沖縄タイムス 関連記事(3月28日 2)

2007年3月28日(水) 朝刊 1・3面
普天間代替/国、県に海域調査申請
 米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設で、那覇防衛施設局は二十七日、海域での現況調査に必要な「公共用財産使用協議書」を県へ提出し、同意申請した。調査範囲は名護市の嘉陽から久志にかけての海域。使用目的は「海域での海洋生物及び海象調査のため」としている。使用期間は県との協議成立の日から来年十月末まで。県の同意が得られれば、施設局は四月にもサンゴの産卵調査の準備に乗り出すとみられる。
 仲井真弘多知事は同日コメントを発表し、「サンゴの調査を中心とした現況調査は事業者の判断で実施されるもので、環境影響評価に基づく調査ではないとの認識」と強調。「名護市辺野古沿岸域の広い範囲で調査されるもので、(南西沖合への移動を求める)名護市の考えにも対応できる」と評価した上で、使用協議への対応については「関係法令との整合性、利害関係者との調整状況などを勘案の上、適切に判断したい」とし、同意手続きに応じる意向を示した。
 一方、佐藤勉施設局長は使用協議書について「現況調査を実施するに当たり、海底に調査機材を置くことから必要となる手続き」とのコメントにとどめた。環境影響評価(アセスメント)の前段となる事前調査として実施するかについては明言を避けた。
 施設局はアセス手続きの進展や代替施設本体の建設を見据えた業務発注を進めており、県に環境影響評価方法書を送付し、アセスに移行できる態勢も整えている。
 普天間飛行場の移設にかかる県への公共用財産使用手続きは、歴代の稲嶺、大田県政でもボーリング地質調査などに伴い同意申請が出された。一九九七年の大田県政時は申請から同意まで約一カ月半。稲嶺県政では二〇〇三年十一月に申請、同意まで約五カ月かかった。
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[解説]
知事アセス容認へ外堀
 那覇防衛施設局は米軍普天間飛行場の代替施設建設に伴う海域での現況調査に着手するため、公共用財産使用協議書を県に提出した。県は環境影響評価(アセスメント)の前段となる「事前調査」に向けた手続きととらえ、同意申請に応じる意向だ。ただ、調査の範囲や内容はアセスと同一とみられる上、事前調査の結果をアセスに反映させることも可能なため「事実上のアセス容認」との見方は否めない。仲井真弘多知事の「移設容認」に向け、着々と「外堀」が埋められているのが現状だ。
 県は「移設協議の入り口」としてきた「三年内の普天間の閉鎖状態確保」などの要求に、国から前向きな回答が得られない中、調査にゴーサインを出す形となる。一方、国は県などが求める「アセス前の滑走路の位置修正」に応じない姿勢で、調査着手に地元のお墨付きを得ることになる。
 事前調査について県は当初「次の段階の環境アセスにつながるもので、V字形案などについて地元の意向も踏まえて協議した後にやるべき」(花城順孝知事公室長)と主張していた。それでも同意申請を受け入れざるを得なかったのは「早期移設が普天間飛行場の最大の危険性除去」との仲井真県政の基本認識があるからだ。
 県や名護市が求める滑走路の位置修正はあくまで「日米合意の範囲内」。県は南西沖合への移動を求める名護市案を支持し、V字形滑走路をキャンプ・シュワブ沿岸部付近に建設することは是認している。調査範囲が辺野古沖を埋め立てる従来計画と同エリアまで拡張され、滑走路の位置も明示されない調査を県が退ける論拠はなく、いたずらに事業進ちょくを遅らせれば自己矛盾に陥る。
 一方、施設局は今回の使用協議書の同意申請が事前調査のためか、アセスに向けたものかを公式には明言していない。県との「不協和音」を最小限に抑えつつ、必要な手続きを進めた上で、アセスに基づく調査への切り替えを模索する意向もうかがえる。
 なし崩し的に移設作業が進めば、政府に「移設までの普天間の閉鎖状態」を求める必然性も問われかねない。県は政府とのこう着状況を打開し、有効な普天間の危険性除去策を引き出すことが急務だ。(政経部・渡辺豪)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703281300_03.html

2007年3月28日(水) 朝刊 2面
嘉手納以南返還/計画作成4月以降に
 【東京】久間章生防衛相は二十七日の衆院安全保障委員会で、日米両政府が三月末までの作成を目指す嘉手納以南の米軍基地返還の実施計画(マスタープラン)について「三月末と言ったが、それができない」と述べ、四月以降にずれ込むことを公式に認めた。赤嶺政賢氏(共産)への答弁。
 久間防衛相は日程の遅れについて、「わが国から米国に対し(三月末までに)と言っているが、『まだ少し時間がほしい』と米側が言っている」と述べた。
 政府関係者によると、在沖米海兵隊八千人のグアム移転計画の詳細が決まらず、日米の協議は遅れているという。政府は、四月に予定される日米の外務・防衛閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)までに一定の形でまとめたい考えだ。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200703281300_07.html

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