沖縄タイムス 関連記事(5月18日朝刊)

2007年5月18日(金) 朝刊 1・31面
辺野古移設 海域調査きょう着手
機器設置 海自支援も
 那覇防衛施設局は十八日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)に必要な調査機器を設置する。海底の磁気探査と並行し、六月初めにも始まるサンゴの産卵状況を調べるため、着床具の設置作業を優先させる方針。海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」は同日、同市辺野古沖に停泊し、海自隊員が調査機器の設置作業を支援できる態勢で臨むとみられる。

 一方、辺野古漁港には十七日深夜、市民団体のメンバーら約百人が集まり、緊張感に包まれた。天候や反対する市民グループの動きによっては、ぶんごは十八日未明のうちに調査海域に入り、海自の潜水要員が着床具の設置作業に一部着手する可能性もある。ただ、海自の作業への関与については県民世論の反応も踏まえ、慎重に判断するもようで流動的だ。

 久間章生防衛相は十七日の参院外交防衛委員会で、国家行政組織法上の「官庁間協力」を挙げ、防衛施設庁の要請を受けて海自を動員することを初めて公式に認めた。ぶんごの乗員が調査に参加する可能性についても「それを否定するわけではない」と表明。施設局が委託している民間業者の設置作業をサポートする名目で海自の潜水要員を動員するとみられるが、自衛隊員が災害や国際協力以外の活動に参加する法的根拠については明らかにしていない。

 自衛隊が米軍基地建設に絡む調査活動に協力するのは極めて異例。反対する市民グループらは「海自を派遣し、威圧的に調査を実施するのは民主的なやり方ではない」と反発を強めている。

 海自の支援については仲井真弘多知事も「県民感情を考えるとあまり好ましいとは思わない。誤解を生むようなことは避けた方がいい」と否定的な見解を示している。

 施設局が今回実施するのは海生生物調査と海象調査。海象調査は(1)流向・流速(2)水温・塩分(3)波高・波向(4)濁度(5)補砂器に分類。海生生物調査は、サンゴやジュゴン、海亀などの生態を調べる。

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市民100人集結

 【名護】米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への移設に反対する市民団体のメンバーは十七日深夜、同市辺野古区に集結、漁港入り口で座り込みを始めるなど、現場は緊迫度を高めている。

 同飛行場代替施設の建設に伴う海域での現況調査(事前調査)に向けた調査機器設置が十八日にも始まる、という情報を受け、約百人の反対派が座り込みを続けるテントに駆けつけた。

 メンバーは那覇防衛施設局の職員が現地に到着しても漁港へ入るのを阻止するため漁港入り口の道路に座り込んで集会を開いた。非暴力で反対を訴えることなどを確認し合った。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は「自衛隊まで派遣する政府の圧力に屈することなく、平和を訴えたい。そのためにも、絶対に作業を阻止したい」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_01.html

2007年5月18日(金) 朝刊 2面
海自動員「将来に禍根」/伊波市長が反対意見
衆院安保委参考人質疑
 【東京】伊波洋一宜野湾市長は十七日、米軍再編に関する衆院安全保障委員会の参考人質疑に出席し、米軍普天間飛行場移設先の周辺海域での現況調査(事前調査)に海上自衛隊が動員されることに「(沖縄には)旧日本軍も含めさまざまな記憶がある。県民と対峙させることは、将来に大きな禍根を残す」と反対した。

 伊波市長は「なぜ普天間飛行場の危険な状況が放置されるのか。米軍は九万人の市民が居住する真上で飛行訓練を続けており、墜落事故が起きれば大惨事になる」と指摘。二〇〇四年八月十三日のヘリ墜落事故による住民の心理的不安や騒音による身体的苦痛を訴えた上で、一期目の公約である「〇八年までの返還」を強調した。

 その上で、普天間飛行場の航空部隊をグアムのアンダーセン空軍基地に移す持論を展開。名護市キャンプ・シュワブ沖に代替施設を造る案について「辺野古の海はジュゴンもすむ本当に美しい海。将来的にも沖縄の大切な財産だ。基地建設で壊さないでいただきたい」と計画の見直しを求めた。

 米軍岩国基地(山口県岩国市)への空母艦載機移転に反対する井原勝介同市長は、政府が○七年度予算で新市庁舎建設費の補助金を打ち切ったことについて「米軍再編とリンクさせるやり方には納得できない」と批判。協力度に応じて交付金を払う新制度に関しては「アメとムチの手法で、市民の不安をかき立てている」と訴えた。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_02.html

2007年5月18日(金) 朝刊 2面
V字滑走路 米軍機種変更で1600メートルに
 【東京】防衛省の大古和雄防衛政策局長は十七日の参院外交防衛委員会で、米軍普天間飛行場代替施設のV字形滑走路の長さが、辺野古沖を埋め立てる従来案より三百メートル長い千六百メートルに決まった理由に代替施設を使用する固定翼連絡機の機種変更があったことを明らかにした。大古局長は「(SACO以降の)情勢変化で固定翼の連絡機についても(滑走路が)長いものが必要になった(米側から)と聞いている」と説明。機種名は明らかにしなかった。白眞勲氏(民主)への答弁。

 久間章生防衛相は滑走路の長さについて「日本国内における飛行場で千三百メートルというのはなく、みな千五百メートル以上だ。どこかにトラブルがあったときには千五百メートルは最低必要」との認識を示した。

 在日米軍再編に伴う基地返還や在沖米海兵隊のグアム移転後の基地従業員の雇用について、久間防衛相は「(従業員を)全部残すことはできないのではないかと思っている」との見解を示した。

 その上で「(失業の)影響が最小限になるよう努力していかなければならない。職業転換をはじめとしていろいろと配慮していこうと思っている」と述べ、積極的に雇用対策を検討する考えを示した。小泉昭男氏(自民)への答弁。

 大古局長は、在日米軍再編への協力度合いに応じて地方自治体へ支払われる「再編交付金」の算定基準について、今後、住民生活に及ぼす影響を点数化して算定する考えを示した。参考例として(1)防衛施設面積の増加(2)飛行場設置など新たな施設整備の内容(3)戦闘機やヘリ、車両など装備の配備内容(4)人員増加の規模(5)訓練の内容―などを挙げ、「このような点を考慮して基準を設けたいと考えている」と説明した。緒方靖夫氏(共産)への答弁。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_03.html

2007年5月18日(金) 朝刊 31面
東村長一転 容認の意向/ヘリパッド移設
 【東】米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、東村の伊集盛久村長は十七日、反対の立場を転換し、移設容認の意向を示した。地元高江区の代議委員会に対し、村長は文書で「住民の生活環境の保全に最大限配慮するよう国に強く要望する」と理解を求めた。

 伊集村長は沖縄タイムス社などの取材に対し、「公約違反は認める。実際に行政を担い、いろんな意見を聴き、最終的にはこういう形にしかできない。区民に申し訳ないと思っている」と語った。村長は選挙公約で移設反対を掲げ、就任後は「移設場所を住宅地から遠ざけるよう、国に建設予定地の変更を求める」としていた。

 村長は同日、仲嶺武夫区長を通し、文書で受け入れを伝えた。この中で「高江区民の要望どおり移設場所を集落から大幅に離すことが望ましい」とする一方で、「米軍との調整や、過年度調査を含めると約十年に及ぶ環境影響評価手続きの経過などを踏まえると、現時点で移設場所の変更は難しいと考える」と理解を求めた。

 代議委員からは「公約と違う」「位置の変更を求める方針が大幅に後退している」と落胆した声が聞かれた。

 伊集村長は同日、就任後初めての移設予定地視察と、地元住民との意見交換会を予定していたが、「急用ができた」として急きょキャンセルした。

 仲嶺区長は「場所の変更を求めないという部分は、これまでとニュアンスが違うと感じたが、ヘリの騒音など住民に影響がある場合はその都度国に申し入れるとあるので、全体的な姿勢は大幅に変わったとはとらえていない」との考えを示した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_04.html

2007年5月18日(金) 朝刊 30面
原告住民ら戸惑い/普天間・爆音検証
「いつもより高度高く回数少ない」
 【宜野湾】米軍普天間飛行場の周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟で、那覇地裁沖縄支部による初めての現場検証は十七日午後も続行された。検証現場上空ではCH46輸送ヘリなどの旋廻が確認されたが、現場で被害を説明した原告住民からは「いつもより飛行の高度が高い。回数も普段より少ない」と戸惑いの声も聞かれた。

 同支部の河合芳光裁判長らは午前の飛行場南側地域に続き、午後は北側に位置する宜野湾市野嵩、普天間の二カ所で検証を実施。飛行場に隣接する沖縄国際大学では二〇〇四年八月に同大学で発生した米海兵隊のCH53大型輸送ヘリの墜落事故現場を視察した。

 飛行場滑走路の横、同市普天間に暮らす新垣清涼さん(57)の住宅屋上からはCH46輸送ヘリやAH1攻撃ヘリがタッチ・アンド・ゴーを繰り返す様子が確認された。

 住民らは「飛行回数が普段より少なく、被害実態が分からない」と訴えた。裁判官に飛行ルートなどを指さしながら騒音被害を説明した新垣さんは「いつもはもっと低く飛ぶ。米軍は検証の日に限って住民に配慮をしているような飛び方をしている」と語った。

 滑走路南側、同市佐真下で駐機場からのエンジン調整音や排ガスの被害を訴えた久場たつのさん(46)も「裁判官に現状を知ってもらいたかったのに、今日はそんなに音がしなかった」と憤った。

 原告団団長の島田善次さん(66)は「提訴から四年、やっと裁判官に『普天間』の現状を現場で説明することができてよかった。騒音は少なかったが、別の日に測定された市や県のデータを提出することで日常的な騒音被害を訴える」と話した。
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705181300_08.html

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