沖縄タイムス・琉球新報 関連記事(5月22日夕刊、23日朝刊 その1)

沖縄タイムス 2007年5月22日(火) 夕刊 1面
首相「威圧でない」/海自動員
 【東京】安倍晋三首相は二十二日午前の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場代替施設周辺海域での現況調査(事前調査)で海上自衛隊を動員したことについて「いわば国の資源を有効活用した」と述べ、問題はないとの認識を強調した。また、自衛隊動員に仲井真弘多知事らが不快感を示していることについては「全く威圧ということは考えていない。掃海母艦も安全の作業を進めるためのバックアップとしてその場にいた。県側にも意図や必要性について誠意を持って説明していきたい」と釈明した。緒方靖夫氏(共産)への答弁。
 久間章生防衛相は同日の閣議後会見で、知事の反応について「仲井真知事の持っているいろいろな県民感情。その辺を今後とも参考にして、大事にしていかないといけないなと思っている」と一定の理解を示した。
 しかしその一方で、「(従来案でボーリング調査を実施しようとして反対派に阻止された)前回のことを考えたらどこまでやるか、万全を期して考えないといけない」と述べ正当性を強調した。
 サンゴの産卵状況を調査する着床具の設置が終了したことについては「ダイバーの一人がレギュレーターを抜かれおぼれそうになったが、大したことにならずにほっとしている」と語った。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705221700_03.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 1面
米軍再編法案を可決/参院外防委
きょう本会議で成立/交付金 反対自治体支給せず
 【東京】在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支給することを柱とした「米軍再編推進法案」が二十二日の参院外交防衛委員会で自民、公明の与党などの賛成多数で可決した。二十三日の参院本会議で可決、成立する見通し。久間章生防衛相は同日の質疑で、自治体が再編受け入れを拒んだ場合の対応について、「(再編を)やめてくれという市町村に交付する制度ではない」と述べ、反対自治体に支給しない方針を強調した。
 野党各党は「(住民の)不満と向き合わず、金銭で懐柔する手法は問題の根本的な解決にならない」「銃剣とブルドーザーで強奪して構築された沖縄の米軍基地の歴史に照らし、米軍の撤退費用を負担することは認められない」などと反対した。
 同委員会は法案可決後、交付金支給基準の明確化や日本の経費負担総額の国会報告などを政府に求める付帯決議を採択。久間防衛相は「趣旨を十分に尊重し、努力する」と述べた。自治体への対応については「できる限り説得し、協力してもらうよう努力する。(受け入れ要請を)やめることがあるかと言われれば、ある場合もある」と、含みを残した。
 グアム移転経費が最終確定する時期に関し、来年度予算に調査費を盛り込む方針を示した上で「調査で一年はかかる。設計までは一年半くらいはかかると思う。来年度は無理だろうと思っている」との見通しを示した。それぞれ緒方靖夫(共産)、浅尾慶一郎(民主)両氏への答弁。
 法案は防衛相が関係自治体を「再編関連特定市町村」に指定し、(1)再編(政府案)の受け入れ(2)アセス着手(3)施設着工(4)再編実施―の順の四段階で交付金を上積みする仕組み。特に負担の大きな市町村を指定して公共工事の補助率に特例を設け、沖縄の場合は、国の負担割合を最大で95%とする沖縄振興特別措置法の適用を明記。
 在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例も設定する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_01.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 3面
野党、出来高払い批判/防衛相、名護市へ支給に含み
 【東京】米軍再編推進法案が二十二日の参院外交防衛委員会で可決、二十三日の参院本会議で可決、成立する見通しだ。法案の柱は(1)再編の進ちょくに応じて支払う交付金制度(2)特に負担の大きな市町村を指定し、振興事業の補助率に特例を設ける(3)在沖米海兵隊のグアム移転に伴う融資などを可能にするため、国際協力銀行(JBIC)の業務に特例を設定する―など。衆・参院での質疑では、「出来高払い方式」に野党から批判が集中した。
アメとムチ
 審議では、再編計画を受け入れる自治体だけを対象に、事業が進んでいれば、交付金を上積み、滞れば凍結する「出来高払い方式」の是非が焦点となった。
 政府は、SACO(日米特別行動委員会)最終報告で普天間飛行場の返還に合意しながら十年以上たっても進展がなかったことを踏まえ、原子力発電所の受け入れ先に交付する「電源立地地域対策交付金」を参考に新制度を発案。久間章生防衛相は「SACOのような予算措置ではなく、法律で裏付けした方がいい」と意義を強調した。
 野党は「アメとムチで基地負担の受け入れを迫る手法は問題」(民主・柳田稔氏)などと指摘したが、安倍晋三首相は「基地受け入れを決断した地域を国として支援するのは当然。金で動かすということではない」と反論した。
 普天間飛行場代替施設(V字案)の沖合移動を求めている名護市への交付金支給について、久間防衛相が「ゼロだと決め付けることはできない」と述べ、支給の可能性に含みを残した。
算定の基準
 交付金の算定基準について、防衛省の大古和雄防衛政策局長は住民生活への影響を点数化して算定する考えを示したが、緒方靖夫参院議員(共産)は「住民への負担はそれぞれ異なる」などとして、実効性を疑問視した。
 同法案では、特に負担の大きな市町村を「再編関連振興特別地域」に指定、公共工事の補助率に特例を設ける。沖縄の場合、国の負担割合を最大95%とする沖縄振興特別措置法の適用も明記されている。現段階で該当市町村は明らかにされていないが、「五十機以上の航空機を移駐する場合」(久間氏)といい、普天間飛行場の移設先周辺が該当するとみられる。
グアム移転
 日米両政府は昨年四月、グアム移転経費百二億七千万ドル(約一兆二千二百億円)のうち、日本側が59%の六十億九千万ドル(約七千二百億円)を負担することで合意。
 司令部、隊舎、学校は家賃などの資金回収が困難との理由から、日本側が国庫から二十八億ドル(約三千三百億円)を支出。家族住宅や電力、上水道などのインフラ整備は、民間事業体に三十二億九千万ドル(約三千九百億円)を出資、融資するなどして支援する。
 ただ、出資、融資分は米軍人の家賃収入を返済に充てるため「返済期間は五十年程度になる」(大古局長)。住宅の耐用年数を考慮すると不良債権化する可能性もあり、「回収できなかったらどう責任を取るのか」(民主・長島昭久氏)と追及した。
 政府側は「確実に回収できるように精査していく」(尾身幸次財務相)と答えるにとどめ、具体的な対応策は示されなかった。(島袋晋作)

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_02.html

沖縄タイムス 2007年5月23日(水) 朝刊 28面
シンポ『集団自決』検定を問う」/来月2日
 高校歴史教科書で、「集団自決」の日本軍関与の記述が検定で削除されたことについて、シンポジウム「挑まれる沖縄戦―『集団自決』検定を問う」を開催します。沖縄戦体験者や研究者が一堂に会し、多角的な視点から、県民とともにこの問題の背景を考える場として位置付けます。
◆期 日 6月2日(土)午後2時―5時
◆会 場 沖縄県青年会館(那覇市久米)
◆内 容 (1)講話 金城重明(渡嘉敷島「集団自決」体験者)(2)パネルディスカッション「『集団自決』検定を問う」パネリスト 安仁屋政昭(沖縄国際大学名誉教授)、高嶋伸欣(琉球大学教授)、屋嘉比収(沖縄大学准教授)、諸見里道浩(沖縄タイムス編集局長)
◆入場料 無料
◆主 催 沖縄タイムス社
◆問い合わせ 沖縄タイムス読者センター、電話098(860)3663

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705231300_09.html

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