沖縄タイムス関連記事・社説(5月31日?6月2日)

2007年5月31日(木) 朝刊 1面

米国法で氏名非通知/沖国大ヘリ墜落米兵

外務省は一定理解

 二〇〇四年の沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、県警が被疑者不詳のまま、航空危険行為処罰法違反容疑で書類送検する方向で最終調整していることに関連し、外務省の重家俊範沖縄担当大使は三十日の定例記者会見で、米国のプライバシー保護法に基づき、事故にかかわる米軍関係者の日本側への氏名通知はできない、との説明を米国から受けていることを明らかにした。米国の軍法会議では事故機の整備に関与した整備士四人が降格、減給、けん責の処分を受けたという。

 日本国内の米軍提供施設外で発生した事故で、米本国では関係者が処分されているにもかかわらず、日本には氏名すら明らかにされないいびつな実態が浮かんだ。

 同事故に関する米側の対応について重家大使は「公務執行中のことであるし、おそらく米国は一次裁判権を行使したと考えているだろう。そういうことを踏まえて考えるべきかと思う」と述べ、一定の理解を示した。

 重家大使は同事故について「今まで警察当局と連携し、米側にも日米地位協定の下での捜査協力の一環として情報提供を求めてきた」と説明。その上で、米軍関係者の氏名通知に関しては「残念ながら米側からは、日本側の要請を真剣に検討したが、国内法で具体的な氏名の通報はできないとの説明を受けている」と話し、今後も氏名通知を受ける見通しがないことを明らかにした。

 米国が日本側に氏名を通知できない根拠については、米国のプライバシー保護法に基づき、米国防長官の権限で判断されたという。

 米国内で処分された四人のうち二人は降格、二人は減給とけん責。

 米軍関係者の容疑者の氏名が日本側に通知されなかったことについて法政大の本間浩教授(国際法)は「米軍人が公務執行中の場合、日米地位協定上は一次裁判権が米側にあるのは了承せざるを得ないとしても、二次的には日本に裁判権がある。その意味では日本側にも行使を担保しており、容疑者の氏名の通知要請に応じるのは当然のこと。特に今回の場合、公務執行中といっても非常事態とは思えない。米側は氏名を公表する責任があり、日本側が抗議しないのは問題だ」と日本側の対応を批判。

 さらに、米国内法が適用されたことについて「プライバシー保護法は本来、犯罪行為者のプライバシーを守るためにあるのではなく、犯罪行為者の氏名などの公表によって第三者に迷惑を掛ける場合に限り適用される。だが今回は、氏名の公表で例えば米軍ヘリのメカニズム的な軍事機密の保持に支障が出ることには結び付きようがなく、論理的におかしい」と指摘する。   

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200705311300_01.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年5月31日朝刊)

[米軍再編閣議決定1年]

「こう着」の責任は政府に

 在日米軍再編に関する閣議決定から一年が過ぎた。政府はこの間、普天間代替施設の建設に伴う海域の現況調査(事前調査)に着手し、再編への協力度合いに応じて地方自治体に交付金を支払うことを柱とした「米軍再編推進法」を成立させた。

 米軍再編を「法制面、経費面を含め的確、かつ迅速に実施する」とした閣議決定は着々と進んでいるかのように見えるが、果たしてそうだろうか。

 普天間飛行場の移設をめぐっては、名護市と県が「V字形滑走路案」の沖合移動を要求。仲井真弘多知事は滑走路の位置が明示されるアセス方法書の受理を拒否する姿勢で、建設計画などを話し合う協議会開催は一月以来ストップしている。

 牧港補給地区、キャンプ桑江など五基地の全面・一部返還についても、在沖米海兵隊八千人のグアム移転計画の詳細が決まらず今年三月末までに予定していた計画の策定が遅れている。

 閣議決定で強調された「地元の負担軽減」の実効性は見えない。

 嘉手納基地周辺の騒音被害軽減を目的に米軍戦闘機が本土で訓練を実施した五月十六日からの七日間に、七〇デシベル以上の一日の騒音発生回数が嘉手納町で百七十五回(二十一日)、北谷町で二百一回(十七日)計測。最新鋭ステルス戦闘機F22Aラプターの一時配備に加え、AV8ハリアー垂直離着陸攻撃機など外来機の飛来で騒音被害は逆に増えている。

 沖縄の状況を見る限り、閣議決定は進んでいない。そのせいだろうか、政府の強行な対応が目に付く。辺野古沖での事前調査に海自隊員を投入し、海底に設置した機器でサンゴの一部を損傷させるなど、手法が荒っぽい。

 そもそも、一年前の閣議決定について、県や名護市は「地元の考えを反映していない」などとして、不満や遺憾の意を表明したが、政府は聞く耳を持たなかった。

 閣議決定を「こう着状態」にした責任は政府にある。結論ありきの強行姿勢では、沖縄の基地問題は解決しない。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070531.html#no_2


2007年6月1日(金) 朝刊 37面

教諭ら被害証言/普天間訴訟証人尋問

 【沖縄】米軍普天間飛行場周辺住民が国に夜間飛行差し止めと損害賠償を求めた普天間爆音訴訟で、初めての証人尋問が三十一日、那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)で行われた。宜野湾市内の保育所と小学校の職員が爆音にさらされる子どもたちの被害について証言した。

 滑走路の延長線上にある市嘉数の保育所副園長仲田竜一さん(42)は、一歳から六歳までの子ども約百人が通う保育所の真上を、ほぼ毎日輸送機や戦闘機が通過する現状を説明。「子どもが昼寝をしていると戦闘機の爆音で跳び起き、泣き叫ぶ」と被害を訴えたほか、「騒音の被害と同時に、子どもたちが戦闘機に見慣れてしまうのは異常だと感じる」と述べた。

 教諭の嘉手苅直さん(46)は二〇〇六年四月から一年間、普天間第二小学校で教えた。「騒音で授業や行事が中断され、児童の集中力が鈍り学習効果が薄れてしまう可能性がある」と懸念。騒音に反応を示さない児童については「身体では被害を感じており、それを押し殺している」と説明した。

 閉廷後の進行協議では、同市外から市内に転居してきた住民約百三十人を対象に、国の主張する「危険への接近」についての質問書を送付し、転居経緯などを調査することが決まった。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_03.html


2007年6月1日(金) 朝刊 37面

40メートルのオリ解体/楚辺通信所

 【読谷】二〇〇六年十二月に全面返還された読谷村の米軍楚辺通信所(通称・象のオリ、約五三・四ヘクタール)で三十一日、本格的な撤去作業が始まり、高さ約四十メートルある円筒形アンテナが取り壊された。

 同日午後一時ごろ、同施設局から委託を受けた業者が重機を使用して作業を開始。「オリ」を連想させる鉄柱は「ギシギシ」と音を立てながらゆっくりと傾き、約四十分後に完全に倒れた。那覇防衛施設局によると、鉄柱は全部で三十本あり、一日に五本ずつ撤去していく予定という。

 同通信所は一九九六年に日米特別行動委員会(SACO)で返還合意。同施設局によると、六月の工期終了までにさら地にし、地主に引き渡される。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_04.html


2007年6月1日(金) 朝刊 36面

あす「集団自決」シンポ

 沖縄タイムス社は二日午後二時から、那覇市久米の沖縄県青年会館で緊急シンポジウム「挑まれる沖縄戦―『集団自決』検定を問う」を開催する。高校歴史教科書の「集団自決(強制集団死)」をめぐる検定について、体験者や識者を交えて考える。入場無料、同午後五時まで。

 渡嘉敷島での「集団自決」を生き延びた金城重明さんの講話、安仁屋政昭・沖縄国際大名誉教授▽高嶋伸欣・琉球大教授▽屋嘉比収・沖縄大准教授によるパネルディスカッションがある。コーディネーターは諸見里道浩・沖縄タイムス編集局長。

 問い合わせは、沖縄タイムス読者センターまで、電話098(860)3663。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011300_08.html

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月1日朝刊)

[サンゴの病]

CO2抑制し死滅から救え

 沖縄の海は、サンゴが放卵する季節に入り、命のダイナミズムに満ちている。だが、死滅するかもしれない危機に直面しているのも事実だ。

 サンゴが白くなって死ぬ「ホワイトシンドローム」という病気が、海水温の上昇で増えることを、米とオーストラリアの研究チームが突き止めた。

 同じ病気は慶良間海域の安室島南岸でも発生しており、看過できない深刻な問題である。

 以前から沖縄周辺海域でも、海水温の上昇により共生藻が脱落して起きる白化現象がしばしば見られた。

 ホワイトシンドロームはこれとは違い、組織そのものが壊死し群体全体の死滅に至る。安室島の事例では、大きなテーブルサンゴが罹患しやすく、汚染のない海域でも発生している。

 今のところ、病変部分を切除することによって進行を食い止める以外に対策はないという。発生のメカニズム解明と、防止策の確立が急がれる。

 サンゴの死滅は、そこに依存する小動物から回遊魚まで、海の生態系に重大な影響を及ぼす。

 経済的にも価値は高い。

 世界自然保護基金(WWF)は、さんご礁が観光や漁業で年間三兆六千億円の経済効果をもたらし、日本は二千億円の利益を得ていると試算した。

 そのほか、リーフは台風や津波で外洋から打ち寄せる大波を和らげる。

 県内ではオニヒトデ駆除や移植・再生の試みがなされている。だが、サンゴそのものが死滅したのでは、これらも徒労に終わってしまう。

 やはり大敵は地球温暖化だ。

 水温上昇により、ほかの病気も増える恐れがあると研究チームは警鐘を鳴らしている。

 さんご礁は、温暖化の原因である二酸化炭素を吸収し固める働きがある。サンゴが減り温暖化が加速するという悪循環は、何としても避けたい。

 私たち一人一人ができることは、こまめな節電やリサイクルなどを心掛け、少しでも二酸化炭素の発生を抑えることである。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070601.html#no_2

 

沖縄タイムス 社説(2007年6月1日朝刊)

[米兵氏名非通知]

こんなことが許されるか

 これでは復帰前と全く変わっていないと言わざるを得ない。

 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故で、米側が処分した二等軍曹や伍長ら整備士四人の名前を明らかにしないと日本側に通知したことである。

 政府がこのことを容認したのであれば、それ自体、県民を裏切る行為といっていいのではないか。

 事故は民間地で、しかも大学の構内で起きている。事故原因もまた、整備員が後部回転翼を固定するボルトにピンを付け忘れた結果だというのがはっきりしているではないか。

 にもかかわらず、米軍は軍法会議で整備士四人の降格と減給、けん責処分をしただけで、日本側には氏名を通知しないことを決めたという。

 重家俊範外務省沖縄担当大使は、通知できない理由について「米国のプライバシー保護法に基づき、米国防長官の権限で判断された」と述べている。

 米側の説明に政府は「仕方なし」と判断したのだろうか。もしそうなら、それこそ重大な瑕疵といっていい。国民を守るべき政府が自らの責任を放棄したと言われても仕方がないからだ。

 県民は復帰前、米兵による殺人事件や重大事故なのに当時の警察は手が出せず、MPの処理で、犯人は米本国に送還されたまま罪も罰も受けなかった事例があることを覚えている。

 政府は、このような記憶を持つ県民の心情を考えたことがあるだろうか。

 私たちには米側が問題を深刻に受け止め、かつ四人の氏名公表について真剣に検討したとはとても思えない。

 「外務省にこう伝えれば、きっと納得するはずだ」としか考えていなかったのではないか。これまでの米軍の対応を見ると、そう受け取らざるを得ないのである。

 これでは法治国家とはとてもいえず、対等で健全な関係を標榜することにも疑問を覚える。同盟関係の強化を目指すのであれば、まずこのような法的関係をきちんとすることから始めるべきだろう。

 日米地位協定の壁だが、この事故では県警も航空危険行為処罰法違反の疑いで被疑者不詳のまま書類送検し、捜査を終結する方針だという。

 容疑者ははっきりしているのに、それを特定できない「被疑者不詳のまま」にしなければならない県民の悔しさ。政府には、そのことが持つ意味をしっかり把握する責任がある。

 在日米軍基地の75%を沖縄に背負わせたまま、事故が起こってもきちんと対応できない政府の姿勢を、県民が冷ややかな目で見ていることを忘れてはなるまい。

http://www.okinawatimes.co.jp/edi/20070601.html#no_1


2007年6月1日(金) 夕刊 7面

南風原壕公開 待ちきれない/県内外から予約1000人

 【南風原】十八日から一般公開される「沖縄陸軍病院南風原壕群二十号」に、県内外から予約や問い合わせが相次いでいる。同壕群を管理する南風原文化センター(大城和喜館長)によると、九百八十七人が八月までの見学を予約した。

 六月(十八日以降)が五百四十人、七月が三百九十九人で県内外の予約が半数ずつだという。同センターの金城清文化班長は「八月以降は余裕がある」という。

 公開される二十号壕は全長七十メートルの手掘りの横穴壕。黄金森公園にある小高い丘の一帯には二十号壕を含め約三十の壕が掘られ、「ひめゆり学徒隊」が多くの負傷兵の看護作業に従事したことで知られている。

 見学は午前九時から午後五時までで毎週水曜日は休館。「南風原平和ガイド」が案内役を務め、完全予約制となる。

 見学料は南風原町内の一般が二百円、小中高生が五十円、町外の一般が三百円、高校生が二百円、小中学生が百円。二十人以上で団体割引がある。

 問い合わせは南風原文化センター、電話・ファクス098(889)7399。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011700_03.html

 

2007年6月1日(金) 夕刊 7面 

米軍学校教師が大麻栽培/北中城

 米軍人・軍属の子どもが通うキャンプ・フォスター内の久場崎ハイスクール=北中城村=の教師が自宅で大麻を栽培したとして、五月中旬に逮捕されたことが一日までに分かった。米軍準機関紙「星条旗」が同日、報じた。

 九州厚生局沖縄麻薬取締支所は「共犯者を含む周辺捜査に影響を及ぼす恐れがあるため、詳細は明らかにできない」としている。

 星条旗の報道によると、教師は北谷町内の自宅の庭で大麻を栽培した疑い。同支所や米海軍捜査機関(NCIS)などが連携し、自宅を捜索、栽培大麻や吸引に使ったとみられるパイプなどを押収したという。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706011700_04.html

 

2007年6月2日(土) 朝刊 2面 

業務委託料 23億円に/辺野古調査

 【東京】政府は一日、米軍普天間飛行場の名護市キャンプ・シュワブ沿岸部への代替施設建設に伴う海域の現況調査(事前調査)業務の民間委託料が二十三億四千五百七十万円に上ることを明らかにした。

 閣議決定した答弁書で、照屋寛徳衆院議員(社民)の質問主意書に答えた。

 委託業務料の内訳は「海象等の調査」六億五千百万円、「サンゴやジュゴン等の調査」十六億五千九百万円、「サンゴの着床具の設置等」三千五百七十万円。

 同調査への自衛隊動員の法的根拠については政府統一見解として、「国家行政組織法第二条第二項の規定の趣旨(官庁間協力)を踏まえ行った」と説明。「現況調査は環境影響評価法に違反するものではない」との認識を示した。

 今回の調査で「サンゴが大規模に破壊損傷されている」との照屋氏の指摘については、「調査はサンゴ類の増殖環境を把握することを目的としているため、着床具はサンゴが密に生息している地域ではなく、その周辺に設置している。当該海域のサンゴの生息環境に大きな影響を与えるものではない」とした。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_04.html

 

2007年6月2日(土) 朝刊 25面 

東中生徒、撤回求め請願/「集団自決」修正

村議会へ4日提出 意見書可決訴え

 【東】教科書検定で高校の歴史教科書から沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」に関する日本軍関与の記述が削除された問題で、東中学校(島袋きよみ校長)三年の生徒らが四日、検定意見の撤回を求める意見書を可決するよう東村議会(安和敏幸議長)に請願書を提出する。生徒は三年生全員の十四人。「何も意見を出さなければ、賛成していると同じ。戦争を二度と起こさないため、東村からも教科書の内容を変えることに対し、意見を出してください」と訴えている。

 請願書は、社会科の平和学習の中で「集団自決」をテーマに書いた意見文を基に作成した。

 「集団自決は『自分で決める』と書いてあるけど、子どもや赤ちゃんは本当に自分で決めたことではないと思う」「日本軍が犯したことを隠していたら、戦争体験者はつらいと思う」など、教科書検定問題の新聞記事を読みながら、A4判の用紙いっぱいにそれぞれの考えを書き、全員で読み回しして、話し合った。

 指導した北島幸三教諭(37)は「生徒の素直な思いがつづられているので、真剣に受け止めてほしい」と話している。

 安和議長は「子どもたちは純真な気持ちで来ると思う。議員全員でしっかりと検討したい」と語った。

 手作りした新聞記事のスクラップも、請願書に合わせて提出する。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021300_08.html

 

2007年6月2日(土) 夕刊 5面 

低周波音参照値上回る/普天間爆音

現場検証全4カ所 最大97・5デシベル記録

 【宜野湾】那覇地裁沖縄支部(河合芳光裁判長)が五月十七日に宜野湾市内四カ所で実施した普天間爆音訴訟の現場検証で、ヘリコプターなどから発生する低周波音が最高九七・五デシベルを記録し、全四カ所で環境省が定める「心身に係る苦情に関する参照値(九二デシベル)」を上回る低周波音が測定されていたことが二日、分かった。同訴訟原告団によると、航空機騒音訴訟の現場検証で低周波音を測定したのは全国で初めて。

 低周波音は航空機騒音のW値(うるささ指数)とは異なり、人間の耳には聞こえにくい一〇〇ヘルツ以下の音波。ISO(国際標準化機構)の定めた計算方法によってデシベルに換算され、被害の大きさを表す。

 距離によって被害が減少しにくく、壁などの遮へい物を通過する特性がある。人によっては不眠やいら立ち、頭痛や吐き気などの影響を受ける。

 環境省が作成した「低周波音問題対応の手引書」では、参照値九二デシベル以上の低周波音は人体が心身の苦痛を感じる可能性がある、としている。

 現場検証は米軍普天間飛行場の北側、南側のそれぞれ二カ所で実施された。宜野湾市大謝名、佐真下、野嵩、喜友名の計四カ所で原告、国がそれぞれ同種類の機器を使用し、低周波音と騒音を測定。全四カ所で参照値を上回る低周波音が記録された。

 国はこれまでの口頭弁論で「各原告の低周波音の被害について具体的な立証がされていない」と主張。原告団は「騒音だけでなく、低周波音と相まって健康や精神的被害を憎悪させている」と反論していた。

 参照値を上回る低周波音が測定されたことについて、島田善次原告団長は「ヘリによる離着陸が多い普天間飛行場周辺の低周波音という特殊な被害が数値で明らかになった。裁判所は通常の騒音だけでなく低周波音被害も考慮した判断をしてほしい」と訴えた。

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021700_03.html

 

2007年6月2日(土) 夕刊 5面 

平和求めた元学徒追う/元教師の外間さん

「9条の大切さ伝えたい」

 「師範学徒の宮良英加さんについて知ってほしい」。沖縄戦で亡くなった石垣市出身の宮良さんの命の軌跡を、県出身で元教師の外間喜明さん(62)=神奈川県=が取材している。外間さんは「教壇に立ちたかったと言い残し、戦場へ行った宮良さんの思いに応え、戦争のない時代をどう築くか。私たちに問われている」と話す。

 東風平町出身の外間さんは沖縄の本土復帰前、十七歳で本土へ渡航。働きながら大学で学び、社会科教師になった。「憲法を教える時、沖縄のことを通して伝えてきた」。沖縄戦を通し平和問題を考える中、宮良さんの存在に出会った。学友や遺族からの聞き取りで、戦時下でも人間的に生きようとした宮良さんの姿に触れた。

 当時十九歳の宮良さんは沖縄師範本科四年生。外間さんは、人柄をこう説明する。「同郷の壮行会で教師の夢を断たれる無念さと女子学徒に生きて教壇に立てと諭した」「捕虜になった米兵に食料を与え、日本兵から激しい暴行を受けた」「病院壕で腕を切り落とされ『チョークが持てなくなった』と悲観していた」

 外間さんは「改憲の動きの中で宮良さんの姿を通し、九条を守る大切さ、戦争を二度と起こしてはいけないと伝えたい」と話す。

 戦後六十年の二〇〇五年に、平和への思いをつづった本「うちなー讃歌」を五千部出版、五月改訂版を出した。出版がきっかけで、講演や沖縄への平和学習ツアーも開催。「ヤマトと沖縄の懸け橋になりたい」と話す。

 問い合わせ・情報提供は外間さん、携帯電話090(5384)1886。   

http://www.okinawatimes.co.jp/day/200706021700_04.html

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