力

平和と文化のネットワーク

グローバル9条キャンペーン

事前申し込みなしにどなたでもご参加いただけますが、

人数把握のために事前申し込みいただければ幸いです。

※お問い合わせ・申込み先:EメールNQC41966@nifty.com

■講師プロフィール

◆五十嵐仁さん 

 法政大学大原社会問題研究所教授。ブログ「五十嵐仁の転

成仁語」(http://blog.so-net.ne.jp/igajin/)などで「活憲」の立場から日本政治を批評し、最近はTV番組『太田光の私が総理大臣になったら…秘書田中』に出演。

著書は『活憲―「特上の国」づくりをめざして』(績文堂・山吹書店、2005年)など多数。

◆きくちゆみさん

東京・下町生まれ。マスコミ、金融界を経て、1990年から環境問題の解決をライフワークに。911事件をきっかけにグローバルピースキャンペーンを立ち上げ、米紙への全面広告やハリウッドへのビルボードを実現。

ヒット作は『戦争中毒』。ブログ「きくちゆみのブログとポッドキャスト」(http://kikuchiyumi.blogspot.com/)などで平和省創設を提唱。

■会場アクセス

法政大学市ヶ谷キャンパスは、JR市ヶ谷駅か飯田橋駅から徒歩。下記地図をご参照ください。

http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/access.html

http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html

■企画チラシをご活用ください。

http://homepage3.nifty.com/civilsocietyforum/igarasikikuti.pdf

法学館憲法研究所HPの「今週の一言」欄に、五十嵐仁さんときくちゆみさんが登場しています。

http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20071015_01.html
http://www.jicl.jp/hitokoto/backnumber/20071015_02.html

沖縄タイムス 関連記事(10月14日?17日)

2007年10月14日(日) 朝刊 1面

14府県 意見書・陳情を審議/教科書検定

 文部科学省が、教科書検定で高校の日本史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」の日本軍強制を削除した問題で、全国十四府県議会が九月定例会で意見書案や陳情を審議したことが十三日、沖縄タイムス社の調べで分かった。

 このうち五府県(沖縄、京都、奈良、高知、福岡)で検定意見撤回や記述回復を求める意見書案が議員提案され、可決された。

 市民が提出した同趣旨の請願や陳情は、三県議会(埼玉、神奈川、兵庫)が委員会で継続審議を決定。六県議会(千葉、新潟、長野、鳥取、香川、愛媛)は、意見書案や陳情を賛成少数で否決か不採択とした。県民大会開催より前に九月定例会が閉会し、審議に入れなかった県議会もあった。

 また市町村では、「大江・岩波沖縄戦裁判を支援し沖縄の真実を広める首都圏の会」によると、十四市四町が意見書案や請願を可決、採択した。県民大会以降は、東京都小金井市、神奈川県鎌倉市、京都府宇治市など三市で可決。今後、東京都立川市や杉並区などでも可決の動きがある。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710141300_02.html

 

2007年10月14日(日) 朝刊 25面

しのび寄る戦争に警告/那覇で反戦の集い

 県マスコミ労協は十三日、那覇市のおきでんふれあいホールで反戦ティーチイン「戦争への道を止めるために―ジャーナリズムと労組の責任を考える」を開いた。九十二歳のジャーナリスト、むのたけじさん(秋田県在住)が講演し、「昭和二十年と今はどこが違うか。弾は飛んでいないが、戦争は始まっている」と強く警告した。

 むのさんは戦前、戦中の朝日新聞などで勤務、敗戦時に「戦争協力の責任上、記者全員の退社」を主張し、自らは実行に移した。従軍記者の経験から、「インドネシア占領時の布告は二年前に書かれていた。その時点で社会に巣くい、戦争を画策していた責任者がいる」と指弾した。

 「私の知る限り、従軍して死んだ記者はいるが、人を殺そうとした記者はいない。そこにヒューマニズムがある。真実を暴いてほしい」。県内外から集まった約二百人の報道関係者や市民が、会場に響く訴えに聞き入り、大きな拍手を送った。

 ノンフィクションライターの島本慈子さん、歴史研究者の伊佐眞一さんも登壇し、ジャーナリズムの在り方について議論を深めた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710141300_07.html

 

2007年10月15日(月) 朝刊 2・25面

伊吹氏が訂正申請提案/教科書問題

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、自民党の伊吹文明幹事長が、安倍晋三内閣で文部科学相を務めていた八月に県関係国会議員と会談した際、「記述の修正を教科書会社にお願いしてはどうか」と提案していたことが十四日までに分かった。教科書会社に訂正申請を働き掛けるよう求めた発言とみられる。出席者からは「訂正申請の検討は安倍政権当時から始まっていたのではないか」と指摘する声が上がっている。

 政府の方針転換について関係者の間では、タカ派色の強い安倍前首相が辞任し、福田内閣が発足したことが要因との見方が強かった。

 訂正申請を念頭に置いたとみられる伊吹提案が明らかになったことで、安倍内閣当時から教科書検定問題の「落としどころ」として、この方法が模索されていた可能性が浮上した。

 伊吹氏と会談したのは、県選出・出身の国会議員でつくる「五ノ日の会」(会長・仲村正治衆院議員)。

 伊吹氏は八月二十四日、記述の修正を求めて教科書会社を訪ねるよう促した。五ノ日の会は検定意見撤回を要請していたため、「趣旨が違う」(出席者)と判断。実行しなかった。

 会談の約一カ月後に十一万人が参加した県民大会が開かれ、政府は十月一日、訂正申請に柔軟に対応する方針を閣僚の記者会見などで表明。記述の修正に応じないとする従来方針を転換させた。

 出席者の一人は「本来は政府が表立ったメッセージを出さず、教科書会社が自主的に訂正申請するのが『検定への政治介入』と批判されない理想の形。伊吹氏の狙いもそこにあったのではないか」と振り返る。

 別の出席者は「当時は訂正申請の仕組みを知らず、伊吹氏の提案もピンとこなかった」と述べ、訂正申請と結び付けなかったと述懐した。

 伊吹氏は三月末の検定結果公表後、「集団自決」に関する記述の修正を一貫して否定した。しかし、同日の会談では、県議会が六月に可決した検定意見の撤回を求める意見書の文面が日本軍の「関与」という表現でまとまったことに、「さすがは政治の知恵だ。『軍の関与』という表現であれば、次回の検定で問題とならないだろう」と述べるなど、従来より柔軟姿勢を示した。


     ◇     ◇     ◇     

きょう「撤回」再要請/大会実行委代表団150人


 文部科学省が二〇〇六年度の教科書検定で、来春から高校で使われる日本史教科書から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除した問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の代表団が十五、十六の両日に上京し、福田康夫首相らに「検定意見撤回と記述の早期回復」を再度、要請する。

 要請団には県議会議長の仲里利信・大会実行委員長や県遺族連合会の仲宗根義尚会長ら県民大会の主催、共催団体関係者や県議、「集団自決」の現場となった渡嘉敷村の小嶺安雄村長ら市町村長や、市町村議会議長ら計百五十人以上が参加する予定。

 福田首相、渡海紀三朗文科相、町村信孝官房長官の三人と面談予定。複数のグループに分かれ、各政党代表、幹部や全国会議員、各教科書会社に対し、「教科書に沖縄戦の正しい姿を伝える記述を」と訴える。

 東京では、県人会と「沖縄戦首都圏の会」が十五日午後六時半から国会近くの星陵会館で総決起集会を開き、要請行動に合流する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151300_02.html

 

2007年10月15日(月) 朝刊 2面

返還跡地の利用 明記/県が第4次計画案

 県は十四日までに、第四次県国土利用計画案をまとめた。県土利用の課題として新たに、米軍再編に伴う嘉手納基地以南の大規模返還用地の利用を明記した。また、土地利用の変化を受け、地域住民による主体的な保全活動などの観点から「県土利用の総合的なマネジメント」を新たな項目に追加。二〇一七年を目標年次として、人口百四十二万人、五十四万世帯と想定した。県土地対策課は現在、同案への県民の意見を募るパブリックコメントを実施しており、来年二月の県議会に提案する。

 県国土利用計画は、県の土地利用に関する行政上の指針となる総合的な長期構想。国が定める全国計画の変更や、社会情勢の変化などに応じて、必要な見直しを行う。

 現行の第三次計画の目標年次は〇五年までで、今後想定される返還跡地の利用など大きな変化要素があるため、昨年から改定作業に取り組んだ。

 第四次県計画案では、追記した跡地利用の課題と方針で、嘉手納以南の施設・区域返還を「自立的発展に寄与する貴重な空間として、計画的な都市づくりや新しい経済活動の拠点形成を目指す必要がある」と位置付けた。その上で「県土構造の再編も視野に入れ、中南部地域の一体的な都市圏形成を目指し、総合的かつ計画的な土地利用を図る必要がある」とした。

 また、地域間の交流や連携による道路・海岸の清掃活動への参加など、個人や団体の身近な土地利用という観点から「県土利用の総合的マネジメント」を行うことを新たな課題に明記。土地の開発だけにとどまらず「県土を良い状態で次世代へ引き継ぐ」という「持続可能な県土管理」の視点を盛り込んだ。

 地球温暖化などへの関心の高まりを受け、環境保全の視点を強化した点も特徴だ。

 地域別では、北部地域は自然環境保全や防災、景観への配慮をした上で、森林の持つ公益的機能の維持・増進、エコツーリズム、体験・滞在型の観光促進のための整備なども挙げた。

 中部地域は、米軍基地・施設が土地利用上の制約になっていることを指摘し、「広域的な視点に立った都市機能の再編・再整備を計画的に行うとともに、公園・緑地の整備を組み込んだ市街地再開発や土地区画整理の活用」を目指している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151300_09.html

 

2007年10月15日(月) 夕刊 1・5面

要請団、首相と面談へ/政党代表にも訴え

 文部科学省が来年春から高校で使われる日本史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除した問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長の仲里利信県議会議長ら代表団百六十七人は十五日午後、福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相に「検定意見撤回と記述の早期回復」を再要請する。

 実行委メンバーら要請団の第一陣九十七人は十五日午前、那覇空港に続々と集まった。要請団には仲里実行委員長や副実行委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長、県遺族連合会の仲宗根義尚会長ら県民大会の主催、共催団体関係者や県議、「集団自決」があった渡嘉敷村の小嶺安雄村長ら市町村長、市町村議会議長らが参加。一行は十五日に福田首相や渡海文科相、町村信孝官房長官の政府閣僚の三人と面談を予定しているが確定していない。十六日には複数のグループに分かれ、各政党代表や幹部、全国会議員、各教科書会社に対し「沖縄戦の正しい姿を伝える記述をしてほしい」と訴える。

 要請団は(1)検定意見撤回と記述回復(2)検定結果の中立性、公平性に疑義が生じていることから速やかな教科用図書検定調査審議会の開催と必要な措置を講じること(3)審議会を公開し、透明、中立、公正性を確保、沖縄戦研究家の参加、情報の公開(4)沖縄戦に関する記述に配慮する「沖縄条項」の新設―を要望している。

 出発前に仲里実行委員長は「二百人近い要請団とともに上京するのでぜひ四項目の要望を着実に実行していただきたい」と述べた。


     ◇     ◇     ◇     

検定撤回 政府に届け/要請団、切実な思い胸に


 「悲惨な沖縄戦の姿を正しく後世に伝えてほしい」。十五、十六の両日、文部科学省が教科書検定で、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に対する日本軍の強制を示す記述を削除させた問題で、検定意見撤回と記述回復を求めて十五日、上京した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の代表団参加者は、自身の沖縄戦体験などからあふれる思いを、政府や国会に投げ掛ける。

 元女子学徒隊でつくる「青春を語る会」の中山きくさん(78)は、自身も沖縄戦時、日本兵から手榴弾を手渡された。「学友の多くも、日本兵から二個の手榴弾を渡され、『一つは米兵に、一つは自分のため(自決のため)』に使うように言われていた」と証言する。

 それだけに「軍の強制」を削除した教科書検定や、検定意見には我慢がならない。検定結果が明らかになった四月から署名活動を始め、実行委への参加も自ら申し出た。「記述回復は当然のこと。沖縄戦を知らない審議委員により、いいかげんに決められた検定意見が撤回され、二度と同じことが起きないようにするため、何度でも要請を繰り返す」と決意を固めている。

 県遺族連合会は三日前に役員会を開き、「あの悲惨な沖縄戦の真実を後世に伝え続け、平和の希求と享受につなげるのがわれわれの目的」と、要請行動に向けての意志を再確認した。沖縄市で沖縄戦を体験した仲宗根義尚会長(71)は「『集団自決』は体験していないが、置かれた社会環境は一緒だった。慶良間諸島の人々らが、日本軍に追い詰められていった状況は容易に想像できる」と語った。

 皇民化教育と、日本軍の完全支配下にあった当時の沖縄で「激しい地上戦により逃げ場を失った住民に、日本軍から手榴弾が渡された。これはまさに命令だった」との考えを、自身の体験を交えながら、東京で訴えてくるつもりだ。

 「軍の強制を示した教科書記述を元通りにするのは最低限。その上で、検定意見や検定制度にもしっかり手を入れてほしい」と強い口調で話した。

 代表団は、出発前、県議会議長の仲里利信・大会実行委員長の「検定意見撤回と記述回復を求めるという共通の認識に立ち、行動しよう」とのげきを受け、「所期の目的を貫徹しよう」の掛け声でガンバロー三唱をして、東京に向かった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151700_01.html

 

2007年10月15日(月) 夕刊 1面

嘉手納議会 抗議決議へ/米兵息子の暴行

 【嘉手納】米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子(21)が強姦致傷の容疑で沖縄署に逮捕された事件で、嘉手納町議会(伊礼政吉議長)は十五日、基地対策特別委員会(田仲康榮委員長)を開き、米軍に再発防止の徹底、被害者への謝罪・補償などを求める抗議決議と意見書の両案を臨時会に提案することを決めた。

 臨時会の日程や両案の文面については近日中に再度、委員会を開いて調整する。

 委員からは「基地に隣接している市町村ではどこでも起こり得る事件」「凶悪犯罪を起こしながら逃げ帰ろうとしたことは断じて許せない」などの批判が相次いだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710151700_04.html

 

2007年10月16日(火) 朝刊 1面

政府、具体策言及せず/教科書検定 再要請

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、十一万人が参加した県民大会の要請団約百七十人が十五日上京し、仲里利信実行委員長(県議会議長)ら代表十一人と県関係国会議員が首相官邸で大野松茂官房副長官と会談した。検定意見の撤回と記述の回復を含めた四項目を要望。大野副長官は「要望の一つ一つを認識しながら重いものとしてしっかり受け止める」と述べる一方、具体的な対応策に言及しなかった。

 会談は非公開で行われ、仲里委員長は会談後、記者団に「正直なところ、前回の要請とあまり変わりがなかった」と失望感を表明。大野氏が「県民の多くが(大会に)集まったことを政府として重く受け止める」と述べた三日の会談から、官邸の対応に進ちょくがなかったことを強調した。仲里委員長は「(大野氏から)具体的な回答があれば『何回答』『何%』と言えるが、そういうことを言っていないので…」と述べ、実質的な“ゼロ回答”だったとの認識を示した。

 一方で、大野氏から「渡海紀三朗文部科学相に皆さんの意をくんだ形で対処してほしいと伝える」との発言もあったと紹介。これに対しては「大変、ありがたく思う」と謝意を表した。

 要請団の要望は(1)検定意見の撤回と記述の回復(2)教科用図書検定調査審議会の速やかな再開催(3)審議の公開と審議会への沖縄戦研究者の参加(4)沖縄条項の確立―の四点。いずれにも、明確な回答はなかった。

 会談に同席したのは県PTA連合会の諸見里宏美会長、沖縄の未来を語る会(二十二の旧制学校同窓会で構成)の大浦敬文事務局長らと、県関係国会議員九人。諸見里会長は、東中学校の生徒が検定意見の撤回を求める意見書可決を東村議会に要望したことをきっかけに、PTAが活動に加わった経緯を説明。「最初に声を上げた子どもたちの指摘で運動が盛り上がった」として、県民運動の広がりを強調した。大浦事務局長は「沖縄戦の体験者の声を聞いてほしい」と訴えた。

 仲村正治氏(自民)、照屋寛徳氏(社民)、赤嶺政賢氏(共産)の各衆院議員と喜納昌吉氏(民主)、山内徳信氏(社民)、糸数慶子氏(無所属)の各参院議員も発言した。要請団は十六日、数グループに分かれて各政党や教科書会社などを訪ねる。


県、九州知事会に決議案


 沖縄戦での「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書検定問題で、仲井真弘多知事が十八日に那覇市内で開かれる九州地方知事会(会長・金子原二郎長崎県知事)に、県が政府に要望している検定意見の撤回と記述回復などについて、「県の要望に対して真摯な対応」を国に求める決議案を提案することが十五日、分かった。

 決議案では、教科書検定問題をめぐって、県議会や県内全市町村議会で、検定意見の撤回と記述回復を求める意見書が可決されたことや、県内の各界・各層を網羅した超党派による県民大会が開かれたことなどを明記。

 その上で九州地方知事会として、国に対し「沖縄県の教科書検定意見に関する要望に対して真摯な対応」を要望している。同案は全会一致で可決される見込み。

 同知事会には山口県を含む九州各県の知事が参加する予定。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161300_01.html

 

2007年10月16日(火) 朝刊 29面

700人集会 国を批判/東京要請行動

 【東京】教科書検定意見の撤回を求める総決起集会(主催・東京沖縄県人会、沖縄戦首都圏の会)が十五日夜、国会近くの星陵会館で開かれた。国会議員や市民ら約七百人が参加。発言者からは「政府は検定意見撤回を政治介入と言うが、最初に行政介入したのは文部科学省だ」(山内徳信参院議員)など、文科省主導の検定過程を批判する声が相次いだ。

 民主党の川内博史衆院議員は訂正申請の動きについて「記述の訂正と回復は百八十度違う」と指摘。「(民主党などが衆参両院に提示した)決議案を何としても採決に持ち込む」と意気込んだ。

 与党・公明党の遠山清彦参院議員も「審議会は議事録も公開されず、どんな議論があったか与党も分からない」と教科書検定の「密室性」を強調した。

 東京沖縄県人会の川平朝清会長は「県人会は政治的なものに(通常)かかわらないが、青少年育成の立場から日本の正しい現代史を知ってほしい」と記述回復を訴えた。

 集会終盤には上京中の県民大会要請団が登壇し、南部商業高校の生徒九十五人が「教科書には真実を載せて」などと書いた横断幕を手に決意を新たにした。

 主催者は集会に先立ち、国会での院内集会や千代田区有楽町でのビラ配りなどをした。


「ゼロ回答」に怒り


 県民大会実行委員長の仲里利信県議会議長ら要請団十一人の直接の訴えに対し、大野松茂官房副長官は十五日午後、「しっかりと受け止める」とこれまでの政府発言にとどまるなど実質的な“ゼロ回答”となった。要請団からは「検定意見撤回に応じるまで沖縄に帰らない」と失望と怒りの声が上がった。

 要請団が求めていた福田康夫首相や町村信孝官房長官との面談は国会審議があり、実現しなかった。しかも人数が制限され、仲里委員長や副実行委員長の翁長雄志那覇市長、県PTA連合会の諸見里宏美会長らが官邸の門をくぐった。

 要請を終えた諸見里会長は「具体的な回答はなく、あらかじめ用意した言葉を話すだけ。重く受け止めたとは思えない」と憤った。沖縄の未来を語る会の大浦敬文事務局長は「質問や前向きな発言もなくがっかり。せめて『行動を無にしない』との副長官の言葉がリップサービスでないことを期待したい」と話した。

 官邸前で報告を聞いた元女子学徒隊でつくる青春を語る会の中山きく会長は「中に入れると思ったのに残念。誤った教育でお国のために命をささげた私たちの思いを伝えたかった」と悔しそうに語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161300_02.html

 

2007年10月16日(火) 夕刊 1面

「要請を実現したい」/細田幹事長代理前向き

 【東京】自民党の細田博之幹事長代理(元官房長官)は十六日午前、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題への対応について、「本道に戻したい。(県民大会実行委員会の)要請内容を実現したいと思っている」と述べ、検定意見撤回や記述の回復に積極的に取り組む考えを示した。十一万人が参加した県民大会の実行委員会要請団に答えた。実行委はこのほか、社民党の福島瑞穂党首、公明党の太田昭宏代表や浜四津敏子代表代行、池坊保子文科副大臣らにも要請。教科書協会も訪ね、今回の検定で意見が付された五社の担当者らに記述の訂正を要請した。

 要請団の約百七十人は同日、七班に分かれて関係先を回り、検定意見の撤回と記述の回復を含めた四項目を要望。実行委員長の仲里利信県議会議長や高嶋伸欣琉球大学教授らのグループは自民党本部に細田幹事長代理を訪ね、検定意見の撤回などを求めた。

 仲里委員長らによると、同席した河村建夫広報本部長(元文科相)も「教科書に歴史の事実が書かれなければ、文部科学相はきちんと直すよう監督指導する責任がある」と述べ、文科相の責任で対応する必要性を強調したという。

 仲里委員長は要請後、細田幹事長代理の発言について「力強い話があり大きな前進だ」と歓迎。高嶋教授も、河村広報本部長の発言に「政治家の責任の在り方を示したいい発言」と評価した。

 一方、実行委幹事の伊波常洋県議(自民)らのグループは、自民党沖縄振興委員長の山崎拓衆院議員を平河町の個人事務所に訪ねた。山崎氏は冒頭、「超党派の県民大会は県民の総意としてしっかりと受け止めたい。沖縄振興委員会でも、この問題で何かできることがあるか検討している」と述べ、党として対応する姿勢を明らかにした。

 面談は非公開だったが、伊波県議らによると山崎氏は「子どもたちに教える立場から、軍部の関与については事実上元に戻すことを希望しており、そうなると予見している」など、記述回復に前向きな姿勢を示した。

 検定意見の撤回については「制度の問題があるが、今後起こらない仕組みを必ず確立する」と述べ、検定意見撤回以外の手段で解決に取り組む考えを示した。

 要請団の要望は(1)検定意見の撤回と記述の回復(2)教科用図書検定調査審議会の速やかな再開催(3)審議の公開と審議会への沖縄戦研究者の参加(4)沖縄条項の確立―の四点。


小沢氏、国会決議に意欲

「政府・文科省と戦う」


 【東京】民主党の小沢一郎代表は十六日、国会への「沖縄戦『集団自決(強制集団死)』の教科書検定に関する決議案」提出について、「民主党の認識は一致している。政府や文部科学省に対して戦っていく」と、意欲を示した。十一万人が参加した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長の仲里利信県議会議長らの要請団に答えた。

 検定手続きの見直しなどを求める同決議案提出をめぐっては、自民党執行部から反対意見が相次いでいるほか、民主党内からも「全会一致」の慣例を重視し「多数決ではできない」(平田健二参院民主幹事長)との異論が出ており、めどが立たない状況に陥っている。

 小沢代表はこれまで、「参院の判断、運営に任せている」と述べ、事態を静観する構えを見せていたが、今回の発言は従来より踏み込んだものといえる。

 仲里議長らによると、小沢代表はそのほか「政府は審議会に責任を負わせるような格好でやっているが、真正面からはっきりと政府の言葉を言わなければならない」と述べ、同問題をめぐる政府の対応を非難。

 その上で「歴史の事実は一つ。その事実を歪曲することは厳にあってはならないし、それは自分たちもただしていく」と述べ、県民大会で決議した検定意見の撤回や記述の回復に前向きに取り組む姿勢を示したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710161700_02.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 1・2・3面

大会決議堅持 強調/解決まで実行委存続

「集団自決」検定撤回/仲里委員長「何度でも要請」

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、十一万人が参加した県民大会実行委員会の約百七十人による要請行動が十六日、終了した。同日夕、東京都内で会見した仲里利信実行委員長(県議会議長)は大会決議で求めている検定意見の撤回と記述の回復を堅持する姿勢を強調。問題解決まで実行委員会を存続させ、実行委員長を務める考えを表明した。

 会見後に開かれた集会では実行委メンバーは「一致団結して頑張ろう」と気勢を上げ、引き続き超党派で連帯して取り組む方針を確認した。

 仲里委員長は会見で、決議要求について「要求が実現されるまで何回でも政府に対して要請を続けていく」と述べ、粘り強く求めていく考えを示した。

 一方、文科省が出版社からの訂正申請で記述の修正を図ろうとしていることに「ずばり(記述を)元に戻してほしい。ちゃんと決着するまでは旧来の教科書でいい。急ぐ必要はない」と述べた。

 要請の成果については、「文科省のこれまでのかたくなな姿勢が、やや和らいだという感触を受けた。わずかだが、前回よりは前進だったと受け止めている」と手応えを語った。

 ただ、政府・与党から決議要望に関する具体的な回答がなく、実質的な進展が見られなかったことには「ある程度予想していた。この問題が一朝一夕に決着するとは思っていない」と淡々と語り、政府の動向を見守りながら、継続的に取り組む考えを示した。

 会見後に開かれた報告集会でも仲里委員長は、「今回の要請で必ずや厚い壁を突破して、私どもの願いが必ず届くものだと思っている」と述べ、連帯を呼び掛けた。

 これに対し県内から駆け付けた実行委関係者からは「委員長を中心に頑張っているのは県民の誇り」「最後の最後まで、撤回させる頑張りたい」などの声が相次ぎ、結束を強めていた。


     ◇     ◇     ◇     

党首クラスが対応


 【東京】「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会らでつくる要請団は十五、十六の両日、官邸や文部科学省、政党、教科書会社担当者らを訪れ、検定意見撤回と記述回復を求めて要請行動を繰り広げた。実行委員会は要請終了後、検定意見の撤回と記述の回復まで、引き続き超党派で取り組むことを確認した。


自民「本道に戻す」

民主など「要請ぜひ実現」


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校教科書の検定意見問題で、県民大会実行委員会の要請団は十六日、精力的に関係機関を訪ねた。政党各党は党首クラスが顔をそろえる異例の対応で出迎えた。それぞれの立場で、十一万人を超える県民の声に対する考えを明らかにした。

 沖縄担当相の経験もある自民党の細田博之幹事長代理は「皆さんの気持ちを重く受け止め、幹部にしっかり伝える」と切り出した。「これだけの証人があり、証言もある。一刻も早く元に戻さなければいけない。(教科書の記述を)本道に戻したい」と述べたという。

 民主党の小沢一郎代表は要請後の会見で、「歴史の事実は事実として、正しく認識した上で考えていかなくてはならない」と理解を示した。その上で「要請内容をぜひ、実現したい」と前向きに取り組む考えを強調した。

 与党の公明党は太田昭宏代表や浜四津敏子代表代行らが応対した。太田代表は(1)沖縄戦の「集団自決」は旧日本軍の関与を否定できない(2)沖縄戦の実相を伝えるために真実を調査・研究する機関の立ち上げを検討する―などの立場を説明。

 同党が政府に提起している沖縄戦の調査・研究機関設置について「調査・研究は体験者の声を聞くことが一番大事なことだと思う。教科書検定に政治は不介入ということは大事なこと。『集団自決』の事実を表現できるように力を注ぎたい」と述べた。

 共産党は志位和夫委員長や国会議員らが出席。志位委員長は検定意見の撤回と軍強制記述の復活を政府の責任で実行するべきだとの考えを強調。「軍の強制なしにあの悲劇は起き得ない。(文部科学省の)検定調査官が勝手に意見を出したことが問題の発端で、『政治介入』したのは文科省である」と指摘した。

 国会決議についても触れ、「中途半端な決着ではつらい体験を証言した人たちを否定することになる。国会でも超党派で一致できるよう努めたい」とした。

 社民党は福島瑞穂党首や又市征治幹事長らほぼ全議員が顔をそろえた。福島党首は「私も直接、『集団自決』の当事者の方々から話を聞いている。軍の強制を削除することは許し難い。子どもたちにしっかりと歴史を勉強させることが大事だ。党を挙げて取り組みたい」と理解を示した。

 衆院会派「国民新党・そうぞう・無所属の会」は、国民新党の綿貫民輔代表や亀井久興幹事長、下地幹郎そうぞう代表が応対した。綿貫代表は「国会の中でもいろんな意見が出ている。中身を検討したい」と発言。

 亀井幹事長は「事実は事実として若い世代にしっかりと伝えることが、歴史教育の上で大前提。そこがねじ曲げられていることがあればそれを正していくのは当然だ。与党も野党もない」と述べ、他党とも調整する考えを示した。

 また、新党日本の田中康夫代表も要請団と会い、「事実は一つしかない。検定意見の撤回、あるいは記述の回復までわが党も頑張りたい」と述べたという。


国会決議に意欲 民主小沢代表


 【東京】民主党の小沢一郎代表は十六日、国会への「沖縄戦『集団自決(強制集団死)』の教科書検定に関する決議案」提出に関連し、党内に結束を図るよう指示した。十一万人が参加した「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会の要請団に対しても同日、「(民主党は)皆、同じ認識を持っている」と語り、決議に意欲を示した。(一部地域既報)

 検定手続きの見直しなどを求める同決議案提出をめぐっては、自民の執行部から反対意見が相次いでいるほか、民主内からも「全会一致」の慣例を重視して「多数決ではできない」(平田健二参院民主幹事長)との異論が出ており、めどが立たない状況に陥っている。

 小沢代表はこれまで、事態を静観する構えを見せていた。しかし、要請に同席した同党の川内博史衆院議員によると、小沢代表は要請団との面会に先立ち、「歴史をねじ曲げる検定だということで党内で一致している。闘っていく。党内をしっかりまとめるように」と党内結束を指示したという。


政府が「反省」言及/検定制見直し 否定的


 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、上京中の県民大会実行委員会要請団は十六日、文部科学省に池坊保子副大臣を訪ね、検定意見の撤回と記述の回復を要望した。池坊副大臣は「(県民の)皆さんが非常な痛みを感じたことを、私どもは反省しなければいけないと思っている」と述べ、今回の検定問題で政府として初めて「反省」に言及した。

 一方で「検定制度が悪かったとは思っていない」と述べ、検定制度の見直しには否定的な考えを強調した。

 要請には県民大会実行委員会の仲里利信委員長(県議会議長)や県関係国会議員、県高校PTA連合会の西銘生弘会長らが同席した。

 仲村正治衆院議員は、沖縄戦で「県民二対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」と海軍次官あてに打電して自決した大田実中将の電文に「『集団自決』を強要した悲劇があった」という部分があったと指摘。「(日本軍の強制は)否定することのできない歴史の事実。教科書の書き換えを撤回してほしい」と訴えた。

 要請団は、南部商業高校の生徒九十五人が渡海紀三朗文科相にあてた寄せ書きを手渡した。池坊副大臣は「しっかり大臣に渡したい」と述べた。


実行委 会見要旨


 【東京】「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の実行委員会らでつくる要請団の記者会見要旨は次の通り。

 仲里利信実行委員長文科省のこれまでのかたくなな姿勢が、やや和らいだんじゃないかという感触だ。わずかだが、前回よりは前進だったと受け止めている。これまで文科省は責任の所在について一切言及しなかったが、反省すべきことを反省すると、文科省の指導監督責任に触れた。また、各政党の代表者からは異口同音に、われわれの取り組みに対する高い評価と力強い支援の言葉に意を強くした。今後も粘り強く、要求が実現されるまで何回でも政府に要請を続けていく。

 平良長政同委幹事 教科書会社は、真実を伝える教科書の社会的責任を十分理解しており、県民の思いをそれぞれの社で話し合い、真実を反映できる教科書にしたいというような決意もあった。


一問一答


 ―わずかな前進とは。

 仲里氏 具体的な結果が出たわけではないが、感触というか、前回と比べ、ある程度の前進があったと思っている。文科省の答弁は前進だととらえている。

 ―教科書会社の訂正申請を待つ政府の姿勢に変化はないが。

 仲里氏 私たちは県民大会で決議した検定意見の撤回と記述の回復という二点は最初から譲れないという共通認識に立っており、その姿勢に変化はない。

 ―知事は「記述回復」優先と発言しているが。

 仲里氏 それは知事のお考え。公式には議会の場で正式に検定意見の撤回と記述の回復を求めることを明言している。それは変わりないものと思っている。知事は政府の立場も念頭におっしゃったとは思う。

 ―一部政党の言う「談話」が実現し、将来同じようなことが起きないとなれば検定意見を撤回できると考えるか。

 仲里氏 その意見は聞いていないが、私たちは現時点では撤回と回復、それを一歩も譲ることができない。

 ―教科書会社の反応をどう受け止めるか。

 仲里氏 教科書会社も財政的な問題もあり、大変だと思うが、それ以上に子どもたちに誤ったこと(を伝え)、文科省に疑いを持たせるようなことをしている。問題が決着するまで旧来の教科書でいいのではないか。急ぐ必要はない。

 ―今後の活動は。

 仲里氏 この問題が一朝一夕に決着するとは思っていないが、国の動向を見守りながら次の行動を皆で考えたい。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_01.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 24・25面

検定撤回なお「壁」/真実継承へ正念場

 【東京】県民大会実行委員会幹事の平良長政県議ら要請団代表七人は十六日、来年春から使われる高校歴史教科書で文部科学省の検定意見が付き、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」から日本軍強制を示す記述を削除した教科書会社五社に対し、記述の完全復活や表現を強めるよう求めた。教科書会社の編集責任者らは「県民の思いは受け止めた。執筆者と話し合った上で慎重に検討していきたい」などと答えた。教科書会社に直接要請をするのは今回が初めて。

 都内の教科書協会で開かれた要請には、東京書籍、実教出版、清水書院、三省堂、山川出版の編集責任者と担当者ら九人が出席。県PTA連合会の諸見里宏美会長が、本紙のオピニオン面に高校生が寄せた「私は絶対に、うその書かれた教科書を使いたくありません」の投稿のコピーを配布。「子どもたちは本当のことを知りたいと考えている。事実を教え、伝える教科書には真実を載せてほしい」と訴えた。

 高嶋伸欣琉球大教授は「文科省は教科書会社側に責任転嫁し、訂正申請を認めようとしている。訂正は本来は文科省の責任で行うべきだ。われわれも文科省の責任を追及していく」と話し、文科省が検定意見撤回に応じない現状で、教科書会社が訂正申請をすることへの懸念を表明。「沖縄戦をめぐる記述は申請段階のものがベストではない。新たな証言の掘り起こしや研究が急速に進んでいる」とし、記述を強めるよう求めた。

 ある会社の担当者は「投稿にはショックを受けた。教科書の真実を訴え、未来を子どもたちとつくっていく役割を認識し、執筆者と十分に相談した上で適切な判断をしていきたい」と話した。一方、各社からは、具体的な記述内容に関しては特に発言はなかった。

 各社では、十七日に予定されている執筆者らの懇談会なども踏まえ、訂正申請に向けた具体的な協議を進めている。これまでのところ五社以外に検定意見の付かなかった一社も訂正申請を検討している。


政府姿勢に安堵と不満


 【東京】県民大会実行委員会は十六日、二日間の要請行動を終えた。約百七十人の参加者の中には要請を終えた達成感や記述回復に対する政府の前向きな姿勢に安堵感も漂った。一方で、検定意見撤回の回答は得られず、実行委幹部からは「まだ道半ば、これからが正念場だ」とくぎを刺す意見も相次いだ。

 十六日午後、文部科学省や首相官邸、各政党幹部、全国会議員などへの要請行動を終えた一行は、都内の衆院第一会館で報告会を開いた。「全国にこの問題を訴えることができた」「感触として前進があった」と話す報告者。拍手も起こったが、副実行委員長で県子ども会育成連絡協議会の玉寄哲永会長は「前進はあったかもしれないが大きな変化はなかった。文科省がなぜ検定意見を付け、日本軍強制の記述を削除したのかはっきりさせるべきだ」と訴える。さらに「検定意見撤回は達成できていない。今が正念場だ」と話した。

 県PTA連合会の諸見里宏美会長は「トップが対応しなかったので当たり障りのない発言だった」と実行委が当初求めていた福田康夫首相や渡海紀三朗文科相への要請が実現しなかったことに不満を表明した。「検定意見が撤回されないままでは十年後に再び同じ問題が起こる。子どもたちに正しい歴史を伝えるためにも絶対に譲れない」と強調した。

 旧制学校同窓会でつくる沖縄の未来を語る会の大浦敬文事務局長は「政府を動かすのは難しいと感じた」と話す。「前向きな発言もリップサービスにしか映らない。検定意見撤回の言質を取られないように対応している。今後も超党派で全県的な運動を継続していく必要がある」と指摘した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_02.html

 

2007年10月17日(水) 朝刊 2面

豪空軍機が初飛来/那覇基地

 オーストラリア空軍のP3C哨戒機一機が十六日、海上自衛隊第五航空群(那覇市)や米軍と親善訓練を行うため、那覇航空基地に到着した。オーストラリア空軍航空機の訪日は六回目だが、那覇に飛来したのは今回が初めて。

 海上自衛隊と同型の哨戒機を運用するオーストラリア空軍との基礎的な訓練を通じ、信頼醸成を図るのが目的。背景には、対中国をにらんだ日米豪印の安全保障協力の体制強化の意図もうかがえる。十七日は九州西方海域で日米豪の三カ国、十八日は九州東方海域で日豪の親善訓練を行う。

 日豪訓練では、海自第五航空群第九航空隊の哨戒機とともに、海自の潜水艦を使用した基礎的な対潜戦訓練を実施予定。昨年六月には、海自第九航空隊がオーストラリアを親善訪問。日豪の親善訓練は一九八一年以降、二十三回行われている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710171300_06.html

沖縄タイムス 関連記事、琉球新報 社説(10月11日、12日、13日)

2007年10月11日(木) 朝刊 1・2面

沖縄戦専門家の選任検討/文科省

訂正申請後の審議会/赤嶺議員に伝える

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した高校歴史教科書の検定問題で、文部科学省が十日、出版社からの訂正申請を受けて開く「教科用図書検定調査審議会」の専門委員に、沖縄戦の専門家を新たに加えることを検討していると、赤嶺政賢衆院議員(共産)に伝えていたことが分かった。現在、同審議会に沖縄戦の専門家は不在で、同検定をめぐる審議では、議論が全くなされないまま検定意見が付された経緯があり、専門家による調査が必要と判断したとみられる。

 文科省の担当者は、専門家不在の実態を認めた上で、訂正申請を受けた審議会で専門家の配置を省内で検討していることを明らかにしたという。

 「教科用図書検定調査審議会令」では、「審議会に、専門の事項を調査させるため必要があるときは、専門委員を置くことができる」と明記。

 担当者は、同政令に基づき、専門家の選任が可能と説明。人選の例として沖縄戦に詳しい大田昌秀前参院議員の名前を挙げたという。政令によると、専門委員は非常勤で、「当該専門の事項に関する調査が終了したとき」に解任される。

 ただ、訂正申請を受けて開かれる審議会は、今回問題になっている検定意見を付した審議会と意義付けが異なるため、「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現」との検定意見はそのまま残ることになる。

 赤嶺氏は、文科省の担当者に対し、「出版社から訂正申請が出るといっても、検定意見が残ったままではどのような訂正申請をしていいかも分からない。検定意見の撤回がなければ問題は解決しない」などと検定意見の撤回を強く求めた。


     ◇     ◇     ◇     

「参院の判断に任せる」/小沢代表 静観の構え


 【東京】民主党の小沢一郎代表は十日の定例会見で、参院への「沖縄戦『集団自決(強制集団死)』の教科書検定に関する決議案」提出が困難な状況となっていることについて、「参議院の判断、運営に任せている」と述べ、状況を見守る考えを示した。

 参院への決議案提出をめぐっては、自民党の執行部から反対意見が相次いでいるほか、民主党内からも「全会一致」の慣例を重視して「多数決ではできない」(平田健二参院民主党幹事長)との異論が出ており、めどが立たない状況に陥っている。

 小沢代表は会見で「全会一致でなければならない、ということではない」と、採決でも意義があるとの考えを示しつつ、「ただ、今回のことについては、審議会は中立的な仕組みになっているし、教育の問題でもある」と述べ、参院の判断を見守り、慎重に対応する姿勢を示した。

 一方、検定の在り方について、「日本の政治、行政の結論の出し方は、第三者的な審議会や調査会という形式をつくって事実上行われているのが多い。結果として、ある意味では責任を回避するやり方だ」と述べ、「教科用図書検定調査審議会」の決定を盾に検定意見の撤回を固辞する文科省の対応を批判。

 「もう少し政治が、あるいは行政が真正面から取り組む形にすべきだ」との考えを示した。


「部会」要旨公開を検討/文科省


 沖縄戦「集団自決(強制集団死)」をめぐる教科書検定問題で、文部科学省が、原則非公開としている教科書検定審議会のうち、実質的に教科ごとの検定の合否を判断している「部会」の議事要旨の公開について検討を始めることが十日、分かった。文科省は今回の問題が決着した後に具体的な検討を進め、次回以降の審議会運営に反映させたい考え。

 審議会は全体で行う「総会」を頂点とし、その下の教科ごとの「部会」、さらに専門ごとに内容を精査する「小委員会」で構成されている。

 議事はすべて非公開となっているほか、議事録も総会の会長あいさつや部会での審議結果の要旨を公開しているだけで、委員の発言内容や合否を判断した根拠などは一切、明らかにならない仕組みになっている。

 また審議会の委員に、沖縄の近現代史の専門家が選ばれていないとの指摘を受けていることから、文科省は委員の選任方法や専門家の意見聴取についても検討課題としている。

 渡海紀三朗文科相は九日の閣議後の記者会見で「今までのやり方でよかったのかどうかも含めて、少し検討したい」と発言した。

 議事の全面的な公開については消極的な姿勢を示したが、審議終了後の議事録公開は検討の余地があるとの考えを示していた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111300_01.html

 

2007年10月11日(木) 朝刊 2面

意見概要書を今月提出/「普天間代替」

 米軍普天間飛行場代替施設の建設に向けた環境影響評価(アセスメント)をめぐり、防衛省が県に対し、公告縦覧したアセス方法書への住民らの意見をまとめた概要書を今月中に提出する、と伝えていたことが十日分かった。

 アセス手続きでは、県は概要書を受理後、六十日以内(国のアセス法の場合は九十日以内)に知事意見を提出する。

 仲井真弘多知事は九日、記者団に対し、知事意見を提出する考えを表明しており、年内にも提出期限を迎えることになる。

 沖縄防衛局によると、住民らからの意見は計四百八十七通寄せられており、概要がまとまり次第、県などに提出する。

 方法書が一方的に提出されたことから、県は受け取りを「保留」してきたが、知事意見を提出することで解除することになる。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111300_04.html

 

2007年10月11日(木) 朝刊 23面

戦火の街 悲劇二度と/十・十空襲の日 那覇市で慰霊祭

 沖縄戦での那覇市の戦没者、約二万九千人が祭られた同市若狭の「なぐやけの碑」前で十日、「第十二回なぐやけの碑慰霊祭」(主催・那覇市連合遺族会)が開かれ、首里・真和志・那覇・小禄の各地区から参列した約二百五十人の遺族が、平和への誓いを新たにした。

 昨年から、一九四四年十月十日に同市が攻撃された「十・十空襲」のあった同日に開催。気温約三十度の夏を思わせる汗ばむ陽気の中、遺族らは厳かに黙とうをささげ、うつむきながら読経に聞き入っていた。

 式では、遺族代表として小禄地区の上原栄吉さん(63)が「米軍と日本軍の勝ち負けが浮き彫りになったのが沖縄戦。与那原の部隊に徴兵された父は帰らぬ身となり、遺骨も残っていない」と弔辞。「忌まわしい戦争を再び起こしてはいけない」と語気を強めた。

 同遺族会の座喜味和則会長は「十・十空襲では爆弾や機銃掃射、焼夷弾で那覇の街は焼き尽くされた。復興は遂げたが、戦争の記憶の風化は否めない。私たち遺族が全力で食い止めよう」と呼び掛けた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111300_05.html

 

琉球新報 社説

普天間アセス 知事意見で明確に反対主張を

 仲井真弘多知事が、名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部に建設が予定されている米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見を提出する意向を示した。

 防衛省が8月、アセス方法書を提出した際、県は知事意見を出さない姿勢を強調していた。しかし、提出しない場合は行政手続き上、県が方法書の内容を了承したことになる。

 しかも、政府は県や名護市の修正要求に一切応じていない。知事意見を提出しなければ、政府案に賛成しているとも受け取られかねない。

 政府案に地元が同意しないまま、地元の意向を無視して移設に向けた手続きだけが着々と進む状況は異常である。

 そのような異常事態を変えるため、知事意見という形で、政府に対して反対意見を明確に主張していくことに異論はない。

 しかしながら、この間の政府の姿勢からして、知事意見に政府が真摯(しんし)に対応するかは、極めて不透明と言わざるを得ない。

 政府のかたくなな姿勢を改めさせるためにも、アセス終了後に控える埋め立て申請を許可しないことなど、知事の強い姿勢を意見に盛り込むことも必要ではないか。

 安倍晋三前首相は4月に来県した際、「移設では知事や地元の意見に耳を傾けていく」と述べ、地元との協調姿勢を示した。

 しかし、実態はどうか。

 アセス方法書の受け取りを拒否する県に対して、強引に書類を置いて帰るなど、乱暴な印象はぬぐえない。

 方法書は法的に受け取りを拒否することはできない。にもかかわらず、県が受け取りを拒んだのは政府の不誠実な姿勢が要因である。

 知事は高村正彦前防衛相との会談で、現状ではアセスを「やり直しするだけ」とあくまで修正案によるアセスの実施を求めた。高村前防衛相は会談後、「(アセス後に修正の是非を話し合うとの)わたしの提案に否定的な感触はなかった」と述べた。

 県と政府の認識のずれは大きい。「建設ありき」のアセス実施に固執する政府が県に歩み寄らない限り、膠着(こうちゃく)状態は続くだろう。

 安倍前首相の言葉とは裏腹に、政府は2014年の代替施設完成に合わせたスケジュール消化を第一にしているのが現状である。

 アセス結果で問題があったとしても、日米合意を最優先させる政府が事業を見直す可能性はほとんどないといっていい。

 米軍再編の目的の一つは、地元負担の軽減だった。その際、最も大切なことは地元への配慮と理解である。政府にはそれが欠けていないか。

(10/11 10:00)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-27980-storytopic-11.html

 

2007年10月11日(木) 夕刊 1・5面

全5社、訂正申請を検討/教科書検定

 文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から、日本軍強制の記述が削除された教科書会社の全五社が文科省に記述の訂正申請をする方向で検討していることが十一日、分かった。

 十五―十六日に上京する「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会メンバーの要請内容を聞いた上で早ければ十八日以降にも訂正申請する方針を固めた社がある一方、渡海紀三朗文科相が検定意見撤回を否定し、「元通りにするのは難しい」としていることから「文科省の対応を見ながら申請する」と戸惑いを見せている社もある。

 二〇〇六年度の教科書検定で申請したのは、山川出版、東京書籍、三省堂、実教出版、清水書院の五社。うち、実教出版と三省堂は二冊申請した。同検定で文科省は「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現である」と抽象的な検定意見を付けた。教科書会社は文科省の教科書調査官とやりとりし、検定意見の真意を探りながら日本軍の強制を示す記述を削除した。

 ある教科書会社の担当者は「検定意見が撤回されない限り、元通りの記述や詳しく表記することは難しいだろう」とした上で「文科省の動向を見極めながら申請する」と話す。別の社の編集者は「マスコミ報道で渡海文科相が『訂正申請に真摯に対応する』としているが、直接の説明はまったくない。どの記述なら認められるのか情報収集した上で申請するかどうか検討する」と話した。


     ◇     ◇     ◇     

要請団は120人規模/実行委 検定撤回の要望書確認


 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会が十一日、県議会で開かれ、十五、十六日の要請行動で、面会を求めている福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相、町村信孝官房長官への要望書を確認した。検定意見撤回と記述回復、審議会の再審議、沖縄戦研究家の参加、情報公開などを求める。十日までに百二十一人が東京での要請行動への参加を決めている。

 要望書は九月二十九日に十一万六千人が参加した県民大会の決議や奈良県、京都府など四府県で検定意見撤回などを求める意見書が可決されていることに基づき、作成した。

 二〇〇八年度から使用される高校歴史教科書で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を示す記述を削除した文科省など政府に対し、(1)検定意見撤回と記述回復(2)検定結果の中立性、公平性に疑義が生じていることから、速やかな教科用図書検定調査審議会の開催と必要な措置を講じること(3)審議会を公開し、透明、中立、公正性を確保、沖縄戦研究家の参加、情報の公開(4)県民の沖縄戦体験に対する思いへの配慮、是正措置に関する政府談話の公表―などを盛り込んだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111700_01.html

 

2007年10月11日(木) 夕刊 1面

公室長「検討中」と修正/アセス知事意見

 県議会米軍基地関係特別委員会(親川盛一委員長)が十一日午前開かれた。仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見に応じる意向を表明したことについて、県の上原昭知事公室長は「検討中」と軌道修正した。その上で、沖縄防衛局から住民らの意見概要が県に提出された段階で判断する考えを示した。嘉陽宗儀委員(共産)への答弁。

 知事意見について、上原公室長は「アセス手続きにおける知事意見の位置付け等も考慮し、今後の対応を検討しているところ」との見解にとどめた。知事の発言の趣旨について、具体的な説明はなかった。

 仲井真知事は上京中の九日、記者団に知事意見への対応を問われた際、「私は節々に三回くらい意見を言う機会がある。言いますよ、それは」と言明。アセスの方法書、準備書、評価書の各段階で知事意見を提出する考えを明らかにした。

 さらに「地元の意見を聞かなければ賛成しかねる。当然の話だ」と指摘。知事意見の中で名護市が求める滑走路の沖合移動を求める考えを示唆していた。

 県は、防衛省から方法書の提出を受けた際に、「一方的だ」として受け取りを保留している。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111700_02.html

 

2007年10月11日(木) 夕刊 5面

沖縄市長、司令官に抗議/女性暴行事件

 【沖縄】米軍嘉手納基地内に住む米軍人の息子(21)が沖縄署に強姦致傷の容疑で逮捕された事件で、沖縄市の東門美津子市長は十一日午前、同基地に第一八任務支援群司令官のマックス・カーシュバム大佐を訪ね、「女性として耐えられることではない」などと抗議し、被害女性への謝罪を要求した。

 カーシュバム大佐は「詳細はまだ把握していない」とした上で「被疑者は軍人ではないが米軍の構成員であり、事件の事実関係を確認し、しっかりと対応したい」と話したという。

 面談後、東門市長は「被害者は恐怖を感じただろう。事件は絶対に許されることではない。被害者への謝罪と再発防止の徹底を求めたい」と述べた。

 東門市長は「早めに抗議の意思を示す必要がある」と急きょ、同基地を訪ねた。同日午後には外務省沖縄事務所、沖縄防衛局、在沖米国総領事館にも同様に抗議、要請する予定。

 沖縄署によると、男は今月一日午前、沖縄市内の飲食店で従業員の女性を殴り、性的暴行を加えたという。沖縄署が九日、強姦致傷の疑いで男を逮捕した。男の母親は嘉手納基地に勤務する大尉。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710111700_05.html

 

2007年10月12日(金) 朝刊 1面

文科相、撤回拒否を明言/記述修正は示唆

 【東京】沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題で、沖縄側から検定意見の撤回要求が出ていることについて、渡海紀三朗文部科学相は「検定意見そのものを撤回することにならないのではないか」と述べ、撤回には応じない考えを初めて明言した。十一日午後の衆院予算委員会で赤嶺政賢氏(共産)の質問に答えた。

 文部科学省の金森越哉初等中等教育局長は、検定意見を決めた教科用図書検定調査審議会のメンバーに沖縄戦の専門家がいたのか問われたのに対し、「沖縄戦を専門に研究している委員はいなかったと承知している。(沖縄戦の記述に)委員から特段の異論はなかった」と述べ、文科省の調査官が提出した意見が、そのまま審議会で了承されたことを認めた。

 一方で、金森局長は「審議会委員は古代から現代までの各分野でバランスよく構成され、学術的・専門的な審議が行われた。政治的・行政的意図が入り込む余地はない」との認識を示した。

 また、調査官が審議会に提出する意見書をまとめる前に、専門家の意見を聞く手続きを踏んだかただされたのに対し、金森局長は「意見は出されていない」と回答。

 赤嶺氏は「学術的・専門的と言いながら、県民の検証には耐えられない意見が撤回されないのはおかしい」と批判した。

 渡海文科相は、教科書会社から訂正申請があった場合の対応について「ルールにのっとり、私が再度承認することが可能だが、その際に政治的介入を許さない意味でも再度、審議会に審議していただく」と述べ、審議会の議論で記述修正がされる可能性をあらためて示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710121300_02.html

 

2007年10月12日(金) 朝刊 27面

「絶対に撤回させる」/「自決」体験者怒り

 「要請行動で絶対に撤回させる」「大臣の資質に欠ける」―。検定意見撤回を求める県民の要請に対し、かたくなな姿勢を崩さずに国会答弁をした渡海紀三朗文部科学大臣に対し、十五、十六の両日に上京して検定意見撤回を訴える県民大会実行委員会の関係者や「集団自決(強制集団死)」の研究者や体験者からは怒りの声が上がった。

 県民大会実行委副委員長の玉寄哲永県子ども会育成連絡協議会長は「審議委員をひな壇のお飾りにした上で審議をせずに教科書調査官の検定意見を通していながら、撤回に応じないのは絶対に許せない」と憤る。「国会の場でもうそを突き通すなら誰が文科相でも変わらない。政府の大うそ、不正を撤回まで追及したい」と要請行動に向け、決意を新たにした。

 同じく副委員長の小渡ハル子県婦人連合会長(78)は、「ばかにするにもほどがある。どうしても納得がいかない」と語気を強めた。小渡会長自身は、新潟県で行われる全国地域婦人団体研究大会に出席し、教科書問題で検定意見撤回を求める決議を提起するため要請行動には参加できない。「全国の会員三百五十万人の総意として決議し、総理や大臣に声を届けるようにする。全国に支援を広げていくことも必要」と多方面から声を上げることの重要性を指摘した。

 座間味島での「集団自決」の体験者、宮城恒彦さん(73)は「ただ『撤回できない』と言われても、納得できる県民は誰もいない。過ちを直すだけなのに、なぜ素直に、元通りにできないのか」と反発。「沖縄を見下しているような、差別的なものを感じる。沖縄戦の専門家を審議員に入れるという話も、沖縄だけの問題に封じ込めようとしているようだ」と怒りをあらわにした。「教科書が元通りになるまで、徹底して戦うしかない」と力強く話した。

 「政治介入はできない」とする渡海文科相の姿勢に対し「沖縄戦の歴史歪曲を許さず、沖縄から平和教育をすすめる会」事務局長の山口剛史琉球大准教授は「歴史の事実判断が間違っているのを指摘することがなぜ政治介入にあたるのか」と批判。「行政の長、監督責任者として審議会の運用の間違いを正すことがまったく理解できないのは資質がない証拠だ」と分析した。


仲里県議長が依頼文を送付

44都道府県議会へ


 高校歴史教科書の沖縄戦「集団自決(強制集団死)」をめぐる日本軍強制の記述が削除された問題で、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員長の仲里利信県議会議長は十一日までに、四十四都道府県議長に対し、政府に検定意見撤回と記述回復を求める意見書可決を求める依頼文を送付した。

 送付先は八日までに意見書を可決した奈良県、京都府を除いた。


「沖縄条項」新設 実行委が要望へ


 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委員会が十一日、県議会で開かれ、十五、十六日の要請行動で、面会を求めている福田康夫首相や渡海紀三朗文部科学相、町村信孝官房長官への要望書を確認した。検定意見撤回と記述回復、審議会の再審議、沖縄戦研究家の参加に加え、沖縄戦に関する記述に配慮する「沖縄条項」の新設などを求める。十一日までに百二十一人が東京での要請行動への参加を決めている。(一部地域既報)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710121300_03.html

 

琉球新報 社説

文科省の介入 検定のやり直しが必要だ

 「やっぱり」というのが、県民の率直な感想だろう。そして「ずさん」な検定に、怒りを感じたであろう。高校歴史教科書検定で、沖縄戦における「集団自決」(強制集団死)の日本軍強制の記述の削除・修正に、文部科学省の教科書調査官が深く介入していた。

 これまで政府は教科用図書検定調査審議会が「文科省の役人も安倍首相も容喙(ようかい)(口出し、干渉)できない仕組みで教科書の検定は行われている」(伊吹文明文科相=当時、現・自民党幹事長)として、審議会の中立性を強調し、「政治不介入」を根拠に県民が求める「検定意見の撤回」を拒んできた。

 しかし、審議会の委員は、文科省の教科書調査官の意見が事実上、集団自決への軍強制記述削除を決めたと証言した。

 杜撰(ずさん)とは「著作で典拠などが不確かで、いいかげんなこと。物事の仕方がぞんざいで、手落ちが多いこと」(広辞苑)を指す言葉だ。

 教育行政トップの大臣発言が、簡単に覆る。事実をよく知らず、その場しのぎで、いいかげんに発言したのであろうか。伊吹発言は、まさに「杜撰な発言」の典型であろう。

 審議会に「沖縄戦の専門家がいない」との証言にも驚いた。「沖縄戦の専門家がいれば(検定結果は)だいぶ違っただろう」という。軍強制の史実の削除は、専門家不在で決定された。これは検定制度の「杜撰さ」を露呈するものだ。

 「審議会は専門的、学術的立場から中立公平に審議するものだ」と渡海紀三朗文科相は10日の衆院予算委員会で答弁している。

 しかし、専門家不在の中で、文科省の調査官が仕切り、意見を左右する。しかも、審議委員が「集団自決をめぐる学術的な大きな変化があったとは思えない」と学術的に「違和感」を感じる中で、「軍強制」記述が削除された。

 専門的、学術的立場、中立公平の審議は、望むべくもない現実がそこにある。渡海答弁も、現状を無視した「杜撰な答弁」と言わざるを得ない。

 検定意見撤回を求めて集まった11万人超の県民の怒りに、文科省は検定過程に沖縄戦研究者を専門委員の立場で参加させる方向で検討を始めるという。専門家不在の「杜撰な審議」への反省と対応だ。

 検定やり直しは当然だが、審議委員が「審議会を全くの第3者機関にすることは難しい」と疑問視する「中立公平さ」の確保、研究成果の反映など「学術的」不備への対応など克服すべき課題は多い。

 これまでの杜撰な検定制度を徹底的にあらため、史実に忠実で正確な教科書作りに向け、真に中立公正で専門性の高い教科書作りの制度の創設を求めたい。

(10/12 9:50)

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-28013-storytopic-11.html

 

2007年10月12日(金) 夕刊 1面

知事、撤回拒否に不満 文科相発言

 仲井真弘多知事は十二日午前の定例記者会見で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題について、渡海紀三朗文部科学大臣が検定意見の撤回を拒否し、元通りに記述回復することは難しいとの認識を示していることについて、「大勢の方が集まった県民大会の流れからすると、(表現は)狭いかなという感じがする」と不満感を表明し、県民の納得の得られる記述回復が必要との認識を示した。

 県民大会実行委員会などが十五、十六の両日に予定している東京での要請行動には、公務を理由に同行できないことを明らかにした。

 教科書検定に関する「沖縄条項」の新設については「検定審議会なり専門家の皆さんの中できちっと議論していただくべきものじゃないかという気がする」との見解にとどめた。

 上京中の九日に、米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価(アセスメント)方法書に対する知事意見に応じる意向を記者団に表明したことについて仲井真知事は「仮定の議論として協議が整わない時にどうするのかと聞かれたら、知事意見というのは(提出の機会が)三回ある。その時に言いますよということは言ったかもしれない」と釈明。現段階で決定はしていないとの認識を示した。

 仲井真知事は「(政府に)事前に地元の意見をよく聞いて理解を得て進めてもらいたいと言っている。今もその事前の協議の最中と思っている」と強調。

 その上で、知事意見を提出しない選択肢があるのかについては「論理的には有り得ないことではない」とする一方、「意見がないと反対ではないと扱われるという解釈もあり、そうはいかない。(アセス後に)埋め立て(申請を)を受ける、受けないの中で、意見を言っていないのもおかしい」と指摘。知事意見の提出期限をにらみながら、政府に「沖合移動」や「普天間飛行場の三年をめどにした閉鎖状態」への対応を求めていく考えを示した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710121700_01.html

 

2007年10月12日(金) 夕刊 1面

教科書検定 2社、訂正申請決定

 【東京】渡海紀三朗文部科学相は十二日午前の閣議後会見で、沖縄戦「集団自決(強制集団死)」への日本軍の強制を削除した教科書検定問題について、十一日までに複数の教科書会社から訂正申請の手続きに関する照会が文科省にあり、二社が申請を正式決定したと把握していることを明らかにした。

 こうした動きを受け、文科省は教科用図書検定調査審議会の開催に向けた準備作業を本格化している。渡海文科相は再審議で沖縄戦の専門家を加えることに「どういう人がいるか作業はしている」と述べ、人選に着手していることを説明した。

 また、訂正申請手続きは、教科用図書検定規則十三条一項(誤記、誤植、誤った事実の記載)か、二項(学習を進める上に支障となる記載)に基づいて審議会を開き、判断することを明言した。

 十三条は「検定済み図書の訂正」に関する規定を示しており、文科省が検定意見の撤回や検定規則の見直しをせず、従来の手続きに沿って訂正申請に対応する方針があらためて裏付けられた。

 十五、十六日に県民大会実行委員会などが東京で要請行動し、渡海文科相との面談を要望していることには「(十五、十六日は国会の委員会に)一日中張り付くので、あまりに日が悪いというのが正直な実感だ」と述べ、困難視した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710121700_02.html

 

2007年10月12日(金) 夕刊 7面

平和訴え 講演行脚/北中城村出身・崎浜さん

 【奈良】平和教育の一環として奈良県内の小中高校で「沖縄戦について考える講演会」が定期的に行われている。講師を務めるのは奈良沖縄県人会副会長の崎浜盛喜さん(60)。北中城村出身で奈良教育大学を卒業後、同県に在住、現在は奈良県中小企業連合会奈良事務所の所長を務める傍ら、講演活動を続けている。(関西支社・外間尹敏)

 九日に奈良市内の東大寺学園高校(田中満夫校長)で行われた講演では、二年生二百二十人を前に高校歴史教科書問題を取り上げ、十一万人余が結集した県民大会を報じた沖縄タイムスの紙面を紹介しながら進めた。「沖縄戦では多くの少年少女も動員され犠牲になった」と解説、平和と命の尊さについて語った。

 生徒らは、本土になかなか伝わってこない沖縄の現状に真剣な表情で聞き入っていた。講演後、生徒らは「間違った教育と差別によって捨て石とされた沖縄の人々の悲しみ、怒りが伝わってきた」と感想を述べていた。

 崎浜さんは二十年ほど前から、奈良県内の小中高校で修学旅行の事前学習として「人権」「平和」をテーマに講演を続けており、講演した学校は百校を超えている。

 この日の講演でも、沖縄戦の実相や沖縄の心を伝えると同時に「自分の命を大切に、光り輝く人生にしてほしい」と語った。取り組みを振り返って崎浜さんは「いま、学校ではいじめや自殺など命にかかわる問題に直面している。こうした子供たちに『命どぅ宝』『イチャリバチョーデー』『沖縄の心』を理解してもらい、自らの人生を輝くものにしてほしい」と期待した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710121700_03.html

 

2007年10月13日(土) 朝刊 1面

全6社、訂正申請検討

検定意見付かずも

 文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から、日本軍強制の記述が削除された問題で、検定意見が付かなかった第一学習社も文科省に記述訂正の申請を検討していることが十二日、分かった。二〇〇六年度検定を受けた六社すべてが訂正申請を検討していることになる。同社の教科書は、県内の十八校で〇八年度から使用される予定。

 第一学習社の「高校日本史A」では「沖縄戦では、一般住民を含む県民十二万人が犠牲となった(「沖縄県援護課資料」)。この中には、集団自決のほか、スパイ容疑や、作戦の妨げになるなどの理由で日本軍によって殺された人もいた」と記述されている。検定意見は付かず、申請通りの記述が認められている。

 訂正申請はこれまで東京書籍と実教出版が訂正申請をすることを決めている。山川出版、三省堂、清水書院は十六日に県民大会実行委員会の要請行動を受け、申請に向けた検討を進める方針を示している。

 しかし、渡海紀三朗文部科学相は「沖縄戦の実態について誤解する恐れのある表現である」とする検定意見の撤回を否定。さらに記述を「元通りにするのは難しい」と発言していることから、各社の記述がどの程度認められるかは不透明な状況だ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710131300_01.html

 

2007年10月13日(土) 朝刊 31面

子どもの訴え手紙で/国あて送付へ

 子どもたちの声を届けよう―。沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」から日本軍強制の記述を削除した高校歴史教科書の検定問題で、県子ども会育成連絡協議会(沖子連)は十二日、福田康夫首相や渡海紀三朗文科相、町村信孝官房長官に対し「検定意見を撤回して」「真実を知りたい」などの中高校生の訴えをつづったはがきを送る運動を展開することを決めた。

 実際に教科書を使用する子どもたちの思いを政府に届けるのが狙いで、「文科相、総理大臣、官房長官あてにはがき、手紙を送ろう運動」と銘打ち、沖子連に加盟する二十七市町村の子ども会で活動する千人余りの中高校生のジュニアリーダーに呼び掛ける。十五日付で依頼文を送付する。

 南風原町や那覇市などのジュニアリーダーは九月二十九日の県民大会で糸満市摩文仁から平和への思いをつなぐ「平和の火リレー」にも参加した。

 「教科書検定意見撤回を求める県民大会」実行委副委員長を務める玉寄哲永沖子連会長は「六十二年前に起きた事実を改ざんする政府や文科省は許せない。実際に教科書を使う子どもたちの怒りの声を届けたい」と話した。

 同様の取り組みは、一九九五年の米兵暴行事件の時にも実施したという。


「行動やめぬ」意欲増す生徒


 【名護】高校生の立場から、沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する教科書問題について考えようと十二日、名護市の北部農林高校で「教科書検定意見撤回を求める県民大会」の参加報告会が開かれた。

 生徒らは一人一人が、真実を学び続け伝えていくことの大切さを確認するとともに、検定意見の撤回を求め、「真実を守り伝えていくために、真実を見つめる確かな目と真実を受け止める心を持ち、考え発言し行動します」とする宣言文を採択した。

 同校では、生徒会の呼び掛けで数十人の生徒が県民大会に参加。自主的な取り組みを次につなげようと、同校教諭と生徒たちの有志が企画。県民大会前後までの県内二紙や全国紙を展示し、参加報告会も開いた。会には、校内外から約六十人が参加した。

 家族で県民大会に参加したという桑江祥香さん(三年)は「私は祖母らから戦争体験を聞くことができるが、子や孫の時代には体験者がいなくなる。このままでは、真実が伝えられなくなってしまう」として、検定意見撤回が必要だと訴えた。

 大会当日は、高知県に滞在していたという北山高校の崎原裕子さん(三年)と山城志帆さん(同)は「本土のニュースでは、県民大会についてほとんど触れられていなかった。県内と本土の温度差を感じた。沖縄だけでなく、日本全体の問題として考えられるようにしないといけない」と、全国への広がりを期待した。

 生徒会長の島袋奈津子さん(三年)は「教科書は正しいと思って使っているが、後輩たちや子どもたちが真実をねじ曲げられた教科書を使うことに不安を感じる。一人一人が考えることをやめずに学んでいくことが必要だ。この問題で高校生も沖縄戦などに関心を持つようになったが、関心の薄い生徒にも伝えていくことが大事だと思う」と話した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200710131300_02.html