沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月23日夕刊)

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 1面
参院で可決 米軍再編法が成立
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法」が二十三日午前の参院本会議で、自民、公明の与党などの賛成多数で可決、成立した。同法では防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)環境影響評価(アセスメント)着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みする仕組みを明記。二〇一七年三月末までの時限立法だが、再編の実施が遅れる場合は交付期間を最大五年間延長する。
 反対討論で喜納昌吉氏(民主)は交付金制度の在り方について「政令委任が多く、このままでは国会の関与なくして金を出す権限を政府に与えてしまうことになり、透明性を欠き、極めて不適切」と批判した。
 投票総数は二百で賛成が百十二、反対が八十八だった。県関係議員四人は、西銘順志郎氏(自民)が欠席、島尻安伊子氏(無所属)が賛成、喜納氏、大田昌秀氏(社民)がそれぞれ反対した。
 米軍再編推進法の成立後、久間章生防衛相は二十三日午前、在日米軍再編に協力する自治体に支給する再編交付金について、米軍普天間飛行場の移設先である名護市は支給対象になるとの考えを示した。国会内で記者団に答えた。
 名護市は現行のV字形滑走路案を沖合にずらすよう修正を求めているため、防衛省内には対象自治体に該当しないとの意見があるが、久間氏は「名護市は(基本的に政府案を)受け入れている」と述べた。
 政府は同法に基づき、〇六年五月に米国と合意した米軍再編最終報告の具体化に向けて調整を本格化。再編計画を受け入れる自治体だけを対象にし、事業が進んでいれば、交付金を上積み、滞れば凍結する「出来高払い方式」に、野党側からは「アメとムチで基地負担を迫る手法は問題」などと批判が集中している。
 また、特に負担の大きな市町村を「再編関連振興特別地域」に指定して公共工事の補助率に特例を設け、沖縄の場合は、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法の適用も盛り込んでいる。そのほか、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例も設定している。
知事「地元配慮を」
 米軍再編推進法が参院本会議で可決、成立したことを受け、仲井真弘多知事は二十三日午前、「同法に基づき、再編交付金などの特別措置や在沖米海兵隊のグアムへの移転が確実に実施され、基地負担の軽減が図られることを期待している」とのコメントを発表した。
 再編交付金の交付に向けては「政令で定めることとなっているが、今後、地元自治体の意向を十分踏まえて対応していただきたい」と要望。その上で「在日米軍再編に当たっては、地元の理解と協力が不可欠。普天間飛行場の移設問題をはじめ、地元の意向に配慮して進めることが円滑な実施につながる」と強調した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_01.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 5面
「アメとムチ」鮮明/米軍再編法成立
基地所在住民当惑「支給当然」賛成も
 米軍再編への協力の度合いに応じて地方自治体に交付金を支給する「アメとムチ」を鮮明にした米軍再編推進法が二十三日、参院本会議で可決、成立した。「市民をばかにしている」「支給は当然」。普天間飛行場代替施設建設予定地の名護市では、怒りと歓迎の声が上がった。
 「ヘリ基地いらない二見以北十区の会」共同代表の浦島悦子さん(59)は「足元を見る卑劣な法律。どこまでばかにすれば気が済むの」と憤った。一九九七年の名護市民投票以後、同十区には市から毎年六千万円が交付されている。「部落の共同作業に参加すると、前はお茶を飲んで解散だったのが、弁当は出るわ、ビールは出るわ」
 豊富な金が地域に浸透していくさまを間近で見てきて、「お金にまつわるトラブルもある。一つ一つは小さなことだけど、じわじわとコミュニティーが壊される感じがする」。浦島さんは「もともと毎月の区費だけで運営していた。既得権を失うのが怖いのは分かるが、市民がもう一度きちんと考えて、自立した精神を養うべきだ」と嘆いた。
 辺野古区出身の島袋権勇名護市議会議長は「再編によって基地の負担を受ける地域への交付金の支給は当然のこと。国防のために沖縄が負担を強いられていることを国は認識し、基地が存在する限り生活補償など十分な支給をするべきだ」と、法案を歓迎した。
 普天間基地を抱える宜野湾市。アメとムチを堂々と振りかざす国のやり方に、関係者からは怒りの声が上がった。
 市職員OBで基地政策担当経験のある市議の森田進さん(54)は「基地と振興策はリンクしないといいながら実際はアメとムチを使い分けるのが政府のやり方だ」と怒りをあらわにした。「政府に協力しなかったからといって交付金を支給しないのはおかしい。市には普天間基地が六十二年間横たわる事実があり、政府は跡地計画を含め地元の振興を考えるべきだ」。
 一九九八年に当時の大田昌秀知事が政府の意向に反し普天間移設を正式拒否した。出納長を務めた山内徳信さん(72)は「政府は当時から、米軍基地問題と地方への財政補助をセットにして、県への懐柔、恐喝を繰り返していた」と振り返る。沖縄振興開発事業について交渉する席上でも、政府高官が「米軍基地再編に進捗がなければ、予算交付は認められない」とどう喝してきたといい「その手法はいまでも変わらないのでは」と話す。「基地で地方財政が潤い、自立につながるということはない。住民や首長が毅然とした態度を示すことが大事」と訴えた。
 再編法の交付金は原発交付金がモデルだ。石川県珠洲市で原発に反対してきたルポライターで市議の落合誓子さんは「お金を一度もらうともう駄目」とアメの怖さを指摘。効果的に金を落としてくるので、反対だった人も脱落し賛成に回るようになる様子を原発ができた地域で見てきた。「だけど、できてしまえば、いつまでも金は出ない。本当に豊かになるわけではない」とくぎを刺した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_02.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 夕刊 1面
座間味・渡嘉敷 撤回要求へ/「集団自決」軍関与削除
検定に意見書
 【座間味・渡嘉敷】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍の関与が削除された問題で、座間味村議会(金城英雄議長)と渡嘉敷村議会(島村武議長)は二十二日、それぞれ全員協議会を開き、検定意見の撤回を求める意見書案を本会議に提案することを決めた。
 座間味村は二十九日に臨時会で、渡嘉敷村は定例会初日の六月十四日に提案。
 いずれも全会一致で可決する見通し。
 沖縄戦で日本軍の海上特攻艇の秘密部隊が駐屯し、米軍の最初の上陸地となった慶良間諸島の座間味村では、一九四五年三月二十六日に座間味島、慶留間島などで「集団自決」が起こり、大勢の住民が死亡。渡嘉敷村では同月二十八日、「集団自決」によって三百人以上が犠牲になったとされる。
 「集団自決」をめぐっては、生き残った住民らが日本軍の軍命と誘導を証言している。
 文科省は、検定で「集団自決」に対する日本軍関与を否定した理由の一つに、日本軍元戦隊長の軍命を否定する訴訟証言を挙げている。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231700_03.html

環境相、サンゴ損傷把握せず 島尻氏が初質問
 【東京】若林正俊環境相は22日午後の参院環境委員会で、米軍普天間飛行場移設先の海域で行われた環境現況調査(事前調査)の機器設置に伴いサンゴが損傷したことについて「報告を受けていない。(調査は)防衛施設庁が行うので、事実確認をするよう指示をしている」と述べた。島尻安伊子氏の初質問に対する答弁。
 島尻氏は「代替施設建設に当たっては環境保護とのバランスが大変重要になるので、ぜひ環境大臣の配慮をお願いしたい」と要望した。
 島尻氏は質問後、「サンゴに傷が付けられたという件を環境省が把握していないのは問題だ」と指摘。防衛省に対しては「環境現況調査への海上自衛隊の動員も含め、県民への配慮が足りない」とした上で、事実関係の確認を求めた。
(琉球新報 5/23 16:02)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24007-storytopic-3.html

米軍再編法が成立 仲井真知事「地元配慮を」
 23日午前の参院本会議で米軍再編推進法が賛成多数で可決、成立したことを受けて仲井真弘多知事は同日「再編交付金などの特別措置や在沖米海兵隊のグアムへの移転が確実に実施され、基地負担の軽減が図られることを期待する」とのコメントを発表した。
 コメントでは交付金の交付について「今後地元自治体の意向を十分踏まえて対応していただきたい」と注文した。さらに在日米軍再編の内容実施に対しても言及し「地元の理解と協力が不可欠で、普天間飛行場の移設問題をはじめ、地元の意向に配慮して進めることが円滑な実施につながると考えている」と述べ、普天間飛行場移設をめぐる県や名護市の要望を聞き入れるようあらためて政府の対応を促した。
(琉球新報 5/23 16:03)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-24006-storytopic-3.html

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