沖縄タイムス・琉球新報 関連記事・社説(5月20日)

沖縄タイムス 2007年5月20日(日) 朝刊 1面
辺野古海域調査/サンゴ着床具 大半設置
海自作業は終了か
 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う周辺海域の現況調査(事前調査)で、那覇防衛施設局は十九日午後、調査機器の設置作業を続行、サンゴの産卵状況を調べる着床具は一部を除いて設置を終え、海象調査機器やパッシブソナー(音波探知機)の一部も設置した。着床具の設置がほぼ終了したことから、海上自衛隊の支援作業は同日で終了した可能性もある。二十日も設置作業は行われる予定。
 反対派は、船やカヌー十二艇が作業船に近づいてしがみつくなど阻止行動を行い、海上保安庁の船やゴムボートが周辺で警戒するなど、緊迫した状況が続いた。
 作業には、海上保安庁の潜水士も参加。十八日終了後、作業に当たった潜水士が「反対派のダイバーから、水中でレギュレーターを外された」とトラブルを訴えたため、反対派のダイバーの動きを警戒していたとみられる。反対派市民団体は「事実関係がはっきりしていない」と反発している。
 同日の作業は、午後三時すぎに終了した。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705201300_01.html

沖縄タイムス 2007年5月20日(日) 朝刊 23面
辺野古アセス「公正に」/ネット署名 世界から1000件
 【名護】「国際社会も納得できる科学的な環境アセスを」―。米軍普天間飛行場の移設問題で、国の特別天然記念物ジュゴンと豊かな自然を守るため、情報が公開された上で環境アセスメントの実施を求めるインターネット上の署名運動に、世界中から賛同するメッセージが寄せられている。開始の一日から十九日までに千件を超えた。
 署名は「市民アセスなご」の吉川秀樹さん(43)=名護市=が呼び掛けた。「署名サイト」と呼ばれる英語のホームページに一日から掲載。世界からさまざまな課題への署名の請願が寄せられる環境保護分野で、「最も人気がある請願」ベスト10に入る関心の高さだ。
 オーストラリアのケイト・グリーンウッドさんは「私自身がプランナーなのでアセスの透明性がいかに重要か分かる。将来の子どもたちから貴重な生き物を奪わないで」と思いを寄せた。また、ラオス共和国のマーク・ベジェエンさんは「ジュゴンは危機にさらされているアジアの海洋生物のシンボル。日本は米軍基地を造ることよりも、美しい自然を守る事を優先すべきだ」と訴えている。
 吉川さんは「自衛隊が参加する事前調査や、今後の環境アセスが基地建設の道具として使われてしまう危険性がある。英語でのアセス文書作成も、国に求めていきたい」と話している。
 「署名サイト」のアドレスはhttp://www.thepetitionsite.com/takeaction/511549172

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705201300_03.html

沖縄タイムス 社説(2007年5月20日朝刊)
[沖振法の延長]
まず将来像を描くことだ
 本紙が実施した「復帰三十五年首長アンケート」によると、四十一自治体の首長全員が残り五年で終了する沖縄振興特別措置法(沖振法)の延長を求めていることが分かった。
 「本土との格差が是正されていない」「社会基盤整備が不十分」が主な理由だ。が、その裏には財政状況が「とても厳しい」(48・8%)、「厳しい」(36・6%)という現実がある。
 五年後の財政についても二十一市町村が「悪化する」とし、四市町村は「極めて悪化する」と答えている。
 十三自治体の首長が財政再建団体への転落という「財政破綻」に懸念を示しているのを見れば、ほとんどが沖振法に期待していることが分かる。
 だが、ここは一歩立ち止まって考えてみるべきだろう。
 確かに沖振法は有用である。高率補助も使い勝手がある。だが、高率補助で事業を展開したとしても、結果としては借金を残すだけではないのか。
 言うまでもないが、ちりも積もれば山となる。高率とはいえ、あくまでも補助金であり、残りの資金は自らの財源で補わなければならない。
 それが財源の乏しい自治体を圧迫してきたのは間違いなく、裏を返せば、手厚い財政支援が目標の「自立」にではなく「財政依存度を高める」方向に作用したということである。
 つまり、大切なのは「何が必要か」という事業の優先順位、取捨選択であり、予算確保のための事業ではないということだ。
 復帰から三十五年。本土との格差が残されているのは確かだ。それでも公共施設などを見れば、同規模自治体を凌駕しているのも多い。
 そのことに目を閉ざしてはならず、むしろ“箱物”だけでは駄目だということに気付かなければなるまい。
 いま自治体に求められるのは、住民と一体となって身の丈に合った持続可能な行政システムを構築することだ。
 財政状況に応じた制度設計である。そのためには、きちんとしたビジョンに基づいた将来像を描くことが重要になるのは言うまでもない。
 それには知恵と工夫が何よりも必要であり、自治体員として住民がどう“自治”にかかわっていくかも問われてこよう。
 各自治体が自らの将来をどう考え、設計していくか。しっかりとした数値に基づく中長期的な青写真をどう打ち出していくかも欠かせないはずだ。
 “自立”への糸口はそこから見いだすべきであり、行政はもちろんのこと地域住民一人一人の力が求められていることを自覚したい。
http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070520.html#no_1

辺野古沖事前調査 機器設置作業続く
 【名護】米軍普天間飛行場移設先の環境現況調査(事前調査)で那覇防衛施設局は19日午後も、名護市辺野古沖の調査海域で調査機器の設置作業を進めた。大潮で午後に大きく潮が引くため、午前中のリーフ内の作業が中心となった。この日の作業では現場海域に海上自衛隊の艦船は確認されず、現場での作業に自衛隊員が参加したかどうかは分かっていない。作業は20日も引き続き行われる予定。
 2日目の作業もサンゴ調査での着床板など各種機器を設置したもよう。施設局は5月末から6月初めのサンゴの産卵に間に合わせるようサンゴの着床板設置を急いでいる。普天間代替基地建設に反対する市民団体や住民らは同日午後も、辺野古漁港や海上で抗議行動を展開したが、大きな混乱は見られなかった。
 海上では、作業を阻止しようと反対派のカヌー隊が作業船にしがみついたり、ボートで接近して作業をやめるように大声で呼び掛けるなど抗議を続けた。漁港内に設置されたテントには、阻止行動を支援しようと労組団体や市民らが多く訪れ、遠く沖合での阻止行動を見守った。

■海自の調査投入防衛相に抗議文 反基地ネット
 あらゆる基地の建設・強化に反対するネットワーク(反基地ネット)は19日、海上自衛隊を投入して18日に始まった名護市辺野古沖の環境現況調査(事前調査)に対し、久間章生防衛大臣宛に抗議文を送った。
 抗議文の中で反基地ネットは、1950年代に米軍が銃剣とブルドーザーで暴力的に土地を奪い去ったことを挙げ「今度は日本政府が米軍基地建設のために日本国軍を出動させ、辺野古の豊かで美しい海を私たちから奪い去ろうとしている」と訴えた。また「私たちは今、沖縄戦で体験した“戦争と暗黒支配”の忌まわしい時代の再来を強く感じる。今回の辺野古新基地建設への海上自衛隊=日本国軍の投入はその歴史を画する暴挙」とし、抗議した。

■防衛省前でも抗議集会開く 市民団体、70人参加
 米軍普天間飛行場移設に向けた事前調査や、イラク復興支援特別措置法改正案の衆院通過を受け、市民団体の連合体「ワールド・ピース・ナウ」が19日、防衛省正門前で抗議集会を開き、移設調査のため派遣された海上自衛隊の掃海母艦について「治安出動以外の何物でもない」などと訴えた。横断幕やプラカードを掲げた約70人が参加した。
(琉球新報 5/20 10:09)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-23901-storytopic-1.html

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