沖縄タイムス・琉球新報 関連記事、社説(4月26日、27日)

沖縄タイムス 2007年4月26日(木) 夕刊 5面
原告、健康被害訴え/普天間爆音訴訟
 【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟の第十九回口頭弁論が二十六日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)であり、原告住民五人への本人尋問が行われた。原告本人尋問は十二日に続いて二度目。

 宜野湾市議会議員の桃原功さん(48)=同市普天間=は「議会や個人で騒音被害を訴えても、米軍からの反応はない。住民への配慮がなされていない」と指摘した。

 自身がヘリや航空機からの騒音によるストレス性の不整脈と診断されたことや、妻が耳鳴りを感じ、娘がピアノの習い事に集中できないなど家族の被害を証言。「米軍はこれ以上宜野湾市民に被害を与えないでほしい。裁判所も爆音から私たちを守るような判断をしてもらいたい」と求めた。

 前底伸幸さん(37)=同市上原=は「騒音被害のために自分のペースで生活が送れない。なぜ住宅の上で軍事訓練が行われ、市民の人権が守られないのか」と涙ながらに訴えた。

 午後は別の住民三人への本人尋問が行われる。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704261700_04.html

沖縄タイムス 2007年4月27日(金) 朝刊 2面
「可能な限り早期」/「普天間」アセス手続き
防衛施設局長が意向
 那覇防衛施設局の佐藤勉局長は二十六日の定例記者懇談会で、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に向けた環境影響評価(アセスメント)手続きについて、可能な限り早期に方法書を県に提出したい、との考えを示した。

 佐藤局長は「本来なら環境アセスの法律にのっとった手続きで進めたいが、県、名護市との間で政府案の形状はともかく位置については十分合意に達していない」と指摘。その上で「可能な限り早く(アセス手続きに)入れるよう県と調整したい」と述べた。

 県が求めるアセス前の滑走路の位置の移動については「政府案は自然環境や騒音、危険といった生活環境、事業の実行性といった三つの要素を絶妙にバランスよく配置し、なおかつ地元名護市、宜野座村の要望を踏まえた最良の案。それを変えるような合理的理由がなければなかなか修正は困難」と指摘。一方で「アセス手続きを進める中で、仮に必要があれば修正を検討していくことが必要ではないか」とし、アセス着手後の修正には柔軟姿勢をにじませた。

 海域の現況調査については「調査機器が設置されてから現況調査に入る」と述べ、調査機器設置後にデータ収集を開始した時点で調査着手との見解を表明。調査機器の設置完了時期については「六月初旬ごろのサンゴの産卵時期までにサンゴ着床具を設置しなければならない」との見解にとどめた。

 また、潜水作業に着手する前日の二十三日付で、県警と第十一管区海上保安本部に警備要請していたことを明らかにした。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704271300_04.html

沖縄タイムス 2007年4月27日(金) 朝刊 27面
目視確認は終了/辺野古調査
GW明けに作業再開
 【名護】米軍普天間飛行場の代替施設建設計画で、那覇防衛施設局は二十六日午後も現況調査(事前調査)に向けた名護市辺野古海域周辺での確認作業を継続。作業の進ちょく状況などから、同日までにダイバーの目視と写真撮影による調査ポイントの確認作業は終了したとみられる。収集資料の分析後、ゴールデンウイーク明けに、作業を再開する見通し。

 反対派は船とボート、カヌーの計十一隻で阻止行動を行い、けん制する第十一管区海上保安本部の船舶との間で、緊迫した状況が続いた。

 ダイバーが目視や写真撮影などによる現場確認をしたのに対し、反対派メンバーも潜り作業を監視した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200704271300_05.html

沖縄タイムス 社説(2007年4月27日朝刊)

[F22A再配備]

負担増では反発が高まる
 在日米軍トップのライト司令官(空軍中将)は、嘉手納基地から来月までに離れる予定の米軍の最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターについて、今後の朝鮮半島情勢次第では再配備の可能性が十分あるとの認識を示した。

 司令官は北朝鮮の弾道ミサイル再発射に備え、警戒態勢を堅持する姿勢を強調してきた。今回、核問題の展開次第ではF22A再配備による抑止力強化に踏み切る意向を明確にした。

 F22A十二機が暫定配備されたのは二月。米空軍は「太平洋地域への定期的ローテーション配備の一環」と説明し、外務省は「東アジア地域の抑止力低下を補うため」と説明していた。

 地元の嘉手納町などでは、当初からなし崩しの常駐化を懸念する声が上がっていた。F22Aが緊急着陸する事態も生じており、周辺住民が不安をかき立てられるのは当然である。

 航空自衛隊那覇基地所属の戦闘機の嘉手納基地共同使用が日米間で合意されている。嘉手納基地のF15の一部訓練の本土移転が始まったが、目に見える負担軽減にはつながっていない。

 朝鮮半島危機に連動して、嘉手納基地には地対空誘導弾パトリオット(PAC3)も配備された。

 F22Aの暫定配備にとどまらず、米空軍はF16戦闘機の後継機となる次世代戦闘攻撃機F35Aを海外では唯一、嘉手納基地に配備することを検討していることを明らかにしている。

 米軍再編による米軍と自衛隊の一体化が今後さらに進み、嘉手納基地については、負担の軽減どころか、ますます重くなるだけではないのか。

 周辺自治体の首長らで構成する嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会はF22A配備に反対を表明した。「爆音被害は増大こそすれ、減少しない。これ以上の負担増は限界だ」と、嘉手納町議会は配備中止を求める抗議決議を全会一致で可決している。

 政府は住民の悲鳴を真摯に受け止めるべきだ。抑止力の強化というのなら負担軽減も同時に実現していかなければ住民の反発は高まるばかりだ。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070427.html#no_2

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