沖縄タイムス・琉球新報 関連記事、社説(4月27日、28日)

沖縄タイムス 社説(2007年4月27日朝刊)

[集団的自衛権]

なぜ自衛隊を戦わすのか
 政府は、憲法解釈で禁じている集団的自衛権の行使を一部容認するため、解釈変更に向けた有識者会議を設置した。

 安倍晋三首相の意向を受けたもので、集団的自衛権を認めて有事の際、日本が米軍に協力できるようにするのが目的である。

 集団的自衛権は、国連憲章がどの国にも認めた権利だが、日本国憲法(第九条)は国際紛争解決の手段としての「武力による威嚇、または武力の行使」を禁じている。

 このため、政府はこれまで集団的自衛権は認められないとの立場をとってきた。

 だが、米国は朝鮮半島、台湾海峡などでの米軍の作戦に自衛隊を参加させるため、集団的自衛権の行使に関する規制(憲法九条)を取り払わせたい考えだ。

 米軍再編中間報告には、自衛隊は米軍に「追加的かつ補完的な能力を提供する」と明記されている。つまり、自衛隊に海外で「武器使用」や「反撃」ができるようになれば、「米軍と自衛隊の軍事一体化」が実現するからだ。

 安倍首相は「日米同盟は日本外交、安全保障の基軸だ」として米国の要求に応える姿勢だが、果たして憲法九条を改定せずに、解釈の変更だけで集団的自衛権の行使がどこまで許されるのか。

 その延長線上にあるのは、結局「改憲」を意図した行為、と言わざるを得ない。

 政府が目指しているのは(1)日本のミサイル防衛(MD)システムで米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(2)公海上で自衛隊艦船と並走する艦船が攻撃された場合の反撃(3)共通の目的で活動する多国籍軍への後方支援(4)国連平和維持活動(PKO)などで、ともに活動する他国軍への攻撃に反撃するための武器使用―の四つの実現だ。

 塩崎恭久官房長官は「国民の生命、身体、財産を守るために日米同盟が効果的に機能することがこれまでにも増して重要だ」と指摘している。

 だが、四つの目標はいずれも第一義的に米軍や多国籍軍を支援するのが目的であり、必ずしも「国民を守る」ためではない。

 自衛隊の活動は、元来「純粋に自衛のための行動(個別的自衛権)」であり、この個別的自衛権を拡大解釈して迎撃や反撃を可能ならしめることも予想されよう。

 日米安保条約は、米国が日本を防衛する代償として、日本は米軍への「基地提供」義務を負っている。

 その上なぜ、自衛隊を海外で「戦わす」のか。大いに議論が必要だ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070427.html#no_1

沖縄タイムス 2007年4月27日(金) 夕刊 1面
F22、初の共同訓練/空自と模擬空中戦
 嘉手納基地に暫定配備中の米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターが参加する初の日米共同訓練が二十七日午前、沖縄周辺空域で始まった。沖縄の南西航空混成団のF4戦闘機などの航空自衛隊機とF22などの米軍機が模擬空中戦を展開した。一方、同基地では正午前後に相次いでF22とF15の各一機が緊急着陸。同基地報道部によると、二機ともに共同訓練の参加機ではないという。緊急着陸の原因などは明らかにしていない。

 午前十一時四十五分ごろ、F22一機が着陸後に滑走路端で停止。消防車両や緊急車両約十台が取り囲み、約十五分後に駐機場へけん引された。消防車両からの放水はなかったが、一時緊迫した雰囲気に包まれた。

 午後零時二十分ごろにはF15一機が同基地に緊急着陸した。同基地報道部は「機体や基地施設、周辺地域に影響はなかった」と説明している。

 在日米軍トップのブルース・ライト司令官は今後の朝鮮半島情勢次第ではF22の嘉手納基地への再配備の可能性を指摘しており、地元からは基地機能強化と相次ぐトラブルへの反発も出ている。

 共同訓練は嘉手納基地で同日午前八時半ごろ、米軍機のF22やF15が相次いで離陸。那覇基地からは空自のF4やF15が次々に飛び立った。訓練は午前と午後の二回行われる。

 日米共同訓練は二十六、二十七日の二日間。二十六日は那覇基地内で日米のパイロットらが訓練内容を確認、米側からF22の特性についても説明を受けた。

 空自は南西航空混成団のF4戦闘機四機のほか、小松基地(石川県)の第六航空団のF15戦闘機四機、浜松基地(静岡県)の早期警戒管制機一機が参加。

 米軍は嘉手納基地に展開中の米ラングレー基地所属の第二七遠征戦闘飛行隊のF22戦闘機二機のほか、嘉手納基地の第一八航空団のF15戦闘機二機、早期警戒管制機が参加した。午前の訓練を終えた第六航空団の芳賀和典飛行隊長は「F22は機動性がいいと感じた」と感想を話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704271700_01.html

沖縄タイムス 2007年4月27日(金) 夕刊 1面
V字滑走路 沖合移動言及せず/日米協議で防衛省方針
 【東京】防衛省は二十七日午前までに、ワシントンで三十日と五月一日に開かれる日米防衛相会談や日米安全保障協議委員会(2プラス2)の席で、県や名護市が求めている米軍普天間飛行場代替施設のV字形滑走路の沖合移動について言及しない方針を固めた。政府案を基本に取り組む従来の方針を確認するにとどめるとみられる。

 防衛省首脳は同日午前、「こちらからは(米側に)言わない。(沖合移動の)決定権者は知事だ。こちら(国)にお願いするものでもない」と述べ、V字形滑走路の沖合移動は、環境影響評価(アセスメント)の知事意見で対応するしかないとの考えを強調。沖合移動はあくまで地元が決定する問題で、日米協議のテーマにはならないとの見方を示した。その上で県のアセス受け入れについては「理解してもらえると思う。(沖合に移動するかどうかは)知事がはんこを押して決まる」と述べ、沖合移動を実現するためには県がアセスを受け入れざるを得ないとの認識も示した。

 ただ、アセスをめぐって県は「公共用財産使用協議書」に同意し、事前調査については黙認しているものの、政府案を前提としたアセス手続きについては拒否しており、先行きは不透明だ。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704271700_02.html

沖縄タイムス 2007年4月28日(土) 朝刊 1面
移設難航負担なお 米軍再編合意1年
 「沖縄の負担軽減」をテーマの一つに据えた米軍再編最終報告の日米合意から間もなく一年を迎える。満一年となる五月一日には、日米両政府の外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が開催され、「再編の着実な実施」を確認する見通しだ。だが、懸案の米軍普天間飛行場移設問題は、V字形滑走路の詳細な位置をめぐって県、名護市と政府の調整が難航。移設協議会は一月の第三回会合以降、開催のめどが立たない状況が続いている。

 一方で普天間移設に向けた作業は着々と進む。那覇防衛施設局は県の同意を得て海域調査に着手。環境影響評価(アセスメント)手続きに入るタイミングを模索している。

 また、在沖海兵隊のグアム移転に伴う嘉手納基地以南の六基地返還に向けた詳細計画は、再編合意で示された「三月」を過ぎてもまとまらず、地元説明が遅れている。

 最終報告に盛り込まれた嘉手納基地のF15の一部訓練の本土移転は三月からスタートしたが、周辺住民の負担軽減の実感は乏しい。同基地には最終報告に基づき、昨年十月に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が配備された。米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22も暫定配備され、基地機能強化が際立っている。

 国会では、再編に協力した度合いに応じて交付金を支払うことを柱とした米軍再編推進法案の審議が最終局面に入る。「出来高払い」で基地の再編を進める手法は、安全保障政策に対する国の意識の転換を印象付ける。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704281300_01.html

沖縄タイムス 2007年4月28日(土) 朝刊 2面
F22共同訓練「同盟構築の好機」/米司令官強調
 【嘉手納】米軍嘉手納基地に暫定配備中の米空軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターが参加した初の日米共同訓練は二十七日午後も引き続き沖縄周辺空域で行われ、南西航空混成団のF4戦闘機など航空自衛隊機とF22などの米軍機が模擬空中戦を展開した。

 同基地にはF22とF15が同日、相次いで緊急着陸。緊急車両が出動するなど一時緊迫した。同基地によると二機とも共同訓練の参加機ではなく、「機体や基地施設、周辺地域に影響はなかった」と説明している。

 訓練終了後、F22に搭乗した第二七遠征戦闘中隊司令官のウェード・トリバー中佐は嘉手納基地内で会見し「同盟関係を構築するに当たって、とてもいい機会になった」と述べた。その上で「お互いのことを知り、どう戦うかを学ぶことが国益のため必要だ」と訓練の意義を強調した。同機の配備期間中に新たな共同訓練は予定されていないが、「将来(また)できればいい」と意欲を示した。

 共同訓練には米軍のF22二機とF15二機、空自のF4四機とF15四機が参加。空中での攻撃や防御など対戦形式の訓練を実施した。F22が米軍以外と共同で訓練するのは今年二月に米本国でイギリス軍とオーストラリア軍と実施して以来二度目。国外では初めて。

 同中佐によると、F22十二機は今年二月に嘉手納基地配備後、五百八十回以上の飛行訓練を実施。米軍のF15やF18戦闘機、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機と共同で訓練も行った。

 在日米軍トップのブルース・ライト司令官は今後の朝鮮半島情勢次第ではF22の嘉手納基地への再配備の可能性を指摘しており、地元からは基地機能強化と相次ぐトラブルに反発が出ている。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704281300_02.html

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