米軍横田基地での有害物質漏れ7年で90件なのに 地元連絡1件のみ

米軍横田基地での有害物質漏れ7年で90件なのに 地元連絡1件のみ
http://www.asahi.com/national/update/0324/TKY200703240204.html

横田基地、有害物質漏れ7年で90件 地元連絡1件のみ
2007年03月24日16時39分
 米軍横田基地(東京都)やその関連施設で99?06年の7年間に、ジェット燃料など米国内で規制対象になっている有害物質の流出事故が計90件起き、総量は最大で約10万5000リットルに達していることが分かった。このうち地元自治体に事故の発生が伝えられたのは1件だけ。日米合同委員会の合意で米軍側に通報義務があるが、通報は判断権限も米軍側にあり、自治体のチェック機能が働かないのが実情だ。
 米国の情報公開法に基づいて開示された資料から判明した。資料は一橋大大学院生、林公則さん(28)らが入手した。
 公表されたのは99年9月発生の事故から06年5月発生の事故まで。米軍側の流出量などによる区分で分類すると、流出量が1万ガロン(1ガロンは約3.78リットル)以上で、危険度が「公衆の健康や安全に深刻な脅威を与える」とされる「カテゴリー1」の事故は1件。所沢通信施設(埼玉県所沢市)で04年8月に発生、2万900ガロンの軽油が流出した。
 1000?1万ガロンで「公衆の健康や安全に脅威を与える」危険度の「同2」は2件。05年7月に基地内でジェット燃料2400ガロンが流出するなどした。
 残りは100?1000ガロンの流出で「被害も危険も及ぼさない」「同3」が6件、100ガロン未満の「同4」が75件、流出量不明が6件だった。
 米太平洋空軍は「同1?3」の事故は報告書を作成するよう各基地に指示しており、公開されたうち計10件は詳細な報告書が作られていた。
 一方で、地元自治体が把握しているのは、所沢で起きた「同1」の1件だけ。「同2」以下の事故については、地元への情報提供はない。
 外務省によると、日本側への情報提供の手続きは97年3月の日米合同委員会で合意。「公共の安全、環境に影響を及ぼすおそれのある事件・事故が発生した場合、直ちに日本側に通報すべきだ」とし、「危険物、有害物または放射性物質の誤使用、流出で実質的な汚染が生じる可能性」や「墜落などの航空機事故」9項目を列挙。米軍側は外務省に連絡するとともに、各地の防衛施設局を通じて地元自治体へ情報提供する仕組みだ。
 ところが、通報基準となる「公共の安全、環境に影響を及ぼすおそれ」があるか否かの判断は、米軍側に任されているのが現状だ。外務省も「当該事件・事故について、米側からしかるべく通報が行われるものと考えている」とするにとどまっており、燃料漏れ事故について「米軍側からの報告を取りまとめた資料はない」という。
 東京防衛施設局によると、資料が残る03?06年で、基地側からの通報件数は計18件。うち燃料漏れに関するものは所沢通信施設での1件という。残りは、部品落下などの航空機事故や米兵らの犯罪に関するものなどで、燃料漏れについてはほとんど知らされていない。
 資料を分析した林さんは「日米地位協定によって、米軍側には米国内基地で汚染除去のために定められた手続きも適用されないうえ、原状回復義務もない。基地汚染の全体像が把握できるよう、日本側の基地への立ち入り調査権の確立も必要だ」と指摘している。
 米軍横田基地は東京都西部の5市1町に広がり、都は「軍民共用化」を求めている。

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